2015年06月25日

販売正常化の重鎮 熊日の森茂さんが逝去

 きょう届いた23日付の新聞協会報をながめていたら、元熊本日日新聞社常務取締役の森茂さんの訃報が掲載されていました。86歳。

 新聞の販売正常化に尽力された方で、一度だけ労組の集会の講師を依頼したことがありました。森さんが書かれた「新聞 もう一つの顔−販売の暴走十八年−」での販売問題への指摘は25年たった今でも色あせることはありません。というか、残念ながら根本的な問題は何にも改善されていないのです。

 心からご冥福をお祈りします。

▽遠い販売正常化への道…熊日にいまでも宿る販売の精神!(今だけ委員長ブログより)
http://minihanroblog.seesaa.net/article/6504126.html
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2015年02月26日

陸奥新報 システム障害で大幅な配達遅れ/中国製システムの復旧遅れる

 青森県弘前市を中心に日刊紙を発行している陸奥新報社が、紙面制作トラブルのため、本日(26日)付朝刊の配達が大幅に遅れているようです。大幅にといっても正午過ぎても配達されていない地域もあり、津軽の知人へ連絡したところ「配達遅れのお詫びの文書とチラシだけが届いた」とのこと。

▽陸奥新報のお知らせ
26日付本紙は、制作システムトラブルで編集作業に大幅な遅れが生じました。このため遅配となりましたことをおわびします。
http://www.mutusinpou.co.jp/news/2015/02/35288.html

 青森の新聞社で働く友人がこの一報を知らせてくれました。氏によると「陸奥新報のシステムは中国資本のベンダー(方正株式会社)を使用している。日本法人はあるものの、こういったトラブル時に対応が遅れることが一番怖いと言われていた。陸奥新報は発送、配達も朝日や東奥日報の販売店に委託しているところが多いため、すべての読者の手に渡るまで、相当時間がかかる見通しだ」とのこと。
▽方正株式会社
http://www.founder.co.jp/solution_01_typesetting_info.html

 よく「輪転機のトラブルにより販売店への店着時間が遅れる」という話は耳にしますが、システム障害で販売店が機能する時間帯(配達員の多くは副業であるため、7時くらいを過ぎると大半のアルバイトが日中の仕事へ向かってしまい宅配体制が機能しなくなる)を大幅に超えてしまうというのはとても珍しいことです(いや、とても残念であり、気の毒な話です)。
 店主さんはじめ専業従業員の方が精一杯、配達していることと思いますが、雪深い弘前市内そして青森全域への新聞配達は容易ではありません。あすの朝刊と一緒に配達するところも出てくると思われます(夕刊と一緒というわけにも行かないので)。

 定期購読者の減少に伴う販売収入や広告収入の落ち込みなどで、厳しい経営を余儀なくされている新聞社。株式会社電通がこのほど発表した「2014年日本の広告費」によると、「マス四媒体」といわれるテレビ、ラジオ、雑誌の広告収入が総じて前年比プラスになったものの、新聞だけが98.2%の前年割れ。急上昇中のインターネット広告(1兆519億円・前年比112.1%)にも大きく水を分けられています。
 (これは想像ですが)できるだけ安価なシステムを導入した結果がシステム障害という事態を招いたのかもしれません。新聞社は不測の事態においてもソフト面(新聞社員力)については事態に対応できる能力と修練された技術力があるものですが、ハード面(システムや輪転機など)は専門業者に委ねるしかないのも現実です。「他山の石」として自分たちの足元を見つめ直したいと思います。

▽「2014年 日本の広告費」は6兆1,522億円、前年比102.9%(電通)
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2015/0224-003977.html

【追記】(2016.2.26 19:15)
▽陸奥新報が朝刊遅配 システム障害で(東奥日報2/26付夕刊より)
 陸奥新報社(本社・弘前市)の新聞編集制作システムに障害が発生し、同社発行の26日付朝刊「陸奥新報」が津軽地方で約6時間、遅配になった。
 同社の成田幸男編集局長によると、システムに障害が起きたのは25日午後10時ごろ。応急処置をし26日午前9時すぎ、印刷を再開した。同局長は「原因を調べながら完全復旧を目指す」と話している。

 今回の一報を知らせてくれた友人から貴重な資料も送っていただいたので引用します。ちなみに、青森市内には、午後3時に陸奥新報が届いたそうです。
※ベンダー(方正株式会社)の沿革によると、陸奥新報のシステムは2006年11月に稼働。2010年2月には日刊スポーツの「東阪統合システム」が稼働し、この年の新聞協会賞(技術部門)を受賞している。
http://www.founder.co.jp/about_us.html#c
※当時の「新聞研究」を見ると、受賞理由に「海外ベンダーに開発作業を委託することで、開発・保守コストの大幅な削減を図った」とある。今回の陸奥新報のトラブルを直接結び付けるわけにはいかないが、「できるだけ設備投資を抑えたい」とも受け取れる。以下は新聞協会HPより。
http://web.archive.org/web/20101127190847/http://pressnet.or.jp/about/commendation/kyoukai/works.html
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2015年02月13日

中国新聞が4月末で夕刊を休刊/ブロック紙勢も「夕刊廃止」の堰を切った

 昨夜に届いたニュースを見ながら「やはり…」という思いに駆られました。
中国新聞が4月で夕刊休刊 朝刊とセットの新媒体創刊(2/13付・中国新聞)
 中国新聞社(広島市)は12日、夕刊を4月末で休刊し、朝刊と同時に配達する日刊の新媒体「中国新聞SELECT(セレクト)」を5月1日、創刊すると発表した。同社夕刊は1924年から発行しているが、部数減により91年に及ぶ歴史に幕を下ろすことにした。
 SELECTは、経済や海外のニュースを中心に、幅広いジャンルから読み応えのある記事を盛り込む。外部投稿や写真特集、文化、芸能のほか脳トレやクロスワードなど遊びの要素も加える。
 朝刊と同じサイズの16ページで、全ページカラー。月曜日を除く週6日発行する。朝刊と同時に配達することを条件に、販売エリアは限定しない。
中国新聞社:4月末で夕刊を休刊に(2/12付・毎日新聞)
中国新聞社(広島市)は12日、夕刊を4月末で休刊し、朝刊と同時に配達する日刊の新媒体「中国新聞SELECT(セレクト)」を5月1日、創刊すると発表した。同社夕刊は1924年から発行しているが、部数減により91年に及ぶ歴史に幕を下ろすことにした。
 SELECTは、経済や海外のニュースを中心に、幅広いジャンルから読み応えのある記事を盛り込む。外部投稿や写真特集、文化、芸能のほか脳トレやクロスワードなど遊びの要素も加える。
 朝刊と同じサイズの16ページで、全ページカラー。月曜を除く週6日発行する。朝刊と同時に配達することを条件に、販売エリアは限定しない。(共同)

 新聞社は県内を発行エリアとする地方紙と近隣県にまたがる広域エリアで発行するブロック紙、そして全国紙に分類されますが、いよいよブロック紙勢も「夕刊休刊」の堰(せき)を切ったと捉えています。(※産経新聞東京本社は全国紙ですが2002年3月で夕刊廃止)

 今だけ委員長は、この流れはさらに加速すると予感しています。
 新聞社および販売店の経営問題のみを考えると夕刊発行(配達経費含む)にかかるコストは総じて赤字です。完全セット販売も顧客のニーズによって崩れており、朝刊単配の読者がセット読者数を上回っている地区が増加、記事の連動性も編集段階で相当難しくなっていると聞きます(夕刊で一報した記事を翌日朝刊へ掲載する際、夕刊を購読していない読者へ記事重複しないように掲載の仕方を工夫するなど)。
 また、新聞社において速報性という概念がいまのネット時代に照らし合わせて、どう作用しているのか。号外の発行も電子号外(WEBで発信)へシフトしている状況を考えると、情報の速報性については「紙」だけに固執しない流れになっているわけで、これまで(中国新聞社は91年間)続いてきた朝・夕刊という新聞のセット発行は多メディア時代(情報摂取の機会の多様化)とともにその意味を成さなくなってきたと感じています。
 しかし、販売現場にいると夕刊が配達されるのを待っている読者もいる(その多くが高齢者ですが)。そして、新聞配達で生計を立てている労働者のことを考えると何とも言えないジレンマを抱きながら、私を含め多くの新聞関係者は「自分たちの足元」を見ていることだと思います。

 けさはやくに、旧知の中国新聞販売店の方へ話しをうかがいました。その所長さんも夕刊配達スタッフへの説明やメディアとしての価値について、複雑な気持ちでいるようでした。夕刊休刊の社告は本日付だったのですが、業界紙などに情報が漏れて当初3月発表の予定を前倒しして13日発表となったこと(共同通信などは前日12日に配信)。販売店側へ夕刊休止の通達・説明会が行われたのは先月28日だったそうです。夕刊を扱っている販売店の多くが採算割れしていたことなどから「歓迎」する向きもあるとのことですが、この所長さんは「やはりスタッフのことやメディアとしての価値を考えれば、どうなんだろう?と言う気持ちです」と語ってくれました。

 中国新聞社では夕刊に変わる新たな媒体「中国新聞SELECT(セレクト)」(週6回発行・単売なし)を発行するとのこと。夕刊休止による収入減を補う施策として期待されますが、中国新聞の読者が2パターン(SELECTとのセット読者と朝刊単読者)となるので、配達はとても複雑になるのではないかと感じます。

【追記】
※中国新聞 発行部数(2013年4月15日現在)
 朝刊 639,084部   夕刊 34,967部

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2015年01月22日

ヤマトメール便廃止のもうひとつの理由

 ヤマト運輸株式会社(ヤマトホールディングス)がクロネコメール便を本年3月31日受け付け分で終了するというニュースが入ってきました。
▽ヤマト運輸、メール便廃止へ 利用者のリスク回避できず(朝日新聞1月22日付)
http://www.asahi.com/articles/ASH1Q5HNCH1QULFA019.html
▽クロネコメール便の廃止について(ヤマト運輸プレスリリース)
http://www.yamato-hd.co.jp/news/h26/h26_73_01news.html

 お客さまがクロネコメール便で信書に該当する文書を送り、罰せられてしまうことがないよう、荷受けを厳格化し、注意喚起をはかるとともに、2013年12月に、総務省 情報通信審議会 郵政政策部会において、内容物ではなく、誰もが見た目で判断できる「『外形基準』の導入による信書規制の改革」を提案し、信書を送ってしまっても、送ったお客さまではなく受け付けた運送事業者のみが罪に問われる基準にすべきであると訴えてきました。しかしながら、結局、当社の主張は受け入れられず、依然お客さまのリスクをふせぐことができない状態となっております。
 以上の経緯を踏まえ、法違反の認識がないお客さまが容疑者になるリスクをこれ以上放置することは、当社の企業姿勢と社会的責任に反するものであり、このままの状況では、お客さまにとっての『安全で安心なサービスの利用環境』と『利便性』を当社の努力だけで持続的に両立することは困難であると判断し、クロネコメール便のサービスを廃止する決断に至りました。(ヤマト運輸プレスリリースより)

 今回発表されたヤマト運輸の「クロネコメール便廃止の決断」については、総務省の諮問機関「情報通信審議会」が昨年12月4日に中間答申した「郵政事業のユニバーサルサービス確保と郵便・信書便市場の活性化方策の在り方」の内容(総務省の方針)が、ヤマト運輸側の思ったとおりには進まなかった(これ以上総務省が一般新書事業の基準を緩和することはありえないと悟った)ことが「決断」に至ったと見るべきですが、私はヤマト運輸の将来的な人員確保の難しさやコスト的な価値判断ももうひとつの理由ではないかと感じています。

 一般信書便事業は2003年に民間企業にも開放されましたが、「全国に約10万本のポストを置く」など基準が厳しく、これまで1社も参入していません。民営化になったとは言え実態としては日本郵便の独占状態が続いています。ヤマト運輸と総務省の「因縁の対決」(規制緩和を求める=ルールの定義)を注目してきましたが、もともと国が進めてきた郵便事業のインフラ機能(ユニバーサルサービス)には民間企業が太刀打ちできるわけがないのです。

 私が所属する販売店でもメール便事業を大手運送会社の下請けとして業務委託を受けていますが、「どう見ても信書だろう」というものがフツーに流通しているのが実態です。ヤマト運輸も依頼された顧客のリスクまで考えなくともイイのではないか―とも思うのですが、配達スタッフ確保の難しさやコスト的なメリットも「決断」に含まれているのかもしれません。ネット上では「日本郵便の独占は許せない」とか「ヤマトの方がサービス(価格)がよい」という意見が大半を占めているようですが、流通の現場では一般信書の配達料金ではコスト的に合いません。ビジネス街のように一つのビルで何百通と届けられる市場であれば利益もでると思いますが、住宅地などでは確実に赤字になるでしょう。メール便の単配ではやっていけないのです(私のところは夕刊配達時のついでに配っています)。全国どこでも52円で3日以内に届けるサービスは国策だからやってこれたわけだし、民営化されたとはいえ拠点・設備・インフラ機能はそのまま受け継いだ日本郵便にはかなわない。「生活者の利益」をよーく考えたいものです。

 ネット販売などの流通が活発になり民間企業が薄利多売の料金競争を仕掛けてメール便市場は拡大してきたわけですが、そのしわ寄せは末端労働者への低賃金化を招き、「配る人がいない」というスパイラルに陥るだけだと思います。

▽信書を送る方法と梱包方法!ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便の宅配便
http://torisedo.com/18692.html
▽一般信書便の参入規制維持 総務省、特定信書便は一部緩和(日本経済新聞2014年3月12日付)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS1203J_S4A310C1EE8000/
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2014年12月23日

朝日・従軍慰安婦記事取り消し問題で期される「経営と編集の分離」 新聞人はどう向き合うか

 朝日新聞社が「吉田証言」をもとに1980年代から掲載してきた従軍慰安婦記事を取り消した問題で、同社の第三者委員会が報告書をまとめ、22日に記者会見を行いました。委員7人によって行われた検証の内容については、それぞれの専門家がその人なりの物差しで見解をまとめられたと思うので尊重しつつ、本日の各紙朝刊に目を通していたら「経営の過剰介入」「経営と編集の分離」という見出しが多かったので雑感を。

 2006年から07年まで日本新聞労働組合連合(略称:新聞労連)の中央副執行委員長の職に就いていたとき、「右肩下がりの新聞産業」を活性できないものかと新聞産業研究会を立ち上げたことがありました(公募制で新聞社に勤める組合員7人に研究員を委嘱して運営)。
 「新聞社の経営が成り立たなければ組織ジャーナリズムを守ることができなくなるのではないか」という問題意識が発端で、自分たちの労働条件を守るということは二の次―という意識の研究員が、ネット時代に対応する新聞社(販売店)の経営資源を活用したビジネスモデルなどを研究し、これまで5冊の報告書をまとめました。
 活動を続けていくにあたって(今だけ委員長は二期座長を務めました)編集職場の労働者から、いわば「儲けるための新聞経営を研究」について相容れないという意見も数多く寄せられました。「にわとりが先か卵が先か」というような単純な議論ではありませんでした。編集職場の方々は「経営問題に労働組合が足を突っ込むことについては慎重になるべきで、儲けるために紙面(編集権)が経営者の思うようにされてはならない」と主張する一方、編集職場以外の労働者(若手の新聞労働者を含む)は「経営者が頼りないからデジタル時代に対応するビジネスモデルを構築していくのは必至だし、新聞社の屋台骨が崩れれば組織的なジャーナリズムを守れなくなる」というものでした。
 「経営と編集の分離」は本来あるべき姿として同意するのですが、実際には「?」が拭えません。「理想と現実」「表と裏」いろいろな物言いはありますが、本当に難しい問題だと思っています。いっそのこと法人格をNPOにするとか、編集機能や記者職を分離して新聞紙面(広告を除く)を制作するとか、欧米並みに記者職の権限と労働条件を同一にすることも検討の余地があるのかもしれませんが、日本の風土もあるのでどれも現実的ではありません・・・。

 今だけ委員長は後者の論で一貫しています。その理由はいくつかあるのですが、大新聞社に勤める編集幹部が「販売のことなんて興味ない。俺たちは天下国家を動かしているのだから」と言われたことがありました。高級なスーツを着て高飛車な物言いをする“新聞社の偉い人”も販売店への押し紙などで高給を得ていると思うと「なんと不思議な業界だ」と常識のズレを感じたわけです。このような例は希なことですが、新聞人全体が「無駄が金を生む仕組み(梱包に包まれたままの行き先のない新聞を刷り続ける)」に乗りながら、自分が勤める新聞社の経営問題に目をつぶっていては、「経営と編集の分離」を声高に言うのはいかがなものか――というのが私の本音です。
 ◇
▽慰安婦報道の誤報放置「読者裏切る」朝日新聞第三者委 - 朝日新聞デジタル
http://www.asahi.com/articles/ASGDQ5TP1GDQUEHF00C.html
▽朝日慰安婦検証:「自己弁護が目立つ」第三者委報告書 - 毎日新聞
http://mainichi.jp/select/news/20141223k0000m040019000c.html
▽【速報】慰安婦報道、朝日新聞"第三者委"が報告書を提出、記者会見 #BLOGOS
http://blogos.com/outline/101897/
▽「紙面づくりやチェック体制見直します」 朝日新聞社長 - 朝日新聞デジタル
http://www.asahi.com/articles/ASGDQ6HM7GDQUEHF00X.html

 朝日新聞の慰安婦報道取り消しに際し、以下の論考はとても大切だと思います。野中章弘さん(アジアプレス・インターナショナル代表)の記事を引用します。

歴史の抹殺に手を貸すな/「朝日たたき」危うい風潮
 朝日新聞の慰安婦報道を検証した第三者委員会は社外の弁護士、研究者、ジャーナリストら7人で構成され、虚偽と断定された吉田清治氏の証言を掲載した経緯や国際社会に与えた影響などについて検証作業を行ってきた。
 済州島で慰安婦を強制連行したという吉田氏の発言は1980年代から90年代にかけて、十数回、朝日新聞で取り上げられており、うそを見抜けなかったことや訂正が遅れたことに関して、今後の教訓とすべき点があることは明らかである。
 また、これに触れた池上彰氏のコラムの掲載拒否や経営トップの対応のまずさなども、日本を代表する新聞社としてはあまりにもお粗末だったと言わざるをえない。自社の姿勢を「情けない」と嘆いた記者たちも多かったようである。
▽人権侵害は史実
 今回の報告書は朝日新聞の縦割り的な体質や経営の編集への介入、報道姿勢の甘さなどを指摘しながら、包括的で具体的な提言を盛り込んだ。
 ただ朝日新聞の報道をめぐる批判とそもそもの慰安婦問題とはまったく次元の異なる話である。この点をきちんと踏まえておく必要がる。仮に吉田証言や朝日新聞の報道がなかったとしても、多くの女性たちが旧日本軍による戦時性暴力の被害者として、人権を侵害されていたことはまぎれもない歴史的事実だ。自らの意思に反して性行為を強要された女性たちの存在は、さまざまな調査、研究で証明されており、学問的にも議論の余地のないものである。
 慰安婦問題の国際化も、90年代初頭から元慰安婦の女性たちが名乗り出てきたからであり、吉田証言の影響は極めて限定的だ。残念ながら、第三者委には慰安婦問題の専門家や研究者が一人も選ばれておらず、報告書の説得力を弱める結果となっている。現場を知らない「識者」に頼らずとも、報道の検証はまず自社で行うべきだった。
 異様なまでの朝日新聞バッシングの内容の多くは、週刊誌が掲げた「売国」「国賊」「反日」といった扇情的で時代錯誤的なものや「国益を損ねた」といった類のものである。朝日新聞の「過ち」を突くことで慰安婦問題そのものを否定しようとする主張であり、そのような風潮は極めて危うい。
▽再取材こそ必要
 慰安婦問題は日本のジャーナリズムにとって、最大のタブーの一つになりつつある。新聞だけではなく、NHKなどもここ十数年、慰安婦を正面から取り上げた番組はない。有形無形の圧力を受け、現場の記者たちも萎縮するばかりである。
 いま朝日新聞がすべきことは、慰安婦問題の徹底的な再取材であり、事実の確認作業である。それが責任を取るということだろう。
 朝日新聞の慰安婦問題をめぐる出来事を、「右派対左派」「保守対革新」といったイデオロギー的な対立構造や報道のあり方をめぐる業界内の問題として語ってはならない。私たちに問われているのは、たとえ認めたくない事実であっても、事実を事実として受け止める知性的な態度の有無だ。右も左も関係がない。
 歴史的事実から教訓を学ぶことでのみ、私たちはより良き未来を構想することができる。過去に目をつぶることは、歴史の記憶の抹殺につながる。ジャーナリズムは決してそれに手を貸してはならない。(河北新報12月23日付・29面から引用)
 
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2014年12月22日

報道界 2014年の10大ニュース

 2014年も残り9日。東日本大震災の被災地では4度目の冬を迎えます。
 各地では観測記録を更新する大雪に見舞われ、新聞配達スタッフの方々は大変なご苦労されていると思います。元旦号の配達態勢や折込チラシの組み込み作業、購読料の集金業務など、販売店では最も忙しい時期ですが、事故のないように(昨年、今だけ委員長はバイクで転倒=鎖骨骨折・・・)願っています。

 定期購読している「新聞協会報」(日本新聞協会発行)編集部がまとめた今年の(報道界)10大ニュースはこんな感じでした。個人的には下位(記事の扱いで判断)にある「憲法解釈の変更」が大きく扱われるべきではないかと感じますが、結局は安倍政権の言論界に対する施策を止められなかった。「負け戦」となったとしても「歴史に刻み続けるべき」かなぁと感じます。
 ◇
報道界2014年重要ニュース(新聞協会報編集部選定)
▼朝日、記事取り消し謝罪/「吉田調書」・「慰安婦」新聞の信頼回復が課題に
 朝日新聞社は8月5日付朝刊で、韓国・済州島で慰安婦を強制連行したとする故・吉田清治氏の証言を紹介した過去の記事を取り消した。9月11日には、木村伊量元代表取締役社長が記者会見を開き、東京電力福島第一原発事故をめぐる政府事故調査・検証委員会の聴取記録「吉田調書」に関する5月20日付の記事を取り消すとともに、慰安婦報道検証を取り上げた池上彰氏のコラム掲載を見合わせた件についても謝罪した。
▼特定秘密保護法が施行/新聞協会 運用基準、見直し求める
 12月10日、特定秘密保護法が施行された。昨年12月6日に成立した同法は、秘密指定の恣意性や指定範囲の曖昧さのほか、情報が半永久的に秘匿される余地もあり、国民の知る権利を侵害しかねないとの指摘が多い。新聞協会は法案審議中から、▽国民の知る権利や取材・報道の自由を阻害しかねない▽特定秘密をチェックする仕組みがない▽懲罰が重く、公務員らの情報公開に対する姿勢を過度に萎縮させる―とする意見を表明してきた。
▼前ソウル支局長が在宅起訴/産経 編集委、韓国検察に抗議
 ウェブサイトに書いたコラムが韓国のパククネ大統領の名誉を傷つけたとして、産経新聞社の加藤達也前ソウル支局長(現社会部編集委員)が10月8日、情報通信網法違反の疑いでソウル中央地検に在宅起訴された。問題になったのは8月3日掲載の記事。朝鮮日報のコラムなどを引用し、旅客船沈没事故が起きた4月16日、パク大統領が特定の男性と会っていたとのうわさを紹介した。事実上の初公判は11月27日に開かれた。加藤氏は「政権を揺るがした旅客船沈没事故の当日、パク大統領がどこでどう対処したのかは、公益にかなうニュースだと考えた」と説明している。
▼購読料改定、増税分を転嫁/新聞各社 消費税8%引き上げで
 政府は4月1日、消費税を5%から8%へ引き上げた。これを受けて多くの新聞社は月決め購読料を改定、増税分を転嫁した。新聞協会は増税に際して軽減税率を導入し、新聞に適用するよう求めており、10月の新聞大会で特別決議を採択した。
▼問われたSTAP細胞報道/先端科学取材の難しさ露呈
 理化学研究所(理研)の小保方晴子ユニットリーダーらのチームは1月29日、新しい万能細胞「STAP細胞」を発見したと発表した。英科学誌「ネイチャー」に論文が掲載されたことや理研が大々的に発表したこともあり、各紙はこのニュースを大きく報じた。しかし、インターネット上で論文内の画像に捏造、改ざんがあるとする疑義が生じ、理研は3月末に不正を認定。小保方氏は7月に論文を撤回した。ネットに集積された知識・技術が論文審査の限界を補った。一流科学誌に掲載された論文の不正を見抜くのは、専門家でも容易ではない。先端科学を取材・報道する難しさが露呈した。
▼デジタルサービス急増/本紙購読者向けに提供
 現読者維持・サービス拡大を目的として購読者限定のデジタルサービスを始める新聞社が相次いだ。消費税が引き上げられた4月1日には、読者限定の「報知プレミアム」や大分合同の会員制サイトが始まった。朝日、読売、秋田魁、新潟は購読者限定で紙面イメージの提供を開始した。
▼新聞読む子供、正解率高く/文科省調べ 閲読頻度と相関関係
 文部科学省は8月25日、小学6年と中学3年を対象にした全国学力・学習状況調査(全国学力テスト、4月実施)の結果を発表した。テストを実施した全教科(国語、算数、数学)で、新聞の閲読頻度に比例して正解率が高いことが判明。前年調査に引き続き、新聞閲読と学力の相関関係が明確になった。新聞の閲読頻度は昨年に比べ低下した。
▼デジタル印刷活用進む
 朝日東京に11月17日、キャノンの完全子会社オセ社(オランダ)製のデジタル印刷機が納入された。国内で新聞本社が新聞印刷用デジタル印刷機を導入するのは初めて。
▼憲法解釈の変更 各紙大きく報道
 政府は7月1日、集団的自衛権の行使を認める憲法解釈の変更を閣議決定した。各紙は日本の安全保障と外交の政策転換を大きく報道し、社説・論説でも連日取り上げた。
 憲法解釈を変える大きな判断であるにもかかわらず議論が尽くされていない、平和憲法の理念を変質させるといった主張が展開された。一方、限定容認により米国はじめ他国と連携を深めることは不可欠とする意見もあり、各紙の論調の違いが浮き彫りとなった。
 安倍首相が憲法解釈の変更を指示したのは5月中旬。それから閣議決定までの1か月半、各社は短時間でどれだけ分かりやすく読者に伝えるか、工夫を重ねた。
▼改正放送法が成立
 NHKのインターネット業務拡大や民法局の経営強化策が盛り込まれた改正放送法が6月20日に可決・成立した。来年4月に施行される見通し。
 NHKのネット業務は現在、総務相の認可を得る特認業務だが、改正法により、自主的に定める基準に沿って恒常的に実施できる。籾井勝人会長は、全番組のネット同時配信も将来的に実現させたいと明言している。
(新聞協会報・4126号から引用)
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2014年12月11日

産経が来年3月から読売仙台工場へ印刷委託

 読売新聞の印刷工場が来年3月からの稼働に伴い、産経新聞および産経新聞社(株式会社産業経済新聞社)の関連諸紙も新読売新聞印刷工場で委託・受託印刷することになりました。

▽産経新聞の印刷を受託(読売新聞 2014/12/05)
読売新聞東京本社と産経新聞社は、東北地方に配達している産経新聞を、現在建設中の読売新聞仙台工場(宮城県大和町)で、委託・受託印刷することで合意し、4日、契約を締結した。印刷開始は来年3月を予定している。
 印刷するのは産経新聞のほか、サンケイスポーツ、フジサンケイビジネスアイ、競馬エイト。
 読売新聞仙台工場は、東日本大震災で被災し、閉鎖された旧仙台工場(仙台市宮城野区)に代わって建設中で、来年1月末に完成し、同3月全面稼動する予定。宮城、岩手、山形県内に配達される読売新聞やスポーツ報知を印刷する。

▽読売 産経新聞の印刷を受託 仙台工場で来年3月から(新聞協会報 2014/12/09)
読売新聞東京本社と産経新聞社は4日、東北地方に配達する産経本誌などを、建設中の読売仙台工場(宮城県大和町)で来年3月から印刷することで合意した。印刷の受委託に合わせ、共同輸送も検討している。
産経は、同社仙台工場(運営・仙台新聞印刷)で印刷してきた東北6県向けの産経本紙やサンケイスポーツ、フジサンケイビジネスアイ、競馬エイトの印刷を委託する。
建設中の読売仙台工場は、東日本大震災で被災し2012年1月に閉鎖を余儀なくされた旧工場(仙台市)に代わり、来年1月末に完成、3月に全面稼働する。
新工場では、現在、河北新報印刷センター(運営・河北新報印刷)に委託している宮城。岩手、山形県向け読売朝刊やスポーツ報知を刷る。印刷部数は、受託分も含め20万部。

 東日本大震災の影響で仙台工場が閉鎖した2012年1月から3年。仙台市内に程近い大和町の工業団地で印刷がはじまります。河北新報印刷センターでは2012年3月から読売の委託・受託印刷していた業務提携を終了し、朝日新聞と聖教新聞の受託印刷を続けていくことになるのでしょう。

 もうひとつ気になることは、読売の新印刷工場へ印刷を委託した産経新聞は、「仙台新聞印刷株式会社」(仙台市若林区・代表取締役社長 今野敦之氏)も関連会社であるのに、あえて読売へ委託する理由は何か?ということです。仙台新聞印刷鰍ヘ地元の印刷会社潟ーメディア(旧今野印刷・近年は他メディア企業として成長しています)が運営し、リビング新聞や選挙公報など行政側の刊行物も手広く受注しているので、(今後は合弁会社の形態をどうするのか不明)産経新聞の印刷業務が読売工場へ移っても大きな影響はないのかもしれません。

 まだまだ「紙」が主戦場であり、受委託を繰り返しながら新聞経営は続きます・・・。
▽読売新聞 大和町へ新仙台印刷工場建設 2015年2月稼働目指す(今だけ委員長 2012/10/27)
http://minihanroblog.seesaa.net/article/299331710.html
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2014年10月05日

新聞配達に関するエッセーコンテスト 入選作決まる

 日本新聞協会(販売委員会)が「新聞配達に関するエッセーコンテスト 入選作(2014年)」を発表しました。
http://www.pressnet.or.jp/about/recruitment/essay/list.html
 どの作品も新聞販売店従業員をあたたかく見守ってくれているエピソードがいっぱいです。このような優しい対応をしてくれる読者がいる一方で、販売業界に対して快く思っていない方も増えているように感じます。顧客から嫌われるような営業行為をしているのだから当然かもしれません。今だけ委員長もこの業界に入って四半世紀が経ち、「新聞屋のお兄さん」と呼ばれて読者との会話も弾んだ頃に比べいまは、アポなしの訪問者には応答すらしてもらえない“お寒い”現実。セキュリティー重視社会への移り変わりを感じます。
 「訪問営業」を続けているのはもしかすると新聞販売店だけになってきたのかもしれませんが(これも強みかもしれません)、ただ訪問すればいい―という時代ではなく、コミュニケーションを図る場面をどうセッティングするかがポイントになっていると思います。
***
最優秀賞作品
※大学生・社会人部門
『おばあさんの新聞』岩國 哲人さん(78歳) 東京都渋谷区
 一九四二年に父が亡くなり、大阪が大空襲を受けるという情報が飛び交う中で、母は私と妹を先に故郷の島根県出雲市の祖父母の元へ疎開させました。その後、母と二歳の弟はなんとか無事でしたが、家は空襲で全焼しました。
 小学五年生の時から、朝は牛乳配達に加えて新聞配達もさせてもらいました。日本海の風が吹きつける海浜の村で、毎朝四十軒の家への配達はつらい仕事でしたが、戦争の後の日本では、みんながつらい思いをしました。
 学校が終われば母と畑仕事。そして私の家では新聞を購読する余裕などありませんでしたから、自分が朝配達した家へ行って、縁側でおじいさんが読み終わった新聞を読ませていただきました。おじいさんが亡くなっても、その家への配達は続き、おばあさんがいつも優しくお茶まで出して、「てっちゃん、べんきょうして、えらい子になれよ」と、まだ読んでいない新聞を私に読ませてくれました。
 そのおばあさんが、三年後に亡くなられ、中学三年の私も葬儀に伺いました。隣の席のおじさんが、「てつんど、おまえは知っとったか?おばあさんはお前が毎日来るのがうれしくて、読めないのに新聞をとっておられたんだよ」と。
 もうお礼を言うこともできないおばあさんの新聞・・・。涙が止まりませんでした。

※中学・高校生部門
『おばあちゃんの楽しみ』山田 美早紀(17歳) 宮城県大崎市
 私が幼い頃、近所に住む祖父母の家によく遊びに行っていました。ガラガラと戸を開けるタイプの玄関を入ると、そこにはいつも「新聞集金代」と書かれた紙の上に、お金の入ったビンが置いてありました。私は、「どうしていつも置いておくの?」と尋ねました。おばあちゃんは「忘れないように」とだけ言って笑っていました。
 私は、おばあちゃんがうれしそうに話していたのを不思議に思いました。そして、ガラガラと玄関を開ける音と、「新聞の集金です」という声を聞き、おばあちゃんは玄関に行きました。玄関から聞こえてくる、おばあちゃんの笑い声で、私は気付きました。おばあちゃんが新聞を楽しみに待っていた理由を。
 おばあちゃんが楽しみにしているのは、新聞を読むことだけじゃなく、配達に来る人、集金をしに来る人と、世間話をすることだと知りました。集金の人が帰ると、またおばあちゃんはうれしそうに、ビンの中に集金代を入れていました。

※小学生部門
『リレーは続くよ、どこまでも』安藤 円樺(10歳) 東京都練馬区
 先日、新聞やダンボール古紙を原料として新たに新聞原紙を作る製紙工場を見学した。山積みされた古紙は溶かした後、インクを除きパルプに戻して新しい新聞原紙に再生。本と違って新聞は一度読むと捨てられる運命。パソコンなどでいつでも最新情報は見られるが、私は紙の新聞が好き。紙面製作に関わった人たちの努力やぬくもりを感じるから。役目を終えた新聞がリサイクルされ、新しい情報を載せて私の元へ戻ることを目の当たりにした。
 リレーに例えたら、新聞記者が第一走者(私も小学生新聞の特派員だから、第一走者でもある)。編集やデスクの方など多くのランナーの後、配達員の方から笑顔と一緒にバトンを渡される読者の私。そして私は古紙回収業者へとバトンを渡す。その後新聞は再生。このリレーにゴールはないから、アンカーはいないわけだ。少資源国日本の知恵だ。
 私もタブレット端末は使うけれど、ランナーの顔が見える新聞リレーは今後も絶対なくさないでほしい。今日も配達員の方から受け取った新聞のバトン。何となく新聞に「おかえり」と言ってみたくなった。

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2014年01月24日

ヤマト運輸がマンション宅配を一括請負 物流部門に求められるサービス向上と効率化

 ヤマト運輸が大規模なマンションなどを対象として、戸別に届ける複数宅配業者の荷物をヤマトが集約し、一括宅配するサービスに着手―というニュース。

▽ヤマト運輸、マンション宅配を一括請負−他社荷物も戸別管理(日刊工業新聞1月21日付)
http://www.nikkan.co.jp/news/nkx1120140121aaar.html


 仙台市内の高層マンション前でも複数の宅急便トラックが連なっている光景をよく見かけます。インターネット通販が浸透して個人宅の荷物量が拡大するなか、家主の在宅時に複数の宅配会社の荷物を一括して受け取れるというのは便利なサービスと言えます。配送履歴や「着払い」などの課題もあるようですが、各社との整備も進めていくとしています。将来的にはマンション館内にミニ配送センターのような機能を持たせ、顧客のさまざまな要望に応える「コンシェルジュ」機能も付加させるとも。

 近年建設された世帯数の多いマンションなどでは、ホテルのフロントのようなコンシェルジュサービスを提供する専門業者を導入するところも増えていますが、宅配物までは預かってくれないのが実情です。商品を配送する業者間が協業することによって「商品の管理責任」がどこまでクリアになるかも興味のあるところです。

 新聞販売店でも一部オートロックマンションへの各戸配達の協業に取り組んでいます。読者の利便性向上はもちろん、系統ごとの配達スタッフが出入りせず専属スタッフを管理組合へ登録し、安心・安全を担保しながら毎朝、専属スタッフ1名のみが入館して全紙をドアポストまで配達するというサービス。
 新聞産業界では印刷部門の受委託によって新聞社間の効率化が図られているわけですが、各系統の販売店は「単配」を続けていくのか、労働力不足の問題・効率化に着手し「共配」へ舵を切るのか。でも、販売店同士だけでは決められないのが新聞産業(そういう契約になっているのです)なのです。


 ヤマト運輸へ「新聞の配達も任せてみては・・・」という声も聞こえそうですが、配達時間、折込広告(チラシ)の組み込みなど、やはり現実的ではありません。

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2013年09月26日

「東北出身の楽天ファンに優勝を伝える地元紙をプレゼントしたい」広島で新聞販売店を営む仲間の気配り

 きょうはうれしいニュースです。
 宮城県仙台市宮城野区に本拠地を置く、東北楽天ゴールデンイーグルスがプロ野球パシフィックリーグで優勝しました。球団創設から9年目にして初のリーグ優勝です。
▽東北楽天、パ・リーグ初制覇(河北新報2013年9月26日付)
http://www.kahoku.co.jp/news/2013/09/20130926t14036.htm
▽河北新報号外 2013年9月26日付
http://www.kahoku.co.jp/gougai/2013/g201309260101.pdf

 湧きまくる仙台ですが「東北楽天」の名の通り、その経済効果が東北全体に波及してもらいたいものです。仙台だけが盛りあがるのではなく、宮城や東北の被災エリアにも「楽天効果」が届くように願いたいですね。


 akute.jpg新聞販売店ではプロ野球チームの優勝にあやかった大手スーパーや百貨店の「優勝セール」をお知らせする新聞折込チラシの特需があります。
 でも「優勝が決まった翌日の朝刊折込」という代物なので、日中に組み込んだチラシへ追加で組み込むという作業が生じます。私の職場ではきょう、社員3人に待機を指示し、優勝決定後に約90分で組み込み作業を終えました。
 販売店では翌日の段取りをする一方で、新聞社の販売部は夜の街で号外配りをしていることでしょう。皆さまお疲れさまです!
* * *
 楽天イーグルスネタでもうひとつ。

 広島県福山市で新聞販売店を営む信頼のおける方からメールが届きました。「私どものエリアに住む東北出身の楽天ファンに優勝決定翌日の河北新報をプレゼントしたいのですが、50部ほど購入しますので送っていただけないでしょうか」というもの。
 さっそく、あす発送することを伝えました。こういう読者への気配りができる販売店経営者が、厳しい時代だけれど商品(新聞)の売買だけじゃない顧客とのつながりを深くしているのだなぁと思います。

 顧客との信頼関係・・・。そのプロセスを大切にしても数字に表れないとダメ出しを食らう新聞販売現場には、そのような余裕もなくなっていると感じます。そして、そんなお家事情を顧客はしっかり見ているものです。

posted by 今だけ委員長 at 23:45 | Comment(2) | TrackBack(0) | 時事ニュース

2013年06月11日

新聞の読者層(定期購読)の境界線は「40代」

 株式会社博報堂DYメディアパートナーズが10日、「メディア定点調査2013」を発表しました。サンプルが東京地区ということで地下鉄などを利用する機会の多い方々のデータではありますが、参考になります。以下に引用します。

 株式会社博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所(本社:東京都港区、所長:吉田弘)は、生活者のメディア接触の現状を分析する「メディア定点調査2013」を実施しました。
 
 東京地区の調査結果によると、マス4媒体とインターネット2媒体(パソコン、スマートフォンを含む携帯電話)を合わせた1日のメディア接触時間は、5時間53分(週平均)と昨年とほぼ同数値となりました。1日のメディア接触時間は生活時間の中で飽和状態であると推定され、2010年以降、数値にほぼ変化はありません。
 
 近年、パソコンおよび携帯電話(スマートフォン含む)からのインターネット接続時間が伸長していましたが、今回、携帯電話からのインターネット接続時間は50.6分と、昨年の40.4分から10分近く伸びる結果(125.2%増)となりました。一方、昨年に引き続きパソコンからのインターネット接続時間は減少が続いており、スマートフォンの普及を背景に、パソコン経由から携帯電話経由へとインターネット利用の切り替えがさらに進んでいることが窺えます。
 携帯電話からのインターネット接続時間の伸びは、女性20代・30代に特に顕著で、女性20代では昨年の67.8分から52.1分伸び119.9分に(176.8%増)、30代では昨年の45.3分より28.6分伸び73.9分(163.1%増)という結果となりました。(引用終わり)


 マス4媒体の接触時間はそう変わらないものの、ネットの利用方法(時間)が自宅や職場のパソコンからケータイ&スマホへと変化しています。「どこにいてもネット環境に接触できる社会」に向かっていることが感じ取れますね。
 今だけ委員長の自宅でも無線ルータを使い書斎あるPCで私がブログ(たまには仕事も)を書き、ダイニングにあるノートPCでは嫁がダイエットレシピをチェックし、リビングでは娘がiPadでプリキュア(YouTube)を観ている・・・テレビを見るよりネットへアクセスしている時間が多い時もあります。


HDYMPnews20130610_01.tif

 さて、本題は「新聞の接触時間」。マス4媒体にパソコンおよび携帯電話による「ネット接続時間」を加えたメディア接触時間の比較すると、全体の接触時間は353.1分(5時間53分・こんなに〜と驚きますが)。そのうち新聞が27.1分、パソコン+携帯電話が123.4分。ネットへの接触は新聞の4.5倍という結果です。
 「新聞を読む時間がない」と購読中止をされる方も少なくありませんが、1日のうちでメディアへ接触する時間の配分変更というか「スクラップ&ビルド」の提案を売り手の側(販売店)が仕掛けないと「新聞の接触時間」は減少の一途をたどると思われます。これがあと10年経つと現在の30代が40代層へシフトすると平均が19.5分(29%減)。あくまでも仮説ですがゾッとする数字です。
 グラフからも40代を境界線にして新聞の接触時間が大きく変化していることがわかります。30代の方々へ新聞に接してもらおうと、業界ではご本人ではなくその子どもたちをターゲットに「新聞を活用したNIE教育」に着手していますが、(実績はでていうものの)目に見えてサンプルのポイントを引き上げるまでには至っていません。

 費用対効果なのか、習慣性なのか、はたまた時代にマッチしていないのか・・・。新聞購読はそれぞれの価値観(読めば間違いなく社会全体の動きがわかると思うのですが)が大きく左右するものですが、「販売店が努力していないから」と新聞社のエライ方々が一蹴して済む問題ではなくなっていることだけは確かです。

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2013年05月08日

ザ・ハフィントン・ポスト・ジャパンが7日創刊 勝負どこはコンテンツと価格・・・そして日本文化

 いよいよ、米国で月間4600万人が訪問するニュースサイト「ザ・ハフィントン・ポスト」日本版(ハフィントンポストと朝日新聞の合弁会社『ザ・ハフィントン・ポスト・ジャパン』が運営)が7日、創刊しました。
 日本版はブロガーによるブログ記事、ニュース記事、ソーシャルコメントの3つの要素で構成され、「団塊ジュニア世代」をターゲットに政治、経済、国際、社会の4つのテーマからスタートするそうです。ブロガーの間では「ハフィントン日本上陸 ネット×新聞の新型メディアなるか」との期待感もあるようです。


 これまでも、さまざまな外国メディアの日本版が創刊(WEB系のニュースメディアとして)されてきましたが、『大ヒット』というレベルには達していません。オーマイニュース(韓国)やウォールストリート・ジャーナル日本版(読売新聞系)も鳴り物入りでネットユーザーを煽ってきたけれど、ツイッターで配信され「タダ読みチェック」はするけれどビジネスとしての成立は難しいようです。

 朝日新聞もかなり力を入れている―とうかがっているので、これからどのような展開がされるのか楽しみでもあります。


▽ハフィントン・ポスト日本版発表会 主な発言(2013.5.7付 朝日新聞DIGITAL)
http://www.asahi.com/national/update/0507/TKY201305070186.html
▽ハフィントン・ポスト日本版創刊、ネット上に「良質な言論空間」を(2013.5.7付INTERNET Watch)
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20130507_598400.html
▽本日オープン「ハフィントンポスト日本語版」、編集長「テーマは団塊ジュニア世代2013.5.7付Business Journal)
http://biz-journal.jp/2013/05/post_2053.html

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2013年04月21日

陸奥の動向が心配・・・/3年後に東奥が朝日を受託印刷

 現場(販売店)勤務から2週間が経ちました。まだ思うように自分のペースをつかめていないため、多くの方々からいただく連絡や情報提供に反応できず申し訳なく思っています。
 新聞産業などの硬派ネタは引き続き小ブログで綴っていこうと思っていますが、販売店の日常については、河北新報社が運営するSNS「ふらっと」で発信していこうと考えています。こちらもお時間のあるときに訪問していただければと思います。
 「こせきかつや通信」 
http://flat.kahoku.co.jp/u/senpan/
*  *  *
 「朝日新聞が東奥へ新聞印刷を委託」の記事が18日、東奥日報(2社面)、朝日(3社面)、河北新報など(共同通信配信)へ掲載されました。


▽朝日新聞を受託印刷 ―東奥日報社2016年春から―
 東奥日報社と朝日新聞社は17日、青森県と岩手県北部、秋田県北部に配達する朝日新聞本紙3万〜4万部を東奥日報印刷センター(青森市)で印刷することに基本合意した。印刷開始は2016年春を予定している。
 朝日新聞社は現在、青森県と岩手県北部、秋田県北部向けの新聞を朝日弘前プリンテック(弘前市)で印刷している。東奥日報社と朝日新聞社は今後、輸送面での協力の在り方も協議する。
 基本合意書の調印式は同日午後、東京都中央区の朝日新聞社本社で行われ、東奥日報社の塩越隆雄社長と朝日新聞社の木村伊量社長が合意書に調印した。
 東奥日報印刷センターは2015年夏を目標に輪転機の更新事業を始めており、現在2セットある輪転機を3セットに増強する。(東奥日報 4/18付)

 東奥日報社内でも極秘扱い?されてきたとのことですが、これまでも小ブログで指摘してきたとおり部数収入が伸び悩む新聞産業界は合理化へシフトせざるを得ません。全国紙と地方紙の業務提携だけではなく、地方紙と地方紙の下流部門の受託もさらに加速すると思われます。

 今回の朝日と東奥の印刷受託に関して、個人的に気になったのが陸奥新報社の動向です。陸奥は1975年1月から青森県内で発行する朝日、日刊スポーツ(日刊スポは同年3月から)の受託印刷をしてきたのですが、朝日の受託印刷から25年目の2000年1月に事態は一変することになります。
 1998年、朝日は業績不振と再販制度の対応に向け、21世紀に生き残りをかけた体制を掲げ、全国19ヵ所の現地印刷工場を2000年までにすべて40頁(カラー面12頁)印刷可能な輪転機を設置して独立採算の印刷会社組織に統合する方針を陸奥へ通達。それまでも経営悪化に喘いでいた陸奥は自社の印刷部門を廃止し、新会社の樺ゥ日弘前プリンテックへ出資(出資比率:朝日51%、日刊グループ34%、陸奥15%)、経営に参画することになるのですが、逆に印刷を委託するという立場になったのです。設立当時は陸奥の印刷局員が朝日弘前プリンテックへ出向して作業をしていました。

 3年後とはいえ、朝日が東奥日報印刷センターへ印刷委託をするということは、朝日弘前プリンテックはいずれ廃止(陸奥が単独で印刷工場の経営まで維持するのは困難)となる公算が強い。そうすると陸奥の印刷をどこが担うのか。1985年にそれまで陸奥への印刷委託をやめた日経系の青森高速オフセット株式会社になるのだろうか・・・。
 陸奥新報の仲間がこだわってきた新聞発行が途絶えないことを願います。

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2013年01月24日

輪転機トラブルで東北4県で1700部欠配 河北新報

 きのうの早朝、青森の新聞販売の仲間から電話が入りました。「けさの河北新報が輪転機の故障で販売店に届かず、欠配になった」というショッキングな内容でした。私たち販売労働者は東日本大震災のとき、欠配せずに(津波被害を受けて機能不全となった販売店エリアを除く)新聞を配り切ったのに…。とても残念な気持ちになりました。
 その後、青森や福島の販売関係者(新聞社に勤務する)からも同じ内容のメールを受け、「輪転機のモーターを冷やす冷却ファンの故障で印刷が遅れた」、「輪転機4セットのうち1セットが使えなくなり、読売、朝日など受託分を優先して河北新報本紙の印刷が遅れたと思われる」との情報を把握。NHK(青森放送局)では同日の正午過ぎのニュースで報じたそうです。
▽印刷機故障で河北新報届かず(NHK ONLINE青森県のニュース)
 NHK昼ニュース.bmp

 河北新報印刷センターの輪転機は東京機械の「シャフトレス」タイプで、1台の機械に4個のモーターを装備。1個に不具合があると、そのプレスが使えなくなる弱点があるそうです(関係者談)。

 河北新報社はきょう付で紙面に以下の記事を掲載しました。ミスをうやむやにせず、きちんと紙面でお詫びしたことは、逆に好意的に受け止められると思います。(以下に1/24付河北新報朝刊から引用)

▽輪転機トラブル 1700部配達できず 河北新報社
 22日夜、河北新報印刷センター(仙台市泉区)の輪転機が故障し、23日の河北新報朝刊の印刷が停止した。輪転機はその後復旧し、印刷を再開したが、秋田県全域と青森、岩手、福島県内の一部店舗への新聞輸送が間に合わず、4県で計約1700部が配達できなかった。
 河北新報社は配達できなかった23日の朝刊は24日の朝刊と一緒に届けることにしており、「読者にご迷惑をおかけして申し訳ありません。原因を調べ、こうした事態の防止に努めます」としている。(1/24付 河北新報朝刊)


 

 ミスのない仕事などあり得ず、全国紙の印刷受託を決めた時点でさまざまなリスクは想定されたことでしょう。でも大切なのは、ミスが生じてしまった際に読者(こういう場合は販売店にもかな)に対して真摯にお詫びをする姿勢だと思います。そして、つきなみですが原因の究明と事故の再発防止に全力をあげることしかありません。また、欠配や店着遅れが許されない新聞印刷を受託することのリスク管理にも注視してもらいたいと思います。「(輪転機という高額な)設備の稼働率をあげる」のはもっともなのですが、ミスが許されない新聞印刷においては緊急時の予備として1セットの輪転機を配備してきたということを経営陣も労働者も忘れてしまったのかもしれません。

 新聞産業は新聞社だけで成り立っているのではなく、関連会社、販売店があって(宅配されて)「商品」として完成されるものです。特にブロック紙の河北新報は東北6県を販売・宅配エリアにしているため、配送作業は大変な労力がかかります。「どこが悪い」、「誰が悪い」と責めるのではなく、リスクを最小限に止める努力を新聞産業の末端の労働者として行っていきたいと思います。

【追記】
NHKオンラインがリンク切れとなったので、青森に住む同業界の仲間から送ってもらった画像を差し込みました。

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2013年01月03日

読者紹介運動で集めた寄付金を震災遺児へ リスクを跳ね返した朝日新聞の取り組み

 新年あけましておめでとうございます。
 全国的に穏やかな元日を迎え、分厚い元旦号を届けた新聞配達スタッフもホッと一安心といったところでしょうか。大変お疲れさまでした。

 2013年最初のトピックスは、昨年末に報じられた朝日新聞社の読者紹介運動で集まった寄付金(4600万円)を震災遺児のために贈られたというニュース。「朝日新聞の読者を紹介すると1口500円が東日本大震災で親を失った子どもたちの育英資金へ寄付」という触れ込みで、全国で約1万3千人から4万6178件の紹介があったとのこと(読者紹介を受けた販売店・ASAも500円ずつ寄付)。


 ほかの新聞社でも被災地の復旧・復興、被災された方への支援と称して、多大な寄付を当該の新聞社および各自治体などへ贈っています。ただ、今回のように読者を巻き込んだ取り組みは、よほどの信頼がないと逆にマイナスイメージを持たれるというリスクを背負うものです(読売も以前にやってましたが)。被災した販売店からも徴収(あくまで寄付ですが)されるのはムムム…と思いますが、さすが朝日新聞と思わせた取り組みだと思います。

▽朝日新聞の読者紹介運動で寄付、震災遺児支援に4600万円
 朝日新聞社の読者紹介運動を通じて全国から集まった寄付金約4600万円が、東日本大震災で親を亡くした子どもたちを支援する「桃・柿育英会 東日本大震災遺児育英資金」に贈られた。会を立ち上げた一人で実行委員長を務める建築家の安藤忠雄さんが12月20日、朝日新聞東京本社を訪問。木村伊量社長から寄付金の目録を受け取った。
 10月から2カ月間にわたって朝日新聞社が展開した「東日本大震災遺児育英支援・読者紹介運動」では、新たな新聞購読者を紹介した人と、紹介を受けたASAのそれぞれから1件につき500円ずつを預かり、合計1千円を寄付金にあてた。全国約1万3千人から4万6178件の紹介があり、寄せられた4617万8000円が震災復興の支援に結びついた。
 同育英資金は、指揮者の小澤征爾さんやファーストリテイリング会長兼社長・柳井正さん、ベネッセホールディングス取締役会長の福武總一郎さんらが発起人となって2011年に発足。震災遺児らが高校を卒業するまで、自治体を通じて毎月一定額を給付する活動を進めている。
 飯田真也常務取締役販売・教育事業担当、岩谷一弘東京連合朝日会会長らが取り囲むなか、安藤さんは朝日新聞大阪本社の新社屋「中之島フェスティバルタワー」などの話で終始場を盛り上げた。目録を受け取ると、「これまでに38億円集まった。子どもたちがしっかり卒業するまで我々もがんばりたい。ありがとうございました」と話した。(新聞通信 2012年12月25日付)

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2012年12月05日

活気が出てきた宅配サービスの裏側で新聞販売店の宅配力は先細り

        
                          (TBS Newsiより)

 このところ、流通系企業とネット企業(プラットフォーム)の動きが活発になっています。
 宅配力に長けていると言われてきた新聞販売店の宅配網は、それぞれ独立した経営になって一括受注が難しいことや「部数を伸ばすこと以外の投資はタブー」という業界内部での先見性が乏しいことなどから、一向にアクションが起きる気配はありません。これからの人口動態などを考えると、このようなビジネス展開を早期に模索し、礎を築いておく大切な時期なのだと思うのですが…。
 
▽ローソン、ヤフーとの宅配サービスを発表
 ローソンとヤフーは4日、2013年1月からインターネットによる宅配を始めると正式に発表した。ヤフーのポータル(玄関)サイトの集客力を活用し、早期に事業モデルを築く。食品や日用品の価格は大半をスーパー並みとし、簡単に料理が作れる専用のセット商品も投入する。共働き世帯などを取り込み、15年度に売上高1千億円をめざす。
 ローソンが51%、ヤフーが49%を出資するスマートキッチン(東京・品川)が運営する。ヤフーが立ち上げる専用サイトで主にスマートフォン(スマホ)からの注文を想定する。10分程度で料理が作れるセット商品は約300種類を開発。例えば、酢豚を選ぶと、カット野菜や加工済み肉など3〜4人前の食材が800円前後で届く。
 購入額の0.5%をローソンなどで使える共通ポイント「ポンタ」として付与する。13年夏にはポンタでの支払いもできるようにする。
 神奈川県座間市の専用物流センターで在庫を管理し、配送業者を使って全国に配送する。送料は関東と山梨県を無料、それ以外は有料にする。商品の宅配は注文の翌々日とし、関東で朝10時までの受け付け分を最短で翌日夕方に届ける。(日本経済新聞12月4日付)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGF0403Q_U2A201C1000000/
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2012年11月26日

沖縄タイムスが新聞配送インフラ活用事業を拡大

 「新聞輸送をするトラックの復路が空のままではもったいない」とその活用を各新聞社系列の輸送会社等で取り組まれていますが、沖縄タイムスの関連会社「タイムス発送」が農産直売所から採れたて野菜を県内のホテルへ定期的に配送する事業を始めました。


▽新聞配送車で野菜直送 空き荷台活用(沖縄タイムス 11/25付)
 新聞配送車が野菜を運ぶ−。タイムス発送(浦添市)が21日から、農産物直売所からホテルに野菜を直送する新しい事業を始めた。朝刊を配送した帰りの空になった荷台を活用し、商圏を広げたい直売所と、県産食材を使いたいホテルの橋渡し役を務める。
 県農林水産部の「直売所を核とした県産食材消費拡大事業」の一環。県産食材をホテルに宿泊する観光客にも食べてもらい消費拡大を狙う。
 南城市の高原の駅なんじょうと那覇市のリーガロイヤルグラン沖縄を結ぶ。新聞配送車は朝刊を各販売店に届けた後、午前4時ごろ直売所で野菜を集荷し、同5時ごろホテルに納品する。
 ホテルは直売所に食材費を、直売所はタイムス発送に配送手数料として売り上げの20%を支払う。当分は週3回で配送し、頻度やコースの増加を目指す。
 直売所とホテルを対象としたアンケートによると、直売所は「ホテルは敷居が高くて納品しづらい」、ホテル側は「県産食材を仕入れたいが供給が不安定」との課題がわかった。同事業では、直売所が1週間の予定品目・収穫量を報告したり、ホテルが品目や量を注文したりするなど、食材の供給過不足の解消にも取り組む。買い手が決まっていれば農家も増産しやすくなるという。
 同事業は沖縄タイムス社、タイムス発送、電通沖縄、リンクスが受託した。4社で誘客や供給の実証、関連イベントなどを手掛ける。

http://article.okinawatimes.co.jp/article/2012-11-25_41985

 沖縄タイムス社は2011年3月から交通手段の不足や身体的な理由で日常の買い物に支障を来している「買い物弱者」支援のため、買い物代行事業「買いまーる事業」を那覇市や浦添市の一部地域をモデル地区に開始しています。
http://img03.ti-da.net/usr/kaimonodaikou/2011-03-27-M_1-012-1.pdf

 沖縄県からの補助金「ふるさと雇用再生特別基金」を申請して立ち上げた事業で、ソーシャルビジネスという位置付けで販売店が持っている配達インフラを活用して「買い物難民」とスーパー(食料品)を結び付けるビジネスプラン。地域に根差した販売店従業員と住民とのコミュニケーションを通し、高齢者や身がい者の方々が安心して暮らせる社会づくりに取り組みを展開しています。

買いまーる.jpg 提携するスーパーは地元大手の「タウンプラザかねひで」。実施地域は那覇市、浦添市内の一部地域で順次拡大予定とのこと。買いまーるの内容は利用希望者が買いまーる事務局(沖縄タイムス内)へ申し込み。年会費1,260円を支払い、利用料は1回の配達に付き500円。「かねひで」のカタログから利用者が電話もしくはファクスで事務局へ注文し、沖縄タイムス販売店従業員が「かねひで」各店舗で買い物、利用者宅へお届けするという仕組みです。配達に従事する販売店スタッフはスーパーで研修を受け、袋詰めなどの講習や対応マニュアルの教育を受けているとのことです。
 2009年の夕刊休刊(琉球新報も同時に休刊)で配達スタッフの収入が大きく減少したこともあり、配達スタッフの賃金確保にも効果があがっているといいのですが…。

 時代の変化に対応できる者のみが生き残る―。それには、しっかりした従業員への理解と組織の地固めが必要。思いつきで「あれやれ、これやれ」では“いざ鎌倉”の時に太刀打ちはできないでしょうね。 

posted by 今だけ委員長 at 06:11 | Comment(0) | TrackBack(0) | 時事ニュース

2012年10月27日

読売新聞 大和町へ新仙台印刷工場建設 2015年2月稼働目指す

 読売新聞が仙台市にほど近い大和町へ印刷工場を建設することが確定しました。2015年2月からの稼働で、宮城県内円域と岩手、山形両県の一部へ同紙約12万部を印刷するとのニュースが入ってきました。以下に引用します。

▽宮城・大和に本社新工場 東北に情報発信(読売新聞 10/27付)
 読売新聞東京本社は26日、震災で被災、閉鎖した仙台工場(仙台市宮城野区)に代わり、新たに宮城県大和町(たいわちょう)に用地を取得し、新仙台工場(仮称)を建設すると発表した。2015年2月から、宮城県全域と岩手、山形両県の一部地域に配達する読売新聞朝刊約12万部を印刷する予定だ。
 新仙台工場は、大和町の工業団地「大和リサーチパーク」内の約1・2ヘクタールに建てる。この土地を選んだ理由は、地盤の固い内陸部で、東北道の泉インターチェンジに近いなど輸送にも適しているため。仙台工場の跡地は売却した。
 26日には、同本社と県、大和町が県庁で立地協定書に調印した。杉山美邦(よしくに)・専務取締役経理局長は「東北の読者にニュースを確実に届けるのが我々の使命。一刻も早く建設したい」と意気込みを語った。宮城県の村井嘉浩知事は「情報発信の拠点としての重要な役割を担ってほしい。新工場建設は復興に欠かせない」と期待し、大和町の浅野元町長も「一日も早く用地を引き渡せるよう協力したい」と力強く話した。
 同本社は現在、閉鎖した仙台工場の代わりに、今年3月から河北新報社に印刷を委託している。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/yamagata/news/20121026-OYT8T01524.htm
 

▽読売新聞印刷工場宮城・大和に建設へ 県・町と立地協定(河北新報 10/27付)
 読売新聞東京本社は宮城県大和町に新たな印刷工場の建設を決め、26日、宮城県、大和町と立地協定を結んだ。来年11月に着工し、2015年2月の稼働を目指す。
 用地1.2ヘクタールに鉄筋3階の建屋を建設し、輪転機2セットを備える。宮城県全域と岩手、山形県内の一部に配る朝刊約12万部を刷るほか、他媒体の印刷も検討する。総投資額は未定。稼働に伴って新規雇用を予定する。
 立地場所はリサーチパークの拡張区域約9ヘクタールの一部。同社は仙台市宮城野区の旧工場が東日本大震災で被災、閉鎖したため、代替拠点の整備を検討していた。
 協定締結式に出席した読売新聞東京本社の杉山美邦専務は「(立地場所は)地盤がしっかりしている。安定してニュースを届けたい」と語った。村井嘉浩知事は「雇用拡大など地域活性化を期待する」と歓迎した。
http://www.kahoku.co.jp/news/2012/10/20121027t12030.htm
* * *
 今年3月から読売新聞、10月から報知新聞(スポーツ報知)を受託印刷している河北新報印刷センターですが、その受注業務は永続的なものではなくあと2年4ヵ月という期限付き。同じく受託印刷している朝日新聞も「ずっと…」という保証はないわけです(読売の印刷工場竣工と同時に鞍替えされないか心配)。受託によって既存の河北系販売店の店着遅れなども生じ、逆に新聞社として窮屈になっていく可能性もあるように感じます。

 また、読売新聞は地方都市で印刷工場を運営する際に大手印刷会社との合弁会社を設立して運営していることから、「今度はどこと組む?」のか気になります。

 フェイスブック上では、「被災地への工場建設と雇用創出で(読売新聞が行政から)助成金のようなものが受けられるのだろうか」といった意見も出されており、今後の同社の動きも気になります。

posted by 今だけ委員長 at 20:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | 時事ニュース

2012年10月16日

新聞社が受託印刷の拡大を推進する一方で、販売店は・・・

 聖教新聞、朝日新聞、読売新聞・・・。宮城県の地元紙「河北新報社」の別会社として設立された「河北新報印刷」が、これまで受託印刷(聖教新聞は日刊紙扱いではありませんが)を受け入れてきた新聞に、あす17日付から報知新聞(スポーツ報知)が加わることになりました(あすの紙面で確認してください?)。


 もっと早くアップしたかったのですが、「公言禁止令」が出されていたので、“サラリーマン”の今だけ委員長も河北新報社の「プレスリリース」が出されるまで自重していました。昨年3月11日の東日本大震災で閉鎖を余儀なくされた「読売新聞仙台工場」(仙台市宮城野区苦竹)での印刷作業が途絶えた時点で、報知新聞労組の関係者からいろいろと話をうかがっていたので、“いずれこうなる”とは思っていました(正式には今年7月末に読売から報知新聞印刷の要請があり、9月に本契約)。


times3.jpg これまで報知新聞の印刷を担ってきた郡山工場では、(東北六県への)輸送時間の問題で読売ジャイアンツのナイター戦の完全掲載ができないことや今年は読売ジャイアンツの優勝(相当の圧力によって)が確実になってきたことなどから(この優勝を記念に同社の老害が引退をしてくれるとイイのですが…)、同工場では読売ジャイアンツのファン層を多く抱える報知新聞からの要望に応えられなくなっていました。
 当面は、夏季(ナイターシーズン)は14,000部、冬季(プロ野球のオフシーズン)は16,000部を2015年2月末まで受託印刷するとのこと。


 さて、販売店からすると“すんばらしい輪転機”の対応力があれば、さほど気にするものではないのですが(新聞社にも儲けていただかないと…でも実際に作業をするのは河北新報印刷の皆さん)、私たちがいう「本紙」(河北新報)の販売店着が遅れてしまっては元も子もありません。というか、3月に読売新聞の受託印刷をスタートした時点から毎週末は相当の遅れが生じています。
 「ことあるごとに(店遅れを是正するよう)改善を求めている」とエライ方々には尽力していただいているようですが、なかなか「改善」は難しいようです。この状況が続くと、企業内における「慢性化」が進み、読者からそっぽを向かれてしまうのではないかと懸念しています。

 新聞社間の受託印刷は時代のすう勢とも相まって、受け入れる側に「利益」をもたらしますが、その受け入れ態勢のシステムを軽んじて“ケチって”しまうとちゃぶ台返しを食らうことになりかねません。
 新聞を愛読していただいているシルバー世代は、「決まった時間」に新聞が手元に届くという習慣が、継続購読(もちろん新聞に対する信頼性も)の土台を築いているということを新聞社の方々に僭越ながら「ひと言」伝えたいのです。

* * *
さすがに早い。業界紙の文化通信社さんがこの情報をアップされています。
▽河北新報、スポーツ報知の印刷を受託 東北3県向け(文化通信 10/16付)
http://www.bunkanews.jp/news/news.php?id=13129

posted by 今だけ委員長 at 23:30 | Comment(2) | TrackBack(0) | 時事ニュース

2012年10月09日

販売店のコンテンツを利用するしかない…打開策なき新聞ビジネス

 日本新聞協会が毎年実施している「私の提言―明日の新聞広告・新聞ビジネス」の第3回目の優秀作品が8日、発表されました。
 同コンクールの目的は「今後の聞 広告、新聞広告に関連した新たなビジネスモデルなど、新聞広告ならびに新聞産. 業の 将来に向けた『提言』を求める。これら『提言』を活用して対外的な情報発信を強化するとともに、新聞産業の活性化を図ること」。新聞協会がこのようなコンクールに取り組む3年ほど前から、日本新聞労働組合連合(略称:新聞労連)では新聞産業の新たなビジネスモデルを経営側へ提言すべく、「新聞産業研究会」を立ち上げて活動しています。先ごろ、第2期の中間報告書が発表されています。


 今回、優秀賞に選ばれた提言は、中日新聞社・鶴田航さんの「販売局・販売店との連携による広告新商品の開発」と、朝日新聞名古屋本社・荒井達さんの「新聞が切り拓(ひら)く教室〜出張授業による教育CSRで企業と親子世代をつなぐ〜」の2作品。

▽中日新聞社員に優秀賞 新聞産業の提言コンクール(日本経済新聞 10/8付)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0800W_Y2A001C1CR8000/
 両作品ともこれまでの新聞紙面を活用したり、博覧会のような文化事業による収入確保という新聞社の王道的な分野からは離れ、販売店のデータベースや宅配網の活用、学校や子ども会への新聞を活用した出張講座へ自ら出向く―といった内容になっています。

 新聞社と販売店の連携強化については昔から言われてきたことですが、「なぜ実現しないのか?」まで掘り下げて考えていかないと、いくら素晴らしい提言でも机上のものとなってしまいます。新聞社の収入増(維持)はとても必要なことです。しかし、その目標をそれぞれの部署が勝手に手柄を得ようと画策し、権力を盾に販売店のコンテンツを奪い取るような行為は“信頼関係を壊す”ことにつながります。

 これからの新聞産業はさまざまな協業(ほかの産業とも連携)を展開しながら、新聞社や販売店にも相応な果実を分配することなしには共倒れになってしまいます。この辺の内部的な調整、コントロールができる柔軟な発想を持たれた方に経営を担っていただきたいのですが…。難しいですね。

朝日名古屋、中日に優秀賞 「私の提言」 最優秀賞は該当なし(新聞協会10/8付)
http://www.pressnet.or.jp/news/headline/121008_1966.html
posted by 今だけ委員長 at 09:27 | Comment(0) | TrackBack(0) | 時事ニュース