2009年04月02日

新聞産業に危機感を持ち始めたころの本を読み返し

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新聞は生き残れるか
著者 中馬清福(岩波新書)735円


 新年度を迎え、久しぶりに書棚を整理していたら、中途半端に飛ばし読みをしたままの本がいくつか出てきました。

 この本も2003年4月が初版で、ここ数年の新聞没落ブームの前に新聞業界への警鐘を鳴らしたもの。内容はジャーナリズムにシフトした構成になっているものの、新聞が“生き抜く”ために必要なことが書かれてあり、とても参考になります。若者の新聞離れ、「表現の自由」絶対論の後退など編集系の方に読んでいただきたい内容がふんだんに取り上げられています。
 一方で、新聞の上から目線に対しても、鋭く言及しています。
「日本の新聞は旧武士階級が農耕商階級を教え諭す形で成長した教論型メディアだ、というのが私の考えだが、この教えを諭すスタイルの記事が、いま読者に強く嫌われている。もともと新聞が啓蒙的な物言いに走りやすいのは、自覚を呼びかける相手を本心では信用していないからではないのか」(以上引用)との著者の分析は、ほとんど納得できるものです。

 新聞人の常識がいつの間にか市民と離れていったのではなく、頼るものが新聞ではなくても済む時代になってきたいま、新聞は何をすれば生き残れるのか。興味深く読み返しができた一冊です。

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2009年03月18日

新聞ジャーナリズムの危機とは何か

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月刊『創』 4月号
創出版 600円


 月刊「創」は各メディアの特集を定期的に組んでいますが、今回は「新聞社の徹底研究」と題し、全国5紙の経営的側面を取材した記事が掲載されています。
 ▽朝日新聞社の進める「体質改善」
 ▽読売新聞が担う1千万部の重み
 ▽機構改革で再生めざす毎日新聞社
 ▽日経新聞社とクロスメディア戦略
 ▽産経新聞社が掲げる「構造改革」

 また、業界の重鎮、原寿雄氏(元共同通信編集主幹)、桂敬一氏(立正大学講師)、北村肇氏(週刊金曜日編集長)、豊秀一氏(新聞労連中央執行委員長)の四氏による座談会「新聞はこれからどこに活路を見出すべきか」の討論が13ページにわたって収録されています。
 小ブログでも昨年3月8日に発行された同特集について「もうテキストにならないオールドメディアの重鎮」という表題で取り上げさせていただきましたが、今回の切り口も新聞の理念としては重々承知しながら、現社会とのかい離を感じてしまいます。


 新聞ジャーナリズムというテーマで構成されていますが、ジャーナリズム活動は新聞だけの特権ではないはずです。雑誌ジャーナリズムだって、ネットジャーナリズムだってあるわけです。もちろんテレビジャーナリズムも…

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2009年03月02日

新聞記者の方に読んでもらいたい

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新聞販売の闇と戦う―販売店の逆襲―
著者 真村久三・江上武幸(花伝社)1,575円

 新聞社と販売店との取引契約は、よく片務契約などと言われます。もちろん契約書の内容も新聞社側が有利となる条項になっているわけですが、優越的地位の乱用に歯止めをかけるためには、司法にしか頼れるところがないというのもまた厳しい現実です。

 福岡で起きた「読売新聞押し紙裁判」、いわゆる真村裁判(YC広川店主の真村氏と読売新聞西部本社との裁判)は、業界人であればそのほとんどが耳にし、その結末を見守っていたはず。おととしの12月に読売側の上告が棄却されたというニュースを見たときに「まだ日本の司法はまともだ」と思ったほどです。しかし、その後の仕打ち(本書では村八分扱いされたと書かれています)は相当なもので、これが新聞社の(販売局)のやり方なのか、と憤りを感じます。
 この業界では、一度こじれた関係は修復できないのでしょう。なぜなら対等な取引関係になっていないからです。


 業界の暗部として存在する「押し紙」を指摘する著書は少なくありませんが、本書は販売店主の真村氏と弁護士の江上氏が実際に読売新聞西部本社を相手にたたかった7年間の足跡が克明に綴られています。巻末の資料編(判決文や訴状など)もとても参考になるものです。


 これは読売新聞だけの問題ではなく、業界全体の底辺に流れる産業構造の問題なのです。ぜひ、編集職場の方に読んでもらいたい、そして考えてもらいたい1冊です。2月18日初版発行。

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2009年02月28日

新たなビジネスモデル…探し続けてこの手の本を読みあさるも消化不良に

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新聞・TVが消える日
著者 猪熊健夫(集英社新書)735円

 「あまり大したこと書いてないな」と勤務先の社長が評していたのですが、借りて読んでみたところと、やはり消化不良かなぁという感想を持ちました。
 うわっけらの取材というか、多くの文献から引用したものに自らの考察を加えたものなので、自身の体験から問題点を提起されて解決へのヒントを提示してくれるというものではありません。
 著者は新聞社出身ですが「映像ビジネス」が専門ということで、テレビ関係の方は詳しく書かれていると思いますが…


 第2章の「巨大サイトへのニュース提供が禍根を残した」のところで、「紙」離れの原因をポータルサイトへのニュース提供であると断言し、結果的に広告収入もを横取りされていると指摘しています。
 ヤフーやグーグルのポータルサイトにニュース記事を配信しなければ、新聞の部数が伸びるのかというと大いに疑問があるところですが… 大手ポータルサイトとの提携(記事提供)をすると自社サイトへの誘導が効果的であるという調査結果も出ています。
新聞サイト利用者数は「毎日.jp」首位、一人当たり平均PVは「NIKKEI NET」(マイコミジャーナル)
 インターネット利用者動向調査会社のネットレイティングスが、インターネット利用動向調査「NetView」の2009年1月データの集計結果を公表。新聞社が運営するニュースサイトの利用者数では、「毎日.jp」が首位。2位はマイクロソフトと産経新聞社が共同提供する「MSN産経ニュース」。3位は産経新聞社のニュースサイト「イザ!」4位は「YOMIURI ONLINE」、5位は「NIKKEI NET」、6位が「asahi.com」という結果だそうです。
 ネットレイティングスによると「ポータルサイトとの共同提供であるMSN産経ニュースはもちろんのこと、毎日.jpやイザ! は、他社運営のポータルサイトの集客力を自社サイトに誘導した結果」と分析。新聞でヤフーと提携していないのは朝日、日経、共同通信で、グーグルと提携していないのは共同通信のみ。毎日と読売は双方のポータルサイトと提携しています。
 そう考えると、「毎日.jp」のファンが多いから日々「毎日.jp」を“お気に入り”に登録しているのではなく、ヤフーサイトを経由して、そのニュースの詳細を「毎日.jp」へ確認にくるため、複数のそれも巨大ポータルサイトと提携する方が利用者が増えているというのが現状です。

 著者は大手ポータルサイトとの提携は「利」を持っていかれるだけでなく、新聞離れを加速されるだけだとし、このような状況をすでに米新聞界と全く同じであると結論付けています。

【追記】
▽150周年を迎える老舗新聞“Rocky Mountain”も廃刊決定
http://zen.seesaa.net/article/114882795.html
▽サンフランシスコ最大の新聞“SF Chronicle”も存亡の危機に
http://zen.seesaa.net/article/114794454.html

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2009年02月26日

新聞が21世紀に生き残るには、自らを正して読者の側に立つこと

新聞があぶない.jpg
新聞があぶない
著者 本郷美則(文春新書)725円


 この書を購入(2000年12月)した理由は、当時、再販問題で揺れていた状況の中で、いろいろな書籍を読みあさった時でした。最近、その当時の関連書籍を棚から引っ張り出して整理しているのですが、読み返してみると20世紀(9年前)のうちに再販問題だけではなく、ネットの進出による「情報ビックバン」についてかなり踏み込んだ内容だと感じたのでレビューしておきます。

 著者は朝日新聞社で本部ニューメディア副本部長などを歴任されたで、この本を書かれた当時はフリージャーナリストの肩書。かの有名な「ドラッジ・レポートが新聞をはじめとしたマスメディアへ叩きつけた挑戦状のリポート(第1章)から、新聞の信頼度調査(第2章)、インターネット時代の既存メディア(第3章)、新聞社への優遇措置と記者クラブ(第4章)、宅配制度と再販制度(第5章)、新聞社経営と販売店経営(第6章)、新聞の未来(終章)という構成。特に再販制度については問答集も記載されていて、その当時はすごく役立ちました。もうすぐしたらまた手元に置く機会が増えるのかもしれません。
 販売問題については、部数第一主義の販売政策の弊害として「紙面や読者の質ではなく、部数ばかりを競えば、セット割れや紙面の質、そして読者の質の低下は当然だった」という販売店主の言葉を引用し、再販制度が廃止した場合、部数は半減するかもしれないと述べています。
 広告の問題に関しては「読者は新聞社の編集権でろ過された情報に対して購読料を払っているのであって、広告には金を払っていない」という考えから、「読者の利益を損なうおそれのある広告に対しては掲載を拒否して当然だが…(いまの売り上げありきの状況を見て)二重人格的な新聞を読者が信頼するわけがない」とも力説されています。

 著者が主張したいことは、商業ジャーナリズムに陥ることなく読者に側に立った新聞本来の役割を…というもので、「外部の批判を謙虚に受け止めて自らを正し、社会的な使命に頑固に忠実であってもらいたい。それこそが新聞が新しい世紀に生き延びる道だろう」と本文を結んでいます。


 いま新聞産業も生き残り論に拍車がかかっています。産業全体で展望を開こうとはせずに、自社だけが生き残ればよいという方向へ向かっているように感じます。それぞれの新聞社では、なりふり構わない経費削減に乗り出し、新聞を発行するという原点を忘れているのかもしれません。確かに自分の生活を守るために新聞社(販売店)で働いているわけですが、“木を見て森を見ず”そんな空気が業界内に立ちこもっている気がします。
 15年、20年後の社会を創造したいものです。そこまでの余裕はないのかもしれませんが…

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2009年02月20日

電通鬼十則と新聞販売日訓

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電通「鬼十則」
著者 植田正也(PHP文庫)520円

 世界最大の広告会社「電通」の4代目社長吉田秀雄氏が定めた「電通鬼十則」。"これで"やってきた企業は、これからも"これで"やっていくのでしょう…

1. 仕事は自ら創るべきで、与えられるべきでない。
2. 仕事とは、先手先手と働き掛けていくことで、受け身でやるものではない。
3. 大きな仕事と取り組め、小さな仕事はおのれを小さくする。
4. 難しい仕事を狙え、そしてこれを成し遂げるところに進歩がある。
5. 取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは……。
6. 周囲を引きずり回せ、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきができる。
7. 計画を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。
8. 自信を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚味すらがない。
9. 頭は常に全回転、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはそのようなものだ。
10. 摩擦を怖れるな、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと君は卑屈未練になる。


 新聞販売店にも「販売日訓」なるものがあるんです。それぞれ系統ごとに違いがありますが、電通の鬼十則と同じ1940年代に作られたものが多いようです。

   1日 集金も拡張も足が武器
   2日 日課をたててその日に果たせ
   3日 増やす前にまず減らすな
   4日 服装は清潔、言葉はていねい
   5日 親切と根気が第一の拡材 

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2009年02月08日

ジャーナリズムって何?記者クラブという温室は新聞をつまらなくする

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新聞が面白くない理由
著者 岩瀬達哉(講談社)1,800円

 新聞は読者が知りたいことだけを伝えるのではなく、新聞社が伝えたい(考えてほしい)ことが盛りだくさん詰まっていて、オモシロイものだと自分では思っているのですが、最近、多くの方と接していて言われるのは「最近の紙面はどこも同じようなことばかりで面白くない…」と意見されることが増えたような気がします。

 自宅で購読している某紙では、市長の使途不明なタクシーチケット使用をスクープし、市民の関心を呼びました。結果的に市長が3年間に使用したタクシー代金221万円を返納するというところまで追及し、小生などはワクワクしながら続報を待ちました。
 やっぱり新聞はそういう役割を担ってもらいたいわけで、読者の期待もそういうところにあるし、ジャーナリズムという難しい言葉でひと括りにしないで、「読者の知る権利」を担っていると自負するなら、もっと踏み込んだ取材をして市民に問題を提起してほしい…そうすると新聞は面白くなるのだと思います。


 さて、本書は記者クラブ問題の弊害を軸に官公庁と新聞(記者クラブ)の緊張関係が薄れ、一体感を担保に情報のやり取りがされている状況を指摘。「読者の知る権利」への使命よりも官公庁との関係強化を優先させていると述べています。「そんなことはない」とクラブ張り付けの記者の方からは反論がありそうですが・・・。
 また著者は記者レベルの低下にも触れ、記者クラブでは役人と記者のなれ合いばかりではなく、記者も発表ものに頼り、クラブ内の記者同士でメモのすり合わせをしたりすることで、記者全体のレベルが下がっている―と警笛を鳴らしています。
 北海道新聞、高知新聞、愛媛新聞が、警察の裏金報道は記憶に新しいのですが、役人の痛いところを突くとその報復(情報をくれない)は相当なものだと伺いました。でもそれに屈するようでは、やっぱり新聞は面白くなくなるわけです。

 巻末の資料には全国の記者クラブ一覧が掲載されています。無償で支給されている備品や想定される部屋の賃料、電話代などの試算も記されていて、厚生労働省だけでも年間1億程度の便宜供与を受けていることになります。いわゆる「官・マスコミ接待」。このあたりのなれ合いも正してほしいものです。だって税金でしょう…

 この本が発行されたのがちょうど10年前。いまは上杉隆氏が記者クラブを問題視する急先鋒ですが、上杉氏は「アメリカの新聞記者では考えられないこと。これではジャーナリズムとは言えない」とマスコミ批判をしています。権力を監視する意味で記者クラブが官公庁の内部に入り込むことは放棄してはならないと思いますが、距離感を間違えてしまうと役人や政治家に取り込まれて機能不全になるだけです。


 新聞がもっと面白くなるように記者の方々には頑張っていただきたいと思います。発表ものの垂れ流しであれば、私でも記者になれるわけですから…

【追記】
 ジャーナリストの育成に向けて、このような取り組みも始まっています。

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「スイッチオン」プロジェクトは、各種マスメディアで活躍するプロが組織の枠を超えて協力。大学生記者と共に取材を行い、記事を制作するという実践的かつ実験的なプロジェクトです。
http://blog.goo.ne.jp/321switchon

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2009年02月07日

時効になっても忘れない 朝日新聞阪神支局襲撃事件

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赤報隊の秘密―朝日新聞連続襲撃事件の真相―
著者 鈴木邦男(鹿砦社)1,500円

 週刊新潮が先週号から「私は朝日新聞阪神支局を襲撃した」という特集を組み、実行犯(自称)から取材したという記事を伝えています。しかし、朝日新聞社は自称実行犯と接触した事実を踏まえて、その信憑性について疑問視しており、「連載が終了した時点で検討する」(名誉毀損で訴えるのか)としていますが、その真相は…

 本書は復刻新版(1999年の発行)ですが、初版は朝日新聞社への襲撃事件(犯行声明が出された)が始まってから3年後の1990年。当時、鈴木氏が一連の朝日新聞襲撃事件を朝日ジャーナルに連載していたものも収録されています。
 著書の鈴木邦男氏は産経新聞を退社後、政治団体(俗に言う右翼です)一水会の代表を務め、よく深夜番組のコメンテーターとして出演していますが、同書発行後に同氏や故野村秋介氏が赤報隊に関連しているとして容疑者扱いをされたことなども紹介されています。
 朝日新聞阪神支局の銃撃事件の真相を知りたくて以前に購入したのですが、一連の朝日新聞社(東京本社、阪神支局、名古屋本社社員寮、静岡支局)やリクルート前会長の江副氏などへの襲撃や爆弾設置事件を年表式(犯行声明)にまとめ、赤報隊とはどのような組織なのかを著者が考察する構成になっています。

 赤報隊事件(警察庁指定116号事件)は6年前に時効を迎えましたが、決して忘れることはありません。言論機関を暴力で封じ込めようとする行為は絶対に許されないことです。

【追記】
週刊新潮「本社襲撃犯」手記 「真実性なし」本社判断(朝日新聞2月23日付)
 「あらたにす編集局から」を引用。
 朝日新聞阪神支局襲撃事件をめぐる週刊新潮の「実行犯手記」について、「事実と異なる点が数多く含まれ、真実性はない」とする私たちの検証記事を掲載しました。「事実に基づかない記事は被害者の名誉を傷つけ、遺族の思いを踏みにじった」。事件の取材班の言葉です。
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2009年01月26日

新聞没落の次は「新聞陥落」だそうです

 東洋.jpg
週刊東洋経済
/31
東洋経済新報社 670

 週刊誌が取り上げるこの手の特集はもう飽きましたね。これまでなら「どれどれ取りあえず買ってみよう」となったのですが、今回は立ち読みで済ませました()

 「また広告の落ち込みが著しいとか、全国紙の094月決算は最悪だろう」という内容の記事が羅列してあるのかと思いきや(ほぼそんな内容ですが)、テレビ周辺は新規ビジネスの宝庫だと見通しを立てる同誌編集部。20117月から開始される(無理かもしれませんが…)地上デジタル化後に空く電波の再割り当てによって、マルチメディア放送に積極的に取り組むことを提言しています。
 新聞社にも取材結果を紙だけではなく、ネット、データ放送、携帯電話などに提供する「コンテンツ・プロバイダー」へ転換することを模索すべき、ともあります。

 確かに新しい環境に適合しないと、ますます生活者から見放されていくわけで…何とかしないと思っている若手新聞人も、10年先を予見できない経営者とのギャップに嫌気がさしているのも事実。ハーバードビジネススクール教授のクレイトン・クリステンゼンが1997年に出版した「イノベーションのジレンマ」で説いた破壊的イノベーションのように、いまは儲からなくてもネットへの研究、事業展開をしていかなければグーグルよりも高度なソリューションを提供する新興企業に持っていかれてしまうと感じています。
 世の中の動きに「必ず」という言葉はありませんが、「頼みのネットも稼げない」から“紙だけでいく”という選択肢は止めなければならないと感じています。


 特集には産経新聞が来月から勤続10年を超える40歳以上の社員に対して希望退職を募り、割増退職金が基準内賃金の55カ月分という破格値であることから応募が殺到するであろうという記事や、毎日と産経の業務提携についても(目新しくはない)紙面を割いて紹介されています。
 日経が2期連続の大幅減益で赤字転落の危機という記事もあります。まぁ赤字でもキャッシュを流出させなければ経営は持つわけで、赤字決算というイメージ的なリスクよりも粉飾をして無理に黒字にしようとすることの方が経営的なダメージが大きいはずです。今年春に竣工する新社屋のうち、3フロアを三井物産に貸し出すことなどは、しっかり取材をしている証拠なのかも…


 あとは、新聞特集のレギュラー陣の寄稿で構成されていて、池田信夫氏の「新聞・テレビ没落で始まるローコストメディアの時代」と河内孝氏が「老老介護は限界 現実的なシナリオは通信を軸とした再編」(メディアコングロマリットの持論で)を展開されています。
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2009年01月18日

読者から支持・応援される新聞 新聞再生の息吹をあげるのは地方紙からか

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新聞再生―コミィニティからの挑戦―
著者 畑仲哲雄(平凡社新書)760円

 共同通信社に勤めながら、社会人学生としてマスメディア・ジャーナリズムを研究してきた著者が3つのテーマを示しながら新聞産業が抱えている問題を解明し、地方紙の可能性を探った1冊です。
 著者とは数年前の会合でお会いして以来、知人の知人つながりで、本の内容はさておき、まず買って読んでみたのですが“スッキリ”させられる内容です。おススメ!

 第1章では旧鹿児島新報社のOBらが、会社倒産後にNPO組織として再スタートを切った事例が紹介されています。第2章は神奈川新聞が展開するブログ「カナロコ」の立ち上げから現在に至るまでの道のりを。第3章は2005年に創刊し、わずか5カ月で休刊を余儀なくされた「みんなの滋賀新聞」の創刊時のコンセプトなど、丹念な取材のもとに各事例の真実がつづられています。

 3つの事例とも資本力もない小さな新聞社で起きた(取り組まれた)ことで、新聞業界という大きなくくり方からすれば、大きな関心ごとではない(失礼ですが)ことなのかもしれません。しかし、この3者の取り組みを今の新聞産業界が自分たちのこととして考えなければならない問題のように思えます。読者から支持され、応援される新聞。これこそ新聞なのだと思います。
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2009年01月17日

切込隊長がネット社会の無料文化の終焉を予測

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情報革命バブルの崩壊
著者 山本一郎(文春新書)720円

 年末から正月にかけてまとめ読みをした書籍の紹介が滞っているので、簡略ながらアップしておきます。

 おととしの週刊ダイヤモンドが組んだ特集「新聞没落」や元毎日新聞の河内孝氏の「新聞社 破綻したビジネスモデル」以降、雑誌やネット界隈ではマスコミ批判(苦言として)はひとつの大ブームでした。元新聞社員とかネットジャーナリストという冠をひっさげて、新聞のジャーナリズム性やビジネスモデルに関する批評をされる方の多くが、ネット社会の浸透によって厳し状況(日本の新聞社も結構キツイですが)にさらされている米国の新聞社を例になぞる視座も結構多かったように思いましたが…

 そんななか、昨年11月に発刊されたこの書籍は、ネットの「無料文化」を支えてきた“ネットは儲かる”といった神話や期待は泡のように崩れ去ったと主張し、ネット広告の媒体価値とは所詮バブルに過ぎないと切り込んでいます。なかでも第1章の「本当に、新聞はネットに読者を奪われたのか?」では、新聞は読まれなくとも新聞記事は(ネットで)読まれているという分析に加えて
、読者の顔を知らない新聞社のマーケティング不足を指摘。さらに「新聞の強さ」をどう発揮しているべきかなど持論を展開されています。この章の最後には「無料モデルは終わる」と締めくくり、情報通信産業もバブルだったと結論づけています。新聞業界もだいぶ踊らされたのかもしれません。

 「新聞関係者は構造不況業種であることを認めたがらない」という著者。確かに構造的な問題を抱えながら、販売、広告の二大収入の減少傾向を前にたじろいでいる(全体として)ように見えなくもありません。ですが、構造不況と簡単に片付けるのではなく、時代の変化に対応できなかった新聞人自身の人災であるようにも思えてなりません。

 産業を支えるための商行為は必然ですが、儲け話だけで新聞人はなびいちゃいけないのだと思います。
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2008年12月15日

新聞社と販売店の契約内容は売買or委任 

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新聞販売のひとり言
著者 村上錦吉(自費出版)非売品

 ジャーナリスト新聞で紹介されていて「自費出版なので問い合わせすれば送料のみで」ということで送ってもらいました。
 前著の「新聞販売を考える」(ジャーナリスト協会)では、新聞社と販売店の取引関係が「売買契約」か「販売委任契約」によって、独禁法(再販制度)における解釈は大きく変わるという指摘がとても印象く読ませていただきました。
が、今著はあまりにも思想じみていて、最後までページをめくるのに難義しました(100頁なのですが)。

 著者は毎日新聞大阪本社の販売局長をされた方で、退職後も大学で法律を教えた社会学博士。自身が毎日の販売局長時代に作り上げた販売店との契約書の素晴らしさを唱え、新聞の使命が重大だと謳歌するのはよいのですが、選挙で投票しない生活者を「愚民」と呼び、販売店を折込収入の不労取得に安住し拡張努力が為されていないと言い切るあたりは、俗にいう「裸の王様」の新聞経営者と同じ部類なのだろうという印象を持ちます。
 ただ、指摘していることは荒削りながら的を得ているところもあるので(“ひとり言”つながりでもあるし…)、当ブログで紹介しました。


 各新聞社の販売店との契約内容に関する資料(19社)も掲載されていますが、1979年当時のものを引用しているにとどまっています。このあたりの調査をしっかりやれば公取委や経済学者が指摘する「独禁法上の適用除外」の理屈について、これまでの議論とは異なった展開ができるのかもしれないのですが…
 
 さんざん言いたい放題の内容ですが、著者のまとめはこうです「新聞界の最大の課題であり、宿あは残紙、死紙である。押紙であれ包紙であれ、いずれも広告主への欺瞞、資源の全き廃棄という犯罪である。解決方法は唯一、中央大手社の性急な第一位主義の廃絶である。麻薬的折込広告に毒された販売力の劣化、配達店から販売店への商人道回帰を。未読者ではなく不購読者、非購読者を如何にして新聞を購読さすか以外に業界生存の道はない」。
 うぅ〜ん。毎日新聞OBの元気のよさはわかりますが…

 

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2008年12月02日

新聞ネタの特集を組むと売れまくる週刊誌

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週刊ダイヤモンド(2008年12月6日号)
株式会社ダイヤモンド社(690円)

 真山仁氏の「ザ・メディア」の連載が続いている週刊ダイヤモンド最新特大号で、新聞・テレビ複合不況という特集を組んでいます。
 週刊ダイヤモンドは昨年9月22日号で「新聞没落」の特集を組み、バカ売れしたと聞きます。おそらく新聞業界の関係者が買いあさったのでしょう。今年に入ってからも東洋経済(4月12日号)、小学館のSAPIO(11月12日号)で、新聞やジャーナリズムの崩壊というシナリオで特集を組んでますが、売れたのかなぁ…

 今回のダイヤモンドには新聞社とテレビ局が業務提携もしくはグループ合併によるメディアコングロマリットという切り口で、広告不振にあえぐマスメディアが生き残りのためにさまざまなメディアとの統合を進めているとしていますが、その真相はわかりません。どこまで裏を取って記事にしているのかわかりませんが、銀行でも(新聞社と銀行は違うと怒られそうですが)儲かっている時は別会社(部門)を増やし、経営が厳しくなると合併、統合を続けるもの。新聞も題字は変わらずとも、株主として別会社からの出向を迎えている会社もあるものです。銀行が経営に入り込んでくるよりはそのほうがマシだということでしょう。

 押し紙問題についても取り上げています。産経新聞が押し紙を切るという政策に転じたというもので、経営状況はひっ迫しているために押し紙を逆に切らざるを得ないという解説。もしそれが本当だとしても他の新聞社に波及する可能性はゼロのような気がします。その理由は同書でも触れていますが「火の粉をかぶってでも、自ら改革に動くべきか、座して死を待つべきか、新聞各社には二つの選択肢しか残されていない」のに加えて、それすらも怖くて考えたくないというのが新聞経営者の本音のように思えてなりません。
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2008年11月16日

根っからの新聞販売労働者サワダオサム

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わが上林暁―上林暁との対話―
著者 サワダオサム(京都三月書房)2,250円


 比叡山の山肌も紅葉で色づきはじめた滋賀県大津市で今月9日、「新聞の現在を考える集い」が行われました。このシンポジウムは、販売店労働者の立場から新聞業界が抱える問題に取り組んできた沢田治氏(73歳)が「わが上林暁」を出版した記念イベントとして開かれたもので、上林暁(小説家)の研究者や新聞社と係争中の新聞販売労働者、弁護士など約40名が集いました。今だけ委員長も参加してきました。

 沢田治氏は1979年に滋賀県新聞販売労働組合を結成。その後、全国新聞販売労働組合協議会(略称、全販労)の副議長、事務局長を歴任。おととし、脳梗塞で倒れたもののリハビリを続け、目覚ましい回復で現役時と変わらない活動を続けています。
 今回出版された「わが上林暁」は、個人誌「壁(かべ)」の連載をまとめたもので、新聞販売問題とは直接関係のないテーマですが「一冊の本(作家)との出会いが人生を大きく変える」との本編書き出しにあるように、上林暁の作品が沢田氏の新聞販売労働運動へどのように影響したのかを残そうと、毎日新聞労組OBらが実行委員会を構成し、出版されました。


 シンポジウムでは、沢田氏と縁の深い方々が祝辞を述べたあと、上林暁作品を研究している萩原勇氏(教諭)の講演「兄の左手 上林暁と妹睦子さんのこと」や「メディアの敗北―西山事件と毎日新聞」という硬派なテーマについてディスカッションが持たれました。
 サワダオサム熱烈予約運動実行委員会の実行委を務めた大住広人氏(元毎日労組委員長)は、「新聞業界にとってサワダオサムのような人間は欠かせない存在だ。新聞記者は見えない相手におびえながら、ネタを孫引きし読みと当たりを繰り返すが、サワダオサムは原点主義を貫いてきた男」と評しました。

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2008年10月31日

マーケティングプラットフォームが確立する前に新聞は何を準備しておくべきか

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次世代マーケティングプラットフォーム―広告とマスメディアの地位を奪うもの―
著者 湯川鶴章(ソフトバンククリエイティブ)1,600円


 時事通信社編集委員の湯川さんが「自身のメディアの未来探求はこれで終わりにしたい。この本を総括としたい」と言い切る気合の入った1冊。
 湯川さんとは2004年に新聞労連の会合でお会いしてから、4回ほど講演を聞いたし、酒を飲みながら話す機会もありました。常にメディアと広告とウェブの未来を探究されて、歯に衣着せぬ話しぶりに「こんな上司がいたらなぁ」と思ったものです。

 湯川さんがなぜ本業の新聞業界のこと以上に広告やウェブに関する著作が多いのか?そこを理解しないとそれぞれのメディアが抱える産業問題というものを議論する土俵にはあがれないと思います。なぜならマスメディア(新聞でいえばジャーナリズムか)を資金的に支えているのは広告ビジネスなのだから。

 まず本書を読んでみては?と思いますが、新聞販売労働者の私が見入ったのは既存のマスメディアが失ってしまった「三河屋さん的サービス」。それがしつこく(笑)書かれていて、テクノロジー企業には総量で足元にも及ばないだろうが「アナログの強さ」というか、新聞販売店は町の三河屋さんに徹するべきだと再認識したし、新聞産業は持ち合わせている手足を使いきれていないと感じました。

 メディア企業(特に新聞だと思って読みました)は今後どう進むべきかという提言されています。
(ここから引用)…表現好きの人間が多く残っているからこそ、メディアや広告企業は、時代の波になかなか乗れないのだと思う。競争のルールが、表現力の個人戦からテクノロジーを使った団体戦に変化しようとする中で、最後の最後まで個人戦にこだわっていたい人間をたくさん抱えているのだから身動きが取れないわけだ。こうしたことからも、時代を変えるのは業界の中核にいる老舗企業ではなく、周辺領域に登場した新興企業になるのは、歴史の必然なのかもしれない。…表現を核にした仕事を続けたいのなら、これから来るであろう不透明な時代を生き抜くしかない…(引用終わり)

 また、新聞労連の産業政策研究会にも湯川さんからこんなメールもいただきました。「別にみなさんは最新の広告トレンドを知る必要もないし、デジタルサイネージなんて詳しく知る必要もありません。マーケティングプラットフォームが確立する前にどういうメディア、コミュニティを作って準備しておくべきかを考えることが最優先課題だと思います(イイところだけ抜粋しました)」と…


 いまamazonで注文しても1カ月待ちの状況ですが、「電通vsGoogle」という発想とは別次元のメディア、広告、ウェブの方向性をイメージできると思います。

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2008年10月29日

消費者が変わった 広告も変わらないと

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明日の広告―変化した消費者とコミュニケーションを取る方法―
著者 佐藤尚之(アスキー新書)743円

 今年4月から、これまでの営業企画部門から管理(財務)部門へ異動して半年経ちました。財務管理による企業マネジメントの重要性についても徐々にではありますが理解を深めています。
 デスクワークばかりしていると「生活者感覚」「市場の反応」からズレてしまうのではないかと、しきりに地域で開催されるイベントへ顔を出し「生活者」の声を拾うようにしています。部門に関係なく「消費者本位」の発想を持ち続けることが新聞販売業のみならず企業活動には欠くことのできないことですよね。

 最近購入した書籍を並べてみるとマーケティングや広告に関連するものばかり。このブログでもいろいろ紹介していきたいと思っていますが、今回はイチオシの「明日の広告」についての感想を。


 本書は今年1月に発行され、多くの広告・メディア関係の方が読まれたと思います。4大マスメディア広告費が前年比を割り、かなりネガティブな雰囲気にある広告・メディア業界にあって、電通に勤務する佐藤尚之氏がポジティブに「消費者へのラブレター」というキーワードを使って、消費者の変化に対応する具体的手法について書かれています。メディア・ニュートラルな時代に「わかっているつもり」が一番怖いと指摘する佐藤氏。そうそう業績が伸びない時などよく言われますね「初心に帰れ!」とか。創業時の精神とかは必要でしょうけど、以前と同じこと(初心に帰ればという感覚)をしていれば業績は伸びるはずと顧客のニーズを決めつけて発想するお偉いさんって少なくありません。「わかっているつもり」で営業戦略を立てると成果が表れないばかりではなく、逆にターゲットから嫌われる時代なのです。

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2008年09月27日

ブログはいろいろなところで引用される…個人発信でもメディアの域にあることを実感

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ブログ論壇の誕生
著者 佐々木俊尚(文芸新書)760円

 今月20日に初版発行されたネット関係に詳しいジャーナリスト佐々木俊尚氏の作品。もう何作目になるのだろう?発行頻度が早すぎてすべて読み切れていませんが、ネット空間の現状(ブロゴスフィア)とかロスジェネ世代の視点を解説してくれるという点で参考にしています。

 実はある方からのメールで「佐々木さんの新刊に“今だけ委員長”のブログが引用されていましたね」とお知らせいただいたので、「えっ!聞いてないよ〜」と半信半疑ながら確認の意味も含めて購入。
 そうしたら第2章「ブログ論壇は政治を動かす」の初っ端『自民党の広報戦略か』(106n)のところで、2007年6月5日に書いた(日記のカテゴリ)「ブログも世論操作に使われている」が引用されています。


 内容は「消えた年金問題」などで当時の安倍内閣が窮地に追い込まれている局面を擁護する全く同じ内容のブログ(ブログ運営者だけが違う)が、98もあったということを指摘したもの。それに対して政治評論家の勝谷誠彦氏が自身のメールマガジン(有料)で取り上げたようですが、佐々木氏が「誰がどのような目的で多くのブログにアップロードしたのかは、判明していない」としながら、いくつかの問題点を解説しています。
 このブログのテーマとは全く違うところを引用されてしまったので、意表をつかれてしまいましたが・・・


 読み終えての感想は「まぁそうだよなぁ」というところ。佐々木氏が見据えるネットの将来というか重宝なところと問題点については、考えが近いのかなぁとういう気がします。特別付録の「佐々木俊尚が選んだ著名ブロガーリスト(171)」も私がRSSリーダーをつけているブログとダブっているものが多くありました(このブログは当然リストに入っていませんが…)。
 ということは、世界最大数のブログ利用者868万人(総務省発表:2006年3月末)といわれている日本で、「友人同士の日記交換」のようなブログではなく、「論壇」として位置づけされ、読まれているブログは、実は数少ないということなのかもしれませんね。

posted by 今だけ委員長 at 09:25 | Comment(0) | TrackBack(1) | 書籍紹介

2008年09月20日

新聞社のブラックボックスが一発で理解できるマンガ

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ミナミの帝王 94巻
原作 天王寺 大(日本文芸社)552円

 ミナミの帝王といえば大阪の闇金・萬田銀次郎が悪党どもを成敗する物語。Vシネマでは竹内力が主演をしてシリーズ化されています。
 ミナミの帝王は週刊漫画ゴラクに連載されていますが、新聞販売店の実情を取り上げた「幻想新聞」(計7話)が単行本になりました。


 マンガとはいえ「押し紙問題」というテーマをどのように描かれるのか興味津々にページをめくると、思った以上に新聞販売のからくりが描写されています。それも実態に即して正確に!
 新聞業界のブラックボックスと言われる販売問題について、面倒な説明をするよりもこれを読めば一発で理解できると思います。


 著者の天王寺氏がこのようなネタを誰から取材したのか興味のあるところですが、最後の結びで主人公の萬田がこう述べています。

 全国には数多くの新聞販売店がある。おそらくほとんどの販売店が「押し紙」に苦しんでいることでっしゃろ。それらの販売店が一致団結して新聞社を告訴したらどないでんねやッ!
 一日の推定押し紙部数1500万部。「限りある資源を大切にしよう」ある新聞社の張っていた自然保護キャンペーンが空しく響きますわ…


 近年、販売店による新聞社を相手取った「押し紙訴訟」が多発しています。持ちつ持たれつの業界構造にしっかりはめ込まれている「押し紙」問題は、整理してもまたぞろ沸き起こるゾンビのようなもの。このような商習慣の根本的解決は新聞社が営利企業をやめる以外にないのかもしれません。
 内輪でゴタゴタしている間に新聞産業が崩壊しないように、そして読者から見捨てられないようにしなければいけませんねぇ。

posted by 今だけ委員長 at 23:04 | Comment(2) | TrackBack(1) | 書籍紹介

2008年08月11日

朝日新聞の連載「新聞と戦争」をまとめた1冊

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新聞と戦争
著者 朝日新聞「新聞と戦争」取材班(朝日新聞出版)2,300円


 きっかけは、一通の投書だった―との書き出しではじまるこの本をやっと読み終えた。
 朝日新聞夕刊(週5回)に2007年4月から1年間連載された「新聞と戦争」をまとめたもの。新聞に連載されていただけあって、1話ごとの文章量が程好くよく読みやすい。


 24章からなる分厚いページは、「なぜ新聞は戦争を止められず、逆に戦争協力の深みにはまっていったのか。過去の負の歴史に真っ正面から向き合いきちんと検証してほしい」との命を受けた朝日新聞社の記者(プロジェクトB)18名が執筆。

 13章には「販売の前線」として、関東大震災から終戦直後の販売事情が報告されている。当時、新潟県長岡地区にあった「速報社」という販売店の話では、「新聞どころか紙そのもの足りず、2部、3部と買い求めようとする人に“新聞はちり紙ではない”と1部しか売らなかった」という話が紹介されている。今を考えると販売従業員の心意気というかプライドもずいぶんと変わったものだ。私はこれまで「新聞少年」は各戸配達にかかる経費を安価に抑えるために活用されたと思っていたが、大人が戦地へ召集されて頼る労働力は少年しかいなかったという事実も理解できた。
 敗戦後も新聞は販売店従業員の手によって休むことなく配り続けられた。


 一通の投書は「私は小さな頃、祖父が口癖のように言っていたのを思い出します。朝日の論調が変わったら気をつけろ、と」という内容で、この投書が新聞社が触れたがらない「戦争」というテーマに1年にも渡る長期連載に結び付いたのだろう。

 8月15日を前にじっくり読んでいただきたい本だ。


        ◇        ◇        ◇

日本新聞労働組合連合が「しんけん平和新聞第4号」を発行
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 問い合わせは新聞労連まで。

posted by 今だけ委員長 at 23:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍紹介

2008年08月03日

新聞配達は夢追う苦労人を支えてきた立派な仕事

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赤めだか
著者 立川談春(扶桑社)1,400円

 私は通勤時にipodで音楽ではなく「落語」を聴いている。
 もともと立川談志の現代落語が好きでCDを購入していたが、最近ハマっているのが談志の弟子 立川談春。
 彼の半生を綴った自伝がこの「赤めだか」。赤めだかとは談志の自宅で飼っている金魚のことだが、いくら餌をやっても大きくならない金魚に自分をダブらせて「しょせんメダカのように大きくなれない」という挫折感を引用したもの。

 談春が談志に弟子入りしたのは17歳。高校を中退し、親からも半ば勘当状態で談志の前座となるが、彼の生活を支えたのは新聞配達だった。住み込みで毎朝夕186部の配達をこなす。朝は3時に起床し折込チラシの組み込みと配達を終えて販売所へ戻るのが8時。販売店が用意してくれる朝食をとって2時間の仮眠。そして談志の家に12時には入る。午後3時まで雑務をこなしそれから夕刊配達。夕食をがっついてまた談志の家に戻る。「今日はもういい」といわれるのが夜中の12時か1時で、それから寮に戻って2時間寝るという生活が続く。談春は1カ月で8キロやせたと語っている。
 朝日、日経、日刊スポ、デイリースポーツ、日刊工業新聞と東京タイムスなど数種類の新聞を配っていたが、慣れてきた頃は適当に新聞を配るようになったと振り返る談春。ここでの落ちは、デイリーの読者に株式新聞を届けてしまった逸話で「昨日は久しぶりに阪神が勝ったんだぞ。掛布のホームランで逆転勝ちしたんでスポーツ紙を楽しみにしてたのに、何で日刊株式新聞なんてのが入ってんだ」とお客さん。それに対し談春は「お客さん、これから阪神は上昇一途です。優勝しますと株の方もぐんと上がります。買うなら今、と配達員が気を遣わせたものと」と返す。当然「バカヤロー。すぐにデイリー持ってこい」となる。「僕が配達するようになってから、3カ月で186部から140少々に部数が減った」とは笑えない話だが…


 著者は私と同世代。この本を読み終えて立川談春がまた好きになった。

posted by 今だけ委員長 at 10:44 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍紹介