2008年07月08日

真山仁氏の連載「ザ・メディア 新聞社買収」始まる/週刊ダイヤモンド

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 週刊ダイヤモンド7月12日号から、巨弾経済小説「ザ・メディア―新聞社買収」(著:真山仁)の連載が始まりました。
 ダイヤモンド社の宣伝をするつもりではありませんが、以前、DIAMONDonline(ダイヤモンド社のウェブサイト)のコラム「メディア激動時代を読む―山口一弥」で
真山さんのインタビュー記事を拝見し「いつ連載が始まるのだろう」と期待をしていました。


 内容について深くは触れませんが、太陽新聞社(どこをモデルにしているかわかりますね)に勤務するCSR推進室課長補佐の山原康平を主人公にした物語。第1回目は太陽新聞販売店の息子が、日本ユネスコ協会連盟主催の『守ろう地球の緑』懸賞作文へ応募した作品が入選。「新聞大好き」という題目の内容に新聞の押し紙のことが書かれて…


最初の“つかみ”はやはり押し紙でしたね。フィクション小説とはいえ、業界人の痛いところを突く連載になりそうな予感がします。

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2008年06月17日

21世紀はインタレスト型メディアが主流…

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グーグルに勝つ広告モデル―マスメディアは必要か―
著者 岡本一郎(光文社新書)720円


 マスメディア4媒体の低迷がいわれて久しいのですが、インターネット技術によってそれぞれの価値観や生活様式の多様化は目覚ましいものがあります。
 著者はマーケティングの観点から、これまでのアテンション(大衆の関心)へ訴求する20世紀型マスメディアから、21世紀はインタレスト(能動的な興味・関心)型のビジネスモデルへと変化することを指摘。ともにネットを利用した検索サービスのヤフーとグーグルをそれに当てはめると、ヤフーは情報の流通経路にネットを使っているだけで、依拠しているのはアテンション・エコノミー。人が集まるトップページにバナー広告を張って収入を上げる20世紀型メディア(新聞をはじめとしたマスメディアもこれに属す)で、グーグルは一番人が集まるトップページに何の広告も出さず、アテンションの一歩先のインタレストに絞っているため、広告主にとって「購買までのステップが短い」効率的な広告効果が期待できる21世紀型メディアと定義しています。
 また、さまざまなメディアに回せる潜在量は一日平均5時間との分析結果をもとに、これからはその日に生成されたコンテンツと過去のストックされたコンテンツとが競合し、日々の生活におけるマスメディアのシェアは減少するとを宿命的な流れだと指摘します。
 そのほか、マス4媒体の(テレビ、新聞、ラジオ、雑誌)現状と可能性について著者の見解が記されています。新聞についてはあまり目新しいものを見つけだすことはできませんでしたが、宅配網(インフラ)を生かしたビジネスの可能性を示されています。あと、ラジオに関する考察は目を見張るものでした。


 ともあれ、マスメディアを取り巻く環境の変化を指摘するこの手の書籍が近年数多く発刊されていますが、これまでは建設的な提言を読み取れるものは少なく、一種の「マスコミいじめ」のようなものばかり…マスコミ関係者の高慢ぶりや高い賃金へのアジテーションを発することで「真のジャーナリスト」になった気でいる著者も見受けられます。そのような中で、本書はマスメディアとマーケティングの未来を本質的なメカニズムを考察する一冊だと思います。

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2008年05月26日

政府・企業にがんじがらめにされている日本のマスメディア

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マスコミはなぜ「マスゴミ」と呼ばれるのか―権力に縛られたメディアのシステムを腑瞰する―
著者 日隅一雄(現代人文社)1,840円

 けさの地方紙(共同配信だと思います)の書評にも掲載されていたので、早めに紹介をしておこうと思います。新聞紙面でこの類の書評を紹介するのは極めて少ないのですがどうかしたのかな?

 本書は新聞産業(産経新聞社)に一時席をおき、現在は弁護士(日本弁護士連合会人権擁護委員会)として活躍されている著者が、これまで一般(ギョーカイ人でも知らない人も多いはず)には知られていなかったマスメディアに対する日本独自のさまざまな規制を先進国との例に出しながら「その異質さ」を紹介。さらに表現の自由を守る必然性を説き、現在国が規制をかけようとしている低年齢者へのフィルタリングなどのネット上の規制も国家による言論規制の広がりに危機感を示しています。
 マスメディアがこのような問題に正面から反対の論陣を張り、市民へ情報通信法案などの規制の危うさを主張すべきなのですが、もはやマスゴミと化した新聞、放送はその役割すら果たせなくなっているのか…。

 著者は情報通信分野における国家権力の介入を背景に「この一線は死守しなければならない」とマスコミ労働者への叫んでいるように聞こてなりません。あとがきには表現の自由を業界全体で対応すべきだと述べられていますが、マスコミ労働者の現状は自らの既得権にしがみつくばかりです。直接的な国家権力の介入ではありませんが、いまフリーのライターが雑誌やブログに掲載した内容に対して名誉棄損などで高額訴訟を起こされるケースが頻発しています。烏賀陽弘通氏のオリコン訴訟(資料:UGAYA jounal
サイゾー)や読売新聞から訴えられた黒藪哲哉氏の読売新聞名誉棄損訴訟(資料:マイニュースジャパン)など大組織に属さないフリーランスから言論弾圧がはじまっているのですが、ほとんどのマスコミではこのような問題を取り上げようとしませんね。このような動きを見過ごしておいて「マス媒体は別モノ」と言い切れるはずはないと思うのですが…

 個人的にはマスコミは読者(視聴者)不在の中でシコシコとそれぞれのメディアの価値観だけでコンテンツを作ってきた結果がマスゴミと言われてしまっている所以であると思っています。本書にも「新聞、テレビには、ほかの商品と大きく違うことがある。それは、ユーザーである読者、視聴者の満足度が売り上げに反映されないということだ。新聞は宅配システムだから、特ダネをバンバン書いたからといっても購読者が数が増えるわけではない…したがって、記者の評価はコップの中の争いのようなものになりやすい…本当に読者が求めている記事、問題の本質に迫るような記事を書くことができるか疑問だ」と一蹴しています。

 この本を一通り読むと今のマスコミの現状が理解できます。一つ一つ事例を挙げて問題点を掘り下げているのでマスコミ業界に関心のある方や業界内の“頭の固い経営者”にもお勧めの一冊です。
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2008年05月16日

日本の新聞社はフリーペーパー化できるか?

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フリーペーパーの衝撃
著者 稲垣太郎(集英社新書)714円

 フリーペーパーの歴史は古く、タウン誌や企業のPR版のようなものまで広告収入で経営が成り立つビジネスモデルを指します。サンケイリビング新聞などのタブロイドタイプのものから、今では「R25」(リクルート)に代表されるマガジンタイプが主流ですね。。
 JAFNA(日本生活情報紙協会)の定義(5年前に承認)によると「特定の読者を狙い、無料で配布するか到達させる定期発行の地域生活情報紙誌で、イベント、タウン、ショップ、求人求職、住宅・不動産、グルメ・飲食店、ショッピング、演劇、エステ・美容、レジャー・旅行、各種教室など多岐にわたる生活情報を記事と広告で伝える」ものだそうです。
 現在日本では1,200紙誌、年間3億部近いフリーぺーパー(マガジン)が発行され、21世紀に入り創刊ラッシュが続いています。多く区分類すると@コミュニティペーパー(住宅地での全戸配布方生活情報紙誌)Aターゲットマガジン(読者を切り分けた嗜好別情報紙誌)Bニュースペーパー(報道系)。エリア、世代、性別、所得などターゲットを絞り、読者に配る方法と場所、かつ話題性、信頼性のあるコンテンツを日夜つくりだしているフリーペーパー市場。広告主が「伝えたいターゲット」に一番効果的な紙誌を選ぶという仕組みは、マス媒体とは違うターゲットメディアの必要性をインターネットよりも先にフリーペーパーは実践しているのです。

 著者は朝日新聞社デジタルメディア本部に勤務し、2005年から2年間「無料なのにどうして内容の濃い紙面を提供できるのか、読者に買ってもらわず広告収入だけで経営は成り立つのか、ネット全盛の時代になぜこの紙媒体は活気づいているのか」という疑問を研究された末の答えが本書に詳しく書かれています。私も業界人だからでしょうか、とても的確にフリーペーパーの現状が伝えられていると思います。ただし、広告で経営が成り立つのは制作コスト(紙媒体は金が掛かる)が現状維持の場合であって、原油高の影響で印刷業界が悲鳴をあげている状況では厳しいのかもしれません。
 著者は本書のまとめとして、フリーペーパー=情報発信(コミュニケーション)であり、コンテンツの企画開発力が問われていると指摘しています。

 広告主はインターネット上で自らのサイトを持ちはじめ、既存のメディアを通さずに消費者を直接囲い込む手段を手に入れた。まさに企業のメディア化である。これに組み合わされる媒体も同じように、消費者を呼び込むメディアとして、フリーペーパーの広告主だった企業自身がフリーペーパーを発行するようになった。
 かつてのカタログ誌、PR誌の分野が、読み物を載せて固定読者にサービスするフリーペーパーに進化しはじめている。多くの企業が独立系の編集プロダクションや広告会社と契約し、自社の製品やサービスに特化したフリーペーパーを発行するようになれば、メディア産業はそのコンテンツ企画開発力を問われ、広告会社も経営戦略を根本から変えざるを得ない状況になるだろう。

 新聞はなかなかターゲットを絞った紙面づくりとはいきませんが、プッシュ型として販売店が顧客データを基にしたセグメント配布をしっかりできればクライアントが訴求する折込チラシやフリーペーパーを新聞に挟み込んで届けることは可能なのです。そのためには何度もこのブログで書いていますが販売店のレベルアップ、優秀な人材を確保する条件整備が必要。
 ではプル型ではどうか――店舗数が多いのでいろいろな「すき間」というか、サンプリングステーションなどの使い方も考えられますが、多くの販売店は顧客を招き入れる店舗とはいえません。輪転機と同じ稼働率は相当に悪いですね。

 今年1月末に発行された本書。ぜひご一読を。

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2008年05月14日

どんな事態が起ころうとも生き残っていくという執念/元朝日新聞社長の追想集

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追想 渡邉誠毅
発行・発行 渡邉葉子/渡邉誠毅追悼集刊行委員会(3,400円)

 1977年から1984年まで朝日新聞社の社長を務めた故渡邉誠毅氏の追悼集。新聞協会報でこの書籍の発行(今年2月11日)を知ったのですが書店での販売はされていないため、朝日新聞社書籍編集部に申し込んで購入しました。

 なぜ、渡邉氏の追想を読んでみたかったというと1985年2月に当時新聞協会会長だった同氏が二度目の販売正常化宣言の各社一斉社告に取り組んだ―その方の半生はどんなものなのだろうかという興味と当時(販売問題)のエピソードなどが記されてあればという期待からです。

 昨年、肺炎のため92歳でこの世を去った渡邉氏の半生はまさに戦後の新聞産業の発展と新聞ジャーナリズムの歴史そのもの。1939年に東大卒業後、朝日新聞社に入社。赴任先の北海道で北大農業研究会に関わり治安維持法違反の容疑で3年間の獄中生活を送ることになります。そして戦後。1947年には新聞単一労組朝日支部委員長に就任するなど行動力に長けていた渡邉氏。調査研究委員、論説委員、編集局長、取締役へと経営者としての頭角をあらわし、1977年に社長就任。任期中に朝日新聞創刊百周年(1979年)、新聞協会会長就任など数々の時を刻んだ方でもあります。

 本書は渡邉氏が出筆した記事、論文、講演などの遺稿と友人、遺族らによる想い出の記をまとめた追想で構成されています。私の目的だった販売問題への言及については2カ所ほど登場してきます。


「財界」1978年9月1日号のインタビュー記事(要点のみ引用)
 ――新聞界の問題を解決する場合、二つの前提提条件があると思う。ひとつは朝日新聞の社主問題の解決、もう一つは読売新聞との販売競争の終結、それに伴う販売の正常化の問題でしょう。しかし、それも私は、朝日新聞の社内問題が大きく反映していると思うんです。朝日の出方が闊達になることが、正常化へ大きなプラスになりますからね。そこで新聞界の本当の秩序作りが始まると思うんです。朝読戦争といった販売競争が続く限りは、やはり商業主義に走るから、どうしても紙面が荒れますね。ですから日本のマスコミ全体にとって、朝日と読売の間で秩序ができる、ということがどうしても必要だと思うんです。
 渡邉 誰が見てもおかしい、無理な競争は、いずれおさまる時期はくると思うんですよ。
 ――しかし、朝日の場合はいわゆる部数競争から下りた、とも言えるんですね。読売の場合は部数日本一、即世界一ということで、これが大きな売りものになっている。

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2008年05月09日

営業部門が抱えてきた構造的問題を検証/森内氏の考察から学ぶもの

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新聞研究5月号
発行 社団法人日本新聞協会(定価840円/年間購読料10,080円 送料別)


 このブログでも度々紹介している元日経広告研究所理事の森内豊四氏が、新聞協会が発行する月刊誌「新聞研究5月号」へ論文を寄せています。表題は「新聞広告の後退を考える―営業現場の変革に向けて…」。
 この誌が発行される前に森内氏から寄稿内容の要約を送っていただきました。本誌と併せて読むと何とも感慨深く、新聞広告そして営業の仕事への考察の深さを感じます。
 森内氏は、新聞研究はもともと編集・記者部門の機関誌であるから、あまり読まれないのかもしれない―と仰っていますが、新聞広告の可能性や広告営業の在り方、さらに新聞広告後退の底流に何があるのかという問題は新聞経営陣はもとより編集職場の方々も知らぬふりはできない問題です。

 1995年以降、インターネットの爆発的な普及で右往左往してきた新聞産業界。ネット時代の新たなビジネスモデルを追いかける一方で、これまで新聞経営の根幹をなしてきた広告、販売という営業部門が抱えてきた構造的問題を編集職場の方々含めた新聞労働者がキチンと検証して次へ進むことが必要なのだと感じます。

「新聞研究」論文要約
○広告産業はすでに成熟期を過ぎ、量的拡大は期待薄で、これからはメディア間、ビークル間(新聞社間)の競争が激化するとの認識が必要だろう。

・国内市場の低迷で、企業は海外市場の開拓に力を注ぎ、海外での宣伝活動を強化しているが、日本のマスコミはこうしたグローバル化の恩恵にあずかれない。
・経営における広告のポジショニングが後退している。
○現在の広告不振は現場の努力不足など関係なくさまざまな要因が重層的・複合的にからみあったもので、根底に現在の日本が抱える経済・社会の構造問題がある。

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2008年04月29日

朝日新聞労働組合が取り組んできた「5・3集会」の記録

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「愛国」の自由を問う―阪神支局襲撃事件から20年―
(第20回言論の自由を考える5・3集会報告書)
発行:朝日新聞労働組合


 昨年は日本国憲法施行60年、そして安倍晋三前首相が「戦後レジームからの脱却」を方針に掲げ憲法改正に意欲を見せ、改憲手続法が制定されるなど憲法問題をめぐる議論が白熱した年でした。新聞をはじめマスコミ各社も毎年5月3日には憲法に関する特集記事を掲載し、平和憲法の大切さ(改憲に意欲的な新聞社もありますが)など伝えています。
 もうひとつ、新聞業界(マスコミ)に働く方々が思う5月3日。朝日新聞阪神支局の襲撃事件(広域指定116号事件:2002年時効)は今でも胸をよぎります。

 1987年5月3日、朝日新聞社阪神支局(兵庫県西宮市)に勤務していた3人の記者に向けられた銃弾。赤報隊を名乗る男が発した銃弾が小尻知博さん(当時29歳)の尊い命を奪った痛ましい事件。
 この事件以降、朝日新聞労働組合は「5・3集会」を主催し、言論問題、平和・憲法などを市民とともに考えるシンポジウムを催しています。その「5・3集会」開催20年を記念して昨年発行されたのが本書です。
 この集会の意義とは何かを当時の労組委員長石嶋俊郎氏が本書の中でこう述べています「この集会の存続につきまして、過去20年間様々な議論がございました。10周年でもうやめようという声もございました。5年前、事件の時効を機に『もうこの集会を閉じるべきである』、『役割を終えた』、そんなような声も非常に多くございました。しかしながら、私どもは来年も再来年もこういった形でこの集会を続けていきたいと、そういう風に思っております。私たち自身にとってこの空間は貴重な場であると思います。単に小尻さんの事件を語り継ぐということだけではございません。言論の自由を守ろうということだけでもございません。私どもが書くべきことを本当に書いているのか、本当に作るべき新聞を作っているのか、そういうことを問い直す、皆さんと一緒に考える、そのうえで明日からも書くべきことを書こう、明日も喋ろうという気持ちを新たにする、そういう集会だと思っています」(集会での挨拶から抜粋)

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2008年04月08日

コンテンツ作りの経費(取材網の維持)を無視したデジタル部門の好業績

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週刊東洋経済 4/12特大号
東洋経済新報社 670円

 本日発売の週刊東洋経済。まず見出しがオモシロイ「『日経新聞』を読む人読まない人―新聞ビジネス大解明―」という表記は思わず「日経の神出鬼没な申込パンフ」を連想させるぐらいのインパクトがあります。プレジデントの「新聞没落」に匹敵するコピーじゃないでしょうか。

 経済誌らしく“新聞業界を叩く”といったこれまでの週刊誌の切り口とは違い、それぞれの新聞社の決算状況など数字が並んでいます。中でも日本経済新聞が昨年度の連結決算で、「利益」でデジタル部門が新聞部門を逆転したという報告がいまさらながら目を引きます。
 日経の新聞部門は部数が前年比で1万部ほどの伸び。その理由として、一般紙は主要なニュースを無料で配信していますが、経済指標など日経が得意とする記事はそのおおよそ3割程度しか(ネットで)無料で見ることができないため、日経を購読するビジネスマンが増えているというもの。しかし、結果としては広告収入のマイナスによって、新聞部門は減収減益(2007年度決算)だったということです。デジタル部門の伸びは、課金システムによるデータベース事業が好調で、いま新聞業界が苦慮している「ネット時代の新聞ビジネス」の成功事例として日経の戦略が賛美されているようにも感じられますがあ、データベース化されたコンテンツは取材、編集整理、解説など人員、拠点にいたるまでの取材経費が含まれていることを忘れてはならないでしょう。その取材経費は新聞部門からだけ徴収されてデジタル部門(全てではありませんが)は取材経費が差っぴかれたコンテンツだけを加工、商品化しているに過ぎないと思います。

 さながら日経の経営方針を称賛する内容になっていますが、園城寺モデルと務台モデルでいうと「いまの時代に必要なのは園城寺モデルだ」との結論になるのでしょうか・・・
※故園城寺次郎氏は1970年頃の日本経済新聞経営者
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 この手の雑誌に引っ張りだこの河内孝さんも「朝・読・日経の3社連合 二兎を追う者は…」という内容の寄稿をされています。

 私みたいなものが言うのも失礼でしょうが、しっかり取材もしていて構成も洗練されていてけっこう良いできばえだと思います。

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2008年03月27日

推定有罪って… 痴漢えん罪とたたかう著者に支援を

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推定有罪−それでもあきらめないボクと家族の物語−
河野さんのえん罪を晴らす会 500円+カンパ

 昨年の今頃だっただろうか、東京高裁前での宣伝行動に参加していた私は、同じく裁判所職員にビラを手渡し無実を訴えていた河野さんと出会った。
 以前から某新聞社の方を通じて痴漢えん罪で闘っている河野さんの話を知り、加盟団体へ署名などの支援要請に少なからず協力をさせていただいた。

 その後も同会のホームページやお手紙で状況を伝えてもらったが、昨年11月の最高裁での上告棄却、同月の市教委から懲戒免職を受けるという最悪事態を私は受け入れられなかった。河野さんとご家族はこのあまりにも酷い司法判断をどのような心境で受け止めたのだろう。いや、受け止められるはずはない。事実無根の言いがかりで人の生活が奪われることになったのだから…。

 しかし、この本を読むとそんな河野さんの苦しいであろう思いを感じさせずに「えん罪」というものに焦点をあわせて「推定有罪」というあいまいな司法判断の矛盾と、その判断によって社会的地位までも奪われかねないという現実がつづられている。
 エピローグでは「ボクは真実が知りたい」と語る河野さん。司法を信じられずに誰を信じればよいのだろうか… ある痴漢えん罪事件の記録と記憶が記された1冊。


 
「河野さんのえん罪を晴らし職場復帰を実現する会」の支援要請(抜粋)

 元横浜市立高校教員の河野優司さんは、2006年1月15日、日曜日午前中の高島屋横浜店で身に覚えのない「チカン」容疑のため逮捕されました。本人は、当初から「そうした事実はない」と否認し続けましたが、「起訴」され裁判にかけられて、昨年の11月に最高裁で罰金刑が確定しました。
 その後、横浜市教育委員会はこの判決確定を理由に、2007年11月29日に河野さんに「懲戒免職」処分を発令しました。この処分は、「一審(横浜地裁)の執行猶予付き懲役刑判決は、失職の恐れがあり、酷すぎる」とする高裁判決に照らしても、司法判断を大きく超えた「懲戒免職」処分であり、あまりにも不当であるといわざるを得ません。
 河野さんはこの処分を不当として、横浜市人事委員会に対し処分の取り消しを求める不服申し立てを行いました。これまでに400を超える組織から「処分の取り消しと復職を求める」団体署名が寄せられ、市教委と人事委員会に提出。
 当初より無実を主張している河野さんの職場復帰の実現を目指して、今後も運動を継続することを確認しました。

【お問い合わせ】
河野さんのえん罪を晴らす会
〒220-0031 横浜市西区宮崎町25 市従会館
横浜市立高等学校教職員組合内
TEL:045(241)2744
FAX:045(241)2733
http://www.geocities.co.jp/ykou01/

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2008年03月14日

11回モデルチェンジしたハンドブック

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記者用ハンドブック第11版(新聞用字用語集)
共同通信社 1,700円


 1956年11月1日に初版された記者用ハンドブック。今年3月17日に第11版が発売になりました。


 内容は記事の書き方、新聞漢字表、現代仮名遣い、送り仮名の付け方、記事のフォームなど新聞表記の基本が説明されています。
 ミニコミ紙を発行されている方も一冊手元に置いてあるとよいかもしれません。

  新聞という究極のモバイルは“読みやすく”を追求したものですが、一般的という水準が変化して逆に読みづらいというご意見も頂戴するときもあります。あとは省略しすぎ…。ウェブはハイパーリンクできて省略はあり得ないのですが、1分間で内容を伝える究極の文字表現は新聞用語なのかなぁと。あとは中身の問題ですね。

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2008年03月08日

もうテキストにならないオールドメディアの重鎮

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月刊「創」4月号
創出版 600円

 雑誌社による新聞を特集した書籍物発刊が加熱した昨年。今年は大衆週刊誌にも相手にされず穏便な?日々を送っていた新聞業界ですが、今月末から読売、朝日を中心に取り組まれる紙面12段編成、朝・日・読による三社連合「ANY」を題材に月刊「創」4月号(篠田博之編集長)が新聞社の徹底研究(全国紙5紙)を特集しています。昨日7日発売。

 最近の新聞を特集した雑誌に欠かせない河内孝氏や黒藪哲哉氏もそれぞれ座談会や寄稿をされています。

目次より
特集【新聞社の徹底研究】
座談会「新聞三紙連合とメディア界再編の行方」
原壽雄×桂敬一×河内孝
成否が注目される出版部門とデジタル部門  
朝日新聞社の「改革」と出版分社化
三紙連合や紙面「12段組」など活発な動きが  
読売新聞社「1000万部」の闘い
他紙に先駆けて拡大文字を採用
毎日新聞社の「J字」紙面改革
昨年デジタル部門と出版部門を分社化
日経新聞社「大再編」1年後の成果
「EXPRESS」創刊など新たな試みは
小回りを生かす産経新聞社の挑戦
読者の新聞離れと広告主の折込チラシ離れが直撃!
新聞界の暗部「押し紙」の実態

 読んでみての感想は「三紙連合と新聞界再編の行方」と題した原寿雄氏、桂敬一氏、河内孝氏による座談会は、新たな視点もなく「もういいだろう」という感じです。原氏82歳、桂氏72歳…。相変わらず業界内の重鎮しか登場しない(登場すると潰されるのか)この手の座談会は、「もうテキストにはならないオールドメディア」という感じがします。

 「押し紙」の問題については、黒藪氏が各雑誌などで積極的にその問題点を発信していますが、なんら変わらない業界体質に関係者も疲弊感を隠せないというところかもしれません。実際に全国紙の専売店と地方紙の販売店で抱える問題も若干違いますが、部数も折込も減る一方の販売店は「業界構造の問題」に立ち向かう余力もなくなり、どこに活路を見出してよいのかがわからなくなっているのかもしれません。
 「新聞業界の再編が不正を隠す結果をもたらすようであれば、新聞ジャーナリズムの再生もありえない」(黒藪氏の寄稿から)。まさにその通りなのですが・・・

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2008年02月20日

「営業の仕事は教育より本人の学習がモノを言う」 森内豊四氏の寄稿から学ぶもの

  kenkyu[1].gif  森内さんからの手紙.JPG
新聞研究5月号
発行 社団法人日本新聞協会(定価840円/年間購読料10,080円郵送料別)


 このブログでも何度かご紹介をした森内豊四氏が新聞協会が発行する新聞研究に「新聞広告の後退を考えるー営業現場の変革に向けて…」を寄稿しています。
 発行前に森内氏から今回の寄稿について要約したものを送っていただきました。本誌と併せて読まれると「新聞広告の可能性を追究し広告営業の在り方を模索する必要性」が理解できます。
森内氏は、新聞研究はもともと編集・記者部門の機関誌であるから、広告営業に関する寄稿は読まれないのかもしれない―と言っておられますが、新聞産業全体を考える上で新聞経営陣、編集職場の方々に読んでもらいたい内容です。

 1995年以降、インターネットに押されて右往左往して新しいビジネスモデルを模索すべく奔走してきた新聞業界。新しいものを追いかけるよりも、いまの新聞経営を支えている広告、販売の営業部門が抱えている構造的問題を経営陣や編集職場の方々に感じてもらいたいものです。


「新聞研究」要約(記述順)
○広告産業はすでに成熟期を過ぎ、量的拡大は期待薄で、これからはメディア間、ビークル間(新聞社間)の競争が激化するとの認識が必要だろう。
・国内市場の低迷で、企業は海外市場の開拓に力を注ぎ、海外での宣伝活動を強化しているが、日本のマスコミはこうしたグローバル化の恩恵にあずかれない。
・経営における広告のポジショニングが後退している。

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2008年02月10日

天下り人事も最後まで残る既得権なのだ

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親会社の天下り人事が子会社をダメにする

著者 柴田昌治・佐伯弘文(日本経済新聞出版社)1,260円

 以前、著者の柴田氏の講演を聴いてから「なぜ会社は変われないか」「なぜ社員はやる気をなくしているのか」などの著書を読んで、現代の企業が抱える問題はやはり「人材を育てる職場環境崩壊」と「受け継がれる既得権」だということを代弁してくれた柴田氏と「会社はムダの塊だっ!」の著者の佐伯弘文氏の共著。
 
 先月出版されたばかりのこの本は、親会社の人事でラインから外れた社員を日本らしい?妙な温情で子会社へ天下りをさせる企業風土の根本的な問題を指摘しています。対談方式で各省庁や公務員の天下りなどを例に挙げながら「受け継がれる既得権」を変えられない温床や日本の産業が元気にならない理由、大手企業の子会社の多くが「誰も責任を取らず赤字のまま放置」されている状況についても厳しく言及しています。
 このような本を読むと自分が務める会社やその状況を生んでいる業界構造にピッタリあてはまっているのも悲しいのですが…。でもそれにめげずに改革をしていかなければなりませんね。

 どこの企業にも組織を蝕む一握りのシロアリ集団はいるものです。自分のことしか考えず親会社から天下ってくる役員にゴマスリすることしかできない無能な人間が、組織の中枢にあてがわれてしまうととんでもない「経営計画」が作られたりするものです。親会社から天下る役員と子会社の「大胆な改革をされては既得権を失う」と内情を隠してゴマスリに走る人間(シロアリ)を見分けられないお手盛り人事。このような事態を放置してしまうと企業は没落していくのでしょう。特に新聞業界は会社法(日刊新聞法)に守られ株式も公開されていないので、モノ言う株主もいませんから…

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2007年11月06日

朝・読・日の三社連合は格好の週刊誌ネタに

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諸君! 12月号
文芸春秋社 680円

 いつの時代でも週刊誌(月刊誌)が新聞批判をすることは当たり前なのだろうと思ってきたが、今年ほど新聞業界の特集(それも綿密に)が組まれたことがあっただろうか。
 弱っているところを一気に攻め立てるのは常套手段だが、登場する人物が同じだとマンネリ感がぬぐえない。それだけ同じことを指摘されても変わろうとしない新聞業界に対して、雑誌ジャーナリズムも次の一手を打てないでいるのかもしれない。


 読み進めていくと、キーワードは朝日と日経、そして10月1日に発表された朝日・読売・日経の三社連合による業務提携といったところが柱になっている。
 前回書籍紹介でアップした「サピオ」よりは読み応えがあると思ったのは、上杉隆氏の原稿が際立ったからなのかもしれないが…。


 新聞特集を組む雑誌には欠かせない存在となった元毎日新聞社常務取締役の河内孝氏は、佐野眞一氏との対談の中で朝日・読売・日経の三社連合がウェブ事業の提携をして新たなネットビジネスを展開するとした10月1日の(三社社長の)会見について、「いまの新聞社のネットビジネスが経営を支える主軸になることはあり得ない」と切り捨て、その原因を「ニュースをタダで載せてしまったのが仇となっている」と述べています。さらに「朝日新聞社の売上は、昨年、4000億円を割り、日経は2400億円位、読売は、巨人軍やゴルフ場などをすべて合わせて4700億円。インターネットビジネスの売り上げに関しては、日経が100億円を超えて突出していますが、これは「クイック」という株価の速報があるためです。インターネット部門では、毎日、朝日が30億円、読売がそのちょっと下、産経がその半分というところです。総売り上げが4000億円という規模の会社で、30億円程度の事業を次世代経営の柱にしていこうというのは、土台むりな相談です。ビジネスモデルが見えない」とし、「インターネットビジネスを最も華々しく展開しているように見えるメディア王ルパート・マードック傘下のウォールストリートジャーナルでさえ、一昨年の売上は、円安ベースで換算しても200億円、いまのインターネットでは、巨大新聞社の屋台骨を支えられないことは、もうはっきりしている」と持論を展開。三社連合にとって「化ける」可能性を秘めているのはポータルサイトではなく「Eペーパー」だと予測する。

 紫山哲也氏は河内氏とは違った切り口で三社連合を批評する。「三社の本当の思惑は、社論の違いをさて置いても、ネット広告のおいしい上澄みを吸い上げるところにあると見られている。新聞の部数の落ち込みで各社の経営基盤が危うくなっているいま、巨大な新聞は提携して利潤確保のためになりふり構わないネット戦略に打って出てきた、と言わざるを得ない」と解説する。三社連合については河内氏の分析力の方が優っているようだ。


 尊敬する氏からこんな話を伺った。「どの雑誌も編集(とりわけ記者クラブ)と販売に比べて、おしなべて広告についての掘り下げが足りない。これは誌面に登場する人の問題で、広告ビジネスに通じた者がこういう企画に登場しないためだと思うが、その背景には電通に対する遠慮が出版社側にはたらいているかもしれない」と。



特集◎新聞騒乱 「朝日崩れ」が止まらない

 官邸 vs.マスコミ 朝日新聞、敗れたり 上杉 隆(ジャーナリスト)
驕れる者も久しからず。首相を辞任させ、勝鬨をあげる朝日の足元で、政治報道の瓦解が始まった
 
「朝・読・日経連合」はマスコミ一極支配を狙う
佐野眞一(ジャーナリスト)/河内 孝(ジャーナリスト)
朝日は“読売=正力イズム”に呑みこまれるのか? 無原則な野合の背後に広がる業界地獄絵図
 
官僚主義にまみれた巨大新聞社を“民営化”せよ
柴山哲也(メディアアナリスト・現代メディア・フォーラム代表)
競争不在のまま、テレビの後塵を拝して幾星霜。遅すぎた「55年体制からの脱却」を、いまこそ

経済オピニオン記事あてにする馬鹿、読まぬバカ
松原隆一郎(東京大学教授)/東谷 暁(ジャーナリスト)/吉崎達彦(双日総合研究所主任エコノミスト)
珍学説を振り回し、誤報、提灯記事のオンパレード。日経が「ビジネスエリートの新聞」とは笑わせる

 

posted by 今だけ委員長 at 02:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍紹介

2007年10月25日

売るターゲットは新聞業界関係者

 サピオ.gif
SAPIO(サピオ)11月14日号
小学館 460円

 週刊ダイヤモンドに続き、新聞業界特集がまたぞろ発刊です。
 大新聞(新聞記者)への対抗意識を感じる構成になっていますが、ターゲットは新聞業界の関係者に絞られていると感じます。副題にある「ネット社会の進展とともに反比例で地盤沈下する新聞メディアの『現在』と『未来』を剥ぐ大新聞の『余命』」なんて、新聞を読まない人には関係ないことですし、新聞購読者でもピンとくる方は少ないと思います。

 内容はその筋で活躍している方々の寄稿で構成されていますが、かなりマンネリ感を抱いてしまう内容です。
 大きなお世話かもしれませんが、“大新聞の「余命」”を縮めよう派の寄稿もパワーアップしているようにも感じる反面、伸ばそう派の提言を聞き入れる耳を新聞業界が持たなければ(実行に移さなければ)ダメなんですが…。インターネット時代の到来で情報の送受信の仕組みが大きく変わったという現実を直視しないとダメなんですよ。


ラインナップ
【第4の権力】有力政治家に呼びかけ「福田首班」を決定した「メディア界のドン」密室談合の真相/歳川隆雄
【トーク・バトル】現役新聞記者覆面座談会 死んでも書けないブンヤ稼業の「栄光」と「恥部」
【ネット戦略】朝日・日経・読売が提携する「ANY連合」の真の狙いは「販売網再編」にあり/佐々木俊尚
【地盤沈下】「信頼度」調査で日経、読売に抜かれ3位に!“盟主”朝日新聞の「劣化」が止まらない/塩澤和宏
【試算】年間200億円!? 創価学会マネーにたかる新聞に公明党批判ができるのか/寺澤有
【錬金術】「世界一の発行部数」で販売・広告の巨利を得る「押し紙ビジネス」の終焉/黒薮哲哉
【政治広告】泡沫候補にまで「広告費」1000万円が血税から! 大新聞の本音は「選挙ほど美味しい商売はない」/武冨薫
【未来】共同取材、共同印刷、共同販売によるコストダウンでも避けられない「新聞業界大再編」の衝撃/河内孝
【CJR特別版】「アメリカに記者クラブがあったらブッシュは大喜びするだろう」/マイケル・ホイット
 


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2007年10月18日

業界内部の問題にどれだけの人が関心を持ってくれるだろうか?

  崩壊する新聞.JPG
崩壊する新聞 ―新聞狂時代の終わり―
著者 黒藪哲哉(花伝社)1,700

 最近では新聞販売関係者必見のサイト「新聞販黒書」を運営している著者が、前著の「新聞が危ない」に続く告発本の第2弾。

 著者とはじめてお会いしたのはもう9年ほど前だったと思うが、後にも先にも新聞販売業界の問題は何も改善されていない。読み終えての感想は、自らの(何も改善できなかった)反省と本書で指摘する問題点の改善を待たずして新聞産業が「終わり」を迎えてしまうのではないかということだ。インターネットの出現によって新聞(マスコミ)業界がどのような状況にあり、これまで声高に叫んできたジャーナリズムや媒体としての価値がどのように受け止められているのかを考察すると、まさしく副題にある「新聞狂時代の終わり」に近づいているのかもしれないのだ。

 著者はサワダオサム氏(全販労顧問)から新聞販売労働者の「心の叫び」を継承され、販売関係者への丹念な取材のもと新聞社と販売店の取引関係の改善を柱に業界内の問題点を本書や新聞販売黒書で指摘しているが、販売関係者ならば「誰でも知っていること」であり、「なぜ改善できないのか」という問題についてもっと踏み込んでもらいたかった。新聞販売店は配る商品(新聞)なしには存在し得ないのであって、著者の心の奥底にあるであろう(販売問題を含めた)新聞ジャーナリズムへの対立心には、腰を引いてしまう販売労働者の姿が目に浮かんでしまう。自分はそうではないと思いたいのだが…

 本書ではYC久留米文化センター前真村久三氏らが読売新聞社を相手取って起こした裁判の経過が記されている。この事件は販売店の連続改廃問題に対してYCの販売店主3人(真村氏含む)が福岡地裁に地位保全を求めて起こした裁判で、歴史的にも販売店が勝訴したはじめての裁判。今年6月の福岡高裁での控訴審では(控訴審も真村氏の勝訴)、読売新聞側の「押し紙」政策を認定する判決理由が述べられるなど時代の変化が感じられる。

 花伝社は全国の新聞販売店へ本書の宣伝ファックスを流していたようだが、業界以外の方に読んでもらいたいと思う反面、新聞業界の問題なんてどうだっていいじゃないか―という声が「新聞離れ」の方々から聞こえてきそうだ。いずれにしても、これまでの新聞業界のやり方(紙面も販売も)では衰退をしてしまうことだけは間違いない。新聞社の経営者も販売店の店主も意識を変えなければ…

posted by 今だけ委員長 at 01:43 | Comment(2) | TrackBack(1) | 書籍紹介

2007年09月15日

新聞業界が直面する多くの問題点をビジネス誌も特集

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日(火)に発売になる週刊ダイヤモンド(922日号)は「新聞没落」というテーマで、前途多難な新聞経営の実態や、大手紙のネット戦略など特集が組まれるようです。
 まだ発売前なのでどのような切り口で書かれているのか興味のあるところです。雑誌では週刊文春や週刊新潮がよく新聞業界の問題を取り上げていますが、ビジネス誌でも特集が組まれるほど業界内の問題や深刻な状況が表面化しているのでしょう。

 まずは、来週火曜日に購入して読んでみようと思います。

 目次週刊ダイヤモンド社HPより引用
【序章】
 業界襲う構造不況
2010年度本業赤字転落のシナリオに怯える朝日の焦燥
【第1章】
 新聞経営の瀬戸際
課題山積でも見つからない答え 繁栄モデルのツケに追われる“老高若低”の新聞閲読率 忍び寄る活字離れの危機通信部廃止、ビジネスアイ合体で組織再編に動いた産経の“賭け”日経と朝日に突きつけられた株主問題の大いなる憂鬱部数は健闘でもシェアは低下 地方紙を待ち受ける前途多難Column 日経、朝日が足並み揃えて打ち出した「高級化路線」の成否 Column ケータイやネットが市場侵食 スポーツ新聞が消える日
【第2章】
 宅配モデルの崩壊
訴訟続発! 違法行為が横行 知られざる新聞販売の闇Column 押し紙問題の元凶の1つ ABC部数調査の怠慢と欠陥
【第3章】
 ネット戦略の懊悩
“勝ち組3社”が提携しても描けぬ収益増のビジネスモデルColumn 囲い込み戦略で大手紙が競った無料会員制サイトの効果の疑問 Column 影響力限定でも専門性、効率性で勝負挑むネットメディアの強み 【第4章】
 新聞記者の生態
夜行性動物もビックリ! 24時間働き詰めの一部始終Diagram本誌が独断でプロファイリング 「これが新聞記者の生態だ!」
【第5章】
 米新聞業界の窮地
相次ぐリストラと身売り メディア先進国でも描けぬ展望Interviewマクラッチー最高経営責任者(CEO)●ゲーリー・プルイット Interviewコロンビア大学ビジネススクール教授●エリ・ノーム 
 
posted by 今だけ委員長 at 17:43 | Comment(0) | TrackBack(1) | 書籍紹介

2007年07月13日

新聞社の出版物って奥深いなぁ

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広告月報 7月号
発行:朝日新聞社 定価250円

 朝日新聞社がこのような「広告専門誌」を発行しているとは全く知りませんでした。朝日新聞社広告部門の会報のようなものなのかなぁと思っていましたが、すごく中身が充実していて広告業界の方は必見という感じです。新聞広告を軸にしたコンセプトなので素人の私でもすんなり読める内容です。電話で注文しサンプル誌を送ってもらいました。

 7月号の特集は「いま、メディアの営業に何が求められているか?」。著名人6名のインタビュー記事は、クライアントや代理店の立場から広告営業への要望が寄せられています。
 
新聞産業全般について、いろいろとご助言をいただいている森内豊四さんも登場しています。「新聞広告の新しい意義を発掘し、知的で創造的な営業に期待」という観点でインタビューに答えています。
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 森内さんは言います「新聞広告は、プロモーションではなくコミュニケーションであり、機能だけではなく一定の使命がある。そう理解して、新聞社本位のスペースの売り込みから脱却し、広告主の目線と読者の息遣いをよりどころに、広告営業がより知的で創造的な仕事になることを期待しています」と。
 さらに森内さんは、新聞営業の基本は「読者」であって、購読料を払って読む読者はその新聞への信頼の度合いが違う―と新聞社の責任は記事にも広告にも(当然、販売行為も)あるということを述べられています。

 「広告月報」は年間購読が基本だそうです。ぜひご一読を。
posted by 今だけ委員長 at 20:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍紹介

2007年06月24日

戦後新聞の歴史的スタート 日本新聞年鑑創刊号

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日本新聞年鑑(創刊号)
社団法人日本新聞協会 定価金100

 1947
7月に発足した日本新聞協会が、1010日に発行した創刊号。日本の新聞の歴史は戦中に日本軍の統治下にあり、真実が歪められてきた反省をもとに戦中の新聞界の総括を込めて綴られた1冊。新聞年鑑はその後、毎年発刊されているが、創刊号は「再出発」に向かう新聞界の葛藤1年間がまとめられている。
 新聞協会の生い立ちや倫理綱領が作られた背景、「新聞統制から新聞非常措置まで」「終戦から新聞共同機関の整備まで」「新聞の民主化」「民間情勢教育部」と続く。資料編も価値あるもので、新聞定価の変還では新聞の小売価格と卸売価格まで記載されている。昭和17年では定価1円20銭(卸81銭)であったのが、昭和21年には定価8円(卸5円20銭)と開きが大きくなっていく。
 当時の広告(手書きものが多い)もユーモアがあってオモシロイ。なかなか手にすることが出来ないかもしれないが。

創刊のことば(本文より引用)※出来るだけ記載されている文字を用いました
 我が新聞史中の極めて重要な部分であるから、しかもそれが正確に記録されていなかった関係から、本年鑑は数年を遡って「新聞統制」の史実から出発する。
 昭和11年の電聯合併に萠芽し(?)、15年の新聞聯盟に鬼あざみのような花を開き、172月の日本新聞会に刺だらけな実を結んだ「新聞統制」の跡を訪ねれば、民主主義、自由主義の旗手を以て任じて来た新聞が、如何に序を追うて、厭々ながら統制へと引きずられて来たか、一目瞭然たるものがある。剣がペンを踏みにじった悲惨な新聞史の全貌が、涙ぐむ新聞人の眼に大きく映ってくるであろう。
 昭和11年頃の日刊新聞紙は1千を超えていたが、聯合と電通の通信を契約していた新聞社は、朝鮮の18、台湾の5、樺太の1を加えて189社であるから、正常な新聞紙は200と見ればいい。それから通信社が一つになり、新聞社にも統合が行われ、昭和161月には141社となり、それが171月になって104社に減じ(新聞統制会会員社に指定された資格紙)、同年秋には55社にまで壓縮されたのである。新聞人が、いかに不本意に強制統合に服し、軍部の剣と政府の法律とに屈従を余儀なくされたかは、他に之を語るものがあろう。本年鑑はただ大史実の記録を残す為にこの點から出発したものである。
 終戦後今日までの化と、それに伴う現在の動きとは、編集印刷のスピードを遙かに越して進むので、新しい事実の記録には不十分な點が少なくない。それらは今後の年次出版で修正することにして読者の諒承を願う次第である。  
   昭和22723日 協会創立一周年記念の日
       日本新聞協会  理事長 伊藤正徳
 
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posted by 今だけ委員長 at 22:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍紹介

2007年06月11日

格差社会はごめんだ! 派遣労働者解雇事件のたたかい

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「ハケンの改革 次の一歩へ。跳べ1/3」
一橋出版=マイスタッフ争議支援共闘会議 頒価100

 格差社会はごめんだ!均等待遇と安心して働ける社会を目指し「派遣」労働者の解雇事件、一橋=マイスタッフ事件と伊予銀行事件を解決させよう!

 以前、このブログでも紹介をした「一橋出版=マイスタッフ争議」の支援共闘会議が、労働法制改悪への偏向とこれまでの争議の経過、非正規雇用労働者の権利・困った時のマニュアルなどをまとめた1冊。政官財によって、いまの格差社会が生まれた実態がとても分かりやすく解説されています。 失業者や有効求人倍率は改善したかのように見えても、自立して生活できない、将来の生活を見通すこともできない非正規雇用が増えています。それも、正規雇用者の削減を上回る数の非正規雇用が増えて、非正規雇用による正規代用代替が進んでいることをうかがわせます。働いても働いても自立して生きることのできないパート的低賃金は、女性の半数を占めるようになったパート労働に典型的でしたが、最近では若者たちのなかに拡大しています。そして、1986年に均等法制定・労働基準法の規制緩和とともに成立した労働者派遣法によって合法化された労働者派遣は、いまでは、製造現場はもちろん、建築、港湾運送、医療のような派遣が禁止された職場にまで広がっています。
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posted by 今だけ委員長 at 01:08 | Comment(0) | TrackBack(1) | 書籍紹介