2009年12月08日

手探りですが、ツイッターでつぶやいてます

140文字が世界を変える.jpg
ツイッタ― 140文字が世界を変える
著者 コグレマサト+いしたにまさし(マイコミ新書)819円

 流行のツイッター。もう遅いか…
 今年6月の全世界ユーザー数が4450万人で、どんどん伸びているようですねぇ。
http://jp.techcrunch.com/archives/20090803twitter-reaches-445-million-people-worldwide-in-june-comscore/
 今だけ委員長も6月に登録だけして、放置しっぱなしだったのですが、先月後半からぼちぼちつぶやいています。
 kose_k  です。
興味のある方は、ぜひフォローしてください。

 さて、ツイッターを始めるにあたり、「RT」とか「流行のトピック」(この辺は初歩的なこと)とか、基礎的な使い方をを知ろうと本書を購入したのですが、「まずやってみよう!」という内容でした。
 ツイッターの可能性は計りしれず、これからさらにユーザーが増えれば、よりリアルなメディアとしてSNSやブログよりも企業の販促ツールとしても活用できる可能性があるとか…。敷居が低く誰でもつぶやける(書き込める)手軽さはよいのですが、まだ実感としてつかめていません。いまはシコシコとつぶやいて行こうと思います。

 ぜんぜん本の紹介になってないなぁ…。
posted by 今だけ委員長 at 21:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍紹介

「多対一」のマイメディア時代が到来する

 2030年メディアのかたち.jpg
2030年メディアのかたち

著者 坪田知己(講談社)1000円



 結論を先に言うと、将来「メディアは逆転する」のです。デジタルメディアは、その可能性を秘めています。明らかに、現在のマスメディアの延長にデジタルの世界はありえません。根本からメディアのあり方を考え直さなければなりません。(本書「はじめに」より)


 2030年のメディア産業がどう変化しているのか…。もしかするとこの答えは誰も持ち合わせていないし、「こうなる」と言い切る人は逆に怪しまれるかもしれません。しかし2030年は間違いなくやってくるし、自分は60歳チョイになっている。マスメディア(とても広義的ですが)に身を置いている人たちも、これまでと同じような状況が続くとも思っていないし、特に新聞のようなプリントメディアの行く末がどうなるのか悩み、もがくばかり…。本当は自分たちで何かしらの手立てを打たなければならないのに、定年ギリの人たちは前例踏襲路線を変える気もなく、人件費抑制でしか企業延命の手立てを持ち合わせていない。将来のマスメディアに向けて何をしていかなければならないのか。

 坪田さんは予言者ではないので、本書では「マスメディア産業がこうなる」という書き方はされていませんが、2030年には究極のメディアが具現化し、「多対一のメディア」いわゆる「マイメディア」の時代が到来すると予見します。そしてそのニーズに対応し、知的生産レベルを日本国民が高めていくための「知性増幅装置」としてメディアが必要だとしています。うぅーんなかなか難しい。それは坪田さんの思考回路に私がついていけないだけなのですが…。

 本書はメディアの歴史もしっかりひも解かれていて、大学の講義を受けているように読み進められます。そしてメディアの信頼とは何か、プロとは何か、△型ジャーナリズムによるコミュニケーションへと坪田さんが実践していること、こうあるべきという“メディアのかたち”が詰まった本です。


 坪田さんには東京在住中にいろいろとお世話になりました。mixiコミュニティーで意見を交わしていたら「一度こちらに来なさい」との言葉に、図々しくうかがって豊富な資料を提供してもらったり、今後の新聞産業のあり方などをご教示いただきました。2度目にうかがった時には新聞労連の産業政策研究会のインタビュー(第1期報告書へ収録)に応じてもらうなど、いろいろと面倒を見ていただきました。
アンビエント・ファインダビリティ.jpg
 バイクにまたがり雑誌に漫画も書いている(今はどうかな?)坪田さんに“読め”と薦められた「
アンビエント・ファインダビリティ(Peter Morville著)」とも何かしらつながっていると感じながら読み終えました。

参考:WEB日誌(河北新報KOLNETより) http://blog.kahoku.co.jp/web/archives/2009/12/post_234.html

posted by 今だけ委員長 at 00:19 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍紹介

2009年11月09日

新聞研究700号特集「新聞の明日」を考える

 日本新聞協会が毎月1日に発行する「新聞研究」が、11月1日付発行分でちょうど700号。誌面では「700号特集 新聞の明日」として、7名の方からの寄稿と記者教育担当者による座談会が収録されており、新聞の必要性やジャーナリズム活動への期待など、いつもの紙面よりボリュームのある内容となっています。

 なかでも中馬清福さん(現在は信濃毎日新聞社主筆)の寄稿「『可能性への期待』を捨てるな」と、岡谷義則さん(中国新聞社専務取締役)の「厳しい経営環境にこそ必要な志」は興味深く、新聞人と読者の埋まらない距離感の本質と、新聞社が内包する「問題提起をしても変われない組織」を提起されています。

 中馬さんは記者の目線を下げることと、それでも難解な新聞記事に「わかってもらう」という補助エンジンが必要だとし、信濃毎日新聞社が取り組んでいる「Waの会」で寄せられた「(政治記事で)記事がかゆいところを書いてくれず、どの政党・候補者がベターか、中途半端であいまいな紙面が余計わかりづらくしている」との読者の意見から、「ニセの」客観報道は限界にきていると述べています。
 メディアリテラシィーの問題やシビックジャーナリズム(単語としての表記はありませんが)の必要性を強く感じるものです。2003年に岩波新書から発行された「新聞は生き残れるか」(当時、中馬さんは朝日新聞社勤務)の改訂版として拝読させていただきました。

 岡谷義則さんは、1995年に日本新聞協会が立ち上げた「近未来の新聞像研究会」のメンバーとして、報告書「デジタル情報時代 新聞の挑戦―ジャーナリズムは生き残れるか」をまとめられた方で、同報告書(発行は1998年)に記した新聞経営への5つの提言と、新聞づくりの現場が抱えている課題について提起されています。
 岡谷さんは、デジタル情報時代への新聞の挑戦は、経営面からみると有効なビジネスモデルを描き切れていないとし、新聞社同士で連携できる事業領域に取り組み、コストカットを図ることが“さし当って”苦境に立たされている新聞産業の打開策だと述べています。


 すでに11年前にまとめられた報告書「デジタル情報時代 新聞の挑戦…」を読み返すと、▽新聞ジャーナリズムの再構築▽デジタル情報革命への挑戦▽販売・広告・流通部門の改革▽内部体制の強化▽新聞界における共通利益の拡大―の5つを骨格として、具体的な改善実行案まで踏み込んであるのですが、今日の新聞経営が抱える課題と概ね変わっていません。特に「販売・広告・流通部門の改革」の項では@販売の正常化は、今度こそ絶対に実現させなければならない。これは21世紀の新聞経営の根幹にかかわる課題であるANIE活動など新聞業界全体の取り組みで無購読者層への働きかけを強め、新聞離れの壁を打ち破るべきだB新聞社自身は21世紀の新聞販売店像を具体的に提起し、流通システムの変革に向けて一歩踏み出すべきだC低成長下の多メディア時代に合っては広告主の媒体選別は一段と厳しさを増す。広告主の理解しやすいデータや取引システムなどの整備、新聞ならではの企画広告の開拓を積極的に進め、新聞の信頼と、それぞれの媒体特性を武器に、新聞広告の復権を目指すべきだ―と、今もってなかなか成果が表れない(さまざまな取り組みがされていることは理解しつつ)課題ばかりです。

 ルノーから日産自動車再建のために経営者として迎えられたカルロス・ゴーン氏は「すでに社内には、問題点解決策が検討され、すでに出揃っている。後は、実行するだけだ」と就任時に語ったそうですが、新聞産業は問題点や課題は10年以上前から提起されているのに、実行力が伴っていないと言わざるをえません。
 やはり「人」の問題としか結論はないようです。

posted by 今だけ委員長 at 01:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍紹介

2009年11月04日

ネット社会は従来からある産業基盤を破壊したに過ぎない

ネットビジネスの終わり.jpg
ネットビジネスの終わり
著者 山本一郎(PHP研究所)1,000円

 行き過ぎた市場原理主義的な自由競争はある程度是正されるべきであり、報道の質を担保するだけの健全な情報産業の市場を作り上げないことには、真の意味での情報社会は到来しないだろう
(ココが著者の本質ならイイのだけれど)

 「切り込み隊長BLOG」を運営する著者の近著「情報革命バブル崩壊」からも何となく、「この人は新聞の応援団なのか?」という感じを受けたのですが、「適切な情報の源泉は必要」という立ち位置からネットビジネスにかき回されてきた社会がもたらしたものは何かを鋭く解説した1冊です。結論に至るまでの前置きがかなり理屈っぽいので、かなり飛ばし読みしましたが「なるほど」と思えるものも少なくありません。

 文中でオッと思ったか所を引用します。


 情報革命といわれ、誰もが居ながらにして便利で現代的な社会生活を送る技術革新でバラ色の未来図を楽観的に描いていたネット業界も、結果を見れば社会のフラット化どころか、適切な競争戦略や規制のなかった分、より露骨な資本の理論に揉まれ、従来の業界以上に強者と弱者が熾烈な分裂を遂げるという悲惨な実情だけがあらわになったと言える。誰もが自由に情報にアクセスでき、解放された社会の実現と言えば聞こえはいいのだが、実際には黒字化の経営努力の乏しいベンチャー企業が豊富な市場から資金調達余力で既存ビジネスのダンピングを繰り返し、従来からある産業基盤を緩やかに破壊してきたにすぎない。・・・高いコストをかけて正確な報道を行う通信社や新聞社は、巨大な市場の波に翻弄され、文字どおりの経済的な弱者、敗者として組み敷かれた。本来なら、国民の知る権利を保障するという社会的に価値のある事業であったとしても、実質的には著作権による庇護もなく、再販制度や記者クラブといった、古くからの業界の慣習に依存して収益を確保してきたビジネスモデルが命取りとなりつつある。


 新聞社のような従来型ビジネスを堅持するグループは、ネットで自由競争をしている環境に自ら入り込み、プレイヤーとして頑張ろうと考えてはならない。・・・むしろ、新聞社などの既存の情報産業が新興ネット関連企業と根本的にまったく違う分野での影響力を事業維持のために行使すべきである。経営の合理化はしっかり進めたうえで、官公庁や政府に対して強く働きかけ、国民の知る権利と報道内容の質的向上を目指すための新たな枠組みを構築することである。



 いま、米国の新聞社などはネットに配信するコンテンツの有料化に懸命ですが、ネット社会から紙ベースへ戻ることは考えられないので、ネット新興企業の競争に巻き込まれるべきではないとする著者の主張は理解しつつ、ではネット社会の中で報道内容(取材体制)の質的向上を図りながら原資をどうやって確保していくのかという“もうひと言”がほしかったと思います。欲張りかなぁ…。
 確かにこれからの情報産業、マスメディア産業、新聞産業の方向性を断言する人のほうが怪しいのですが、必ず消化不良になってしまいます。まずいろいろなことを顧客ベースで考えていくしかありません。


 ユーチューブが赤字でもやっていけるのは「グーグルのおもちゃだからやっていける」と断言する著者の言葉をしり目に、産経新聞がユーチューブに公式チャンネル(Sankei News Channelを開設しました。


 ネットバブル再来に投資する産経か?それとも読者と一緒に年老いていくしかないオールドメディアか?じゃんけん後出しよろしく、何もしないでいることのほうがイイのかなぁ…イヤ、ダメだダメだ。
posted by 今だけ委員長 at 23:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍紹介

2009年10月30日

現代では想像がつかない高校生のたたかい  サワダオサムの3部作完成

 夜の群像.jpg
夜の群像
著者 サワダオサム(クマノ出版)


 「紙面にヌード写真集の全面広告を入れるとは…新聞は終わりや!」
 1991年冬、都内の神田パンセを会場に開かれた、全国新聞販売労働組合協議会(略称:全販労)の定期大会(その後、全販労の定期大会は開催されていない)。壇上で宮沢りえのヘアヌード写真集「サンタフェ」の全面広告が掲載された朝日新聞を掲げ、舌鋒鋭く関西弁でまくしたてるオールバックのオッチャン・・・サワダオサム氏との初めての出会いでした。


 その年の4月に新聞販売会社へ入社した私は、わけ分からぬ間に企業内労働組合の執行部へ推薦されました。先輩たちの熱い議論に耳を傾け、新聞販売労働運動の歴史や新聞産業構造のひずみなどに興味を持ち始めたころ、はじめての組合出張(全販労定期大会)でサワダ節を聞き、カルチャーショックを受けたことが、これまでの自分の歩き方に少なからず影響していると勝手に思っています。


 脳梗塞で倒れるまでは、年に1度くらいのペースで仙台に来られ、業界情勢の話をさせていただきました。酒は飲まずともカラオケが大好きで、体力有り余る若手の組合員と深夜まで付き合ってくれました。逆に、滋賀の自宅まで押し掛けたり、昨年11月に開かれたの「わが上林暁出版記念パーティー」にも参加させていただきました。
 2000年には私が所属する労働組合が日本新聞労働組合連合への加盟を決議したとき(私は当時書記長)、「新聞労連では販売問題には切り込めない」と、絶縁宣言を叩きつけられたこともありました。親子ほど年の離れたサワダ氏は、つねに本気で接してくれたのだと感慨を深く…。そして「夜の群像」を読んであらためてそう思い返しました。

 私との交流は18年続いているのですが、それまでのサワダ氏はどのような人生を送ってきたのか。この「夜の群像」を読むと、同氏が文学に詳しく、労働運動家としての基礎が備わったのかが理解できます。定時制高校時代の2年間の動静、サワダ氏こと田川三郎(本文では田中三郎が主人公)を取り巻く組織と女性たち…。現代では考えられない高校生のたたかいは歴史に残しておく必要があると思います。

 
 あとがき(エピローグ)には、これまでの人生の総括として、「新聞幻想論」と「わが上林暁」の3部作を書き終えたとありましたが、サワダ氏はこれで活動をやめるタマではありません。いま脈々と次なるテーマを探していることでしょう。

 「親しい友人へ贈る」とされた限定版であるため、多くの方の目に触れることがないのは残念です。素晴らしい自分史を進呈いただき感謝します。


posted by 今だけ委員長 at 21:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍紹介

2009年10月29日

シビックジャーナリズムの実践によって達成される目的を考えたい プラス【告知】スイッチオン仙台シンポ

シビックジャーナリズムの挑戦.jpg
シビックジャーナリズムの挑戦
著者 寺島英弥(日本評論社)1,890円

 ちょうどこの本が出された2004年は、自身にとってウェブ関連の動きに興味を持つようになったり、mixiやグリーに登録したり、このブログを始めるきっかけになった年でした。そうそう「EPIC2014」のショートムービーにカルチャーショックを受けたのもこの年だったような気がします。
 その前年に時事通信社の湯川鶴章さんが「ネットは新聞を殺すのか」を出版し、新聞産業のビジネスモデルに危機感を抱く方々との交流が広がりました。新聞労連が開催した産研集会で出会った「ガ島通信」の藤代さんや「猫手企画@新聞屋」の小石さん、ローカルメディアネットワーク(mixi内)を立ち上げた畠山さんなどとの出会いもちょうどこの頃。新聞特殊指定撤廃問題で揺れていた当時の新聞労連委員長は「ニュース・ワーカー2」を運営する美浦克教さんでした。

 米国の新聞社が展開していた「情報をタダで配信しアクセス数を稼ぐ広告型ビジネスモデル」に舵を切りつつあった新聞産業の方向性を検証し、読者の「紙」離れや紙面広告とのカニバリゼーションなどについて、(私は話について行くのが精一杯でしたが…)夜な夜な議論したものです。マーケティングの本を読みだしたのもこの頃で、商品化された新聞紙面に意見などできる立場にない販売労働者が「生活者の声」を編集側に伝えないと生活必要財として新聞は生き残れなくなるのではないかと強く感じたものでした。これまでは「新聞産業を歪めているのは、押し紙問題に派生する構造的な問題だ!」としか言わなかった輩だったのに…。


 前置きが長くなりましたが、これまでの新聞ビジネスモデルの危機がささやかれた時に、シビックジャーナリズム(パブリックジャーナリズム)の必要性を紹介したのが寺島さんです。寺島さんは河北新報社の現役記者で、2002年8月から7カ月間フルブライト奨学生(ジャーナリストプログラム)として米国で過ごし、米国の地方紙の20%が実践しているシビックジャーナリズムの事例を紹介しています。それぞれのテーマを独自の取材をもとに構成、解説されているので、「これから重要となるジャーナリズムの方向性」が、私のような初心者でもわかりやすく読めます。

 読んでから5年たった今思うことは、「何のために」シビックジャーナリズムを実践する必要があるのかという視点です。新聞を核に地域社会のまとまりを高めようという運動、市民(生活者)の側を向いた紙面づくりによって達成されるものとは何か。こと最近の新聞人の議論は、新聞社の財務状況が潤うことばかりに傾注しすぎているような気がします。
 ジャーナリズム活動は個々人がその精神と能力を持っていれば果たされるのかもしれませんが、マスメディアのような組織的ジャーナリズム活動はその企業の経営が成り立たなければ、人員削減はもとより取材体制の縮小など活動の維持は難しくなってくるものです。個人が発信できるメディアツールは増えてきたものの、既存のマスメディアの「チカラ」をあえて手放す必要はない。そのマスメディアに働く方々がジャーナリストたる精神を取り戻し、能力を研磨することが必要なのではないかと思っています。
 そういうメディアを一生懸命に売りたいし、生活者もそんなジャーナリストの集合体を支えてくれると思うのです。


【告知】
 その寺島さんも参加する「スイッチオン」プロジェクトが仙台でシンポジウムを行います。



誰でも発信できる時代の「伝える」を考える〜「11・28仙台シンポジウム」

テーマ:「磨こう!思いを『伝える』スキル 〜誰でもジャーナリストになれる時代に〜」
時間:11月28日(土)13時半受付開始、 14時開場、16時30分終了予定。
会場:せんだいメディアテーク 7Fスタジオシアター(アクセスはこちらから)
参加費:無料
対象:どなたでもご参加いただけます
人数:先着180名(申込フォーム
パネリスト : 寺島 英弥、高成田 享、関本 英太郎、紅邑 晶子
コーディネーター : 藤代裕之

 マスメディア、研究者、NPO関係者がパネルディスカッションを行い、誰もが情報発信できる時代の課題や可能性、情報発信や表現のスキル、そしてメディアとしての役割を考えていく。参加者を巻き込んだミニワークショップ、街に出て取材している大学生とネットで中継して取材状況を聞くインタラクティブな企画も予定しています。
スイッチオン.jpg

「スイッチオン」プロジェクトは、各種マスメディアで活躍するプロが組織の枠を超えて協力。大学生記者と共に取材を行い、記事を制作する、実践的かつ実験的な大学生向けのジャーナリスト育成プログラムです。

posted by 今だけ委員長 at 19:42 | Comment(0) | TrackBack(1) | 書籍紹介

2009年10月11日

タブーをこれからの人に背負わせるな!

  「押し紙」という新聞のタブー.jpg
「押し紙」という新聞のタブー
著者 黒藪哲哉(宝島社新書)680円


 「押し紙」問題を追及するジャーナリスト、黒藪氏の新刊です。
 これまで黒藪氏がブログ「新聞販売黒書」などを通じて取材された「押し紙」の実態や、新聞社の部数至上主義による弊害などをまとめた内容になっています。
 すでに知っている話ばかりなので反すうしつつ、全く変わることのない(変えられない自身の反省を込めて)新聞産業構造にイラッとしながら読み終えました。

 
 書籍帯には「ナベツネの天敵が書いた」の文字が表記されていますが、「押し紙」問題は読売新聞だけの話ではなく、新聞産業全体の問題なのです。
 「押し紙」問題は業界のブラックボックスとして扱われてきました。経営をチェックする労働組合ですら踏み込むことに躊躇する問題なのです。現に「押し紙」問題を告発した黒藪氏は、読売新聞社から3件(うち一つは週刊新潮社と一緒に)の訴訟を起こされています。そのくらい、この「押し紙」問題に触れることは、すべての新聞社や、ともすると新聞労働者をも敵に回す構図になってしまうものです。
 今だけ委員長も(このブログで押し紙問題を指摘していることに対して)ある方から「どこから給料もらっているんだ!」と圧力をかけられることもありました。サラリーマンは直接的には会社から給料が出ているのですが、給料の源泉は読者や折込広告主からいただいているからで、そこを履き違えてはいけないと思っています。先日開かれた全国の折込会社が集う会合で、折込チラシが減っている理由を「一部週刊誌で虚偽部数などと報じられたことも影響している」という発言が業界紙に書かれてありました。もともと何が問題なのかという本質から目をそらし、自身のことしか考えない…。すべて他人事なのでしょう。

 内側にいると「何とかしたいけれど、問題が一気に噴出するとすべての人が不幸になる」という意識が働いて、この問題から目をそらしてしまう。しかし、真実をねじ曲げてきた代償をこれからの人に背負わせるほうがもっと罪なことではないでしょうか。確信犯なのですから…。

 黒藪氏がなぜ「押し紙」問題にこだわるのか。あとがきに記されている一説を引用します。
 「ジャーナリズムを放棄してまで、新聞産業が生き残っても意味がない。このあたりの大原則を忘れてしまったところに、現在の新聞社の悲劇があるのではないか」
 まだ問題の打開策はあるはずです。

posted by 今だけ委員長 at 23:45 | Comment(2) | TrackBack(0) | 書籍紹介

2009年10月10日

経済評論家のメディア批判

マスコミ崩壊.jpg
マスゴミ崩壊
著者 三橋貴明(扶桑社)1,470円


 この手のマスコミ(新聞)批判の類は“もう買わない”と思っても、つい手が出てしまいます。考えるに、自分の気持ちの中に、(現状の)マスコミ批判から「新聞再生の妙薬」が秘められているのではないかという淡い期待があるからなのかもしれません。
 いずれにしても批判されることは痛いことですが、だからと言ってその(批判される)指摘すら無視するようになってしまっては、余計に孤立していくだけだと思っています。

 著者は経済評論家(中小企業診断士)として活躍するかたわら、ネット界では人気ブログ「新世紀のビッグブラザー」を運営している、俗にいうアルファブロガー。
 本編は特に新聞産業の問題を中心にさまざまな問題点を指摘していますが、よくこれほどまでに新聞産業界に内在する問題を調べ上げたものだと感心します。おそらくネット上で発信されている情報を手繰り寄せて論拠を整理されているのでしょうが、その知識は業界人以上?かもしれません。

 内容は残念ながら目新たしいものは見受けられませんでしたが、気になった一説を引用します。

・・・新聞社はオンライン系メディアや風呂が(ブログ管理者)の批判を自社にとって有益な「フィードバック」として受け止め、新聞記事の品質向上に努めるべきなのだ。しかし、散々解説してきた通り、新聞産業はエンドユーザーからのフィードバックを活用し、自社製品の品質向上に努力するという、一般企業が必ず持っている機能を保有していない。それどころか、エンドユーザーの声を直接聞ける販売店を「専売店」として管理下に取り込み、長年にわたり市場の声を聞くことを拒否し続けたのだ。


 この視点はうなずきつつも、「読者の声を聞け!」とはあまりにも抽象的で結論の見えない意見のように感じます。確かに「購読をやめた読者から理由を聞け」と販売現場では口酸っぱく言われていますが、経済的理由以外は「何となく、読まなくても…」といった声が大半で、「こうだからやめる」と明快な意見を言ってくれる読者は少ないものです。
 逆に「こうしたら購読してもよい」(オマケ以外で)という意見を集めるほうが生産的なのかなぁ。いずれにしても、マーケティングをすることよりも精神論で登りつめてきた(新聞社の)エライ人たちの「感覚的な解釈」によって、販売政策などが決められてきたのは確かです。


  「新聞社の決算を診断する」の章では、全国紙の08年決算内容の分析がされています。そのなかで売り上げの落ち込みが最も大きい産経新聞は利益の悪化がそれほどでもないことに触れて、「産経新聞は08年時点から社内の人件費に手を付け、リストラクチャリングを進めてきたためだ。なぜ産経が、他紙に先駆け、人件費にメスを入れることができたのかといえば、規模が小さい分小回りが利きやすいというのもあるが、それ以上に同社が新聞労連に加盟していない点が大きい」と述べ、各社の従業員が新聞労連(日本新聞労働組合連合)へ加盟しているから、人件費の削減は容易ではないとしています。
 この理論展開を読む限りでは、新聞再生の道はなくリストラ(人件費削減)して赤字をしのげ―ということのようです。


 マスメディア(新聞)への処方箋についても書かれています。▽再販制度及び新聞特殊指定の取り消し▽専売制の宅配モデルの解体と、合配制化(総合店化)▽全記者クラブの解散・・・・・・。
 新聞産業の分析はしっかりされているのですが、批判の域からでない破壊論者という印象を受けました。


posted by 今だけ委員長 at 23:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍紹介

2009年09月26日

NIEは新聞のつくりかえに必要な活動

新聞教育の原点.jpg
新聞教育の原点
―幕末・明治から占領期日本のジャーナリズムと教育
著者 柳澤 伸司(世界思想社)3,800円

 「いくら現場のことを熟知した研究者が新聞・ジャーナリズム批判とよりよき提言をしても、現場の記者には届かなくなっている、聞く耳を持たなくなっているのではないか。それ以上に、内部から変えていこうとする彼ら(新聞人)の姿勢を感じなかったことが、私自身の問題意識を深めるきっかけとなった
 立命館大学(産業社会学部教授)で教鞭を振るう著者が、NIE(Newspaper in Education)と新聞・ジャーナリズム研究に取り組む動機を「あとがき」に記しています。

 1980年後半から「教育に新聞を」と呼ばれる活動が推奨されて、2011年度から学習指導要領に「新聞」を授業で活用することが盛り込まれるなど、新聞教育が見直されています。最近の新聞業界でもNIEネタがやたらと多くなっているようです。
 本書は、幕末に日刊紙が発行された頃からの半世紀について、新聞が果たしてきた役割や「新聞についての教育」と「新聞による教育」を考察しています。膨大な量の資料も紹介されているので、NIEに興味のある教育者や新聞人は必見ではないでしょうか。


 ところで、現代のNIE 活動とは何を目指しているのでしょう。

 「新聞を読まない(定期購読していない)」若年層や世帯が増えていることに関連して、時事的な記事を読む能力「リテラシィー」が落ちていると思われるために、新聞を活用して読解力を養う―というのは教育者の論。
 新聞人は将来の購読者に対して新聞を読む習慣をつけてもらいたいという若年層への先行投資の意味合いを強く感じます。

 しかし、著者が目指す「NIE活動を通じて新聞のつくりかえる」という発想はジャーナリズムを叩きあげていくことなのです。

 「読者は新聞を読み、批判するだけでなく、よい記事は誉め、読みたくなるような新聞を求めていくことも含めて、新聞とともに共生していくような関係づくりをすること。そして新聞社内部からジャーナリズムをつくりかえていく人を増やすこと。この命題を解いていくためには、相当な時間がかかるかもしれないが、その鍵は新聞を読み批判できる読者を増やすことであり、そのなかから新聞を支え、つくりかえていく新聞人が育つことにある。そのためにも教育に新聞を導入していくこと(NIE)が必要ではないか、と考えている


 私のような販売労働者は、メシを食うために1部の積み上げに躍起になるわけですが、なぜ新聞離れが起きているのかという根本的な問題提起にうなずきつつも、「時間がない…」とあせる気持ちを抑えながら読ませていただきました。

 著者の恩師は、故新井直之氏ということですが、私も一度だけ新井先生の講演をうかがう機会がありました。1992年だったと記憶していますが、新聞販売労働者を前にしてジャーナリズムや記者クラブの問題を真剣に語ってくれたことを思い出します。その当時から「新聞はいずれテーラードシステム(必要な記事だけを読者に届ける)を導入することになるかもしれない」という言葉が印象的でした。ネット時代になってコンテンツの個別配信(タダですが)が当たり前のようになっている昨今を予見していたのかもしれません。
 新井先生が亡くなられて今年で10周忌になるのですね。


※柳澤伸司氏は「新聞の再販制度を自ら否定する値引き・景品の提供」という論文も書かれています。
http://www.ritsumei.ac.jp/kic/~syt01970/page222.html

posted by 今だけ委員長 at 23:51 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍紹介

2009年08月30日

日本を壊しているのは米国追従の官僚組織

 けさの朝刊各紙に自民党が打った「日本を壊すな」という全面広告。
 自民党が壊れても私たちの生活が壊れなければいいのですが、この国の建てなおしは、米国追従の官僚の解体しかないのかもしれません。 
 日本を壊すな.jpg
 第45回衆院選の開票が行われています。まだ最終的な投票結果は判明していませんが、新聞社が選挙中に行った世論調査(朝日・毎日・読売は単独実施、地方紙は共同通信の調査結果を掲載)の通り、民主党が300超の議席を獲得し政権与党となることが確実となりました。

 2007年に行われた参院選以降、自民離れというより生活者をおざなりにしてきた閣僚・官僚への不満が噴出したのだろうと思います。政権交代を望んで「民主党を選んだ」という有権者がどれだけいたのかはわかりませんが、政権が変わろうとも「官僚に操られる国会議員」の構図は変わらないような気がします。ぜひ民主党政権には官僚にがんじがらめにされないよう、米国からの圧力に屈しないよう国政のかじ取りをお願いしたいものです。


副島隆彦.jpg
 最近、副島隆彦氏の著書(日米振り込め詐欺大恐慌/売国者たちの末路)を読んでいます。著者は外資系の銀行勤務から大学教授などを歴任したあと、副島国家戦略研究所を主宰している方で、メディアに取り上げられることはほとんどありません。

 一部の金持ち層をターゲットに財テクを指南している策士かと思いきや、読み進むうちに(文章は荒っぽいが)日米関係から起因する経済問題について、独自の解説ながら“膝を打つ”内容になっています。メディアでは絶対に取り上げない問題を気持ちよいくらい「明言」しています。

 日本は米国の属国であり、世界経済はディビット・ロックフェラーが牛耳っていると言い切る著者。小泉純一郎元首相と竹中平蔵元総務大臣が行った規制緩和路線、米国追従の経済政策もすべて米国のシナリオ通りに組まれたことだとで、それを操っているのが官僚(霞ヶ関)だというのです。日本の官僚は国民の財産を空手形も同然の米国債を買う形でロックフェラーのシティグループへ貢ぎ、米国債とドルの大暴落で「アメリカ発の世界恐慌」が始まると理論を展開しています。「9・15リーマンショック」以上の世界的不況が起きると…。
そして著者はこう言います「日本のマスコミも電通を介して米国(ロックフェラー)の配下にある」と。


 副島理論がその通りであれば、日本の官僚とマスコミは米国の手のひらに乗っているので、こころざし高い政治家が現われて官僚改革、米国対応をしていくしかないのでしょう。信じるも信じないもそれぞれの考え。それにしても国債の借款債や米国債のリスク、国の財政の実態については踏み込んだ報道がほとんどないのも、やはり注意した方がよいのかも…。


 これからの世の中は、もはや政府まかせでは自分の利益は守れない、自分の事は自分で守るしかない、その為には下手な情報に惑わされることなく、自分で学び、自分で考え、自分の人生を自らの手で守るほかはない。

posted by 今だけ委員長 at 21:57 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍紹介

2009年07月30日

R25式成功は「グループインタビュー」によるターゲットリサーチ

「R25」のつくりかた.jpg
「R25」のつくりかた
著者 藤井大輔(日経プレミアムシリーズ)893円


 ターゲットを絞れば「紙」でも手に取ってもらえる。M1世代は活字離れなんてしていないし、日本経済新聞を恰好よく読みたいけれど難しすぎて「手が出ない」。
 そんなM1世代をターゲットにしたフリーペーパー「R25」の元編集長が、その成功までのマーケティング手法をまとめた1冊です。


 「R25」創刊の経緯は、リクルートが毎年1回開催している新規事業開発コンテスト「NewRING(RECRUIT INNOVATION GROUPの略)」の2002年に準グランプリを受賞した「ペーパーポータル構想」が企画の発端です。リクルートは新しい事業を立ち上げたいと思う人たちが多く、このコンテストは毎回700グループが参加するほど盛り上がるそうです。この辺の社内風土は見習うべき点も多いし、経営者の決断力が大きく影響しているいと思われます。


 活字を読まない人に活字を読ませるためにはどうすればいいか、どんな本の仕立てにすればいいか、じゃあその本はどんな判型にしたらいいのか、どんなタイトルなのか、それはどこで読まれるべきなのかといった、R25式のたたかいが始まります。そのなかで一番重視したのが「グループインタビュー」。本文で紹介されているR25スタッフの熱い議論、挑戦はまさに『プロジェクトX』。リサーチに1億円を投資するリクルートの底地にも感心します。


 リクルートはそもそも情報誌を販売して利益をあげるビジネス。いわゆる「紙」ビジネスがその生業でした(有料誌7割、ネット2割、フリーペーパー1割の収入構造)。それが7年前の「ホットペッパー」の爆発的ヒットでリクルートの収入構造が大きく変わります。現在では有料誌3割、ネット2割、フリーペーパー5割へと収入構造が変わっています。
 情報がデフレ化している状況下で、有料化から無料化への波が来ていると著者は問いかけます。しかし「無料だからと言ってもコンテンツが面白くなければ読まれない」。そのあたりは新聞人も熟慮する必要があると思います。

 おととしの3月、著者の講演をうかがう機会がありました。時代をつくる人はやっぱり何かが違いますね。優れた能力に加えて人を包み込むような「魅力」を藤井さんに感じたことを覚えています。

 そういえば、きょうで「R25式モバイル」(朝イチmail・夕刊mail)のサービスが終了します。今だけ委員長もユーザーだったので、チョット残念。
http://r25.jp/b/static/a/static/stn/mobile

 講演をうかがった当時、藤井さんはこんなことを言ってました。


…「R25」というのはモバイルを持っていたり、駅のラックに広告、雑誌を立てられたり、中吊りにも広告が仕込めたり、PCサイトにも広告が仕込めたりで、7つ広告が仕込めるようになっているんです。M1ターゲットに対してクロスメディアということで。で、平日の行動動線でさっきも見たところを1日全部網羅できるようにしているのですが、「7つ全部買っていただくとより効果が高いですよ」という広告営業用のツールなんですが、だいたい5つから6つぐらいに仕込ませると、一気に印象とか行動とかというのは変わるということです。
 だからモバイルというのは、単体で広告を設けようというよりは、本誌とのクロスでこういったかたちで、ナショナルクライアントさんに「たくさんのメディア接触、コンタクトポイントを持つことが、なかなか動かしにくいM1を動かすソリューションになるんですよ」というかたちで、営業をしています。
 ただPCもモバイルも、かかっている投資に対してのリターンで言うと、まだまだという感じです。こういうフリーマガジンがあるから、いまみたいなかたちで、クロスメディアでモバイル広告も売れるんですけれど、それだけではちょっと商売としては成り立たないというのが、正直なところです。

2008年「新聞の自画像」:新聞労連産業政策研究会より

posted by 今だけ委員長 at 20:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍紹介

2009年07月28日

アメリカの新聞ビジネス崩壊劇が3年後、日本にやってくる?

2011年 新聞・テレビ消滅.jpg
2011年 新聞・テレビ消滅
著者 佐々木俊尚(文藝新書)750円

 インターネット社会の到来、メディアイノベーションがもたらす影響について、これまで既存のマスメディアへ警笛を鳴らしてきた佐々木氏。彼の著書はほとんど読んだが、先週発刊された本書には(彼が毎日新聞出身であるかもしれないが)これまでのような応援歌的な表記はみじんもない。

 「新聞の敗戦」とする第2章は全237頁のうち90頁を割いて、「(新聞は)マスメディアとして自力でビジネスを収益化させて生き延びていくことは、もう不可能なのだ」と断言する。


 業界人は「またいつもの新聞没落系か…」と侮ってはいけない。
 ネット万能論を前面に出す構成ではなく、ミドルメディア(特定の企業や業界、特定の分野、特定の趣味の人たちなど、数千人から数十万人規模の特定層に向けて発信される情報)がマスメディアを凌駕し、メディア広告の変化についても(業界人はすでに知っている話ばかりだが)もれなく記してある。

   コンテンツ=新聞記事
   コンテナ=新聞紙面
   コンベア=販売店
        が
   コンテンツ=新聞記事
   コンテナ=ヤフーニュース
   コンベア=インターネット
となる比率が間違いなく高まると佐々木氏は言い切る。

 マスメディアの業界人のマーケティング力のなさにうんざりしているのだろうか、1970年代生まれのロスジェネ世代(就職氷河期と言われた)の声に耳を傾けることなく、新聞社内でも読者とともに高齢化する新聞人の立場(人数も多く)が強く、ロスジェネ世代とのギャップが若者の新聞離れを引き起こしている大きな要因であると説く。
 そのほか、リクルートが展開する「R-25」や「タウンマーケット」のマーケティングについても独自の視点から評論している。時代の変化に合わせて評論、執筆をして飯を食うのは大変だと思うが・・・

 タイトルが「2011年 新聞…」なので、地デジへの切り替えによってメディアの再編が起きるという骨子なのかと思いきや、「アメリカでいま起きている新聞社の倒産劇は間違いなく3年後の日本でも起こる」、だから2011年なのだそうだ。
 この辺の理論については、日米での新聞ビジネスモデルの違いが大きいのでうなずけないが、何もしなければ2011年を待たずして消滅する新聞社がでてくるかもしれない。

  「一回、つぶれた方が良いんじゃないの?」。佐々木氏が予見する2011年に新聞を消滅させないために、新聞人はどう反転攻勢をかけるのか。
 聞く耳を持たない人間、自分が一番賢いと思っている人間が、新聞業界には多すぎる。売る努力もせず、マーケティングも勉強せずに、「素晴らしい商品を作っているのだから売れないわけがない」と販売店労働者に罵声を浴びせる新聞経営者は少なくない。このような光景を目の当たりにすると「もうダメか…」と思うが、まぁもう少しあきらめずにがんばってみよう。会社のポチになるくらいだったら、もうひと踏ん張り抗えるはずだ。

posted by 今だけ委員長 at 23:57 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍紹介

2009年07月09日

新聞社がなくなったら、誰が公益を守るジャーナリズムに金を出すのか?

 クーリエ・ジャポン.jpg
COURRiER Japon(クーリエ・ジャポン)7月号
発行:講談社 780円

 つくづく日々発行される週刊誌、月刊誌の数は多いなぁと感じるのですが、ネットで何げなく新聞ネタをググっていたら、「サヨナラ、新聞(ジャーナリズム)」を特集している雑誌を発見。

 「クーリエ・ジャポン」。はじめて手にした月刊誌です。

 これまでの“日本的”な新聞没落系の切り口ではなく、広義では新聞への応援歌といったところでしょうか。プリンストン大教授のポール・スター氏は「(新聞がなくなれば)これから誰が権力を見張るのか」と提起します。

 ―新聞は私たちの目となり、他のどのメディアよりも強力に国家を監視し、私企業の行き過ぎをチェックする、「市民社会の木鐸」ともいえる存在だった。なるほど、新聞がどのような使命を完璧に果たしてきたとはいいがたいだろう。しかし、いま懸念されているのは、新聞がもはやそうした使命をまったく果たせなくなるかもしれない、ということなのだ。


 ネットの普及によって、「市民ジャーナリズム」が発展する可能性や言論と表現の自由がこれまで以上に確保されるかもしれないという指摘については、 ―ウェブでは先入見に基いた報道をひも付きのジャーナリズムが蔓延りやすいということもある。ウェブでは、プロフェッショナルな報道倫理に基づいて運営されているニュースサイトとブログの区別さえはっきりしない。危惧されるのは、行政や企業の腐敗だけではない。ジャーナリズム自体の腐敗も進行しかねないのだ。


 (現時点ではとした上で)紙媒体を廃止し、ウェブに完全移行することは自殺行為だとするポール・スター氏。宅配の縮小(週3日へ)やNPOジャーナリズムなどが盛り込まれた論文は、そのほとんどの事例が米国のことではあるが、スムーズに読み進められる内容です。


 文中に挿入されているコメントが、これまた膝を打ちます。
▼新聞がいまの規模と業務を維持していくとすれば、景気が回復してもほとんど利益を出せなくなると予測されている。
▼新聞社がジャーナリズムにお金を出せなくなり、ウェブも代替物を生み出せない場合、誰が公益を守るジャーナリズムにお金を出すのか?
▼新聞の後継者がウェブから登場するだろうと期待されてきたが、新聞が後継者の登場を見ずになくなってしまうことも充分ありうるようだ。

posted by 今だけ委員長 at 21:00 | Comment(2) | TrackBack(0) | 書籍紹介

2009年06月12日

ネットニュースの連載がアナログ出版

  スキャン0003.jpg
 新聞崩壊
著者 J-CAST編集部(株式会社ジェイ・キャスト)1,500円

 小ブログでも紹介した「ネットメディアJ-CASTニュースも『新聞崩壊』の連載だそうです…」がアナログ出版され、きょう自宅に届きました。

 本書は、J-CASTニュースが2008年12月30日から2009年1月13日まで、連載した「新聞崩壊」の記事本文と、各記事に寄せられた読者コメントを再構成されたものです。きょう発売というか、限定販売という案内につられ注文したもの。ネットでは“タダ”で見れるのに…。
 私が投稿した「読者コメント」もしっかり載ってました(汗)

 本書の表紙にこんなことが書かれてあります。

  日本新聞社一大危機えている。
  広告激減部数落み。
  そして、なにより読者からの信頼らいでいる。 
  新聞崩壊してしまうのか。
  連載インタビューで「新聞える問題点」を
  様々角度からりにする。

 表紙下に、J-CASTニュースセレクション@とありますから、ジェイ・キャスト社ではネットでの連載をアナログ(書籍)に落とし込んで販売収入も稼ごうというわけですね。ネット媒体も広告だけではビジネスとして成り立たないのでしょう。なんだかんだ言っても「紙」は強いですからね。

 12の記事に対するコメントも一緒に掲載されているのですが、一番多かったのが(50コメント)、「押し紙」問題を取り上げたフリージャーナリスト黒藪哲哉氏のインタビュー記事でした。「押し紙」問題について、市民の関心は高くないと思っているのは新聞業界人だけかもしれませんね。

※一部引用します。
1:
減っているのは確かだろう。  2009/1/ 2 12:13
減っているのは確かだろう。 私は新聞は取っていないが、無料で廃品回収してるという廃品回収業者を名乗る訪問者が来たので、庭の粗大ゴミの回収をお願いしたが、実は新聞販売店の拡販担当者だった。 で、庭の片つけ後、新聞の購読の勧誘を受けたのだが、6ヶ月の契約で、洗濯洗剤:4箱、発砲酒(いわゆる第3種のビール):2ダース、レトルトカレー:2ダース、ウィスキー:1本、なんかのチケットだった。 いくら、販売店の主たる収入が折込広告だといっても、拡販コストに3ヶ月分ぐらいをつぎ込んでいるのではないか? 購読する気が無いのでお断りしたが、その後の雑談で、12月末契約更新が無い家庭が多かった。3月末では更に増えるだろうとかの話だった。 まあ、某朝日毎日とかは、中華、朝鮮半島を持ち上げてるのだから、あっちで拡販をすれば良いのでは? と思った昼下がりだった。
2:
僕笑っちゃいます  2009/1/ 2 12:36

押し紙の数字に驚きです、新聞は日ごろ環境問題とか格好つけているクセに環境に優しくないんですね。
これからは新聞をやめてネットオンリーにすることが環境に優しい。

3:
カラス  2009/1/ 2 13:06
自営業を営むわたくしの店舗の近隣に、某全国紙の販売店があります。近所でアルバイトをしているおばちゃんからの内緒のコメントです。『配達する部数は入荷の6割くらい。それなのにチラシ折り込み代は入荷部数分。週に一回廃棄する新聞を大型トラック2台で回収。アルバイトしてるから悪い事言えないけど、完全に資源の無駄使いだし、ボッタクリ業よね!あたし新聞読まないし(^O^)!』唖然!
続きを読む
posted by 今だけ委員長 at 23:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍紹介

2009年05月26日

やはり、広告に頼らない週刊金曜日しか電通のタブーは書けません

電通の正体.jpg
電通の正体 
―マスコミ最大のタブー―
著者 『週刊金曜日』取材班(株式会社週刊金曜日)1,200円


 新聞業界をはじめとするマスメディア(媒体社)の「広告スポンサーの報道姿勢」を問う声は少なくありません。

 例えば、たばこの広告を掲載している面に「喫煙者の肺がん発症率は○○%高くなる」といった記事は載せないなど「暗黙の了解」があります。掲載面を別ページに動かすのではなく、記事そのものをボツにしてしまう(それをやっているのも〇〇)ケースもあるというのです。

 最近では「パック広告」と呼ばれ、一見すると取材された記事のように編集された紙面(その記事を書いているのも〇〇)の下段には、その記事に関連する企業の広告が掲載されている記事体広告をよく見かけます(最近は紙面上段のノンブルに【全面広告】と表記している新聞社も増えましたが)。原発の必要性について「遠まわし」に書かれた紙面の下段には電力会社の広告が全5段で掲載されたりしていますね。

 また、2007年初旬に新聞の信頼を失墜させた事件も起きましたね。新聞社が裁判員制度のフォーラムや厚労省との共催イベントで、謝礼を払って水増し増員をしたという問題。全国地方新聞社連合会(この団体の後ろ盾も〇〇)という地方紙の任意団体が、紙面広告を受注するのと合わせてイベントの開催までを「パック商品」として行政機関へ売っていたものですが、人が集まらなければ媒体効果も問われるので「サクラ動員」までやっちゃったのでしょう。「人を集められなきゃもう使わないよ(広告を載せないよ)」という神の声があったと聞きます。

 そのような広告主と新聞やテレビをはじめとする媒体のつなぎ役が広告会社(代理店)であり、そのシェアの大半を握っているのが電通なのです。

 本書には電通と媒体との関係が赤裸々に記されてあり、巨額の広告費をつかさどっている電通の圧力に日本のマスメディアは屈しているという内容が容赦なく続きます。「マスコミを支配する日本版CIA」とはしがきに書いてあるほどですから、相当突っ込んだ構成になっています。これは広告費に頼らない週刊金曜日しか書けないだろうなぁ…。

 電通と取引停止になってしまったら、いまの媒体各社は死んでしまう―と言われるまで権力を持ってしまった電通の構造とその歴史が見えてくる一冊です。

posted by 今だけ委員長 at 06:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍紹介

2009年05月15日

アメリカとイギリスの新聞販売の歴史「紙面競争」「価格競争」「景品競争」

新聞の病理.jpg
新聞の病理 21世紀のための検証
著者 前澤 猛(岩波書店)2,200円


 読売新聞OBの著者が2000年12月に出版したもので、21世紀に必要とされる新聞像、ジャーナリズムのあり方などが、欧米諸国との比較もしながら日本の新聞の問題点について詳しくまとめられた一冊です。


 著者は記者生活の中で忘れられない出来事が二つあると問題提起をします。ひとつ目はアメリカの有名なジャーナリスト団体「調査報道記者編集者協会」から特別表彰を受けた朝日新聞の記者(表彰の理由はリクルート事件の調査報道)が、表彰式に姿を見せず代理受賞したことを指摘し、「受賞したのはジャーナリストとしての記者個人だったのに日本の新聞記者は個人の独立性などがない」とし、調査報道などの評価も勤めている新聞社や上司の編集局長が受賞するものという風土があるという点。もう一つはベトナム戦争中にロケット弾の巻き添えになり殉職した記者が、国から叙勲を受けたことに関連して、「メディア企業の会長や社長の授与が増えているが、ジャーナリストが叙勲なるものに名を連ねることへの違和感と叙勲されることをありがたがるのはジャーナリズムへの堕落だ」と指摘します。
 この二つの出来事が、著者の「日本のジャーナリズムに対する疑問」を増幅させたきっかけであると述べています。読み進めていくと、日本は個人としてジャーナリズムを実践しているという意識が記者にはなく、企業ジャーナリズムに埋没しているという問題提起が随所に引用されています。


 第二章では「新聞の景品依存体質と読者離れ」と題し、販売問題についてアメリカとイギリスの新聞ビジネスの歴史を振り返りながら、「紙面競争」「価格競争」「景品競争」についての考察が詳しく分析されています。

 一般的に「紙面競争」は万国共通でも、日本は「著作物再販制度」の特権を享受しているため、「景品競争」に依存する販売戦略につながりやすく、「景品に依存する部数拡張政策」は経営的利益をもたらさないと断言します。
 アメリカでは「広告量・広告収入の増大」→「新聞価格の低下」→「発行部数の増加」という連鎖をたどり、19世紀末のアメリカの大衆紙の新聞経営は広告依存度を高めます。しかし「景品」による拡張はほとんど見られなかったとし、宅配ではなく一部売りを柱にした販売制度がその理由である可能性もあると分析しています。
 一方、イギリスでは「中央紙」「部数の寡占化」「膨大な発行部数」を築くため景品販売戦略を進めます。いわゆる今の日本の販売手法と同じです。景品競争の果ては@無料景品やコスト割れを招く物品の提供禁止A景品は懸賞と保険に制限という協定(日本でいう公正競争規約)を各新聞社が結ぶことになるのですが、またぞろ「景品競争」は再開され「ヘラルド(大衆紙)」は「200万部」、「部数第1位」を手中にするも経費を吸い込むアリ地獄の経営へ。そして1961年にはミラーグループへ買収され、以後「ザ・サン」と改題されます。結局は紙面重視に景品依存が負けた(読者はそう判断した)というのがイギリスモデルなのです。


 そのほか、前澤さんが私案として提起する「ジャーナリスト倫理指針」なども(同書の発行は10年前ですが)今に通じるものがあると感じます。

 日本の文化だから他国と比べる必要はないという方も少なくないのですが、紆余曲折がありながらも最終的には「紙面競争」で読者からの信頼を勝ち取るということが、生き残りへの道なのでしょう。

posted by 今だけ委員長 at 01:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍紹介

2009年05月11日

国家権力に葬られた西山事件 小説で真実をよみがえらせる

運命の人.jpg
運命の人
著者 山崎豊子(1,600円)文芸春秋社


 山崎豊子さんの新作です。
 2005年から文芸春秋で連載の「運命の人」は、いわゆる西山事件を題材にしたノンフィクション小説。山崎さん流のアレンジを加えながら、主人公の元毎日新聞記者の西山太吉さんが国家権力に立ち向かう姿を描いています。丹念な取材をされる山崎さんならではなのでしょうか、登場人物の人間模様は読んでいてグッとくるものがあります。

 西山事件は1978年5月に国家公務員法違反で西山氏の有罪が確定。その後、2005年4月に「密約の存在を知りながら違法に起訴された」と国家賠償請求訴訟を起こしますが、昨年2月に「20年の除斥期間で請求権は消滅」とする東京高裁の判決により、原告敗訴が確定しています。

 沖縄返還協定を交わした米国では、密約の存在が明らかになっているにもかかわらず(米国立公文書記録管理局では閲覧可能)、日本政府はその文書の存在すら認めようとしません。沖縄返還協定時に米国と交わされた「密約」は闇に葬られたままなのです。
 西山事件の争点が雑誌などのマスコミよって「セックススキャンダル」と歪曲され、読者の反発を招き毎日新聞の不買運動が起きます。1977年に毎日新聞は一度倒産(その後、新旧分離をして経営再建)するのですが、同社が最後まで「報道の自由」や西山さんを守り続けたのかを検証すると、ある意味で組織ジャーナリズムの限界がこの西山事件で浮き出てきたように感じます。


 先月末に1、2巻が同時に発刊されましたが、「沈まぬ太陽」と同じく5巻までは出されるでしょう。財政が厳しい折、3巻以降はネットオークションで買うことにします。

posted by 今だけ委員長 at 23:16 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍紹介

2009年05月03日

ネットは踊らされずリテラシーを身につけながら使いましょう

  ウェブはバカと暇人のもの.jpg
ウェブはバカと暇人のもの
著者 中川純一郎(光文社新書)760円


 ロスジェネ世代の筆者が、ウェブニュースサイトの編集に携わりながら、博報堂(現在は博報堂DYホールディングス)勤務時代に培った企業のPR戦略の知識と経験から、ネット万能主義という仮想の世界を一刀両断した痛快かつ、実情を的確に指摘した一冊です。著者は4年前に「お金持ちになる新聞の読み方」という書籍も出筆しています。

 「凡庸な人がネットを駆使することで秀才になれるわけがないし、世の中によいものをもたらすわけでもない。むしろ凡庸な人が凡庸なネタを外に吐き出しまくるせいで本当に良いものが見えにくくなっている」とし、(言葉は悪いのですが)バカが発言ツールを手に入れて大暴れしたり、犯罪予告をするようなリスクにこそ目を向けるべきだと著者は提起します。

 「怒りの代理人」がネットのヘビーユーザーにはウヨウヨいて、「誰かをいじめたいだけ」という暇人が、個人(芸能人)だけではなく企業に対しても“揚げ足取り”をして、下手に出なければ不買活動(電凸行為)までやってしまう。無記名であることをいいことに…。

 おととし、毎日新聞が謝罪の検証記事まで掲載して大きな議論を読んだ「ネット君臨」騒ぎも「怒りの代理人」が正義感をみなぎらせ、徒党を組んで吊るしあげに躍起になったのかもしれません。しかし、新聞をはじめマスメディアは「怒りの代理人」に揚げ足を取られるような報道(会社の姿勢)であってはダメだというのが私の理解です。新聞は確かに購読している読者が顧客ですが、社会に向かって発信しているという自負があったり、記者クラブ制度などの特権を与えられているのですから、顧客とは全国紙であれば国民というくくりだし、地方紙であればその県民のことを指すのだろうと思っています。

 話はそれましたが、著者はこう言います。「ネットはプロの物書きや企業にとって、もっとも発言に自由度がない場所である」、「ネットが自由な発言の場だと考えられる人は、失うものがない人だけである」と。
 そういえば私自身もネットの使い方が変化してきたように思います。ミクシィもさっぱり更新しなくなり、個人で運営されているブログもリアルに面識のある方のものしか見なくなりました。ウェブの課題はメデシア・リテラシーへと移っていくように感じます。というより、ネットの評論家やベンチャー企業は、自分の領域を広げようとネットの良さそうなことだけをいかにもすばらしいもののように語りますが、踊らされないことが大切だということです。


 私も凡庸な人間なので、新聞産業(販売)の問題点をわかりづらくしているのかもしれませんが、バカはバカなりに書き続けていこうと思っています。よろしければお付き合いください。

posted by 今だけ委員長 at 22:51 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍紹介

2009年04月30日

絶版は立ち読みできないのが難点…

  マスメディア法政策史.jpg
マス・メディア法政策史研究
著者 内川芳美(有斐閣)8,064円(絶版でオークションで14,000円程度)

 新聞業界にはさまざまな法規制があります。正確に数えたことはありませんが、200項くらいはあると記憶しています。ただし、現状と照らし合わせると形骸化しているものも少なくありません。法律が時代の変化に合わなくなっているのか、新聞業界が法律を無視して慣行化されているものがあったり・・・。


 私が末席を汚している新聞労連の産業政策研究会で、新聞に関連する法律の実態比較のために資料として購入しました。しかし、内容は新聞紙法の歴史がその大部分を占め、資料としてはあまり活用できないものでした。
 著書のレビューを参考にはしていますが、まず一度立ち読みをするのが一番ですね。


 新聞・出版編(大津事件の報道統制と緊急勅令;新聞発行停止行政処分権の廃止―明治30年新聞紙条例1部改正をめぐって;新文聞紙法の制定過程とその特質;新聞紙法改正運動とその帰結;言論統制装置としての出版物納本制度―出版物納付法案の問題と意味;内閣情報局の設立過程―日本ファシズム形成期のマス・メディア組織化政策;昭和前期マス・メディア統制の法と機構;占領下のマス・メディア)
放送編(戦後放送制度の確立過程;占領下の放送制度改革;アメリカの放送政策における社会的責任論―1946年FCCブルー・ブックの意義を中心に;イギリス政治放送制度;アメリカの放送と公正原則;放送におけるマス・メディア集中排除政策)
国際コミニュケーション編(新世界情報・コミュニケーション秩序問題;国際報道の法的倫理的諸問題―マクブライド委員会報告書を中心に;コミュニケートする権利の概念)


posted by 今だけ委員長 at 23:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍紹介

2009年04月29日

新聞社の経営問題が見えてくる

   日本の五大新聞.jpg
徹底検証 日本の五大新聞
著者 奥村 宏(七つ森書館)1,890円


 最近、新聞をはじめとするメディア関連の書籍を読んで感じることは、時代の変化が著しいメディア業界にあって、新聞をテーマに執筆される方に高齢の方が特に多いということ。どうしても先輩方の結論は業界への応援歌でしかなく、精神論に走りがちなのですが、著者の奥村宏さん(1930年生まれ)は経営理論の専門家として冷静に新聞業界の問題点を指摘しています。それから多くの文献(引用文献は24)も紹介されているので、とても参考になります。

 読売、朝日、日経、毎日、産経の順(昔から朝・毎・読・日・産という順番でしたが…)で、各社の問題点が経営的な観点から指摘されています。
 第1章の読売新聞(独裁者が支配する世界最大の新聞)では、経営安定(1000万部を維持するために)のために右傾化したところで、政府や有力政治家に取り込んで国有地を払い下げてもらったり、銀行からの資金調達でも有利な扱いを受けることがあっても、発行部数には関係ないと指摘。読売の発行部数が増えたことで読者が右傾化しているとは到底言えず、販売店に配達されずに山積みされている「押し紙」が1000万部を支えているという公称部数の本質を分かりやすく解説しています。
 さらに、新聞社の経営を改善するためには新聞社そのものの在り方を変える必要があると主張する筆者。そのことを新聞記者、そして労働組合がさとることがまず必要なのではないかとメッセージを送っています。


 また、会社学研究家の肩書を持つ筆者は、新聞社と大学が似かよった構造であると解説しています。
 新聞社の生き残りについては、記者自身が専門性を持つことと、「人の顔が見える」小規模な組織へ再編すべきだとの結論を出されています。

 新聞社の経営などに興味がある方には、とても参考に一冊だと思います。

posted by 今だけ委員長 at 23:17 | Comment(0) | TrackBack(1) | 書籍紹介