2011年11月26日

東北地方の新聞労働者が執筆/東北地連50周年記念誌「未来へ」

 東北地連50周年記念詩「未来へ」.jpg
東北地連結成50周年記念誌「未来へ」
発行:新聞労連東北地連

 私たち新聞労働者の役割と責任も重い。発行本社へ正常化を直接訴え続けられるのは労組しかいない。社会の公器を標榜しながら、その一方で不当販売を繰り広げている業界に将来はないし、真のジャーナリズムが成り立つわけもない。「知らない。わからない。関係がない」ではいられない。私たち新聞産業の未来がかかっているのだ―(デーリー東北新聞社・深川公夫さんの寄稿より)

 日本新聞労働組合連合(東海林智委員長 略称:新聞労連)の地方組織、新聞労連東北地方連合が結成50周年(2010年)を機に発行した記念誌。「週休2日制問題」、「ベア凍結春闘」、「印刷工場別会社問題」など、東北地連に加盟する労組が経験した問題を当時の組合役員10人が寄稿しています。どの寄稿も執筆者の顔を思い出しながら「懐かしい」と思える年齢になった私も「年表」作成のお手伝いをさせていただきました。
 約200頁の大半が新聞産業関連の出来事をまとめた年表(1945年8月〜2010年5月)ですが、このように東北の新聞産業に特化する60余年の歴史をまとめた資料はほかにはないと思います。発行責任者の高橋一己さん(東奥日報労組)のご苦労が感じられます。


 冒頭に引用した、「販売正常化運動『無関心ではいられない』」は、ぜひ若手のそして編集職場の方にはぜひ目を通していただきたい寄稿です。執筆された深川さんは1992年に東北地連販売正常化委員長を務められた方。仕事のスーパーマーケットと言われる新聞社では、特に編集部門などでは販売正常化問題がいまだに理解されない方が多いものです。そのような現状に警笛を鳴らされた内容でまとめられています。
もう少し引用すると、


販売正常化は複雑な問題が絡み合い、分かりづらい面が多々ある。ここで私たちが正常化しなければならないものが、実は3つあることをあらためて確認したい。
 1つは大型景品など「拡材」の正常化だ。正常化イコール拡材のイメージがあるが、景品表示法改正により新聞価格の6か月の8%を超えない拡材であれば使用できる6・8ルールで、ひと昔前と比べればだいぶ沈静化してきた。しかし冒頭で述べたように一部地域ではいまだに出回っている。また「無代紙」も拡材と同じ性質で、やめなければならない。
 2つ目は「部数」。いまや業界で最も難しい問題か。企業の法令順守が強化されなければならない時代、部数の透明化が求められている。いわゆる「押し紙」「積み紙」を無くすことは、無駄をなくし環境に配慮することにもつながるだろう。
 3つ目は「売り方」の正常化。悪質な拡張団の一掃が必要だ。大手紙が中心の拡張団とはいえ、読者に直接向きあうセールスが悪質であれば大手も地方紙も同じで、新聞そのもののイメージを悪くし、読者の信頼を失うだけだ。(引用終わり)

 ぜひ興味のある方は読んでいただきたい…と言っても、加入組合員向けの記念誌なので入手できないのか。うぅーんもったいない。全頁PDFにして希望者へ販売してもよいと思うのですが。

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2011年11月08日

新聞産業の下流部門にいる私は思った『この記者が書いた記事を多くの人に読んでもらわねばと…』

 河北新~1.BMP
河北新報のいちばん長い日
河北新報社著(文藝春秋)1,400円

 東日本大震災からもうすぐ8カ月が経とうとしています。先々週発売されたこの本をめくり、言わずもがな新聞という産業は多くの人が携わっているのだなぁ二度読み返してつくづく感じました。そして、それぞれの部門の人たちが「新聞を発行し、読者へ届ける」ということをあきらめてしまった時点で、新聞としての役割は果たせないという怖さもあるのだと。

 今回の震災では、とても悲しくつらい思いもしましたが、新聞が届けられることを待っている人たちの期待に応えられた―という意味では、多くの新聞販売労働者が自信を持ったのではないかと思うのです。震災翌日、街灯ひとつともることのない暗がりを家族の安否も確認できないまま、新聞配達をしてくれた人たちの責任感は並大抵ではありません。専業従業員ならともかく、アルバイトの方のほとんどが休まずに配達をしてくれたという事実を、この本でもしっかりと伝えています。

 「(道路陥没などで)配達先の安全確認をしないうちに配達作業をさせた」、「福島第一原発の放射能漏れ(メルトダウン)の3日後の雨天時に配達を休止させなかった」という非難もしっかり受け止めた上で、有事の際の新聞発行については、いまでも悩むことが多いものです。「あの時の判断は正しかったのだろうか」と。
 日々、いろいろなことを反省しながら、それを忘れようとボランティア活動にハマっている自分もいるのですが、震災後のある出来事から新聞産業のアンカー役として“ふんばろう”と思ったことがあります。以前にも小ブログでも書いたのですが紹介します。
 地震直後に若手の記者が販売店へ来て「すみませんバイク貸してください」と言い残して猛スピードで立ち去って行きました。察するに津波の被害を受けた沿岸部へ取材に行ったのでしょう。ラジオでは「名取市の沿岸部には200以上の死体が…」と想像を絶する情報が流れてくる。まだ非常線が張られる前に沿岸部へ向かって大丈夫なのだろうかと心配しながら夜を明かしたことを記憶しています。そして翌朝、彼は泥だらけになったバイクを返しにきました。その表情はこわばっていて、とても見ていらるものではありませんでした。その時、思ったのです。この記者が書いた記事を多くの人に読んでもらわねば…と。

 以下に11月7日付け河北新報の書評のコーナーに掲載された同誌の書評を引用します。

 東日本大震災で自ら被災しながらも新聞を出し続けた東北ブロック紙、河北新報(本社・仙台)。2011年度新聞協会賞を受賞した一連の震災報道の舞台裏を記した迫真のドキュメントである。
 その日、交通網や電話回線はマヒし、紙面制作システムは破綻した。津波で支局が流され、販売店からは多数の犠牲者が出た。ガソリン、水、紙、食料。取材から紙面制作、配達までに要するすべてが足らない。
 それでも当日の号外を出した。停電でテレビもインターネットも使えない避難所の被災者は差し出された新聞に殺到した。
 全編を通じて心揺さぶられたのは、それぞれの持ち場で自分の仕事を全うしようとする人間の姿だ。
小学校の屋上で助けを求める人々を空撮した写真部員は、ただシャッターを押すだけの自分を責めた。津波にのまれかけた総局長は寒さに震える手で原稿を書いた。総務・営業部員らは社員のためにおにぎりを作り、販売所は新聞を読者に届けようと奔走した。
 ギリギリの状況で最後まで手放さなかったのは、事実を記録し伝える使命、そして被災者に寄り添う精神だった。こんな場面がある。
 県が推定した「万単位の死者」。見出しに被災者を突き刺す「死者」の2文字が使えるか。整理部員は迷いつつ「犠牲」に置き換えた。紙面作りは全国紙と一線を画した。
 原発が爆発した福島から一度は社命で退避した現地記者は煩悶(はんもん)した。残った住民もいるのに「地元を見捨てたも同じだ」。福島帰還がかなった後も傷は消えていない。
 現場の証言、手記、社員アンケート、企画記事、読者の声などを織り交ぜた本書は、震災史に刻んだ貴重な記録だ。同時に極限の困難に直面した地元紙が描き得た誇り高い自画像でもある。
 情報のデジタル化が進む中で、地域に根付く地元紙の底力と可能性を示す一書だ。評・片岡義博(ライター)
▽「河北新報のいちばん長い日」のご注文はコチラ↓
http://www.senpan.co.jp/shop/product.php?id=179
※宮城県外へのお届けは送料300円かかります。amazonでは送料無料ですが、ぜひ地元の新聞販売店からのご購入をお願いします。

11/8追記:さっそくご注文をいただきました!どうもありがとうございます。
・片平健次さん(京都府)
・三ッ野潤也さん(石川県)

11/9追記:購入するきっかけ「今だけ委員長のブログを見て…」どうもありがとうございます。
・小石 克さん(佐賀県)
・山崎文義さん(宮城県)

11/10追記:職場で取りまとめていただきナント10冊の注文。ありがとうございました。
・琴岡康二さん(東京都)

11/18追記:支援物資も大量に送っていただいた中国新聞深津北販売所さまからこれまた大量の書籍・DVDをご注文いただきました。
・吾川茂喜さん(広島県)

12/12追記:元新聞労連委員長の嵯峨さんにも3冊ご注文をいただきました。嵯峨さんにはワンコイン応援メッセージにもご協力いただいてます。
・嵯峨仁朗さん(北海道)




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2011年10月16日

調査報道を支えるのは「志」、「志」を支えるのは上層部の強い意志だ

  権力vs調査報道.jpg
権力VS.調査報道
編著 高田昌幸・小黒純(旬報社)2,100円

 元北海道新聞記者で道警裏金問題を追及した高田昌幸さんから、ページをめくるのがワクワクする著書を謹呈いただきました。睡魔に襲われることなく、久しぶりに一気に読めた一冊です。

 まえがきには、「本書は権力監視型調査報道の取材プロセスを明らかにし、共通項や問題点を探りだすことが狙いである」として、リクルート報道で政治権力に斬りこんだ山本博(元朝日新聞記者)、地位協定関連文書のスクープにより外交機密をえぐり出した前泊博盛(前琉球新報論説委員・沖縄国際大学教授)、高知県闇融資問題で地方権力に挑んだ佐光隆明(元高知新聞社会部長・朝日新聞特別報道センター長)、特捜検事による証拠改ざんで捜査当局の闇を暴いた板橋洋佳(元下野新聞記者・朝日新聞記者)の4氏への取材(インタビュー)で構成されています。
 最近の新聞記事やテレビなどとは違い、シナリオのない取材は“しつこい”と思うくらい徹底されていて、新聞記者の取材ってこういうものなのか(高田さんがそのような取材をしてきたのだと思いますが)と、4氏の“次の言葉”をワクワクしながら読み進められます。
 特に、調査報道の金字塔と言われるリクルート報道(山本氏への取材)では、一連のリクルートコスモス社の未公開株の賄賂をめぐって3-4人の記者が警察の捜査打ち切り後も丹念に取材し、大物政治家の不正を暴いていく報じ方は読んでいてグッとくるものがあります。さらに山本氏は、「調査報道は3つの要素がないと成り立たない」とし、第一にそのニュースが社会的に深い意味を持っているか、第二にそのニュースに国民の幅広い共感が得られるか、第三にそのニュースによってどんな効果がもたらされるか―と断言します。
 熟練記者からすると「そんなことあたり前だ」と返ってきそうですが、発表ものが紙面の多くを占めている現状からすると“もっと調査報道に徹して権力側にうごめく闇を暴いてもらいたい”と思っている読者は少なくないはず。その声にもっと応えるよう期待したいと思います。


 本書で紹介されている4氏が取り組んだ調査報道は、社会的にも大きな関心があった「大スクープ」と称されますが、地道に取材を重ねている全国紙、地方紙の記者もたくさんいます。高田さんがすごいのは「日本の現場・地方紙で読む」を発行し、日の目は浴びないけれども、ふんばっている記事(記者)も丹念に取り上げているところにある…。そのような高田さんの思いを感じながら読ませていただきました。

▽日本の現場・地方紙で読む
地方紙の存在を改めて市民に知ってもらうために世に送りだされた一冊!
http://minihanroblog.seesaa.net/article/160868372.html
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2011年09月23日

ラーメンがのびるまで週刊誌を読んだ/復興の書店

coverpage.jpg きのうの昼食時、勤務先の近くのとあるラーメン店で手にした週刊ポスト
 「どれどれ、袋とじの小向美奈子のエッチ写真でも…」とページをめくっていたら、「本に生かされた人々の記録 復興の書店(稲泉連)」という連載に目がとまりました。

復興の書店.jpg パラパラめくると河北新報社(河北出版センター)が発行した報道写真集「3・11大震災 巨大津波が襲った 発生から10日間 東北の記録」(1000円)が紹介されていました。6ページもの内容で、ほぼ実名で書かれているルポルタージュ。
 「おぉ〜すごいな、週刊誌でも真面目な写真集を取り上げるのか…」と思いながら、記録する使命感・義母を背負った中国人妻・みな泣きながら取材した―という小見出しにつられて読みはじめると、三陸新報が紙面で連載(22回)した「巨震・激流 その時記者は…」にその多くのスペースが割かれていました。これを読んだら三陸新報の写真集「巨震・激流」を買わずにいられないと感じるほど。そうこうしている間にラーメンが「汁なし」に変わっていたことは言うまでもありませんw

 震災から半年。被災地の多くの人たちは「忘れたい」と思っています。でも、この東日本大震災を被災地以外の人たちは「忘れないでほしい」と願っています。やはり体験者が書き残したり、語り継いでもらいたい…。忘れちゃいけないんですよ。

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2011年08月10日

新聞が大好きだから「いま」では満足しない

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ジャーナリズムの行方
著者 山田健太(2310円)三省堂

 個人的にも大変お世話なっている山田健太さん(専修大学准教授)が「ジャーナリズムの行方」を10日に発行されました。出版元の株式会社三省堂の飛鳥勝幸さんから謹呈いただき、ちょっと早めに読ませていただきました。

 近年、オールドメディア(マス4媒体)が衰退し、ネットメディアの躍進にばかりスポットが当てられていますが、山田さんは「僕は新聞・雑誌。書籍。テレビ・ラジオが好きだ。否、大好きだ。だからこそ、けっして『いま』の誌紙面や番組で満足はしない」と注文を付けたうえで、自由で多様なメディア活動を邪魔する輩を追い払うことが自身がやるべき使命だとも語っています。
 大学で言論法やジャーナリズム論の教鞭をふるうかたわら、新聞協会の職員時代から携わってこられた新聞を中心としたマスメディアのあり方や期待がぎっしり詰まった1冊です。50歳を過ぎた山田さん自身の中間総括だと思いながら読ませていただきましたが、現役を退いてから勝手なことを書くOBよりも現役時代に矢面に立つ(問題点を提起する)覚悟で出版されたことに意義があるのです。

※購入はコチラから↓
http://amzn.to/nW4PoV

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2011年06月09日

新聞をつくる側、売る側の舞台裏も伝えてもらいたいものです

新聞研究719号.jpg 「宮城県南三陸町にある志津川支局は、局舎が津波で跡形もなく流された」
 日本新聞協会が発行する月刊誌「新聞研究」最新号(719号)の特集は、「東日本大震災と報道」(第1回)。被災地の新聞社として河北新報社編集局長のレポート「膨大な被災者の今を伝え続ける」が掲載されています。

 地震の後、取材現場がどのような状況だったのか、読者はもとより販売店従業員もあまり聞く機会がありません。今回のレポートを読んで記者の方々の「必死の思い」が伝わってきました。特に志津川支局の記者は撮影した津波の惨劇を紙面に載せようと、息子さんの手を引き南三陸町から仙台市の本社まで5時間もかけて歩いたというのです。編集局長は震災以降、「私たちは、志津川支局の記者に代表される、記者一人一人の被災現場での取材、思い、を形にする新聞づくりを始めた」と語っています。

 ぜひ、売り手の方(販売や広告)にも読んでもらいたいと思いつつ、新聞研究ではなかなか取り上げられることのない売り手側が経験した東日本大震災のレポートも取り上げてもらいたいと感じました。


河北新報署名記事の推移.jpg 震災の前震で紙面を見比べると、一番の変化は署名記事が大幅に増えたことです。(生活文化、スポーツ面を除き)震災前には多くても4本程度だったものが(面担デスクにもよると思います)、13日の20本を皮切りに、14日17本、15日13本、16日9本、17日8本、18日11本と増えました。5月末日現在でも震災前と比較しても3倍以上に増えていると解されます。河北新報社編集委員・寺島英弥さんのブログ「余震の中で新聞を作る」も含め、「被災者(読者)へ寄り添う記事」が読者から好感を得ていると、販売側にいるとそう感じます。
 現地で取材をする記者は地域の話題を取材するだけではなく、被災者やボランティアと深いかかわりを持たなければ得られない話題を拾いあげていま様子が強くうかがえます。時にはつらい現実を突きつけてもくれます。だからこそ、読み手に臨場感が伝わり、沿岸部の被災者に対して「自分に何ができるのか」を考えさせてくれるのでしょう。

 頁数こそ全国紙の半分までしか戻っていない状況ですが、紙面は震災前よりも「記者一人一人の現場での思い」がカタチになり、その記事に読者が呼応して“震災への関心”が薄れない要因であると強く感じています。
 本来の新聞づくり。いくら「拡材」を積んでも紙面(商品)の内容に勝るものはない―。あらためてその思いを強くしました。

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2011年04月06日

報道写真集「3・11大震災 巨大津波…」の購入にご協力ください

 「3・11東日本大震災」から26日目のきょう4月6日は、「新聞をヨム日」。春の新聞週間が始まり全国各地で試読紙の街頭配布など各地でさまざまなキャンペーンが行われるはずでした。

HAPPY新聞7.jpg 今だけ委員長も仕事で400世帯超のマンション内で試読紙配布の段取りを管理組合とつめていた矢先に「ドッカーン」ときてしまい、その取り組みもキャンセルせざるをえませんでした。とても残念ですが仕方ありません。
 配布する予定だった「HAPPY新聞7」(日本新聞協会発行・タブ12頁)も手つかずのままですが、せっかくなのでどこかに配りたいなぁと考えています。最終面の江口洋介さんのインタ記事も結構読み応えありますね。


 家屋の倒半壊や退去命令が出されたマンションの住民が避難所生活を余儀なくされていることもあって、販売店にも「一時避難のため購読休止」の連絡が鳴りやまず、配達部数が相当減少しています。折込チラシも「自粛ムード(ACのテレビCMなど)」に影響されているのか、3月11日以前に戻るまでは相当の時間が掛ると思われます。

 一方、とてもありがたい動きもあります。先日仙台を訪れた神戸新聞DS労組の方の口添えなのでしょう、震災以降、神戸市在住の方からの新聞(郵送)の申し込みが15件も寄せられています。そのほか、沖縄県に住んでいる方からも購読申し込みが来ているというのです。「被災地の情報が必要」という方もいらっしゃると思いますが、被災地で発行を続ける新聞社への支援を新聞購読という形で表してくれる方も少なくないと感じています。とてもありがたいことです。
* * *
1301536276_m[1].jpg 当ブログでは「広告を載せるとアクセス数を稼ぐことが目的化しているように捉えられるので注意を」というある方の指摘を受け、アフィリエイト広告などを一切組み込まずにこの5年間運営してきました。しかし、今回の震災による二次的な被害として新聞社及び販売店の経営危機があげられます。津波の被害を受けた沿岸部の販売店の存続問題も深刻ですが、新聞社と多くの販売店の経営が元の状態に戻れるのかどうか不安が拭いきれません。もちろん「戻す」ために全力をあげるわけですが、労働者の雇用についても不安定な状況にさらされることも想定されます。
 何とか1円でも多く収入をあげたいという思いから、当ブログへ所属販売店の「書籍販売」のリンクを張ることとしました。販売するのは、報道写真集「3・11大震災 巨大津波が襲った 発生から10日間 東北の記録」(税込価格1000円)。A4判128ページ、4月9日発行。

 ぜひ、多くの皆さまに購入いただきますようお願いします。

▽注文はこちらのサイトから↓
http://www.senpan.co.jp/shop/product.php?id=168

【お知らせ】
4月12日から河北仙販HPからの注文が復旧しました。
上記アドレスからご注文ください。

【お詫び】
上記サイトからの注文ができない状況になっています。ご迷惑をおかけして大変申し訳ございません。不具合の原因や上記サイトでの注文受付を削除したことについては、同じ社内でありながら全く連絡を受けていますというお恥ずかしい状況です。まだまだ顧客を向いた仕事をしていないと反省しております。ご勘弁を…。

引き続き、今だけ委員長サイトからの注文を以下のメールから受け付けています。引き続き、よろしくお願いします。

koseki.k@gmail.com


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2011年01月14日

週刊誌の広告、テレビ欄、マンガ、死亡記事の順によく読まれるのが「新聞」

現代語裏辞典.jpg
現代語裏辞典
著者 筒井康隆(文藝春秋)2,415円

 断筆宣言をしたりその後解除したり俳優業もこなす変人の筒井康隆さんが、変人らしく現代語を斜め後ろから(かなりエロく)パロッた現代風刺(?)。文藝春秋の「オール讀物」や月刊誌「遊歩人」に連載されたものを再編集したもので、昨年7月30日に発行されました。
東洋大准教授の水野さんから「こそっ」と教えてもらい、図書館に予約をして3カ月待ちでやっと読め(なぞり)ました。他人事だと笑えるのですが、新聞に関係ある用語の解説は「グサリ」とくるものがほとんど。唸りながらも笑ってしまうところが筒井さんのワザなのでしょう。

 新聞に関係するものを引用しますが、「今だけ委員長がこう言っている」なんて受け取らないでくださいね。たまには笑いネタもいいじゃないですか。
* * *
あさひ【朝日】まだ出ていないうちにくる新聞。
きじ【記事】わずかの事実に多くの誤りと推測を付加した自動的な報道文。
きしゃかいけん【記者会見】一挙に取材者と対面して時間の無駄を省く方法だが、それでもまだ単独インタヴューを望まれる。
きしゃだん【記者団】答えてもらえないことがわかっていながら質問しなければならない気の毒な集団。
ぎぜん【偽善】マスコミの振りかざす正義。
けいさいし【掲載紙】たいていは数日後に送ってくる。過ちは訂正できない。
げんろん【言論】権力、財力、腕力のない者の武器。ただしマスコミの言論のみは暴力となり得る。
こうこく【広告】あると邪魔だがないと寂しい。
ごほう【誤報】訂正記事は常に小さい。
じけんきしゃ【事件記者】事件を起こす記者。
じつりょくしゃ【実力者】マスコミに悪口を書かれているうちは真の実力者ではない。
ジャーナリスト【journalist】真実を非文学的に追及する人。
しゃかいがく【社会学】新聞記者志望のものが学ぶが、役には立たない。
しゃかいめん【社会面】子供の頃はマンガを読み、青年時代は三面記事を読み、老年になると死亡欄を読む。
しゃせつ【社説】これが社員全員の意見であると嘘をついている記事。
じゅうぐんきしゃ【従軍記者】@ピュリッツァー賞への第一歩。A死んでも良いと社に思われている記者。
しゅざい【取材】救いの神と歓迎されたり、情報乞食と罵倒されたりする仕事。
しんぶん【新聞】週刊誌の広告、テレビ欄、マンガ、死亡記事の順によく読まれる。
そくほう【速報】誤報が多い。
ぞくほう【続報】速報の誤報をさりげなく訂正する報道。
ダイレクトメール【direct mail】ゴミ箱に直行するメール。
ちょうかん【朝刊】これを読んでから寝る人もいる。
ちょうちんきじ【提灯記事】記者自らファンであるタレントのことを書いた記事。
とくだね【特種】野心で眼がギラギラさせている記者には絶対に転がり込まない。
はいかん【廃刊】編集者の志が高かったため。
びだん【美談】悲惨な記事がない時の埋め草。
ひょうげん【表現】自由であると皆が言い、自由でないことは皆が知っている。
マスコミ【mass communication】タレコミ、追込み、ツッコミ、聞込み、思い込み、早呑み込みの媒体。
よみうりしんぶん【読売新聞】中央公論新社の親会社。ナベツネ新聞。
りんてんき【輪転機】敵はバケツ一杯の砂。
ろんせついいん【論説委員】新聞記者の終着点。

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2011年01月04日

販売労働者サワダオサムの遺稿集となってはいるが…

  底辺から新聞を撃つ.jpg
底辺から新聞を撃つ―小説・毎日新聞不正経理事件他―
著者 サワダ オサム(いちい書房)1,800円+税


 2011年元日、年賀状に交じって届いたメール便。送り主は沢田治さんで開封してみると「底辺から…」と題された1冊の本がセンスよい装丁に包まれて届けられました。
「サワダ通信」の読者に贈呈します。カンパなど気遣いなされぬように願います
 沢田さんらしいひと言が添えられてありました。

 昨年5月15日号で休止した個人誌「壁」。そのなかにも「続・新聞幻想論」が連載されていたので、「封印してあることをいつか書く時がくるかもしれんなぁ」と語っていたことを思い出しながら、またそれが沢田さんの元気の源なのだと勝手な解釈をして頁をめくりました。
 300頁にわたる本文には1986年当時に毎日新聞社販売局で起きた不正経理事件を小説仕立てして描かれてあります。小説というからにはフィクションも含まれているのかと勘繰ってしまうものですが、これまで18年来の沢田さんとの付き合いから「嘘をつくと必ず喧嘩に負ける」と言ってはばからなかった負けず嫌いの澤田さんのことだから、事実に基づいて(人名は変えてありますが)書かれたものと思います。
 昔は「販売担当になると家1軒建つ」とか言われ、販売店に対する補助金などを裏金にして私腹を肥やした人が少なくないと先輩方から聞かされたものです。いまはそんな余裕もずさんな体質も改まったようですが…。その意味では当時、どこの新聞社(販売局)でも内包していたずさんな経理処理の問題であっただけに沢田さんは外部に対してではなく、新聞社内部へ向けて「値上げ反対」などのたたかうネタとして使っていたのだろうと想像します。

 エ
ッセイ集には22作品がエントリーされていて、新聞販売を題材にした幅広い著作の一文が引用されているので、業界外の人たち(作家)が見た“新聞販売現場”が臨場感たっぷりに記されていて読み応えがあります。
 そのほか、押し紙裁判での資料(陳述書)などが収められているので、新聞販売問題の資料としての価値もあると思います。あとがきには「遺稿集である」と書かれてありますが、もう2〜3冊は大丈夫でしょう。


 新聞販売問題を語るのはとても勇気のあることだと心底から思います。業界内部にいると「この業界を去る」と決意をした人か、すでに業界を去ったOBしか真実を語ることはありません。この不条理をため込みながら口をつぐみ会社員として生き抜く新聞社員、金の亡者と化す販売店主、そして団結もできない労働者…。
 沢田さんの不屈の精神を感じながら、新聞への信頼は紙面だけではなく売り方も、そして販売店との取引関係も正常でなければ真の信頼は得られないのだとあらためて思いました。「モラルハザード」の意味を噛みしめながら、自分で責任を持てる範囲で行動していこうと思います。

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2010年11月28日

新聞の販売正常化は、玉ねぎの皮をむくのと同じ

  新聞この仁義なき戦い.jpg
新聞この仁義なき戦い〈朝毎読泥沼の販売戦略〉
著者 内藤国夫(大陸書房)980円


 古本屋で見つけた本書。28年前の初版とはいえ1,500円の価格は少々割高。新聞販売問題を取り上げた書籍はその手の人たち(新聞関係者)しか買わないので、あまり流通していないのだろうと思いつつ購入しました。
 著者は元毎日新聞記者の内藤国夫氏。退社後は「創価学会の野望」などいわゆるタブーなネタを題材に評論、著述活動をしたジャーナリストで、1999年6月9日に食道がんで亡くなられています。


 これまで発行された新聞販売問題に関する書籍は、総論的な問題提起については新聞社販売系OBが自らの責任を棚上げして一方的に書き連ねるものと、新聞販売労働者もしくはフリージャーナリストが新聞再生への提起はそっちのけで「新聞没落」を自らの正義と錯覚して書かれているものとに分かれるように思います。
 本書は新聞社内部の構造を知る著者が、販売店や拡張団の従業員として働き(潜伏取材)、実際に販売問題の争点や内部のからくりを丹念に取材し「新聞はこうあるべきだ」という理想論ではなく、冷静な分析による問題提起がされています。著者の指摘として「発行本社と販売店との間の正常化、さらに販売店と読者の間の正常化の二段階があり、発行本社と販売店との間の正常化は、本社首脳の決意次第で早期実施も可能だが、販売店と読者の間の正常化は至難である」、「販売乱戦を正常化したら、なるほど、紙面がこんなにもよくなるものか、と読者がはっきり納得できるかたちで、紙面づくりにこそ貴重なカネを投じてほしいものである」とも記述しています。


 日本新聞協会加盟社が最初の販売正常化共同宣言(1977年)をするも治まることのなかった朝読拡販戦争(当時は「拡材VS無代紙」と称され大型拡材を使う読売に対して無代紙で長期契約を取る朝日と揶揄された)、新聞公正取引協議会での議論や当時の同協議会委員長を務めた丸山巌氏(読売新聞社専務取締役販売担当)と古屋哲夫氏(朝日新聞社常務取締役販売担当)へのインタビューとともに収録されています。
 販売正常化を具現化するために読売の丸山氏がぶち上げた「増減管理センター」構想は、実現されなかったものの一考の価値はありそうです(著者は毎日新聞社の反対で消滅したと解説している)。


増減管理センター案(本書より引用)
■第一案 第三者が間に入り発行本社と販売店の部数を店の自由意思決定を受け確定する。また各店―調査をする。
■第二案 一年間は調査事務局を作る。拡材など急になくならないだろうから監視機能をもたせる。ただ、部数を確定する作業は行わない。(時限立法)
■第三案 支部協に部数増減センター的機能を付与する。発行本社からの部数報告を受け、一、二案同様に調査を行う。
 要は第三者が入るかどうか、部数確定を発行本社がするのか、第三者を通じてするのかがポイント。
■共集制 配達は各系統ごとに行うが、集金を一つの事務所で各系統全てを行う。中央区月島、足立区小台、大田区羽田は今も実施されている。押し紙・無代紙をなくす方法として考案された。

 新聞の販売正常化は、玉ねぎの皮をむくのと同じだと先輩たちが話していました。いくらむいてもきりがなく、むいているうちに中身がなくなってしまう―と皮肉ったもの。
 新聞業界は(流通部門で)商品の価値を自ら下げてきたのですから、正常化は孫さんのいう「光の道」よりも厳しい「いばらの道」であることは販売関係者であれば誰もが理解するところ。昨年10月から新聞公正取引協議会主導による関西地区での販売正常化の取り組みも「販売店と読者の間の正常化」でしかありません。結局は押し紙を販売店へ送りつけることで新聞社の経営が成り立っている以上、本当の販売正常化などあり得ません。「いばらの道」を避けて通ることしかできないのが新聞業界に勤める人たちの本質なのかもしれません。

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2010年08月28日

地方紙の存在を改めて市民に知ってもらうために世に送りだされた一冊!

  日本の現場.jpg
日本の現場(地方紙で読む)
編者 高田昌幸・清水真(旬報社)2,625円


 600頁を超す分厚い本なのにサクッと読み終えました。やはり新聞記事というものはよく要点が整理され、文章にムダがありません。取材した記者の原稿はもっと膨大であっただろうに、整理部門の手に掛ると新聞紙面という限られたスペースの中で、読者の側に立って読みやすく記事をまとめてくれるのでしょう。小ブログのようなダラダラとまとまりのない文章とは違い、やはり“プロの技”なのだと感じました。


 本書は2008年末から09年11月の約1年間に地方紙(30社)の記者が取材し、紙面に連載(トピックス)された記事を、北海道新聞社の高田昌幸と清水真の両氏が数百本の記事からピックアップしたものが納められています。その数52本。
 編者の高田氏は「はじめに」のなかで、「同じ地方紙で働く多くの方々に対しては、ある意味、非常に不遜な行為だったのかもしれず、最後まで、居心地の悪さは消えなかった」と書かれています。「ここに収容されなかった記事の中にも、優れた内容のものは、それこそ無数にある」とは当然のことで、高田氏と清水氏の主観でピックアップ(いわばより多くの人たちに読んでもらいたいと思った記事)されたものだから「読む価値がある」と感じる方も少なくないと思います。「あの高田さんが選んだ新聞記事ならば…」と。


 どの記事も「地方には地方の問題が存在し、地方の目線で社会(地域コミュニティ)へ問題提起(コミット)していく」という地方紙記者のスタンスが鮮明であることに気づきます。ほとんどが署名記事なので旧知の記者も3人ほどいらっしゃいました。


 共著者の清水氏が「地方紙の存在証明」という論文を寄稿しています。清水氏が地方紙記者との会談の場で感じたことが「自分の書いた記事を他の地域の人に読んでもらえたら」という思いを強く持っていることだといいます。清水氏は「インターネット上で読めるニュースは、とても短く本数も限られていると同時に、実は地方紙からの配信は少ないことがわかる。日本の新聞社はインターネットから遠ざかっている」と指摘。部数減や広告減で厳しい経営にさらされている新聞社が、技術的(課金など)にインターネットを活用できる環境を構築するのは別な場で議論しなければならないとしながらも、取材報道の観点から、地方紙が果たすべき役割を問い直す必要があると言及しています。
 清水氏とは4年ほど前に立教大で開いたローカル・メディア・ネットワーク主催のセミナーでお世話になったことがあるのですが、やはり新聞を愛している方なのだとあらためて感じました。


 毎日発行される新聞。そしてその新聞を構成している記事(最近はコンテンツなどといわれていますが)は、時風を見極めながら「紙」にパッケージ化されて定期購読者へ届けられます。それがインターネットでひっきりなしに記事だけが洪水のように流れるようになると、感動して元気が沸いたり、人生を大きく左右するような記事との出会いが逆に少なくなっていくように思います。
 この本が訴えているように新聞は日々の事象を伝えることばかりではなく、記者が伝えたいこと、伝えなければならないことを地域住民の目線で問題提起がされているはず。それは行き着くところ、住みよい街づくりへのコミュニケーションツールとしての役割も新聞は担っていると思うのです。


※高田昌幸さん(著者)から謹呈していただきました。感謝!

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2010年06月28日

出版文化を守ることは出版社のビジネスモデルを維持させることではない

  電子書籍の衝撃.jpg
電子書籍の衝撃

著者 佐々木俊尚(ディスカヴァー携書)1,100円


 「ソーシャルメディア時代」を背景に、音楽に続いて本も「セルフパブリッシングの時代」へ突入する。
 アマゾンのキンドルやアップルのアイパッドのような電子書籍を手軽に購入、読むことができるデバイスの登場に、大騒ぎをしている出版業界をはじめとする「紙」業界ですが、著者はそのようなレベルの話に止まりません。音楽産業のデジタル化の流れを検証しながら、ネット社会がもたらした「誰でも発信できる」ことについてもきちんとおさらいをしてくれます。これまで「売れる本」を過剰な宣伝・広告費を投じて作り上げてきた出版社に対して、コンテンツの価値観はマスメディア(大手広告会社)の影響によるものではなくなり、消費者自身が判断しかつ興味のあるコミュニティを中心にコンテンツの売り買いがなされ、作者(著者)へ適正な対価が支払われる仕組みが出来上がってきたと。


 「本を読む」「本を買う」「本を書く」という行為そのものが、ネット社会、アイパッドなどの電子書籍を購入しやすい環境を提供するデバイスの登場によってどのように変わっていくのかが具体的に示されています。そしてプラットフォーム牛耳ろうとアマゾン、アップル、グーグルなどの大手IT企業の覇権争いについても要点を押さえてくれています。


 新聞業界の内側にいる人はどう読むのかなぁ。「一覧性に欠ける」「デバイスを買い替えるコスト高」「いちいちダウンロードする手間」などの理由で、やはり「紙」に分があると思っている人が大半でしょう。確かにいまの新聞購読層は中高年世代が主流なので、「紙」をベースにビジネスを展開せざるを得ないというのはその通りなのですが、アイパッドを使ってみて電子新聞もけっこうイケると感じています。広告面をタッチするとそのクライアントのサイトへ飛ぶというレベルではなく、記事を翻訳して英語や中国語に変換できたり、記事をタッチすると音声サービスついていたり、記事を書いた記者が飛び出したり、記事中の単語とウィキペディアが連動していたり…。こんなサービスが提供される日も近いのでしょう。これは使ってみないとわからないと思います。


 電子書籍の台頭で出版文化が危うい状況にさらされる―という意見もあるようですが、出版文化を守ることは出版社のビジネスモデルを維持させることではないと思います。新聞の場合はちょっと違うと思いますが。
 音楽が抜きんでた新たなデジタル生態系が書籍にまで広がってきたという捉え方ではなく、モノの売り買い、そして発信する行為自体がフラット化されていくことが理解できる1冊です。紙メディアの中にいる人にぜひ読んでもらいたいものです。

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2010年05月07日

数字は嘘をつかないが、その数字に嘘があっては無駄な分析に終わる…

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データブック 日本の新聞 2010
日本新聞協会 500円

 「日本新聞協会のサイトを見れば把握できるのに…」と思いながら、ついつい手元に置きたくなるデータブック。1999年度版から購入しはじめたので11冊目となりました。新聞社に勤めている方は「会社が買ってくれる」ものを仕事に活用していると思いますが、私のような新聞販売店に身をおくものは個人で購入して(あまり仕事には役立ちませんが)いろいろなデータを参照しています。


 2009年10月現在の新聞総発行部数は、50,352,831部で前年比1,138,578の減少。1世帯当たりの部数(普及率)は1部を割った2008年からさらに減り、0.95部。広告収入もさることながら販売収入も厳しい状況が続き、今後値上げをしなければ、販売収入が前年を上回ることは極めて困難な時代にあるのは間違いありません。
 データブックが強調するのは「新聞の戸別宅配率」。「日刊紙全体の94.7%が戸別配達によって読者へ定時に届けられ購読収入を得ている」ということのアピールだと受け止められます。だから「これまでのビジネスモデルを崩すことはできない」ということなのかもしれませんが、それはそれとして、生活者のニーズを無視して“これまで”にしがみつくと誰からも見放される危険もあると感じます。多くの新聞経営陣も「戸別宅配を守ることが…」というフレーズをよく使いますね。


 戸別宅配網は新聞業界が培ってきた「地域インフラ」のひとつ。生活者の情報摂取のあり方が変化してきているなか、そのインフラを多様に活用して収益をあげることを考えた方がよいと、ずっと言い続けているのですが(能力不足で)無視され続けているのが現状です。


 販売店従業員(販売店数)の数は2009年で404,865人。部数に準じて前年比では12,304人減っているものの、40万人を超す人たちが新聞産業の底辺を支えているのはスゴイことだとあらためて思います。逆な言い方をすれば、この40万の方々も読者であるということです。

 時勢を読む―。数字の動きを見ていると意外なものが発見できます。でもその前提となる公称部数に偽りがあっては虚構の解析で終わってしまいますが…。

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2010年04月30日

当事者の発信を助け、つながる「個」のメディアへ

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放送メディア研究 7
編集 日本放送協会放送文化研究所(丸善)1,800円


 本誌はNHK放送文化研究所が2003年から、「放送」を軸にさまざまなメディア環境の変化とその課題を毎年まとめたもので、今年3月10日発行分で7号(7年目)となるそうです。
 じつは当方、本誌の存在を知らなかったのですが、寺島英弥さん(河北新報社)から頂戴して「さずがはNHK。幅の広いメディア論を考察している方々を人選し、それぞれの論文をまとめているなぁ」という印象を持ちました。


 今号のテーマは「都市、地域、メディアの関係性を再考する」というもの。本文から引用すると、


 「地域再生」や「地域主権」「都市と地方の格差是正」などがキャッチフレーズとして叫ばれる中で、地域メディア(地域放送、地方紙、コミュニティメディア等)の存在意義、可能性がさまざまな形で問われている。しかし、そもそも地域とは何か、地方とは何なのか。急激に進んだ都市化と人々のライフスタイルの変化の中、その輪郭や実態は曖昧化・不明瞭化し続けている。本特集は、地方自治論、郊外論、社会関係資本論など諸分野の新しい知見をも踏まえながら、情報化、グローバル化が進む中で今も変貌を続ける都市と地方、そしてメディアの関係性を捉え直し、今後の「地域情報」「地域メディア」「地域放送」のあり方、可能性、課題を考察することを意図している。

 8人の識者へのインタ記事と論文、座談会で構成されていますが、メディアという大きなくくりの中で、新聞産業にも相通じるところは少なくありません。

 地域メディアの可能性への視軸として、前出の寺島さんが「地域で生きるジャーナリスト像とは」と題した論文を発表しています。
 新聞人は「つながるジャーナリズム」を、地方紙の役割は「地域支援NPO」を目指すこと。寺島さんの論考は地域で生活する人々のために存在するのが新聞であり、マスメディアの役割との視点でまとめられています。河北新報社の生活文化部で取り組んだ「雇用不安問題にNPOと協働」、「自死遺族の運動、全国に広がる」を通じて、シビック・ジャーナリズムを実践していく記者と当事者との関係は、その記事を読んだ私にとって「ひざを打つ」ことばかり。「情報リテラシー」をしっかり根付かせるためにも、書き手の側がどういう思いで発信したのかを掘り下げて解説してほしいと感じました。限られた紙面スペースですべてを伝えきることは難しいのかもしれませんが、「である調」の書き方だと特に「伝え手」の気持ちが伝わりづらいものです。

 さらに、昨年から取り組んでいる「SWITCH‐ONプロジェクト」にも触れ、これまでの軍隊方式に慣らされてきた新聞人と新聞(この表現は今だけ委員長の勝手な解釈)を変えるための「記者教育」の重要性とその活動が広がっていることへ期待を寄せています。寺島さんは論文のまとめとして、「地域の発信の主体とつながる担い手づくりへの提案」という8つの提言をされています。

1. 役割:記者には専門家としてのライセンスはない。購読料の有無に関わらず,地域に暮らす人々から,その個々の表現する権利,知る権利の実現を託され,あるいは手助けをする仕事と考える。それゆえ記者は,声あるところへ行き,当事者の語るもの(ナラティブ)を聴き,自ら調べ,声を地域や社会に「つなぐ」役割を有する。新聞を常に,多様な当事者に開かれた場とすることに努める。

2. 姿勢:権力をチェックし問題や不正を明らかにすることも,見えない存在であった当事者の声を地域につなぐことも,「草の根デモクラシーを強める」というジャーナリズムの仕事の同じ働きである。大切なのは,正義の強者となることではない。地域,社会には多様な人の声,多元的な価値観があり,記者の見方はその一つに過ぎないという事実,そして地域の人々から負託を受ける記者として何を質問すべきかという原点を,常に省みる姿勢である。

3. 倫理:記者の倫理は,市民としての(一個の人としての)倫理に同じ。市民にできなくて,記者にできることは,すべて特権である。市民のジャーナリストは何の特権をもたない。読者から負託された仕事という観点から,日常の「特権」を一つひとつ洗い直し,仕事の実現に必要で公正なものか,改めるべきものかを洗い直さなくてはならない。

4. 客観性:客観性とは,離れてながめることではない。記者は,被取材者に対し「わからない他者」であるとの自覚から出発する。発表やネットなどに流通する情報に頼らず,当事者の語るものから出発し,事実の多角的な調査と,執筆にあたってはあらゆる確認を行う。その過程における記者と当事者の議論,報道後の読者の評価と批判,当事者を交えた検証などを通した協働作業によって,客客観性は鍛え上げられる。

5. 署名:記者は,地域のさまざまな当事者の「生きた言葉」の伝え手である。記者自身も,「生きた言葉」を共有する書き手でなくてはならない。調べ,書いた者の責任と読者の信頼を担保するとともに,記事を通して記者を知り,発信の手助けを望む新たな当事者との出会い,つながりをつくるために署名は必要である。また署名を通して,新聞が記者の多様な意見を重んじ,開かれた場であることを示すことは,市民や専門家ら地域の書き手の発掘,参加にもつながる。

6. 責任:責任(responsibility)とは,向き合う相手の発する問いを受け止め,応答する(response)ことに始まる。記者は,読者からの負託に応える仕事であり,読者の疑問や批判,意見に応えることも仕事である。報道被害の取り返しのつかなさを常に自覚し,誤りの是正,当事者を交えた検証にも直ちに対応する。

7. 評価:報道への評価は,読者によって行われるべきもの。それを受け止める窓口となり,問題点を調べ,責任を持って編集の現場に改善を促す権限のある部署を設ける必要がある。それによって,新聞と読者の双方向のつながり,信頼を確かなものとできる。米国の新聞におけるオンブズマン,パブリック・エディターなどの仕事が範となる。

8. 教育:一人ひとりの記者が以上のような「つながるジャーナリズム」を実践するためにも,新聞は,それに必要な教育の仕組みを整える。記者たちが小さな成功と失敗を学び,異なる現場での実践と課題を知り,共有する議論の場を設ける。また大学や他のメディアなどとも連携し,自らの仕事と経験を見つめ直し,新聞のジャーナリズムを別の視点から議論し,協働を学べるような多様な人々との交流の場をつくる。


 このほか、ブログ「ガ島通信」を運営している藤代裕之さんや東海大学専任教授の水島久光さんの論文も興味深く拝見しました。ぜひご一読を。

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2010年03月03日

無購読者に新聞研究「記者読本」を読んでもらいたい

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新聞研究(704)記者読本2010
社団法人日本新聞協会(840円)

 「無購読者にはこれを読んでもらいたい」そう思いました。
 毎年、新聞研究の3月号は「記者読本」と称して、4月から新聞社で働く新入社員へのメッセージ集で構成されています。
 「記者となる君へ」というキーワードでベテラン記者からのメッセージや先輩記者からの体験談などは、「こういう先輩のもとで働くのはオモシロイだろうなぁ…キツそうだけど」と勝手に回想してしまいます。
 筆者の先輩方のなかには、磯野彰彦さん(毎日)や具志堅学さん(沖タイ)などお世話になった方の寄稿もあって、大変興味深く読みました。なかでも高知新聞の山岡さんの文章はとても印象深く、強面の編集局長(実は心優しのでしょう)のイメージが伝わってきます。新聞はこういう人たちが作っているのだ―と思いながら新聞を手にすると、また一味違った「新聞の読み方」ができると思います。

 「新聞は読まない」なんていう方には、今号を読んでもらってから「どうです。新聞読みたくなりませんか?」と口説いてみたいですね。


 「記者読本」と銘打っているわけですから、記者職の先輩方の記憶が多いのは当然ですが、新聞協会の販売と広告の両委員長からも営業職場の現状が綴られています。
 もちろん販売労働者ですから販売委員長の飯田真也さん(朝日)の寄稿から読みました。表題は「経営安定の努力続ける」。不正常販売の問題点を指摘し、「今後は販売店間の業務提携も進み、戸別配達も合理化されてさらなる経費削減につながる」との見解を示しています。さらに、「新聞の報道・言論は公平で正確でなければならない。そのために欠かせない経営の安定を図り、一人でも多くの方に読んでいただくために我々『販売人』は全力を挙げる」と結んでいます。
 これまで、販売委員長が不正常な販売の実態を示しながら改善に取り組むといった内容を表記するのは、はじめてではないかと思います。さらに、経営を守るために販売はさまざまな合理化(経費削減)に取り組むという書き方も。昨年同月発行の新聞研究を引っ張り出して、当時の販売委員長(船瀬さん・日経)の寄稿を見てみたら、「報道の自由支える個別宅配網」という表題で、「新聞事業の根幹は日々読者の元へ届ける戸別宅配網である。世界に冠たる日本の個別宅配網を維持、強化する必要がある」と書かれてありました。
 そうそう、これまでは宅配網の維持を前面に出して書かれていたのです。ところが、飯田さんになってからいろいろと変わってきた。経営を守るために販売は合理化(正常化)に取り組むと…。

 改革派の飯田さんを応援したいと思う一方で、無謀な合理化には断固反対です。配達従業員もまた地域の読者であり、業界構造の根底にある発行本社と販売店の取引関係を適正化することが優先されるべきだと思っています。


 話は脱線しますが、新聞研究を発行する日本新聞協会に勤めていた阿部裕行さん(事務局次長兼経営業務部長)が、地元の多摩市長選(4月4日告示、同11日投開票)へ立候補するため、2月に退職したという話を今日伺いました。少々びっくりしましたが、「あの方ならば」という気持ちです。
 阿部さんには新聞労連の役員時代に春闘要請行動の段取りや、産業政策研究会メンバーと協会職員の方々とのディスカッションの場を設けていただくなど、大変お世話になりました。新聞というキーワードでのつながりはなくなるのかもしれませんが、多摩市民のためにご奮闘されることを願っています。

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2010年02月15日

とうとう断末魔… 

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週刊東洋経済2/20「新聞・テレビ断末魔 再生か破滅か」
東洋経済新報社(690円)

 輪転機で刷られる新聞がどこか懐かしいような雰囲気を漂わせるセピア色の表紙。注視書きには「かつて高速輪転機は速報のための武器だった。が、今では重たい負の遺産へと変質しつつある」と…

 週刊東洋経済が新聞(テレビ)業界を1年1カ月ぶりに特集した今号は、前回の「テレビ・新聞陥落」以降、延べ53頁の特集に目を通して「この1年間でいろいろな動きがあったなぁ」と思わずうなずきながら、新聞産業で起こった出来事をしっかり取材してあるなぁという印象を持ちました。前回の特集は「立ち読みレベル」(ゴメンナサイ)と評させていただきましたが、今号はしっかりしてます。

 WSJジャパンの北尾吉孝代表やクロスオーナーシップを問題視した原口一博総務相のインタ記事は、もうひと突っ込みを入れてほしかった気もしますが読んでおくべき、クリス・アンダーソンの「無料経済で新聞経営は大きく変わる」はイマイチという感じでしょうか。
 ほとんどの記事が見開き2ページの読み切りで、係数資料も豊富でわかりやすい。さらに、全国紙だけを取り上げるのではなく、「地方紙のサバイバル戦略」として7つの新聞社の取り組みを紹介するなど、「これは業界人も読んでおいたほうがよいのでは?」と思う記事が盛りだくさんですね。
 あとは、相変わらず日本経済新聞を持ち上げる感じが伝わってきますが、日経が3月からサービスを開始する日経新聞電子版の全容が明かされています。昨年末で日経を退社された坪田知己さん(日経デジタルコア所長)も「日経電子版の成功条件」を寄稿されています。

 「再生か破滅か」とおどおどしい副題に、「こんなもの!」と強がって見せても、隠密に購入している新聞経営者も少なくないと思います。意外と内部にいる人は自分たちの産業がどの方向へ動こうとしているのか理解していない人が多いように感じます。周りの意見を聞かずに“自分が決めるのだ”と思っている人の方が大多数でしょうから…。でもこれって“読者の声を聞かない”ことの裏返しなのだということをもう一度考えてみてはどうでしょうか。

東洋経済中吊り.jpg

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2010年01月11日

メディア・コングロマリットから「メディア・インテグレーター」へ

次に来るメディアは何か.jpg
次に来るメディアは何か
著者 河内 孝(ちくま新書)740円

 昨年秋ごろから、新聞没落系の新刊(ネットでは記者クラブ問題など盛り上がっていますが…)が出ていなかったのですが、先週発売された河内孝さんの「次に来るメディアは何か」を読みました。

 河内さん自身、慶応大のメディア・コミュニケーション研究所で「メディア産業論」の講座を持っていることから、学生に対して講義した「メディア融合現象」の2年間の講義録というか、河内さんが「マイコミ・ジャーナル」などのネットメディアで寄稿した論文の“まとめ”という感じを受けました。


 第1章では、米国のメディア産業に精通されている河内さんが米国の新聞事情とジャーナリズムを保護するための米議会やNPOの動き、そしてグーグルの戦略がまとめられています。第2章の「化石のような日本メディア界」では、新聞については「新聞社―破綻したビジネスモデル」以上の考察はありませんでしたが、放送業界の分析やFCC(連邦通信委員会)ICT(情報通信技術)の解説はとてもわかりやすいものです。そして、第3章で「次に来るメディア」の結論を導いています。
 河内さんが主張する次のメディアは「メディア・インテグレーター」。横文字は汎用性が広いのですが、いわゆる無数のネットメディアをコンシェルする「個メディア」がキーポイント。この辺りの話は、坪田さん(日経メディアラボ所長)も言及しています。メディア・コングロマリットとして、「フジ・メディア・ホールディングス」(日枝会長への取材も掲載)の将来展望についても詳しく分析されています。

 そして、この書のキモは河内さんの2012年メディアの「再編政図(予測)」です。


1.日本のメディア界は、4大メジャーと2つのユニークな独立グループによる6グループに集約されていく

2.4大メジャーとは、NHK、フジ・メディア・ホールディングス、読売新聞・日本テレビグループ、朝日新聞・テレビ朝日グループ

3.独立のメディア・グループが2つ生まれる。経済情報の総合化を目指す日本経済新聞グループと、ジャーニーズ事務所、エイベックス、吉本興業連合によるコンテンツ制作と番組販売のメディア・グループ「JAY」(ジャニーズ・エイベックス・吉本)

4.通信キャリアとの組み合わせは、KDDIが朝日グループに、ドコモはフジ・メディア・ホールディングスに、ソフトバンクは読売グループと一体化する可能性が高い

5.日本経済新聞グループは、経済情報に特化した情報プロバイダーとして独立した企業経営体を維持する

6.産経新聞社は、時事通信社と合体し、フジ・メディア・ホールディングスのグループ子会社となる

 これまでは、「そんなの現実性がない」と一刀両断を食らう予測だったのかもしれませんが、この時代、どれも「あり得ないことではない」と思います。

 河内さんが07年冬にコロンビア大学院へ短期滞在中に同大学院ビジネススクールのエリ・ノーム教授が研究する「メディア・コングロマリットの生成とその功罪」が随所に引用されていますが、1944年生まれの河内さんが07年に米国の大学へ講義を受けにいく…すごい。

 新聞産業の今後というより、放送やケータイキャリアを含めた日本のメディア産業の行く末を、米国で起こっている状況に照らし合わせ、かつ政権交代によって流れが変わるかもしれない情報通信法(通信と放送の融合)の動きに当てはめて解説されています。

 「見たくない現実からは目をそらしたい」という新聞経営者へぜひ薦めたい一冊です。

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2009年12月26日

強烈な見出しに反比例する内容の薄さ…

 ZAITEN.jpg
ZAITEN(2010年2月号)
財界展望新社(630円)


 「メディアを越えた大再編開始」/「テレビ」「新聞」生存への最終章―

 見出しだけを読むとインパクトがありそうですが、「これで特集か」と首をかしげる内容の薄さでした。新聞に関連するものは、元毎日新聞常務の河内孝さんの論文(メディア再編)とフリージャーナリストの小川裕夫氏によるレポート(記者クラブ制度)のみ。編集者の論もなく、(週刊誌的な)巨大マスコミと対峙するという気合も伝わってきません。

 もう、見出しだけでは興味を引くこともないくらい、オールドメディアの厳しい状況は広く理解されていますから、切り口を考えないと逆に「痛い」という感じです。
 “予言者”副島隆彦氏のインタ記事があったので購入しましたが…
残念。

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2009年12月22日

対談「旧メディアの運命」上杉隆×真山仁

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週刊ダイヤモンド 新年合併特大号
780円

 年の瀬になると、新聞はもとより各メディアで今年の回顧録や来年の展望などの特集が組まれます。関心ごとは日本経済の行く末なのですが、参考になる経済誌系は新聞のように読み比べることが(経済的にも)なかなかできないので、今年も週刊ダイヤモンドに掲載されている識者の意見を参考にいろいろ考えたいと思います。

 なぜ、週刊ダイヤモンドかというと、新聞社の経営問題を題材にした小説「ザ・メディア 新聞社買収」(著者:真山仁氏)が同誌に連載されているから。連載はすでに70回。正直こんなに長編になるとは思いませんでした。すでに週刊ダイヤモンドには5万円超つぎ込んだことになります。
 真山氏には新聞労連の産業政策研究会のインタビューにも協力していただいたし、新聞業界の問題点を的確に書かれてあるので「単行本になるまで待てない」と思って愛読しています。


旧メディアの運命 上杉隆×真山仁.JPG さて、その週刊ダイヤモンド「2010総予測」には、「旧メディアの運命」として、真山仁氏と上杉隆氏の対談が掲載されています。
 リードには「2009年は新聞社が内包する危機が顕在化した1年だった。部数と広告収入が減少し、新聞社が販売店に架空の部数を押し付ける“押し紙”も批判された。激動のメディアの行く末を人気小説かとジャーナリストに聞いた」とあり、▽閉鎖的な記者クラブ▽経営と編集が分離していない▽混乱期の今がチャンス―という構成で、「新聞業界の問題点と展望」を4ページに渡って掲載されています。

 「押し紙」のところは突っ込みが甘いなぁと感じつつ、行政刷新会議の事業仕分けで「記者クラブ」もその対象になっていたことをはじめて知りました。大規模な国際会議やJICA関連で記者への便宜供与が合計100億円以上もあって、それらを仕分けられたというもの。紙面ではいっさい取り上げられてないと思います。

 この手の週刊誌特集に飽き飽きしている業界の方も、これまでのような「新聞没落」系の内容ではないのでぜひご一読を。

追記:ダイヤモンドオンラインに対談記事の全文がアップされています(1/19)。
http://diamond.jp/series/dw_special/10070/

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2009年12月14日

ニコ動サービス開始から3年 これからどう進化するのか

ニコニコ動画が未来を作る.jpg
ニコニコ動画が未来を作る
著者 佐々木俊尚(アスキー新書)900円

 ニコニコ動画のサービスが開始されてからちょうど3年(2006年12月12日スタート)。ニコ動の愛称で親しまれ、ユーザーが投稿した動画(たまにライブ中継もあり)にコメントが書き込めるこのサービス。「2ちゃんねるのような書き込みのテンプレートが動画に変わっただけで、なにが面白いのか」と首をひねる諸兄も多いと思いますが、1425万人が会員登録するウェブサービスに興味を持たないことのほうが首を傾げたくなるのですが…。

 今だけ委員長はニコ動のヘビーユーザーではないけれど、たまにチェックしています。今年7月まで座長を務めていた新聞労連の産業政策研究会のメンバーが、ニコ動を運営するドワンゴ(ニワンゴ)の会長  川上量生さんへ取材(第二期報告書へインタビュー内容を掲載)させていただいたり、東証一部上場企業でありながら何かよくわからない会社だったり…。ニコ動のサービス自体は赤字が続いているのに、サービスを続けている理由などを知りたいと思い購入しました。考えてみれば佐々木さんの本はほとんど買ってるなぁ。

 読み進めると、302ページ中、ニコ動の話が登場してくるのが第5章からの73ページ分だけで、最初から228ページまでは、株式会社ドワンゴの成り立ちと、川上会長とともにオンラインゲームやケータイ着メロサービスに携わった“廃人・奇人・天才”のサクセスストーリーで構成されています。
 でも読み終えると、こういう人たちがドワンゴに集まり、ニコ動のようなサービスが出来上がった背景が理解できます。オモシロイ。

 ニコ動がこれからどのような進化を遂げるのか。とても興味あるところです。技術屋集団を束ねる経営手腕についても学ぶところが多いのですが、オモシロイものをさらにおもしろくする自由な発想とスピード(技術開発)がドワンゴの強みなのですね。

▽「ニコニコ動画を日本のインフラにする」--夏野氏がニコニコ動画に参画した理由
http://japan.cnet.com/interview/story/0,2000055954,20377210,00.htm
▽赤字ドワンゴの行方 夏野氏が語る「ニコ動」の黒字化計画
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20091119/210172/
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