2005年09月19日

言論・表現・出版の自由は分かるが「知る権利」まで業界が押し付けられる必要はない!

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本と新聞−再販制度を考える−
著者:原 寿雄・内橋克人・四十物文夫・安江良介(岩波ブックレット384)400円

新聞労連と出版労連が主催した「緊急シンポジウム 再販制度の尊属を考える!」の記録。
再販制度とは多くの商品は、メーカー(生産者)がディーラー(小売店)に対して販売価格を決定することが、独占禁止法で禁じられている。販売価格は本来ディーラーが決めるべきものであり、同じ商品でもその店によって値段が違うというのが当たり前になっている。しかし、本や新聞(著作物というが)は出版社や新聞社がディーラー(販売店)に対して販売価格を指定することが独禁法で認められている。これを再販制度(再販売価格維持制度)という。
しかし、公取委は政府がアメリカから推し進められる規制緩和政策の中で、著作物の再販制度の廃止、見直しを余儀なくされている。この書籍は1995年に発刊され、新聞や出版業界がこぞって「文化を守るため」と再販制度撤廃論を阻止しようとしていた最中のシンポジウムである。現在は2002年に出された「当面は維持」との結論に若干の安堵感はあるが、再販制度の前にネットメディアによる買収劇や消費税引き上げなどが発生した場合の購読料と部数の関係を見据えると再販制度よりもっと業界を挙げて検討する課題は多いはずなのだが。
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2005年09月17日

新聞産業はまさに巨象!時代の流れを無視してゆっくりと歩く経営体質が根底に…

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21世紀のマスコミ「新聞」−転機に立つ新聞ジャーナリズムのゆくえ−
著者 桂敬一・服部孝章・須藤春夫・伊藤洋子(大月書店)2,200円

 今年は戦後60年。この書籍は1997年発刊なので戦後50年までに新聞ジャーナリズムが辿った道を当時の事件に対する新聞の姿勢、マスコミの役割を総括的に記されている。新聞という書名ではあるが新聞の販売問題には一切触れておらず、現役を引退した新聞記者かこれから新聞記者を目指す学生などをターゲットにした内容にまとめられているという印象を持つ。
 オモシロいのが、冒頭の「本巻のねらい」に記されている一言「新聞は、21世紀初頭10年ぐらいを経たのち、産業的状況を一変させているに違いない。だが、それがどんなものとなるのかは、いまだに判然としない―」新聞は何も変わっていない。法律に守られ、真のジャーナリズムに立ち向かう人は組織を離れ、販売問題に一向に改善されない。変わったといえば印刷部門の別会社化が進み、広告収入がネットに食われ始めたということだろうか。
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2005年09月11日

新聞記者はあまり業界内の恥部を語ろうとしないが、青木氏は踏み込んだ!

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新聞との約束−戦後ジャーナリズム私論−
著者 青木 彰(NHK出版)2,500円

 著者である青木氏の記者生活の原点と戦後ジャーナリズム(立松記者事件・60年安保・皇室報道)の分析。社会部記者時代に味わったジャーナリズムの衰弱と「報道協定」など青木氏が新聞に携わった50年間の歴史が時代とともに見えてくる。新聞販売の問題にも触れ「専売店と本社との関係は複雑微妙である。新聞社と専売契約を結ぶ独立経営体の販売店との間には、拭き難い不信感があるといわれる。本社は押し紙と称する増紙の押し付けなどを通して店の利益をしぼり取ろうとし、店側は補助金や拡材費の名目で本社からカネを引き出せるだけ引き出そうとするからだ。一方、大型拡材や無代紙の横行する販売競争、押し売りまがいの拡張団の使用を自粛する正常化申し合わせが絶対といっていいほど守られないのは、本社と店側とが責任のなすり合ってはいるものの実は、共犯関係だからである」―
新聞を離れると販売問題も見えてくるのだろう。

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2005年09月10日

自分が身を置く職場は正当化しがちだが、新聞を離れて見えてくる真実!

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見る 読む 叱る 私のメディア評論
著者 青木 彰(東京新聞出版局)1,500円

はじめに「小沢一郎氏VS政治記者」の対決の構図が書かれている。政治取材の慣行を拒否する小沢流マスコミ改革に対して、太刀打ちできない記者が増えていることに警鐘を鳴らし、今日のジャーナリズムのひ弱さの証明だととも述べている。
著者が元東京新聞の記者時代に連載していた「メディア評論」がまとめられているが、新聞社を離れ、一読者になってから思ったことは「新聞のことは新聞を離れてみなければよく分からない」ということ。
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2005年09月09日

新聞とは誰のためにあるのか?なぜ権力と対峙しなければならないのか

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紙面で勝負する!−「読者のための新聞」への討論−
著者 新聞労連新聞研究部(晩聲社)1,300円

 1979年発行。毎日新聞が経営危機の中で再建闘争の柱として提起された「開かれた新聞」をベースに書き記されている。討論・ニュースを考えるの章では、柴田鉄治氏や斉藤茂男氏らが「アメリカの新聞と日本の新聞」「オンブズマン・システム」「主観報道と客観報道」「権力との対決を」について討論したものが表記されている。また丸山重威氏の章では「読者の声」を重んじる必要性と新聞労働運動が目指すものの視点が印象的。
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2005年09月08日

新聞記者は市民生活から隔離されている!だから新聞離れは必然的に起こるのだ!

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腐敗したメディア−新聞に再生の道はあるのか−
著者 北村 肇(現代人文社)1,600円

 現在「週刊金曜日」の編集長で、元新聞労連本部委員長を務めた北村氏が「新聞の再生」を訴える1冊。北村氏は「新聞人の良心宣言」を創り、広く新聞労働者にジャーナリストとしての新聞人、「社蓄」からの脱却を訴えたが、現状はその当時と何ら変わりはない。
 入社間もない記者が「真実の報道とは何か」を悩んでいると、上司からは「そんなこと言う前にネタを取って来い」と罵倒される。販売局や広告局に至っては「金取って来い」というのが新聞社の内情だ。
 新聞ジャーナリズムの価値は「優秀な人材が確保できる新聞社」なのかも知れないが、業界構造の問題は明治時代から変わらない。その問題が解決しない限り、ジャーナリストを自称する者は新聞社という組織から抜け出すしかない。
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2005年09月07日

新聞の商業主義がジャーナリズム自体の権益優先型の情報化産業を生んだ!

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新聞ジャーナリズムの「正義」を問う−販売現場からの告発−
著者 黒藪哲哉(リム出版新書)1,155円

 新聞販売における商取引の実態を1980年代行われた国会質問などの資料も収録。新聞奨学生の過労死裁判から新聞販売店の劣悪な労働条件を追求。最後は再販制度の既得権防衛という観点から、新聞販売店から「1円募金」を新聞社が徴収し、政治献金として自民党に金が流れている「政治家との癒着」の実態を検証している。
日本の新聞史の検証と今後の展望を記した成城大学の有山輝雄教授のインタビューも読み応えがある。
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2005年09月06日

新聞の足元に自滅作用が始まった!

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新聞社の欺瞞商法−「押し紙」「折込広告」の実態を追う−
著者 サワダオサム・黒藪哲哉(リム出版新社)1,680円

 新聞販売のからくりと「押し紙」によって新聞業界が潤うシステムが記されている。高額化する拡材は現金まで登場しており、長期間の無代紙の横行にも警笛を鳴らしている。また、新聞業界の底辺からジャーナリズムを問い、自らの業界の襟も正せない新聞社に真のジャーナリズムは皆無であると断言している。
著者の澤田治氏とは長い間、新聞販売業界の裏側を教え込まれ、親交してきたが、先日、40年にわたる新聞販売労働運動から引退する旨を表明した。
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2005年09月05日

毎日大量に廃棄される新聞!発行部数の怪と押し紙のからくり

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押し紙−新聞配達がつきとめた業界の闇−
著者 森下 琉(同時代社)1,995円

 新聞業界のブラックボックスである「押し紙」。新聞社は広告収入を上げるために「読まれない」新聞を余分に印刷して販売店へ押し付ける。販売店も押し付けられた新聞ではあるが公称部数が増えることで折込チラシの収入が上がる。騙されて損をしているのは広告主に他ならない。
 そのような新聞業界で毎朝・夕新聞を配達している労働者は全国で47万人いるが、過酷な労働を強いられ、労基法も守られない無権利状態にある。この本では新聞業界に働くものなら誰でもわかる「押し紙」問題と、大新聞社に立ち向かった新聞配達労働者の裁判闘争を記したルポルタージュ。
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2005年09月04日

新聞社と新聞販売店の取引契約の実態を分かりやすく紹介!

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<新聞販売を考える
著者 村上 錦吉(有限会社ジャーナリスト協会)500円

 メーカー(製造者)がディーラー(販売店)に対して、定価販売を守らせる再販売維持価格制度(再販制度)は、アメリカが推し進める規制緩和によってそのほとんどが撤廃されている。しかし、新聞はいまだに再販制度に守られている。新聞業界の主張は「新聞は国民の知る権利を守る文化的な商品。再販制度が撤廃されれば地域によって配達手数料がかさみ、配達されない地域も出てくる」ということ。
 しかし、この本では再販制度も新聞社と新聞販売店の取引関係をハッキリさせることで、新聞業界(発行本社側)が懸念する再販問題について指摘している。

 ほとんどの方は新聞社と新聞販売店で流通している「新聞」を売買契約だと思っている人が多い。実際に新聞社が毎日制作する新聞を販売店が購入(毎月1回定数日を設けて当月の部数を注文)しているのだが、そこには「押し紙」、「拡張員の雇用主は本社」、「販売店改廃権・店主の交代権」、「本社が決める販売エリア」などの片務契約というブラックボックスが存在する。実態は『販売業務委託契約』なのだ。
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2005年09月03日

遠い販売正常化への道…熊日にいまでも宿る販売の精神!

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新聞 もう一つの顔−販売の暴走十八年−
著者 森 茂(旭出版)1,800円

九州地区は関東、関西地区と並んで新聞部数過当競争が絶えない地区。その理由は現地印刷工場の建設によって販売部数(部数拡大による広告収入増)を増やさないと経営がひっ迫するからだ。そんなこと地域の読者には関係のない話なのだが、全国紙の1社が進出すると他の2社も追随する構図は今も変わりない。

森さんはそんな九州の熊本にあって、長きに渡り販売を担当され「販売正常化」に取り組んで来られた重鎮。全国紙の乱売に負けず、地方紙が主導となって正常化を果たすべきだと訴え、新聞社、公取委、販売店主会の正常化から手を付けてていくべきだという姿勢は、今の熊本日日新聞社にも受け継がれている。

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2005年09月02日

1977年の新聞労連発行本もジャーナリズムの問題点は今と変わりなし…

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新聞が危ない−同世代を共有する人間として、ジャーナリズムの本質をさぐる!−
著者 新聞労連新聞研究部=編(晩聲社)1,365円

いま新聞社で活躍しているというより、テレビの司会者やコメンテェーターで活躍している方々(筑紫哲也氏、岩見隆夫氏など)が若かりし頃に寄稿したのだろう、今から28年前に発行された新聞労連編集の一冊(続編もあり)。
記者クラブの問題など内側から湧き出るジャーナリズムの危機感は、現代とそう変わりない。
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2005年08月31日

マスコミと広告の関わりを詳細にまとめた入門編!

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21世紀のマスコミ「広告」−広告は市民とマスコミの敵か味方か−
著者 桂敬一・服部孝章・須藤春夫・伊藤洋子(大月書店)2,310円

「21世紀のマスコミ」(全5巻)シリーズの中で、一番読み応えがあった1冊。高度消費社会において「無駄が金を創り出すシステム」に広告は加担しているのかを追及している。
新聞には欠かせなくなった折り込みチラシ広告によって、新聞販売店の経営が成り立っていることにも言及している。広告の社会性、表現力と多岐にわたる解説でまとめられているが、ネット広告(バナー広告)についても触れているが、ここまでネットビジネスが普及しようとは筆者も予想できなかったのだろう。
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報道の自由あれどマスコミの責任も問う一冊!

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無責任なマスメディア−権力介入の危機と報道被害−
著者 浅野健一・山口正紀(現代人文社)1,854円

浅野健一氏は2回ほど講演依頼をして快く来て頂きました。酒も強く、3次会までお付き合いしていただき、熱い議論を交わしていただける方です。
報道被害について常にマスコミの権力を監視する様は、一般市民の側に立った視点を忘れない元共同通信社の記者魂!
東北のブロック紙といわれる新聞社の4代目も彼の部下だったとか…。
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2005年08月29日

斎藤茂男さんの追悼集会をまとめた1冊!

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メディアの内と外−ジャーナリストと市民の壁を超えて−
著者 筑紫哲也・大谷昭宏・原 寿雄(岩波ブックレット)462円

 この3氏の講演を聞いたことがあり「なるほどな〜」と感心させられたこともありましたが、最近の「ニュース23」や大谷氏のエンタメ系コメントにはガッカリさせられる感も…。「黒田ジャーナル」は、今だけ委員長も1回だけ飲む機会があり「あの読売にいながら訴え続けた黒田さんの意気込み」を感じさせられた素晴らしい方だと思っている。その意味でも「大谷さん番組選んでね〜」っていう感じですか。
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2005年08月28日

活字離れではなく新聞離れ!新聞が読者から離れていったことを警告

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新聞が消えた日−2010年へのカウントダウン−
著者 新聞労連編(現代人文社)1,260円

新聞労連産業政策委員会が3年の歳月を掛けて創りあげた一冊。新聞販売・広告・これからの地方紙・ジャーナリズム・ネットとの関係―など本音と建前が右往左往する業界にあって、今までにない切り口で書かれた未来予想図!
新聞業界に働いている労働者がパラドックスに描いた本書の指摘を企業内労働組合がどこまで実践できるか…
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2005年08月27日

新聞販売労働者であった著者が業界問題を赤裸々に糾弾!

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新聞幻想論
著者 サワダオサム(ニュースマーケティング研究所)2,000円

1960年に上京し「食うと寝るに困らない」といわれた新聞販売店の門を叩き、「新聞屋かて人間なんや!」を信念に新聞社と闘い続けた著者が、販売問題を通じて見えてきた言論機関の恥部を自費出版でまとめた。
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ブログをやらにゃいかんと思わせた一冊!

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ネットは新聞を殺すのか―変貌するマスメディア―
著者 青木日照+湯川鶴章(NTT出版)1,575円

湯川鶴章氏の講演を聞く機会があり、その事前準備にと買い求めた。新聞がヤフーなどネット企業の傘下に入ってしまうのか…。
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