全国紙と地方紙による印刷委託・受託が加速しています。
今回は新潟日報に続き、北日本新聞社が読売新聞が富山、石川の両県で発行する新聞印刷を来年4月からスタートするというもの。
北陸地方は冬場の豪雪などで新聞輸送の効率も悪いことから、「印刷、輸送、販売店」の流通工程の提携も視野に入れて取り組まれるようです。
新聞産業の流通部門の統合がいよいよ本格化してきました。
▽北日本に印刷委託 読売新聞の富山・石川向け
読売新聞東京本社(老川祥一社長)と北日本新聞社(河合隆社長)は、富山・石川両県内で配達している読売新聞朝夕刊の全部数を、北日本新聞社の印刷工場「創造の森 越中座」(富山市)で印刷することで基本合意し、6日、都内で両社長が合意書に調印した。朝刊約10万4千部、夕刊約5千部を来年4月から印刷を始める。富山県内の輸送協力についても今後、具体的な協議に入る。今回の委託・受託印刷は、読売にとって印刷体制の安定化とカラー紙面の充実による読者サービスの向上につながる。北日本にとっては、生産設備の有効活用が図れるメリットがある。(新聞情報 4月9日付)
これまで富山・石川両県内の読売新聞の現地印刷は。96年から読売新聞東京本社が100%出資する「北陸オール印刷」(富山県高岡市)していますが、輪転機が1セットのみでトラブル発生時の不安を抱えていたこととあわせて、稼働から14年たった輪転機の更新も近づいていたことも印刷委託に踏み切った理由だと思われます。
北日本新聞も4年前に48頁40個面カラーが可能な最新の輪転機を2セット投入したばかりで、昨年から夕刊を廃止した北日本新聞としては輪転機の稼働率をあげたいことろ。両社の思惑がピッタンコだったのでしょう。
輪転機の更新時期にあわせて、印刷の委託・受託が行われてくることになると、新聞社だけでなく印刷会社(凸版やDNP)も含めた共同出資の印刷センター構想も浮上してきそうです。もちろん販売部門(宅配部門)にも同様のことが
起きてくるはずです。
「新聞紙」を印刷・宅配して、読者から購読料を得ることで成り立ってきた新聞産業のビジネスモデルの流通部門が統合し、新聞社がニュース記事を取材、配信する「通信社化」していくのだろうと、あらためて思います。