2011年05月27日

読売新聞「押し紙」裁判の判決出される 同社の残紙率は4〜5.3%だそうです

 また真実がねじ曲げらた判決が出された…。
 週刊新潮(2009年6月11日号)に掲載された「『新聞業界』最大のタブー『押し紙』問題を斬る!」(4回連載)の文中に、「実際には読者に配達されない『押し紙』が、販売部数の30〜40%あり、それにより年間約360億円の不正な収入を上げた」との表記が事実と異なるとして、読売新聞3本社(東京、大阪、西部)が、週刊新潮とフリージャーナリストの黒藪哲哉氏(53歳)に対して5500万円の損害賠償と謝罪広告を求めた裁判の判決が26日、東京地裁(村上正敏裁判長)から出されました。

 東京地裁が下した押し紙裁判の判決理由はこうでした。
@読売新聞の残紙率は4〜5.3%にとどまっている(ABC協会資料)
A販売店との間の過去の裁判の判決でも、読売新聞による“押し紙”を認定した例はない
とのことから、「報道機関である読売新聞に対する一般国民の信頼を大きく損なう記事」として、週刊新潮に掲載された記事自体に根拠はないと判断しました。


▽新潮社に賠償命令…新聞部数巡る記事で本社勝訴(読売新聞 5月26日付)
http://bit.ly/m4TOxl
▽"押し紙裁判"敗訴の黒薮氏「読売新聞は紙面で論争を」(ニコニコニュース 5月27日付)
http://bit.ly/jeR8zu
▽読売新聞が「押し紙」報道で週刊新潮を提訴(当ブログ 2009年7月9日)
http://bit.ly/jZmtoK
 26日付けで「読売新聞 押し紙裁判」をググってみると、ウェブ版で発信していた新聞社のサイトは共同、時事を含めて24紙(以下に掲載)。どこの新聞社も共同配信を掲載したもので、一歩踏み込んで解説を加えた記事は見当たりませんでした(書けるわけがないか)。当事者の読売新聞が判決理由を最も詳細に書いている程度です。新聞社ではありませんがニコニコニュースも直接、黒藪氏へ取材をした記事を掲載していました。

 昔から「新聞業界のタブー」とか、「業界のブラックボックス」などと言われ続けてきた新聞社による販売店への押し紙問題。業界関係者以外の方にとっては「大きな問題」ではないかもしれませんが、内側にいる人間としては「また真実がもみ消された」という思いでいっぱいです。
 記事を書いた黒藪さんは滋賀県のポスティング会社(社長は元YC関係者)からの取材をもとに、押し紙の実在を証明しようとしましたが第三者を介した論拠の立て方や自身の経験からの憶測による記事化が、信ぴょう性を含め裁判官が自らの正義をかけた(過去の判例を覆して)判決を書くにまでは至らなかったのでしょう。
 販売店が「押し紙」を理由に廃業に至った賠償請求を新聞社へ起こしたとしても、証拠不十分(部数の注文書には※必要以上の部数を購入しないでください―と書かれてある)で請求棄却されるケースがほとんどです。でも実際には補助金で横っ面を叩かれると「部数ノルマ」を受け入れざるを得なくなってしまうのは、新聞販売店のみならず多くのディーラー側が背負っている問題でもあるわけです。嘘がまかり通る企業のなかで、従業員はマインドコントロールされてまた同じことが繰り返されていくものです。

 「インテリが作って、ヤクザが売る」とは、故伊丹十三舛田利雄監督の映画「社葬」のワンシーンですが、新聞社の実際の商習慣が正常だと内部の人間は誰も思っていません。ただ、おかしなことを「おかしい」と声をあげるのが怖いだけなのです。そして会社を卒業してから「押し紙」の暴露本を書くOBが絶えないのもこの新聞業界の不正常な問題でもあります。

▽自由報道協会主催の記者会見

     

【26日付けで今回の判決をウェブ版で報じた新聞社】
読売新聞、朝日新聞、毎日新聞、産経新聞、北海道新聞、岩手日報、河北新報、秋田魁新報、茨城新聞、スポーツ報知、山梨日日新聞、中日新聞、北國新聞(富山新聞)、福井新聞、神戸新聞、デイリースポーツ、徳島新聞、西日本新聞、佐賀新聞、長崎新聞、宮崎日日新聞、共同通信、時事通信

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2009年10月16日

新聞大会で販売正常化宣言が採択

 きのうから、第62回新聞大会が静岡市内で開催されています(16日まで)。
 けさの紙面(全国紙はチェックしましたが)には掲載されていませんが、販売正常化宣言(今回で4回目)が採択されたようです。

《第62回新聞大会販売正常化宣言》

 われわれ日本新聞協会加盟の新聞各社は、読者の信頼と期待に応えるため、戸別配達制度を維持、強化し、新聞の公正販売を確固たる決意で推進する。
 このため、景品類提供のルールなどを定めた新聞公正競争規約を厳守するとともに、さらなる販売マナーの向上に努める。
 公正販売の実現は、発行本社と新聞販売所が一丸となって、全国的に推し進めることを誓う。特に関西地区の販売正常化は喫緊の課題であり、その実現に邁(まい)進することとする。


 すでに日本新聞協会理事会などで「正常化宣言採択」のシナリオは描かれていたとはいえ、1994年の販売正常化特別宣言以来15年ぶりとなります。
 文化通信(10月12日付)によると、7日に開かれた新聞協会理事会で、内山斉協会長(読売新聞グループ社長)が、正常化宣言についてこう言及したそうです。「99年に栃木県宇都宮市で開かれた新聞大会で、読売は騎馬民族から農耕民族に変わる方針を宣言した。過去、読売も全国各地で“大暴れ”してきたが、各社に大変迷惑をかけたことを率直に謝罪したい。協会長の立場であるこのときに、販売正常化の道筋をつけたい」と加盟社へ謝罪し、正常販売の協力を仰いだと言います。


 不正常な販売行為が横行してしまう根源は、発行本社と販売店の取引関係にもあります。これまでこのブログでも指摘してきた「2つの正常化」が実現することを願いたいと思います。



【追記】
京阪神・近畿地区の販売正常化(9月16日の関西7社販売局長共同声明)に続いて、九州地区(福岡・山口)でも取り組むよう新聞協会販売正常化委員会(委員長:秋山朝日新聞社長)から指示が出されたようです。

 
posted by 今だけ委員長 at 12:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞販売問題

2009年09月29日

関西7社販売局長共同声明に見る正常販売の本気度

 9月10日付「販売正常化で是正すべき問題は2つある」の続報です。
 全国で最も不正常な新聞販売行為が行われている、京阪神・近畿地区の販売正常化に向けて、関西地区の発行本社(朝日・毎日・読売・日経・産経・京都・神戸)のトップと日本新聞協会販売員会役員らが16日、「関西新聞販売正常化と販売店強化のための推移会議」を大阪市堂島の「クラブ関西」で開催しました。

 同会議は新聞協会販売員会・新聞公正取引協議会の飯田真也委員長(朝日)が取りまとめた「公正販売の実現に向けて」のスケジュールに沿うもので、「公正販売の実現こそが戸別宅配制度を堅持し、お互いの共生と新たなる繁栄への道であることを確認し、全国に先駆けて完全正常化を達成することを約束した」とする「関西7社販売局長共同声明」が発表されたようです。

関西7社販売局長共同声明
2009年9月16日

 関西7社の販売局長は、公正販売の実現こそが戸別宅配制度を堅持し、お互いの共生と新たなる繁栄への道であることを確認し、全国に先駆けて完全販売正常化を達成することを約束した。
 正常化への具体的な道筋についての議論の結果、以下の事項について合意し、確実に実行することを決めた。
 1、すべての実行委員会と現地会を定例開催することにより、関西における現状の過当競争を直ちに沈静化し、新聞公正競争規約(6・8ルール)を厳守する。
 2、著作物再販制度と「新聞業における特定の不公正な取引方法」(特殊指定)告示の趣旨を系統内に徹底し、相互信頼の下、定価販売による公正な業界秩序を確立する。
 3、新聞販売所の一層の発展と繁栄のため、共同配達、共同集金、及びポスティング等の新規事業について研究し、協力して実行に移す。
 4、前記の3項目を実現するため、すべての実行委員会と現地会に完全正常化への行程表の作成と順守を求め、その進捗状況を毎月点検する。この共同声明と行程表から逸脱する行為があった場合には、当該局長が責任を持って是正する。                      以上
 


 突っ込みどころが満載ですが、高額なオマケや長期間の無代紙に慣らされた読者に対して、同調値上げと同じく護送船団方式で対応するということです。以前、新聞労連では販売現場で起こっている公正競争規約に反する販売行為に対し、発行本社の連座制(連帯責任)確立を求めましたが、今回の共同声明では「(不正常販売行為が行われた場合)当該局長が責任を持って是正する」という表記にとどまるなど、踏み込みが甘いような気がします。
 どの程度実行性があがるのか注目したいと思いますが、それと合わせてもう一つの正常化、発行本社と販売店の取引関係(押し紙)も適正化されることを期待したいものです。



 もうひとつの話題ですが、18日に開催された新聞販売公正取引協議会(中央協)の9月度委員会では、景品表示法の所管が公正取引委員会から消費者庁に移管されたことに伴って、新聞公正競争規約の改正、試読紙戸別配布ルールの配布期間制限の撤廃が承認されたようです。

 「試読紙戸別配布ルール」とは、読者に無料(お試し)で配布できる期間を1カ月につき10日から20日までの間に上限7回と決められています。今回の改定では配布回数(上限7回)はそのままですが、期間の定めを撤廃するというものです。
 新聞の月決め契約とは、その月の1日から月末まで。販売店は月末に契約が切れる読者や新たに契約が発生する読者の数を月初めの1日から3日頃に確定させ、社取り定数(宅配をして代金回収ができる読者数と即売店へ納入する部数の合算に予備紙を加えた数字を指します)を決めるのですが、月をまたぐ試読紙配布が多くなると定数のカウント自体が「試読紙の上げ底」に乗る格好になると懸念されます。当然、社取り定数はABC協会へ公称部数としてカウントされるものですから、実配部数(定期購読をしている読者)が曖昧になる可能性があるのです。

 「押し紙」解消に向けたソフトランディング策の一つかもしれませんが、販売店ばかりに負担をかけると大きなしっぺ返しがありますよ。

posted by 今だけ委員長 at 23:11 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞販売問題

2009年09月10日

販売正常化で是正すべき問題は2つある

 神戸新聞社に勤める仲間から、販売正常化のチラシ(全系統販売店の連名で)が新聞に折り込まれてきたという連絡を受けました。
 灘区.jpg
 販売店の連名によるチラシは、おととしの春に東京都内の販売店が「金券提供による拡販行為をやめる」と宣言したチラシ以来ではないかと思います。新聞公正取引協議会(中央協)の地方組織の支部協議会(新聞社販売局と販売店らで構成)が音頭を取って作られたものだと思います。この手作り感がなんとも言えませんが・・・。

 今年度から中央協の委員長に就任した飯田真也氏(朝日新聞東京本社役員待遇販売担当販売局長)が掲げた「公正販売の実現に向けて(さらなる販売正常化に向けた委員長提案)」でも、「関西地区の販売正常化を推進する」とうたっていたので、「ふぅーん」という程度で理解していましたが、少しは動きが出てきたようです。
 この販売正常化推進の動きには、2つの要素が絡んでいると見ています。ひとつは飯田委員長のパフォーマンス。すでにこの関西地区をターゲットにした販売正常化プログラムは昨年あたりから計画されていて、今年5月の時点でそのスケジュールが組まれていました。なかでも新聞大会で3度目となる「公正販売の実現に向けて」の共同宣言を行うというシナリオも描かれています。

公正販売の実現に向けて

【スケジュール】
@10月の新聞大会で、「公正販売の実現に向けて」の共同宣言を盛り込んでもらう。そのために、新聞協会理事会に働きかける。
A中央協が毎年実施する読者調査では京阪神・近畿地区の違反率が多く、そのため販売正常化のモデル地区となった経緯があるが、現在もこの地区が最も問題を抱えている。関西地区の販売正常化を推進するため、関西7社の経営トップと販売責任者の合同会議を9月に開催し、関西の再引き締めを行う。会合の詳細については関西7社の販売局長に検討を依頼する。
B11月の新聞公正取引協議会委員総会で。「販売正常化」の徹底を全国に呼びかける。
                                 (中央協だより 7月10日付)


 9月16日に大阪市で開催予定の「関西新聞販売正常化推進会議」には、新聞協会会長の内山斉氏(読売新聞グループ社長)、同協会販売正常化委員長の秋山耿太郎氏(朝日新聞社社長)も参加するようです。ANY連合主導の販売正常化の動きに注目したいと思います。

 もうひとつは、広告不況で販売店への助成(景品斡旋や補助金など)をする体力が新聞社になくなっていることです。各新聞社は広告収入減を乗り越えようとさまざまな予算の見直しをしています。これまで販売局の膨大な予算はいわば、緊急時の安全弁の役割を担ってきたのですが、ここにきてそれが立ち行かなくなってきたとの指摘もあります。紙面の広告単価を維持するために相当な経費をかけ、部数第一主義を貫いてきた新聞社も利益重視の販売政策に切り替えてきたのでしょう。
 景品使用を沈静化させるべく高額景品を使った拡販行為をやめようと業界内部へ促し、「ルールを守らない一部の拡張員(販売店)による違法行為を撲滅してルール順守に努めます」といったアピールを読者へ浸透させ、契約時の景品要求に対して断る口実を作ろうというのが狙いなのだと思います。


 私が考える販売正常化とは、読者に対する不平等を無くすことと、新聞社と販売店の取引関係を正常にすることです。

 読者からの苦情で一番増えているのは、長年同じ新聞を購読しているのに何のサービスも受けられないで、しょっちゅう新聞(購読)を切り替える一部の人だけが景品の提供(恩恵)を受けているという不平等感です。
 近年は契約社会となっていますが、新聞の場合は購読紙を定期的に切り替える世帯以外は、「購読中止の連絡を受けるまで」は自動更新として扱われています。長年購読している世帯は契約書すら存在しない口約束で商売が成り立っているのです。とてもありがたいし、それだけ信頼があるからだと思っています。でもそれに甘んじて、(読者ではなく)部数を伸ばしたいがために、こっそり景品を渡して契約を結んでしまう…。親の代から長年購読されている読者の方がロイヤルティは高いのに…。だからといって再販協議会のメンバーのように「長期購読者には安くしなさい」とは申しませんが、その辺の認識を変える必要があると思います。

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2009年07月09日

読売新聞が「押し紙」報道で週刊新潮を提訴

 読売新聞3本社(東京、大阪、西部)が、週刊新潮とフリージャーナリストの黒藪哲哉氏(51歳)を提訴しました。読売側が不都合な真実の封殺に動き出したとしか言いようがありません。

 訴訟内容は、週刊新潮6月11日号に掲載された「『新聞業界』最大のタブー『押し紙』問題を斬る!」(4回連載)の文中に、「実際には読者に配達されない『押し紙』が、販売部数の30〜40%あり、それにより年間約360億円の不正な収入を上げた」との表記が事実と異なるとして、新潮社側に5500万円の損害賠償と謝罪広告を求めるというものです。


 週刊新潮側は「記事は客観的な調査と取材に基いて書かれており、正確な報道だと考えている。事実を法廷の場で明らかにするとともに、取材を継続し、その実態を誌面に掲載する」とコメントを出しています。


 訴状を見ていないので、審理されるべき争点については言及を避けますが、@押し紙など存在しないA誤った理解が社会に広まり、信用が損なわれたB読売新聞社と同系統販売店が不正な収入を得ているとの虚偽の報道C虚偽の報道によって、新聞社、販売店の信用が損なわれ購読者が減る可能性があるD虚偽の報道によって、新聞社、販売店の信用が損なわれ広告や折込チラシの扱い量が減る可能性がある―というところでしょう。


 押し紙はまったく存在しないのか?
 

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2009年06月04日

週刊新潮つぶしが始まった

 新潮社と全国三紙との間で、みっともない争いが勃発しそうです。

 きょう発売された週刊新潮の「『新聞業界』の最大のタブー『押し紙』を斬る!」という記事と広告の記述に対して、朝日、毎日、読売の三社が、週刊新潮編集部に抗議文を送ったとする記事がそれぞれの第二社会面に掲載されています。
 朝日は記事内容そのものを、毎日と読売は広告の表記について新潮社側へ抗議し、謝罪を求めるとしています。
 特に朝日新聞は、阪神支局襲撃事件の実行犯を名乗る男の“虚偽の”手記を掲載した新潮社への逆襲のようなものを感じます。
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 以下は、きょう付の紙面から抜粋。
▽週刊新潮に本社抗議 「部数水増し」記事巡り/朝日新聞(第二社会面)
 朝日新聞社は3日、週刊新潮6月11日号の掲載記事とその広告について、「朝日新聞社の信用を著しく棄損した」として、謝罪と訂正を求める抗議文を同誌編集部へ送った。
 記事は「ひた隠しにされた『部数水増し』衝撃の調査データ」の見出しで、朝日新聞の「本当の配達部数」が、日本ABC協会が調べた部数に比べて大幅に少ないとしている。本社は抗議文で、記事が取り上げた滋賀県内での調査データは「事実と異なり、全く信用できない」とし、広告の見出しについては「全発行部数の34%が捨てられたと誤解される記述で、断じて看過できない」と指摘している。
http://www.asahi.com/national/update/0604/TKY200906040003.html
▽週刊新潮広告に抗議 毎日新聞など3社「事実無根」/毎日新聞(第二社会面)
 毎日新聞社は3日、「週刊新潮」6月11日号の新聞広告に事実無根の記述があるとして、同誌に対し文書で厳重抗議した。損害賠償請求を含む法的措置を検討することも通知した。朝日新聞社と読売新聞社も3日、同様の内容で抗議する文書を送った。
 問題の広告は、4日付新聞各紙(九州、北海道などを除く)向けのもので、毎日新聞のほか朝日、読売新聞の一部が「配られずに棄てられていた」などの記述がある。
 同誌によると、記述は滋賀県内の読売新聞元販売店主の調査に基づいている。抗議文では、記述が明らかに誤った内容であることを指摘したうえで「客観性に欠ける調査を根拠にしており、信ぴょう性がなく、毎日新聞の名誉を著しく棄損する」としている。
 週刊新潮は、今年2月5日から4回にわたり、朝日新聞阪神支局襲撃事件などの「実行犯」を名乗る男性の手記を連載。後に誤報を認めたうえで、5月になって、佐藤隆信社長ら役員9人を減俸処分にした。
▽週刊新潮の広告 本社が抗議文/読売新聞(第二社会面)
 読売新聞社は3日、週刊新潮6月11日号の広告(4日付本紙掲載)の見出しについて、抗議文を同誌編集長あてに送った。
 問題の広告は、「衝撃の調査データ 読売18%、朝日34%、毎日57%が配られずに棄てられていた」などとする見出し。抗議文は「広告は、読売新聞の発行部数の18%が配達されずに棄てられていたとの印象を一般の読者に与えるが、事実と異なっており、看過できない」としている。朝日新聞社、毎日新聞社も3日、それぞれ抗議文を同誌に送った。

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2009年02月12日

変われないのか…新聞販売

 日本新聞協会が所有するプレスビル(千代田区内幸町)内に事務局がある新聞公正取引協議委員会(委員長は内山読売新聞社長)が、新聞勧誘時の景品使用に関する調査結果を公表しました。
「2000円超」景品提供 新規勧誘時16.3%

 新聞公正取引協議委員会(中央協)は、23日の1月度委員会で、公正競争規約の順守徹底を図ることを目的に、全国の満20歳以上の男女4,000人を対象に実施した「新聞の購読者に対する景品類提供の申し出の実態」に関する読者調査結果を報告した。
 中央協読者調査では、景品類の提供が一定の範囲内で可能になった新ルール施行後の景品類提供の申し出状況などについて調べている。平成11年の第1回調査以来10回目、6・8ルール移行後では8回目。
 調査結果によると、公正競争規約で定める景品類の価額について、違反の疑いのある2,000円超の提供は、新規購読者勧誘時が前回の16.8%から16.3%とやや改善したものの、定期購読中が前回の7.9%から9.5%と1.6ポイント悪化した。新聞の購読状況では、82.9%が定期購読しており、購読していないのは17.1%で前回の13.0%から4.1ポイント拡大し、第1回調査の7.5ポイントに比べると、10年間で9.6ポイント広がった。 (新聞之新聞 2月4日付より引用)

 調査結果では、公正競争規約に定める(6・8ルール)景品類の価額上限とされる2,000円を超えた景品提供を受けて、新規に定期購読をした方が16.3%で前回調査より0.5%減ったものの、定期購読中(いわゆる再契約、契約期間の延長)に6・8ルールを超える景品提供を受けた方が、前回の7.9%から9.5%へと増えています。
 高額の景品を使用しても新規購読読者を開拓することが難しくなっている現状に加えて、これまで拡材を提供せずに済んでいた固定読者にも契約期間の延長の名目で高額景品が使用されていることが浮き彫りになった格好です。
 申し出のあった景品類の上位は、1位に洗剤(32.8%)、2位にはビール券(17.2%)で、この2つは不動の順位ですが、3位に挙がったのが“同一紙”(13.4%)。いわゆる無代紙の提供です。

 無代紙は新聞業特殊指定が禁止する新聞の差別定価・定価割引に抵触するため、公取委が定める景品表示法で禁止されています(無代紙は値引きと認められる経済上の利益であり、景品類には当たらないことを示している<新聞公正取引協議委員会『わかりやすい新聞販売の諸規則より>)。「3カ月サービス(3,007円×3カ月=9,021円)するから1年間契約した」という営業手法は以前から行われていましたが、その割合は増えているようです。読者からすると15カ月間読んで1カ月あたり2,405円(36,084円÷15カ月)で読める換算になるのですから、余計な景品をつけられるより(必要なものであれば)経済的には助かる…まさしく「値引き販売」が堂々の3位に入って挙がってきたわけです。
 困ったものです。数字欲しさに自ら新聞の価値を下げているだけなのに…


 けさの新聞にも販売店従業員が絡んだこんなニュースが。残念ながら読者(生活者)との距離は広がる一方のようです…
強盗未遂で新聞配達員逮捕=レンタルビデオ店で−大阪府警(時事通信:2月11日)
ダフ屋行為:サッカー・W杯予選会場で 容疑の男2人を逮捕−横浜(毎日新聞:2月12日)

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2009年01月07日

業界紙に掲載された1通の手紙

 昨年12月27日付の新聞情報に目を引く記事がありました。岩手県で新聞販売業を営む、金子販売店(岩手日報・朝日・日経の複合店)の金子浩庸社長が新聞情報へ寄せた手紙全文が取り上げられていました。
 「岩手・金子店から届いた、この業界を憂える手紙」という見出しで、日本新聞販売協会(会長:高橋誠一氏/東京朝日)と新聞公正取引協議会(会長:内山斉氏/読売新聞グループ本社社長)へ宛てた手紙三通が約半頁を割いて掲載されています。

 内容は業界内の過当競争に傾注してきた業界構造の問題を指摘しながら、決められたルールを守れない集団なのか、法律・約束を守れないレベルの低い集団なのか――と一向に変わらない販売現場の状況を一喝。「1952年(昭和27年)以来、過当競争がエスカレートし、今日に至っていますが、過去46年間の悪習に早くけりをつけないと新聞販売の明日は無い、と思います」と綴られています。

 金子さんのような販売店主がいらっしゃることは、この業界に身を置くものとしてとても心強いことです。金子さんの「地域からの信用がいかに大切か」という言葉こそが、今後の新聞業界を維持していく上で必要なことだと新聞経営者は認識し、販売正常化(取引関係の正常化)に真剣に取り組むべきです。
 新聞情報.PNG

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2007年08月15日

無料会員サービスで顧客を引き付けられるか

 先日、久しぶりに新聞勧誘を受けました。

 平日の15時頃、夏の甲子園を観戦中にインターフォンが鳴り「お届けものです」とコール。玄関に行ってみると段ボール箱一杯に写真の「粗品」(ジッパー付ビニル袋2枚)を積んだ20代の男性の方が「○○新聞ですけど…実はこの辺を私が配達することになったので、ご挨拶に伺いました」とのこと。「ご苦労様です」で終わらせればよかったものの、お若い方だったので「奨学生の方ですか?」と尋ねると「エッ!」と新聞奨学生を知らないご様子。余計なお世話だと知りつつ、新聞奨学生制度を説明しドアを閉めかけたとたんに「あのぉどちらの新聞を取っているんですか?」と氏。そりゃ来たと思い「○○と××と△△です」と答えると「どうですかぁ。うちもサービスしますんで…」と段ボールの中からゴソゴソ何やら秘密兵器を出しそうな気配だったので、「新聞は紙面の内容で取っているので、サービスとかは必要ないです」とお断りをすると「そうですか…」とあっさり退散。

 もう少し押しが強くても良いのになぁなどと勝手に批評しつつ、TシャツにGパン姿の若い氏に新鮮さを感じました。でも「お届けものです」はご法度でしょう。
   AXpNu 

 全国紙でも様々でしょうが直接勧誘ではなく、無料会員登録(基本はネットですが)を促して付加価値の提供を“ウリ”にするスマートな勧誘と世帯の情報収集(いろいろメモってました)を地道にやっているようです。まだまだイメージは変わらないけれど…
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2007年07月21日

悪質な新聞契約 ターゲットは高齢者に

 77日に大阪市内の弁護士会館で開催された「新聞契約トラブル110番」の相談件数・内容の集約が届きました。
 
事前にニュースリリースをしたにもかかわらず、報じたメディアは毎日新聞と読売テレビのみでしたが、36件の相談が寄せられました。特徴としては60歳代以上(約半数の18件)の高齢者がトラブルに見舞われており、60代の高齢者に21年間も契約させるケースもありました。問題点としては、書面の不交付が11件、不適格者(高齢者)契約が10件、契約拒否者への勧誘が10件。その他「強引」「法外な長期契約」があがっています。新聞系統では、読売11件、毎日9件、産経9件、朝日5件、その他2件となっています。

 相談者のほとんどが大阪の方でしたが、さすが激戦地区という土地柄だけでは済まない問題として、無代紙が相当使われていることがわかります。無代紙の使用は実質的な値引き。自ら特殊指定を崩している実態があらためて浮き彫りになりました。
 
部数過当競争が引き起こした非常識な拡張行為は後を絶ちません。犠牲者は消費者(悪意ある消費者もいますが)であり、新聞への信頼は下がるばかりです。新聞社(メーカーは)はこうした現場の実態を「それは販売店や拡張団がやったことで関知しない」といつまで知らぬふりをし続けるのでしょうか…。


消費者行政市民ネットが発表した相談事例
【相談者 60代女性】高齢の母(60歳)が、父(91歳)の名義で5年前に契約。3年契約の契約書が7枚で合計21年間の契約。父は当時から認知症ぎみだった。解約を申し入れたが、「日常家事債務なので有効に契約成立している。亡くなったら子供が引き継いで新聞購読料を支払ってくれ。」と言われた。
問題点:高齢者に対する長期間の契約。解約申出に対する対応。

【相談者 70代女性】景品につられて、平成20年から10年間の契約。10年間のうち2年間は無料購読期間
問題点:高齢者に対する長期間の契約。公正規約違反の高額な景品(ティファール鍋セット、コーヒーカップ)。長期の無料購読期間。

【相談者 78歳女性】訪問販売員に対し、「最近、目が見えにくいので新聞はいらない」と断ったが、無理やりサインさせられた。知らないうちに10年間もの長期契約をさせられていた。
問題点:勧誘方法。高齢者に対する長期間の契約。公正規約違反の高額な景品(商品券1万円分)。

【相談者 56歳女性】高齢の母(85歳)が5年間の契約を結んでいた。母親が入院し娘(相談者)がその家に住むことになり、娘は別の新聞を取ることにした。しかし、母が契約をしていた新聞は契約が残っているとしつこく継続を迫る。なんとか解約したい。
問題点高齢者に対する長期間の契約。解約申出に対する対応。
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2007年07月09日

「新聞契約トラブル110番」プレリリース     メディアで取りあげたのは毎日新聞なにわ版のみ

 大阪で開催された 「新聞契約トラブル110番」。

 幹事の方々といろいろ議論をさせていただき、「消費者」が、いかに新聞販売行為へ不信感を持っているか、そして実質行われている値引き問題への不満が寄せられた。

 消費者行政市民ネットの国府弁護士は「なぜ、各新聞はこのような自らにかかわる問題を取り上げないのか」と声をあらげた。「別な消費者110番を行う際は各新聞でも告知をしてくれるのに、こと新聞契約問題だと消極的ではないのか」と。

唯一、7月7日の毎日新聞「なにわ版」には掲載されたが、扱いは非常に小さい。

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 どんな苦情が寄せられたらのか―集約結果については、あらためて掲載するとして、各メディアの反応は後ろ向き。だらしない・・・。

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2006年11月16日

新聞販売黒書の黒藪氏がシンポジウムを開催します

新聞販売黒書」を運営されている黒藪哲哉氏から「新聞販売現場からの告発」と題したシンポジウムのご案内がありました。  
 内容は、9月22日に判決が下された福岡の販売店訴訟の勝訴を記念して開催されるシンポジウムで、原告や弁護団が中心となって開催されるとのことです。  
以下に黒藪氏からの送られた【お知らせ】を掲載します。  
   
【お知らせ】  
 9月22日の福岡・新聞販売店訴訟の勝訴を受けて、11月25日、原告弁護団と支援者は東京・板橋区のグリーンホールでシンポジウムを開催する。概要は次の予定である。  
   
  日時:11月25日(土曜日) 5時半〜8時  
   
  タイトル:福岡・販売店訴訟、勝訴記念シンポジウム  
       「新聞販売現場からの告発」  
   
  発言者:江上武幸弁護士、他  
   
  コーディネーター:黒薮哲哉  
   
   「押し紙」回収を撮影したビデオを公開します。  
   
   入場:無料  
   
   会場:板橋区立グリーンホール(東武東上線・大山駅)  
       東京都板橋区栄町36番1号  
   
問い合わせ:xxmwg240@ybb.ne.jp  
(電話)048-464-1413 黒薮哲哉まで  
   
posted by 今だけ委員長 at 17:50 | Comment(2) | TrackBack(0) | 新聞販売問題

2006年06月16日

本音を言わず二枚舌を使う業界体質 なぜ読者の声を聞こうとしないの?

 きのうは、仙台市青葉区にあるホテルで宮城県支部新聞公正取引協議会が主催する「宮城県新聞販売人大会」に参加してきました。宮城県内の新聞販売会社や新聞販売店の店主(所長)さんなど約200名の関係者が集まりました。
 それぞれの役職を担っている方の挨拶は、やはり新聞特殊指定に関する話が多くを占めました。「日販協による特殊指定維持を求める署名が58万8千人分集まった成果だ」、「再販と特殊指定は新聞の戸別配達には不可欠」と今回の公取が下した結果を「いかにも自らの力で維持させたものであり、業界の主張は正当である」と言わんばかりの挨拶が続く中、「公正な販売が第一であり世論の理解が得られているかは疑問」という内容のことを話された方もいて、「まだまともな方もいるのだなぁ」と思ったりしました。販売店側も読者の声を聞かないようにしているのかなぁ・・・。でも販売店の経営をしている方々だから、本音ではなく二枚舌で話しているのだろうと感じました。

 社団法人日本新聞販売協会(日販協)専務理事の前田博司氏の挨拶もかなりインパクトがありました。「業界紙にも載らない生くさい話をしたかったけれど、時間がないので詳しくは話せないが今回は国会議員の力をどれだけ借りたことか・・・」と前置きをしながら、国会議員への働きかけの凄まじさが切々と話されました。
 独禁法調査会、経済産業部会、文教部会などでさまざまな議論が行なわれたがまとまらず、公明党の冬柴幹事長に自民党への働き掛けを要請、中川秀直自民党政調会長が動いて、自民党の新聞販売懇話会が動き出したなどの話や、特殊指定が外れると韓国の新聞事情と同じになってしまうとの論点で、ネットやフリーペーパーに押される韓国の新聞事情について言及しました。最後には「何があっても政治家にお願いせざるを得ない」と力説し、「日販協政治連盟への加入してもらいたい」と要請。また、300委員会(全国の小選挙区に立候補する与党議員に新聞販売店が密着をして先生方にいろいろなお願いをしたり、付き合ったりすることのようだ)についても、今回の新聞販売懇話会などの流れを機に再構築を図るべきだと語りました。

 日販協の目的は「新聞販売送達事業の公益性に立脚し、発行本社と緊密な協調を保って業務の改善、進歩を図るとともに、新聞読者に対する奉仕を旨とする倫理化運動を推進することを目的とする」ということですが、新聞販売店の公正な競争を守ることと、国会議員(与党の)との「つながり」は関係ないはずです。
 今回の大会でも会場から意見や質問もなく「当たり前」のように終了しましたが、この業界が「当たり前」になれない理由もこうした「現実から目をそらし、二枚舌を使う」方々で運営されているからなのでしょう。そういう私も同類であります。しかし、世論(読者の声)からは目をそらさないで出来得る範囲で行動しようと思っているのですが・・・。
posted by 今だけ委員長 at 12:50 | Comment(4) | TrackBack(0) | 新聞販売問題

2006年05月25日

特殊指定維持に理解を得るため販売正常化の早期実現に取り組む

 5月23日、東京都文京区にある全林野会館で日本新聞労働組合連合(以下:新聞労連)主催の「販売問題中央集会」が開催されました。全国の新聞労働者約50名が集まったのですが、今回は販売問題をテーマにした集会ということで、特殊指定の問題を絡めながら販売現場の実態、「押し紙と新聞社の予算」のからくりなどについて基調報告をしてきました。これまでも新聞労連の各集会で販売門正常化問題に触れた講演などがありましたが、実際に販売店に勤める労働者が報告をしたのは久しぶりとのこと。
 その後、パネルディスカッションもあって、一緒にパネラーとして参加した主婦連合会の和田正江さんからは「だいぶ怖いセールスマンは減ったようだけれども長期間同じ新聞を購読している読者と短期間で購読紙を換える読者とで景品等のサービスに差がありすぎるのは問題」という厳しい(当たり前か)注文も。
 また、専修大学の山田健太助教授から法的な見地から「新聞特殊指定」の必要性を説明していただいた。なるほど!だから「再販・特殊指定は必要なのだ」とあらためて感じたのだが、山田氏は「いまの新聞がそれを満たしている(新聞たる定義を)のかは別の話」との厳しい指摘がありました。

 翌日は公正取引委員会へ「特殊指定の堅持」の要請に行ってきました。前日の集会で採択アピール文(以下に掲載)や特殊指定に関する市民からのアンケート集約結果を示しながら意見交換をしてきました。今回で2回目の公取委要請でしたが、公取委が「交渉の相手」としている新聞協会や日販協との議論にはまだまだ大きな隔たりがあると感じます。自民党の「新聞の特殊指定に関する議員立法検討チーム」が今国会に提出を検討している独禁法の改正案の話しは聞けませんでしたが、6月中にこだわった結論ありきではないことは確認できました。しかし、何の前進もない(公取委の質問に答えない)のであれば「話し合いを打ち切る可能性もある」との考えも示されました。
「投げたボールに対して、業界がキチンと答えてくれない」という公取委。新聞業界は特殊指定の問題を「戸別宅配の崩壊」だけにあてがわず、 “新聞たる”その要件を満たす新聞紙面、販売のあり方への再生に取り組んでいくべきです。


新聞の販売正常化を早期実現するためのアピール

 昨年11月、公正取引委員会が新聞業をはじめとする「特定の不公正な取引方法」を見直しする方針を示して以降、私たち新聞労連はこの「特殊指定」の堅持を訴えてきた。新聞の「同一題号同一価格」を担保してきたのは著作物再販制度と特殊指定だが、この一方が崩れると販売現場が購読料の「値引き合戦」に陥る可能性が高いからだ。値引き合戦で資本力の弱い新聞社は経営が立ち行かなくなり、最終的には少数の新聞だけが残ることになる。戸別配達制度の崩壊にとどまらず多様な新聞、多様な言論が失われ民主主義が足元から揺らぎ始めるのは時間の問題だ。

 新聞労連は今年4月20、21日の両日、と内で第115回中央委員会を開き、特殊指定維持に向けた方針と具体的な行動を討議した。特殊指定維持を求めるとともに、ルールを無視した新聞セールスを改め、販売正常化の早期実現が急務とした特別決議を採択した。新聞ジャーナリズムの信頼回復もまた不可欠である。

 「読者市民がこの問題についてどれだけ知っているか」。新聞労連は書く地連に協力を仰ぎ「新聞特殊指定・販売正常化」の街頭調査を呼び掛けたところ、市民約500人の意見が全国の各地連から寄せられた。新聞を購読している人は8割を超えているものの、「特殊指定」「再販制度」「公取委の見直し」などを知っている人は3割にも満たなかった。新聞各紙が特殊指定について報道し、特集紙面を展開しても市民にはなかなか伝わっていないと言わざるを得ない。この問題への理解を求めていくことの難しさが浮き彫りとなった。

 この調査で新聞に対する意見を求めたところ、紙面や記事内容への要望よりも、強引なセールスや景品提供など販売問題への苦情が圧倒的に多かった。私たちは「新聞は景品提供などではなく、紙面内容で読者が選ぶべき」と主張してきたが、現実は販売現場の問題が大きく立ちはだかってことを直視しなければならない。

 新聞労連は5月23日、都内で「販売問題中央集会」を開催した。特殊指定だけでなく販売現場の問題に焦点を合わせ、販売正常化早期実現へ向けた議論を展開した。強引なセールスやルールを無視した新聞拡張が、いかに読者・市民の反発を買っているかが明らかになった。私たちの課題は特殊指定維持に理解を得るため読者が一番求める販売正常化の早期実現に取り組むことだ。それとともに新聞の公共性を高めるため「言論・表現の自由」「知る権利」を守る責務を果たし、新聞ジャーナリズムの信頼確立に向けて取り組むことを表明する。

2006年5月23日
日本新聞労働組合連合(新聞労連)
販売問題中央集会
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2005年12月14日

新聞販売店の「成り立たない経営」を補っているのはチラシ収入

 日々新聞に折り込まれているチラシ。消費者の購買意欲をサポートする媒体として、生活に根ざしているが、全国的にもパチンコ店の折込チラシが凄まじい。宮城県内では1月〜9月までの実績が前年比150%増。1月〜3月まではナント200%増。しかし、8月以降120%台と鈍化しはじめている。
 理由は地元の不採算店舗が閉店に追い込まれたことだ。大資本の「勝ち組」の構図は、ガソリンスタンドに次ぎパチンコ業界でも繰り広げられている。その意味では先行きは「不透明」な商売なのだろう。

 新聞販売店の経営は購読者から頂戴している購読料、新聞に折り込んで読者宅まで届けるチラシの収入で成り立っている。もはや販売店の経営は折込チラシの収入なしには成り立たない。購読料収入だけでは新聞社に支払う新聞原価を捻出するのが精一杯。その理由は販売店が宅配をして購読料を得る読者数以上に商品(新聞)を買わなければならない「押し紙」というものが存在しているからだ。断ればその販売店(店主)は改廃させられてしまう。
 通常、商品の卸売りで「売価収入と仕入れ価格」が同レベルということは商売上成り立たない。販売店がその成り立たない商売を続けていられるのは折込チラシの収入があるから。新聞販売店では、配達に掛かる人件費や販売促進費、読者サービスのためにさまざまな経費が使われる。管轄するエリアの折込チラシ量が多い、少ないによって新聞販売店の経営が左右されるというのが実態であり、チラシという景気変動型の広告収入に依存する体質に変わってきている。販売店の店主がチラシ量を増やすマーケティングをすればよい…?これは不可能だろう。

 過疎地や商業地では折込チラシ量が極めて少ない。そんな地域(山間部など)に限って配達コストは相当掛かるものだ。その経費をそれぞれの読者に負担をしてもらうわけにはいかない。だから、再販制度が存在するし、同じ価格(宅配料を含む)で新聞という商品を提供できるのだ。新聞社も補助金という形でそのような経費が掛かり、チラシ収入が低い販売店には手当てをしているが、「押し紙」というおかしな商習慣を根本的に改めないと公取委が推進する規制緩和政策に歯止めを掛けることは難しい。
 特殊指定についても来年春から本格的な議論が行われるだろう。販売店が値引き・割引を行うことを禁止した条項を無くすということは、実質的に新聞販売店を弱体化させることにつながる。

posted by 今だけ委員長 at 11:27 | Comment(2) | TrackBack(0) | 新聞販売問題