2008年01月31日

新sあらたにす がスタート

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 きょうの7時(すぎ)から、いよいよANYこと朝日・日経・読売の三社共同のインターネット事業がスタートします。そのサイト名は意表を突いて「新s あらたにす」というもの。どんなコンテンツが提供されるのか興味のあるところです。

プレスリリース:
 日経・朝日・読売インターネット事業組合(所在地:東京都千代田区、理事長:長田公平[日本経済新聞デジタルメディア代表取締役社長])は、1月31日(木)よりインターネットニュースサイト『新s あらたにす』を開設いたします。
  このサイトは、世の中で起きている様々な事件・問題・出来事について、日経、朝日、読売の3社が報道するニュースをそれぞれ掲載することにより、より分かりやすく、より興味深く伝えていく「新聞ナビゲーションサイト」です。
 各新聞社が発信する報道や社説、評論の価値を統合または対比しつつ広く提供していくことで、かっ達な言論社会づくりに貢献するとともに、新聞事業の更なる発展を目指してまいります。
 
 準備中のサイトを開くと9つのカテゴリーが並べてあります。
・くらべる一面 ・くらべる社会面 ・くらべる社説 ・注目テーマ ・新聞案内人 ・書評 ・イベント ・おすすめ企画 ・最新ニュース
どんな展開になるのでしょうか?


 そう言えばITmediaに 
「紙」の次を担うスペシャリストのアイデア という記事がアップされていましたが、新聞社らしくないサイトの運営がされるのでしょうかねぇ。

吉岡さんのインタビューから:
 朝日新聞社は現在、インターネットビジネスの経験を持つ人材の中途採用を積極的に進めています。わたしもその一環で入社した一人です。これまで培った経験を自由に伸び伸びと生かすように言われております。「朝日新聞社の文化に吸収されないでほしい」と言われているほどです。インターネットでビジネスをする上では、130年という長い歴史の中で築いた独特の文化に拘っていてはいられないという意識が高まっています。

 日本のある意味では“英知の結集”のANYの皆さんが作ったサイトですから、注目したいと思います。

posted by 今だけ委員長 at 01:41 | Comment(2) | TrackBack(0) | 時事ニュース

2008年01月22日

産経新聞もオンラインで発注できる紙面広告を商品化

 昨年11月15日から世界一の広告会社「電通」がはじめた「新聞ADGOGO」(インターネット上で新聞広告が出稿できるサービス)に続き、産経新聞(グループ会社のニュースペース・コム)も新聞広告がネット上から申し込める「オンライン受注システム」のサービスをきょうから開始する。


産経MSNより引用
 「オンライン受注システム」は専用サイト上で、広告の申し込みから掲載の可否、広告原稿の作成まですべて完結する。これまで新聞広告を出す機会が少なかった中小企業や地方企業、サイト事業者など新たな広告主の開拓につなげる。
 ニュースペースは、ネットと新聞を「検索ワード」などによって結ぶクロスメディアの広告。新聞の記事などコンテンツ(情報内容)とよりマッチした形で掲載し、スペースを定型(フォーマット)化しているのが特色。
 ネットからの申し込みは、掲載日などのほか、このフォーマットのモデルから自由に選択し、検索ワードなどを指定することで簡単に済む。制作費は無料。
 掲載媒体は産経新聞、サンケイスポーツ、夕刊フジ、フジサンケイビジネスアイなど。当面はネットからの申し込みは広告会社からに限るが、ネットでの企業や事業者などからの直接の問い合わせにも応じる。
 ネットからの新聞広告申し込みは、アメリカで米グーグル社などが実施。国内では電通や博報堂グループが限定された広告枠、業種などで開始したばかり。

 さすがにフットワークの軽い業界の切り込み隊長?産経新聞(勝手に言わせていただいてますが)ですが、紙面広告(スペース)を売るのならもう少し“部数をなんとかせねば”という状況ではないでしょうか…


posted by 今だけ委員長 at 02:39 | Comment(0) | TrackBack(1) | 時事ニュース

2007年11月16日

直視しよう新聞購読率の低下とネット利用率の上昇という環境の変化で起きていること

 最近、新聞広告の営業スタイルや新聞折り込みチラシに大きな変化が起きています。

 大手いや世界一の広告代理店「電通」がインターネット上で全国紙から地方紙まで102紙に新聞広告が出稿できる「新聞ADGOGO」のサービスを15日からスタート。
 新聞広告を使ったことがない企業でも、「店舗での販促」「商品訴求」「アクセス増加」「ブランド訴求」など目的に合わせて手軽に新聞広告を注文できる仕組みだとか…。広告の掲載申し込みから広告原稿データの作成までネット上で作業を完結できるとあっては、「枠の買い切り」で新聞広告をある意味で支えてきた広告会社は厳しい状況に…。

 
先日、植田正也氏(早稲田大学ビジネススクール講師)の講演(2010年のマーケティングコミュニケーションのあり方)を聞く機会があったのですが、植田氏は「2010年には現在の80%の広告会社が消える(現在3180社から636社へ減少)と語っていましたが、メディアのイノベーションによって広告会社は「広告代理業」から「問題解決業」へと転換を迫られているということなのでしょう。
 
敷居を低くすることで減少傾向にある新聞広告の売り上げ増につながるかどうか。猫手企画さんのエントリーでは「『なぜ新聞に広告を出すのか』という必然性と、媒体の費用対効果に対する説明責任が求められる事になりそうです。だって、必ず次にくるのは費用対効果の一番見える『NETADGOGO』でしょう?それを打開するためには、いままで以上に新聞広告のクリエイティブを高める事、顧客との密度を上げる事が急務」と指摘されています。
 いまこそアドボカシーマーケティングの展開が求められていると感じます。

 もう一つは、電子チラシサイトの話し。凸版印刷が2001年からスタートした電子チラシ(新聞折り込みチラシをPDFファイル化してネット上で閲覧できるサービス)のポータルサイト「Shufoo!」に各店舗が登録したお得情報を音声で読み上げるサービス「シュフーoh!トーク」が昨年11月から始まるなど、あれやこれやの技術を駆使して新聞折り込みチラシのクライアント獲得(電子化)が盛んになっています。
 チラシ内容を読んでくれるなんてナント親切なのでしょう。日本人らしいというか…視覚と聴覚に訴える広告効果を期待しているのでしょうけれど。

 リクルートも今月21日から生活応援WEBサイト「タウンマーケット」という電子チラシサービスを開始するようです。
 電子チラシやクーポン情報に加え、カタログやネットスーパーの配信機能を備えた商品で、電子チラシの配信もユーザーのネット利用ピークに合わせた配信開始時刻を「前日21時」か「当日3時」を選択可能とし、ユーザー登録すると希望のチラシが新たに配信されると「新着お知らせメール」でお知らせする機能も盛り込まれているそうです。またチラシの画面上からECサイトへリンクを張れたり、画面上に赤ペンでしるしをつける「ペン機能」も装備。
 
新聞に折り込まれて宅配される前(売出日前に)にそのチラシが見られる?というのは、何か引っかかりもありますが、これもイノベーションによって(チラシという)モノがネット上のデータとして扱われる潮流なのでしょう。

 このような動きに対して新聞販売店の受け止め方はどうか?
 いままで新聞に折り込まれていたからという理由で食卓まで確実に届くという効果があったチラシは、ゴミと化す無差別ポスティングのチラシとは一種違った存在でした。それは新聞折込広告取扱基準をクリアした「安心できるチラシ広告」を1軒1軒の顧客の手元へ届けるというサービスでもあったわけです。しかし、新聞購読率の低下とネット利用率の上昇という環境の変化に多くの販売店は将来的な対策を講じるどころか、現実さえ直視しようともしていません。

 販売店の業務提携・統合はますます拍車がかかり、物流部門への参入が必要不可欠だと感じています。

posted by 今だけ委員長 at 03:43 | Comment(0) | TrackBack(1) | 時事ニュース

2007年11月07日

ガリバー企業が根こそぎ…もうピンハネでは済まない時代へ

 郵便事業会社(日本郵政グループ)が、電通グループとダイレクトメール広告の新事業展開で共同出資会社を設立するそうです。新規事業の展開には総務省の認可が必要で、早ければ年内にも事業を開始したい考え。

 ダイレクトメール用の顧客リストを作成し、広告のターゲットに合ったダイレクトメールを企画、開発して顧客宅へ届けるサービスや郵便などを活用した新たな広告媒体の開発に着手するようです。新会社の資本金は4億9千万円で日本郵政が51%、電通が34%、電通テック(電通の子会社)15%の比率。デイレクトメールは広告市場全体がのブ悩む中、この16年間で70%超の成長を遂げており、今後も大きな成長が期待できる市場だといわれています。

 これまではクライアント側が持ち得た顧客データの属性によって宛名付きダイレクトメールを郵便事業会社をはじめ、宅配便などの物流会社は配るだけのサービスだったものを日本郵政のデータベースを広告媒体として活用するようです。ダイレクトメール広告に使う顧客リストは郵政が所有しているデータを使用せず、新会社が電通のノウハウを生かした顧客情報の構築に取り組むとのこと。
 広告媒体の開発では、クライアントが指定した地域の全世帯に郵便物を届ける「タウンプラス」の配送サービスを活用。このサービスは宛名のないダイレクトメールを特定の地域へ集中的に配達し、企業の新規顧客獲得につなげるという商品。郵便事業会社が広告媒体として活用できるデータベースを構築し、商品化するということは「スゴイ…」ことに。
 配る体制(ある意味24時間)も先日、郵便事業会社と業務提携をした日本通運(ペリカン便)など、中・小規模な物流会社を系列化すればいいわけですからね。

【合弁会社の主な事業内容】(プレスリリースより)
@郵便物等の送付手段を活用した効果的な広告媒体の企画、開発、販売業務
A個人のパーミッションを取得したデータベースに基づく付加価値の高いダイレクトメールの企画、開発、販売事業
B郵便物等の作成及び差出に関する業務
Cダイレクトマーケティングに関するノウハウ、広告プロモーションに関するノウハウを活用した、各業務に関するコンサルティング業務


 日本郵政と電通、ともにガリバー企業が直接手を組むとなると中間に位置していた代理店や個人請負事業者にとっては死活問題となりそうです。

posted by 今だけ委員長 at 21:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | 時事ニュース

2007年11月04日

大連立騒動で小沢氏が党代表辞任。小沢氏がマスコミの中傷報道を抗議

 民主党の小沢一郎氏が党代表を辞任というニュース。

 11月2日に開かれた福田首相との党首会談でぶちあげられた自民党との連立政権に向けた政策協議を民主党役員会で否定されたことを受け「連立政権の樹立を巡り政治的混乱が生じた。私が選任した党役員から不信任を受けたに等しく、けじめをつける」と理由を説明しました。
 また、この会見の後段では中傷的な(マスコミ)報道に対する抗議も声高に表明されました。政治家のような公人はマスコミからの批判的な報道にさらされるのも役割のひとつなのでしょうが、今回の抗議はチョット別な角度で受け取れました。
(アサヒコムから引用)

 中傷報道に厳重に抗議する意味において、考えを申し上げる。福田総理との党首会談に関する報道について、報道機関としての報道、論評、批判の域を大きく逸脱しており、強い憤りをもって厳重に抗議したい。特に11月3、4両日の報道は、まったく事実に反するものが目立つ。
 私の方から党首会談を呼びかけたとか、私が自民、民主両党の連立を持ちかけたとか、今回の連立構想について、小沢首謀説なるものが社会の公器を自称する新聞、テレビで公然と報道されている。いずれもまったくの事実無根。党首会談、および会談に至るまでの経緯、内容について、私自身も、そして私の秘書も、どの報道機関からも取材を受けたことはなく、取材の申し入れもない。
 それにもかかわらず事実無根の報道がはんらんしていることは、朝日新聞、日経新聞を除き、ほとんどの報道機関が、自民党の情報を垂れ流し、自らその世論操作の一翼を担っているとしか考えられない。それによって、私を政治的に抹殺し、民主党のイメージを決定的にダウンさせることを意図した明白な中傷であり、強い憤りを感じる。
 このようなマスメディアのあり方は、明らかに報道機関の役割を逸脱しており、民主主義の危機であると思う。報道機関が政府与党の宣伝機関と化したときの恐ろしさは、亡国の戦争に突き進んだ昭和前半の歴史を見れば明らかだ。
 また、自己の権力維持のため、報道機関に対し、私や民主党に対する中傷の情報を流し続けている人たちは、良心に恥じるところがないか、自分自身に問うてもらいたい。
 報道機関には、冷静で公正な報道に戻られるよう切望する。


 小沢氏が言い放った「民主主義の危機」、「自民党の情報を垂れ流し、報道機関が政府与党の宣伝機関と化した」とは。
 自宅で新聞は3紙とっているのですが、朝日と日経の報道はどこが違っていたのか…読み比べができなかったのでネットでちょっと調べてみました。


朝日社説 「連立」打診―甘い誘惑にはご用心 2007年11月3日

毎日社説 大連立提案 民主党が拒否したのは当然だ 2007年11月3日
産経主張 党首会談 大連立の前に政策協調を 2007年11月3日
読売社説 党首会談 政策実現へ「大連立」に踏み出せ 2007年11月3日
日経社説 ねじれ国会揺さぶる首相の連立提案 2007年11月3日


特に際立ったのは読売新聞のこの記事
「民主党内、絶対まとめる」大連立は小沢氏が持ちかけ
この記事が小沢氏が言う「事実無根の報道がはんらんしている」ということになるのでしょうか。

 業界のドン ナベツネさんですか…。

 新聞業界でも10月1日に朝日、日経、読売による業務提携「ANY戦略」を打ち立てたから、政界も大連立を組めということ?
 さらに、きょう放送の「時事放談(175回)」(TBS系ですが宮城では放送していません)に中曽根康弘元首相と読売グループの渡辺恒雄氏が出演して自民、民主の連立に言及しています。
 小沢氏が言う「自己の権力維持のため、報道機関に対し、私や民主党に対する中傷の情報を流し続けている人たち」とは誰を指しているのかが何となく見えてきました。

 2ちゃんねるでは大賑わい…
【政治】大連立協議の裏に読売の「ナベツネ」氏 混乱に拍車
【政治】「朝日新聞と日経新聞除いて中傷報道を行った」 小沢氏、会見でマスコミの報道姿勢を批判
などのスレッドが立ち、根強い朝日批判論者と読売(ナベツネ)の情報操作への批判などで盛り上がっているようですが、行き着く先はやはりマスゴミ批判へと…。


 辞任会見の伝え方も比べてみるとオモシロイものです。辞任の理由だけを伝える新聞社と(マスコミへの)中傷報道への抗議も含めた会見全体を伝えた新聞社と…。
 小沢氏が事実無根の報道をしていない?と述べた朝日新聞は全文掲載でしたが、その他は小沢氏が言い放った「中傷報道への抗議」には触る程度でした。


朝日 小沢氏「混乱にけじめ」 「報道に憤り」とも 会見全文
毎日 小沢代表辞意:安保政策転換、政策協議開始に値する
産経 小沢氏、党代表辞任を表明 「中傷報道に強い憤り」
読売 民主党の小沢代表、辞職願提出「党内混乱の責任取る」
日経 民主・小沢代表が辞意表明・連立巡り混乱、けじめ

 
 今回の騒動を見ていると「政局を動かすため」に政治家向けに紙面をつくっているような感じがします。まだ政局を動かせる力が新聞にあると信じてやまない妖怪たちは読者のことなんて二の次なのだなぁと思ってしまいますね。
 「社説」なんてもういらない。そんなことを考えさせられました。

posted by 今だけ委員長 at 23:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | 時事ニュース

2007年10月01日

ANYの単語は出ませんでしたが「共同事業・業務提携・相互援助」でANY社長が会見

 本日、都内港区のホテルオークラ(プレスセンタービルじゃなかった)で、株式会社日本経済新聞社、株式会社朝日新聞社、株式会社読売新聞グループの3社社長による共同記者会見が開かれました。以下にプレスリリースを掲載します。


 
   ◇    ◇    ◇    ◇

日経と朝日と読売、インターネット分野の共同事業と販売事業で提携
3社の共同事業・業務提携・相互援助について

 株式会社日本経済新聞社(代表取締役社長・杉田亮毅)、株式会社朝日新聞社(代表取締役社長・秋山耿太郎)、株式会社読売新聞グループ本社(代表取締役社長・内山斉)の3社は本日、インターネット分野における共同事業と販売事業における業務提携を進めていくことで合意しました。また、災害時等の新聞発行をめぐる相互援助についても覚書を締結しました。いずれも、読者の皆様に正確で迅速な報道と多様な言論を提供し、新聞事業のさらなる発展を図ることが目的です。
 
(1)インターネット分野での共同事業
 3社は、新聞社が発信する報道や解説、評論の価値をインターネットの世界でも高めるため、各社が単独では展開できないサービスを共同で提供します。3社の主要な記事や社説の読み比べができるサービスのほか、インターネットの様々な技術を活用して、3社のニュースを共同で発信するためのツール等の提供も検討します。2008年はじめのサービス開始を目指し、その後も順次、メニューを拡充していきます。事業主体としては民法上の組合を設立することを検討しています。事業費は当面、数億円規模とし、3社が均等に負担します。

(2)販売事業分野での業務提携
 3社は、配達の共同化などの提携を地域を選択しながら進めます。新聞の戸別配達網の維持・強化を図ることにより、多様な言論と報道を今後も全国津々浦々までお届けし、ジャーナリズムの健全な発展と国民の「知る権利」の堅持に役立てたいと考えています。配達共同化を段階的に拡大していくことで、新聞配達業務の効率化を図り、配達の正確性と迅速性を維持し、国民生活に不可欠な知的インフラである新聞の戸別配達網の強化につなげてまいります。

(3)災害時等の新聞発行の相互援助
 3社は、災害やシステム障害などの不測の事態が発生し、新聞発行が不可能になったとき、紙面制作の代行、印刷の代行、輸送の支援などについて、相互に援助し合うことになりました。3社は現在でも、災害やシステム障害などを想定したバックアップ体制をそれぞれ独自に整えておりますが、万が一の事態に備えて、新たに3社間の相互援助体制を整えておく必要があると考えました。2008年3月末までに正式な協定を結ぶことを目指します。
以上
 

他のメディアでは現時点であまり動きはありませんが、3社のサイトでは福田首相の所信表明を吹き飛ばす勢いでアップされています。天変地異でもあるまいし…


朝日、読売、日経3社がネット・販売分野などで協力(朝日新聞)
日経・朝日・読売が提携新聞配達、共同サイト運営で(読売新聞)
日経、朝日、読売が業務提携・ネット事業などで協力(日本経済新聞)

posted by 今だけ委員長 at 16:25 | Comment(0) | TrackBack(1) | 時事ニュース

10月に入り、何か大きな潮流が変わるような予感が…

 10月に入りました。衣替えをするように「郵政が民営・分社化」されたり、民放局の番組編成が変わったり…。新聞界では「MSN産経」「毎日jp」がそれぞれ配信開始、「ANY」なるプロジェクトの会見など忙しなくなりそうです。
 けさの東京駅構内の売店でこんな短冊を見つけました「ジャパンタイムス10月から値上げ180円に」。
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 ジャパンタイムズ(英字新聞)もこれまでの自社印刷から毎日新聞グループの東日印刷へ業務委託を行い、経営改革に取り組んでいます。頑張れジャパタイ!でも毎日系の印刷、発送なのに朝日で配るってどうなのかなぁ。

 
チョット拾い読み!
過疎の郵便局続々閉鎖、受託の農協が撤退民営化で競合 
 あすから郵政民営化がスタート。簡易郵便局として業務受託をしている農協が「本業に専念する」として撤退する例が多く、全国的に簡易局の閉鎖が相次いでいるようです。簡易局の年間委託費は240万円(今年1月から80万増額)。郵政公社は「新たな受け皿探しを急ぐ」としていますが、新聞販売店への委託というのはどうでしょうか。やれるところは限られていますが…。
 

労働時間改ざん「ヤマト運輸元社員ら証言」
 
 読売新聞の取材で関東圏にある集配センターの社員が「センター長らが毎月、主管支店に来て、パソコンで部下の出勤・退勤時間を改ざんしていた」と証言。これまでサービス残業をさせていた大阪市の集配センター2カ所、大阪府豊中市と徳島市のセンターに次いで、今後も組織ぐるみの勤務データ改ざんによる残業代未払いの実態が明らかにされるでしょう。ヤマト運輸の集配センターは全国に6087個所。従業員数は13万人。会社側は「これまでの(社内)調査では、事実は認められないが、さらに調査を継続する」とのこと。
価格競争の裏側でコストカットの対象になるのは末端で働く労働者です。企業コンプライアンスなどと偉そうに「社会に貢献します」なんて語る企業ほど、サービス残業を強要し非正規雇用の従業員を拡大させて人件費を削ることでしか利益を確保できない状況に陥っているのでしょう。

ミャンマー:長井さん銃撃 言論弾圧「苛烈」、新聞労連が声明 
 9月29日に新聞労連が出した声明を毎日新聞が大きく取り上げていました。民主化を求める国民の声を銃と暴力で押しつぶし、真実を世界に伝えようとするジャーナリストを虐殺する軍事政権に対して、怒りをこめて強く抗議したいと思います。

 9月30日付の河北新報第2社会面にもMIC(日本マスコミ文化情報労組会議)の決議採択が紹介されていました。

posted by 今だけ委員長 at 00:24 | Comment(0) | TrackBack(1) | 時事ニュース

2007年09月27日

全国紙の販売店統合「朝・読」は8年前から構想していた

 本日発売の週刊文春104日号)に「スクープ 読売・朝日・日経『3強』が販売店統合で動いた!」という記事が掲載されました。
 一昨日あたりから、今だけ委員長のところにも「(この件に関して)何か情報はありませんか?」という地方紙販売局員や販売店関係者から問い合わせが数件ありました。

 週刊文春の記事内容はともかく、ひと月前からこのような話が販売関係者の間では飛びかっていたのは事実。しかし、実現させるとしても相当な時間と労力がかかるだろうと見られていましたが、今回は朝日、読売ともやる気のようです。私のところにも「大阪市西成区(朝・読ともに販売会社が扱うエリア)で合配がスタートするらしい」、「北海道やら全国あちこちで動きがあるようだ」という情報も寄せられています。

 週刊文春の記事中に「今年春から3社の首脳陣の間で練られていた」とありますが、歴史をひも解くと8年前からその布石があったと感じています。マスコミ界の専門紙「文化通信」(20031013日付)に当時の読売新聞東京本社社長だった内山斉氏へのインタビュー記事にこんな一節がありました。(以下から引用)
(内山氏)――今から四年ほど前になりますか、北海道で。当時、朝日は高橋(湛)さんが販売局長、岩田(吉夫)さんが販売担当でしたね。当社は板垣(保雄)販売局長。それからいま西部本社社長の池田孜北海道支社長。そこで私が、たまたま販売担当だったものですから、まず北海道でお互い全く採算がとれないところで販売店の相互乗り入れをしませんかという話をして、やりましょうということになった。
 函館の五稜郭の近くの読売の店を一つ潰して、約300部を朝日に預けた。これは非常に良い結果を生んでいます。朝日のお店の読者管理が非常によくて、部数も減らないし、ある意味で敬服するくらいのしっかりした経営、読者管理をしていただいている。そこで今度は読売に朝日のどこかを預けてくれと、交換条件だからね。それが、朝日は支社長も販売部長も変わったりして、それこそ文書で交わしたわけでもないから、なかなか進まない。編集局長から常務販売担当になられた秋山耿太郎さんにその話をしたわけです。朝日は一体どうなっているのか、読売だけが約束を守って、その先、進まないじゃないかと。
 何も一度に10カ所も20カ所と言っているのではなく、まず双方1つか2つぐらいずつ実験的にやってみて、うまくいけば、それを徐々に全国的に広げたら正常化にもつながるし、各社の経営の安定にもつながるんじゃないかと。その時「わかりました」と秋山さんはおっしゃって、北海道で1カ所、朝日の紙を読売に預けていただけるという話がまとまりました。
                    (引用終わり)
 (週刊文春記事中にある)「内山、秋山両社長は是が非でも実現させるつもりです」と業界関係者が寄せたコメントもこのような経過を踏まえればうなずけます。

 「連合体は何も地方紙だけではない」と言わんばかりに(まだ未発表ですが)インターネットの共同プロジェクト「ANY」(朝日=A、日経=N、読売=Y)や地上戦での販売店統合もやろうということなのでしょう。ですが、販売店の統合とは「廃合」も当然伴うわけです。販売店労働者の切り捨てが今後大きな問題になることが予想されます。1015日から開催される新聞大会の前後には正式発表があるようなので、注視したいと思います。

 個人的には近い将来に起こりえるだろうと思っていたので、あまり右往左往せずに読者とのパイプをより太くしていく仕事を続けていくしかないと思っています。これで少しは販売改革に本気で取り組む新聞経営者が増えればと願っているのですが…
posted by 今だけ委員長 at 23:15 | Comment(0) | TrackBack(1) | 時事ニュース

2007年08月28日

相次ぐ凶悪事件「人を育てようとしない」のが問題だ!

 この数日、新聞販売店の従業員による惨忍な事件が起こっています。

朝日新聞拡張員:男3人を死体遺棄容疑で逮捕 名古屋の女性拉致殺害事件8/26
毎日新聞配達員:自首の新聞配達員逮捕 茨城の暴行死 相席頼み方気に入らず8/27

 このような不届き者の犯罪によって、新聞販売店のイメージがより悪い方向へ流れていくことはとても残念です。販売店従業員の労務管理の問題は2つあります。ひとつは販売店主のモラルの問題。労務管理などの知識というか教育を受けていない販売店主が安価な労働力にばかり頼ってしまうこと。新聞奨学生が採用条件と違った労働を強いられるのはこのような店主の問題があります。もうひとつは販売店と発行本社の取引関係に起因するのですが、押し紙などの存在で経営が不安定かつ脆弱であること。ゆえに優秀な人材を確保できない状況にあるということです。
 購読料値上げのときは「配達従業員の労働条件をあげるためにご理解を!」と社告に書き連ねるのですが、根本的な労務問題は「それは販売店の問題」として手付かずのままなのです。
 200411月に起こった奈良県幼女誘拐殺人事件で毎日新聞配達員が逮捕された際、新聞社販売局が採用基準やネームプレートの着用など労務管理の徹底に乗り出したはずなのですが、実際には浸透していないようですね。

 新聞販売店は労働条件が劣悪であるから「このような人たち」しか就労しない―という指摘もあるようですが、総じてそんなことはありません。真面目にやっていらっしゃる方がほとんどですから。

 以前、「人材確保が難しい販売店の雇用事情」という記事をアップした際にある販売店を経営されている方からこんなコメントが寄せられました。 
「新聞屋さんはたいへんだね、休みなしで・・・」という声に甘えて、それが当然のように捉え従業員は休みなしで経営者はもっぱら社長業に専念して高級外車にゴルフ三昧。労務改善はそっちのけのこんな経営者を多く見てきました。これは今でも多くいます。そんな利益があるなら従業員を一人でも増やして労務改善したら・・・といいたくなります。

「人を育てられない」環境があるのでなく
「人を育てようとしない」のが真実だと思います。

労務改善するには不当な販売行為を止めて健全な経営が出来る事が条件であり、まずは労務条件を整備して、部数競争はその次だとも思います。これは企業としての最低の責務ではないでしょうか。

 
 部数競争による過剰な経費が、全国に43万人いる販売店従業員への諸条件を向上させられない重石になっているのです。新聞社の方には単なる事件として報道するのではなく、なぜこのような問題が起きてしまうのかを考えていただきたいと思います。
posted by 今だけ委員長 at 07:39 | Comment(7) | TrackBack(0) | 時事ニュース

2007年08月09日

世界的イベントは「聖域」?

 TBS系列でもかなり宣伝をしている世界陸上大阪大会(正式にはIAAF世界陸上2007大阪:825日〜92日開催)のチケット販売が大分苦戦しているようです。
 産経新聞が「大阪市が各行政区ごとに販売枚数の一覧表を作成(いわゆるノルマを課している)」と報じています。大阪市では「ノルマはない」とコメントしていますが、陸上人気はともあれ莫大な経費捻出に回収が追い付かない状況になることは必至でしょう。

 このような事業は儲けを考えちゃいけないのでしょうが、昨年8月に行われたFIBA世界バスケットのことを思い出します。「世界バスケで赤字13億 協会幹部を刑事告訴へ」…
 世界的なスポーツイベントですからスポーツ協会の方々が気合いを入れて取り組むのは分かるんですけど、開催地(国)の人たちの関心度などリサーチをした上でイベント事業(72億円の予算ですから)として成り立つのかどうか?考えなくちゃいけませんね。今回もいろいろな所からの助成金で肥えた財団法人IAAF世界陸上2007大阪大会組織委員会(文部科学省管轄)の集客の目算は厳しくなるかもしれません。

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 そういえば先日大阪に行った際、道頓堀周辺に世界陸上のスポンサーの「ノボリ旗」が掲げられていました。さすがは読売新聞、お付き合いも大変でしょうね。
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2007年07月22日

二度と戦争のためにペンを取らない 新聞労連が「しんけん平和新聞第3号」を発刊

 全国の新聞労働者27千人で組織する日本新聞労働組合連合(新聞労連)が、このほど「しんけん平和新聞第3号」を発刊しました。

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 「しんけん」とは、新聞労連と全国の加盟組合が進めている新聞研究活動のこと。新聞が戦争に加担した苦い教訓から「二度と戦争のためにペン、カメラを取らない。輪転機を回さない」を基本姿勢とし、紙面の検証や取材・報道の在り方を考え、このような歴史検証をする新聞を製作に取り組んでいます。
 発行3年目を迎えた今号はタブロイド判8頁で、太平洋戦争開戦日の1941128日前後のニュースを現代のメディアとデータで再構成した紙面になっています。

 「しんけん平和新聞」は。1100円で一般の方にも販売しています。問い合わせは新聞労連まで。

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2007年07月02日

読売情報開発が景品表示法違反で排除命令

 29日、公取委は「イオン桶」と称する洗面器や洗いおけの広告内容が、景品表示法違反だとして、製造元3社と通信販売をしていた10社に対して排除命令を出しました。

 30日の紙面には扱いの差はあれ、ほとんど(社会面)の新聞が取り上げました。そのうち排除命令が出された読売新聞グループの読売情報開発の話を読売新聞が掲載しています。「おけ本体に抗菌作用があることは公取委も認めており、購入者からの苦情もありません。調査を受けた後の昨年7月には、慎重を期して販売は中止しています」と。
 他紙には排除命令が出された10社については「高島屋(大阪)やベルーナ(埼玉)など」(朝日と日経)の記述のみで、読売情報開発という記載がないのにあえて掲載しています。

 読売情報開発は、読売新聞販売店へセールススタッフを斡旋する業務を行なっている会社というイメージしかもっていなかったのですが、通信販売事業も行なっていたんですね
 新聞社や販売店が読者に配る小冊子やパンフレット(読売では「クックブック」)の広告にも注意しなければならない時代になってきたということです。

 
読売情報開発は、読売新聞東京本社100%出資で1972年に設立された会社。読売新聞グループ関連会社約180社の中でも5番目に規模が大きい会社として、読売新聞社の販売政策に沿った販売促進活動やYC向け各種保険、宣伝PR物品、資材・OA機器の研究開発と斡旋。さらに通信販売から各種イベントの企画・開催と多角的な業務を展開しており、従来の新聞販売から脱却した新しい販売手法の開発・実践で読売新聞販売店からも大きな信頼を得ています。(同社HPより)
 
posted by 今だけ委員長 at 14:51 | Comment(0) | TrackBack(0) | 時事ニュース

2007年06月30日

紙面で書かれない「新聞の消費者トラブル」に市民ネットが立ち上がった! 

 Googleアラート「新聞」から、こんなニュースが入ってきました。新聞購読契約の苦情に対応、新聞契約110番を開設へJANJAN)。
 大阪在住の行政書士・司法書士事務所代表の伊東弘嗣さんたちが消費者行政のあり方について、調査、研究、提言活動をしている「消費者行政市民ネット」(代表:国府泰道弁護士)が、新聞の勧誘・契約の苦情や相談に応じる「新聞契約トラブル110番」を7月7日に開催することが紹介されています。
 伊東さんのブログ(大阪淀川十三のいとう行政書士・司法書士事務所)で「新聞契約トラブル110番」開設の背景と被害状況によっては一斉提訴も考えているとのこと。
(引用)
 新聞販売に関しては、70歳のお年寄りに10年先までの新聞購読の契約をさせるといったひどい事例が実際にあります。
ただ、被害額がそれほど多くないため、単独で被害を訴えるのがなかなか容易ではありません。
 
そのため、今回、被害事例を集め、状況次第では一斉提訴を考えています。
 
今回は対象が「新聞」ということもあり、報道各社がどの程度関心を示すか未知数ですが、多数の被害が予想されるので、是非関心を持ってもらいたいです。(引用終わり)
  5〜6年前だったでしょうか。新聞販売店の店主が新聞社を相手取り、不当な取引行為(改廃・押し紙)への賠償などを求めた訴訟で、ことごとく原告(販売店側)敗訴が下されていることから、関西方面の弁護士らが「押し紙問題勉強会」を立ち上げ新聞業界のカラクリを学習して裁判対策を講じようという動きがありました。

 新聞紙面では悪質業者の契約詐欺行為を報じていますが、自らの業界事情については「知らぬふり」です。国民消費者センターの調べでも2006年度の新聞業の訪問販売行為に対する相談件数は5,976件(前年比▲224件)で毎年徐々に減少していますが、新聞社や販売店に寄せられる苦情からすれば、この件数は氷山の一角でしかありません。

 これだけ企業コンプライアンスが騒がれている昨今、自らの足元で起きている販売行為への苦情の撲滅に取り組むべきです。苦情件数の多少が問題ではなく1件でも苦情があることが問題なのであって、個別の新聞社(販売店)だけの問題としてではなく、新聞産業の問題として取り組まれなければいけない。そして、そのような販売行為を撲滅させるためにも新聞社と販売店との取引関係を正していかなければならないのです。 
【告知】
   『新聞契約トラブル110番実施概要』
   日時:7月7日(土)午前10時〜午後4時まで
   相談電話番号 06−6366−5061
   相談受付は無料。
 
posted by 今だけ委員長 at 23:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | 時事ニュース

2007年06月25日

業界紙が掘り起こす「最近の新聞業界情報」

 業界紙を眺めていると日刊紙やネットだけでは見落としや収集しきれない情報が結構あるなぁと感じさせられます。

再販協議会
 今日付けの文化通信には公取委が6月21日に開いた、第7回「著作物再販協議会」(座長=法政大社会学部・石坂悦男教授)での内容が掲載されています。新聞業界が出版、音楽用CD・レコード業界よりも弾力運営の取り組み(価格設定の多様化・消費者に対する販促手段の確保)が鈍いと、(業界委員以外の)各委員からは昨年同様に厳しい意見が述べられたようです。

活字文化推進プロジェクトチーム
 一般紙でも取り上げられていましたが、昨年の新聞特殊指定の時に旋風を巻き起こし?た超党派で組織する活字文化議員連盟(会長=自民党・中川秀直幹事長)が6月18日に第1回「活字文化推進プロジェクトチーム」(座長=自民党・鈴木恒夫議員)を開催。今後、新聞、出版業界の消費税対策、再販制度についても議論をしていくとのこと。

新聞特殊指定見直し「現段階では白紙」衆院経産委で竹島公取委員長
 6月15日の衆議院産業経済委員会で、民主党の近藤洋介議員が新聞特殊指定の問題について質問、公取委の竹島委員長は「特殊指定は法律ではなく公取委の専権事項であるが、国会でも特殊指定を撤廃すべきではないという状態は変わっていないと思うので、現段階では白紙である」と語りました。また、近藤議員は「(独禁法上で)新聞だけが特別扱いされるということは、結果として新聞の信頼性を維持する意味でマイナスだ」と述べました。
衆議院TVで確認を!
近藤洋介(民主党・無所属クラブ)をクリック。※再生後15分20秒から24分20秒まで。
posted by 今だけ委員長 at 20:20 | Comment(0) | TrackBack(1) | 時事ニュース

2007年06月21日

ジャーナリズム教育を受けた学生を敬遠するマスコミ?

 郵送購読をしている河北新報の「くらし」のページに「ジャーナリズム教育強化」の見出しが。先日、立教大で開かれた市民公開講座では新聞学科に学ぶ多くの学生さんと交流できたので、おそらく共同通信の配信だと思いますが紹介します。 
 早稲田大学が「プロフェッショナルなジャーナリストの養成」を目指して、ジャーナリズム教育研究所(所長:花田達朗教授)を開設。花田教授によるとジャーナリズムに関する授業は各大学で行なわれてきたが、「従来の科目は一般教養で、プロ教育とはいえない」。一方、新聞社や放送局は、ジャーナリズムの問題点などを勉強した学生を敬遠、むしろ「白紙」の若者を採用しがちで、「公権力の監視」というジャーナリズム本来の機能の不全につながっている、という。
 欧米では、ジャーナリスト志望者は弁護士や医者と同様に、大学などにある専門養成機関で学ぶ。「インターネットが発達し、万人が情報を発信できるようになっても、世の中で何が起きているかをリポートする専門家は必要だ」と花田教授。
 研究所では当面、現役ジャーナリストと研究者が共同で講義や演習を行なうとともに、学生をインターンとしてメディア企業に派遣する。また、若手記者向けのセミナーなども企画する。
 花田教授は「ジャーナリズムはひとつのイズム(主義)、イズムは人に宿る」と指摘。組織に属していても、フリーでも、強い個人をはぐくむことが不可欠だと訴えている。
 

 新聞社の職場では今でも軍隊用語(若手記者=兵隊)が使われ、「仕事は盗むものだ」とOJTなど馴染まない?古い体質であると聞きます。休みもなく長時間働く若手の記者は勉強する余裕もないのだろうなぁ…。これから入社してくる新入社員はこれまで以上にジャーナリズム論を掲げて希望を持って入ってくるのでしょうから、旧態依然の社内体質では人財は育てられないのではないかなぁとチョット不安。


 ジャーナリズム教育を受けてこられる学生さんにひと言!「人と話すことが好き」という人は新聞記者の仕事に向いていると思います。今まで多くの方と出会っての感想ですが。
 
posted by 今だけ委員長 at 19:52 | Comment(0) | TrackBack(1) | 時事ニュース

2007年06月20日

新聞協会に北村正任会長を再任

 新聞社の経営者団体、日本新聞協会の会長人事が本日決まったとのこと。きょうは別な用事があって千代田区内幸町のプレスセンタービルにいったのですが、定例会員総会なんてやっていたんですね。1階ロビーには「ABC協会常任理事会パーティー」とかの案内しか出ていなかったような気がしたのですが・・・。

 予想通り毎日新聞社社長の北村正任現会長が再任されました。任期は2009年6月までの2年間だそうです。

 長野総局の記者による「虚偽のメモ」問題によって辞任した前朝日新聞社社長の箱島信一氏の後を受けて、20051214日から就任した北村氏。新聞の特殊指定問題や新聞広告の低迷などで協会の舵取りはタイトだったのでしょうが、新聞協会の「顔」というか「動き」が全く見えてきません。地方紙は共同通信が音頭をとって連合化し、全国紙との距離感が出てきているのかもしれませんが、新聞協会の役割は加盟各社の調整役ではないはず。もっと具体的な施策を打ち出してもらいたいものです。

 北村氏は再任の記者会見で「新聞の一番の長所は、信頼される情報を伝えること。信頼を失うような新聞の作り方、売り方をなくしていく」と述べたそうですが、「販売店と発行本社との取引関係」を含めた販売正常化の問題こそ新聞協会の力を発揮すべきだと思うのですが・・・。

 
あまり期待し過ぎず今後2年間の北村体制の活動を見ていこうと思います。

posted by 今だけ委員長 at 22:35 | Comment(0) | TrackBack(0) | 時事ニュース

2007年06月07日

留任決定の竹島公取委員長が新聞再販の維持に理解?

 6月4日、政府が国会同意人事に関する与党プロジェクトチーム(座長・坂本剛二自民党国対副委員長)に対して、公正取引委員会の竹島一彦委員長(64)を留任させる人事案を提示。与党も賛成する方向で手続きを済ませ、政府は来週にも衆参両院に竹島氏に関する人事案を提出し承認を得ることになります。任期は2007年9月から5年。

 竹島氏の留任(2002年7月に就任)について、与党には「長すぎる」との慎重論もあったとのこと。

 この日の会合には竹島氏も出席し、同プロジェクトチームメンバーと意見交換したそうですが、6日付の「新聞情報」によると竹島氏は「新聞の再販制度を維持する方向で考えている」と出席議員の質問に答え、同制度の存続に理解を示したと報じられています。

 この発言はとても重要。今後の竹島委員長の動向を注視していきたいと思います。

【追記】
 全国紙では日本経済新聞が公取委員長 「新聞再販」維持に理解という見出しで掲載しています。(以下引用)

 竹島一彦公正取引委員長は4日の与党の国会同意人事プロジェクトチーム(PT)に出席し「新聞の再販制度を維持する方向で考えている」と述べ、同制度の存続に理解を示した。出席議員の質問に答えた。竹島氏は9月に任期が切れるが、政府・与党は留任させる方向で最終調整している。
 竹島氏は2002年7月に就任。05年に新聞の再販制度に関して「廃止も含めて検討」
と提案していたが、06年には再販の存続を容認する方針に転換した。ただ、同一価格での新聞販売を定め宅配制度を支える「特殊指定」については、06年3月の参院予算委員会で「宅配制度は消費者ニーズがあるから成立しており、見直しても崩壊しない」と発言するなど、見直しを検討した経緯がある。 (日本経済新聞6月5日付朝刊5面)

posted by 今だけ委員長 at 23:43 | Comment(0) | TrackBack(0) | 時事ニュース

2007年05月23日

用紙代の値上げで新聞経営はより逼迫する

 けさの日本経済新聞1面によると「製紙最大手の王子製紙が、パルプなど原材料が高騰していることから印刷用紙を7月1日出荷分から10%以上値上げする方針を明らかに・・・」という記事が掲載されていました。日本製紙グループなども追随するようで、日々莫大な量の用紙を使う新聞社はかなりの打撃を受けることが予想されます。

 先日、都内で開かれた新聞労連主催の産業政策全国集会で講演された日本広告学会理事の森内豊四氏が「新聞用紙は早ければ年内にも高騰し、収支尻の合わない広告企画などやれなくなる」という問題提起をされましたが、ズバリ予測された森内氏の考察に正直ビックリしました。


 すでに11年もの間、値上げが出来ないでいる新聞業界。年々下がり続ける販売(部数)収入と低迷を続ける広告収入で新聞経営はより厳しい状況に追い込まれています。しかし、新聞経営者は(印刷部門などの別会社化)人件費を抑制することでしか問題への対策を講じていません。用紙代の値上げは無駄な「押し紙」を刷れば刷るほど経費が膨らむという事態をもたらすのです。単純計算で用紙代が1割値上がりすれば、その分の原資をどこから持ってくるかがこれまでの発想でした。でも今は公称部数(印刷部数)を1割下げたところで、読者に配る新聞が不足するという事態は起こらないし、販売店にはそれ以上の残紙が平気で積まれているわけです。


 「部数至上主義」の右肩上がり経営マニュアルを見直そうとしない新聞経営では、これから乗り越えていかなければならない消費税問題や再燃(公取委の竹島委員長も再任されたことですし)するであろう再販・特殊指定問題に対処することは難しいと思います。「押し紙」の問題を含めた販売問題の抜本的改革に着手せざるを得ない状況へと進んでいることは間違いありません。
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2007年03月08日

「オマケ」緩和は国内競争力を疲弊させるだけ

 3月7日、公正取引委員会は「一般消費者に対する景品類の提供に関する事項の制限」の限度額引き上げを官報に告示、同日から施行しました。「総付景品」の改正については、2月28日に開かれた記者会見で公取委から発表され、本日から施行となったわけですが、今朝の全国紙には一切掲載されていません。3月1日(発表翌日)の朝刊に朝日、毎日、日経が取り上げただけで各紙のwebサイトでも毎日(MSN)のみアップされていました。

 この問題は、自身も公聴会に出向き昨年末にアップしていますが、「オマケ」の上限を2倍(取引価格の『10分の1』を『10分の2』へ)にすることは、脆弱な小売業者の経営を追い詰めることにつながり、より格差を拡げることに他ならないのです。公取委は「時代に即した総付景品規則の在り方について検討した」と述べ、@コスト削減により価格競争力を追及するA商品の品質・性能向上をPRするB当該商品値引きで販売するC景品付きで販売する−その他、販売促進活動を行なうのかは各事業者の自由な決定にゆだねるべきとしています。いまの社会状況を全く理解せずに「規制を外して競争させる」ことこそが国民全体の利益になると錯覚しているのではないかと疑わざるを得ません。

 海外で事業を展開する業績好調企業が偽装請負という法律違反の雇用形態で訴えられるなど、過剰な競争で派生するコスト削減は労働者の生活水準を貶めることに他なりません。規制緩和や撤廃によって企業間格差を増長させ、まさしく「負のスパイラル」から抜け出せない状況を役人が推し進めているのです。
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posted by 今だけ委員長 at 21:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | 時事ニュース

2007年02月28日

販売店を狙った人材派遣詐欺

 朝日新聞によると新聞販売店に対して「即戦力になる人材を派遣する」などと実在しない派遣会社を装い紹介料などとして金銭をだまし取っていたという事件が発覚。東京都内を中心に関東各地の主に全国紙の販売店で約100件、総額2500万円の被害があるという。  

 私が勤めている販売会社にも代配(配達)請負会社やセールス請負会社(拡張団)と称する所在がイマイチ不明なところから、勝手に「ご案内」のファックスが流れてくることがあった。新聞販売は地域の読者からいかに信頼を得られるかが基本だと思っているので、請負業者に配達やセールスを依頼することに抵抗感がある。決められたテリトリーの中で効率的(必要なときだけ)な請負業者に業務を頼めば、気配りのない配達や荒っぽい拡張行為…おのずとその結果はわかるはずだ。  

 販売店はもっと人材育成に力を注がなければならない。「少々濡れ汚れても届けさえすればよい」「オマケをつければ契約が取れる」という発想では読者から見放されていくだけだ。  
 実際に労基法すら守られていない販売店も少なくない。従業員を長期雇用するための人件費の捻出が困難だとの経営実態もあるが、安い賃金で「使い捨て」のごとく従業員を短期循環させることの方が問題だ。今回のような事件もそのような販売店事情に付け込んできたのだろう。これは一販売店だけの問題ではなく、新聞社の販売政策にも関わる問題だと思う。  
posted by 今だけ委員長 at 06:31 | Comment(2) | TrackBack(0) | 時事ニュース

2006年11月04日

格差社会を考える

 先日、豊島区東池袋にある豊島公会堂で開かれた「格差社会を考える11.1のつどい」に参加してきました。来場者は約500人。

 「格差社会」が流行語となっている昨今、労働界では1986年に制定された労働者派遣法の運用や法律自体の是非が問われはじめ、朝日新聞の偽装請負の実態を追った紙面キャンペーンなども後押して大きな社会的な問題になっています。現在、三人に一人が非正規雇用(契約社員や派遣社員、アルバイト、パートなど)として、正社員との具体的な線引きもなく同じような労働に従事しています。大きな労働条件の格差を招いているばかりでなく、労働契約上の使用者責任もあいまいで企業の都合の良いように扱われている非正規雇用の問題点について考える討論会でした。  
   
 はじめに今回の「つどい」実行委員長の伊藤潤一氏(東京地評)が挨拶しました。伊藤氏は「いまホワイトカラーエグゼンプション
(アメリカの労働時間制度において、一定の要件(職種・職務や賃金水準)を満たすホワイトカラー労働者を労働時間規制の適用除外とする制度。日本でも導入が検討されている)のような労働契約法の改悪が進められている。現在、裁判中の2つの事件で最高裁が問われているのは労働基準法の第一条であり、通常雇用者と非正規雇用者は同じ労働者だということだ。憲法の理念を守り、経営者の利益を守るのではなく労働者(生活者)のための判決が出されるよう願う。働くルールの確立を目指し、最高裁へのアピールとなるつどいにしたい」と語りました。  
   

現在、最高裁で争っている「一橋出版=マイスタッフ事件」と「伊予銀行事件」の派遣労働の問題をテーマにしたパネルディスカッションでは、@雇用の二極化と格差社会A伊予銀行・一橋出版事件の特徴と両高裁判決の問題点Bいま最高裁は何を問われているのか−について討論されました。

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posted by 今だけ委員長 at 13:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | 時事ニュース

2006年10月04日

産経新聞は業界の切り込み隊長?

 産経新聞社が11月1日から「Sankei Express」(サンケイ エクスプレス)を創刊。
20代から30代の無購読者をターゲットにしたこの新媒体は、東京、神奈川、千葉、埼玉となぜか京都市内を発行エリアとし、タブロイド版32頁、購読料は月極め1,680円で、駅やコンビに売りはせず宅配のみの発行だということです。産経新聞社の住田良能社長は「新聞業界がおかれている閉鎖的な状況を打開しようという産経新聞社なりのひとつの挑戦」とし、「新聞を購読しない若者などに、新しい新聞の魅力を提示して、印刷媒体を毎日手にする楽しみを味わってもらえるようにする」と語ったそうです。

 フジサンケイグループのバックアップがあるとは言え、最近の産経新聞社は「フットワークが軽いなぁ」という印象を受けます。そのキーワードは「挑戦」といったところでしょうか。首都圏の夕刊廃止や新聞休刊日減らし、駅売りのワンコイン価格政策、新聞休刊日の縮小策、フジサンケイビジネス・アイの創刊や記者ブログで話題を呼んだiza(イザ)運営など、常に「仕掛け」を撃ってくるのが産経新聞なのです。また、新聞情報(業界紙)によると「産経新聞本紙とのセット販売は行わない」とのこと。数ヶ月前には産経新聞とサンケイスポーツのセット販売(特別価格を設定して)も噂され、「特殊指定崩しを公然と行う気か?」と冷や汗をかいた地方紙経営者もいるほど…。
産経新聞の動きは今後も波紋を呼びそうです。

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2006年09月12日

郵政民営化の余波 地方の切捨てから始まってきた

 物流業界の動きを逃さずアップしているのですが、ヤマトと郵政公社の争いというネタしか登場しないのも「なんだかなぁ」と思いつつ、業界の王者を倒すにはキメ細かいサービスよりも資本力なのだとするご時勢を再認識しました。


 ひとつ目は、ヤマト運輸が郵政公社を独禁法違反で調査するよう公正取引委員会に申告というもの。郵政が展開する「ゆうパック」とヤマトが展開する「宅急便」の争いは事欠かないのですが、今回は低価格で提供している「ゆうパック」が「宅急便」の顧客が奪われているというもの。その理由に安価に提供できるのは「手紙やハガキなど郵政が事実上独占している信書便事業との共通費用を節約しているためにでき得る安価な設定は違法」だとの訴えのようです。
 

 もうひとつは、郵政公社の集配業務が全国149箇所で廃止というニュース。来年10月の民営化に向けて、郵便事業の効率化(集配局再編の第1弾)がはじまりました。 来年3月までに計1048局を無集配局にする計画ですが無集配局となった後も、郵便物の引き受けや郵便貯金、簡易保険などの窓口業務は続けられるとのこと。
 

 郵政民営化の大合唱は「効率=採算」の構図を生み、全国どこにいても共通のサービスが受けられることは不可能になってしまいました。小泉政権を選んだ国民へのツケは、地方の切捨てという形で始まっているのです。  

posted by 今だけ委員長 at 01:27 | Comment(2) | TrackBack(2) | 時事ニュース

2006年09月10日

紙とネットは別モノ でも新聞販売には役立っていない…

 全国の共同通信社加盟のブロック紙、地方紙51社が、それぞれの地域情報や国内外のニュースを展開するポータルサイトを立ち上げることが決まりました。 
 仕掛けは共同通信社なのでしょうが、「全国新聞ネット」と称するウェブサイト運営会社を9月に設立するとのことです。 
 それぞれの地方紙が大同団結をし、広告収入を引き上げたい戦略のようです。全国紙対地方紙という構図ではなく、ヤフーやグーグル対新聞連合サイトといったところでしょうか。 
 
 どこまでシナジー効果が期待されるか分かりませんが、実際に取材をする新聞社がこのポータルサイトを立ちあげるのであれば、いっそのことヤフーやグーグルなどへの記事配信を止めたらいいのに…とも考えるのですが。そうすると海外のメディアが日本に取材網を創り出すかもしれませんね。 
 
 新聞社がネットコンテンツを拡大させる時には「新聞読者サービスの充実」を謳っていますが、新聞を購読しているから閲覧、アクセスできる顧客管理が構築され「会員化」が進んでいる新聞社はまだまだ少ない。新聞購読者への付加価値にはなっていないように感じます。そうすると宅配する新聞と新聞社のネット展開は、全く別モノとして考えなければなりません。 
 
 
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2006年08月14日

従業員が放火 人材確保が難しい新聞販売店の雇用事情

 とても不幸な事件です。大阪府大東市にある毎日新聞の販売店が放火により全焼。なんと火を放ったのがその販売店に勤めるアルバイト従業員だったのですから。 
 自ら働く職場に火を放つなんて言語道断。火を放った22歳のアルバイト従業員は、「店が燃えたら仕事をしなくていいだろうと思った」と供述しているそうですが、被害にあった販売店主サンはこのアルバイト従業員の勤務態度について「悪かったのだが…」と述べているとのこと。そもそも雇用する段階で吟味できないのかと一般の方は言われるかもしれませんが、悪くとも雇用せざるを得ない状況に追い込まれている販売店も少なくありません。配達業務は、まず人員確保をしないと配りきれないのですから。 
 
 
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2006年08月03日

物流コスト削減で「質」は問われなくなって行く

日本経済新聞によると郵政公社が2007年度の郵便配達コストを今年度より15%削減する計画を発表しました。  
現在の郵政公社の郵便配達業務に従事する労働者は約67000人。現行の業務は手紙や書留を通常営業時間内に届ける部門、速達や時間指定のある小包等を配る部門に分かれて作業を進めており、その他外部業者に小包の配達を委託しています。来年度からは「顧客に会わずに郵便受けに投げ込む郵便物」の業務を6割アルバイト化し、「顧客に直接手渡す郵便物」も外部への配達委託をやめて職員が当たるなど作業内容の質に応じて2つの区分に再編。人件費の削減を図るとしています。  

 「手渡しの必要がない郵便物を届ける作業はアルバイト」物流業界においてコスト削減の勢いは止まることなく進んでいます。ガソリン代の値上げがあっても価格は据え置かれ、末端で働く労働者への人件費抑制がまかり通ってしまっている昨今、それが資本主義経済であって、自由経済なのではないでしょうか?格差社会が当たり前というアメリカンナイズされたエリートの皆さんには理解できないのかもしれませんが…。


新聞の配達もいまでこそ主婦層のウエイトが大きくなっていますが、労働条件も整わない戦後の時代から安価な労働力に頼らざるを得ない時代が続きました。「新聞少年」に代表されるような小・中学生や新聞奨学生など若年層の安い労働力に頼ってきたわけです。しかし、1990年頃から配達従業員不足に業界全体が陥り、外国人留学生の雇用などできるだけ経費を押さえ込む政策を講じてきましたが、やはり賃金面や休日面など労働条件の整備無しには労働力を確保することが出来ず、各新聞社、新聞販売店が配達コストを引き上げてきた経緯があるのです。

それを考えると「上流階級以外の生活者がさらにコスト削減競争を強いられる世の中」に逆戻りしているのだと思います。「質」など問わない大量生産・大量消費型の経済が果たして日本に合うのでしょうか?


posted by 今だけ委員長 at 11:45 | Comment(0) | TrackBack(2) | 時事ニュース

2006年07月26日

守秘義務って? モラルの問題だけでしょうか

">日経新聞東京本社広告局の社員(31歳)が、新聞紙面に掲載される法定公告の情報を入手、証券取引法違反(">インサイダー取引)容疑で東京地検特捜部に逮捕されました。今日の新聞各紙1面で大きく取り上げられ、見出しは「日経社員インサイダー取引で3000万円ボロもうけ」と大々的に報道されています。報道機関社員によるインサイダー取引摘発は初めてで、個人による同取引額は過去3番目ということです。

 

 先週、「昭和天皇の側近者のメモ」報道で脚光を浴びた日本経済新聞だったのですが…。企業との繋がりが深い日本経済新聞には、このネット社会でも株価の動きや企業の決算報告などがくまなく掲載(企業も日経に掲載さすることをステイタスだと思っている)されており、一部の社員の悪行によって大きく信頼を損ねました。でも今回の報道については、「社説でのお詫び」や「社内調査の概要」、「法定告知掲載までの流れ」、「本社社長声明」、「記者会見のQ&Å」など述べ4面にわたって掲載しています。これまで「自社の過ち」に関する紙面の扱いは小さく、他紙に叩かれ放題の構図でしたが今回はちょっと違うなぁ… 今年2月24日に証券取引等監視委員会の調査を受けて準備をしてきたのでしょう。


 読売新聞の社説にも「多くの情報が集まる報道機関には、厳しい情報管理や法令順守の姿勢が求められる。報道機関の関係者は、読者や視聴者の信頼を損なわないように、身を律しなければならない」と書かれていましたが、当然のことですし「販売問題」についても“知らぬ顔を”せずに正常販売に真剣に取り組むべきです。 

 「守秘義務」は事件や事故など個人に関わる問題だけに適応するものではなく、企業の情報も含めてその扱いを委ねられている新聞社の倫理感は求められて当然ですが、国際的な問題や国家財政の問題点については「守秘義務?」のごとく、政府の動きに先駆けて問題点を指摘するスクープも少なくなっているように感じます。

">記者クラブ問題に起因するのでしょうが、自ら取材をする手法から発表ものを得る権利を有して情報を整理するだけの報道機関にだけはなって欲しくないものです。

posted by 今だけ委員長 at 13:36 | Comment(2) | TrackBack(0) | 時事ニュース

2006年06月30日

物流業界の再編と新聞販売店

 最近サボっていましたが、物流関連のニュースを溜め込んでいたのでチョットまとめてエントリーします。
 まず2週間前からガヤガヤと郵政公社の動きが慌しくなってきました。ヤマトが動くと郵政公社も追随する構図が物流業界の当たり前になってきています。

ネタ@郵政公社、郵便強化に1800億円投資・06年度
 郵政公社が手紙やはがき、小包を扱う郵便事業を強化するために昨年度の4倍(1800億円)資金投入のニュース。「ゆうパック」冷凍配達版の整備や、インターネットを使ったサービスを充実させるという。2007年10月の民営化を前に駆け込み的な大規模投資に「民業圧迫」という批判が続出する可能性は大!民営化される郵便と貯金、保険の事業分割があるため、その前に郵便事業で大型投資をするのが得策と判断しようです。

ネタA郵便局再編、1048局で集配中止・来年3月までに
 郵政公社が郵便物の集荷や配達をする集配郵便局の再編策を固めたというニュース。現在、集配業務をしている約4700局のうち、1048局は業務を近隣の局に移管して窓口業務に特化するとのこと。再編策は集配業務をしている約4700局を(1)郵便物の集荷・選別・配達をする「統括センター」(1088局)(2)集荷・配達をする「配達センター」(2560局)(3)窓口業務だけの無集配局(1048局)の3つに分けるということです。これで年間100億円の費用削減? もう生き残り策? 利益追求で利用者のこと考えてないのねぇ!

ネタB郵政公社、国際物流合弁白紙に・オランダTNTとズレ
 郵政公社がオランダの物流大手TNTと進めてきた国際物流分野の提携交渉を白紙に戻すって言うニュース。これもヤマトの後追いだったような気がしますが・・・。今回の白紙撤回で世界進出戦略の見直しを迫られるのは必至だとのこと。

 そんでもって郵政公社のネタが続くとヤマトも黙ってはいられません。
ネタCヤマトなどの共同会社に12社参加、企業間物流が全国網に
 ヤマトと西濃運輸の両グループが共同出資で設立した物流会社「ボックスチャーター」に、8月からトナミ運輸、名鉄運輸など中堅トラック輸送12社が資本参加することになったというニュース。すでに日本通運の参加が決まっているこの会社、まだまだ膨らむ可能性があるんじゃないかなぁと思います。

 郵政公社VSヤマトに統合される民間物流会社―物流業界も大変な時代を迎えています。ガソリン代は値上がるは、駐車監視員制度の導入でツーマン態勢を余儀なくされるなど、間違いなく経費は嵩んでいるのですが…。競争を終えた後は、勝者がコストを引き上げて我慢した分の回収にまわるのでしょうか?

 そんな慌しい物流業界事情なのですが、こんな話題も入ってきました。6月は忙しいですねぇ信書便(ハガキ等)を扱う事業への民間事業者の参入促進策を検討している竹中平蔵総務相の研究会が、郵政公社の配達ネットワークなどの郵便網を、新規事業者が有料で利用できるようにすることを柱とした報告の要旨をまとめました。将来的には民間参入を全面自由化する案も盛り込むとのこと。詳しくは「とある新聞販売所の偏り日報」に要点がまとめられていますが、新聞販売店が物流部門で生き延びていけるか否か・・・。来年10月の民営化を前に、数千世帯へ約2時間の間に宅配ができる機能を持つ新聞販売店が、どう絡んでいけるのかどうかが問われてきます。夕刊は歩留まりが悪く、物流会社の下請け受注をしたメール便との併用で経費割れを補っていますが、何せ2輪車ではその物量も限られてくる。でも販売店が持ち合わせている地域顧客のデータは活かせると思うのですがねぇ。どちらにしても将来を見越した経営戦略を立てられなければ新聞販売店も運送業と同じで統廃合が進むこと間違いなし。でもその方(販売行為と配達業務の分離)が、健全な新聞業界への再生につながるのかなぁ。
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2006年06月19日

格差社会を生んだ規制緩和 安全を守るため「揺り戻し法」でふたたび規制強化

 今国会で成立した法律のうち、政府が規制緩和を進めてきた交通、住宅、流通、金融などの分野で、再び規制を強化する「揺り戻し法」が20件になると朝日新聞が報じています。
 規制緩和による安全規制の不備が鉄道事故やマンションの耐震偽装事件の原因につながったと実質的に認めたわけです。規制緩和を進めてきた政府も「安全、安心」にかかわる分野では路線の修正を迫られているようです。

 最も大規模に規制を見直したのは交通分野。鉄道事業、航空、海上運送などの交通関連12法を改正する「運輸安全法」が成立し、鉄道、航空、運輸会社などに取締役の「安全統括管理者」を置くことや安全管理体制についての内部監査を義務づける。国の事業改善命令に従わない場合の罰金も引き上げた。
 昨年から今年にかけて公共交通機関の事故やトラブルが続発したことが改正のきっかけだ。90年代以降の規制緩和で、国の監査体制や企業の安全管理体制を十分に整えていなかった。
 昨年4月にはJR宝塚線(福知山線)の脱線事故が発生。01年に車体重量や車輪の大きさなどの数値基準を廃止したが、車体の軽量化などでコスト削減や効率化を進めようとする鉄道会社の安全軽視が指摘された。
 90年代に新規参入を認め、サービス競争を促した航空業界では、日本航空やスカイマークエアラインズの運航トラブルが続発。タクシー、トラック業界も競争激化で運転手の長時間労働が原因の交通事故が増えた。
 住宅では昨年11月、マンションなどの耐震強度偽装事件が発覚し、民間の指定確認検査機関が偽装を見抜けなかったことが問題になった。99年に建築確認を民間開放したが、耐震強度などを十分にチェックさせる体制ではなかった。今国会で建築基準法など関連4法を改正し、第三者機関による再チェックや罰則強化を盛り込んだ。
 北側国土交通相は16日の閣議後会見で「経済的な規制の緩和は大事だが、安全面のような社会的な規制まで緩くなってはいけない」と述べた。
 緩和一辺倒だったスーパーなどの小売業界に対する規制は、強化へと路線転換された。大型店の出店を制限してきた大規模小売店舗法(大店法)を緩和・廃止した結果、大型店が郊外出店へと流れ、中心商店街で閉鎖店舗が並ぶ「シャッター通り」化が深刻になったためだ。まちづくり3法のうち2法を改正し、大型店の郊外出店の原則禁止を打ち出した。
 90年代後半に証券取引や金融サービスの規制を緩和する「日本版ビッグバン」(金融制度改革)を進めた金融分野では、ライブドアの粉飾決算や村上ファンドのインサイダー取引疑惑の発覚で法律の抜け道が明らかになったほか、ハイリスクの金融商品で損失を被る消費者の被害も相次いだ。
 今国会で金融商品取引法を成立させ、企業買収のための株式公開買い付け(TOB)の規制や投資ファンドに対する規制を強化して取引の透明性を高めたほか、幅広い金融商品の販売ルールを定めた。


 「失われた10年」、バブル崩壊の後遺症はまだ尾を引いています。政府が推進してきた「競争促進」「効率重視」に乗った企業経営者は、文字で綴られているルールさえ守れば「何をやっても構わない」という倫理欠如の経営を“やむなし”としてきました。安い人件費を求めて社員の雇用を制限し、キャリアもなく立場の弱い契約社員へと切り替えていった行為が、結果的に『人命』まで危険にさらすことになってしまいました。
 また、「街づくり」にも大きな影響を与えています。「平成の大合併」、道州制への動きは地方分権の道を閉ざしてしまいました。大店舗法の緩和によって郊外型大手スーパーに対抗できない商店街はシャッター通りへと姿を変えてしまいました。過疎化が進み、個人情報保護の過度な取扱いによって地域コミュニティも活性化されない状況が続いています。
 はぁ〜。書きながら嫌になってきましたが、「他人よりもっと良い生活がしたい」という発想は誰しもが思うことです。でも、「自分さえ良ければ・・・」という風潮がこの国を染めているような気がしてなりません。「並み居る人を掻き分けて・・・」私たちが住む日本に合っているのか?と考えるこの頃です。
posted by 今だけ委員長 at 14:49 | Comment(2) | TrackBack(0) | 時事ニュース

2006年06月15日

東京高裁があらためて「情報源の秘匿」を認める決定を下しました

 取材活動で得た情報源はどこまで秘匿することができるのか?取材源秘匿の是非が争われた「米国健康食品会社の日本法人への課税処分」に関する一連の問題で、読売新聞記者が米嘱託証人尋問で取材源にかかわる証言を拒絶したことの当否が争われた裁判の即時抗告審は、東京高裁が「拒絶の大半を理由がないとした東京地裁決定を取り消す」とし、取材源の秘匿を認める決定をしました。
 東京高裁の赤塚信雄裁判長は「取材活動は公権力介入から自由でなければならず、取材源は 公表しないとの信頼関係があって初めて正確な情報提供が可能になる」として、取材源は 民事訴訟法で証言拒絶が認められる「職業の秘密」に当たると判断。「公共性のある報道では、取材源秘匿を認めるのが相当で、対象となった読売新聞の報道は国家機関である国税当局の活動と多額の所得隠しを取り上げており、公共の利害に関するものであることは明らかだ」と認定しました。

 この問題は、米国の健康食品会社などが米国政府に損害賠償を求めた訴訟の嘱託尋問で、月刊誌「THEMIS(テーミス)」(2002年10月号)の編集長らが取材源に関する証言を拒絶したことが正当か否かが争われた裁判で、今年3月14日の東京地裁(藤下健裁判官)が「取材源が国税職員だった場合、その職員は法令に違反して情報を漏らした可能性が強く疑われ、拒絶を認めるのは間接的に犯罪行為隠蔽に加担するに等しい」として、読売新聞記者が証言拒絶をした21問中の14問の拒絶を認めない判決を下し、読売新聞側が即時抗告をしていました。
 証言拒絶裁判をめぐっては、読売新聞、NHK、共同通信などが各裁判所などで係争しており、今回の決定で「取材活動で知り得た情報の秘匿は担保される」という司法判断が下されたことによって、取材活動と情報源の秘匿は当たり前ですが、これまで通りとの方向に進むようです。

 取材源は情報提供者であるわけですが、その情報を過大に扱ったり、裏も取れずに加筆してしまうような取材であってはなりません。「記者の地道な取材活動」と「何かを優位に進めるための情報リーク」伝える側の姿勢がさらに問われていると感じていただきたいと思います。

 余談ですが、今回の問題については読売新聞側の一貫した姿勢にうなづくのですが、11日のプロ野球「ジャイアンツvsマリーンズ」の試合で、李選手のホームランで一塁走者だった小関選手が3塁ベースを踏み忘れて得点が取り消された判定で、よみうり寸評まで使って「誤審だ」と読者に訴える必要があるのか・・・新聞人としてどうなのだろうと首を傾げました。プロスポーツとはいえ、エンターテイメントですからね〜。最近不調だからなのでしょうか?清武球団代表が抗議書(映像付)をセ・リーグ連盟に提出したようですし・・・球団運営と新聞紙面の関係には秩序を持って扱ってもらいたいものです。
posted by 今だけ委員長 at 01:16 | Comment(2) | TrackBack(1) | 時事ニュース

2006年05月24日

ヤマトとの競争が原因? 郵便局の不正な割引による徴収漏れ

 新聞各紙の報道によるとヤマト運輸が企業のダイレクトメールなどに使われるクロネコメール便の料金体系を10月1日から値下げすると発表。最も高い料金が310円から240円に下がるほか、「A4判厚さ2センチまで」の料金は、部あたり160円以下になるそうで、日本郵政公社の冊子小包(150グラム以内180円)との価格競争がさらに激しくなるようです。
 ヤマト運輸が発表した今回の料金改定のミソは、重量制からサイズ制に変更したこと。利用が最も多い「A4判厚さ1センチまで」のサイズなら1冊80円で送れるようになる。配達期間については従来の翌日配達の需要は少ないと判断し、3〜4日までの間と変更。

関連性はないのかもしれませんが…

郵便局31箇所が「料金別納制度で徴収漏れ 総額7億2千万円」
 新潟県長岡市の長岡郵便局が料金別納制度で27億円の徴収漏れがあったと報道されましたが、日本郵政公社は24日に31郵便局で総額約7億2000万円の徴収漏れがあったことを発表しました。なんで6億7000万円が未回収で、取引相手の業者に対して損害賠償の訴訟を起こしているようです。
 同公社によると、徴収漏れは、長岡郵便局同様、業者が大量のダイレクトメールを郵便局に持ち込み、局員が正確な数を確認しないまま、業者の申告に基づいて実際よりも少ない額の料金を受け取っていたケースのほか、規則に反して不正に割引していたものもあったということです。
朝日読売で徴収漏れの金額や対象の郵便局の数に違いがあるので調査中です。

 職場にはチェック体制があるのですから、個人的な犯行というよりは局単位で「○月は何件受注必達」のような目標設定があって、それを達成させるために「職員ぐるみで割引」を容認せざるを得ない状況だったのでしょう。ヤマト運輸との競争が生んだ歪だと感じます。

 競争になると不正な割引をしてまで目先の獲得件数を追いかけるのは、表面化しないだけでどこの業界でも起こってしまうことなのでしょうね。その典型が「新聞」ですよ。
posted by 今だけ委員長 at 23:17 | Comment(2) | TrackBack(1) | 時事ニュース

2006年05月10日

ヤマト運輸 今度は海運にも進出!

 ヤマト運輸と日本郵船が業務提携というニュースが飛び込んできました。
 
 宅配便最大手のヤマトホールディングスと海運最大手の日本郵船は資本・業務提携する。ヤマトの国内トラック網と、郵船の船・航空機による国際輸送網を組み合わせ、陸、海、空運の一貫輸送体制を築くそうです。物流市場では日本郵政公社が国際物流に参入するなど競争が激しくなっています。ヤマトと郵船が首位連合を組むことで、陸海空の垣根を超えた物流再編が一気に加速する予感がします。
 ヤマト運輸グループの持ち株会社、ヤマトHDと日本郵船はまず、5月末をメドに資本提携。ヤマトHDが郵船に1%弱を出資するほか、郵船子会社の郵船航空サービス、日本貨物航空(NCA)にもそれぞれ1.5%、4.6%出資するとのこと。

 物流部門においても国際的な競争力が求められているのかなぁ…。いずれにしても他に追従を許さないヤマトの業務拡大のスピードは凄まじい。
posted by 今だけ委員長 at 11:45 | Comment(2) | TrackBack(1) | 時事ニュース

2006年04月27日

問題点を分けて考えなければならないのですが…

 いろいろな問題がダブってしまい…きちんと問題点を分けて考えなければならないのですが、うぅ〜ん…。「報道に法規制は不要」vs「宅配網維持のために特殊指定は必要」。問題は違いますよ!でもねぇ。きちんとした論調を主張するならば、やはり両論併記の原則を守ってもらいたいものです。

衆院特別委参考人質疑
「報道に法規制不要」国民投票法案で新聞協会
 衆院憲法調査特別委員会は27日午前、全国の報道機関が加盟する日本新聞協会の樽崎憲二編集小委員会(読売新聞東京本社編集局次長)ら三氏を招いて参考人質疑を行い、憲法改正手続きを定める国民投票法案の焦点であるメディア規制について意見を聞いた。
 樽崎氏は「報道・評論にかかわる法的規制は必要ないというのがわれわれの立場だ」と強調。その上で「憲法は二十一条で言論、表現の自由を保障しており、メディア規制条項は現行憲法の精神にも反するのではないか」と指摘。与党が法案骨子案に盛り込んだ自主規制規定についても「取材報道活動を萎縮させ、活発な憲法論議を妨げる恐れがある。容認できない」と反対を表明した。
 同小委副委員長の石井勤朝日新聞東京本社編集局長補佐は「穏やかな規制でもいったん法律に盛り込まれると必ずそれを振りかざした議論が出てくる」と危険性を強調。同小委委員の藤原健毎日新聞東京本社編集局総務も反対の立場を強く打ち出した。
 一方、樽崎氏は憲法論議における報道の役割について「幅広い判断材料を国民に提供するのが使命だ」と強調した。(4/27付、河北新報夕刊より引用)


その他、共同通信の配信を徳島新聞東奥日報のWebサイトにアップされています。

参考人の発言要旨 衆院憲法調査特別委員会
 27日の衆院憲法調査特別委員会での参考人発言要旨は次の通り。
 楢崎憲二日本新聞協会編集小委員会委員長(読売新聞東京本社編集局次長) 報道機関は幅広い判断材料を国民に提供するのが使命だ。報道・論評にかかる法的規制は必要ないというのがわれわれの立場だ。憲法は21条で言論、表現の自由を保障しており、メディア規制条項は現行憲法の精神にも反するのではないか。自主規制の訓示規定であっても取材報道活動を委縮させ、活発な憲法論議を妨げる恐れがある。容認できない。
 石井勤同小委副委員長(朝日新聞東京本社編集局長補佐) 緩やかな規制でもいったん法律に盛り込まれると必ずそれを振りかざした議論が出てくる。
 藤原健同小委委員(毎日新聞東京本社編集局総務) 自律的な判断を信頼、信用してもらいたい。報道の公正さは規制から生まれるものではない。


まさに
 新聞業界ってオモシロイ!?
posted by 今だけ委員長 at 17:43 | Comment(2) | TrackBack(0) | 時事ニュース

2006年03月16日

「特殊指定」の堅持求める 新聞協会が特別決議

 3月15日、社団法人日本新聞協会(会長は毎日新聞社の社長 北村正任氏)は東京都内で会員総会を開き、公正取引委員会に対して「現行の新聞特殊指定の堅持」を求める特別決議を採択しました。
これまでも、同協会では「特殊指定プロジェクトチーム」を設置、特殊指定維持に取り組んでいます。

 決議は「特殊指定の見直しは、特殊指定と一体である再販制度を骨抜きにする。販売店の価格競争は戸別配達網を崩壊に向かわせる」とした上で「その結果、多様な新聞を選択できるという読者・国民の機会均等を失わせることにつながる」と訴えています。
 決議採択後、北村会長は「他の物品と同じように価格競争にさらし、生き残るものだけが残ればいいというものではない」と新聞が果たしている公共的な役割を強調しました。

 また、日本新聞販売協会も同日、「戸別配達制度は新聞社、販売店が一体となって長年にわたって築き上げてきたもので、多くの読者は制度の継続を望んでいる。特殊指定の改廃は、戸別配達制度の崩壊を招く」という中畦光行会長(毎日新聞販売店)の談話も発表されました。

 新聞業界あげての総力戦。悲しいかな“そこに読者はいない”のです。もっと編集と販売が協力をして読者の声を伝えられる体制や、信頼される紙面づくりに取り組めれば、もっ違う展開が出来るのでしょうが…。

【関連記事】
読売新聞  朝日新聞
posted by 今だけ委員長 at 10:50 | Comment(11) | TrackBack(0) | 時事ニュース

2006年03月15日

政治的力で推し進めるしかできないのだろうか

 埼玉県の新聞販売店連合に続き、北海道内に本社・支社を置く日本新聞協会加盟の新聞社(9社)が、特殊指定の堅持に関する請願を採択するよう北海道議会の全5会派に要請しました。
 「北海道は過疎地もあり、新聞の宅配制度を維持する要請趣旨は大いに理解できる」と議員の方々も請願採択に前向きのようです。

 特殊指定の存置をめぐって、社団法人日本新聞協会社団法人日本新聞販売協会日本新聞労働組合連合などの団体が、声明発表や公取委との「対話」を行なっていますが、自民党の有志議員で作る新聞販売懇話会や今回のような議会への請願など、政治力で特殊指定の存置を推し進める動きが気になります。

 政治家いわゆる権力側に新聞経営陣は擦り寄ってよいのだろうか…。なりふり構わぬ行動が、国民の目にどう映っているのか考えないのでしょうか。もっと国民の利益につながるような規定をいまの制度に追加事項として盛り込んだ逆提案を求めたいのですが。



posted by 今だけ委員長 at 13:42 | Comment(3) | TrackBack(0) | 時事ニュース

2006年03月11日

ヤマトとドイツポスト 合弁でDM企画会社を設立 

 ヤマト運輸の持ち株会社であるヤマトホールディングスは、国際物流事業会社のドイツの郵便会社ドイツポスト・ワールドネット傘下のDHLグローバルメール・ジャパン(東京)と合弁。ダイレクトメールの効果的な送付方法を企画提案、市場調査などを手がける新会社「ヤマトダイアログ&メディア」を4月に設立すると3月10日に発表しました。本社は東京で、資本金1億円。出資割合はヤマトが51%、ドイツポストが49%を出資する。3年後をメドに売り上げ100億円を目指すとのこと。

 ヤマト運輸の小倉社長は「メール便市場はさらなる成長が期待できる」と語っています。ヤマトホールディングスは一千億円のDM事業の売り上げを五年後には1.5倍にまで引き上げたい考えを示唆しています。


 ヤマトは郵政民営化による新会社設立を見据え、競争激化に備えて事業拡大を着々と進めています。今回の新会社設立も「クロネコメール便」の売り上げ増につなげるのが狙い。流通産業の2極化はさらに進み、劇的な事業の統合が展開されようとしています。

 中小の流通会社は、ヤマト、郵政新会社の「下請け、孫受け」の作業受託により、これまで以上の「低コスト(低賃金)」を強いられることは必至です。

posted by 今だけ委員長 at 11:05 | Comment(2) | TrackBack(1) | 時事ニュース

2006年03月04日

自民党新聞販売懇話会 ネット検索では扱いを操作…

 自民党の有志議員で作る新聞販売懇話会が3日、東京・永田町の自民党本部で開かれました。

 公正取引委員会が昨年11月に見直しを表明した「特殊指定」について、公取委や日本新聞協会、日本新聞販売協会(日販協)との意見交換。出席した議員からは「国民は宅配制度を望んでいる」「活字文化を守るためにも必要だ」との“見直し反対”の意見が相次いだようです。

 ちょっと気になったのが、『自民党新聞販売懇話会』をMSNヤフーなどのポータル検索でのトップビューとグーグル検索によるトップビュー(3月4日11:30現在)。

これもひとつの情報操作?
posted by 今だけ委員長 at 11:54 | Comment(3) | TrackBack(1) | 時事ニュース

2006年03月01日

ヤマトと郵政新会社  二極化がすすむ物流業界

 おととい「ヤマト運輸と西濃運輸が新会社設立」のエントリーを立てたばかりですが、郵政の民営化に端を発し、流通業界は物凄いスピードで「新規業務の拡大」が進んでいるようです。

 まずは、郵政公社が「メール便」に参入。ヤマトとのし烈な戦いが拡大!日本郵政公社がポストに投函できて、どこまで運ばれたかも追跡確認できる「簡易小包(愛称・ポスパケット)」を4月1日から始めると発表しました。新聞販売店でも取り組んでいる「メール便」の配達業務は、ヤマト運輸はその8割の物流を抑えていますが、民営化を控えた郵政公社の参入でまた新たな競争が繰り広げられようとしています。
 ネット回線普及の時にあった“ヤフーBBが先手を打ったものの、いずれ巨人NTTが攻勢に立つ”という構図になるのかなぁと感じます。

 一方、ヤマトは高島屋の物流業務全般を受託ヤマト運輸が、百貨店最大手の高島屋と物流業務全般を受託したと発表しました。宅配業務だけでなく、包装や伝票添付、クレーム処理、卸業者の納品確認、売り場への配送なども請け負うということです。
 大量消費の時代、大量に在庫を抱えなければならないスーパーや百貨店は、できるだけ物流費を削減したいーというニーズに“クレーム処理”や“納品確認”のオプションまで付くのなら有難いでしょうね。物流業界は「ヤマトと郵政新会社の二極化」の様相が見えてきました。
posted by 今だけ委員長 at 19:52 | Comment(2) | TrackBack(1) | 時事ニュース

2006年02月27日

ヤマト運輸と西濃運輸が共同出資会社を設立

 ヤマト運輸(小倉 康嗣社長)と西濃運輸(田口 義隆社長)が、企業間物流を請け負う共同出資会社「ボックスチャーター」を3月中に設立する方針を明らかにしました。新会社は製品を生産拠点から倉庫や販売店まで定期的輸送を請け負い、実際の輸送は、東京―大阪間など幹線部分は西濃運輸が担当し、幹線から配達先までは両社が分担して届けるとのこと。株式の比率はヤマトホールディングスが85%、セイノーホールディングスが15%を出資し、社長はヤマト運輸側が担うようです。
個人向けの宅配便を主力商品としてきたヤマト運輸ですが、日本郵政公社との競争が激しくなっており、企業間物流事業への進出で新たな収益確保を目指すとの報道がされています。

 流通部門において巨大化するヤマト運輸ですが、並み居る業者の価格競争に左右されず夜間配送などの利用者ニーズに合わせた営業態勢が功を奏したように思います。しかし、夜の10時に宅配便が受け取れるというニーズが新たな雇用を生み出すとは限りません。事業の拡大によって若干従業員(ほとんどがアルバイト)も増えているのでしょうが、労働者の超過勤務によって「時給変わらずとも生産性をあげる」ことが支えられているのです。

 広がる「格差社会」。業界をリードする企業が雇用の安定と向上に取り組まなければ、利用者のニーズも消費力すらも縮小していくのだと感じます。
posted by 今だけ委員長 at 13:51 | Comment(2) | TrackBack(0) | 時事ニュース

2006年02月25日

全下野労組の印刷部門別会社化争議『苦渋の末、地労委あっせんで収束』

 栃木県にある下野新聞社と全下野新聞労働組合の争議(印刷部門の別会社化と印刷部員組合員の転籍)が、24日に開かれた労働委員会の第3回あっせんで、収拾の方向に向かっています。労使間で、会社の新会社設立、転籍者募集、新会社での社員採用に対して、組合が異議を述べないことや、転籍者の労働条件については今後協議し、年収ベースのカット幅を最大17%にするなどの協定書に調印。細部の調整については、今後の団体交渉などで決めていくとのこと。
詳しくは全下野労組ブログ「闘争日誌!」を参照してください。

今回の争議を少なからず支援をしてきた側からすると複雑な気持ちですが、自分たちの労働条件を自分たちで決定し、自分たちで運営する労働組合(執行部)の決断なのですから尊重したいと思います。大変お疲れ様でした。今後の条件整備に向けて更なる団結を願ってやみません。

この争議を通じて、個人的に2つの問題点を考えさせられました。
ひとつは「労働協約とは社外でどの程度の効力があるのか」という点です。労働法の概念自体が「資本の原理」や「格差社会」によって弱まってきているのではないかと感じています。今回の争議で同労組が宇都宮地裁に対して「会社側計画撤廃」仮処分申請を行ないましたが、宇都宮地裁の判断は「会社が十分に組合に説明すれば、組合の合意はなくとも構わない」という解釈を示しました。労働協約はそれぞれの労使間の憲法のような位置づけなのですが、会社分割制度(商法改正により2001年4月施行)などの法改正によって、企業に働く人達は「持ち株会社」に支配され「子会社の社員」になってもおかしくないという企業側の理屈によって、私たち労働者の権利が徐々に後退して行くのではないかという不安は拭えません。

ふたつ目は、「新聞社の印刷部門の切り離し別会社化の更なる加速と資本独立の意義が危ぶまれる」という点です。新聞社の印刷部門を別会社にするという動きは全国的に広がっています。東北でも福島民友新聞社(転籍)、河北新報社(出向)が、すでに印刷部門を別会社として稼動させており、今年4月から秋田魁新報社(出向)も別会社を設立し印刷業務を移管させるようです。
新聞は取材、印刷、宅配それぞれの工程を辿ってひとつの商品となるわけですが、宅配に加えて印刷部門までも別会社となると新聞社の意に反して輪転機が回らないという事態も起こり得るのではないかと心配します。「別会社とはいえ経営権は有している」と経営側は語るのでしょうが、例えば印刷会社に別な労働組合が組織されストライキが行なわれた場合なども想定されるわけです。印刷会社の従業員として採用される方々が「新聞の使命」をどれだけ認識できるのかは未知数ですし、これまで読者に提供してきた新聞の流通の質的向上にはつながらない思います。
また、新聞社資本の印刷会社も稼働率を上げようと印刷物の受注をめぐって、既存の印刷業社との軋轢も起こりえるでしょう。

【全下野新聞労働組合のコメントから】
 我ら敗れり、しかし倒れず。組合再生、経営民主化、新聞印刷と印刷の仲間を守る・・・この言葉を噛みしめて、進んでいくことをここに表明します。

 噛み締めましょう・・・

posted by 今だけ委員長 at 12:37 | Comment(2) | TrackBack(0) | 時事ニュース

2006年02月01日

「泳がせ捜査」記事問題で役員を含む社員7人を処分した北海道新聞

 北海道新聞社は1月31日「泳がせ捜査」記事の問題で、役員を含む社員7人の処分を発表。処分は編集局長の役員報酬の30分の1を1カ月間だけ減給。編集局総務と編集局次長を日額2分の1の減給、記者3人をけん責、当時の編集本部委員1人を戒告―という内容

 この問題は、北海道新聞社が道警の「泳がせ捜査」報道に関し、取材内容が不適切であったと1月14日付けで「おわび」を掲載。道警が「記事の訂正」を求めるなど北海道新聞の動向が注目されていた。この問題については、このブログでも取り上げたが、北海道新聞社が道警との関係を修復するために「おわび」記事を掲載したのかどうかの判断は「不適切な記事」を書いた記者への処分(「泳がせ捜査失敗」を担当した記者と「裏金問題」を取材した記者(デスク)は同一人物)であり、道警が文書で送りつけた「記事の訂正・削除」をするかで判明するだろうと見守っていたのだが…。そういうことだった。

 北海道新聞社が取り組んだ「道警の裏金問題追求」によって、道警から相当な圧力が加えらていたのかもしれない。しかし、新聞の役割とはなんだろう?権力に立ち向かえない新聞はジャーナリズムを語ってほしくない。「真実の報道」をしていないから、読者は離れて行ったと感じる。また、この問題に関連して、毎日新聞の報道がマスコミ(新聞社)同士が揚げ足取りをするという下らない構図を印象付けた。問題の根本を探ろうとせず、相手を叩くことで満足している記者が書き上げる新聞を読みたいとは思わない。

  ジャーナリズム宣言?.jpg  
 新しい朝日新聞社のキャッチコピーは「ジャーナリスト宣言」。ジャーナリズム(ジャーナリストも同様に)という言葉が簡単に扱われてはならないと思う。もっと新聞の役割を認識してもらいたい。
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2006年01月26日

労働法ってどうして出来たのか―裁判官は忘れている

 栃木県にある下野新聞社の印刷工場建設に伴った別会社化、印刷部門の従業員の転籍をめぐる労使争議で新たな動きがありました。
 全下野新聞労働組合は印刷新会社設立と設立準備行為の差し止めを求め、宇都宮地・裁判所に仮処分申請を出していましたが、本日、組合の申し立てを却下する内容の判断が下されました。

 詳しくは、同労組のブログ「闘争日記!」に掲載されていますが、職場での実・や労使間の憲法というべき『労働協約』が誠実に履行されていないこと等の責任について、司法の側はもっと解析すべきだと思います。新たな印刷工場建設がなぜ必要なのかという説明責任も族たさず、組合員の転籍を強要する下野新聞経営者が何を狙っているのか、裁判所は無視しているとしか言いようがありません。長年、印刷職場で働いてきた労働者が、明日から編集の職場で働けるとまともに思っているのでしょうか?新聞社の業務内容も理解できない裁判官から判断が下されることに袖念すら抱きます。
 労働条件を下げるための強制転籍強要の何者でもないということを無視した裁判所の判断は今後の労使争議にも影響しそうです。
 何のために労働法が・在するのか…裁判長に問いかけたい。そして下野新聞社の経営陣には労使対等の立場で物事を決めるていくという精神を忘れないでもらいたい。

 頑張れ!全下野新聞労働組合の皆さん。職場の切り売りを許さず闘ってください!
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2006年01月21日

郵政公社に挑むヤマト運輸だが

 ヤマト運輸が「郵政公社が郵便小包(ゆうパック)料金を民間よりも安く設定したり、不当な利益提供で大手コンビニエンスストアのローソンを取次店に勧誘したのは独占禁止法違反だ」とし、日本郵政公社を提訴していた問題で、19日、東京地裁は「不公正取引には当たらない」と同社の請求を棄却しました。

 ヤマト運輸の主張は、郵政公社は2004年8月、小包料金を重量制から荷物の大きさに応じて決めるよう改め、ヤマト運輸より安く設定。ローソンの国内全店で同年11月から取り扱う契約を締結するなど不当な利益提供や優位的な立場を使うことは独占禁止法に抵触するというもの。
東京地裁の市村裁判長は「ヤマト運輸は小包料金の原価について具体的な主張、立証をしていない」と述べ、「独占事業の信書の収益などを活用し、原価割れの料金を設定した」とする同社の主張を否定。「独禁法では民業を圧迫するかどうかは考慮の対象外。郵政公社の新料金体系導入後もヤマト運輸は売上高や収益を増やしている」と指摘、不当廉売に当たらないと認定しました。

 これまでも信書の取り扱いなどで「独占事業を有する郵政公社」と戦ってきたヤマト運輸ですが、今回の判決で注視すべきところは、独禁法の解釈を“民業を圧迫するかどうかは考慮の対象外”という点です。ヤマト運輸は物流業界においてナンバーワンの地位にあるわけですから、ヤマト運輸の動向次第によっても他の物流会社は影響を受けるわけです。料金表を見ると決してヤマト運輸は安くなく、ネームバリューがあれば一定程度の価格を維持しながらでも利益をあげられるのですが、マイナーな物流会社は郵政公社よりもヤマト運輸よりも安価にしなければ仕事すら回ってこない状況があります。
 価格競争に歯止めがかからない物流業界において、人件費を抑えるための労働強化はさらに進み「安心・安全」が揺らいで行くことでしょう。大資本に太刀打ちできない弱小企業は淘汰され、より独占的な構造が出来上がります。そして、それを独禁法は守ってくれないのです。
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2006年01月16日

北海道新聞「道警裏金問題」は道警の圧力によって不戦敗か

 北海道新聞社(以下、道新)が、昨年3月13日の朝刊で報じた「北海道警と函館税関の覚せい剤の泳がせ捜査失敗」に関する記事について、「全体として誤った印象を与える不適切な記事だった」という内容のお詫び記事を1月14日付けの朝刊第1面(新聞の顔ですね1面は)に掲載した。その際、記事の訂正および削除はしないとしたが、15日になって道警側から「記事の削除を求める文書」が同社に送られたという。
 新聞の報道がブログなどの情報発信より信頼されるのは、取材網(記者クラブによる発表物の垂れ流し問題もあるが)と複数のチェック機能が備わっているからだ。昨年の「泳がせ捜査」報道も入念な取材のもと情報のウラを取り、確信したからこそ記事掲載に踏み切ったのだろう。しかし、9カ月の期間を経て「不適切な記事」だったとする“お詫び”はいただけないし、新聞記事は確実な報道だと思って購読料を払ってくれる読者を裏切った格好だ。

 だが、今回の“お詫び”記事の背景には、「道新が道警の圧力に屈した」との指摘を多くのブロガー(情報流通促進計画byヤメ記者弁護士さん ・ ガ島通信さん)がエントリーしている。
 道新は、2003年11月に発覚した道警の裏金問題を追求し、全国の警察に蔓延していた「裏金」(公金横領)にメスを入れ、新聞労連ジャーナリスト大賞や日本新聞協会賞を受賞するなど「業界内」から高い評価を得た。しかし、その裏金報道をめぐって道新と道警の間で「情報提供」における圧力や記者クラブでの対応など、これまでの関係が崩れかけていたようだ。だから…という各論は口が裂けても道新経営陣は言わないだろうが、今回の“お詫び”が道警との関係を修復するためと受け取られても仕方がない。それが確定されるのは「不適切な記事」を書いた記者への処分(「泳がせ捜査失敗」を担当した記者と「裏金問題」を取材した記者(デスク)は同一人物)であり、15日に道警が文書で送りつけた「記事の訂正・削除」をするかで判明するだろう。道新の今後の動向を見守りたい。

 このような問題は、新聞販売労働者としても他人事ではない。業界の末端で働くわれわれだが、どうして新聞を売るのか、その責任の重さというものを改めて考えなければならない。
 尊敬するブロガーからこんなコメントをいただいた。
 新聞は確かに道警疑惑追及では売れない、お詫びしても部数が減らない。どちらの意見も表裏一体。商品としての新聞、新聞の価値とは何なのかをもう一度見つめなおす必要がある。もし販売店が読者から「ホントのこと書いているのですか?」って言われたら、どう応えるんですか?だから全員に関係する問題なのです。
 何か心に大きな穴が開いた気持ちだ…
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2006年01月05日

規制緩和の大号令で引き起こる低コスト主義の歪

 日本人の習慣として続いている年賀状に関する事件が多発しています。
 昨年12月29日には、愛知県内の3郵便局で元日に配達するはずの個人宅への年賀状を誤って配達してしまったことが判明。続いて、年明けの4日には「あれっ」というニュースが飛び込んできました。山形県尾花沢市にある尾花沢郵便局の臨時アルバイト(高校生)が、配達担当区域に配るはずの年賀状437通を含む郵便物計627通を配達せずに、雪に埋めたり、自宅に隠していたそうです。動機は「面倒くさくなったから…」。事件が判明した同日に日本郵政公社山形監査室が臨時アルバイトを懲戒免職処分へ。郵政公社はその臨時アルバイトを郵便法違反容疑で山形地検に書類送検する方針だという。

 このような事件を受けてなのか、日本郵政公社は、郵便局内の不祥事を見逃した郵便局長などの管理職に対して、降格などの厳罰を与える新制度を始めるという。部下の仕事を点検する具体的な指針やマニュアルを示し、犯罪が起きれば管理職の責任も厳しく問うというもので、民営化までに現金横領などが減らない現状を改善したいという。今回の年賀状の不配達事件との連動は薄いかもしれませんが、民営化にならなくとも不祥事に対する処分は当然なはずなのに…。今さらながら規制緩和を推し進める“パフォーマンス”としか受け取れません。

 国民は「安心・安全」を求めているのに、規制緩和の大号令で引き起こる競争社会。
 郵便局は今年から32年ぶりに1月2日の配達作業を再開しましたが、国民は1月2日の営業を望んでいたのでしょうか?競争社会が根底に存在するために「法律で既得権を守られてしまうと人はそれに安住するものだ」という発想を抱いてしまう今の社会環境は、すべて米国主導によるものだということを私たちは忘れてはいけないと思います。
 問い返しましょう「今までの日本文化って何だったのだろう」と。
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2005年12月30日

従業員の大人化が進む新聞販売店

 年末に業界紙を眺めていたら、新聞販売店・従業員総数調査が載ってました。
 「総数44万625人で1.0%減」。9年連続で販売店従業員が減少しているそうです。どの新聞社も部数は横ばいと言っているのに“なぜ”って思いますよね〜。

 日本新聞協会販売委員会の販売労務部会がまとめた2005年10月1日現在の結果内容では、全国の新聞販売店数は20,918店(前年比▲146店)と9年連続して減少。従業員総数は、440,625人(前年比▲4,498人)。そのうち「新聞少年」(中・高校生の男女を称します)は17,175人(前年比▲3,807人)で、2万人を割りました。「新聞少年」の労働者数を地区別に見ると九州地区が4,433人(25.8%)が最も多く、東北地区が3,541人(20.6%)と続いています。新聞奨学生の数も年々減っています。大学・専門学生のアルバイト口は首都圏ほど多様ですからね。
 「新聞少年」による配達作業は美徳化されがちですが、安い賃金(安価な労働力に頼った)で販売店の経営を支えてもらったことも事実なんです。


 新聞配達員もだんだんと大人の仕事になっています。昔と違って折込チラシの量も増えて、体力がなければ新聞配達は出来ません。読者からの要望も多様化し、本当の意味で「戸別対応型配達」が行われています。個人情報の保護に関する法律の施行も、販売店従業員の雇用見直しに拍車を掛けました。
 その意味では販売店の人件費(配達労務費)は間違いなく増えています。大人化したことで昔のような“どんぶり勘定”とはいかなくなったのです。短時間労働とはいえ、週休すら取得できない販売店もまだまだ少なくありませんが、徐々に「3K職場」から抜け出せる労働条件に近づいているのかと…。業界の内部構造を販売店から変えていきましょうか。
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2005年11月30日

耐震強度偽造問題 薄利多売方式に品質責任が負えるはずなし

 一連のマンション、ホテルの耐震強度偽造問題で、昨日、衆議院国土交通省委員会が開かれた。参考人として建築主、施工者、指定確認検査機関などが出席し、姉歯秀次一級建築士(参考人招致は欠席)の偽装が隠ぺいが発見されていたことが明らかになった。構造上の計算などがずさんとの指摘があったにもかかわらず、「検査機構が認めた」という担保があれば“取りあえず建てちゃう”方式がまかり通っていたのだろう。

 よくマンションなどの建設作業現場の表示を見ると「○○JV」と書かれている。共同企業体(Joint Venture) を示すのだが、ようは仕事の分業化である。建物が大きくなればなるほどさまざまな業者が出入りをして、自分の担当の作業をこなす。出来上がりなんて気にするはずもない。クレームさえなければOK。ただでさえ値段を叩かれ、下請け孫受けとマージンだけは吸い取られて、実際に作業をする業者さんにはわずかの手間賃しか支払われない。昔の大工のような責任を持つ職人さんなんていません。棟梁の一声でやり直しをさせていた時代ではないのだ。

 いまの時代はすべてが価格破壊。安けりゃ『安全性』まで見逃すのだろうか。ブランド=信用というヨーロッパの文化と大量生産大量消費のアメリカ文化。アメリカ属国の日本は「無駄が金を生むシステム」にすっかり染まってしまったのだろうか。
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2005年11月21日

宮城県警報償費 執行停止を解除

 10月23日の宮城県知事選で当選した村井嘉浩知事が、11月21日に就任の記者会見を行った。今年6月に前浅野史郎知事が県警への報償費停止を決めてから、わずか5カ月でその執行停止が解除。確かに村井氏の選挙公約で「県警の報償費問題は捜査に支障をきたす」としてきたが、多くの県民の疑問は拭えないままに就任当日に「執行停止解除」が発表された。

 仙台市民オンブズマンが県警の報償費問題をめぐり「情報公開」を求めたのは2001年4月。同年9月に前年(2000年)の報償費に不正支出があるとし、仙台地裁に提訴したのがこの問題の始まりであり、県警と県政の問答が県民の大きな関心を呼んだ。

 県警側は「捜査協力者への報償は事件の情報収集など捜査に欠かせない」と一貫して監査内容を公開せず、県政の要請を断じてきた。そこに北海道警の裏金疑惑問題も浮上し、県警への不信感は増大したのだが、県民による「運動」にまでは発展しなかった。また地元マスコミもこの問題については、積極的な原因解明を展開できなかった。報償費停止に取り組んだ前浅野知事も8月には次回の知事選不出馬を早々に発表。この報償費問題は一気にトーンダウン。

 公職において不透明な部分は「それなり」の納得しうる説明責任はあって当然のことだ。しかし、チェックが甘いと「なあなあ」の前例踏襲がまかり通ってしまう。そのチェックが出来ないマスコミも記者クラブなどの温床に漬かった馴れ合い集団へ化したと思わざるを得ない。
不透明な問題を暴こうと闘う記者は、新聞社という組織を離れてフリーで活躍する人も多い。商業主義へと大きく傾く新聞社。市民(読者)の期待感とはなんだろう。新聞社は単なる情報の垂れ流しではないはずだ。
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2005年11月10日

株式会社みんなで作る新聞社が破産を決定

 今年9月17日付で休刊した「みんなの滋賀新聞」を発行する株式会社みんなで作る新聞社(滋賀県天津市、小林徹社長)は、11月7日、会社清算(破産手続き)を決定した。
 10月13日に会社都合によって全従業員解雇通告後も「残業未払い分の支払い」などを勝ち取るため「みんなの滋賀新聞労働組合」は、労働委員会で斡旋申請の交渉に取り組んでいる。同労働組合は4月29日の創刊後、6月12日に労働組合を結成した。理由は発行後2カ月足らずの6月8日に開かれた社員総会で「今月末で休刊すると」と社長が発言したことに端を発する。その後「支援の目処がついた」と休刊撤回をしたものの、販売部数は伸び悩み資金繰りはひっ迫。労働者への希望退職募集や給与カットなど会社からの一方的な攻撃は止まらなかった。そして9月13日の社員総会で休刊宣言と全社員の解雇を一方的に通告。解雇撤回と発行の継続を求めて、新聞労連・近畿地連に加盟するなど運動を展開してきたが、会社破産という暴挙に組合も怒りをあらわにしている。
滋賀新聞.jpg
 組合員は訴える「そもそも、いくら部数が伸びなかったとは言え、せっかく新しく創刊した新聞をこんな短い期間でやめてしまって良いのでしょうか。例えば会社が苦戦の理由の一つに挙げていた記者クラブへの未加盟にかかわることも、実際はクラブ加盟社とほぼ同様に行政や警察などから情報提供を受けて紙面を作っていました。これは報道機関にしか認められていない特権です。滋賀県民の知る権利に応える義務を負っていたとも言える」と…。
  
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2005年11月07日

またか! 許されない虚偽報道と犯罪記者へと追い込む社内体質

 埼玉新聞の虚偽報道とNHK記者による連続放火…酷いものです。もうマスコミは信じられない―と読者や視聴者から見捨てられて当然ですよこれじゃ。朝日新聞の虚報事件(記者がでっちあげた記事を掲載)から、新聞社(記者)は何の反省もしていないことを非常に残念に思っています。

 埼玉新聞社は、10月22日の朝刊の地域面で「杉村町民体育祭」が雨で中止になったにもかかわらず、『開催された』という記事を掲載。記事内容も毎年開かれているイベントだから同じよう内容で、写真も昨年のものを使用。忙しいから「やっつけ仕事」になったのでしょうけれど、地方紙が生きる道というか役割って言うのは「小さな街ネタ」を拾って、自分たちが住みやすい街づくりや地域住民の活動を紹介して感動を伝えることが、全国紙とは違う地方紙の存在意義だと思うんです。
 販売店にも「こんな情報あるんだけど紙面で取り上げてもらえないですか」という要請は結構あるものです。何せ新聞はその地方の顔ですからね!でも今回に限らず新聞社内の裏側(ネタ拾いも出来ない人員不足、読者を向いていない自己満足報道、最低限の情報発信のチェックすら出来ない社内体質の欠落など)が透けてきた感があります。
 新聞社の根幹が崩れ始めているから「ブログジャーナリズム」的な動きが映えるんでしょうね。何とかしましょう新聞屋さん!責任を取って辞められても何も解決されません。


 滋賀県大津市で起きた「NHKの記者による連続放火事件」は言語道断!残念だけどNHKの社会的信用はもう取り戻せない(受信料の不払い運動も増えるでしょう)ところまで行ってるんじゃないかなと感じます。一生懸命にNHKで働いている職員にまで企業(組織)の失態を被せて見ちゃうのは辛いんですが、労働組合の皆さんの頑張りも視聴者からは全く見えてこないのでなおさら残念です。。
 事情聴取に際して「上司からの叱責などでストレスが溜まった」と述べているようですが、だから放火?は許されることではありません。上司や同僚ともコミュニケーション取れなかったのでしょうね。厳しい就職戦線でNHKという狭き門に入った若者が…何でなのかなぁ。優秀な人材を確保するためにマスコミ業界は労働条件も一般レベルよりも高く整備されているのにね〜。世の中おかしくなってますよ。
posted by 今だけ委員長 at 13:03 | Comment(1) | TrackBack(5) | 時事ニュース