2008年12月29日

来年のメディア展望  右往左往することなかれ!

 今年も残すところ3日となりました。
 個人的には先月29日に第1子(女の子)が誕生し、人並みに(たぶん)パパ業がプラスオンになったため、まだページをめくれていないメディア関連の本が増えてしまいました。このブログでも紹介したい本がたくさんあるのですが、この正月休みに何本書けるか(読めるか)は微妙…子守りをしながら「読書な正月」もイイかなぁと。


 12月に入っていつもチェックしているブログなどを拝見していると、「今年のメディア界(特に技術部門)には何の旋風は吹かなかった」というようなことが結構取り上げられています。技術というか仕掛けというか、ネットで金儲けをしようとメディア企業も躍起になっているように映りますが、新しいブームも起こせずに「ネットもそろそろ飽きてきた」という停滞感が漂っています。

 日経メディアラボが24日に発表した「2009年メディア予測」では、利用者にとってインターネットは「息抜きの場なのに息苦しい」存在になっていくと分析しています。さらに今後は、より居心地の良い環境を求めてネットサービスを使い分けたり乗り換えたりする人が増え、新たなヒットサービスが生まれにくい状況になる―と2009年以降のメディア界を予測しています。
 ミクシィなどのSNSは「誰かとつながっている」という心地よさや情報を共有している(仲間外れではない)という安心感のようなものが好評でした。しかし、だんだん息苦しく感じているということは「仮面を被った表面的なつきあい」では長くは続かないし、リアルに勝るものはないということだと思います。


 もうひとつ来年のメディア展望として、時事通信の湯川鶴章さんが、自身のブログで「
メディアの変化は無視して広告主周辺の技術革新に注目すべき」というトピックスを書かれています。「メディア企業や広告会社は、消費者向け技術よりも広告主向け技術により注目すべきである」と述べ、なかでも注目すべきはソーシャル広告であり、メディア企業はその技術が機能するようなメディア環境を作るべきであると解説。コミュニティビジネスに注力することがメディア企業の唯一の進むべき道であると提言しています。


 それぞれの専門家が将来の展望を示されることはとても勉強になります。しかし、それに右往左往しすぎて自らの
コアコンピタンスを見失ってはいけないと思います。生活者の気持ちは常に変化しますが、その人たちにさまざまな「価値」を提供して気持ちをつかむことが出来ればイイわけです。難しいけど…
 これまでの付加価値って販売店レベルのものが多かったわけですが、これからは総力戦じゃないとダメなんだと思います。内部の綱引きをしている場合ではないし、定期購読者(新聞は読まれていますが)は間違いなく減っているわけですから。

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2008年12月25日

古紙の流通で左右する新聞用紙価格

 「原油価格の高騰で値上げをせざるを得ない」 今年の春先から夏場にかけて油脂や小麦を原材料にする商品の値上げが相次ぎました。「原油価格の引き上げは投資家が意図的に行ったマネーゲームだ」と言われてはいたものの、ここにきて価格は安定路線といったところでしょうか。輸入品目の値下げセールを実施するスーパーも目につきます。ガソリン価格も90円台に戻り新聞販売店も「燃料費」が嵩まず、ひと安心といったところでしょう。

 新聞社も今年春先から「用紙代の値上げ」を各製紙メーカーから要請され、値上げや夕刊を休刊を決断した新聞社もありました。約15年間、購読料が据え置かれた状況のなか、各社とも“まだ”がまんくらべが続いています。販売や広告収入が下がっているとはいえ、新聞製作や配達のコストは急には落とせないもの。そこに用紙代やインクなど原材料の値上げが追い打ちをかけた1年だったように感じます。

 さて、その用紙代ですが今後どのような推移をたどるのでしょうか。新聞通信(08年12月15日付)によると、「用紙代再値上げは回避か」という見出しで、中国の需要激減で古紙価格が暴落し、国内に古紙が流通して値段は値下げに転じる可能性も出てきたと解説しています。
 一方、古紙ジャーナル(08年12月5日付)では、「輸出価格の暴落で、大幅に減少するかと思われた10月の日本の古紙輸出並びに中国の古紙輸入だが、通関実績によると日本の輸出は減ったものの、欧米からの輸入量は増え中国の総輸入は二桁成長(前年同月比)している」と報じています。10月の(日本からの)輸出中止は中国の製紙大手が買い控え(欧米から大量に購入)を強めただけで、日本が過剰反応したものだと分析しています。

 そうすると、中国での需要(輸出価格)が高いうちは国内の建値も高騰するため、用紙代の再値上げは起こりうるとも取れます。ただし、このところの円高で、中国へ輸出するより国内価格の方が高値でさばけると判断すれば、海外へ出回ることなく国内の古紙在庫が増えて価格は安定するという見通しですが、どうなる事やら。
 今後は需要と供給のバランスからどの程度の価格調整が図れるかが争点となるでしょう。いずれにしても資源は限られているわけですから…

 ウィキペディアで「古紙」を検索してみると、以下の表記が目に刺さります。

「古紙の最大供給源」

 毎日、全国で印刷される新聞の1〜2割程度(1,000万部程度)は、新聞販売店のノルマ維持のために刷られる押し紙と呼ばれる新聞であり、実際には販売されずに全量がリサイクルに回される現状にある(新聞販売店の項を参照)。これは日本の新聞紙の回収率が、他国に比べて高い理由の一つにもなっており、手放しで評価できない一因にもなっている。

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2008年12月24日

リクルート チラシ広告を狙う

 リクルートが展開する電子チラシ事業「TownMarket」(タウンマーケット:昨年11月21日サービス開始)がウェブ上だけではなく地上戦にも乗り出してきました。
http://townmarket.jp/MP/touroku/lp01.html
 会員登録(無料)すると、毎週金曜日に発行するテレビ情報紙「Town Market TV」(1週間分のテレビ番組表やエンタメ情報で構成。タブ版)と一緒に地域のチラシも折り込まれてくるというもの。来年1月16日からのサービス開始で、当面は横浜市と川崎市(チラシの流通が多い地区)の住民を対象にするそうです。
注:リクルートとテレ朝の資本・業務提携も「Town Market TV」の制作に影響しているのかもしれませんね。

 チラシ広告は“新聞に折り込まれてこそ家庭の食卓まで届く”と言われてきました。特にマンションでは単体でのポスティングだと各部屋まで到達することは難しく、集合ポスト付近に設置してあるゴミ箱へ放り込まれるケースが多いもの。しかし、新聞折込は一定の規制(有害情報の排除)が掛けられ、毎日宅配されるからこそ、その需要を拡大してきました。さらにスポンサー側も製作費も安価で、かつ地域指定(セグメント)ができる新聞販売店の宅配機能への魅力も折込チラシ市場拡大の大きな要因でした。
 しかし、若年層の(新聞は読んでいるけれども)定期購読率が減少し、「届けたいターゲットに訴求しきれているのか?」という問題を商売に結び付けたい。チラシ広告費をさらに伸ばしたい代理店や印刷業者とともに、リクルートが『無料宅配サービス』を展開するということのようです。

 電子チラシでは利益が出ないと悟ったリクルートが地上戦に乗り出してきたわけですが、毎週1回の宅配(フリーペーパーの発行)で“チラシの鮮度”が伝え切れるかは疑問です。さらに顧客の管理や単体の事業として成り立つのかどうかも注視したいと思います。宅配はヤマトのメール便で行われるようですが、フリーペーパーの広告収入とチラシの折り込み料金で、宅配料(@80円)は賄えたとしても、利益が出るのかどうか…
 新聞は定期購読料という基盤があるから、例えば1枚しか入らない日があっても毎日届けられますが、広告チラシ単体のインフラを作るとなると大変じゃないかと思います。
 この事業は新聞販売店と組む方が効果的だと思うのですが、どうでしょう。夕刊配達のラインに乗せれば宅配料も安く済む、顧客管理はエリアごとに世帯管理されている販売店データを活用できる。あとは媒体社同士(新聞社vsリクルート)の綱引きの問題(それが一番のネック)ですかね。どうでしょうリクルートさん。



 北海道の北見市に本社を構える
株式会社伝書鳩は、フリーペーパー(経済の伝書鳩)を無料で宅配し、折込チラシを取り込むというビジネスモデルを先駆けて成功させた企業です。一度見学に伺ったことがありますが、新聞社(特に道新)とは敵仇。「新聞社が折込チラシ丁合機メーカーに手をまわして、売ってもらえない時期もありました」という担当者の言葉が印象に残っています。経済の伝書鳩は毎日発行で紙面の内容もラテ版はもちろんのこと、お悔やみ広告など地元に密着したメディアとしてその信頼性は強固なものです。
 発行部数8万5千部は決して大部数ではないけれど、世帯数の81.5%を(宅配で)カバーする力は相当なもの。身の丈に合った地域メディアのお手本のようなモデルだと思います。

 多くの新聞社でもフリーペーパーを毎週発行し、未購読者宅へポスティングする事業を手掛けるところも増えています。広告チラシを取り込むべく同様のサービスを模索する動きもありますが、目立った成果は報告されていません。各新聞社系列の折込会社の営業力だけに起因する問題ではなく、パイを奪い合う業界内のカニバリゼーションが大きく影響しているように思います。

 新聞販売店の宅配網を生かしたビジネスモデルはまだまだあるはずです。

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2008年12月18日

えっ!新聞購読率は75.6%/インターワイヤード社のネット調査

 久しぶりに大規模な新聞購読に関するリサーチ結果が出されました。

 インターワイヤード株式会社が運営するネットを利用したマーケティングサービス「DIMSDRIVE」が、今年9月17日から10月2日まで行った新聞購読に関するアンケート調査(サンプル数10,231人)の結果がこのほど発表されました。
 この調査結果を取り上げている業界各紙の見出しには、「新聞購読を決める理由は“紙面の良さ”がトップ」という文字が踊り、新聞を読む理由にあがっている「特典や景品の提供」は11.6%に止まり、比較的少なかったという解説を加えていました。

 今だけ委員長が気づいた点としては、「普段、どの媒体でニュースを読んだり・見たりしていますか?」という設問で、テレビ88.8%、PCのインターネット82.7%、新聞69.5%、携帯電話のインターネット22.5%という結果が出されていますが、これまでNHK(テレビが群を抜いていた)やNTTデータ(ケータイのネットが新聞と拮抗していた)などが発表してきたリサーチとはかなり相違する内容だなぁという印象を持ちました。リサーチ(依頼)する業界団体による設問の仕掛けによって、都合のよい回答を誘導していたのではないかとも感じます。まぁよくある話ですが…

▼家庭で新聞を購読しているか(サンプル数10,231人)
04.gif
 
 でも今回のリサーチは、なるほどしっかりしているし、スポンサーというか業界団体の意図的なものは感じられないと思います。

 この数字にネットを利用していない方の購読率などを加味すれば新聞の定期購読率はまだまだ高い。セット購読者(32.7%)が無購読者(24.4%)より高いっていうのには少々驚きましたが…

▼新聞を購読しない理由(サンプル数2,125人)
新聞を読まない理由.gif

 新聞を読んでいない(定期購読)理由としては、「テレビやネットでニュースを見ている」(72.0%)がダントツですが、次点の「購読料が高い」(49.5%)、「読んだ後の新聞がゴミになる」(34.9%)は押さえどころです。購読料は再販制度があるので販売側としては踏み込めません(新聞社が学割価格などを設定すれば可能)が、古紙回収サービスを積極的に展開すれば購読に結びつく可能性も残されているかもしれません。自分とこの都合を優先させて顧客ニーズを無視してはいけないということです。オマケですが、「勧誘員が嫌だったから」も24.9%と不動の位置をキープしています(笑)

 まぁこの手のアンケート結果に浮かれることなく、読者とのコミュニケーションを販売店スタッフ(販売店だけではダメですよ)を通じて、より強固なものにしていかなければなりません。販売店従業員のレベルアップはやっぱり必要なんです。そのためには労働条件を一定程度引き上げないと人材は集まらないのです。
 販売局の方々が直接顧客管理をするというのであれば話は別ですが。

【追記】
アメリカでもこんな調査結果が
「新聞はまだ健在,米国成人の6割が頻繁に読む」(ITpro)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Research/20081218/321696/



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2008年10月15日

新聞週間に考える…表現の自由と知る権利

 秋の新聞週間が始まった15日。札幌市内で第61回新聞大会が開催され、「新聞の価値を未来につなぐための不断の努力を続けていくことを誓う」との大会決議が採択されたようです。このほか読者を招いた「記念の集い」(新聞協会主催)が、東京(20日)、大阪(18日)、名古屋(17日)、福岡(15日)の主要都市で、開催されるようです。

 おととしまでは全国各地の販売店も試読紙と一緒にPRグッズを大々的に配布していたのですが、経営的にもお寒い状況の中で「余計な経費はかけられない」ということもあるのでしょう、以前のようなお祭りムードのイベントは紹介されていません。
 誰のためのイベント?…新聞を知らない人はいないし、地域に根ざした地方紙のブランド力は相当なもの。ホントは「うちの新聞はこれやります!」とか読者に何かしらの宣言でもして、もっとPRするべきだと思うのです。新聞協会という緩やかな任意(強制か?)団体が振る御旗に隠れていないで…。


 そんなこんなで、まったく新聞週間のイベントらしきものがない今だけ委員長の地元では、若手の弁護士らが「表現の自由を考える市民集会」(仙台弁護士会主催)が催され、『国分寺ビラ配布弾圧事件』当事者の幸野統(おさむ)さん(東京都国分寺市議会議員)と担当弁護士の富永由紀子さんを迎えて勉強会が行われました。
 今年4月に最高裁で上告が棄却され有罪(罰金刑)が確定した「立川自衛隊宿舎ビラ配布事件」は記憶に新しいところですが、反戦ビラや共産党機関紙の配布等に対する裁判が(都内で)続発しているようです。国公法弾圧堀越事件葛飾ビラ配布事件国公法弾圧世田谷事件などなど。

 国分寺ビラ配布弾圧事件の概要は、今年5月18日にオートロックマンションの集合ポストへ市議会報告のビラ(公費で作成)を投函した幸野さんが、「関係者以外の立ち入り禁止」と「ビラ、勧誘一切お断り」の張り紙を無視してビラ配布をしたとして、住民が警察へ通報。警察署で事情聴取を受けた幸野さんだったが、翌6月にマンション住民であり管理組合副理事長の新海さん(この方も国分寺市議で自民党)が単独で被害届を出し(管理組合で決議はされていない)、書類送検されたというもの。結局は被害届が取り下げられ「不起訴」となったのですが、集合ポストへのビラ配布も住居侵入罪が問われるのかという大きな問題をはらんだ事件だったのです。

 このようなビラ配布をけん制する警察(公安)動きは、2003年のイラク戦争からより強化されたと参加した弁護士の皆さんが話していました。米国追随の「戦争する国づくり」、そのための「改憲」。悪政の真実が知れ渡ることを阻止するため、メディア(特に新聞)を抑え込んだ次はビラ配布ということなのでしょう。これって国家権力の情報統制ですよね。集会ではマスコミへの批判も寄せられ「すでに一般新聞は政権の機関紙と化している」と皮肉られる場面もありました。

 確かに年々増え続けるオートロックマンションの集合ポストには、ピザ宅配や出前すし店のチラシが毎日のようにポスティングされているし、私たち新聞販売店も集合ポストへ「購読申込はがき」をPR的(特に日経さん)に投函しているのが実情ですね。キチンと管理人さんにお伺いをたてても「管理組合で一切の配布物投函が禁止になった」と選挙公報すら配布出来ないところまであるようです。マンション住民の知る権利ってどうなんでしょう。ポストに入れていいのは契約した新聞と郵便物だけでいいのかなぁ…

 新聞週間スタートの日に販売労働者が「表現の自由」と「知る権利」についてチョットだけ考えてみました。

 
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2008年10月12日

進化するメディアの土俵にあがらないままでよいのか?

 今日は新聞社が取り組む地域SNS(ソーシャル・ネットワーキング・システム)についてひと言。

 SNSというと日本ではミクシィ(登録者1,400万人超)やGREEがメジャーですが、各国でもFriendstar、Cyworld、Orkut、MySpaceなどのSNSがコミュニケーションツールとして多くのユーザーに活用されています。
 SNSの仕組み自体は、社会的ネットワークの構築の出来るサービスと定義され、インターネットなどを活用して消費者が内容を生成していくメディア「CGM」(コンシューマ・ジェネレイト・メディア)に分類されます。最近はケータイでの利用が増えているようです。


 ミクシィのような大所帯SNSの登録者数が頭打ち現象にある一方、地域単位のSNSもその数を増やしています(2006年12月時点で210サイト)。
 新聞社でも佐賀新聞社「ひびのコミュニティ」、河北新報社「ふらっと」、新潟日報社「アメカゴ.net」の3社が地域を重視したコミュニティーサイト(SNS)を展開しています。いまでも業界内では「SNSをやって儲かるのか?」といった慎重論が多くを占めていますが、それは新聞社のWEBサイトも同じこと。WEBでのビジネスモデルは広告収入・ユーザー課金・シナジー効果(購読者の囲い込み)であって、SNSを提供する側は特にシナジー効果を期待しているはずです。
 その地域SNSを運営する団体らが集まる全国フォーラムが、10月17、18の両日、佐賀県内の3会場で開催されるそうです。


 SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サイト)を生かし、ローカルエリア内での人々のネットワーク、絆を活性化させようとする動きが、2005年頃から盛んになっています。この「地域SNS」と呼ばれる、実社会に密着したウェブ上のコミュニケーションツールは、これまで点在していた地域の人々や各種サークルを有機的に結び、そこで生じたシナジーは、地域社会の活性化、問題解決といった成果を生み出しつつあります。
 第3回地域SNS全国フォーラムin佐賀では、ユーザー、運営者、行政、企業などの様々な視点から、地域コミュニケーションインフラとしての「地域SNS」について、更なる可能性を探ります。 (同サイトから引用) 

 実行委員会の事務局を担っている佐賀新聞社デジタル戦略チームの方々による事務局ブログにも今回のフォーラムの「面白い仕掛け」などがアップされています。地域SNSの活用・運営に興味のある方はぜひご参加ください。

 業界内ではWEB事業を含めて先進的な取り組みをされている佐賀新聞社(デジタル戦略チーム)ですが、同社は今月8日からニコニコ動画に公式動画コーナー「ひびじょん」を開設しました。佐賀県のよいところを伝えようと報道機関では初めての取り組みです。アップされている「佐賀のヒーロー・なつレンジャー」や「ムツゴロウ恋の季節」は見ていて心が和みます。

 おそらく業界内では「(ニコ動を)そんなもの」と見下す方々も少なくないはず。M1層が多く利用するニコニコ動画は低俗なネタが多いというイメージですが、配信されている動画やコメントのすべてがそういったものばかりではありません。それよりもCGMのイノベーションが進化している状況下で、そのようなメディアの土俵に新聞社があがらないままでよいのかと心配になってきます。(紙の)購読者を維持していくのはもちろんですが、購読率が低いといわれるM1層とのコミュニケーション手段が従来のような訪問販売(そのほかいろいろやってますが)だけでは行き詰っていることをみんな知っているはず。ニコ動への「ひびじょん」開設もM1層(限定ではないと思いますが)へのアプローチなのだと感じます。


 ローカルメディアを先行する佐賀新聞社が、新聞の未来像を一番予見しているのかもしれません。

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2008年10月03日

新聞販売店の明暗

 社団法人日本新聞協会は10月1日、新聞販売所の地域貢献活動を顕彰する「日本新聞協会 地域貢献大賞」を発表しました。
 大賞に輝いたのは、岐新会(岐阜新聞販売店会)の「岐阜・各務原市境山火事跡地『緑の山再生プロジェクト』と環境保護活動」。そのほか、各地域で行われている福祉や清掃などの活動に取り組んでいる販売店など15の団体に地域貢献賞が贈られるそうです。授賞式は11月20日。

 以下、受賞された地域貢献の取り組みと団体名を掲載します(新聞協会HPから引用)

【地域貢献大賞】(1件)
◇岐阜・各務原市境山火事跡地「緑の山再生プロジェクト」と環境保護活動
 岐新会(会長・高木 和夫)
【地域貢献賞】(15件)
◇財団法人北海道盲導犬協会に盲導犬育成のため継続的に支援活動
 道新会札幌八日会(会長・奥山 隆)
◇秋田県八森・岩館海岸クリーンアップ活動
 秋田魁県北青年部会(代表・三澤 弘昌)
◇盛岡の清流 中津川を守ろう
 株式会社東北堂代表取締役社長・ASA盛岡東北堂所長 川村 清
◇道路クリーン作戦
 NIC真砂所長  寺澤淳一
◇朝日新聞石神井6店チャリティーコンサート
 ASA石神井北口、下石神井、石神井公園、高松、練馬春日町、富士見台(ASA石神井北口所長・金子 輝)
◇地域に信頼される販売店
 ニュースサービス日経西日暮里所長 西峯 行雄
◇販売店の傍ら30年以上続けてきた消防団活動
 中日新聞岩津専売店店主 時々輪 忠正
◇北國新聞北國会「ふるさとに感謝する地域貢献事業」
 北國新聞北國会(会長・田中 六郎)
◇「プルトップを集めて車いすを贈ろう」運動
 神戸朝日会(会長・大西 弘一)
◇警察署の防犯活動に長年にわたり協力
 京都新聞洛南販売所所長 松井 憲昭
◇山陽新聞山陽会セーフティーネットワーク
 山陽新聞山陽会加盟の岡山県内販売所(会長・三宅 清司)
◇因島村上水軍陣太鼓の復活と保存、普及活動
 中国新聞因島南販売所所長 岡村 俊典
◇資源を活かして車椅子をゲット!!
 徳島新聞みつわ会美馬支部(大舘 恵子)
◇「宿毛市グラウンドゴルフ高新大会」「宿毛市こども会ソフトボール大会」ほかスポーツ振興活動
 高知新聞宿毛販売所所長 田村 定也
◇「車いす送迎車を贈ろう!」キャンペーン
 西日本新聞エリアセンター連合会(会長・新田 快夫)


 新聞販売店もそれぞれの地域で素晴らしい取り組みをやってます。そりゃ新聞社の看板を背負って日々営業活動をしているわけですから、当たり前というか、そういうレベルになってもらいたいというか…

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2008年10月02日

月極め購読料という概念は変わるだろうか

 10月から大幅に紙面を刷新(ブルームバーグ社からの記事配信)し、紙面のカタチ(ブランケットからタブロイドへ)も変えたフジサンケイビジネスアイ。

 何気なく
フジサンケイビジネスアイ新規購読申し込みのサイトを見ていたら、「期間限定1年間一括前払い購読割引キャンペーン」をやっていました。
 平成20年9月20日から平成20年12月31日の間に同紙を1年契約し、購読料をクレジットカード一括前払いにすると月極め購読料を12回払うより2カ月分安い42,000円(通常50,400円)で購読できるというキャンペーン(いわゆる年払い割引キャンペーン)。
 新聞は月極め購読料を基本にしていますが、一部の業界紙でやっている年間購読料へとこれまでの購読料(定価)の概念に変化が起きそうです。

 以前にもこのブログで取り上げましたが、再販制度は「新聞社が販売店に対して定価販売を守らせる制度」ですから、新聞社が二重の価格設定(年払い・月払い)をすることは可能。同グループの産経新聞だと購読者が多く、新聞社が顧客を管理しきれないため、購読者が比較い的少ない(新聞社が管理できる)専門紙から二重価格の設定に着手したと思われます。
 「適正な購読料であるのか」という議論はさておき、販売店からすると「1年分の前受け」は魅力的ではないでしょうか。


 さらに産経新聞グループでは産経新聞購読にプラス550円で同社発行の月刊誌「モーストリークラシック(定価1,000円)」のセット販売(併読割引)にも積極的に取り組んでいるようです。

 業界の切り込み隊長として業界の常識を打ち破るフジサンケイグループ…さすがです。

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2008年09月30日

地方紙の一歩進んだデジタル戦略/山陽新聞社を訪問

 新聞労連産業政策研究会の一員として倉敷市で開かれた、中国・四国・近畿地方連合による産業政策研究合同集会(約30名の労組員が出席)へ講師として参加してきました。
 私のパートは、このほど同研究会が発表した中間報告書の総論部分の解説と販売問題について約60分(時間オーバーでしたが)話をさせていただきました。
  新社屋.JPG   旧社屋.JPG
 集会は翌日午前中まで熱心な討議が行われ少々バテ気味だったのですが、せっかく岡山まで来たのだからとおととし新社屋が完成した山陽新聞社(地上30階建)を見学させていただきました(写真左)。
 とても新聞社の建物とは思えないモダンな社屋は最上階に食堂兼ラウンジがあり、岡山市内を見下ろしながら社員の皆さんは食事をされているのだろうなぁ…こういうところで仕事をしていると市民感覚とズレてくるのだろうなぁと独りごとを言いながら、総工費85億円のお城を見せていただきました。

 ひと通り新社屋を見学させていただいた後(販売局には伺えませんでした)、旧社屋(編集部門と印刷・発送部門、系列のケーブルテレビが入居:写真右)にもお邪魔しました。
 注目したのは山陽新聞社が取り組んでいる「
WEBニュース岡山」。同社のでは月曜から金曜まで(祝日は除く)その日のタイムリーなニュースを5本放送しています。しかも、取材(ビデオカメラで)から番組テロップの製作に至るまですべて編集局員が担当し、画面に登場するアナウンサーも編集局の方々というからビックリ。同社では撮影のスキル編集のスキルを学ぶために入社5〜6年の編集局員を系列会社のoniビジョンへ3年程出向させているそうで、映像の出来栄えも素晴らしいものです。同社系列のケーブルテレビ会社「oniビジョン」でも放映されています。

 “紙面掲載に間に合わなかった事件でも取材(動画に収め)してWEBニュースに間に合えば先んじて放送するのか?”という問いに対して、同社メディア報道部E氏は「もちろん。ウェブファーストでしょう」と語気を強めました。 
 そのほか、
先人の風景(紙面と連動し県内の名所を動画配信)や岡山医療ガイド(紙面とも連動)も人気があるとのこと。医療ガイドには「日帰り手術ができる病院」「クレジットカードの支払いができる病院」などのキーワードを入力すると適正な医療機関の情報が提供されるというポータル的な機能を備えています。「岡山県内のことはすべて山陽新聞が紙面とWEBで提供します」という地域に根差したスタンスを強く感じました。

 共同通信や北海道新聞、静岡新聞をはじめ、地方紙でも動画をコンテンツにしたWEBサービスが取り組まれていますが、なかでも山陽新聞社は一歩リードしているという印象を持ちました。

 国会中継しかり、全国の県・市議会でのやり取りも動画で一般公開していることろ出てきており、速報性だけをとらえれば1日2回印刷される新聞に勝ち目はありません。しかし、議会で論戦されている問題点は何なのか「解説」することは新聞の一番の強みのような気がします。新聞はその辺をもっとアピールするべきでしょう。
  簿ジョン.JPG
新社屋内にあるデジタルビジョンでは当日の紙面が映し出されている。

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2008年09月17日

新聞社と地域インフラが提携する地域最強カード/ビジネスチャンスはまだまだある

 少々遅ネタですが、中国新聞が2003年から取り組んでいる会員組織「ちゅーピーくらぶ」(会員数42万2千人)がさらにパワーアップするという話題(9月4日)。PASPYプレスリリース

ちゅーピー.jpg

 広島県内の交通事業者10社局で構成するPASPY(パスピー)運営協議会と広島銀行、そして中国新聞社が来年3月をめどに提携カードを発行することで基本合意したと発表。交通事業者と銀行、新聞社の提携による“交通系”カード発行はもちろん全国初です。

 名称は「ひろぎんPASPY(仮称)」で、広島銀行が発行する非接触ICカードは、JRが発行する「Suica」の地域版といったところでしょうか。

三者のメリット・デメリットを考えるとこんな感じなのかなぁ。
▽交通事業者
メリット=利用者の向上(現在独自カードを4万枚発行)
デメリット=ICカード対応の運賃カウントシステムへの投資
▽広島銀行
メリット=電子マネー導入による市場活性化
デメリット=カード発行、システム開発の経費
▽中国新聞社
メリット=顧客データベースの構築、サポート店の活性化
デメリット=・・・


 中国新聞社を皮切りに新聞社による会員組織は約十数社ありますが、まだまだ新たなビジネスモデルとまでは至っていません。逆にシステム構築や会員証の発行など経費がかさみ、新たな施策が打てずに会員組織自体が中途半端な扱いになっている新聞社もあるように聞いています。

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2008年09月15日

市場(顧客)を知らない司令塔…

 今日は3連休の最終日でしたが数日前に「全社員出勤」の業務指示が出され、自宅に近い販売店へ伺って終日営業活動でした。
 酒場で意気投合した隣人に新聞購読をお勧めするはしょっちゅうなのですが、久しぶりの現場は「何とか実績をあげなければ…」というプレッシャーがついて回るものの、机上で考える仮説を点検するには「市場を知れ!」が一番大切なことです。

 早出グループに加わった私は、9時30分から17時30分まで(途中昼食休憩あり)セールス一本勝負。祝日ということもあって延べ400件の訪問中、インターフォン越しに応答いただいたのが約1割で、そのうちきちんと商談できたのは3件でした。以前のように「一発勝負」で契約を取れる時代・商品ではなくなっていることを肌で実感できます…

正常化チラシ.jpg 

 全社員出勤となった背景は、「某紙の大拡張団が投入されるようだ」ということへの対抗策。販売正常化チラシも頻繁に折り込まれてました。「地元の利」は幾分あるにせよ、海千山千の拡張団が市場を荒らす(ルールを守れば問題はありませんが)と一番トラブルに巻き込まれるのが読者の方々であり、しつこい新聞拡張によって結果的に「新聞嫌い」が増えてしまうことが問題なのです。

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2008年09月09日

「信頼」は新聞の最大の強み

 週刊ダイヤモンドの9月13日号に「ウェブサイト価値ランキング」という特集が組まれています。

(週刊ダイヤモンドより引用)
 電通の『日本の広告費』によると、テレビや新聞等の既存のマス広告費が横ばいないしは減少を続けるなかでインターネット広告費は急速に伸び続け、ついに07年にはテレビ、新聞に次ぐ媒体に成長した。この動きは家庭でのインターネットの利用がますます一般化していることに支えられているが、それに歩調を合わせ手企業のインターネット活用もますます盛んになっている。企業ウェブサイトはマスメディアに依存することなく企業が消費者に対して直接働きかけることができる自由度が高い自社メディアであり、活用次第で大きなビジネス上のメリットが期待できるものとなっている。しかし、その効果を把握するのは決して容易ではない。消費者行動がネットメディアのみで完結することはまれで、インターネットを離れて店頭などでリアルメディアとの接触によって最終的な成果が実現されている場合が大半だからだ。(引用終わり)

 確かにインターネットの普及によって、企業広告も代理店を経由したマス広告から自社で経費をかけずにサイト展開をするところも増えています。結果、消費者の購買行動があがったのかどうかは難しいと同誌では結んでいますが、日本ブランド戦略研究所が開発したウェブサイト総合評価システム「ウェブエクイティ」で売上への貢献度を測定し、ウェブサイト価値ランキングを発表しています(1位はトヨタ自動車)。


 こうした企業が独自に展開するウェブサイトを支援するシステムを電通が運用を始めています。
電通、クロスメディアキャンペーン分析/立案支援システムを運用開始(9/8日経ネットマーケティング)
電通コネクトメディアを開発、運営を開始(9/8電通HPリリース)
 8月4日にサービスが提供された「クロスイッチ」も電通が展開するクライアント支援システムといえます。
クロスイッチ 電通クロスメディアコミュニケーションWEB(8/4電通HPリリース)


 広告会社もネット時代の生き残りを懸けて新たな事業展開を乱発しています。新聞をはじめとした媒体社にはわき目も振らずとは言わないけれども、その開発に取り組む勢いは新聞局の比ではないように感じます。

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消費税問題と新聞人への要望

 政界のゴタゴタ劇に業を煮やした社団法人日本経済団体連合会(経団連)が、消費税率引き上げに向けて本格的に動き出したようです。

2011年度から消費税10%、経団連要望へ(読売新聞より)

 日本経団連は8日、中期的な税制の抜本改革案として、消費税率を2011年度から5%引き上げて10%とするよう政府に要望する方向で最終調整に入った。
 正副会長による正式な組織決定を経て9月末にも公表する。
 経団連はこれまで、07年1月に御手洗冨士夫会長のビジョンという形で、15年までに2段階で消費税率を事実上10%まで引き上げるよう求めていた。しかし最近の試算によって、医療、年金などの社会保障制度を安定的に持続させるためには、消費税率を一気に引き上げ、引き上げ時期も前倒しせざるを得ないと判断した。
 試算にあたっては、日本経済が安定的に発展する条件として、政府が目標とする11年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字化を前提とした。さらに、消費税率引き上げによる負担増が個人消費に打撃を与えないよう、中所得者層以下への負担軽減策も組み合わせる必要があるとみている。


 新聞業界でも消費税問題は大きな関心ごとです。税率アップ分を購読料にそのまま転嫁すれば、セット版で4,000円を超えるため「購読中止に拍車がかかる」「セット版購読ではなく夕刊をやめる」という消費者の声が予想され、経営状況に相当な打撃を与えかねないという共通認識があるためです。

 3年前に新聞協会(当時会長は箱島信一氏:朝日出身)が与党税務調査会へ提出した「平成18年度税制改革についての要望書」には、
…欧米諸国では、新聞にはゼロ税率を含め軽減税率が適用され、それが常識となっています。
…1960年代以降、欧州各国では付加価値税(VAT)を導入していますが、新聞に特別な措置をとっています。ゼロ税率や軽減税率の適用、言論の多様性を確保するための各種の新聞助成策がそれです。例えば、英国、ベルギー、デンマーク、ノルウェーなどでは、新聞購読料はゼロ税率になっており、オーストリア、フランス、ドイツ、ギリシャ、イタリア、オランダ、スペイン、スウェーデンなどの国では、軽減税率を適用しています。
…国民が正しい判断を下すには、政治や経済、社会など、さまざまな分野の情報を手軽に入手できる環境が重要です。欧米の先進国では、軽減税率をはじめ各種の新聞助成策を講じていますが、その根底に流れているのは、新聞による自由な言論と報道は「民主主義の必要経費」という考えにほかならず、わが国においても十分に考慮されて然るべきものと考えます。
…今後とも国民がより少ない負担で新聞を購読できる状態を維持していくことが、わが国の取るべき方策であると確信しております。その意味で、購読料への課税のみならず、新聞社の社会的責任のもとに行われる情報提供事業に対して他の商品と同率に課税することは、民主主義国家の健全な発展と国民文化の向上に、大きなマイナスになることを憂慮いたします。
…ゼロ税率ないし軽減税率の適用をご検討くださるよう要望いたします。

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2008年09月07日

元気ない新聞へ活力/新聞労連産政研がアクションプラン模索

 日本新聞労働組合連合(略称:新聞労連)の研究機関として、昨年4月に発足した産業政策研究会(座長:小関勝也)が「新聞2008年の『自画像』」と銘打った活動報告書をまとめました。
 内容はいまの新聞産業における現状を「自画像」として総論的に書かれているほか、2007年8月から今年7月までに取り組んだ活動テーマ(次代の広告、新聞産業を守ってきた法制度、携帯電話の進化と新聞)のまとめ。さらに新聞業界外の7名の講演録が掲載されています。

産政研CD.jpg

 産業政策研究会は全国の新聞社に働く労組員7名で構成され、1998年以降停滞していた新聞産業研究を復活させる取り組みとして注目されています。今回の報告書はあくまでも中間報告であり、内容はまだまだ荒削りかつ結論めいた政策提言とまではいかないものの、新聞の可能性をについて論じている唯一のテキストと言えるかもしれません。

 この報告書は新聞労連加盟の各労働組合へ送付されるのはもちろん、新聞協会やメディア論、新聞研究の学科のある各大学へも送付される予定。

 また、産業政策研究会では研究委員メンバーによるブログも先月からスタートさせ、新聞産業問題のほか、ウェブ、IT情報、活動報告などをそれぞれの視点で書き込んでいます。
産政研ウェブはこちらにアクセス↓
SANSEIKENweb

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2008年08月26日

3年続けたブログを読み返して… これまでを振り返る

 このブログを始めてから3年が経過し、あすから4年目に突入することになりました。
 この間、新聞業界を取り巻く環境はめまぐるしい勢いで変化し、これまでと同じ手法による新聞ビジネスでは立ち行かなくなっています。ブログを始める時にもペースが遅いとはいえ、昨今のような厳しい産業情勢になることを予感していました。結果として何も変えることが出来なかった自分がいるのですが、この間に思った自身の感想を第三者的に書いておこうと思います。

 ブログという情報発信ツールを手にした私は、「井の中の蛙」から抜けだして全国の多くの仲間と知り合うことができました。そしてその領域を広げることになったのは「新聞特殊指定」の問題がネット上で叩かれだした頃です。
 私は新聞販売店労働者の立場から「特殊指定」の存続を訴え、プチ炎上となったこともありました。コメントをいただいた方には切々とコメントを返し続け、「今だけ委員長の言うことは

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2008年08月22日

変化する新聞のカタチ

 各製紙メーカーは、4月に続き10月から新聞用紙代の再値上げを、各新聞社へ要請しているようです。
 先にも書きましたが、新聞製作コストと広告費の低迷を受けて、購読料の値上げや夕刊を廃止して値下げをする新聞社など、これまでプライスリーダーであった全国紙の動向を待つことなく「独自」の経営戦略で走る新聞社が目立っています。

ビジネスアイ.jpg

 そんな中にあって、2004年3月に創刊した「フジサンケイビジネアイ」が、10月から米国で経済、金融情報を配信しているブルームバーグ社と提携して新創刊するそうです。
 注目したいのは価格とカタチ。価格は現在の3,150円(月極め購読料)から4,200円。一部売りも100円から140円に改定。そしてカタチもブランケット版からタブロイド判へ切り替えるとのこと。それと外資との提携にも注目したいところ。ニューズコーポレーション率いるルパート・マードック氏も高い普及率のJAPAN新聞に興味を持つ日も近いかも・・・。でもその前に国産新聞社の資本提携があるのではないかと思っています。題字は変えずとも役員を送り込み系列化が進む。これは全国紙が地方紙を傘下に収める(下野新聞を毎日が、福島民友を読売が)ということだけではなく、地方紙同士の、もしくは全国紙同士の合併です。

 日経の独壇場ともいえるジャンルに乗り込むとは、さすが業界の切り込み隊長(産経新聞)です。サンケイエクスプレス(2,100円)と同じカタチにした産経新聞社の戦略に対して、市場がどう反応するのか関心のあるところです。
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2008年08月05日

「とうほく夏の陣」地方紙の購読料改定を考える

 昨今の新聞購読料の動きについてチョットだけ考えました。
 これまでの新聞購読料は、全国紙(朝毎読)がプライスリーダーを担ってきました。値上げの理由は2パターンで原材料費の高騰と販売店の労務対策に掛かる費用がかさみ読者に負担してほしいというもの。それに地方紙が追従するというパターンが繰り返されてきたわけです。

 しかし、前回の値上げから14年が経過した今、東北にある二大地方紙がこれまでのパターンを崩して購読料の改定(告知)を行いました。山形新聞は7月からこれまでのセット版料金3,007円を3,300円に引き上げ。さらに秋田魁新報は10月からセット版3,007円を夕刊廃止で2,950円へ価格を見直すことを8月1日の社告で発表しました。

 読者からの反響は数カ月先に「部数推移」として結果が出されることになるでしょうが、両社の異なった企業戦略に対して多くの新聞経営者が関心を持っているに違いないでしょう。


 新聞倫理綱領を読み返すと、新聞は公共的使命を新聞は果たしていかなければ…とあります。
 国民の知る権利を保障するメディアの担い手として、新聞は生活的弱者でも購読できる価格設定と個別宅配のシステムを維持することでその責任を果たしてきたと考えられます。14年間、なぜ値上げがされなかったのかを考えると消費者の生活感を考えてのことだったのではないでしょうか。そこにあいまってネットが加速度的に普及し、新聞社は「無料配信で広告収入を稼ぐ」ことの活路を探り、消費者は「(無料の)ネットで新聞記事は読める」という状況ができあがった。実際にはネット広告は期待ほど実入りにもならず、読者への販促、コミュニケーション活動にもテコ入れがされることなく、「紙」モデルの営業政策はタコツボ化してしまったと解されます。

 しかし、今ほど格差社会が叫ばれサラリーマンの平均給与所得が下がっているにも関わらず、購読料は値上げへと向かっています。紙代を含む原材料費の高騰はいたしかたないのかもしれませんが、広告収入の落ち込みを理由に定価改定をしたことはなかったと記憶しています。逆な視点で言えば、広告収入が減ると高所得者しか購読できない媒体(価格帯)になっていることを指すわけです。これは読者の視点としてだけではなく、新聞産業に働く私たち自身が「公共性」を大きな旗印にしながらも、値上げによって購読できない方々の存在を知るとゾッとすることでしょう。でも現実に年金支給額が低く新聞が読めない独居老人は少なくありません。
 そこには新聞労働者の高所得を指摘する声もありますが、誤解を恐れずに言うと確かに従業員の平均年収は他産業に比べて高いけれど、人件費比率はそれほど大きなものではなく相当なスピードでリストラが進められているわけです。


 マーケティング手法における価格戦略では、価格設定はダイレクトに消費者に訴えるメッセージ手段であると同時に競合企業に対するメッセージでもあります。ある企業が設定する価格は顧客がそれを受け入れるかどうかだけではなく、競合企業との価格戦略に影響を与えるものです。
 しかし、新聞業界の場合は差別化が難しいコモディティ(日用品)であり、需要供給の関係で価格帯がある程度決まってきたという歴史があります。20世紀までは理髪料と同額程度で推移してきたとよく言われますが、多メディア化による新聞離れと並列して、値上げに向かう新聞産業と生活者の価値基準とのバランスが崩れないよう商品研磨とサービスの価値を高めていかなければならないでしょう。理髪店でも1,000円の激安店が増える一方、カリスマ理容師のカットには相当額を払う消費者も多く存在しているのです。

 横並びで購読料を設定する時代ではなくなっていることだけは確かですが、読者の声に耳を傾けて経営判断をすることが一層求められてくるでしょう。

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2008年07月11日

映画クライマーズ・ハイを観て…

 当方のブログをご覧いただいている方は、ほとんど新聞関係の方なので告知の必要もありませんが、やっと鑑賞してきました「クライマーズ・ハイ」。
 堤真一.jpg 堺雅人.jpg 北関東新聞.jpg
 一応この業界筋の人間ですからとりあえず観ておかないと。原作本も読みましたが、新聞社を持ちあげたり新聞記者の仕事を美談にしないところが好きです。堤真一さんの悠木和雅役(主人公の北関東新聞記者)もけっこう良かったなぁ。同作品がNHKでドラマ化された時は佐藤浩市さんだったけど、彼よりハマっているかも。でも私のイチ押しは県警キャップ佐山達哉役を演じた堺雅人さんですね。

 あまり多くは語りませんが、販売局のイメージがまた悪くなるなぁ…と感じつつ、ホント新聞社ってあんな感じですよね。
 日航機墜落事故はもう23年前の出来事ですが、当時の新聞記者の熱血漢が伝わってきます。あの時代から四半世紀が経ち、新聞社のシステムもだいぶ進化しましたが、原作のような気骨ある新聞記者はどれだけいるのかなぁと感慨深くなりました。
 現代版でキムタクを主人公に新聞記者のドラマを作れば新聞社への就職志望者が増えるかなぁとか思ったりして。ともあれ、長編ですが見ごたえある作品ですね。
北関東新聞社.gif

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2008年07月04日

これって著作物再販制度に抵触しない?

 山形市内に住む義姉から「こんなチラシが入ってたよ!」とファクスを送ってもらいました。
  山形読売会.JPG   山形読売.jpg
 今月から14年6カ月ぶりに定価改定した山形新聞(3,007円から3,300円)ですが、当然のことながら山形県下では全国紙の攻勢がはじまっていようです。まぁそこは自由競争(景品表示法のルールの中で)なので別段問題にすることもないのですが、送ってもらったこのPRチラシを考えてみたいと思います。

 内容を見る限りでは発行元は山形新聞読売会。見出しが「価格維持宣言!」と表記されているので読売新聞は値上げをしないと受け取れます。でも読売新聞の購読料は販売店が決めるわけではないので、この表記は再販制度からするとチョット問題ですね。新聞社が宣言すれば何の問題もないのですが…


 新聞は著作物再販制度の指定商品。(いまさらですが)再販制度とは、メーカー(新聞社)がディーラー(販売店)へメーカーが決めた小売価格(購読料)を守らせるという制度です。ですから、販売店が購読料に関して“上げます、下げます、維持します”といった行為は行えないのです。
 「がんばります」とはそんなルールをすり抜けられる表記だと考えたのでしょう。優秀な担当員さんのチェックなしに販売店もこのようなチラシは作れないので・・・チェック済だと思いますがギリギリですね。


 このような動きは読売新聞だけではなく、朝日新聞も(毎日はどうかなぁ)やっていることでしょう。単独値上げに踏み切った山形新聞からすると、このような攻勢は当然予想の範ちゅうでしょう。
 新聞代の値上げは読者へ“購読を止めるか、続けるか”を考える機会になります。これまでは「読みなれた紙面だから」とか「いつも集金に来てくれる人が感じ良いから」という読者とのコミュニケーションによって、引き続き購読してくれましたが今はどうでしょう。14年6カ月ぶりですから読者の側も価値観が大きく変わったかもしれません。
 結局は購読している新聞に必要性を感じているか、販売店のサービスに満足しているか―しかないのですが、もう一つ加えるとすると、そこに(新聞社や販売店など)勤めている方のネットワークによるところも大きいと思います。人とのつながりはモノの価値を超えられるか・・・。私はある程度は超えられると思っていますが。

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2008年06月29日

梅雨時期の新聞配達とY紙の購読支援デリバリーサービス

 梅雨時期の新聞配達はとても体力を使うものです。バイクでの配達とはいえカッパを着て動き回るとたちまちサウナ状態。体中びしょ濡れでカッパは剣道の防具のような臭いとなって、不快感がいっそう気力も体力も消耗させます。
新聞配達に従事されている皆さまには体調など崩されないようにこのつらい時期を乗り越えていただきたいと思います。

 最近では雨天時に新聞が濡れないようラッピングフィルム(ビニル)に新聞を1部ずつ包み込む機械が登場し、雨濡れのクレームはだいぶ減りましたが、販売店にとってはかなりの経費負担になっています。高騰する原油高でガソリン代はもとよりラッピングフィルム代も値上がり傾向…。配達スタッフにも過剰なラッピング使用はプラごみを増やすことになると注意喚起をするのですが、一度ラッピングされた新聞を届けた読者宅からは、チョットの雨濡れでもクレームが来るのでやめられないというスパイラルに…
 ドライヤーで新聞を乾かす家はもうないのかもしれませんね。「すぐに交換に来い!」というパワーカスタマーの時代なのですから。

  
 懸賞ハガキ2.jpg   懸賞ハガキ1.jpg
 きのう、自宅のポストにY紙の懸賞応募ハガキが投函されていました。夏休みシーズンは独り暮らしの学生さんが帰省するため、販売店にとっては1カ月分の購読料が回収できない読者が増える厳しい時期。高校野球(夏は朝日新聞主催ですね)も夏場の販売戦略上で仕掛けられた事業だと何かの本で読んだことありますが、夏場はギョーカイ的に苦難の時期(最近は毎月ですが…)なのです。
 話を戻すと「夏休みお出かけサマーキャンペーン」という銘打たれたこの企画は、日帰り旅行券やタオルセットなどが当たるオープン懸賞(Y紙を購読していなくても応募できる)。プレゼント商品の内容もあまり目新しいものはないのですが、アンケートの内容に注目しました。「Q1 新聞販売店にあったら嬉しいデリバリーは? a.水 b.米 c.トイレットペーパー d.灯油 f.その他( )」という項目です。察するところ、購読率が高い高齢者向けデリバリーサービスの準備というところでしょうか。販売店が新聞購読の付加価値として日用品(それも重い商品)のデリバリーサービスに乗り出そうとリサーチしているのではないかと感じます。さらに「Q4 平成20年6月1日から、住宅用火災報知機の設置が法律によって義務づけられましたがご存知ですか? a.知っています。設置しました。 b.知っていますが設置していません。 c.知りませんでした。」という質問。火災報知機を拡材にするのか業者へ斡旋するのか分かりませんが、これも売れるデータの収集ですね。

 顧客データを活用した販売戦略はマーケティングの基本。今まさに遅れをとっている新聞販売店の顧客データベース化にY紙が着手しはじめたと考えられます。

 購読料の値上げだけじゃなく、こういう取り組みをマネすればいいのになぁ。

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2008年06月23日

歯止めきかない新聞広告/新聞社の底力が発揮されない理由

 新聞社の広告収入の落ち込みに歯止めがかかりません。
 このブログでも何度か紹介している森内豊四氏(元日経広告研究所専務理事)から、最近の新聞広告事情に関して感想をいただきました。

「広告と経済」という業界誌があります。その6月11日号を見てびっくりしました。
大手広告会社9社の今年1〜4月の売上高です。「新聞」は前年比で90.6%、4月は80.9%となっています。

広告_edited.jpg

昨年の大幅なマイナスに続き、下げ幅を一段と加速しているのです。これは「後退」などといった生易しいものでなく、「崩落」ないし「崩壊」です。

広告衰退の底流に何があるかをもっと真剣に考えなければなりません。
山形新聞の購読料値上げを知りましたが、全国紙を含め、大きな課題になってきました。発行部数低落のなか、また読者の生活防衛が続くなか、そういう経営が本当に許されるのかどうか。「あの時は、そうするしかなかった」というエクスキューズなど聞きたくないですね。

森内豊四


 広告会社(代理店)を経由した紙面広告の販売手法はそろそろ限界に達してきたのかもしれません。地方紙はそのエリアの商店単位(エリア・マーケティングの発想)にまで入り込んで(いわゆるドブ板営業)、ほかの広告媒体と比べて勝っているものを強調し、売り込んでいかなければならない状況にあるのではないかと感じています。新聞は宅配網という機能を持っていますが、あまり活用されていないというのが実情。「販売店は言うことを聞かない…」とかよく聞きますが、自社の利益だけを考えるから販売店からの協力も得られないわけで…きちんとした利益分配をして地域活性化のためのアクションプラン(編集から販売店まで)を構築する必要があると思っています。

 新聞だけではありませんが、縦割りの組織運営による弊害が新聞産業の底力を削いでいる理由なのかもしれません。

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2008年06月22日

新聞配達もメディア研究の題材へ…

 6月19日に日経メディアラボ(坪田知己所長)が「オートロックマンション、新聞配達と防犯の両立めざす――三井不動産レジデンシャルが新システム」というインタビュー記事を同社HPへアップしました。
 日経メディアラボは、日本経済新聞社がメディア全般の研究のために設立された組織。これまでもメディアを取り巻く環境の変化を伝えてきましたが、新聞の宅配に関連するリリースは初めてではないかと思われます。

 新聞を届ける(宅配する)というアナログ的な分野についても、日経メディアラボは「メディアを浸透させる大切な手段」として捉えているのかもしれません。ネット時代のメディア論はあらゆるマーケティングやリテラシィ―の理論、インタラクティブ、ジャーナリズムなどのカテゴリーで研究されていますが、このようなアナログネタも重要なのです。

 顧客のニーズに答えるのがメーカー(新聞社)やディーラー(販売店)の努め。「オートロックマンションが増えたから部数が落ちた・・・」という言いわけをする前に、なぜ新聞配達スタッフが不審者扱いされてしまうのかを考えなければいけないですね。


 三井不動産レジデンシャルの取り組みは5月8日にプレスリリースされ、今月から都内の同社分譲物件で始まっています。
 インタビューに答えた同社都市開発事業部開発室主任の久松壮氏は、「当社がマンション販売後に実施する入居者アンケートでは、必ず『新聞は読みたいけれど、集合ポストまで取りに行くのは…』といった意見が出てくる」、「セキュリティーを考えながら各戸への新聞配達ができれば、これも売り物できる」と顧客のニーズとセキュリティの両面を商品化し“マンションの売り”にするというもの。

 新聞業界がこのようなシステムの費用負担も含めてマンションデベロッパーへリーチしていく必要性を感じます。
 紙新聞の将来を憂う前に、まだ手をつけていない課題がたくさんあるのです。

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2008年06月07日

なんとかしなきゃ新聞業界… 若者の方がしっかり考えてます

 5日、6日の両日、日本新聞労働組合連合(新聞労連)青年女性部主催の全国学習集会「なんとかしなきゃ 〜今すること、できること〜」が横浜市で開かれました。全国の新聞社や印刷センターに働く労働組合員(30代前半の方が大半)約100名が参加する大規模な集会です。
 私は「販売問題と新聞を考える」という分科会の講師として参加してきました。

 初日は「
新聞がなくなる日」の著者、歌川令三氏(元毎日新聞社取締役編集局長、多摩大学大学院客員教授)が、「メディア界の『それから』−新聞業界の将来を論ずるー」と題して講演。
 インターネット時代のマスメディアのあり方については「広告を取ることによって媒体が存在する。勝負は広告を稼ぐこと…」という私見を展開。米国の新聞モデルを日本の新聞業界にあてはめるのはどうかと私個人はかなり違和感を覚えました。メディア論は日々変化しているわけですからわからなくもないのですが、広告を稼ぐといってもこれまで日本の大企業(ナショナルクライアント)が個人消費(内需)を促進させるべくマスメディアを使った広告を展開してきたのに対し、いまや大企業のターゲットは海外(外需)に向かっているのです。車や電機だけではなく食品や日用品といったこれまでの内需型企業もしかりですね。流通大手のイオンでさえ国内の約4分の1を閉鎖して「マーケットはアジア全体」という戦略です。
 そうするといくらインターネットは全世界で…といっても、例えば日本のメディアが韓国の住民に対してトヨタの新車の広告を打つというのが現実的なものか、ネット時代だからといってもマスメディア企業の活動がすべてが広告費で賄われるというのは無理でしょう。では米国モデルはなぜ賄いきれてるのか?賄いきれていないから買収が頻発しているのであって、新聞社は広告費だけで企業活動をすることはおそらく無理なのだと思います。フリーペーパーのように記事はどうでもよく広告だけと割り切れば話は別ですが…

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2008年05月21日

キオスクのおばちゃんと共に姿を消すスポーツ紙

 地元の駅構内を歩いていたら、JR東日本リテールネットがコンビニ展開しているNEWDAYSの店先に当日のスポーツ紙が掲示してありました。
 「News Today」と書かれたパネル(ホント手作りですね)には、サンスポとニッカンの1面が張り付けてあります。「きょうの紙面はこうですよ!買ってください」というアプローチでしょう。最近は東京や大阪、福岡でもキオスクにスポーツ紙の1/2面が張り出されているのをよく見ますが、私の地元では初めて見かけました。
今朝は押切もえと巨人野間口の熱愛とゴルフ今田の記事。
読み比べをさせる意図もあるのでしょうか?
NEW DAYS.jpg

 サラリーマン族の生活様式も変わりました。これまでは毎朝キオスクでたばこ、缶コーヒー、新聞の3点セットを頼まなくてもキオスクのおばちゃんが用意してくれる(買わないと叱られるような)時期もありました。
 最近ではPOSシステムが導入され料金の計算はもとより商品の在庫管理も容易な時代となりました。キオスクのおばちゃん(中には年収1千万プレーヤーもいた)の職人技の対面販売は姿をここ数年だいぶ少なくなってきましたが、来店客に一声かけてもう一品売るーというプッシュ型の販売によって、スポーツ紙などの売り上げも支えられていたのでしょう。

 数字的な裏付けはありませんが、この10年間でスポーツ紙の発行部数は約22%落ち込んでいます(1997年6,502,092部、2007年5,065,535部)。そもそも新聞は…という問題もありますが、理由の一つにキオスクの減少(コンビニ化)も要因のひとつに挙げられると思います。インターネットの普及でデータものやイエローページものがスポーツ紙や週刊誌ではなくともネットで発信されたことが一番の要因でしょうすが、スポーツ紙を売ってくれたキオスクのおばちゃんの職人技によって部数が支えられていたのだなぁと感じています。

 いまの時代はキオスクのおばちゃんのような販売方法は受け入れられはずがないと、店頭へ掲示して購入者を待つプル型の営業へと小売業全体がシフトしているのですが、果たして・・・
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2008年05月19日

社説の比較から見えてくる新聞社のスタンス

 先週16日の河北新報朝刊に掲載された「現代の視座」というコラムが目を引きました。おそらく共同通信からの配信でしょうから、他の地方紙でも掲載になっているのかもしれません。
 文芸評論家の斎藤美奈子さんが、ネット普及によって便利になった新聞各紙の読み比べについての手記です。斎藤さんは世論形成をしていると思い込まれている「社説」の比較を市民もしやすくなり、「新聞はどこもかしこも一緒ではない」ということを読者はもっと知る必要があり、購読する新聞選びに役立てる必要性を提起しています。権力のチェック機能として新聞社があるとするならば、その新聞社を監視するのも読者の役割であると説いています。
 逆に「社説」(どれだけの人が読んでいるのかなぁ)が重要であるというスタンスの内容にもなっています。

 こんな記事はなかなかネットでは探せないけれど、もし購読する新聞を決めるなら洗剤や商品券のオマケじゃなく、こんな読み比べをしてから新聞を選ぶことが大切なのだと感じます。
 

あらたにす  47ニュース

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2008年04月29日

「発言小町」がウェブ新聞の可能性?

 前々回のエントリで紹介したダイヤモンドオンライン(週刊ダイヤモンドWeb版)で、野口悠紀雄氏(早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授)がウェブ時代の新聞の可能性について記したコラムの続きをアップします。

 野口氏はヨミウリオンライン(読売新聞社)が展開している「発言小町」(ユーザーからの投稿であり掲示板)のような「信頼される主体がスクリーニングを行う掲示板」の必要性について言及されています。また、これまで新聞業界が「新聞のウェブサイトでなければできないもの」を見つけられず、ポータルサイトを運営するIT企業などに“勝てるコンテンツ”を活用していない―という持論を展開。読者の参加とオーソライゼーション、相当のアクセス数などの条件をすべて満たしているのは新聞だと解説しています。
 
野口氏のコラムから抜粋

 私が言っているのは、「発言小町と同じようなジャンルの話題」という意味ではない。「それと同じような形式のBBS」という意味である。つまり、マスメディアなどが主催する読者参加のコーナーである。

 (読者からの)こうした問題に対するアドバイスは、解説記事や専門家の意見として、これまでも多数供給されていたし、いまでも供給されている。しかし、そうしたアドバイスとは別に、「実際の体験談を聞きたい」「建前でなく、うそ偽りのない真実を知りたい」という需要は大きいはずだ。


 (発言小町を)こうしたコーナーを運営できるのは、マスメディアに限られるのである。なぜなら、資産運用について金融機関がBBSを運営しても、「宣伝」と受け取られてしまうだろう。進学指導について予備校がBBSを開いても、「バイアスがある」と受け取られるだろう。重要なのは、中立性であり信頼性なのだ。その点から見て最適の主体は、マスメディアである。



 「こうした活動が利益を生むか?」という問題を考えよう。これに対する答えは、現時点ではおそらく「否」だろう。私の想像では、発言小町といえども、読売新聞にとってコスト源とはなっても、収益源とはなっていないのではあるまいか? この点から考えても、この類のサイトは、「誰にでも運営できる」ものではない。
 しかし、多くの人がそこを訪れるのだから、必ず何らかのビジネスモデルが存在するはずだ。要は、誰が、何時、それを発見するかである。それを発見した人が、第2のグーグルになるだろう。

 しかし、ビジネスモデル的にはどうなの?という問題については「必ず何かしらのビジネスチャンスはあるはず…」とかなり歯切れが悪い感じがします。でも今回のコラムを読んでみて、結構具体性のある提言をされたと思います。まずはグズグズ言う前にやってみないことには始まりませんね。

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2008年04月22日

内部の問題を整理できないのだから外部の意見なんて聞き入れられないのでしょうねぇ…

 週刊ダイヤモンドが展開する情報サイト「ダイヤモンドオンライン」に、野口悠紀雄氏(早稲田大大学院教授)の「 野口悠紀雄が探るーデジタル『超』けもの道」というコラムをがあります。今回(21日付)は、「インターネット上の『新聞』の読み方」という寄稿が掲載されています。
 新聞社が展開するウェブサイトの活用術や今後のビジネスモデルについて言及しているのですが、最近のダイヤモンドオンラインは「新聞没落」(週刊ダイヤモンド2007.9.22)以降、新聞界の再編を煽りたいのでしょうか…、河内孝氏や山口一弥氏らのコラムを組んで問題提起をしています。
 
 野口氏は新聞に求められる役割は何か?新聞業界が問われている根本的な問題として2点あげています。
 第1は、「新聞に求められる役割は何か?」ということである。もちろん、この問題はこれまでもあったものだが、ニュース配信において新聞が圧倒的な力を持っていたので、真剣に考えられることはなかった。テレビが登場したとき、新聞の領域が侵されるのではないかと考えた人が多かったが、結局そうしたことにはならず、新聞は生きながらえた。それは、テレビと新聞の性質が異なるものだからだろう。両者は、適切な役割分担を実現することができたのだ。しかし、いま生じつつあることは、新聞の本質的な役割にかかわるものである。
 第2は、「紙であれウェブであれ、情報提供サービスはいかにしてビジネスモデルを確立できるか」ということである。もちろん、これは新聞に限った問題ではない。


 本日発信のものは序章のような内容ですが、次回4月28日に配信予定のコラムは注目したいと思います。

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2008年04月21日

「もし、新聞がなくなったら」新聞をヨム日公開シンポ(其の五)

経営が成り立っていなければジャーナリズム活動はできない/ニュースに解説、識者の意見を加えた完全版を有料化

橋場)確かにブログというのは、昔はネットができる前というのは新聞社とかテレビ局とかラジオ局のように伝える設備を持っているところしか伝えられなかったものが、ネットやブログによって一人ひとりがジャーナリストになれるともいえるわけです。ではどのくらいジャーナリストが動いているのかというと、例えばオーマイニュースのような市民記者という形でニュースを提供しているというスタイルが増えていますね。でも日本ではそれがどれだけ読まれて信頼されているかというとまだまだだなぁという気がします。
 では進んでいるアメリカはどうかというと、ブログを書く人が大統領の会見に出られるようになったといわれますけれど、といっても実はアメリカでもジャーナリストとして信頼されている人がブログをどれだけやっているかというと、せいぜい20人くらいでそもそも新聞社やテレビ局のジャーナリストの仕事をやめてブログでやっているというのが現状ですね。これからどのくらいネットだけで情報、ニュースを伝える人が増えていくのかはこれから見ていかないといけないと思います。
 ジャーナリズムとすれば新聞社やテレビ局といったマスコミがやっている以上に画期的な取り組みをやっているのは事実ですので、それに負けないような記事を新聞社がどのくらい書けるかというところが、ジャーナリズムの中身というところでは、これから問われてくると思います。ただ難しいのは新聞社が経営的に成り立っていなければジャーナリズムの活動はできないわけで、ビジネスモデルというか新聞社がこれからどうやって商売をしていくのかをいま世界中の新聞社が模索しているのが現状です。
 時間も押し迫ってきましたので、そうしたことを踏まえてパネリストの方に一言ずつまとめの意味でコメントを最後に頂きたいと思います。

シンポ パンフ.JPG

坂東)新聞は日本だけではなしにアメリカやオーストラリアでも新聞というメディアはテレビやネットと競い合っているわけですけれども、向こうの新聞はドサッと来るんですよ。でもそのほとんどが広告なのですね。新聞は広告で事業が成り立っているという状況があるわけですよね。しかし、日本でもちらほらとフリーペーパー、広告でいろんなニュースを流すというような新聞ですとか雑誌、週刊誌がどんどん増えてきています。フリ−ペーパーとネットが提供するニュースはどちらもスポンサー付でタダで情報を流すということでは、共通点はとてもあるなぁと思います。広告スポンサーによって成り立つメディアというのはスポンサーの意向を尊重せざるを得ない。それは言論の自由や情報操作などの不安はある一方で、政治家が小選挙区制になってから世論を気にしなければ当選できなくなったのは、世論に敏感というか大衆に敏感というか…表現として正確ではないのですけれども人気に敏感というか。読者の顔色を伺いながら新聞を作るということになると自殺行為ではないかという気がするんです。その兼ね合いはとっても難しいと思います。
 読者に信頼されなければ、支持されなければ経営は維持できない。だから読者にウケる新聞を書きたいという気持ちは分かるんですけど、それだったらそれこそスポンサーに気を使いながら記事を書くのと同じように、読者のことを気にばかりした記事を書くのは違うと思うし、そんなことばかり書かれては読者も困るし…一番難しい。
 ではどうすればよいのか。私はいま新聞はいろいろな形でNIEのような新聞を読む、リテラシーの教育をされていますが、ネットはどうなんだろう、会場から文字が劣化しているんじゃないかという問題提起がありましたけれども、いろいろな人たちから提供される情報の真の意味でのリテラシーを身に付ける努力をそれぞれがやらなければいけないと思います。学校の教師も「若い人たちが読まないなぁ」と思っていないで、学生も就活のときは必要だから読んでいるんですから。家庭でも親が「今日の新聞のこれについてどう思う」とか家族の会話に使うとかいろいろやればいいと思うんですよね。もっと国民自身が情報リテラシーを持つことなしには、議論も難しくなってくるのではないかという気がします。ぜひ読者を重視しつつおもねらない新聞になっていただきたいと思います。
最相)この議論が行われて、ここにいらっしゃる方々は新聞を読んでいるのですけれど、危機的に考えなくてはいけないのはここに来ていない新聞を読んでいない人から意見を聞かないと議論にならないのではないかという基本に立ち返らないとダメだなと思います。
 あとは私自信はフリーで仕事をしてきておりますので、お金も持ちだしで食費を削って取材をしております。ですから自分の書いたものをタダで読まれるのは嫌です。生活ができません。新聞記者の方は組織に守られているのでそこまでの危機感は持っていらっしゃらないのだと思いましけれども、やはりお金と時間の掛った紙面に書いてある文章は価値あるものとして認めていただきたいし、読んでくれる人を裏切らないような文章を私自信が書くのみだなぁということで考えております。

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2008年04月17日

「もし、新聞がなくなったら」新聞をヨム日公開シンポ(其の四)

紙の新聞はなくなっていくのは確実じゃない

最相)
ちょっと長くなりますが、川邊さんがいらっしゃっているのでお伺いしたのですが、2006年にアメリカのファンドが毎日新聞が報道したある先物取引の記事に対して、名誉棄損の訴訟を起こしました。ご存じの方もいらっしゃると思いますが、それが名誉棄損で1億ドル、日本円で115億円の提訴でした。しかも提訴されたのはニューヨークの連邦地裁で日本ではないんです。毎日新聞の記事なのに被害を被ったのはアメリカだからアメリカで提訴されたわけですが、これから情報が言語が違っても簡単にネットで翻訳できるわけですね。そうすると今まで司法取引として考えられたものが拡大される危険性が出てきていて、日本国内の場合は115億円提訴するために印紙代だけでも何千万って掛っちゃうのでなかなか起こらないと思うのですけど、アメリカではできちゃうわけです。この訴訟が最終的に非常に不可解な結末を迎えたわけですけども、情報が分散されている時期はこれからネット側のゴシップとしてもこれから捉えられていくべきではないか、そうした時にヤフーは名誉棄損であり著作権の侵害でありをもともとの情報を見せるだけとおっしゃいましたが、たとえが非常に重要な情報だった場合は、タイトルなんかも編集されると言われてましたが、そうしたら責任が全くないとは言えない時代になってくるのではないでしょうか。そのあたりを今の段階でどう考えていらっしゃるか伺いたいと思います。これは粕谷さんにも情報を提供する側としての意見を聞きたいと思います。
川邊)いまのは重要な話でして、ニュースのたてつけの話と問題が起きた時どう対処するかの2つあると思うのですけど、誤報や誤報に近い内容で記事に書かれた方が迷惑をされている場合、記事そのものを含めヤフーに出ているから多くの人が見て迷惑をしているんだということに関しては、最終的な責任のどうこう言う以前に記事提供者とヤフーとで協力して、すぐに状況の改善をしなくてはいけないと考えます。それはヤフーもひとつのメディアですので責任はあるかと思います。
 たてつけの話をしますと、いまヤフーはトップページにニュースが8本出ているんですね。(プロジェクターを使って)そのニュースをクリックしますと記事がありまして、これが時事通信の記事ですと本文にも明記しているわけです。この記事の内容に関しては、責任を取るにしても取るための裏付けがわれわれには出来ないという状況にあります。ここに書かれている内容がわれわれの中にデスクがあるわけではありませんし、記者がいるわけでもないので事実かどうかは判定できないんですね。それは情報提供元を信頼して出しているのが現状です。それで、ひとつあるとすればトピックスが8本で13文字の見出しになっているわけですが、基本的には見出しも情報提供元が出している見出しで出しているんですけれども、横13文字というのが決まってますんで、はみ出る部分はヤフーの方で見出しを書き換えています。見出しを書き換えていることと記事の内容が違って、それによって問題が生じてしまったということが起きた場合は、見出しを書いたりこのニュースを選んだ、あるいは記事の内容と見出しが全然違うというものはわれわれが書いているものですから責任はある程度あるのかなぁと考えています。
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2008年04月15日

「もし、新聞がなくなったら」新聞をヨム日公開シンポ(其の三)

紙かネットかをいうの前に無料の記事配信でビジネスが成り立つのか?/ネットをなめていたのではないか


橋場)ネット時代における新聞の位置づけというかそういうものを考える上では、新聞社自身も少しずつ変わりつつあるということですね。ネット時代でも新聞は必要だよね―という点で言えば何が言えますかね。
坂東)私自身は一覧性、それから記録性というのが現代の社会において必要だと思っています。具体的な例で言うと3月29日のニューヨークタイムズの朝刊に私のインタビュー記事が出たんですけれども、後でそれが出たことを聞いてネットで探したんですが見つかりませんでした。もう次の日の画面になってしまってそのページにたどり着くってことができませんでした。これが新聞であればコピーで送られてくるのになぁと。コンピューターの画面の情報をどうハンドリングするのかということが、私の使い方が上手じゃないということを抜いたとしても、切抜きで過去の情報を保存することができるし、それを掲示用語で組み合わせることができるので家事と紙というのはなかなか使い勝手がよいのであって、新聞の持っている特性、それはメディアとして新聞が安定しているからそれをどう使いこなすかという手法も自分が身につけることができる。それに対してネットというのはいま現にどんどん変わっている最中で、新聞の競争相手というよりはテレビの視聴時間が食われているだろうとを思うのですが、日進月歩のネットもあるレベルに安定すればそれを使いこなす、それによって知的活動をどうアレンジするかという手法も安定してくると思うのですが、今はまだ安定していないのでキャッチアップすることに無駄なエネルギーがとられて、それを材料として本当の自分の考えを構築するというところまでできないのかなと。どんどん新しくなるツールをどう使いこなすかで知的エネルギーが削がれている気がします。

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橋場)
新聞協会が主催するシンポジウムだから新聞のよいところしか言わないのではないかと、皆さんも当然そう思っているでしょう。でも、実際にはネットの中でも新聞批判がかなりありますよね。会場にいらっしゃる方は新聞の愛読者の方でしょうけれども、新聞はこれでよいのかという批判を思っている方もいらっしゃると思うのですが、会場の方から不満とかこれはおかしいんじゃないかというご意見がありましたら、ごく簡単に言っていいただければと思います。
質問者A)どこかのタイミングで橋場さんと粕谷さんの話を聞いて、あぁ現実を分かってないのだなぁと痛感して、さらに粕谷さんはわれわれには自身があるという胡坐を書いた発言があったので、橋場さんはこのような問題で金稼ぎをしているわけですから良いのでしょうけれども、本当の意味で危機感を感じてないと思います。本当のところ新聞はなくなってもいいんですよ。じゃぁなくなって困るのは坂東さんの出身の官僚、それから政治家だけですよ。新聞に書かれたことによる危機感、世論が動いたことで彼らはちょっと手を休めたりする。新聞がなくなったら困るのは国家権力が暴走するという危機感だけなんですけれども。あと先ほど橋場さんが言った学生の購読率は新聞学科の学生の70何パーセントですよね。
橋場)一般学生もいます。
質問者A)四谷キャンパスも僕も上智によく行くのですが、購読率はもっと低いと思います。それから、粕谷さんは販売も経験されているといってましたけれども実売の部数。これは皆さん公表しないけれども部数ガタ落ちとんでもない残紙が残っているんじゃないですか。
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2008年04月13日

「もし、新聞がなくなったら」新聞をヨム日公開シンポ(其の二)

なぜ学生は新聞を読まない…
興味ある情報しか欲していない/時間の奪い合い

坂東眞理子)
私は5年前に大学という世界に来たのですけれど、それまで公務員の頃は毎日、全国紙場合によってはスポーツ紙の少なくても見出しはチェックして、職業上新聞を読む生活を当然のような生活をしていたのですけれども、大学に来ましたら「別に読まなくってもいいんじゃないですか」っていう方たちが回りにたくさんいらっしゃるので、ショックを受けました。それは職員の人たちだけではなくて学生たちも(そういちゃうとうちの大学の学生は新聞読んでないといわれそうですけれど)半分近くは読んでいないと思いますよ。(親と同居する学生)家には毎日新聞が届けられるけれども私は見ないと。一人暮らしをしている人は新聞を取ると(古新聞で)アパートが一杯になっちゃうからとか綺麗な部屋で暮らせないからとか言って取っていませんね。でも就活をする3年生になると毎日読むようになるんですね。ということは大学生でも1年生、2年生のうちは新聞を読まなくても勉強ができるというのは、授業の材料として教員が使っていないことが影響しているのかなと感じています。
粕谷卓志)私がなぜこの席にいるのかというと今年3月まで新聞協会の編集委員会の代表幹事ということで座長役をしていたものですから、そういう意味では5200万もの部数を発行している新聞社の代表という立場で緊張しています。確かにいま若い方たちがだんだん読まなくなってきて、朝日新聞の場合も800万部の読者のうち半数以上は50代以上の方であります。新聞界全体の購読層が今日お集まりの皆さんの年齢層と似てきているんだろうなぁと思います。もうひとつは若い人たちに取ってもらえないかというと携帯電話には月に1万円使うけれども、新聞代3925円は払いたくないというのが現状であります。いま坂東さんがおっしゃりましたけど3年生になると就活で新聞を読むようになります。新聞社側も若者たちが新聞の情報について触れないのかというとネットを通じて読んでいるわけで、あとは活字に紙にどう結び付けていくかというのが私たちの業界の一番の課題であり、各社がいろいろな取り組みをしているというのが実情です。
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橋場)
大学生がどのくらい新聞を読んでいないかというと、私も実は6年前に上智大に行って私の授業を取る学生に最初の学期が始まる時にアンケートを取って「どれくらい新聞を取っているのか」を毎年調べています。今年春にまとめてみたのですけれどもニュースを学生たちが見るときにどのメディアを使っているかという問い(複数回答)では、まず6年前の02年度は97〜98%の学生がテレビを中心にニュースを見ている、新聞はというと02年度で96%だった。でもそれから変わってきて昨年の4月にはテレビは94%、新聞は76%になってしまったんです。20ポイント下がってしまったんですね。一方、ネットですが02年度は68%だったのが85%に増えています。ただ毎日新聞を読んでいるかどうかこれが問題ですよね。これが減っていまして02年度が58%でしたが07年度は25%です。新聞に触れることは触れているのだけれど毎日ニュースをチェックする対象として新聞を利用する学生は減ってきているということは分かると思います。
 何でだろうということですよね問題は。もちろんネットというものが大きいと思いますけれども、パネリストの方はどちらかというと新聞に触れているほうの人たちなのですが、逆に新聞のほうに問題があるのかなぁということを何か指摘できるのかどうか、この辺のところを伺ってみたいと思いますが。
坂東)新聞に問題があるというよりも外界のこと、天下国家といいますか、世の中で起こっていることへの関心の度合いが薄れてきたのではないかなぁと思っています。自分の身近な半径数メートル位のことについては関心があるけれども自分の関係のないところで起きている社会の動きとか政治の動きとか、そこには興味がないという人たちが新聞を取る必要を感じていないのではないかと思っています。
最相)私は単に時間を取り合いをしているだけだと思いますね。新聞を読む時間がネットを見る時間に負けているのでしょう24時間決まっているわけですから。ネットによるタダの情報に時間を取られているし、ネットの使い方も変わってきましたね。新聞に書いてない情報をネットから得られるわけですし、だから新聞が使い勝手が悪いというわけではなくて保存性と戸別配達もされるし便利だと思いますが、若い人たちの行動形態が変わってきたということだと思います。
橋場)パソコンというのはとても便利な道具で、ニュースを読むだけじゃなくてゲームや手紙(メール)のやり取りをすることができるし、音楽を聴くこともできます。そうしたところに時間を取られているというのは、しょうがないといえばしょうがない気もしますね。そこで川邊さんヤフーの社員としてだけではなくて、利用者がなぜ新聞を読まないのかということを考えたときに何かお気づきの点はありますか?
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2008年04月11日

「もし、新聞がなくなったら」新聞をヨム日公開シンポ(其の一)

ニュースを通じて社会の価値観がつくられる


 4月6日(新聞をヨム日)に東京都一ツ橋記念講堂で行われた公開シンポジウム「もし、新聞がなくなったら〜混迷時代の座標軸」(主催:財団法人日本新聞協会)のパネルディスカッションのレポートを掲載します。約2時間の討論をまとめるのに慣れないテープ起こしで作業がなかなか進みませんが、ディスカッションでの発言内容をできるだけ詳しくアップしていこうと思っています。

 あらためてパネラーのご紹介
 コーディネーター:橋場義之
氏(上智大学文学部新聞学科教授)
 パネリスト:川邊健太郎
氏(ヤフー株式会社シニアプロデューサー)
        最相葉月
氏(ノンフィクションライター)
        坂東眞理子
氏(昭和女子大学学長)
        粕谷卓志
氏(朝日新聞社編集担当兼ゼネラルマネジャー兼東京本社編集局長)

橋場義之)最初のプログラムで瀬戸内さんの「源氏物語」の講演と、このシンポジウムの「もし、新聞がなくなったら」というテーマをどうからめるのかと思っていましたら、さすが随所に新聞というメディアへのつながりというものも盛り込まれてありました。私が説明しようと思っていたことも瀬戸内さんは触れられていて、「物語」ということをとっても新聞に書いてある記事もいわゆるその日一日に起きたことの物語であります。小説との違いは嘘がないということ。その物語を共有する、皆さんが知ることで物事の考え方や感性がつくられてくるんだと思います。ニュースを通じて私たちの社会の価値観などがつくられていると思っています。
 そろそろ本題に入りますが、先ほど新聞協会の会長さんからもお話がありましたように、いま新聞業界は厳しい状況にあります。数年前ですが「新聞は生き残れるか」という衝撃的な本が出版されました。新聞業界にいる人は非常に危機感をもって臨んでいるし、いろんな事を考えながら日々新聞をつくっているわけです。
 このシンポジウムではタイトルにある「もし、新聞がなくなったら」という非常にきつい言葉ではありますけれども、大きく三つのテーマで考えていきたいと思います。ひとつは読者、特に若い人ですが新聞を読まなくなっており、それがいろんな意味で大きな問題なのですが、新聞社の経営的にも問題であるわけで、それはなぜなのかということ。二つ目はそういう新聞離れの理由の一つとしてインターネットというメディアが爆発的に普及してきているわけですが、そういった時代の中で新聞はどうしていかなければならないのかということ。そして三つ目がグローバリゼーションと申しますか、世界全体が激変していく中で、その中の座標軸となりえるもの、新聞がそういったものになりえるのか、そのために新聞の役割とは何かという流れで議論を進めさせていただきたいと思います。

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 まずはじめに読者が減っているということですが、基礎的なデータをご紹介した上でパネリストの方から話を伺いたいと思います。新聞の部数は確かに少なくなっています。新聞協会の調べでは日本の新聞のピークというのは今から10年前の1997年で、大雑把に言いますと5,376万部というのが最高で年々減ってきて昨年は5,200万部ということです。10年間で減った率というのは3.2%です。3.2%という数字をどのように見るかということは難しいのですけれども、アメリカに比べるとそれほどひどい状況じゃない。例えばアメリカでは去年の4月から9月まで日刊紙の平均がわずか半年で4.5%も減ってしまた。アメリカは非常にドラスティックに変化しています。日本もアメリカの比ではありませんが、10年間で減っているということには間違いない。同時に皆さんが新聞を手にするケースはいろいろあると思いますが、定期購読をしない人たちが増えています。1999年で7.5%、昨年は13%。
 新聞の読み方については内閣府が調査しておりまして、全く新聞を読まないという人(10歳から29歳)が6年前には22.3%だったのが昨年は27.7%に増えている。面白いのは30分以上読むという人が8.7%から16%に増えている。極端に分かれているのかなという感じがします。
 こういうことを踏まえた上で、新聞の読者離れといいますか、なぜ新聞が読まれなくなったのかを討論していこうと思います。実は今日のパネリスト4名の方がいらっしゃってますが、偶然なのか主催者側がそう選んだのか分かりませんが、30代から40、50、60代までの年代別にいらっしゃるわけですので、ご自身の新聞との付き合い方、(新聞離れという)この状況をどのように見ているのかをお話しいただきたいと思います。粕谷さんは新聞社の代表なので最後にとっておいて、はじめにお三方から話を伺いましょう。

川邊健太郎)新聞の購読の文化みたいなものですよね。まず明確にあるのは、私は33歳なのですがネット出現以前と以降を分けると1995年にインターネットが日本では爆発したのですけれども、それ以前に私は大学生だったわけで、私ぐらいの年齢だと新聞は読んでますね。
 家が朝日新聞を読んでいたものですからずっと朝日を読んでいて、大学の時にビジネスを起業したものですから仕事をしたからには日経でも読んでみるかという感じでしたね。新聞を読む文化は私の世代は持っています。ただし、95年にネットが登場して以降の方々は、衝撃的ですけれども今の中学校1〜2年生の方に情報の授業をするとネットからの情報の話しかしないんですよ。生まれた時からネットがあったという方々ですから、その人たちからすると先ほどの数字を見ても新聞読まない人が増えているのかなぁという感じがしています。
最相葉月)私は職業柄、全国紙は全部読んでいます。毎朝、朝日・読売、日経・毎日・産経・日刊スポーツを読んでいて、購読にかかる時間はだいたい1時間半くらい。朝ごはんを食べながら読んでますので、私にとっては新聞は必需品です。
 編集者の仕事も新聞を読む人種が集まっているわけですが、このところ若い編集者の方や別な業種の若い方に会うと「新聞に書いてあったでしょ」と言っても「新聞読んでいません」と言われて、これが現実なんだと思います。
 私自信が新聞を読むきっかけになったのは、父親が高校生まで新聞配達で学校に通わせてくれました。毎朝2時に起きて3時には朝刊が届きますから販売店に行って折込チラシを入れて配達して…7時頃には帰ってくるという環境の中で育ちましたので、新聞は私をここまで大きくしてくれたという思い入れがあります。それがいま危機的状況を迎えているということで心配であります。

(続く)

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2008年04月07日

新聞ヨム日シンポに参加してきました! 共同配信はノンフィクションライター最相さんの「ネットをなめていたのでは」に集約?

 前回のログでお知らせしたとおり、昨日、新聞協会主催のシンポジウムに参加してきました。
 同協会会長の北村正任氏(毎日新聞社社長)のあいさつや瀬戸内寂聴さんの「源氏物語」の講演はさておき、パネルディスカッション「もし、新聞がなくなったら〜混迷時代の座標軸」の討論内容を何回かに分けてアップしていきたいと思います(今日は忙しかったので次回から)。

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あいさつする北村新聞協会長

 
 その前にけさの新聞各紙では多くが第二社会面に写真入りで掲載されていました。読売と毎日、産経は自社サイトにアップしていましたが、若干紙面より削られた記事になっていたので各紙の記事を打ち直しました。この記事内容をベースにしてこれからアップするディスカッションの詳細を比較してみると「己の業界のことを読者へどう伝えているか」が見えてくると思います。今日はここまで!


「新聞ヨム」シンポ:朝日新聞(4/7付)
 「新聞をヨム日」の6日、日本新聞協会は公開シンポジウム「もし、新聞がなくなったら〜混迷時代の座標軸」を都内で開いた。若い世代に新聞離れが進み、インターネットが普及した時代、新聞社に期待される役割について議論が交わされた。
 講演で作家の瀬戸内寂聴さんは「今、若い人や子どもが読むような新聞を作らなきゃだめですよ。若者にアピールしなくてはいけない」などと語った。
 パネルディスカッションでは、ヤフーの川邊健太郎・シニアプロデューサー、ノンフィクションライターの最相葉月さん、坂東真理子・昭和女子大学長、粕谷卓志・朝日新聞社編集担当らが出席。「ネットは膨大な情報の海。新聞の重要さの仕訳をする機能は大きい」といった意見が出された。
 (シンポジウムの詳しい内容は後日掲載します)

新聞のあり方考えるシンポジウムを開催:毎日新聞(4/7付)
 春の新聞週間が始まった6日、インターネット時代の新聞のあり方を考える公開シンポジウム「もし、新聞がなくなったら〜混迷時代の座標軸」(日本新聞協会主催、文化庁など後援)が東京都内で開かれ、395人が参加した。【写真付き】
 日本新聞協会会長の北村正任・毎日新聞社長が「新聞は厳しい状況におかれているが、文字・活字文化を支えるものとして、これにこだわりつづけてまいります」とあいさつした。
 作家の瀬戸内寂聴さんが「源氏物語千年紀」と題して基調講演。古典の世界を紹介しながら、新聞への期待なども織り交ぜ「文化を大切にしない国は滅びる」と語った。
 パネルディスカッションは橋場義之・上智大文学部新聞学科教授をコーディネーターに、「若い人の新聞離れ、インターネット時代の新聞の位置づけ」などを論じた。パネリストとして▽坂東眞理子・昭和女子大学長▽ノンフィクションライター、最相葉月氏▽川邊健太郎・ヤフーシニアプロデューサー▽粕谷卓志・朝日新聞社編集担当兼ゼネラルマネジャー兼東京本社編集局長−−が出席した。
 シンポジウムの詳細は11日に掲載します。

「若い世代が読む新聞を」シンポジウム寂聴さん講演:読売新聞(4/7付)
 春の新聞週間が6日スタートし、日本新聞協会は「新聞をヨム日」(4月6日)にちなみ、東京・一ツ橋の一橋記念講堂で「もし、新聞がなくなったら〜混迷時代の座標軸」と題した公開シンポジウムを開いた。冒頭、北村正任(まさとう)・日本新聞協会会長(毎日新聞社社長)は「世界で起きている飢餓やテロ、夢の科学技術から、ごく身近な街のドラマまで、森羅万象、喜怒哀楽が詰まっているのが新聞。そのすばらしさを改めて認識していただきたい」と約500人の参加者を前にあいさつした。
 続いて作家の瀬戸内寂聴さんが「源氏物語千年紀」と題して基調講演。瀬戸内さんは、源氏物語の魅力や活字文化の大切さに触れながら、「言葉は時代と共に変わるし、思想も変わっていく。昔はこうだったと知らせるのが活字。今後の日本を背負う若い世代に読んでもらえる新聞を作って欲しい」などと述べた。
 パネルディスカッションでは、橋場義之・上智大教授の司会で、4人のパネリストが新聞の役割について意見を交わした。坂東真理子・昭和女子大学長は「読者に信頼される新聞作りは当然だが、顔色をうかがってばかりでもだめで、バランス感覚を持って欲しい」と要望。川辺健太郎・ヤフーシニアプロデューサーは、「何が起こったという情報はネット上にあふれているが、背景の分析や解説は新聞を読まないと分からない」などと話した。
 (詳細は9日朝刊で掲載予定)


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2008年04月03日

「もし、新聞がなくなったら」シンポジウムに行ってきます!

 年度が替わり何かと慌ただしい日々。今だけ委員長も異動を命ぜられ、これまでの営業部門とは違った部署で新しいメンバーと1年間過ごすことになりました。

 さて、今月6日から「春の新聞週間」がはじまります。業界内だけが勝手に盛り上がって…と思われそうですが、PRやキャンペーンは必要なこと。ただ、何をPRしてターゲットに何を訴えるかが問題です。ただ「新聞読んで!」では猿でもできるわけですから。

  週間.JPG   招待状.JPG 
 キャッチコピーは「新聞習慣はじめる」。無購読者への購読促進を呼びかけにキャスターの小林麻央さん(確か昨年は真鍋かをりさん)をイメージキャラクターに起用。新聞を読む習慣はどうしたらつくのだろう?

【プレスリリース】
 日本新聞協会は4月6日を「新聞をヨム日」とし、6日から12日までの「春の新聞週間」に、全国各地でPR紙「HAPPY新聞」を配布するほか、街頭の大型テレビでCMを流すなどして新聞購読を呼び掛けるキャンペーンを展開する。
 今年は女優でキャスターの小林麻央さんをイメージキャラクターに起用。「麻央、新聞習慣はじめる。」をキャッチコピーに期間中、新聞販売所店頭などにポスターを掲示する。HAPPY新聞には小林麻央さんや作家のあさのあつこさんらのインタビュー記事などを掲載し、各地の大学構内や街頭などで配る。
 また7日には東京のJR有楽町駅前で「地域社会を支える新聞販売店」をテーマにしたパネル展示を実施し、一般紙やスポーツ紙の試読紙などを配布する。

 4月6日には新聞協会の主催で、現代における新聞の役割をあらためて考える公開シンポジウムが開催されます。
 パネルディスカッションではネット社会における新聞の存在意義について考え、活字離れが伝えられる若年層を新聞読者にどう取り込むか、混迷する時代において座標軸たるべき新聞の役割について討論―という内容なので、当日は会場へ行って(高速バスで…)ディスカッションを聞いてこようと思います。感想は後日アップしたいと思います。

新聞をヨム日 公開シンポジウム
「もし、新聞がなくなったら〜混迷時代の座標軸」

 コーディネーター
 橋場 義之氏(上智大学文学部新聞学科教授)
 パネリスト
 川邊健太郎氏(ヤフー株式会社シニアプロデューサー)
 最相 葉月氏(ノンフィクションライター)
 坂東眞理子氏(昭和女子大学学長)
 粕谷 卓志氏(朝日新聞社編集担当兼ゼネラルマネジャー兼東京本社編集局長)
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2008年03月07日

ネットに多い米国崇拝主義者 日本人全てが米国に向かうの?

 ダイアモンド社のビジネス情報サイト、ダイアモンドオンラインで「日本の新聞社が買収の標的になる日は来るのか」というコラムを山口一弥氏(前コロンビア・ビジネス・スクール通信情報研究所客員研究員) が寄稿しています。

 米国での留学体験をもとに、衰退期の企業の経営戦略で有名なキャサリン・ハリガン教授の話を引用して衰退企業の企業戦略5項目を挙げています。

(1)出来る限り有利に資産を処分して、早急に事業の撤退を図る
(2)自社の競争姿勢がどう変わろうと、現金の早期回収するため投資分から搾り取る(ミルキング戦略)
(3)競争力を強化し優位な地位に立てるよう投資を増やす
(4)業界の不確実性が解決するまで投資レベルを維持する
(5)収益性の低い顧客層の切り捨てと同時に収益性の高いニッチへの投資を増やす


 確かに新聞も斜陽産業となっているわけですが、山口氏のコラムにはかなりの違和感を覚えます。

 アメリカで既存の紙のビジネスをしている新聞社が買収の標的になっている理由を(根拠の乏しい論ですが…)述べられているのですが、コラムの結びでは、「日本の新聞社もハゲタカのターゲットになる位の魅力は保ってほしいというのは、さすがに言い過ぎだろうか」とあります。うぅーんそうでしょうか。米国崇拝主義者の自称コラムニストが想像する未来予想図へ日本の新聞界が向かうとは思えません。もっと別な論拠で日本の新聞産業の今後を語られるならまだしも、すべて米国のようになると引導する手口は2ちゃん的な戯言としか感じられないのです。日本はニホンのそして各地方にはそれなりの新聞社と顧客とのつながりがある。米国の新聞とは違い第三種郵便(広告面が5割以下)を保っているジャパン新聞の優位性(まだまだ課題も多いのですが)もあると思うのです。
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2008年03月06日

JPメディアダイレクトが発足

 以前、このブログにもアップした郵便事業会社、電通、電通テックの3社による共同出資会社「JPメディアダイレクト」が2月29日に業務を開始しました。
資本金は4億9000万円(郵便事業会社51%、電通34%、電通テック15%)で、日本郵政が構築したデータベースを使ってターゲットを絞り込んだ広告やダイレクトメールを企画・販売するとのこと。

 同社のホームページには、「企業が最適な情報の伝達を行うこと」「生活者が有益な情報を取得すること」を企業理念に掲げ、「安全」「手軽」「効果的」にプロデュースし、ダイレクトプロモーション市場を活性化を目指すとか。
 主な事業内容は@郵便物等の送付手段を活用した効果的な広告媒体の企画、開発、販売業務A個人のパーミッションを取得したデータベースに基づく付加価値の高いダイレクトメールの企画、開発、販売業務B郵便物等の作成及び差し出しに関する業務Cダイレクトマーケティングに関するノウハウ、広告プロモーションに関するノウハウを活用した、上記の各業務に関するコンサルティング業務―など。

 郵便局が民営化されたとはいえ、このようなガリバー企業同士が市場を握っていく構図はさらに加速することでしょう。

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2008年02月24日

電通発表の「2007年日本の広告費」 推定範囲の改訂がもたらしたもの

 20日に電通から発表された「2007年日本の広告費」について、元日経広告研究所の専務理事を務めた森内豊四さんから、推定範囲の改訂や統計数字の読み取りに関する注意などのご意見をいただきました。
 とても的確な分析と「新聞広告の落ち込みは金額のみならずシェアの低下が問題」との提起をされています。以下に転記します(ご本人から了承済み)。


[推定範囲の改訂について]
 先のメールで「推定範囲の改訂」のことに触れましたが、その数字の背景は電通のニュースリリーフの10ページ、表3「媒体別広告費(1999〜2007年)」でわかります。
 昨年発表の06年の数字を今回訂正した結果、06年の広告費全体は9、578億円膨らみました。主な項目は、フリーペーパーなど3,357億円、インターネット広告制作費1,198億円、折込1,853億円、屋外1,208億円、雑誌698億円などです。

[シェア低落の問題]
 新聞は昨年5.2%の減少でマイナス幅を拡大しました。この数字自体関係者にはショックですが、もっとぞっとするようなことが起こりました。
 それは広告費の推定範囲の改訂で、新聞のシェアが16.7%から一気に13.5%に転落したことです。(昨年版の06年)推定範囲、つまり分母をほぼ1兆円広げたわけですから、新聞広告費が変わらないかぎり、シェアが下がるのは当然です。
 新聞は自らの実態に関係なく、新たに推定に加えた「インターネット広告制作費」や「フリーペーパー」、改訂で大幅増額となった「折込」や「屋外」、「DM」にしてやられただけです。
 ちなみに、この数年、新聞のシェアは次の通り推移しています。(スタートは97年)

総広告費における新聞のシェア(%)
1998年1999年2000年2001年2002年2003年2004年2005年2006年
20.420.220.419.918.818.51817.416.7

 新聞の凋落は誰もが認めるところですが、16.7から13.5はあまりにも酷いではありませんか。もし改訂しなければ、新聞はシェアを15.6%に留めていたはずです。こういうふうに、統計数字は読み取りに注意する必要があります。

[折込について]
 もう一つ、「折込」が今回の改訂で6,549億円となり、新聞9,462億円の実に7割に達したことに注目したいですね。にもかかわらず、どの新聞も、インターネットが雑誌を超えたことを強調する結果におわっているのはどうしてでしょう。
 電通の発表をうのみにしたとしか思えませんが、こういう報道姿勢が新聞不信にもつながるのです。

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2008年02月11日

新聞販売店 標語は40年前も変わらない

 「新s あらたにす」の注目テーマもまだまだ中国製冷凍ギョーザの話題で持ちきりです。昨年東京に住んでいた時に池袋サンシャインシティにあるナムコ・ナンジャタウン(BANDAI NAMCO Group)の『池袋餃子スタジアム』に行ったことがあります。

 餃子というと宇都宮市が有名ですが、全国から11店舗が美味しい餃子を提供しています。餃子好きの私としては一連の冷凍ギョーザ問題で風評被害がこれ以上加熱しないよう願うばかりです。

 いや、餃子の話を書こうと思ったのではなく、その池袋餃子スタジアムに「読売新聞福袋販売所」が出店しているのを思い出しました。

      福袋販売店.jpg

 自分の誕生日や何かの記念日など過去の新聞紙面が購入(1部500円)できる自動販売機が設置してPRをしているのですが、昭和30年から40年代の新聞販売店がとても厳密に再現されています。私も勤め先で発行した記念誌や先輩の話を見聞きしただけですが、当時使われていたと思われる営業成績表には“攻めの継続 目標完遂”とか“読者の信頼支えるまごころ”などの標語を見ると「今も変わらないなぁ」と思わず苦笑い。

      攻めの継続 目標達成 読者の信頼支えるまごころ.jpg


 当時は折込チラシなども少なく購読料収入(1960年の月極め購読料は390円)のみで新聞販売店が営まれていました。休刊日もなく(あっても1月2日付)日曜日の夕刊も発行されていた時代です。配達にかかる経費をより安価に抑えるために新聞少年(当時は小学生も雇用していた)の労働力に頼っていたわけです。

 10年後、20年後の新聞販売店はどうなっていくのだろう・・・

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2008年01月22日

機能せず国連化する新聞協会を尻目にG7ならぬG3化を極めるANY

 前回も書きましたが、朝日新聞読売新聞が今年4月以降の紙面改革で、現行の15段制から12段制へと編成し、文字を拡大させるという話。もう少し詳しく突っ込んでみたいと思います。

 新聞の定期購読者層が高齢化していることは周知の通りで、「小さい文字が読みづらい」という声をよく伺います。昨年、毎日新聞が「J文字」を導入し、それまで111文字を10文字に減らして文字の拡大を図りました。「読者からは好評だ。部数も伸びている」というコメントをどこかの業界紙で読んだことがありましたが、部数は…のくだりは首を傾げてしまいます。起死回生を狙った毎日も今回のような段数を変えるという発想はなかったのでしょう。段数を変えるとすると新しいシステム費用がかさみ、共通の広告サイズではなくなると受注が困難なうえ、記事スペースも減る(調整広告をなくせば確保できますが)などのデメリットがあったわけです。

 それを今回は読売の主導で12段編成を主流にしようとしているわけです。読売は現在も14段制を敷いているので文字拡大をさせるとなると、110文字では逆に読みづらいので13文字に増やし、その分段数を減らすという手法をとったのでしょう。そして読売一社だけでは広告サイズの手直しなど大変だからANY(朝日・日経・読売の三社連合)で新たな業界基準を作りましょうとなったわけです。続きを読む
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2008年01月06日

今年も“今だけ委員長”を続けます!

 新年明けましておめでとういございます。

 昨年は労組専従を終えて職場復帰、復帰するも発行本社の方へ新規事業立ち上げのための業務応援で変則的な出向でてんやわんや。年末には大事な方の急逝など波瀾万丈の1年でした。

 新聞業界に目を向ければまさに激動の時代。メディアイノベーションによって変化が問われている産業構造にあって、ジャーナリズムの旗にすがり変われない、変わろうとしない企業体質。新聞経営者は「販売、広告収入とも厳し状況だ!」と改善策も示さずに大声で叫ぶだけ…。大騒ぎをするほど余計に業界の活気を奪い、新聞メディアを必要以上に風評被害をさらす結果になっていることも気付いていません。
 いっこうに変われない新聞の売方ばかりではなく、記事への批判(ミス)も増え、新聞の「信頼」が揺らぎはじめているのかもしれません。しかし、新聞を作っている人たちが、守るものは守り、変化に対応することを信じて「新聞」を大切にしていきたいと考えています。


 あまり迷信は信じない方ですが「厄年(今年は本厄です)だからなのかなぁ」と感じつつ、自分の人生ですから悔いなく前向きに生きていこう!と思っています。今年も本ブログを細々ながら運営してまいりますので、よろしくお願いします。

posted by 今だけ委員長 at 13:45 | Comment(1) | TrackBack(0) | 日記

2007年12月19日

業界内部から見ると、こんな1年だったのかなぁ

 新規事業立ち上げのため、多忙な日々を送っています。

 2007年も残すところ10日チョイ。この時期になると「今年の10大ニュース」が新聞やテレビ(いまではネットですか)で報じられますが、昨日発行された新聞協会報に「報道界2007年重要ニュース」(協会報編集部選定)が掲載されていました。順位付けはしていませんが、記事量や小見出しの付け方を判断して勝手に並べるとこんな感じです。


@朝日・読売・日経が提携
 朝日新聞社、読売新聞グループ本社、日本経済新聞社の3社は10月1日、販売・インターネット両事業で業務提携することで合意したと発表した。災害時の新聞発行をめぐる相互支援についても覚書を締結した。
A文字。活字文化推進機構を設立
 国民の文字・活字離れを食い止め、言語力向上を目指す財団法人文字・活字文化推進機構(会長=福原義春・資生堂名誉会長)が10月23日、公益法人の設立許可を受けた。24日には東京・一ツ橋の学術総合センター一橋記念講堂で設立記念総会が開かれ、総合的な言葉の力を向上させるための運動に取り組み、2010年を「国民読書年」とするよう働きかけるなどとするアピールを採択した。
B新聞広告費1兆円割れ
 電通によると、2006年の新聞の広告費は前年比3.8%減の9,986億円と、2年連続で減少し、19年ぶりに1兆円を割った。新聞広告量も3年ぶりに減少し、同0.5%減の6,080,737段となった。

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2007年11月29日

新聞社が展開するオンラインショッピング

 新聞社のサイトは無料でニューストピックスを見れるので重宝している方は多いはず。
 10月からは産経新聞がマイクロソフトと提携し「MSN産経ニュース」を立ち上げ、毎日新聞は逆にマイクロソフトとの契約を更新せず「毎日jp」を立ち上げるなどの話題を呼び、10月度の新聞社サイトのPVが注目されました。


 新聞社は紙面掲載された記事を簡略化しウェブで配信していますが、実際に紙面へ掲載される記事量はウェブ上に配信されているものと比較になりません。解説記事や配信されない特集記事への問い合わせも多いものです。「何日の新聞に載ってたよね」という話題を聞きつけてウェブで探しても出てきませんよ。「なんでウェブで配信しないの」って逆ギレされる方も少なくないというのは、それだけ新聞社が全ての(紙面掲載)記事を無料で配信していると思い込んでいる方がいらっしゃるということかもしれません。
 しかし、それぞれの新聞社のサイトで無料配信しているヘッドラインニュースやヤフーなどのポータルサイトへの提供しているニュースコンテンツ、それを拾ってくるグーグル検索での情報収集で事足りている方が増えているのも事実。じっくり新聞を読んでみると情報量や一覧性(究極のモバイルメディアだと思うのですが…)は優れていると思うのですが部数は減る一方。料金面なのか、売り方なのか…いずれにしても定期購読されない理由と「新聞」をもう一度リーチする研究が必要です。


 ウェブでは本業のニュースで金を稼げない新聞社がネット通販に乗り出しています。全国の地方紙49社が展開する「47CLUB(よんななクラブ)」は地域の特産品をネットショッピングできるEコマースビジネスとして今年4月からオープンしていますが、北海道新聞(特選!北海道ネット通販)中国新聞(ちゅーピーモール)では47CLUBとは別に独自のオンラインショッピングを開設しています。

ちゅーピーモール.JPG

 中国新聞では関連会社の中国新聞メディアセンターが11月15日から「ちゅーピーモール」をオープン。「ちゅーピーモール」は、ちゅーピーくらぶ(同社が展開する読者会員組織)会員が割引サービスを受けられる「ちゅーピー加盟店」と「CAN-PASひろしまモール」と「ひろしまCAPS」を統合した「オンラインショッピング&店舗紹介」サイト。

 新聞社が楽天市場のようなショッピングサイトへ乗り出すのかどうか注目されるところです。「新たなビジネスモデル」になりうるのかなぁ。

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2007年11月24日

電子チラシを考えてみる

 リクルート社が電子チラシサイト「タウンマーケット」を21日からスタートしました。 はじめは都内だけのサービスかなぁと思っていたら、やってきましたね全国展開。サービスを始めて3日目ですが、けさの新聞折込のチラシと比較しながらチョットばかり検証してみます。

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 電子チラシは自分の住まいの郵便番号を入力するジャーンと新着情報が表示されます。タウンマーケットの24日分は5種類(ちよだ鮨・ABCマート・オルビス化粧品・メガネスーパー・タワーレコード)。今日の段階で5,016店舗分の電子チラシを配信しているそうです。まぁスタートしたばかりだからこんなものですかねぇ。
 ちなみに先行して電子チラシを配信しているShufoo!(凸版印刷が運営)は15種類(うち新聞紙面広告2種類)。チラシの総量を多く見せるためなのか、あまりセグメントされていません。「車があってもココまでは行かないだろ!」というくらい大雑把で郵便番号を入れる必要があるのかどうか…。居住地に応じた配信というより「自分で探せ」という印象です。
 あと、自宅のPCディスプレイではチョット目が疲れるなぁ。拡大すると文字がつぶれて読めなくなるし、プリントアウトするにも最大A4サイズのプリンターではB3の半面を印刷したとしても文字が読めず、生鮮食品の色合いも伝わってきません。

 で、アナログの新聞折込チラシはというと15種類入ってました。ダイエーなど全国展開のスポンサーも目立ちますが、みやぎ生協や長崎屋、ワコーなど地元のスーパー(自転車で行ける距離)のチラシを嫁さんがチェックしています。だいぶセグメントされているという印象です。
 チラシは視覚に訴えるカラフル感が売り物ですね。小さく羅列してある商品(画像)と値段をじっくり目で追うのがたまらないのだとか(嫁談)。そう言えば、きのうは40種類位のチラシが折り込まれていたので嫁は朝食も作らずにチラシチェックしてましたが…。

 電子チラシは、買い物をしようと思ったらPCを立ち上げてチェックするかもしれませんが、「あら、この商品安わねぇ」と顧客へリーチ(購買誘発)するまでは至らない気がします。やはりウェブの利点は目的意識がはっきりしている場合にサイトで詳細を知り(比較)、小売店へ足を運ばずに購入するというのが優位なところ。
 その点、新聞と一緒に届けられたチラシはひと通り目を通してしまうもの。何気なく見ていると「これ買おうかなぁ」と思ってくる。新聞購読していないお宅にはフリーペーパーに折り込んで届ければよいわけです。あとは読み終えたチラシをどう回収し、リサイクルするかが大きな課題でしょうか。

 ウェブによって配信されるデータと新聞と一緒に自宅へ届けられるチラシ。それぞれに長短があるものですが、顧客(チラシの送り手と受け手)の立場で役立つ情報を提供するメディアが残るのでしょう。ネット利用者の調査結果ばかりを鵜呑みにせず、顧客の声に耳を傾けることです。「とりあえず(安価な)ウェブ広告」ではなくてね…
posted by 今だけ委員長 at 19:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2007年11月21日

新聞販売店が取り組む地域貢献を紹介

 あす、11月22日から横浜にある新聞博物館(日本新聞教育文化財団が運営)で『地域に生きる 新聞販売所』展が開催されます(12月24日まで)。

 この展覧は、今年から新聞協会が販売店を対象に立ち上げた「地域貢献大賞」にちなんで開催するもので、一般の人々に広く販売所の貢献活動について知ってもらい、販売所の信頼向上、イメージアップを図ることが目的。

 最近、紙面をにぎわせている新聞販売店従業員の不祥事を何とか払しょくすべく業界全体でイメージアップを図ろうという意図が伝わってきます。
 どうしても負の部分だけが取り立たされ非難を浴びる時代ですが、販売店の皆さんが一生懸命に地域貢献へ取り組んでいることがこの展覧を通じて伝わればよいと思っています。


 新聞販売店は全国に20,614店舗(新聞協会調べ)あります。民営化された郵便局は約24,000店舗(日本郵政HPより)、コンビニは今年10月時点で40,877店舗(日本フランチャイズチェーン協会調べ)。あのヤマト運輸でも全国に12,623店舗ですから、営業(流通)拠点としては結構な数なんです。
 その拠点をどう活用するか。新聞社ではなく他の流通企業がすでに研究しているのかもしれません。



 

「日本新聞協会 地域貢献大賞創設記念『地域に生きる 新聞販売所』展」

日本新聞協会 地域貢献大賞 (新聞協会HPより)


  一般の人々に広く販売所の貢献活動について知ってもらい、販売所の信頼向上、イメージアップを図るとともに、地域社会に密着した活動を奨励することで、販売所の地域社会の一員としての自覚を高め、法令順守(コンプライアンス)に対する意識向上を目指すことを目的に、2007年設けられました。
 日本全国の新聞販売所、新聞販売同業者組合などが行っている地域貢献活動に関して、団体の活動には地域貢献奨励賞を、個人の活動には地域貢献褒賞を授与、特に顕著な功績のあった活動1件に地域貢献大賞が贈られます。
 
大賞
・「生命(いのち)の基金」チャリティーバザー/高新会婦人部「なでしこ会」


特別賞
・スリランカ学生の巣立ち助け14年/中日新聞安城今池町専売所
 
奨励賞(9件・順不同)
・配達という名の地域パトロール、行政とのタイアップ地域貢献/ASA手稲東部、ASA発寒、ASA稲穂、ASA八軒、ASA西野
・岩手日報会ウィング基金/岩手日報会
・県下盲・ろう・養護学校児童・生徒に普通傷害保険贈呈の継続事業/信毎会連合会
・板橋セーフティー・ネットワークへの参加/板橋区新聞販売同業組合
・異常事態支援サービス/名古屋市中日会、名古屋新市内中日会
・北日本新聞「愛のひと声運動」/北日本会
・日赤の献血に協力するキャンペーン/日本新聞販売協会近畿地区本部
・岡山県へ福祉バスを贈る運動/山陽新聞山陽会
・アカウミガメ保護 清掃活動/宮崎日日新聞宮日会

褒賞(5件・順不同)

・販売所を開放しての「寺子屋教室」「楽しい教室」開催事業/二本松販売センター
・古新聞回収事業による循環型地域ネットワークの構築/薮崎新聞店育伸社、いけたに新聞店、藤枝江ア新聞店
・ホビーギャラリーちょこま/福井新聞美浜販売店
・お年寄りの生活サポート/山陽新聞岡山東販売株式会社洲崎販売センター
・こどもに夢を贈る献本運動・敬老の日思い出写真プレゼント/南日本新聞真砂販売所
posted by 今だけ委員長 at 13:27 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2007年11月19日

新聞をカッコよくしよう!

 2カ月ぶりに東京へ行ってきました。
 今回は10月1日からニュースサイトをリニューアルした新聞社を訪問。とても活気がある(特に編集の)現場で予想以上に驚きました。ウェブファーストを掲げた同社は、記者(デスク)が今日は紙面、明日はウェブという具合に部局の壁をなくし、最新のものをユーザーに提供するという意識が定着。「とても元気がよい」という印象を受けました。
 彼らの合言葉は「新聞をカッコよくしよう」。紙面内容についても顧客ニーズを重視する姿勢で改善を図るものの、まずはカッコよくなければ売れないと…柔軟な発想も必要ですね。

 ウェブで新しいニュースを配信をすると紙が売れなくなる―といった言い訳はもう通用しません。コンテンツ提供(解説)や流通部門については、もっと踏み込んでチャレンジしてみるべきだと思います。


47クラブ.jpg

 
 東京に行った際は必ずフリーマガジン「R25」を調達します。私が住む地域では発行していないので…。最新号を読み進めると「47CLUB」の広告が掲載されていました。サイバー・コミュニケーションズ(電通とソフトバンクの合弁会社として1996年に設立)がリクルート発行のフリーペーパーに広告を打つようになったのかぁと驚きつつも「地方紙が流通していない東京では新聞以外の媒体へ広告打つのは当然か」とうなづいたり…。
 早く携帯サイトでもワンクリックで全国の特産物を購入できるようにした方がよいのではないでしょうか?

47.gif

posted by 今だけ委員長 at 20:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2007年09月29日

長井健司さんを追悼し「真実を世界伝えようとするジャーナリストの虐殺するミャンマー軍事政権に怒りを込めて抗議する!」決議を採択

 MIC(ミック)という団体をご存じでしょうか?
 正式名称は「日本マスコミ文化情報労組会議」(議長:嵯峨仁朗氏)。その名のとおりマスコミ・文化・情報に携わる労働者で構成する産別組織で、日本新聞労働組合連合・全国印刷出版産業労働組合総連合・日本民間放送労働組合連合会・日本出版労働組合連合会・映画演劇関連産業労組共闘会議・映画演劇労働組合連合会・広告労協・日本音楽家ユニオン・電算機関連労働組合協議会の9つの単産が加盟しています。組織人員は7万人。また「地方MIC」と呼ばれる29の地方組織と合わせると10万人規模の労働組合の連合会、協議会等で構成された組織です。
 
MIC.jpg

 きょう、そのMICの第46回定期総会が都内で開催されました。今だけ委員長も幹事を務めていたので(今期で退任しました)総会に参加してきました。
 活動報告や財政報告、2008年度の運動方針などが採択されました。加えて5つの問題についても決議されました。
・「ミャンマー軍事政権に対し、長井さん殺害の真相を明らかにし、国民が切望する民主化の実現を求める決議」
・「労働法制の改悪に反対し、実行力ある改正を求める決議」
・「憲法改悪と言論・出版・表現の規制強化に反対する特別決議」
・すべての争議を勝利させるための決議
・「広告の『低マージン取引』拡大を防ぐ特別決議」

 平和・暮らし・働き方―マスコミ労働者が連帯して、諸々の課題に取り組んでいくことはモチロン、マスコミ産業の問題も情報交換の域から共生のための連携へと動いているように感じました。

【情報!】
 週刊ダイヤモンドの「新聞没落」特集のスクープ記事から巷を賑わせている(業界関係者だけでしょうが…)、朝日、読売、日経の3社が共同でWeb事業を展開するとされるプロジェクト「ANY(エニー)」について、10月1日に会見が行われ、その内容が発表されるようです。
925日は福田新内閣報道でお流れに…)
3社共同のポータルサイト運営などネット戦略についての発表のようですが、販売店統合の動きなど共同した事業戦略についても言及されることでしょう。
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posted by 今だけ委員長 at 22:41 | Comment(1) | TrackBack(0) | 日記

2007年09月27日

中吊り広告に「1年後のASA経営者を募集」発見

 リクルート社が主催する「就転職フェア」(106日に開催)の中吊り広告を眺めていたら、「朝日新聞仙台中央販売1年後のASA経営者募集!!」の見出しが…

VW

 朝日新聞仙台中央販売は朝日新聞社の資本が入った販売会社で、仙台市内では有力店です。人材の確保に苦労しているのだなぁ…と感じる反面、経営者になるための1年間の修業はどんなんだろう?と興味をそそります。

 相次いでいる販売店従業員の凶悪犯罪の影響で、いっそうイメージダウンをしてしまった新聞販売店(販売会社)ですが、仕事のやりようによってはやり甲斐もあるし、オモシロイ仕事なんですけどねぇ。イメージ先行で「3K職場の代名詞」とされていますが、きちんと経営をされている方も増えています。ただし、経営者だけが優秀でも「新聞を売る」アイディアとフットワークを有した人材は、労働条件の底上げをしないと集まってこないでしょうけれど。


追記:週刊ダイヤモンド「新聞没落」で表面化した朝日、日経、読売の「ANY」構想は、販売店からはじまりそうです。地方紙の皆さん“うかうか”してられませんよ!
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2007年09月17日

新聞社−破たんしたビジネスモデル−の河内孝さんが桜チャンネル(スカパー)に出演

 以前、このブログでもアップ(書籍紹介)した「新聞社−破綻したビジネスモデル−」の著者、河内孝さん(元毎日新聞常務取締役)が、桜チャンネル(スカイパーフェクトTV)の「報道ワイド日本」に出演されているのを発見(チョット遅いかな)しました。

 週刊文春の8月30日号にも、生き残れない新聞社はどこだ!読売が「1000万部」を割る日―と題した手記(見出しと内容に相当ギャップが…)を寄稿したり、今日発売(明日かな)になった週刊ダイヤモンド最新号(新聞没落)でもコメントを寄せるなど大活躍?です。河内さんと話してみると新聞経営者だけではなく、新聞産業に働く方々へ「お前たち変われよ!」というエールなのですが、周りの変化を無視し「昨日のように明日もありたい」という言い続ける方々には受け入れることができないのでしょう。

 河内さんの歯に衣着せぬ的確な指摘は、いまの“スネに傷持つ新聞経営者”はどなたも太刀打ちできないでしょう… 残念ながら・・・。


 
新聞社 - 元大手紙幹部が明かす、危機の実態
「報道ワイド日本」618日放送

 ふらふら其の1

          ちっ(怒った顔)其の2

     もうやだ〜(悲しい顔)其の3

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2007年08月18日

古紙回収率が高まる一方で新聞業界は・・・

 読み終えた新聞はキチンとリサイクルに出していますか?

 紙の再生技術もかなり向上しているので限りある資源を効率よく活用したいものです。
都市圏などでは町内会による資源回収等が行われておらず、一般ごみと一緒に新聞を処分しているという方も多いかもしれませんが、そんな時は近所の新聞販売店に持ち込みすると対応してもらえると思います。最近では古紙回収に積極的な販売店も増えてきましたから。

     V


 毎月、集金の度に配られる新聞整理袋。近所のスーパーで5枚入り198円で売られていました。140円弱とは安くはない値段です。1カ月分の読み終えた新聞が入れられて、そのまま回収日に出すだけ―そりゃ便利なのですが、その整理袋もリサイクルされるとは言え古紙量を増やすことになっているのです。手間がかかっても紐で結えてリサイクルに回した方が良いですよねぇ。


 財団法人古紙再生促進センターの調べでは、古紙回収率が年々高くなっていて「2010年度までに古紙利用率62%の達成」を目標としています。新聞協会発行の「データブック2007」によると古紙回収率は1996年の104.4%に対して、2006年は145.3%へ上昇(新聞の古紙回収には折り込みチラシも含まれるため、回収率は100%を超える)。また回収量は5479000トン(2006年)。

 消費者による環境保護やリサイクルへの意識が年々高まる中、新聞社が日々大量に刷っている部数の中に存在する「押し紙」は、配達されないまま古紙回収業者へと迂回しています。古紙回収率が引きあがった理由が「販売店からの回収量があがった」のであれば言語道断。
 「無駄が金を生むシステム」に依存する新聞業界の体質を早急に改めなければなりません。
posted by 今だけ委員長 at 14:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2007年08月10日

不適切な新聞業界用語はやめましょう

 先日、とある方から問い合わせのメールをいただきました。

 内容はその方が朝日新聞を購読していて、契約期間を確認しようと販売店へ出向いたそうです。そこで見せられた読者台帳に思わず絶句をしたと言うのです。「自分の名前の脇に『1年縛り』と手書きで書いてあったのには驚いた。顧客のことを“縛る”って侮辱以外の何者でもない」と怒り心頭のご様子。
 連載をしていた「しんぶん販売考第4話」にも“縛り”という表記をした手前、キチンと釈明しなければと思いその方の誤解を解くよう説明をして返信しました。
 お客様を“縛る”などの用語の使用は社会的にも不適切であると認めたうえで、@“縛り”とは一般的に契約期間のことを指すA新聞業には古い業界用語も残っており、先輩方から口伝えで使われている販売店もあるが書面でそのような表記はしていないB新聞協会や日販協に対して「不適切な業界用語の廃止」について、折に触れて申し述べたいと思う―という主旨をお伝えしました。

 その方から再びメールを頂戴したのですが、“縛り”について、朝日新聞社にも問い合わせをされていたようで、朝日側の回答とその方の感想も頂戴しました。
  
ご回答いただき、有難うございます。

>つきましては「不適切な業界用語の廃止」について、新

>聞協会もしくは全国の販売店組織の社団法人日本新聞販
>売協会に対し、折に触れて申し述べたいと思います。
よろしくお願いします。

 本日、朝日新聞社から回答がありました。「ご不快に思われる方がいらっしゃるとの事実を踏まえ、貴重なご意見として今後の参考にさせていただきます。」だそうです。ということは、
1)「縛り」という用語は、朝日新聞社で使われているんですね。
2)改善しようという気は、朝日新聞社にはない。
3)人権侵害の意図はない用語とのことでした。しかし、例えば、上司が組合員に残業2時間を命じて、「今日は、あなた、2時間の縛りだ」といった場合、今の世の中で許される表現でしょうか?新聞の「縛り」とほぼ同じ意味ですよね。
4)今回の件で、新聞社とは「言論の自由」と叫びながら、自己抑制がなく、かなり傲慢で、危険な組織であるとの印象を持ちました。


 何気なく使ってしまっている業界用語ですが、時として顧客(読者)や取材対象者を傷つける場合もあります。例えばお亡くなりになった方の顔写真を「ガンクビ」と言ったり… 
 軍隊ことばが多い新聞業界ですが「先輩方が使っていたから」と流されるのではなく、不適切な発言を追及し報じていく新聞なのですから、誤解を招く業界用語は使わないようにすべきです。

posted by 今だけ委員長 at 22:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記