新聞の販売正常化に尽力された方で、一度だけ労組の集会の講師を依頼したことがありました。森さんが書かれた「新聞 もう一つの顔−販売の暴走十八年−」での販売問題への指摘は25年たった今でも色あせることはありません。というか、残念ながら根本的な問題は何にも改善されていないのです。
心からご冥福をお祈りします。
▽遠い販売正常化への道…熊日にいまでも宿る販売の精神!(今だけ委員長ブログより)
http://minihanroblog.seesaa.net/article/6504126.html
▽陸奥新報が朝刊遅配 システム障害で(東奥日報2/26付夕刊より)
陸奥新報社(本社・弘前市)の新聞編集制作システムに障害が発生し、同社発行の26日付朝刊「陸奥新報」が津軽地方で約6時間、遅配になった。
同社の成田幸男編集局長によると、システムに障害が起きたのは25日午後10時ごろ。応急処置をし26日午前9時すぎ、印刷を再開した。同局長は「原因を調べながら完全復旧を目指す」と話している。
中国新聞社(広島市)は12日、夕刊を4月末で休刊し、朝刊と同時に配達する日刊の新媒体「中国新聞SELECT(セレクト)」を5月1日、創刊すると発表した。同社夕刊は1924年から発行しているが、部数減により91年に及ぶ歴史に幕を下ろすことにした。▽中国新聞社:4月末で夕刊を休刊に(2/12付・毎日新聞)
SELECTは、経済や海外のニュースを中心に、幅広いジャンルから読み応えのある記事を盛り込む。外部投稿や写真特集、文化、芸能のほか脳トレやクロスワードなど遊びの要素も加える。
朝刊と同じサイズの16ページで、全ページカラー。月曜日を除く週6日発行する。朝刊と同時に配達することを条件に、販売エリアは限定しない。
中国新聞社(広島市)は12日、夕刊を4月末で休刊し、朝刊と同時に配達する日刊の新媒体「中国新聞SELECT(セレクト)」を5月1日、創刊すると発表した。同社夕刊は1924年から発行しているが、部数減により91年に及ぶ歴史に幕を下ろすことにした。
SELECTは、経済や海外のニュースを中心に、幅広いジャンルから読み応えのある記事を盛り込む。外部投稿や写真特集、文化、芸能のほか脳トレやクロスワードなど遊びの要素も加える。
朝刊と同じサイズの16ページで、全ページカラー。月曜を除く週6日発行する。朝刊と同時に配達することを条件に、販売エリアは限定しない。(共同)
お客さまがクロネコメール便で信書に該当する文書を送り、罰せられてしまうことがないよう、荷受けを厳格化し、注意喚起をはかるとともに、2013年12月に、総務省 情報通信審議会 郵政政策部会において、内容物ではなく、誰もが見た目で判断できる「『外形基準』の導入による信書規制の改革」を提案し、信書を送ってしまっても、送ったお客さまではなく受け付けた運送事業者のみが罪に問われる基準にすべきであると訴えてきました。しかしながら、結局、当社の主張は受け入れられず、依然お客さまのリスクをふせぐことができない状態となっております。
以上の経緯を踏まえ、法違反の認識がないお客さまが容疑者になるリスクをこれ以上放置することは、当社の企業姿勢と社会的責任に反するものであり、このままの状況では、お客さまにとっての『安全で安心なサービスの利用環境』と『利便性』を当社の努力だけで持続的に両立することは困難であると判断し、クロネコメール便のサービスを廃止する決断に至りました。(ヤマト運輸プレスリリースより)
読売新聞東京本社と産経新聞社は、東北地方に配達している産経新聞を、現在建設中の読売新聞仙台工場(宮城県大和町)で、委託・受託印刷することで合意し、4日、契約を締結した。印刷開始は来年3月を予定している。
印刷するのは産経新聞のほか、サンケイスポーツ、フジサンケイビジネスアイ、競馬エイト。
読売新聞仙台工場は、東日本大震災で被災し、閉鎖された旧仙台工場(仙台市宮城野区)に代わって建設中で、来年1月末に完成し、同3月全面稼動する予定。宮城、岩手、山形県内に配達される読売新聞やスポーツ報知を印刷する。
読売新聞東京本社と産経新聞社は4日、東北地方に配達する産経本誌などを、建設中の読売仙台工場(宮城県大和町)で来年3月から印刷することで合意した。印刷の受委託に合わせ、共同輸送も検討している。
産経は、同社仙台工場(運営・仙台新聞印刷)で印刷してきた東北6県向けの産経本紙やサンケイスポーツ、フジサンケイビジネスアイ、競馬エイトの印刷を委託する。
建設中の読売仙台工場は、東日本大震災で被災し2012年1月に閉鎖を余儀なくされた旧工場(仙台市)に代わり、来年1月末に完成、3月に全面稼働する。
新工場では、現在、河北新報印刷センター(運営・河北新報印刷)に委託している宮城。岩手、山形県向け読売朝刊やスポーツ報知を刷る。印刷部数は、受託分も含め20万部。
▽ヤマト運輸、マンション宅配を一括請負−他社荷物も戸別管理(日刊工業新聞1月21日付)
http://www.nikkan.co.jp/news/nkx1120140121aaar.html
仙台市内の高層マンション前でも複数の宅急便トラックが連なっている光景をよく見かけます。インターネット通販が浸透して個人宅の荷物量が拡大するなか、家主の在宅時に複数の宅配会社の荷物を一括して受け取れるというのは便利なサービスと言えます。配送履歴や「着払い」などの課題もあるようですが、各社との整備も進めていくとしています。将来的にはマンション館内にミニ配送センターのような機能を持たせ、顧客のさまざまな要望に応える「コンシェルジュ」機能も付加させるとも。
近年建設された世帯数の多いマンションなどでは、ホテルのフロントのようなコンシェルジュサービスを提供する専門業者を導入するところも増えていますが、宅配物までは預かってくれないのが実情です。商品を配送する業者間が協業することによって「商品の管理責任」がどこまでクリアになるかも興味のあるところです。
新聞販売店でも一部オートロックマンションへの各戸配達の協業に取り組んでいます。読者の利便性向上はもちろん、系統ごとの配達スタッフが出入りせず専属スタッフを管理組合へ登録し、安心・安全を担保しながら毎朝、専属スタッフ1名のみが入館して全紙をドアポストまで配達するというサービス。
新聞産業界では印刷部門の受委託によって新聞社間の効率化が図られているわけですが、各系統の販売店は「単配」を続けていくのか、労働力不足の問題・効率化に着手し「共配」へ舵を切るのか。でも、販売店同士だけでは決められないのが新聞産業(そういう契約になっているのです)なのです。
ヤマト運輸へ「新聞の配達も任せてみては・・・」という声も聞こえそうですが、配達時間、折込広告(チラシ)の組み込みなど、やはり現実的ではありません。
きょうはうれしいニュースです。
宮城県仙台市宮城野区に本拠地を置く、東北楽天ゴールデンイーグルスがプロ野球パシフィックリーグで優勝しました。球団創設から9年目にして初のリーグ優勝です。
▽東北楽天、パ・リーグ初制覇(河北新報2013年9月26日付)
http://www.kahoku.co.jp/news/2013/09/20130926t14036.htm
▽河北新報号外 2013年9月26日付
http://www.kahoku.co.jp/gougai/2013/g201309260101.pdf
湧きまくる仙台ですが「東北楽天」の名の通り、その経済効果が東北全体に波及してもらいたいものです。仙台だけが盛りあがるのではなく、宮城や東北の被災エリアにも「楽天効果」が届くように願いたいですね。
新聞販売店ではプロ野球チームの優勝にあやかった大手スーパーや百貨店の「優勝セール」をお知らせする新聞折込チラシの特需があります。
でも「優勝が決まった翌日の朝刊折込」という代物なので、日中に組み込んだチラシへ追加で組み込むという作業が生じます。私の職場ではきょう、社員3人に待機を指示し、優勝決定後に約90分で組み込み作業を終えました。
販売店では翌日の段取りをする一方で、新聞社の販売部は夜の街で号外配りをしていることでしょう。皆さまお疲れさまです!
* * *
楽天イーグルスネタでもうひとつ。
広島県福山市で新聞販売店を営む信頼のおける方からメールが届きました。「私どものエリアに住む東北出身の楽天ファンに優勝決定翌日の河北新報をプレゼントしたいのですが、50部ほど購入しますので送っていただけないでしょうか」というもの。
さっそく、あす発送することを伝えました。こういう読者への気配りができる販売店経営者が、厳しい時代だけれど商品(新聞)の売買だけじゃない顧客とのつながりを深くしているのだなぁと思います。
顧客との信頼関係・・・。そのプロセスを大切にしても数字に表れないとダメ出しを食らう新聞販売現場には、そのような余裕もなくなっていると感じます。そして、そんなお家事情を顧客はしっかり見ているものです。
株式会社博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所(本社:東京都港区、所長:吉田弘)は、生活者のメディア接触の現状を分析する「メディア定点調査2013」を実施しました。
東京地区の調査結果によると、マス4媒体とインターネット2媒体(パソコン、スマートフォンを含む携帯電話)を合わせた1日のメディア接触時間は、5時間53分(週平均)と昨年とほぼ同数値となりました。1日のメディア接触時間は生活時間の中で飽和状態であると推定され、2010年以降、数値にほぼ変化はありません。
近年、パソコンおよび携帯電話(スマートフォン含む)からのインターネット接続時間が伸長していましたが、今回、携帯電話からのインターネット接続時間は50.6分と、昨年の40.4分から10分近く伸びる結果(125.2%増)となりました。一方、昨年に引き続きパソコンからのインターネット接続時間は減少が続いており、スマートフォンの普及を背景に、パソコン経由から携帯電話経由へとインターネット利用の切り替えがさらに進んでいることが窺えます。
携帯電話からのインターネット接続時間の伸びは、女性20代・30代に特に顕著で、女性20代では昨年の67.8分から52.1分伸び119.9分に(176.8%増)、30代では昨年の45.3分より28.6分伸び73.9分(163.1%増)という結果となりました。(引用終わり)
マス4媒体の接触時間はそう変わらないものの、ネットの利用方法(時間)が自宅や職場のパソコンからケータイ&スマホへと変化しています。「どこにいてもネット環境に接触できる社会」に向かっていることが感じ取れますね。
今だけ委員長の自宅でも無線ルータを使い書斎あるPCで私がブログ(たまには仕事も)を書き、ダイニングにあるノートPCでは嫁がダイエットレシピをチェックし、リビングでは娘がiPadでプリキュア(YouTube)を観ている・・・テレビを見るよりネットへアクセスしている時間が多い時もあります。
費用対効果なのか、習慣性なのか、はたまた時代にマッチしていないのか・・・。新聞購読はそれぞれの価値観(読めば間違いなく社会全体の動きがわかると思うのですが)が大きく左右するものですが、「販売店が努力していないから」と新聞社のエライ方々が一蹴して済む問題ではなくなっていることだけは確かです。
いよいよ、米国で月間4600万人が訪問するニュースサイト「ザ・ハフィントン・ポスト」日本版(ハフィントンポストと朝日新聞の合弁会社『ザ・ハフィントン・ポスト・ジャパン』が運営)が7日、創刊しました。
日本版はブロガーによるブログ記事、ニュース記事、ソーシャルコメントの3つの要素で構成され、「団塊ジュニア世代」をターゲットに政治、経済、国際、社会の4つのテーマからスタートするそうです。ブロガーの間では「ハフィントン日本上陸 ネット×新聞の新型メディアなるか」との期待感もあるようです。
これまでも、さまざまな外国メディアの日本版が創刊(WEB系のニュースメディアとして)されてきましたが、『大ヒット』というレベルには達していません。オーマイニュース(韓国)やウォールストリート・ジャーナル日本版(読売新聞系)も鳴り物入りでネットユーザーを煽ってきたけれど、ツイッターで配信され「タダ読みチェック」はするけれどビジネスとしての成立は難しいようです。
▽ハフィントン・ポスト日本版発表会 主な発言(2013.5.7付 朝日新聞DIGITAL)
http://www.asahi.com/national/update/0507/TKY201305070186.html
▽ハフィントン・ポスト日本版創刊、ネット上に「良質な言論空間」を(2013.5.7付INTERNET Watch)
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20130507_598400.html
▽本日オープン「ハフィントンポスト日本語版」、編集長「テーマは団塊ジュニア世代」(2013.5.7付Business Journal)
http://biz-journal.jp/2013/05/post_2053.html
現場(販売店)勤務から2週間が経ちました。まだ思うように自分のペースをつかめていないため、多くの方々からいただく連絡や情報提供に反応できず申し訳なく思っています。
新聞産業などの硬派ネタは引き続き小ブログで綴っていこうと思っていますが、販売店の日常については、河北新報社が運営するSNS「ふらっと」で発信していこうと考えています。こちらもお時間のあるときに訪問していただければと思います。
「こせきかつや通信」 http://flat.kahoku.co.jp/u/senpan/
* * *
「朝日新聞が東奥へ新聞印刷を委託」の記事が18日、東奥日報(2社面)、朝日(3社面)、河北新報など(共同通信配信)へ掲載されました。
東奥日報社内でも極秘扱い?されてきたとのことですが、これまでも小ブログで指摘してきたとおり部数収入が伸び悩む新聞産業界は合理化へシフトせざるを得ません。全国紙と地方紙の業務提携だけではなく、地方紙と地方紙の下流部門の受託もさらに加速すると思われます。
今回の朝日と東奥の印刷受託に関して、個人的に気になったのが陸奥新報社の動向です。陸奥は1975年1月から青森県内で発行する朝日、日刊スポーツ(日刊スポは同年3月から)の受託印刷をしてきたのですが、朝日の受託印刷から25年目の2000年1月に事態は一変することになります。
1998年、朝日は業績不振と再販制度の対応に向け、21世紀に生き残りをかけた体制を掲げ、全国19ヵ所の現地印刷工場を2000年までにすべて40頁(カラー面12頁)印刷可能な輪転機を設置して独立採算の印刷会社組織に統合する方針を陸奥へ通達。それまでも経営悪化に喘いでいた陸奥は自社の印刷部門を廃止し、新会社の樺ゥ日弘前プリンテックへ出資(出資比率:朝日51%、日刊グループ34%、陸奥15%)、経営に参画することになるのですが、逆に印刷を委託するという立場になったのです。設立当時は陸奥の印刷局員が朝日弘前プリンテックへ出向して作業をしていました。
3年後とはいえ、朝日が東奥日報印刷センターへ印刷委託をするということは、朝日弘前プリンテックはいずれ廃止(陸奥が単独で印刷工場の経営まで維持するのは困難)となる公算が強い。そうすると陸奥の印刷をどこが担うのか。1985年にそれまで陸奥への印刷委託をやめた日経系の青森高速オフセット株式会社になるのだろうか・・・。
陸奥新報の仲間がこだわってきた新聞発行が途絶えないことを願います。
きのうの早朝、青森の新聞販売の仲間から電話が入りました。「けさの河北新報が輪転機の故障で販売店に届かず、欠配になった」というショッキングな内容でした。私たち販売労働者は東日本大震災のとき、欠配せずに(津波被害を受けて機能不全となった販売店エリアを除く)新聞を配り切ったのに…。とても残念な気持ちになりました。
その後、青森や福島の販売関係者(新聞社に勤務する)からも同じ内容のメールを受け、「輪転機のモーターを冷やす冷却ファンの故障で印刷が遅れた」、「輪転機4セットのうち1セットが使えなくなり、読売、朝日など受託分を優先して河北新報本紙の印刷が遅れたと思われる」との情報を把握。NHK(青森放送局)では同日の正午過ぎのニュースで報じたそうです。
▽印刷機故障で河北新報届かず(NHK ONLINE青森県のニュース)
河北新報印刷センターの輪転機は東京機械の「シャフトレス」タイプで、1台の機械に4個のモーターを装備。1個に不具合があると、そのプレスが使えなくなる弱点があるそうです(関係者談)。
▽輪転機トラブル 1700部配達できず 河北新報社
22日夜、河北新報印刷センター(仙台市泉区)の輪転機が故障し、23日の河北新報朝刊の印刷が停止した。輪転機はその後復旧し、印刷を再開したが、秋田県全域と青森、岩手、福島県内の一部店舗への新聞輸送が間に合わず、4県で計約1700部が配達できなかった。
河北新報社は配達できなかった23日の朝刊は24日の朝刊と一緒に届けることにしており、「読者にご迷惑をおかけして申し訳ありません。原因を調べ、こうした事態の防止に努めます」としている。(1/24付 河北新報朝刊)
ミスのない仕事などあり得ず、全国紙の印刷受託を決めた時点でさまざまなリスクは想定されたことでしょう。でも大切なのは、ミスが生じてしまった際に読者(こういう場合は販売店にもかな)に対して真摯にお詫びをする姿勢だと思います。そして、つきなみですが原因の究明と事故の再発防止に全力をあげることしかありません。また、欠配や店着遅れが許されない新聞印刷を受託することのリスク管理にも注視してもらいたいと思います。「(輪転機という高額な)設備の稼働率をあげる」のはもっともなのですが、ミスが許されない新聞印刷においては緊急時の予備として1セットの輪転機を配備してきたということを経営陣も労働者も忘れてしまったのかもしれません。
新聞産業は新聞社だけで成り立っているのではなく、関連会社、販売店があって(宅配されて)「商品」として完成されるものです。特にブロック紙の河北新報は東北6県を販売・宅配エリアにしているため、配送作業は大変な労力がかかります。「どこが悪い」、「誰が悪い」と責めるのではなく、リスクを最小限に止める努力を新聞産業の末端の労働者として行っていきたいと思います。
【追記】
NHKオンラインがリンク切れとなったので、青森に住む同業界の仲間から送ってもらった画像を差し込みました。
新年あけましておめでとうございます。
全国的に穏やかな元日を迎え、分厚い元旦号を届けた新聞配達スタッフもホッと一安心といったところでしょうか。大変お疲れさまでした。
ほかの新聞社でも被災地の復旧・復興、被災された方への支援と称して、多大な寄付を当該の新聞社および各自治体などへ贈っています。ただ、今回のように読者を巻き込んだ取り組みは、よほどの信頼がないと逆にマイナスイメージを持たれるというリスクを背負うものです(読売も以前にやってましたが)。被災した販売店からも徴収(あくまで寄付ですが)されるのはムムム…と思いますが、さすが朝日新聞と思わせた取り組みだと思います。
▽朝日新聞の読者紹介運動で寄付、震災遺児支援に4600万円
朝日新聞社の読者紹介運動を通じて全国から集まった寄付金約4600万円が、東日本大震災で親を亡くした子どもたちを支援する「桃・柿育英会 東日本大震災遺児育英資金」に贈られた。会を立ち上げた一人で実行委員長を務める建築家の安藤忠雄さんが12月20日、朝日新聞東京本社を訪問。木村伊量社長から寄付金の目録を受け取った。
10月から2カ月間にわたって朝日新聞社が展開した「東日本大震災遺児育英支援・読者紹介運動」では、新たな新聞購読者を紹介した人と、紹介を受けたASAのそれぞれから1件につき500円ずつを預かり、合計1千円を寄付金にあてた。全国約1万3千人から4万6178件の紹介があり、寄せられた4617万8000円が震災復興の支援に結びついた。
同育英資金は、指揮者の小澤征爾さんやファーストリテイリング会長兼社長・柳井正さん、ベネッセホールディングス取締役会長の福武總一郎さんらが発起人となって2011年に発足。震災遺児らが高校を卒業するまで、自治体を通じて毎月一定額を給付する活動を進めている。
飯田真也常務取締役販売・教育事業担当、岩谷一弘東京連合朝日会会長らが取り囲むなか、安藤さんは朝日新聞大阪本社の新社屋「中之島フェスティバルタワー」などの話で終始場を盛り上げた。目録を受け取ると、「これまでに38億円集まった。子どもたちがしっかり卒業するまで我々もがんばりたい。ありがとうございました」と話した。(新聞通信 2012年12月25日付)
▽新聞配送車で野菜直送 空き荷台活用(沖縄タイムス 11/25付)
新聞配送車が野菜を運ぶ−。タイムス発送(浦添市)が21日から、農産物直売所からホテルに野菜を直送する新しい事業を始めた。朝刊を配送した帰りの空になった荷台を活用し、商圏を広げたい直売所と、県産食材を使いたいホテルの橋渡し役を務める。
県農林水産部の「直売所を核とした県産食材消費拡大事業」の一環。県産食材をホテルに宿泊する観光客にも食べてもらい消費拡大を狙う。
南城市の高原の駅なんじょうと那覇市のリーガロイヤルグラン沖縄を結ぶ。新聞配送車は朝刊を各販売店に届けた後、午前4時ごろ直売所で野菜を集荷し、同5時ごろホテルに納品する。
ホテルは直売所に食材費を、直売所はタイムス発送に配送手数料として売り上げの20%を支払う。当分は週3回で配送し、頻度やコースの増加を目指す。
直売所とホテルを対象としたアンケートによると、直売所は「ホテルは敷居が高くて納品しづらい」、ホテル側は「県産食材を仕入れたいが供給が不安定」との課題がわかった。同事業では、直売所が1週間の予定品目・収穫量を報告したり、ホテルが品目や量を注文したりするなど、食材の供給過不足の解消にも取り組む。買い手が決まっていれば農家も増産しやすくなるという。
同事業は沖縄タイムス社、タイムス発送、電通沖縄、リンクスが受託した。4社で誘客や供給の実証、関連イベントなどを手掛ける。
沖縄タイムス社は2011年3月から交通手段の不足や身体的な理由で日常の買い物に支障を来している「買い物弱者」支援のため、買い物代行事業「買いまーる事業」を那覇市や浦添市の一部地域をモデル地区に開始しています。
http://img03.ti-da.net/usr/kaimonodaikou/2011-03-27-M_1-012-1.pdf
沖縄県からの補助金「ふるさと雇用再生特別基金」を申請して立ち上げた事業で、ソーシャルビジネスという位置付けで販売店が持っている配達インフラを活用して「買い物難民」とスーパー(食料品)を結び付けるビジネスプラン。地域に根差した販売店従業員と住民とのコミュニケーションを通し、高齢者や身がい者の方々が安心して暮らせる社会づくりに取り組みを展開しています。
提携するスーパーは地元大手の「タウンプラザかねひで」。実施地域は那覇市、浦添市内の一部地域で順次拡大予定とのこと。買いまーるの内容は利用希望者が買いまーる事務局(沖縄タイムス内)へ申し込み。年会費1,260円を支払い、利用料は1回の配達に付き500円。「かねひで」のカタログから利用者が電話もしくはファクスで事務局へ注文し、沖縄タイムス販売店従業員が「かねひで」各店舗で買い物、利用者宅へお届けするという仕組みです。配達に従事する販売店スタッフはスーパーで研修を受け、袋詰めなどの講習や対応マニュアルの教育を受けているとのことです。
2009年の夕刊休刊(琉球新報も同時に休刊)で配達スタッフの収入が大きく減少したこともあり、配達スタッフの賃金確保にも効果があがっているといいのですが…。
時代の変化に対応できる者のみが生き残る―。それには、しっかりした従業員への理解と組織の地固めが必要。思いつきで「あれやれ、これやれ」では“いざ鎌倉”の時に太刀打ちはできないでしょうね。
読売新聞が仙台市にほど近い大和町へ印刷工場を建設することが確定しました。2015年2月からの稼働で、宮城県内円域と岩手、山形両県の一部へ同紙約12万部を印刷するとのニュースが入ってきました。以下に引用します。
▽宮城・大和に本社新工場 東北に情報発信(読売新聞 10/27付)
読売新聞東京本社は26日、震災で被災、閉鎖した仙台工場(仙台市宮城野区)に代わり、新たに宮城県大和町(たいわちょう)に用地を取得し、新仙台工場(仮称)を建設すると発表した。2015年2月から、宮城県全域と岩手、山形両県の一部地域に配達する読売新聞朝刊約12万部を印刷する予定だ。
新仙台工場は、大和町の工業団地「大和リサーチパーク」内の約1・2ヘクタールに建てる。この土地を選んだ理由は、地盤の固い内陸部で、東北道の泉インターチェンジに近いなど輸送にも適しているため。仙台工場の跡地は売却した。
26日には、同本社と県、大和町が県庁で立地協定書に調印した。杉山美邦(よしくに)・専務取締役経理局長は「東北の読者にニュースを確実に届けるのが我々の使命。一刻も早く建設したい」と意気込みを語った。宮城県の村井嘉浩知事は「情報発信の拠点としての重要な役割を担ってほしい。新工場建設は復興に欠かせない」と期待し、大和町の浅野元町長も「一日も早く用地を引き渡せるよう協力したい」と力強く話した。
同本社は現在、閉鎖した仙台工場の代わりに、今年3月から河北新報社に印刷を委託している。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/yamagata/news/20121026-OYT8T01524.htm
▽読売新聞印刷工場宮城・大和に建設へ 県・町と立地協定(河北新報 10/27付)
読売新聞東京本社は宮城県大和町に新たな印刷工場の建設を決め、26日、宮城県、大和町と立地協定を結んだ。来年11月に着工し、2015年2月の稼働を目指す。
用地1.2ヘクタールに鉄筋3階の建屋を建設し、輪転機2セットを備える。宮城県全域と岩手、山形県内の一部に配る朝刊約12万部を刷るほか、他媒体の印刷も検討する。総投資額は未定。稼働に伴って新規雇用を予定する。
立地場所はリサーチパークの拡張区域約9ヘクタールの一部。同社は仙台市宮城野区の旧工場が東日本大震災で被災、閉鎖したため、代替拠点の整備を検討していた。
協定締結式に出席した読売新聞東京本社の杉山美邦専務は「(立地場所は)地盤がしっかりしている。安定してニュースを届けたい」と語った。村井嘉浩知事は「雇用拡大など地域活性化を期待する」と歓迎した。http://www.kahoku.co.jp/news/2012/10/20121027t12030.htm
* * *
今年3月から読売新聞、10月から報知新聞(スポーツ報知)を受託印刷している河北新報印刷センターですが、その受注業務は永続的なものではなくあと2年4ヵ月という期限付き。同じく受託印刷している朝日新聞も「ずっと…」という保証はないわけです(読売の印刷工場竣工と同時に鞍替えされないか心配)。受託によって既存の河北系販売店の店着遅れなども生じ、逆に新聞社として窮屈になっていく可能性もあるように感じます。
また、読売新聞は地方都市で印刷工場を運営する際に大手印刷会社との合弁会社を設立して運営していることから、「今度はどこと組む?」のか気になります。
フェイスブック上では、「被災地への工場建設と雇用創出で(読売新聞が行政から)助成金のようなものが受けられるのだろうか」といった意見も出されており、今後の同社の動きも気になります。
もっと早くアップしたかったのですが、「公言禁止令」が出されていたので、“サラリーマン”の今だけ委員長も河北新報社の「プレスリリース」が出されるまで自重していました。昨年3月11日の東日本大震災で閉鎖を余儀なくされた「読売新聞仙台工場」(仙台市宮城野区苦竹)での印刷作業が途絶えた時点で、報知新聞労組の関係者からいろいろと話をうかがっていたので、“いずれこうなる”とは思っていました(正式には今年7月末に読売から報知新聞印刷の要請があり、9月に本契約)。
これまで報知新聞の印刷を担ってきた郡山工場では、(東北六県への)輸送時間の問題で読売ジャイアンツのナイター戦の完全掲載ができないことや今年は読売ジャイアンツの優勝(相当の圧力によって)が確実になってきたことなどから(この優勝を記念に同社の老害が引退をしてくれるとイイのですが…)、同工場では読売ジャイアンツのファン層を多く抱える報知新聞からの要望に応えられなくなっていました。
当面は、夏季(ナイターシーズン)は14,000部、冬季(プロ野球のオフシーズン)は16,000部を2015年2月末まで受託印刷するとのこと。
さて、販売店からすると“すんばらしい輪転機”の対応力があれば、さほど気にするものではないのですが(新聞社にも儲けていただかないと…でも実際に作業をするのは河北新報印刷の皆さん)、私たちがいう「本紙」(河北新報)の販売店着が遅れてしまっては元も子もありません。というか、3月に読売新聞の受託印刷をスタートした時点から毎週末は相当の遅れが生じています。
「ことあるごとに(店遅れを是正するよう)改善を求めている」とエライ方々には尽力していただいているようですが、なかなか「改善」は難しいようです。この状況が続くと、企業内における「慢性化」が進み、読者からそっぽを向かれてしまうのではないかと懸念しています。
新聞社間の受託印刷は時代のすう勢とも相まって、受け入れる側に「利益」をもたらしますが、その受け入れ態勢のシステムを軽んじて“ケチって”しまうとちゃぶ台返しを食らうことになりかねません。
新聞を愛読していただいているシルバー世代は、「決まった時間」に新聞が手元に届くという習慣が、継続購読(もちろん新聞に対する信頼性も)の土台を築いているということを新聞社の方々に僭越ながら「ひと言」伝えたいのです。
* * *
さすがに早い。業界紙の文化通信社さんがこの情報をアップされています。
▽河北新報、スポーツ報知の印刷を受託 東北3県向け(文化通信 10/16付)
http://www.bunkanews.jp/news/news.php?id=13129
日本新聞協会が毎年実施している「私の提言―明日の新聞広告・新聞ビジネス」の第3回目の優秀作品が8日、発表されました。
同コンクールの目的は「今後の聞 広告、新聞広告に関連した新たなビジネスモデルなど、新聞広告ならびに新聞産. 業の 将来に向けた『提言』を求める。これら『提言』を活用して対外的な情報発信を強化するとともに、新聞産業の活性化を図ること」。新聞協会がこのようなコンクールに取り組む3年ほど前から、日本新聞労働組合連合(略称:新聞労連)では新聞産業の新たなビジネスモデルを経営側へ提言すべく、「新聞産業研究会」を立ち上げて活動しています。先ごろ、第2期の中間報告書が発表されています。
今回、優秀賞に選ばれた提言は、中日新聞社・鶴田航さんの「販売局・販売店との連携による広告新商品の開発」と、朝日新聞名古屋本社・荒井達さんの「新聞が切り拓(ひら)く教室〜出張授業による教育CSRで企業と親子世代をつなぐ〜」の2作品。
▽中日新聞社員に優秀賞 新聞産業の提言コンクール(日本経済新聞 10/8付)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0800W_Y2A001C1CR8000/
両作品ともこれまでの新聞紙面を活用したり、博覧会のような文化事業による収入確保という新聞社の王道的な分野からは離れ、販売店のデータベースや宅配網の活用、学校や子ども会への新聞を活用した出張講座へ自ら出向く―といった内容になっています。
きのうの読売新聞の記事。
▽尖閣地図の表示狙う…中国新聞社HPを攻撃(読売新聞 9/27付)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120927-OYT1T00598.htm
個人情報の管理は現場で作業する販売店だけではなく、こうしたネット上での攻撃を受けるケースもあるのだと…。
セキュリティのレベルを高めても、それを上回る技術が開発される昨今、地道に自社が有する個人情報を守るしかないのです。
9月12日午後9時過ぎ、私が勤務する会社(河北仙販長町南支店)が火事に見舞われました。多くの方にご迷惑とご心配をお掛けしました。心よりお詫びします。現在は当該支店社員および近隣の販売店の協力もあり、早期復旧に向けて取り組んでいます。
▽仙台放送スーパーニュース(2012/9/13午前放送)
http://ox-tv.jp/supernews/movie/movie-window.html?type=H&no=2&f=20120913
(以下は13日朝刊へ折り込んだ「お詫び」のチラシ)
平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、9月12日午後9時過ぎ、河北仙販長町南支店において火災を生じました。この火災に際しましては、地域の皆さま方、お客さまならびに関係者の皆さまには大変なご心配とご迷惑をおかけいたしました。心よりお詫び申し上げます。
皆さまには、あらためてお詫びを申し上げるとともに、今後ともご指導、お引き立てのほどよろしくお願いいたします。
今後は、店舗の安全管理には、より一層厳重に対処いたし、二度とこの様なことのないように努めてまいります。
出火原因や被害状況などの詳細につきましては、現在消防と警察におきまして調査中です。
なお、電話が開通するまでの期間、当支店へのご用命は以下の電話番号にて対応させていただきます。
お客さまにはご不便をおかけいたしますが、1日も早い復旧を図ってまいりますので、再開後には引き続きご愛顧頂ければ幸いでございます。何卒ご理解、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。
平成24年9月13日
出火の原因は現在調査中ですが、出火場所が物置(使用済ビニール袋や残紙など)であることから、漏電かタバコなどの火の不始末が原因ではないかと考えていました。ですが、その二つの可能性は低いとのことで、ビニール類の自然発火の可能性もあるという説明を受けました。
多くの新聞販売店には新聞をラッピングする機械が配備されています。そのラッピング機に使用するビニールロール(新聞ロール)が密閉した倉庫内の気温上昇などの外的要因により発火した可能性もあるようです。あくまでも「疑い」の域を出ませんが、ビニール類は通気性のよいところへ保管されたほうがよいのではないか―ということを「アドバイス」としてお伝えしたいと思います。
人的被害や近隣住宅への飛び火などもなく、そして翌日の折込チラシも無事だったことが何よりの救いでした。震災後、復興に向かっていた矢先だったので少々気が滅入ってしまう事故でしたが、前を向いて一歩ずつ進んでいきたいと思います。
※左は熱風で溶けたものの「配達用定板」も無事でした。
▽朝日新聞、名古屋本社の土曜夕刊休刊…来月から
朝日新聞名古屋本社(愛知、岐阜、三重県と静岡県の一部)は、来月13日付から土曜夕刊を休刊することを決めた。
11日付朝刊社告で明らかにした。読者のライフスタイルの変化や、新聞販売所の労働環境の改善に対応したとしている。
日本ABC協会によると、7月の管内の夕刊発行部数は、11万4064部。
同社によると、来月14日からは、別刷り媒体として「asahi+C」を第2、4日曜に発刊し、管内の朝刊に折り込むという。(2012年9月11日11時46分 読売新聞)
▽朝日新聞、東海4県で土曜夕刊を休止 11万部余
朝日新聞名古屋本社は、管内の愛知、岐阜、三重県と静岡県の一部について、来月13日付から土曜夕刊を休刊することを決めた。読者のライフスタイルの変化などに対応したとしている。11日付朝刊社告で明らかにした。
同社によると、新媒体として来月14日から、「asahi+C」を第2、4日曜に発刊。管内の朝刊に折り込むという。
日本ABC協会によると、7月の管内の夕刊発行部数は、11万4064部。(2012年9月11日14時57分 産経新聞)
* * *
セット版月ぎめ購読料は変更せず、別刷り媒体(asahi+C)を発行してその穴埋めをするようです。
「まずは土曜日の夕刊から・・・」といって最終的には休刊されていった夕刊。「読者のライフスタイルの変化や販売店の労働環境を考慮」などという理由はいまに始まったわけでもなく、とうとう商習慣を変える経営改革に乗り出したのだろうと思います。
販売店ではどうでしょう。土曜日の夕刊がなくなったからといって、配達スタッフの賃金を下げるわけにはいきません。ガソリン代などの経費は若干削減になるものの、購読料に変更がなければ新聞原価は変らないので、大きな効果は見込めません。
一方、新聞社は紙代などの印刷経費が相当カットできるため大きな削減効果が見込めます。それよりも実売以上の無駄な残紙を減らせばかなりの経費削減につながるのですが、そこへ切り込む経営者は皆無です。
新聞産業の進む道・・・。縮小再生産しか残されていないのかと、深いため息をつく日々が続きます。でも、ため息ばかりついても何もはじまらない。「しかたない・・・」という潮流に抗っていくしかないのです。
「自然の猛威…」。文字で書くのは簡単ですが九州地方では大変なことになっています。九州北部では梅雨前線の影響で、観測史上「経験したことのない」大雨に見舞われて、川の氾濫や土砂崩れによって死者、行方不明者の数は28人。大参事です。
▽九州北部豪雨、4県26万人に避難指示 八女、筑後は1時間110ミリ(西日本新聞 7/14付夕刊)
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/312782
九州エリアの新聞社や新聞販売店に勤める皆さんのことがとても心配です。被害に遭われた皆さまに心からお見舞い申し上げます。
12日未明の豪雨で熊本、大分両県の被害が報じられた際に、熊本日日新聞の販売店主さんへ連絡を入れたところ「私のエリアは人的被害はありませんでした。自然災害が起るたびに、もっと自然に配慮した暮らしの必要性を感じる」とのことで、ほっと一安心。
何はともあれ、人命優先です。情報が寸断された方々へ「新聞を届けたい」という気持ちは痛いほどわかりますが、避難勧告が出されているエリアは二次災害も起きやすいものです。配達作業の安全が確保できてから新聞の到着を待ってくれている方へ届けても遅くはありません。
昨年の東日本大震災を経て今だけ委員長がもっとも反省している点は、翌12日の朝刊配達作業に際し、路面の安全確認もできないままに暗闇の中を配達に向かうスタッフをそのまま送り出してしまったことです。道路の陥没、アパート等の階段の崩壊など、せめて夜が明けてから(足元が確認できてから)配達作業を行ってもらうよう指示すべきでした。結果としてほぼ100%各戸配達をすることができたのですが(今だけ委員長が勤める会社のエリア内)、事故が起きなかったことが「奇跡」だったのかもしれません。
「人命優先」。現場の状況をしっかり判断して、的確な指示をすることが災害時には一番必要なことです。
【追記】7/14
▽九州北部 引き続き土砂災害警戒を(NHKニュース速報7/14 22:53)
渦中の消費税率引き上げの採択直前に、活字文化議員連盟(会長・山岡賢次前国家公安委員長)が新聞・出版業界に後押しされて、新聞および出版物の軽減税率を求める声明を発表しました(6/21の小ブログで取り上げました)。
「学校図書館へ新聞を購読してもらえ」と意気込む新聞販売陣営。NIEの取り組みはこれからの読者を育てるという大事なプロジェクトであることは間違いありませんが、被災地ではこのような実態があるのです。
軽減税率を求める前に、活字文化が重要だと紙面でぶち上げる前に、活字に触れ合う機会を減少させるような予算配分に対してもっと(紙面で)声をあげてもらいものです。
▽朝日新聞デジタル、新たに2紙提携 山陰中央・十勝毎日(朝日新聞5/10付)
朝日新聞の電子版「朝日新聞デジタル」を、山陰中央新報と十勝毎日新聞の購読者も月額1千円で利用できるサービスが、6月からスタートする。対象となるのは、山陰中央新報は島根、鳥取県在住、十勝毎日は北海道在住の購読者。
朝日新聞社はすでに、山陰中央新報社と新聞販売で、十勝毎日新聞社とは印刷などで協力関係にある。さらに今回、両社とデジタルを含む幅広い分野で協力を進める提携基本合意書に調印した。
朝日新聞デジタルの購読料は月額3800円(デジタルコース)。朝日新聞を宅配で購読していれば、紙の購読料プラス月額1千円(ダブルコース)で利用できる。
昨年9月からダブルコースの対象を、沖縄タイムス(本社・那覇市)の購読者に拡大。今回で、デジタル提携する地方紙は計3社になる。
http://www.asahi.com/business/update/0510/TKY201205100612.html
提携した地方紙からすると(紙の)現読者の維持策という見方もありますが、それぞれの地方のASA(朝日新聞販売店)の「プラス1,000円でデジタルも」という優位性はなくなるように感じます。なにせ朝日新聞デジタルは単品だと月額3,800円という紙新聞に比べても安くない価格設定(使ってみると3,800円でも納得価格なのですが)で、その背景には「紙離れによる部数減」を懸念するASA側の意見を組み入れたということから逆行していると思わざるをえません。
一方、「ASA転身支援制度」の導入もあって、地方ではASAの統廃合は着々と進められています。沖縄、島根、北海道(十勝エリア)でのASAをどのように展開させようとしているのか、朝日新聞(販売部門)の動向が気になるところです。
いずれにしても、朝日新聞の販売店政策も含めて今後の動向を見ていきたいと思います。
▽沖タイ読者も月1千円で「朝日新聞デジタル」購入可「紙」の定期購読者を守る秘訣となるか(2011/8/23)
http://minihanroblog.seesaa.net/article/221960563.html
▽リクルート 「チラシ部!」廃部
ネット上で全国各地のチラシなどを閲覧できるリクルートの「チラシ部!」が3月16日でサービスを停止する。同サービスは無料で、小売店などのチラシやクーポンなどをパソコンやスマートフォンで閲覧でき、2月現在の掲載店舗数は4万8675店に上る。提供する情報量などを総合的に判断した結果、サービス停止に至ったとしている。リクルートは昨年2月、折込チラシとテレビ番組を無料で宅配する「タウンマーケット」を終了。チラシ閲覧サイトは継続し、6月30日から名称を「チラシ部!」に改めた。(新聞情報 2月4日付)
リクルートが「タウンマーケット」をはじめた時は、正直、「これはヤバいかも…」と思いました。だって、「オタクの新聞はチラシが多いから購読しているんですよ」と読者にいわれるケースも少なくなかったので、新聞折込広告(新聞販売店のビジネスモデル)の土台が崩れるかもしれないと思ったものです。ですが、タウンマーケットも「毎日届ける」という宅配システムまでは費用面などの問題で構築できませんでした。新聞という情報媒体の宅配インフラがあって、そのシステムにチラシが折り込まれて各家庭へ届くというサービスが残ったわけです。
そして今度はタウンマーケットから引き継がれたチラシポータルサイト「電子チラシ(チラシ部!)」のサービスが停止することになったのです。現在、凸版印刷(シュフー)、DNP(オリコミーオ)など大手印刷会社が、「紙」でのチラシ作成を受注するクライアントへの付加価値として電子チラシを提供していますが、その電子チラシのサイトがどれだけ閲覧されているのか、プリントアウトをしてチラシのクーポンなどを使っている利用者はどの程度いるのか―。
やはり、新聞折込チラシは毎日新鮮な情報が決まった時間に届けられ、携帯性にも優れて家族で回し読みもでき、購買意欲をかきたてるデザイン(カラー)が消費者のニーズに適しているのだと思います。これこそ、日本の新聞産業界が培ってきたチラシ文化(新聞折込なので広告内容基準も安心)だと思います。人口減や諸費低迷で先細りをする広告費を「タコ足食い」することなく、(手前みそですが)餅は餅屋に任せておいた方がよいと思います。電子チラシのポータルサイトとシナジー効果を生む工夫をしながら、紙チラシの補完としてそれぞれの役割を果たしていきたいものです。
このようなメディアの動きを見ていると、採算が合わなければさっと身を引くリクルート社の潔さとスピード感は抜群ですね。
▼チラシ部!(リクルート)
http://www.recruit.jp/service/area/area/chirashibu/
▼オリコミーオ(DNP)
http://www.dnp-orikomio.com/
▼Shufoo!
http://www.shufoo.net/
【追記】2/22 06:49:51
フェイスブックのお友達の方から以下のコメントが寄せられました。
「やっぱり、チラシは紙媒体でサインペンで丸印を付けないと、戦闘意欲がわきません。主婦のひとり言 」
年末の忙しさを言い訳にだいぶ遅レスになってしましましたが、河北新報社(河北新報印刷センター)は朝日新聞に引き続き、読売新聞と来年3月から受託印刷することに合意したと発表しました。
▽読売が河北に印刷委託 仙台工場運休による分散解消へ(日本新聞協会報道界ニュース 12月9日付)
読売新聞東京本社と河北新報社は12月9日、東日本大震災の前まで読売新聞仙台工場(仙台市)で印刷していた宮城県全域と岩手・山形両県の一部向け読売新聞朝刊11万9200部を、来年3月1日から河北新報印刷センター(仙台市)で印刷することで基本合意したと発表した。読売は仙台工場が震災で大きな被害を受けたことにより、他の工場に分散しての印刷を余儀なくされていた。委託期間は3年。両社は輸送協力についても今後、協議を進めるという。
今回の委託印刷で読売は、印刷を分散している状況を解消し、東北地域での新聞発行体制の安定化を図る。河北は印刷を受託することで、生産設備を有効活用する。
読売の仙台工場は現在、製作設備を撤去し、運休している。震災前まで同工場で刷っていた読売・報知の両紙は、読売の郡山工場(福島県郡山市)と岩手日日系の青森高速オフセット(青森県弘前市)に振り分けている。今回、委託印刷を合意したのは読売のみ。仙台工場で刷っていた報知1万7千部は現在、郡山工場で1万4千部、弘前工場で3千部を印刷している。
河北新報印刷センターは2003年に稼働、40ページ24個面カラーが可能な高速タワー型オフセット輪転機4セットを保有している。免震構造を採用し、震災でも被害はなかった。
河北が全国紙を受託印刷するのは朝日に続き2社目。読売は十勝毎日、岩手日日のほか、近年では新潟(10年9月開始)、北日本(11年3月)、朝日船橋工場(千葉県船橋市、同年6月)などに委託している。
http://www.pressnet.or.jp/news/headline/111209_1629.html
3カ月ほど前から関係者の間では話題になっていたことですが、読売新聞と関係の深い報知新聞(スポーツ紙)も受託するかどうかが難航していたようです。報知新聞の関係者によると「(受託印刷によって)労務問題が発生する可能性がある為、報知の入るスペースはなかった」とのこと。
スポーツ紙は、プロ野球のナイター結果を完全掲載することがいわば生命線でもあるため、降版時間が確定しづらいスポーツ紙の受託は難しいと判断されたのかもしれません。それでなくとも、聖教、朝日、読売、河北新報と輪転機を目一杯稼働させながらの業務はかなり大変になるでしょう。
また、今回の業務提携では輸送部門の協力体制も検討されているようです。共同輸送の仕組みは新聞社経営の効率化という意味で必要不可欠ではありますが、雪の多い東北では「安全第一」の輸送体制に重きが置かれるべきですね。
もっとも下流にある販売店問題については、これまでのところ販売店同士の紙の持ち合いなどの話は聞こえてきません。配達経費がかかるエリアの合売店化は加速しそうですが、仙台市などの比較的大きな都市部では拡販合戦がまだまだ続きそうです。
新聞社間の印刷部門の業務提携(受託印刷)が加速している昨今、発送、販売店部門を含めた流通部門の統廃合が動き出しています。
▽ASA所長の転進支援 朝日が一時金支給
朝日新聞社の飯田真也常務取締役販売担当らは16日、朝日新聞販売店主への転進支援制度の概要や趣旨を説明した。支援制度は10月から来年1月末まで、山梨、栃木、群馬、新潟、長野、静岡、東北6県、北陸3県、中国、四国、九州、北海道(札幌圏を除く)に本店を置き、朝日新聞を500部以上扱う専売店店主が経営を完全廃業した場合、500部から1000部までの扱い店に500万円、1001部以上の扱い店に1000万円の特別金を支給するもの。11月11日現在49件の応募がある。応募者の平均年齢は59歳、店主歴は平均18年。
飯田担当は制度の趣旨を「朝日販売網を支えたことに対して感謝の気持ちを表した。資金面で余裕のあるうちに支援したい」と説明。さらに、今後の人口減少、高齢化、デジタル化と若者の新聞離れ、東日本大震災後の折り込み減少、消費税などが新聞販売店に及ぼす影響に対して今から準備をしておく必要があると述べた。そのため、同社は朝日販売網を部数が伸ばせる競争地域(都市部)と部数を維持する協調地域(過疎地域)に分けて中長期の販売網のあるべき姿を検討していくとした。これまでも読売や日経などと「預け合い」を行ってきたが、今後は両紙に加えて協調できるすべての新聞社と相談して朝日新聞販売網、戸別配達網を守っていくという。
質疑応答では、制度が今回限りの特別措置であり新聞社側にも販売経費削減効果があること、100件以上の応募に対応できる予算をとっていることなどが明らかになった。(ジャーナリスト新聞 11月21日付)
印刷部門を提携したところで、その下流部門の発送(新聞輸送会社)と宅配(販売店)まで共同的な業務運営をしなければ、新聞産業全体のスケールメリットは得られないと小ブログでも指摘をしてきました。しかし、一方的に販売店を改廃するわけにはいかない。朝日新聞の販売店店主に対する「肩たたき」はそうしたジレンマを抱えながらの宅配体制を維持させるための施策なのだろうと感じます。
「専売網を維持するために、1000部の店だと毎年約1000万円の経費(補助金など)が必要となる」と記事は伝えていますが、1000万円の経費を使って「紙」を押しているわけですから、部数(販売収入)を維持するために自社の経費を使っているという新聞社の摩訶不思議なシステムまでには言及していません。販売店主さんも「紙」新聞や折込チラシの行く末を見れば、転身支援制度に応じる方も少なくないと感じます。いずれにしても、全国紙ほど専売店を維持するということがしんどくなってきているということなのです。
* * *
東奥日報が小学生記者を募集
東奥日報社(青森市)が来年1月末に発行する「東奥こども新聞」(第26号)の取材をする小学生記者を募集しています。購読者を取りこむという戦略は最も効果的な手法です。募集人員の60名(世帯)は間違いなく、長期固定読者として同紙を購読されると思います。
子ども向け新聞の発行部数が軒並み伸びているなかで、有料の新聞(毎日、朝日、読売)に関しては、小学館などその道の専門企業が紙面を構成するなど、コンテンツ自体もすばらしいものです(大人が読んでもオモシロイ)。ですが、地方紙が紙面の補完として提供している子ども向けのページ(新聞と言ってますが)はやはり読み応えはいまひとつ…。子どもページをつくる目的が「読まれるコンテンツをつくる」ということから、「とりあえず子ども向けの媒体はできたのだから、販路を拡大しろ!」へすり替わり、「現状ではこのレベルのものが手一杯」という編集側の苦悩さえうかがえます。会議室と現場のギャップはまだまだ大きな隔たりがあるものです。
あまり驚きはありませんが、朝日、読売、日経のANY連合が展開していたネット情報サービス「あらたにす」が来年春をめどに終了するそうです。
▽日経・朝日・読売の読み比べサイト「あらたにす」、2012年春メドに終了 PV伸び悩む(J-CASTニュース 11/10)
http://www.j-cast.com/2011/11/10112808.html
2007年11月、「ANY連合立ち上げ」の会見は業界人を震撼させたものです。今後の新聞業界の動きを大きく揺るがす連携かと思いきや三社ともそれぞれの独自路線を崩すことなく、この4年間は“ゆるーい”連合体として関係を維持してきたように思います。「あらたにす」(08年1月31日オープン)を業務連携のシンボル的に扱ってきたような節ももうかがえますが、ある関係者からは、「あれは12段組、印刷提携の(他社への)呼び水ともカモフラージュともいえるもの。いずれなくなる」という話を09年に聞いたこともありました。
「あらたにす」終了後には「ANY協議会」を新設して、「これまで事業ごと、プロジェクトごとに随時組成してきた協力関係を一元的に統括する役割を負う常設機関」として、あくまでも「連携の絆」は続けていくようです。
「(終了する理由について)…アクセス数や広告収入の低迷が背景にある」とのことですが、日経も朝日も有料電子新聞事業を展開しており、「タダ漏れ」させているサイトを整理したいというのが本音だろうと推測します。読売も来春から有料サイトの立ち上げを検討しているという話も聞いているので、3社が有料電子版で競合するとなると、ネット上でコンテンツを売るビジネスモデル(これまでのPV稼いで広告収入をあげるモデルではなく)にシフトした時点で「終了」となる運命にあったのでしょう。「あらたにす」は無料だったから展開できたモデルだったとも言えますね。個人的には「あらたにす」をブックマークへ入れて常にチェックしていたので残念なのですが…。
これは、日本の新聞社のネット事業にも大きく関わってくることのように思います。新聞社のネット事業をビジネスとして捉えるのか、地域社会とのコミュニケーションツールとして役立てるのか…。そう喘いでいる間に下流部門から切り捨てられていくのが、新聞社のみならず資本主義経済の常ですね。
販売系は地域に根差した「足で稼ぐ」御用聞き部隊として、物流系の販路を拡大させていくよう進化していかなければなりませんね。ふんばります…はい。
これは必見です。
9月11日(日)23時から、TBS系列で放送する「情熱大陸」。以下番組公式サイトから引用します。
【番組史上初の“生中継”も】新聞が発行できない―「存亡の危機」に彼らが下した決断は?
新聞の定期購読者だから受けられる有料「電子版」の価格サービスが、自社コンテンツだけではなく他紙の有料サイトも同様の付加価値を提供する取り組みが、朝日新聞と沖縄タイムスで行われます。
▽朝日新聞デジタル 9月から沖縄タイムス読者も月1千円
朝日新聞社と沖縄タイムス社は23日、様々な事業で協力することに合意した。朝日新聞の電子版「朝日新聞デジタル」が9月から、沖縄タイムスの購読者も月1千円で利用できるようになる。
朝日新聞デジタルは、パソコンやiPad、iPhone、アンドロイドOS搭載のスマートフォンなどで読むことができる新しい形の電子新聞。購読料は月額3800円(デジタルコース)だが、朝日新聞を宅配で購読していれば紙の購読料にプラス1千円(ダブルコース)で利用できる。このダブルコースを、沖縄県内在住の沖縄タイムス定期購読者向けに拡大する。9月1日から申し込みを受け付ける予定。
朝日新聞社と沖縄タイムス社はこれまで、記事や写真の相互提供、世論調査の共同実施、社員の人材交流などを行ってきた。これに加えてデジタル分野でも協力することにし、朝日新聞社の秋山耿太郎社長と沖縄タイムス社の豊平良孝社長が提携基本合意書に調印した。(asahi.com 8月23日)
新聞社経営基盤の根幹となる「紙」の定期購読者を維持するために、さまざまな付加価値を提供しています。メルマガ配信や会員組織などを展開する一方、「読者でなければ閲覧できないウェブ版」を展開する北日本新聞社などもあります。有料電子版で先行する日本経済新聞社、朝日新聞社は販売価格を定期購読者であれば1000円(Wプラン1カ月)、無購読者は3800円(日経電子版は4000円)という価格差をつけて現読者の維持に努めていますが、「紙」購読者の維持策を期待する地方紙とエリア限定(?)で1000円でも有料読者を増やしたい全国紙との思惑が一致したのだろうと思います。
朝日新聞は毎月3007円(統合版地域)の定期購読をしてWプラン(1000円)を享受できるのに対して、沖タイは2990円の購読料で同様のWプランサービスを受けられるのも注目です。
新聞社同士の提携は印刷、発送、販売など流通部門から、「紙」の定期購読者を維持すべく“ウェブコンテンツ相互乗り入れ”に動き出したようですが、「紙」の夕刊でもやれるんじゃないかなぁと思います。統合版しか発行していない全国紙と、セット発行している地方紙で「朝刊は朝日新聞、夕刊は河北新報」というセットプラン。夕刊単体で購読料を設定している新聞社であればセットプランで幾分か割引し(全国紙には販促費をキックバック)、落ち込む夕刊部数のテコ入れに使えないかなぁ。
新聞産業で働く労働者の全国組織、日本新聞労働組合連合の第118回定期大会が21、22日の両日、仙台市で開催されました。東京都以外での開催は初めてのことで、東日本大震災で被害を受けた新聞社、被災された方々に寄り添い、連帯の気持ちを表すためにと仙台での開催となりました。大会のメインスローガンは「社会的連帯に私たちの希望を」。参加者は200人。
以下、毎日新聞から引用。
新聞労連:定期大会を仙台で開催
新聞社・通信社など86労組でつくる新聞労連(東海林智委員長)は21、22の両日、仙台市で第118回定期大会を開いた。東日本大震災について、被災者支援▽原発依存のエネルギー政策転換要求―などの方針を確認。東海林委員長はあいさつで「被災者に連帯を表すため仙台の地を選んだ。被災者からは新聞が届くことが希望だとの声ももらった。被災者が人間として尊重される復興に向け、市民団体などとも連携し活動を続けよう」と訴えた。
大会では、宮城県で被災者支援に当たる市民団体の菊地修弁護士が、仮設住宅での孤独死など現状を報告。「発生4カ月を過ぎてもまだ『救助』の段階で、とても『復興』どころの話ではない」と指摘。また被災した地元新聞社労組などが当時の新聞製作・配達状況について体験を報告した。(毎日新聞 2011年7月22日)
新聞労連は被災地の新聞5社(デーリー東北、岩手日報、河北新報、福島民友、茨城新聞)へ7月20日の朝刊へ意見広告を掲載しました。被災者へのメッセージに加え、同定期大会を仙台市で開催する意義など、新聞労連に加盟する全国の労働組合の連名で伝えられています。「幾らかでも復興支援の足しになれば…」、「組合財政も厳しいが、できることをやっていく」(関係者談)とてもありがたい行動です。
会場では震災の様子を伝える写真パネルが展示され、参加者の足を止めていました。また、岩手日報、河北新報、福島民友が発刊した報道写真集の販売も行われ、売上金の一部は被災地支援として寄付されます。
一般市民にも公開された分科会(編集、製作・印刷・システム、広告・販売)も行われました。今だけ委員長も新聞販売部門のパネラーとして、震災直後から現在までの課題などについて報告してきました。会場からは、地震発生翌日の配達状況、部数・折込の回復率など関する質問や、被災者からの新聞代回収状況や販売店から発行本社への原価支払いなどお金の動きに対する疑問点なども出されました。
夜の懇親会では、九州・沖縄地連の方々と交流を深めました。「宮城の地酒が飲める店を」との要望を受けて、行きつけの居酒屋へ。はじめて食べる「ホヤ」に顔をしかねながら日本酒でグイッと流し込む…。話題は尽きることなくニ次会、三次会と地元飲食店の経済的復興にもご協力いただきました。
できるだけ多くの新聞労働者へ被災地の現状を視察していただこうと、大会開催の前後に自家用車で津波被害を受けたエリアを中心にアテンドしました。21日午前中は、東奥日報(青森)で働く仲間と石巻市渡波地区をまわり、22日午後は沖縄マス協の方を仙台市若林区エリアと今だけ委員長がボランティアでフォローしている避難所などの現場を見ていただきました。
「紙面やテレビを通じて見る光景よりも現場の実態は凄まじい。涙が出てくる」とは沖縄マス協・玉城さんの弁。今回の定期大会に参加した多くの方が津波被害を受けた沿岸部に足を運び、現場を肌で感じられたと思います。現場に立って感じたことをそれぞれの地元で、できるだけ多くの方へ伝えてもらいたいと思います。
今回の定期大会でも、「ワンコイン応援メッセージプロジェクト」の協力要請について発言させていただき、東海林委員長をはじめ多くの参加者から賛同をいただきました。「金の使われ方が明確な取り組みだ。がんばってほしい」と20口分(1万円)賛同いただいた新聞通信合同ユニオンの山本さん。その思いをしっかり販売店へつなげたいと思います。同プロジェクトは今後も息長く取り組んでまいります。継続して皆さまのご理解とご支援をお願いします。
* * *
元北海道新聞社の高田昌幸さんが「希望」を25日に発行され、先日、謹呈いただきました。
「あなたの希望は何か」、著名、無名問わず、全国のじつに多様な人々(63人)が登場し、語るインタビュー集です。まだ、高田さんが書いた「まえがき」しか捲れていないのですが、400頁超とかなりボリュームがあるので、お盆休み(取れるかな?)にじっくり読みたいと思います。
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小ブログにも何度かご登場いただいた高田昌幸さん(北海道新聞社)から先日、メールを頂戴しました。
内容は「私が被告の1人でもあり、最高裁に上告していた「道警裏金本訴訟」について、16日付で最高裁が上告を退ける決定を下し、本日送達がありました。非常に残念な結果ではありますが、これにひるむことなく、種々の形で権力監視型の調査報道を続けていきたいと思っています」というものでした。
ことし2月にお会いした際も、「難しい裁判だ」とおっしゃっていましたが、最高裁は上告を棄却。元道警総務部長・佐々木友善氏(67)の名誉棄損の一部を認めた札幌高裁の判決(10年10月)「72万円の賠償命令」が確定されることになりました。
道新が警察の裏金づくりの実態を報じたことで、全国の新聞社も追従し大きな社会問題に発展したことは周知の通り。一時は道新が道警記者クラブから締め出しを食うほどのゴタゴタもあったようにうかがっていますが、よく言われる記者クラブでの“なぁなぁ体質”に一石を投じた道新の姿勢に「そんなこと新聞人であれば当たり前だろう」と思っていた青二才(当時の私)も、新聞社内部の実情を見るにつけて「サラリーマン新聞記者」がそのほとんどを占めている現状にうなだれるばかりです…。
▽名誉毀損訴訟:道新側の敗訴が確定 道警裏金問題巡る本の記述で
北海道警の不正経理を巡る2冊の書籍で名誉を傷つけられたとして、元道警総務部長の佐々木友善氏(67)が北海道新聞社と記者2人、出版社に損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(宮川光治裁判長)は16日付で、双方の上告を棄却する決定を出した。72万円の賠償を命じた札幌高裁判決(10年10月)が確定した。
問題となった書籍は「警察幹部を逮捕せよ!」(旬報社)と「追及・北海道警『裏金』疑惑」(講談社)。1、2審では、佐々木氏が捏造(ねつぞう)だと主張した4カ所のうち3カ所について「真実と信じるに足りるだけの取材をしたと認めるのは困難」などとして名誉毀損(きそん)の成立を一部認め、双方が上告していた。これに対し、同小法廷はいずれも「上告理由がない」と退けた。
17日に会見した佐々木氏は「道新は判決を真摯(しんし)に受け止め、報道倫理を高めてほしい」と話した。記者2人は連名で「言論の自由を軽視する遺憾な内容。今回の結果にひるむことなく権力監視型の調査報道に挑んでいきたい」、北海道新聞社経営企画室は「当社の主張が認められなかったことは大変遺憾」とコメントした。(毎日新聞 2011年6月18日)
今月末で同社を去る高田さん。商業ジャーナリズムでメシを食いながらあえいでいる新聞人の中でも、物腰やわらくでもズバッと核心を突くそのスタイルは、6年ほど前に出会って以来、尊敬する方でした。真のジャーナリストは組織の枠には収まれないのかもしれませんが、粛々とこの現実を受け止めながら「真実は何か」を自身でも考えていきたいと思います。
今後のご活躍を祈念しています。
※資料
【北海道警裏金事問題】
2003年11月に北海道警察旭川中央警察署が不正経理を行なっていたことが発覚、後に各部署、各課、ほとんどの警察署でも同様なことが判明して、関係幹部が大量に処分された。日本の警察史上初の大規模な不祥事。北海道新聞の警察担当デスクだった高田昌幸氏は、道警キャップの佐藤一氏ら道警記者クラブ所属の警察担当記者を取材に当たらせ、記者クラブに陣取ったまま、長期に渡ってキャンペーンを張った。
【北海道警元総務部長の提訴】
2006年5月31日、元道警本部総務部長の佐々木友善氏は、北海道新聞社、旬報社、講談社、北海道新聞記者高田昌幸氏と佐藤一氏の5者を相手取り、出版によって名誉を毀損されたなどとして、600万円の慰謝科の支払いと書籍の回収などを請求する民事訴訟を札幌地裁に起こした。また、旬報社から出版された「警察幹部を逮捕せよ!」の共著者である大谷昭宏氏と宮崎学氏は、内容に責任があるとして被告側の補助参加をしている。裁判の経緯は、「市民の目フォーラム北海道」のホームページ内の「道警vs道新訴訟」(http://www.geocities.jp/shimin_me/hokkaidou.htm)が詳しい。初回から傍聴を続けている元道警釧路方面本部長・原田宏二氏が記録を綴っている。
小ブログでも2008年7月の山形新聞値上げ(3007円から3300円へ)と、同年10月の秋田魁新報夕刊廃刊による値下げ(3007円から2950円へ)の両極端な経営戦略について、読者はどちらを選択するのかという問題提起をさせていただきました。それは単に購読料だけの問題ではなく、紙面内容(宅配サービスは変わらない)と購読料が見合っているか―ということについて、読者に「値上げしても読みたい新聞」と思わせる紙面づくりへの期待でもありました。
▽秋田魁、夕刊を廃止/今だけ委員長の独りごと(2008年7月24日付)
http://bit.ly/jgZQQS
山形新聞が2008年7月から、14年半ぶりに値上(+293円)げに踏み切った理由は「2008年4月から製紙メーカーがそろって新聞用紙代を値上げしたほか、原油高に伴う印刷材料費のアップなど新聞製作のコストは上昇を続けている。加えて近年、新聞経営を支えてきた広告収入が大幅に落ち込み、経営環境は厳しさを増している。合理化と経費節減に努めてきたが、それも限界に達した」というものでした。
今回の夕刊廃刊(休刊)の理由が、これまで夕刊を廃刊してきた新聞社と同じ「読者の生活環境」や「費用対効果」によって部数の維持が難しくなってきたのかは分りませんが、またひとつ、朝夕刊のセット販売(特に山形新聞は完全セット販売)をしていた新聞社が不採算部門を切ったと受け止めるべきだと思います。それだけ夕刊発行の継続は経営的な視点で見ると費用対効果が折り合えていない媒体になっているのです。
山形新聞が8月から夕刊廃止をした際に、現在3300円(セット版)の購読料はどうするのか―非常に関心があります。まだ正確な情報は入っていませんが、ネットでいろいろ検索をしていたら、先月21日、とあるブログに「山形県地方紙山形新聞夕刊廃止1ヵ月3300円値下げせず…殿様商売」というタイトルで、「山形新聞は夕刊を廃止するという。しかしながら新聞代は定価据え置きという。読者は納得するだろうか―ちなみに山形新聞は夕刊廃止でどれだけ経費が削減か感知する気はないが全国紙読売新聞などは1ヵ月3007円なのに…」という書き込みがありました(そのエントリは削除されています)。
信ぴょう性はあまり高くありませんが、山形県の地元紙として確固たる基盤を有している同社のことですから、長期購読者の意を反映した経営判断(購読料設定)がされることと思います。
夕刊問題は発行を継続することが善で、廃止が悪ということではありません。時代や生活者のニーズに即した経営陣のスピード感のある決断が、新聞経営には重要ということだと思います。その一方で、職場が縮小する新聞労働者の雇用問題も浮上してくるわけですが、労働者の生活を守ることと生活者のニーズを無視することは相反することです。このあたりのジレンマを払しょくしながら、前向きな職場改革、新聞産業改革をしていきたいものです。スピードをあげながら。
* * *
【追記】
山形新聞社は6月22日、今年7月末で夕刊を休刊することを社告しました。
購読料はこれまでのセット価格の3300円を据え置くとのこと。社告では「メディアを取り巻く環境やライフスタイルの変化などで夕刊の存在意義は薄れたと判断しました」とありますが、新聞自体の存在意義を山新の経営陣はどう捉えているのかなぁと感じました。(6月27日追記)
▽山形新聞、8月1日から夕刊休刊 「存在意義薄れた」/朝日新聞6月27日
http://bit.ly/iPmkq3
▽山形新聞:夕刊休刊へ 子ども向け新聞を創刊/毎日新聞6月27日
http://bit.ly/lICfw5
▽山形新聞が夕刊「休刊」/報知新聞6月27日
http://bit.ly/jImWym
18日朝のツイート(新聞記者の方)をながめていたら「きょう、朝日新聞電子版の記者会見がある。1社1名のみしか入れないとか…」という書き込みを発見。「いよいよ来たか」と感じられた方は少なくないと思います。
今年4月からリリースするはずだった朝日新聞の電子版「朝日新聞デジタル」は、販売店の協力が得られず約2カ月ずれ込んだものの、「産みの苦しみ」?を経てスタート。7月までは無料なので、とりあえず登録してみましたが、どんなコンテンツが展開されるのか期待しながらウォッチしていこうと思います。
▽朝日新聞が電子版「朝日新聞デジタル」 7月末まで無料(朝日新聞 5月18日付)
http://bit.ly/j3MhlT
▽iPadでも、Androidでも――有料電子版「朝日新聞デジタル」創刊(ITmedia 5月18日付)
http://bit.ly/mM9aKT
料金は日経と同じで、「紙」の定期購読者はプラス1000円。デジタル版のみは3800円でセット価格よりは若干安い(125円)設定です。いずれコンテンツの内容次第ということになるのでしょうが、あまり盛りだくさんでも人は1日24時間しかないわけですから、過去記事やデータ検索が充実するとイイかもしれませんね。あと写真アーカイブも欲しい。
日経は経済紙という専門性を売りにしたコンテンツが投資家などに好評のようですが、一般紙の朝日新聞が紙でも、デジタルでもその料金に見合うものを打ち出せるかが大きな課題でもあり、個人的には期待のようなものも抱いています。
朝日新聞デジタル版の話題がネット上で大きく紹介されている一方で、産経新聞(Sankei Biz)が読売新聞の発行部数が1千万部を割ったことを報じました。
▽変化する新聞業界 読売1千万部割れ、朝日は電子版創刊(SankeiBiz 5月19日付)
http://bit.ly/mhxN94
東日本大震災の影響によって前月比で7万部減少(ABC協会発表)したことが原因ですが、この時期に多い部数整理も重なったのでしょう。現場では「やっと重い鎧を脱げた」(YC店主談)という意見が大半のようです。今回の部数調整によってホテルなどへ無料で配っている新聞もなくなるかもしれませんね。
『自己の責任において入ります』との同意書署名に住民が反発―これはひどい話です。
時には「国の領地」だと住民に居住地の立ち退きを求め、今回は「個人所有の土地だから自己責任」。あくまでも自己責任と押しつけてくる行政側…。すべての公務員とは言いませんが、ここまでひどいやり方をするとは…。
「何かあった場合に国家賠償責任を逃れたい」、「放射能漏れ問題は東電が責任を取るべきで、政府は後処理に徹したい」と言いながら、東電へ大量の天下りを送りこんでいる官僚の身勝手さに、もっと国民は怒ってもいいはずです。
また、マスメディアの取り上げ方も弱いように感じます。このような権力側の理不尽なやり方を批判的姿勢で社会へ発信するのがマスメディアの役割ではないでしょうか。上杉隆氏が指摘する「記者クラブでの官側との慣れ合い主義」がまかり通っているとは思いませんが、このような話題をあまり取り上げない理由は何なのか。インターネットによる情報流通が出来あがり、可視化(すべてではありません)された社会となったいま、マスメディアの価値判断が問われていることを自覚すべきです。
誰でも自身の不利益(結果として)になることは避けたいもの。マスメディア(特に新聞)の価値判断によって記事化されるか否か、その記事の扱われ方(見出し、何面へ掲載)によって、読者だけではなく、社会へ与える影響(読者のリテラシィもありますが)が大きく左右すると思っています。理不尽な社会のあり方、隠されようとする問題点を掘り起こして、ジャーナリズムを守ってもらいたいと期待します。まずは自分たちの襟を正して、「押し紙」の問題からでしょうか。
▽福島の一時帰宅、第2弾を実施 葛尾、川内両村70人(47NEWS 5月12日付)
http://bit.ly/kfBEU1
▽葛尾村27人も一時帰宅…「自己責任」署名変更(読売新聞 5月12日付)
http://bit.ly/jBFExV
* * *
私が個人的に参加する「ふんばろう東日本支援プロジェクト」のCMがお目見えしました。支援活動のCMを自主的に作って応援する動画サイト『チャリTV』の山田エイジさんの作品です。
「ふんばろう東日本支援プロジェクト」の発足に寄与された南三陸町の三浦保志さん(「さかなのみうら」社長)のふんばっている姿が印象的です。
友人から届いた「毎日とスポニチが4月に共同持株会社を設立する」とのメールを見た瞬間、これは1977年の「新旧分離」と同じようなことが起こったのか、とビックリ。
毎日新聞社の経営状況については、以前から厳しい状況にあると言われてきましたが、今回の毎日新聞社とスポーツニッポン新聞社(毎日新聞社の連結子会社)の株式移転による共同持ち株会社設立(4月1日予定)は毎日新聞社救済のためなのかどうか。
金融庁のEDINETに毎日新聞社の臨時報告書(2月1日付)が掲載されているのですが、それを読んでもあまりピンときません。
▽金融庁HPへアクセス 毎日新聞社のEDINETコード:E00706
https://info.edinet-fsa.go.jp/E01EW/BLMainController.jsp?1296573429498
※毎日新聞社が金融庁へ提出した臨時報告書より
【提出理由】
当社及び当社の連結子会社である潟Xポーツニッポン新聞社は、平成23年4月1日(予定)を効力発生日として、株式移転により共同持株会社を設立することについて基本的な合意に達し、当社においては平成23年1月24日開催、潟Xポーツニッポン新聞社においては平成23年1月28日開催の両社の取締役会において、「株式移転計画」を承認、決議いたしましたので、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第6号の3の規定に基づき、臨時報告書を提出するものであります。
【当該株式移転の目的】
当社は、明治5年2月に東京で創刊した「東京日日新聞」と、明治9年2月に大阪で創刊した「大阪日報」の流れをくむ「大阪毎日新聞」が明治44年3月に合併して現在の母体を形づくっております。平成24年2月に創刊140年を迎える「毎日新聞」はわが国で最も歴史のある日刊紙であります。一方、潟Xポーツニッポン新聞社は、昭和24年に大阪で創刊して以降、東京支社、西部支社を設立、その後それらは分離独立して別会社となり、それぞれ「スポーツニッポン新聞」を発行してきましたが、平成16年10月に3社が合併して現在に至っております。
近年、わが国における経営環境の激変は、新聞業界も例外ではなく、新聞の総発行部数も減少傾向にあります。今後、毎日新聞グループの経営基盤をより強固なものにするために、紙メディアを基幹としつつ、電子メディアにもさらに力を入れてまいります。そのために総合紙である「毎日新聞」とスポーツ、エンターテイメント紙である「スポーツニッポン」のメディアコンテンツを有機的、効率的に活用するための組織再編、新聞販売機能の効率化を行い、さらに強固な総合メディアグループとしての毎日新聞グループの形成を目的として、株式移転により共同持株会社を設立するものであります。
「経営が行き詰っているのだから当り前だろう」と言われればそうなのですが、スポニチの経営内容も絶好調というわけでもなく…。朝日新聞では「持ち株会社の傘下に両社がぶら下がり、『メディアコンテンツを有機的・効率的に活用する』ほか、『新聞販売機能の効率化』を進めることを狙いとしている」と報じていますが、何か釈然としません。
子会社・系列会社との合併だと、デイリースポーツと神戸新聞社の例が思いつくのですが、持ち株会社の設立となると読売新聞グループ本社のように東京本社、大阪本社、西部本社、中央公論新社、読売巨人軍という形態になると思うのですが…。
▽毎日新聞とスポニチ、持ち株会社設立へ(asahi.com 2月1日)
http://www.asahi.com/business/update/0201/TKY201102010588.html
▽共同持ち株会社を設立 毎日新聞とスポニチ(スポニチ 2月1日)
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2011/02/01/kiji/K20110201000167970.html
◆1977年に起きた毎日新聞の新旧分離とは
新旧分離は、企業が経営破綻あるいはそれと同等の状態に陥った際に、その企業が行っていた事業に対して、再建あるいは他社(スポンサー)への承継のために行われる私的整理手段のひとつである。
「株式会社毎日新聞社」(旧法人)は、読売・朝日との熾烈な競争などで債務超過に陥ったため、1977年、新法人として「毎日新聞株式会社」が設立された。同年12月1日、旧法人は「株式会社毎日」に社名変更して債務返済に専念、新法人は「株式会社毎日新聞社」に社名変更し、旧法人から事業一切を引き継いだ。8年後に債務返済が一段落したことから、「スポーツ報知(報知新聞)と並ぶ現存する日本最古の新聞」の歴史を守るため、旧法人が新法人を吸収し、元に戻った。
友人から送られた「毎日とスポニチが4月に共同持株会社を設立」のメールを見た瞬間、「これは1977年の『新旧分離』と同じようなことが起こったのか」、とビックリ。
毎日新聞社の経営状況については、以前から厳しい状況にあると言われてきましたが、今回のスポーツニッポン新聞社(毎日新聞社の連結子会社)との株式移転による共同持ち株会社設立(4月1日予定)によって、同社の経営にどれだけの効果をもたらすのかどうか。金融庁のEDINETに毎日新聞社の臨時報告書(2月1日付)が掲載されているのですが、それを読んでもあまりピンときません。
【提出理由】
当社及び当社の連結子会社である潟Xポーツニッポン新聞社は、平成23年4月1日(予定)を効力発生日として、株式移転により共同持株会社を設立することについて基本的な合意に達し、当社においては平成23年1月24日開催、潟Xポーツニッポン新聞社においては平成23年1月28日開催の両社の取締役会において、「株式移転計画」を承認、決議いたしましたので、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第6号の3の規定に基づき、臨時報告書を提出するものであります。
【当該株式移転の目的】
当社は、明治5年2月に東京で創刊した「東京日日新聞」と、明治9年2月に大阪で創刊した「大阪日報」の流れをくむ「大阪毎日新聞」が明治44年3月に合併して現在の母体を形づくっております。平成24年2月に創刊140年を迎える「毎日新聞」はわが国で最も歴史のある日刊紙であります。一方、潟Xポーツニッポン新聞社は、昭和24年に大阪で創刊して以降、東京支社、西部支社を設立、その後それらは分離独立して別会社となり、それぞれ「スポーツニッポン新聞」を発行してきましたが、平成16年10月に3社が合併して現在に至っております。
近年、わが国における経営環境の激変は、新聞業界も例外ではなく、新聞の総発行部数も減少傾向にあります。今後、毎日新聞グループの経営基盤をより強固なものにするために、紙メディアを基幹としつつ、電子メディアにもさらに力を入れてまいります。そのために総合紙である「毎日新聞」とスポーツ、エンターテイメント紙である「スポーツニッポン」のメディアコンテンツを有機的、効率的に活用するための組織再編、新聞販売機能の効率化を行い、さらに強固な総合メディアグループとしての毎日新聞グループの形成を目的として、株式移転により共同持株会社を設立するものであります。
「経営が行き詰っているのだから当り前だろう」と言われればそうなのですが、スポニチの経営内容も絶好調というわけでもなく…。朝日新聞では「持ち株会社の傘下に両社がぶら下がり、『メディアコンテンツを有機的・効率的に活用する』ほか、『新聞販売機能の効率化』を進めることを狙いとしている」と報じていますが、何か釈然としません。
子会社や系列会社の合併(吸収)であればデイリー新聞社と神戸新聞社の例がありますが、持ち株会社となると読売新聞グループ本社(東京本社、大阪本社、西部本社、中央公論新社、読売巨人軍)のような形態になるのかなぁ…。そうすると、下野新聞や福島民報なども今後、毎日新聞ホールディングスへ集約されていくのでしょうか。
ともあれ、昨年10月には毎日ビルディング(毎日新聞社の100%出資子会社)を吸収合併したばかりで、今度はスポニチと持ち株会社を設立するなど、経営のテコ入れを矢継ぎ早に行う毎日新聞社。現場で新聞発行を支えている人たちの努力が報われるよう、経営のかじ取りをしてもらいたいものです。
▽毎日新聞とスポニチ、持ち株会社設立へ(asahi.com 2/1)
http://www.asahi.com/business/update/0201/TKY201102010588.html
▽共同持ち株会社を設立 毎日新聞とスポニチ(スポニチ2/1)
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2011/02/01/kiji/K20110201000167970.html
◆1977年に毎日新聞社が新旧分離
新旧分離は、企業が経営破綻あるいはそれと同等の状態に陥った際に、その企業が行っていた事業に対して、再建あるいは他社(スポンサー)への承継のために行われる私的整理手段のひとつである。
「株式会社毎日新聞社」(旧法人)は、読売・朝日との熾烈な競争などで債務超過に陥ったため、1977年、新法人として「毎日新聞株式会社」が設立された。同年12月1日、旧法人は「株式会社毎日」に社名変更して債務返済に専念、新法人は「株式会社毎日新聞社」に社名変更し、旧法人から事業一切を引き継いだ。8年後に債務返済が一段落したことから、「スポーツ報知(報知新聞)と並ぶ現存する日本最古の新聞」の歴史を守るため、旧法人が新法人を吸収し、元に戻った。
毎日新聞社が3月1日から毎日新聞と毎日小学生の教育用特別価格「ファミリーセット」を実施することになりました。けさ(24日付)の朝刊に社告が掲載されています。
▽教育支援ファミリーセット 定価5355円→セットで4975円に
http://mainichi.jp/corporate/info/news/20110124ddm001040078000c.html
「ファミリーセット」という何ともベタなネーミングですが、毎日新聞と毎日小学生新聞とセットで購読する場合に、現行の二紙合算の月極価格より380円お得な「教育用特別価格」で提供するというもの。※統合版地区は定価4437円→セットで4057円
読売新聞社は21日、関東圏で読売KODOMO新聞(月額500円)を3月3日に創刊すると発表。
▽「読売KODOMO新聞」3月3日創刊
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110121-OYT1T00709.htm
販売現場では「教育に新聞活用を!」の大合唱。就学児童のいる世帯へいかに購読をアプローチするかに躍起になっています。新聞業界はこれまで地道にNIE活動に取り組んできたのですが、今回のヒットは池上彰さんの「ニュースが分かる」効果が後押ししていること間違いなし。ホント新聞業界はPRベタというかマネジメントができていないなぁと感じます。
しかし、販売現場にとっては販促活動の後押しとなるキラーコンテンツ。新聞社による「新聞の読み方講座」などのセミナーも含めて、就学児童を扶養している未購読世帯へのアプローチは重要ですね。
▽タウンマーケット・宅配サービス終了のお知らせ
http://www.recruit.jp/info/info20110117
創刊からちょうど3年。小ブログでもその可能性についていろいろ考察してきましたが、サービス終了に至った理由を考えると、@売出し日を重視する媒体だけに週1回の宅配ではスポンサーの要望に応えきれなかったA宅配コスト(チラシ封入や宛名付け作業含む)を上回る利益が確保できなかったB総体的に折込広告(チラシ)の総量が縮小してきた―といったところでしょうか。
リクルートは「近年の情報入手の動向として、WEBやモバイル・スマートフォンなどの利用が著しく増加。地域のチラシについても、インターネットやスマートフォンで見たい、という方が増えてきていることなどから、今回のサービス終了を決定致しました」と説明し、今後はタウンマーケット・WEBサービス(チラシ閲覧サイト『Town Market』)でサービスを継続するとしています。電子チラシについては既にDNPのオリコミーオ!、凸版印刷のShufoo!(シュフー)と大手印刷会社が展開していますが、印刷会社では新聞折込用のチラシとして印刷を受注しているスポンサーへの「付加価値」として、チラシのPDF画像を独自の「チラシのポータルサイト」へ提供しているだけであって、経費も掛らないのですが収益的に単体でビジネスになるとは思えません。
いずれ、内需拡大のための広告産業が全体的に下落傾向であるために、消費が上向かなければ何をやっても仕組化されないというジレンマもあります。一方で、バブル期の消費動向が再来するなどと期待している人はいないと思いますが、ビジネスはチャレンジすることをあきらめた時点で下降線を辿るだけ。新聞販売店も読者からの信頼を最優先にしながら、果敢にチャレンジしていくしかないのです。
* * *
リクルートつながりで先週末にはこんなネタもありました。
▽R25、大阪・名古屋版発行へ リクルートの無料情報誌(asahi.com 1月14日付)
http://www.asahi.com/business/update/0114/OSK201101140103.html
若手男性向け無料情報誌「R25(アールニジュウゴ)」を、今月20日から大阪と名古屋でも発刊するとのこと。著名人のインタビュー記事やコラムなどは首都圏版と同じだそうですが、地域イベントなどは別版で掲載されるのだそうです。大阪版は7万部、名古屋版は3万部を発行。
フリーペーパー業界も広告不況に苦しんでいて、R25は週刊から隔週へ、主要駅の留め置きスペースも縮小する一方で、全頁をウェブ版で提供したことなどから、「紙媒体の発行を止めるのでは」と囁かれていましたが、ナント勢力拡大です。すばらしい!
以前、リクルートの方に夕刊の販促用(夕刊の定期購読者に毎週木曜R25・L25を折り込む)として「夕刊折込で配るから宅配版R25を仙台で展開できないか」と相談したことがあったのですが、その際に「うちはいいけど新聞社(広告局)から嫌われているからなぁ」とポツリ…。結構イケると思ったのですがペンディングしてしまいました。
新聞の付加価値とは、宅配制度だとか本紙以外の特集号だとか、販売店からの云々というものだけと決めてかかると読者とのズレは広がるばかり。顧客のロイヤルティを高めるために何を提供するのが効果的か。流通部門は常に消費者目線で考えていかなければなりません。
▽電子チラシを考えてみる
http://minihanroblog.seesaa.net/article/68850396.html
▽リクルート チラシ広告を狙う
http://minihanroblog.seesaa.net/article/111636803.html
日本新聞協会経営業務部がまとめた「日刊紙の都道府県別発行部数と普及度」(2010年10月現在)の調査結果によると、スポーツ紙、業界紙を含む総発行部数は前年を103万991部(▲2.0%)下回り4932万1840部となったそうです。5000万部を下回ったのは1987年以来23年ぶり。
発行部数は6年連続でマイナスしており、昨年と今年は100万部以上の減紙となりました。なかでもスポーツ紙の減紙幅(▲5.9%)が大きく10年連続のマイナス。地区別では人口動態や全国紙の進出具合にもよりますが沖縄県の落ち込みが最も大きく(▲6.9%)、次いで東京、大阪など大都市圏が続いています。
日本新聞協会ホームページより
▽2010年日刊紙 総発行部数4932万1840部
http://www.pressnet.or.jp/news/headline/110101_947.html
新聞協会経営業務部はこのほど、2010年10月現在の「日刊紙の都道府県別発行部数と普及度」調査結果をまとめた。総発行部数は前年比(以下同)103万991部(2.0%)減の4932万1840部だった。6年連続の減少。2年連続で100万部以上減った。5千万部を下回ったのは、1987年以来23年ぶり。
調査対象は、協会加盟の120紙で、内訳はセット38紙、朝刊単独68紙、夕刊単独14紙。前回の調査後、夕刊を休刊した北日本(09年12月末)と岩手日報(10年6月末)が朝刊単独紙に移行した。
また、夕刊デイリーが09年12月に入会。一方、奈良日日が10年6月末で退会した。内外タイムス(リアルスポーツ)は09年11月末で除名となった。10年10月末で退会した日本繊維は、調査対象に含まれている。
一般紙は1.6%減で6年連続、スポーツ紙は5.9%減で10年連続の減少となった。スポーツ紙は10年間で最大の落ち込み幅だった。
セット部数は5.8%減で、20年連続の前年割れ。朝刊単独は0.4%減。夕刊単独は3.3%減だった。
地区別にみると、昨年に続き全地区で減少した。沖縄は減少率が最も大きく6.9%減。以下、東京(3.5%減)、大阪(3.2%減)、四国(3.1%減)と続き、他の地区も2.3〜1.2%減少した。
1世帯当たりの部数は0.92部で、3年連続で1部を割った。あくまでも各社の公称部数をカウントしたものなので、実際にはどの程度の世帯普及率(発表では0.92部)なのか確認するすべはありません。新聞社が提供する記事はネット上やテレビ、ラジオなどを通じて広く発信されていますが、媒体力をはかる指標はやはり発行部数。その部数を伸ばすために競争が生まれ、並行して無駄も生じるものです。発行部数の増減が販売収入はもとより広告収入に大きく影響を及ぼすわけですが、ホテルやファミレスへ無料(安価)で新聞を届けてまで(部数のかさ上げをして)部数維持が図れる資本力のある新聞社が値上げもせずに我慢比べをしている一方、体力のない新聞社は身を削り廃刊だけは免れようと、言論機能だけは維持させようと踏ん張っているのです。
大新聞社の「赤字決算」が紙面を賑わせていますが、単年度赤字を計上したとてまだまだ潤沢な内部留保を抱えている新聞社も少なくありません。逆に小さいながらも地域住民から親しまれている新聞社こそ、年々深刻な問題に直面しているのだと感じます。そのような地域紙は従業員の労働条件もすこぶる高いわけではないのだから、値上げをお願いしても理解されると思うのですが…。それとも大新聞社と資本提携をして生き残りの道を模索するのも言論機能の維持のための手段だと思います。
「企業は軽く、個人に重い税負担」と受け取れる2011年度の税制改正大綱が16日、閣議決定されました。なかでも新聞産業に関係あるものとしては、個人所得課税の特定支出控除の経費として「新聞代」が加えられることになりました。すでに11月9日の時点で政府税制調査会が特定支出控除へ新聞・図書代を加える方針であることは各メディアで伝えられていましたが、きのう、確定されたわけです。
特定支出控除を調べてみると、サラリーマンは年間65万円の給与所得控除が認められおり、通勤費、引っ越し費用、技術・知識習得の経費、スーツ代など、サラリーマン業としての年間経費(65万円)とその支出項目が定められています。いわゆるサラリーマンの給与収入から特定の支出額を差し引いて税金を安くすることができる「特定支出控除」の対象に、新聞代が加えられたということです。
▽国税庁HPより
給与所得者の特定支出控除
[平成22年4月1日現在法令等]
給与所得者が次の1から5の特定支出をした場合、その年中の特定支出の額の合計額が給与所得控除額を超えるときは、確定申告によりその超える金額を給与所得控除後の金額から差し引くことができる制度があります。
これを給与所得者の特定支出控除といいます。
この特定支出とは、給与所得者が支出する次に掲げる支出のうち一定のものです。
1 一般の通勤者として通常必要であると認められる通勤のための支出
2 転勤に伴う転居のために通常必要であると認められる支出のうち一定のもの
3 職務に直接必要な技術や知識を得ることを目的として研修を受けるための支出
4 職務に直接必要な資格(一定の資格を除きます。)を取得するための支出
5 単身赴任などの場合で、その者の勤務地又は居所と自宅の間の旅行のために通常必要な支出のうち一定のもの
なお、これらの五つの特定支出は、いずれも給与の支払者が証明したものに限られます。
また、給与の支払者から補てんされる部分があり、かつ、その補てんされる部分に所得税が課税されていないときは、その補てんされる部分は特定支出から除かれます。
この特定支出控除を受けるためには、確定申告を行う必要があります。
その際、特定支出に関する明細書及び、給与の支払者の証明書を申告書に添付するとともに、搭乗・乗車・乗船に関する証明書や支出した金額を証する書類を申告書に添付又は申告書を提出する際に提示してください。
なお、以上の書類のほかに給与所得の源泉徴収票も申告書に添付してください。
(所法57の2、所令167の3〜167の5)
もともと利用者が極めて少ないと言われる同制度に、突如として新聞代が加えられたことへ疑問を投げかける評論家も少なくありません。「新聞業界のロビー活動だ」、「民主党が新聞社に餌を与えた」、「スポーツ紙も対象になるのか」などネット上ではこうした意見も出ています。もちろん新聞紙面には掲載されるはずもありませんが…。
私が思うに、新聞業界が求めている(新聞購読料の)消費税の軽減税率の適用が認められないから、その落とし処として特定支出控除に加えたとも考えられすが…。うぅーん。でも“自己利益のためなら権力をも動かす新聞業界”なのでそれはないか…。
そうだとすると(これも勝手に)、すでに新聞は高所得者しか読まない商品になったからとは言いませんが、今回の税制改革でこれまで高所得者に有利な給与所得控除に上限を設けたので、その見返りとして「新聞を定期購読」、「図書も中古ではなく新刊を購入」など必要経費が多い方への控除対象を拡充したとみるのが現実的でしょう。宝くじで3億円が当たるよりも稀な年間で10人足らずの超高所得サラリーマンが申告している制度なのですがね。
【追記】
日経の図解がわかりやすく書かれています。読売や共同配信の地方紙など今回の改正に伴い「新聞も対象に・・・」との小見出しをつけて取り上げているところが目立つなか、朝日は1行も「新聞も」という表記は使っていません。なぜなのか?
▽特定支出控除、新聞など゙も対象に(日経web刊 12月17日)
http://www.nikkei.com/news/headline/related-article/g=96958A9C93819481E3E4E2E0E28DE3E4E3E0E0E2E3E29797E3E2E2E2;bm=96958A9C93819481E3E4E2E39F8DE3E4E3E0E0E2E3E2E2E2E2E2E2E2
毎日の販売店も実験とはいえよく引き受けたなぁ―というのが第一印象でしたが、業界紙にこんな記事が掲載されていました。
シミュレーション図によると通常通信販売との差別化ポイントとして「配達員によるダイレクトコミュニケーション営業可能(確実に商品が届く→消費者の安心感)」と表記されていますが、販売店からすると新聞配達のインフラには乗せられないので、専業スタッフの活用がポイントになりそうです。専業スタッフのコミュニケーション力というか「サザエさんの三河屋(サブちゃん)のようになれる人材がいるかどうか」という問題もあります。最近、新聞販売店が「貢献」という言葉を必要以上に使っているように感じますが、労働力への対価が支払われる以上、貢献ではなく儲けがなければ仕組化されません。
もうひとつは「営業およびパンフレットポスティング」によって(販売店側が)どの程度の注文が取れるのかは未知数。毎日1,000円程度の食材(弁当2つに飲料水)を届けて手数料200円では割高感が強い。といってコンビニで1週間分の食材をまとめ買いができるはずもない。コンビニで取り扱う商品のほとんどはバイクに積載できるので、一度に4〜5件分の配達は可能かもしれませんが…。
前述したように新聞配達のついでに届けることも可能ではないかというのは机上の理論。販売店とコンビニが併設すれば作業効率もあがると思いますが、薄利(配達手数料)であれば多売するしかないわけです。その需要があるのかどうか、24時間営業が売りのコンビニの優位性が発揮されないなど課題もまだまだありそうですね。
著作物再販売価格維持行為(以下、著作物再販制)の「当面存置」を公正取引委員会が発表した2001年3月23日から9年経過しました。この間、「当面存置」としたものの著作物再販制の弾力的な運用と価格設定の多様化など、各業界の進捗を監視することを目的に公取委が立ち上げた著作物再販協議会が毎年開催(09年は未開催)されてきたのですが、同協議会は10月25日に廃止されたようです。今後は公取委が直接、著作物再販制対象の3業種に直接ヒアリングすることになるのだとか…。日本新聞協会HPから引用します。
再販協議会の廃止を了承【販売委員会】
第540回販売委員会は11月18日、事務局会議室で開かれ、著作物再販協議会の廃止に関する報告を了承した。このほか、各地区新聞公正取引協議会委員長から、新聞週間中に街頭や大学で試読紙配布を実施したとの報告があった。
著作物再販協議会については10月25日、公正取引委員会から新聞協会に対し、協議会を廃止し、今後は毎年1回、新聞、書籍・雑誌、音楽用CDの3業種別にヒアリングを実施するとの申し出があった。
同協議会は2001年、著作物再販制度が当面存置となったことを受け、制度の弾力的運用の取り組み状況について意見交換するために公取委が設置した。新聞社からの会員2人のほか、出版・音楽CD業界の代表者、大学教授ら有識者、消費者団体代表などで構成し、08年まで毎年1回開催していた。しかし、景品表示法の所管が公取委から消費者庁に移管されることが閣議決定したことを受け、09年以降は開催を休止していた。
公取委は、今年度中に1回目のヒアリングを開きたいとしている。来月度の委員会までに、在京6紙と地方紙から各1人、計2人を出席者として決める。
以下に新聞労連産業政策研究会の第二期報告書「新聞2009 明日への道標」から、「著作物再販制度―新聞の流通・取引慣行の弊害是正について」から、著作物再販協議会に関する一部記述と資料を引用します。
朝日新聞社が今春に実施した「学割キャンペーン」に引き続き、「秋の学割キャンペーン」に取り組みます。
朝日が学割キャンペーン
朝日新聞社は経済的負担が大きい学生を支援するため、9月1日から「秋の学割キャンペーン」を開始した。10年春に続く実験で、今回は実施地域をほぼ全国に広げた。購読料は春と同じセット2,500円、統合版2,000円。キャンペーンは11月30日に終了する。
朝日新聞社は09年春に弘前大、同年秋から金沢大で学割の実験を開始した。10年春には対象地域、大学を広げ、首都圏19大学、東北地方、茨城県の4大学、大阪本社の統合版地区23大学、計46大学で実施した。これらを踏まえ、大学生の就活シーズンが始まる10年秋にも実施対象、宣伝方法などを変えて引き続き実験し、効果を測定することにした。公正取引員会からは、新聞業の特殊指定告示にある「正当かつ合理的な理由」が認められるとの見解を得た。
今回の実施地域は静岡、山梨、長野、新潟、富山、沖縄県を除く全都道府県。実施地域に居住している一人暮らし(寮を含む)の学生であれば、在籍している学校に関係なく学割で購読できる。大学生のほか、大学院生、予備校生なども対象になる。
契約期間は1年だが、契約切れ後も学生であれば2回更新でき、最長で36カ月間学割価格となる。支払いは自動振込みかクレジットカード払いのみで、一時止め、途中解約はできない。現在、通常価格で契約している学生は契約満了後に学割契約に切り替えることが出来る。
申し込みはこれまでの専用はがきに加え、インターネットからもできるようにした。ネットではアサヒ・コムや大学生が多く集まるSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)のサイトに掲載した広告から申し込める。専用はがきは、提携した大学の生協や購買会に配置する。一部地域では郵送のほか、ファクスによる申し込みも受け付ける。大学ではポスターを掲示するなどして宣伝する。(新聞情報9月1日付から引用)
現場で拡張をしていると「朝日新聞を学割で購読(年間契約)しているので、新聞を切り替えるつもりはありません」という学生さんに出くわすこともしばしば。でも学割価格(ほかの新聞と比べて安いから)だから購読した学生がどの程度なのか知りたいものです。私が学生に話を聞いた限りでは「もともと(朝日を)購読しようと思っていたので、(学割により)安く読めてラッキー」という印象なのですが…。
朝日は、公取委や同業他社に対するカモフラージュとして「実験し、効果を測定」としていますが、これまでなかった値下げも含めて部数拡大に向けた価格政策に乗り出したのではないかと感じています。
きのうの朝日新聞朝刊に映画「おにいちゃんのハナビ」の全面広告が掲載されていました。
「映画の全面広告はこの時期珍しいなぁ」とよく見てみると、その広告には主人公であろう男性が「ASA」(朝日サービスアンカー:朝日新聞販売店)のジャンパーを着て、新聞配達用の自転車にまたがっている姿が…。下段を見ると「特別協力 朝日新聞社」となっていました。
さっそく、インターネットで調べてみると…
http://hanabi-ani.jp/
c 2010「おにいちゃんのハナビ」製作委員会
予告編を見ただけで、じんわりと涙が…。
ストーリーを読んでみると、引きこもりの少年が社会復帰の第一歩として新聞配達のアルバイトを始める―という一節がありました。新聞配達という仕事はさまざまな事情で人とのコミュニケーションが苦手な人たちの「就労のセーフティーネット」という役割も担っていることを多くの方に知ってもらいたいと思います。
9月11日から映画の舞台となった新潟県で先行公開のあと、25日から全国各地で公開されるそうです。
必ず見に行くぞ〜。
▽〈映画大好き!〉「おにいちゃんのハナビ」 白血病の妹支える兄 実話もとに(6月25日付アサヒコム)
http://www.asahi.com/showbiz/movie/TKY201006250331.html
消費税論議で自爆した菅(感)も否めない民主党(山形県連)が先月29日、山形新聞社に対して報道が「不公平」だとする抗議文を出していたことが報じられました。
抗議の内容は、参院選挙期間中の7日付け夕刊1面に掲載された自民党・小泉進次郎衆院議員来県の記事で、イケメン小泉議員の扱い(記事や写真)が均衡を欠いているというものと、15日付け夕刊に掲載された渡部昇一氏(上智大名誉教授)の寄稿記事で、民主党マニュフェスト(外国人の地方参政権、夫婦別姓制度、人権侵害救済法案)に対して、「国家の解体を促進する法案」などと書いていることにクレームをつけたようです。抗議を受けた山形新聞社はこれに当然反論し、「抗議を受ける理由はない」としています。
▽山形新聞に民主県連が抗議 参院選小泉議員の扱いに不満(J-CASTニュース7月29日付)
http://www.j-cast.com/2010/07/29072251.html?p=1
民主党の山形県連が、山形新聞社に対して報道が「不公平」だとする抗議文を出していたことが分かった。参議院選挙の応援弁士についての記事などが「均衡を欠いている」と主張。一方の山形新聞社はこれに反論、「抗議を受ける理由はない」としている。
抗議文は2010年7月23日に、山形新聞社に届いた。民主党山形県連会長の和嶋未希衆院議員によると、和嶋議員名義で、同社寒河江浩二常務取締役編集局長宛てに送られたという。
▽「山形新聞の参院選報道不公平」 民主県連が異例の抗議(河北新報7月29日付)
http://www.kahoku.co.jp/news/2010/07/20100729t53011.htm
民主党山形県連(会長・和嶋未希衆院議員)は28日までに、山形新聞社(山形市)の参院選についての報道が不公平だとして文書で抗議した。選挙報道をめぐって政党が報道機関に文書で抗議するのは異例。識者からは「政権与党らしくない対応だ」という指摘もある。
「参院選で負けた腹いせ」と思うのは素人考え(という私も素人ですが…)。過去にあった山形県下の報道体制が繰り返されないようにと民主党県連幹部が“一石を投じた”と考えるのは素人の私だけしょうか?
山形の首領、服部天皇と呼ばれ県内のメディアを牛耳っていた故服部敬雄氏(山形新聞・山形放送・山形テレビ・山形交通の社長会長を歴任)が現役のころは、それこそ自民党王国だったわけです。私の義父(米沢市在住)も今では山形新聞を購読していますが、それまでは服部体制が嫌で毎日新聞を購読していたほど。現在は“社長の血の入れ替え”もあって紙面は右派左派のわけ隔てなく編集されているように感じます。というか、産経新聞のようなものと言ってしまえば分りやすいし、自民党を称賛する記事を書いてもイイじゃないかという意見もあると思いますが、その当時はほとんどの地元メディアの経営に服部氏が参画していたので、それこそ地元メディアが総じて偏りすぎた時代があったのです。
こういう言い方をすると山形新聞の方に怒られるかなぁ。でも同社の知人は「社内で天皇にたて突くと翌日には記者職から蔵王スキー場のキップきりへ飛ばされる」と語り、「書きたいことが書けない」と酒を飲むたびに嘆いていました。もう過去の話ですが。
「メディアの集中排除」を山形県内で訴え続け、多くの著書も書かれている相澤嘉久治氏と一度会って話をうかがう機会もありました。「地方紙や地方テレビ局は地元名士がオーナーという場合が多い。そうすると地方の住民は偏った情報しか得られなくなる。もしくは排除したいと思った人間を抹殺さえもできるのだ」と力説した相澤氏の言葉はとても重かった。いま、原口総務相が言及をはじめている「クロスオーナーシップの禁止」もこのような(特に地方の)メディア企業のあり方にくさびを打つものだと捉えています。
そのようなことを考えながらムズムズしていたら、けさの河北新報(記者の視点)に同社山形総局の加賀山仁記者の解説記事が掲載してありました。実はこういう記事を待っていたのです。
加賀山記者は今回の民主党山形県連の抗議について、「報道機関には批判を謙虚に受け止める姿勢が求められる。読者や視聴者が報道に意見するのも自由」と前置きをしたうえで、今回の抗議に3つの問題があると主張。@言論には言論で対抗するという原則を守っていないA民主党は政権与党であり(記事中の)野党や国民に厳しい批判を受けようと政策で応えていくのが筋B記事の妥当性より「どんな紙面を作るか」を問題にし、(民主党県連幹事長が)「表現の自由はもちろん理解している」と言うが、抗議の対象は編集権に向けられている―と解説しています。
山形新聞が今回の抗議に対する記事を読んでいないので、どんな主張を展開するのか(したのか)興味のあるところですが、加賀山記者は「確かに、河北新報社が抗議を受けたわけではないが、記者として静観することはできなかった。ほかのメディアにも起こり得ると考えたから『他社のこと』を記事にした」とも述べています。
このような署名記事を読者は待ち望んでいるのかもしれません。
奈良市に本社を置く奈良新聞社(甘利治夫代表取締役)と奈良日日新聞社(藤山純一社長)は10日、営業部門を7月10日付で業務統合すると発表した。奈良日日新聞社は、日刊紙の発行をやめ、週刊新聞「WEEKLY Naranichi(仮称)」を発行する。同社は日本新聞協会から脱退する方針。
公称発行部数は、奈良新聞が約12万部、奈良日日新聞が約5万部。業務統合で広告などの売り上げ増を目指す。また、奈良新聞社から奈良日日新聞社へ有料で記事配信も検討する。「WEEKLY Naranichi」は7月16日から毎週金曜日に8ページで発行する。(毎日新聞 6月10日付)
新聞社同士の業務提携は印刷や流通のみならず記事配信でもオーソドックスになってきました。でも「統合」って?と思われる方もいらっしゃると思いますが、そこには一人のキーマンの存在が浮かびあがってきます。
現在、奈良日日新聞社の取締役相談役に就任している西島謹二氏。同氏は奈良新聞社の元社主(代表取締役会長)を務めた方で、阪神淡路大震災の義援金の使途不明問題が発覚し1995年2月に新聞協会を除名(同年10月に再加入)、辞任に追い込まれた方です。
その西島氏は2006年9月、前年の11月末で休刊した奈良日日新聞社を復刊させる新会社の役員に就任し、現在も両社に強い影響力を持っているというわけです。
つまり、奈良新聞社と奈良日日新聞社は社名こそ違えど、「西島ホールディングス」(ちょっと大げさですが)が2つの媒体を持っているため、営業部門での「統合」が可能だということになるのでしょう。
ちなみに、奈良日日新聞社社長の藤山純一氏も元奈良新聞社東京支社長、論説委員を務めた方です。
日刊紙として12万部を発行する奈良新聞社は、これまで通り全国紙と部数競争に励むのでしょうが、週刊紙となる奈良日日新聞はローカルネタに特化して日刊紙との併読や、新聞を読まない層をターゲットに売り込むことも考えられますね。しかし、内容や価格にもよりますが週1回(8n)発行だとフリーペーパーの域を超えられるのかどうかがポイントのように感じます。
▽新聞経営にモラルは求められないのか?(小ブログ 2006年10月14日付)
http://minihanroblog.seesaa.net/article/25465399.html