2010年01月19日

報道せざるを得なくなったクロスオーナーシップ規制見直し

 きのうのエントリー「新聞が報じない原口大臣の『クロスオーナーシップ』禁止会見 業界の談合でないことを願いたいが…」の続きです。

 原口一博総務大臣は19日、閣議後の会見で、新聞社からテレビ局への出資を規制するクロスオーナーシップの見直しについて再び言及したことを受けて、各新聞社のサイトでも取り上げられています。これまで、この問題に関する記事が紙面に登場することはありませんでしたが、あすの朝刊には記事化されるのではないでしょうか。

 23:30時点でアップされているのは以下の3つの新聞系サイトです。47NEWSとアサヒコムのアップが遅れているのは、記事化するに値しないと判断したのか…明日の紙面が楽しみです。

▽メディアの同一資本支配、規制を議論へ…総務相(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20100119-OYT1T00649.htm
▽新聞から放送局へ出資規制 総務相が導入検討(産経BIZ)
http://www.sankeibiz.jp/econome/news/100119/ecc1001191308006-n1.htm
▽原口大臣がクロスオーナーシップ規制見直しに意欲、現行制度の有効性を検証へ(日経ニューメディア)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20100119/343414/

 原口大臣の会見内容が新聞社によってどのように編集されたのか、上記のサイトを一読した後に会見の映像を見てみると実際の発言と文字で伝えようとしていることに微妙な違和感を感じます。
▽クロスオーナーシップは言論の多様性から見て問題(ビデオニュース・ドットコム プレスクラブ1月19日) ↓のサイトから会見の映像が見れます。
http://www.videonews.com/press-club/0804/001337.php


 新聞とテレビ局は広告収入の大きな落ち込みによって、さらなる業務提携が進むのではないかとみる向きもあります。河内孝氏は著書「新聞社 破綻したビジネスモデル」のなかで、メディアコングロマリットを早々に予見していますが、新聞社やテレビ局の経営を維持するためにホールディングス化を模索する動きも注目されるところです。フジ・メディア・ホールディングスへ参入したい産経新聞社のような事例もあり、これまでような新聞社がテレビ局を支配しているというより、上場している(市場から金を集められる)テレビ局が新聞社を系列に加えるということもあり得るのではないでしょうか。

 原口大臣が懸念する「同一メディアによる資本支配によって言論の多様性が損なわれる」という問題よりも日本のマスメディアの経営の現状はもっと深刻で、「あまりいじられたくない」というのが本音のような気がします。
 また、メディアの資本融合によって言論統制のようなことが起こる可能性があるとすれば、そこで働く新聞人や労働組合がきちんとその役割を果たさなければいけないと思います。「会社が大変だから…」と何でものみこんでしまうと、生活者の信頼を損ねることになるのだと改めて考えて欲しいものです。日本新聞労働組合連合の新聞研究活動にも今回の報道の在り方などを検証してもらいたいものです。

 18日から始まった通常国会には「通信・放送の融合法案」が提出される予定ですが、クロスオーナーシップの規制見直しについては、「まずは議論を進めていきたい。この国会で実現できるかどうかは、まだ言える話ではない」というに止めた原口大臣。新聞はこの問題の本質を分かりやすく解説し、その争点を読者へ提示してもらいたいと思っています。

 ちなみに、14日に開かれた日本外国特派員協会で行われた記者会見の映像もユーチューブにアップされていました。


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2010年01月18日

新聞が報じない原口大臣の「クロスオーナーシップ」禁止会見 業界の談合でないことを願いたいが…

 新聞やテレビのマスメディアが報じられるものは、社会で起きるさまざまな情報をそれぞれのメディア企業の編集責任者(デスク)が取捨選択して伝えられます。社会生活を営むものにとって情報の価値判断をしてくれるのはとてもありがたいことだし、新聞やテレビで報じられるものがひとつの基準となってきました。
 長い歴史の中で培われてきたメディアの信頼性は単に情報を伝えるだけではなく、間違いを正す批判精神であったり読者や広告主におもねらない姿勢、いわゆるジャーナリズム活動の必要性を読者も認め、新聞業界もそれをより所にしてきたと思っています。


 しかし、最近の多メディア時代の到来によって、新聞やテレビが(意図的に)伝えないことが露呈してきました。自分たちに都合の悪い情報は記事にしない、放送しないという情報操作が行われているとしたら、読者はどう感じるでしょうか。


 1月14日に日本外国特派員協会で行われた記者会見で、原口一博総務大臣が「プレス(新聞)と放送が密接に結びついて言論を一色にしてしまえば、多様性や批判が生まれない」として、新聞社が放送局を支配する「クロスオーナーシップ」を禁止する法律を制定したいという考えを明らかにしました。要約すると、@新聞社がテレビ局に出資することを制限するA有限なリソースである電波を独占状態から開放するB放送局認可権限を総務省から切り離すC総務大臣の行う記者会見を全てのメディアに公開する(記者クラブの完全開放)というもの。
 読売新聞と日本テレビ、朝日新聞とテレビ朝日、日本経済新聞と東京テレビという新聞社と放送局が資本関係(資本家が実質同じ)にあることによって、(テレビが新聞社の意に沿って)偏った情報提供になっているのではないか―ということを原口大臣は問題視しています。

 現在も放送会社には「放送局に係る表現の自由享有基準」が存在し、クロスオーナーシップを制限する規定があるので、「原口大臣は法律制定を主張しているが、現行の基準で問題ない」という解説でもしてくれればよいのに、残念ながらこの会見を伝える紙面は見当たりません。外国のメディア記者を対象にした会見での発言なので記事化されなかった?現職大臣の発言を取り上げないのはやはり違和感があります。

 私もツイッター経由でビデオジャーナリストの神保さんのサイトを見て、原口大臣の会見内容を知りました。そのツイート(書き込み)には「原口大臣のクロスオーナーシップ禁止発言について。『そんなことできっこないから、どこも報じてないんだよ。』友人のテレビ局幹部が(多分)親切心から解説してくれました」と皮肉られていました。

 いろいろググってみると、「新聞・テレビの猛反発は必至 総務相『新聞社の放送支配禁止』表明」(J-CASTニュース)、「新聞の押し紙問題がテレビで議論され、テレビのスポンサー介入問題が新聞で報じられる」などの記事がアクセス数を伸ばしています。ツイッター上では、「(新聞の)再販制度」が引き合いに出され、「テレビは再販制度のことを全く報じない。これは新聞の不利益になるからだ」と冷ややかな論調がどんどん更新され、またその論に上塗りされてマスゴミ論へと行きついてしまうのはいただけない。でもメディア関係者(個人ブログやツイッター上で)がこの点について意見を発しないことも残念なことです。論戦になっても理屈が立たないから“だんまり”を決め込んでいるのかなぁ。

 新聞記者の皆さん。この原口大臣の会見内容は社会へ伝えるに値しなかったのでしょうか?その説明をしてほしいと思っている人は少なくないと思います。地方紙にしても共同通信からの配信を受けて、「これは記事化する価値がない」と判断されたのであれば、その新聞社の判断ですから問題ないのですが、業界内で口裏を合わせて「この会見内容は新聞業界にとって不利に作用するからシカトしよう」と談合したのであれば問題です。

 どこの会社も人間も完ぺきなものなどあり得ません。でも信頼で商売をしている新聞業界はできるだけ完璧を目指さないといけない。だからいろいろな問題を正し、民主党の小沢幹事長ではありませんが、後ろ指さされない企業運営をしていかなくちゃいけないと思うのです。

 辛口で元気がよかった記者も会社の経営が厳しくなってくると、社内で睨まれまいと大人しくなってしまったのでしょうか。でも厳しい時だからこそジャーナリズムを担う職業として新聞社に勤める記者の方には頑張ってほしいのです。新聞をつくっている人がヘタレたのでは、販売労働者も活気が出ないじゃないですか。
posted by 今だけ委員長 at 23:51 | Comment(2) | TrackBack(0) | 日記

2010年01月14日

次は新聞か…

▽電通の2009年12月売上高、インターネットが雑誌を抜く--テレビ、新聞に次ぐ存在に(アサヒコム 1月13日付)
http://www.asahi.com/digital/cnet/CNT201001130101.html


 次は新聞か…。


 ツイッター上では上記の記事を読んだ(もちろんネットで)方々が、こうつぶやいています。


 新聞広告の現場も相当の努力をしているのですが、リーマンショック以降の広告費の激減とかいうのではなく、メディアの多様化によって情報摂取のシステム自体が変わってきたのですから、いずれ新聞への広告費もネットメディアに追い抜かれることでしょう(販売収入のみで新聞産業を成り立たせるという議論は別な機会に)。
 しかし、ネットメディア系企業はヤフーやグーグルなどの大手ポータル意外に相当数あるわけですから、その広告費を分散すると、まだまだ新聞社の一社当たりの広告収入より低いわけです。いずれ、紙メディアからスマートフォンなどの個人モバイル端末へと移り変わるまで、販売収入で持ちこたえながらいろいろなビジネスを模索することが求められていると思います。


 ただし、こんな話は「お節介」なことなのかもしれません。


 先日、ある新聞広告を主に取り扱う広告会社の新年講演会にうかがう機会がありました。地元企業の経営者と、その広告会社で顧問をされている方の講演だったのですが、その顧問の方の話はとても一般の人には聞かせられない内容でした。
 全国の新聞経営者との親交があると誇張するのはよしとして、電通主催の大新年会へ参加して「社長に“あなたあと10年は社長やりなさい”と言っておきました」と強弁するのです。あと10年は、電通はその広告会社に広告を出すから大丈夫と言わんばかり。その顧問の方はそれだけの権力を持っているのだということを主張したかったのでしょう。

 これまでは、そのような人間関係で通用してきたのかもしれませんが、新聞社の権力(媒体力)を過信しすぎるととんでもない過ちを犯しそうでザワッとしました。前列で聞いているその会社のお偉いさんはその一言一句に大きくうなずき、後方にいる従業員の方は「また始まった」という表情をされていたのが印象的でした。これが企業病というヤツなのかなぁと。


 そして電通は着々とネット系の広告取り込みに向けて子会社をせっせと設立し、時代にあったビジネス戦略を構築させています。さすがは世界の電通。

▽電通、インターネット広告の地域ターゲティング事業の新会社を設立
http://journal.mycom.co.jp/news/2009/12/24/020/index.html
▽電通子会社のcci、スマートフォン向け広告事業に参入
http://japan.cnet.com/marketing/story/0,3800080523,20406151,00.htm

 社会のシステムの変化を受け入れられない世代の方が、過去の成功事例にすがらざるを得ないということは分からなくもありませんが、逃げ切れる世代の方々に考えてほしいのは、変わりゆくメディアの将来にどう対処していくかを本気で考えてほしいということです。実際に考えて動くのは中堅以下の従業員なのですから、「もうちょっと待って…」「編集系がうるさくて…」という言いわけをしないで本気で考えてほしいのです。

 業態の根本を変えるくらいの改革でもしないと、規模縮小だけでは済まない時代になっていくことだけは間違いありません。ペーパーメディアは新聞をこよなく愛読してくれているシルバー世代からの販売収入とともに縮小路線を歩むだけ、となってはダメなのだと思います。


 このようなことを考える時点で、組織からもダメ社員扱いされるのが新聞業界。不都合な真実から目をそらさずに、もっと現実の社会システムの変化に敏感になるべきだと思うのですが、どうでしょう。
 そのような体質改善ができない業界に嫌気をさして去って行った方も少なくないのですが、まだやり残していることはたくさんあるはずです。だからこんなブログも夜な夜な書いているわけですが…。

posted by 今だけ委員長 at 00:43 | Comment(2) | TrackBack(0) | 日記

2010年01月12日

きょうのクローズアップ現代は新聞特集

 きょう、NHK総合で19:30から放送されるクローズアップ現代の特集は
「新聞・押し寄せる変革、日米は」です。

 米国の新聞社の現状が主な構成のようですが、日本新聞協会の内山斉会長(読売新聞グループ会長)や読売、朝日との委託印刷を展開する新潟日報社などが登場するようです。立花隆さんの新聞産業への考察もうかがってみたいと思います。


 「新聞の危機」だけでなく、業界のエゴにならない程度に新聞の活用術やマスメディアの必要性などを生活者の視点で解説してもらいたいものです。


NHK0-2_edited.jpgNHKクローズアップ現代HPより―
 私たちにとって身近なメディア・新聞をかつてない変化の波が襲っている。
 世界の新聞ジャーナリズムをリードしてきたアメリカ。収入の7割を占める広告収入が、インターネットの拡大や不況によって激減。新聞の廃刊が相次いでいるのだ。ピューリッツアー賞を何度も受賞してきたニューヨーク・タイムズ紙や、西海岸を代表するサンフランシスコ・クロニクル紙など有名新聞社も経営難に陥っている。新聞社が消えたことによってジャーナリズムの「空白」が生まれ、汚職や選挙違反が増加するのではないか、との専門家の指摘もあり、ジャーナリズムをどう守るのか、国を挙げた議論も始まっている。一方、収入の7割は販売に依存し、経営構造がアメリカとは違う日本でも、将来の生き残りを賭けて新聞業界の取り組みが進められている。日米の現状を通じて、新聞ジャーナリズムの行方を展望する。(ゲスト立花隆氏)


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2010年01月06日

マンネリ化する年賀状と新聞を考える

 思わず読みふけった年賀状、何通ありましたか?

 今年も200通ほどの年賀状を頂戴しました。カテゴリー別にみると、勤めている会社の方からの年賀状が約半数なのですが、定式のプリントものが多くあまり個性的なものは見受けられません。一方、東京にいっとき住んでいたころに知り合った方からの年賀状は、個性的でコメントも長文です。「新年だからおめでたい話」ということに捉われず、しっかりと今年1年の目標であったり、情勢分析だったり…。特に印象に残ったのが、昨年末に経営破たんした内外タイムスの仲間からの年賀状でした。まだ労働債権の回収や同僚の再就職あっせんで大変なのだろうに、「(経営再建に取り組んだ)この3年半は貴重な財産になりました」と書き添えられていました。その彼が1月7日発売の月刊「創」へ手記を寄稿したとのこと。ぜひご覧いただきたいと思います。

 さて、私は今年の年賀状にこんなことを書きました。


 新聞販売業界に転身してから今年で19年目を迎えようとしています。この間、諸先輩方に支えられ、同僚に突き上げられながら、なんとか会社人生の折り返し地点までたどり着けたと感謝しております。
 この間、新聞産業に対する読者の視点も大きく変わってきたと感じています。訪問販売そのものを嫌う世帯が増え、顧客とコミュニケーションを取ることすら難しい時代になってきました。またインターネット社会の到来は急速なイノベーションによって、農業、産業に次ぐ情報革命をもたらし、これまで想像もつかなかった新聞社間の提携が加速しています。
 「ピンチの時こそチャンス」とよく言われます。ピンチとなった原因は、私たちの周りが変化してきたためです。ならばチャンスをつかむためには、私たちがそれ以上に変わっていかなければなりません。
 この先の新聞産業に見合った企業規模の適正化を図りながら、「宅配網、顧客DB、営業力」という販売店が有する資産を充実させ、新しい時代の新聞販売にチャレンジしてまいりたいと思っています。
 今年も引き続きご教示ご鞭撻のほどよろしくお願い申しあげます。

 年賀状も新聞と似ているのかなぁと考えてみました。

 ちなみに、2010年元旦に全国で配達された年賀状の枚数は20.9億通。前年に比べ0.5%減少したそうです。元日の配達数はここ10年、2000年の26.5億枚をピークに減少傾向が続いているのだとか。民営化されて2日も休まず年賀状を配達していただいたスタッフ(ほとんどが非正規社員だと思いますが)に敬意を表したいのですが、「民営化になったのだから当然だろう…」という声も多いようです。


 年賀状も手書きから自宅のプリンターで一斉印刷されるようになり、その内容は画一化されてきました。ある意味個性がなくなってきた。
 「年賀状(新聞も)は日本の文化だ」とか言っても若年層はメールで済ませてしまう。元旦に何かしらのアクションを起こすことだけはまだ残っているようですが…。

 そういえば年賀状も「読む」から「見る」に変わってきたような気がします。そう思いませんか?

 もしかすると新聞も「読む」ということに価値観やオモシロさを感じなくなったから、無購読者が増えているのではないかと思ったりしています。どうでしょう。


 当ブログでも何度か紹介している某新聞社の畠山さんは、毎日「はたけやま朝NWES!」というメルマガを発信しています。その数101人(1月5日時点)。「なじめーる」という機能を使ったメルマガなのですが、新聞を読んでいない人も、彼が勤める会社の新聞を読んでいなくても、発信しています。その内容は新聞の読み方を生活者目線で伝えます。自社の記事でも容赦なく批判し、他紙のイイ記事も紹介しながら、新聞の活用方法を発信しています。それも毎日欠かさずケータイに届きます。今日届いたメールは212号。


 新聞社の人から、新聞の読み方や今日の紙面のキモなどを発信されると一体感が出て新聞を読みたくなりませんか?「購読料を払っているから新聞社らしい仕事してくれよ」と言いたい読者も少なからず存在するものです。「新聞記者は地域が抱える問題を掘り起こし、行政を動かしてくれる力を持っている」読者にはそういう期待があるはず。記者の方はあまりそのような行動をしたがりませんが、「記者こそブログを書くべき」と語った「シビックジャーナリズムの挑戦」の著者、寺島英弥さん(河北新報社)のブログには関心がわくし、その内容も読者と同じ目線で心地よいものです。こんな取り組みを新聞社の人たちはやれないのかなぁ。畠山さんが101人のファンをつかんでいるなら、新聞社や販売店の人たちも同じような数のファンをつかめば発行部数は維持できると思うのですが。


 ちなみに、ツイッターでは鳩山首相へのフォロー(鳩山さんのミニブログをダイレクトに見ることができる)がこの3日間で10万超です(私もフォローしてますが)。やはり話題の中心人物だったり、組織を引っ張っている人だったり、メディアで頑張っている人だったり…「人」の言葉を直接聞きたい(読みたい)のだと思います。そこで読者は自分の立ち位置を感じ、つながっていることを実感するし、親の代から卓上にあった新聞をあらためて読んでみようと思うのではないでしょうか。新聞はこれまで「オマケ付き販売」でその価値を一方的に押し付け、記者はジャーナリズム風を振りまき善意の第三者に徹してきた。だから読者との距離が広がってきたのだと感じるのです。

 
posted by 今だけ委員長 at 01:26 | Comment(4) | TrackBack(0) | 日記

2010年01月02日

2010年 新聞経営は新たな収入源の確保が課題に

 新年明けましておめでとうございます。
 今年の正月は配達作業に従事せず、大晦日を実家で過ごしました。日本海側を中心に大雪に見舞われた地域も多く、折込チラシがたっぷり入った元旦号の配達は大変だったと思います。ご苦労様でした。

 各紙の元旦号の社説や特集では、「あと、10、20年先のためにやっておかなければならいこと」として、地球環境や外交問題を取りあげて政府にモノ申しています。「われわれの」とか「私たちの」という形容詞を使い、国民や生活者の代弁をしているような書き方をするのもオールドメディアならではでオモシロイのですが、新聞社の方々と生活者との隔たりはさまざまな点で広がっているように感じます。メディア評論家から「今後2〜3年が勝負」と揶揄され、生き残りをかけてなりふり構わない新聞社であっても、読者に対する信頼をきちんと担保していかないと足元から崩壊しかねないと思います。
 今年最初の各紙社説を並べてみます。


▽激動世界の中で―より大きな日米の物語を(朝日新聞)

http://www.asahi.com/paper/editorial20100101.html?ref=any#Edit1
▽2010 再建の年 発信力で未来に希望を(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20100101k0000m070077000c.html
▽「ニッポン漂流」を回避しよう 今ある危機を乗り越えて(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20091231-OYT1T00717.htm?from=any
▽繁栄と平和と地球環境を子や孫にも(日本経済新聞)
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20091231AS1K2500B31122009.html
▽日印安保協力 米国の大切さ再認識せよ(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091231/plc0912310230001-n1.htm

◇広告は朝日新聞が抜きんでた感じ
日立製作所.jpg 各紙とも総ページ数も昨年に比べて若干少ないようです。それだけ広告が減っているということです。
 元旦号は出版・雑誌社の広告が多いのですが、全面見開きの「日立製作所」の広告はインパクトがありました。今年で創立100周年だそうで「この木なんの木、気になる木♪」のCMソングを口ずさみたくなります。
 MACジャック.jpg気になったのが朝日新聞の第3部(スポーツ特集12n)で、ワンピースジャックに続き、「マクドナルド」ジャックされた紙面。朝日は広告企画の柔軟さだけでなく、紙面をしっかりアート(次頁の映画広告にはキムタクのポスター)としての価値を創出しています。読売の「H.I.S.」4面ぶち抜きはゴチャッとしていてインパクト薄…。
 あと、丸美屋の懸賞やサントリープレミアムモルトのモニタープレゼントも注目です。紙面でアテンションし、ネットで申し込む。アナログ世代には余った年賀状で応募しようという気にさせる仕込みがイイですね。


 「合従連衡時代」「難しい舵取り続く」とは業界紙の新年号の見出しですが、新聞産業はその役割を果たしていくために新たな収入源の確保が課題になっています。単体の生き残りを画策するにも限界がありますから、いかに産業全体で創り上げるかがカギかなぁと…。
 苦難の時代はさらに続きそうですが、今年もよろしくお願いします。

posted by 今だけ委員長 at 22:57 | Comment(5) | TrackBack(0) | 日記

2009年12月30日

朝日新聞社がASA(販売店)との取引制度を見直し

 「自立した経営者づくり」との見出しが躍る業界紙…。朝日新聞社がASA(専売店)との取引制度と契約内容を見直すという専門紙向けの会見が16日、朝日新聞東京本社で開かれ飯田正也販売担当兼東京本社販売局長がその概要について説明を行いました。

 今回の取引制度、契約見直しの目的については、ASAの「権利と義務」を明確にし、「自立した経営者づくり」「強い販売網」「透明性のある補助政策」であることを強調。変更の骨子を@全国一律ではなく地域特性に沿った基準を設定Aできる限り部数連動型B補助項目を減らし制度を簡素化―と説明。それぞれの市場格差を考慮し、「頑張る」ASA所長(経営者)に報いる奨励金額を設定、現行制度の奨励金額と比較すると全体の約半数が向上し、約半数が下回るとのこと。減収になる場合は激変緩和措置として3年間、補てんするとしています。以下に新聞通信(12月21日付)を引用します。


▽部数連動型で「奨励費」ASAの権利と義務を明確化 取引制度と契約見直し
 朝日新聞社は来年4月から、東京、大阪各本社、北海道支社管内のASA(朝日新聞販売所)との取引制度と契約の見直しを実施する。長年続いてきた、部数が右肩上がりの時代の現行の「基数」制度を改め、部数増が困難になりつつある時代に適合した制度へ変更。新聞販売本来の姿に原点回帰し、「ASAランク」奨励、「成功報酬型」奨励、「CS・地域貢献」奨励の3つの柱とする部数連動型の新制度を導入、ASAのモチベーションアップを図る。制度見直しに伴い契約も見直す。契約自動更新期間を当初3年間を除き、「3年間」から「1年間」に変更。また、大規模ASAに、営業強化、人材育成、新販売手法などの役割分担を担わせ、それを明確にするために「覚書」を交わすことにした。
【背景・目的】
 販売と広告を2本柱とする新聞社のビジネスモデルが崩れつつある。販売現場では、折込収入の好転が望めなくなっている。こうしたことから「実売増・発証増」という新聞販売本来の姿に原点回帰して、ASAのモチベーションアップを図る必要がある。現行の取引制度は右肩上がりの時代の制度で今の環境に適しておらず、部数増が困難になりつつある実態に近い取引制度が必要である。同時に「増やしたらマージンが増える、減らしたらマージンが減るというわかりやすい制度が求められる。ASAの権利と義務を明確にするとともに、「自立した経営者づくり」「強い販売網」「透明性のある補助政策」を目指した新たな取引制度とした。
【新取引制度の骨子】
1.全国一律の基準ではなく地域特性に沿った基準を設定し、それに対応する制度。重点地区である首都圏・近畿圏などの都市圏は部数増、営業強化に取り組む。また統合版地区は販売網維持、固定読者維持などを目指す。この基準に対応する制度とした。
2.現行販売費を組替え、できる限り部数連動型にした。基数奨励費などの基数制度を廃止し、地域補助等の補助と合算し、部数連動型の補助に組替えた。特に賞与補助も「労務の多様化」に対応するため組替え対象にした。また補助項目を減らして制度を簡素化し、販売費をなるべく今回の制度補助に組み込み、ASAの自立経営をサポートできる制度にした。
【新取引制度の概要】
 今回の取引制度は3つの柱で構成される。
1.「ASAランク」奨励。ASAを部数規模で5ランクに分類し、部数ランクに応じて「奨励費」を支給する。部数規模が大きくなるほど「奨励費」単価がアップする仕組みとなる。現状では、部数規模の小さいASAは営業ができず配達・集金に特化する傾向があり、その結果部数増を果たすことができなくなっている。自前営業力を持つためにはある程度以上の部数規模が必要。部数規模の大きいASAには、営業力強化、人材育成、新販売手法・新規事業などの役割を担ってもらう。役割を明確にするために「覚書」を結ぶ。営業力強化などの役割を果たすためにはコスト増になるため奨励費単価をアップする。新制度は小規模ASAを排除する制度ではない。現場では激変緩和に留意したきめ細かい対応をする。複合・合配化が進むケースも想定されるが、いかなる場合も雇用の確保を最重点に取り組む。
2.「成功報酬型」奨励。部数増に対して奨励費を支給し、ASAのモチベーションアップをさらに図る。
3.CS・地域貢献奨励。部数の結果だけで判断するのではなく、固定読者率、地域貢献、読者対応などASAをCS・地域貢献の観点から評価する。主に統合版地区で活用する予定。
【契約の見直し】
 「新たな取引制度」を有効に活用するためと、本社とASAの権利・義務関係をさらに明確にするために「契約」について2点を見直す。
1.契約自動更新期間は当初(創業)3年間を除き、「3年間」から「1年間」に変更する。契約期間を1年間にすることで、年間の販売、営業計画とその達成状況を確認し、その結果に応じて取引制度を改定する。
2.「覚書」で大規模ASAの役割を明確化する。大規模ASAには、営業力強化、人材育成、新販売手法・新規事業などの役割を担ってもらう。その役割を明確にするために「覚書」を取り交わす。
【ASAランク奨励テーブル】
 地域特性(現行奨励費、経営環境、競争環境など)に合った制度にするため、東京本社11、北海道支社2、大阪本社26のASAランク奨励費テーブルを設定する。
 T(10,000部以上)Aランク
 U(7,000〜9,999部)Bランク
 V(5,000〜6,999部)Cランク
 W(3,000〜4,999部)Dランク
 X(2,999部以下) Eランク


 会見の中で「担当員の仕事内容も変わるのか」との質問に対し、飯田販売担当は「当然変わるだろうし、それも狙っている。最近の担当員は、木を見て森を見ないではないが、データ集計などの日常業務に追われ、例えば3年先まで見ていない。これからは集計型から分析型、体力型から知能型へ変わっていかなければならない。あわせて部長の指導力も重要になってくる」と述べています。

 今回の取引制度見直しは、一見「頑張った店主には報い、チャンス(店舗拡大)を与える」としていますが、販売店にかかる経費を切り詰めることが大きな理由だと思います。ある意味、担当員のフリーハンドで付けられていた奨励費が、数字(市場格差にも考慮し)によって明確化されるのは先進的であると思いますが、新聞販売は実績しか判断のしようがないという意見が根強く、(これまでは)業務のプロセスなど無視されてきましたから、「CS・地域貢献奨励」などの評価は難しいような気もします。この項目あたりが担当員の残された裁量権というか、販売店との調整弁になるのかなぁ。

 奨励費(補助金)がないと経営が維持できないくらい疲弊している販売店のモチベーションをあげることになるのかどうかは疑問です。何せ、販売店が本社へ納金する新聞原価費は大きく変わらないわけですから、店主の本音は「折込チラシが多く入る地域の店主になりたい」ということしかないでしょう。

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2009年12月27日

宅配事業統合計画が破談 ペリカン便が消え、ゆうパックが残る

 日本郵便がペリカン便を買収「ゆうパック」に一本化(09/12/25) 「ゆうパック」と「ペリカン便」を統合し、宅配事業のツートップ(ヤマト、佐川)を脅かすのではないかと言われた、「JPエクスプレス」(日本郵便と日通の共同出資)は途中で頓挫してしまいました。
 日本郵政グループのJP日本郵便と日本通運は24日、宅配便事業の統合計画を大幅に見直すことで合意。統合に向けて両社の出資で設立した「JPエクスプレス」は来年7月に清算し、人員や設備の大半を日本郵便が引き受けて「ゆうパック」に一本化することが発表されました。日通の「ペリカン便」は消滅し、宅配便事業から撤退するようです。
▽日通、宅配便から撤退 統合計画が破談(朝日新聞12月25日付)
http://www.asahi.com/business/topics/economy/TKY200912240455.html

 結局、日通が日本郵便と手を組み「JPエクスプレス」を立ち上げたものの、日本郵便側が「将来性がある収入部門の宅配事業を別会社(JPエクスプレス)にすると本体の経営が悪化する」などとして、ゆうパック事業を手放さず(総務省も認可しなかった)、日通側が宅配事業から撤退。「JPエクスプレス」を清算して、日本郵便の事業部門(ゆうパック)に残すということになったというわけです。

 日通側は「JPエクスプレス」の従業員6300人を日本郵便へ受け入れるよう求めていますが、難しいかもしれません。私が勤務する会社にもJPエクスプレスの紺色のユニフォームを着た従業員の方が来られるのですが、JPエクスプレスの直接雇用の方もいれば、「赤帽」の軽トラックで配達する個人事業主(業務請負)もいます。日本郵便も多くの契約社員を抱えているので、受注量をかなりあげないと6300人の継続雇用は難しいのではないかと思います。

 日本郵便がどのような戦略で宅配事業の巻き返しを行ってくるのかわかりませんが、当面はヤマト、佐川のツートップの牙城はそのままということになりそうです。


以下は朝日新聞の記事から一部引用。


 JPエクスプレスは08年6月に設立。今年4月の増資で日本郵便が66%、日通が34%の出資比率になり、同時に双方の宅配事業を移す予定だった。だが、日本郵便側について総務相の認可が出ず、日通のペリカン便事業だけが移行して発足した。
 このため、従業員のうち約6300人は日通からの出向。日通は自前で宅配事業を続ける意思はなく、出向社員の日本郵便への移籍を求めるとみられる。日本郵便側は「雇用確保には努めるが、『今のまま』はありえない」と述べており、交渉が難航する可能性も残っている。
 当初の統合案が、なぜ発表から2年もたって破談になったのか。関係者には、計画が「西川案件」だったからと指摘する声が多い。
 日本郵政の西川善文前社長が青写真を描いた当初案は、民間流のトップダウンで事業再編を進める手法で、評価する声も多かった。だが、日本郵便の現場や総務省の一部には「成長が見込める宅配便事業を外部に切り出してしまうと、日本郵便本体の経営が悪化する」との声もあった。
 かんぽの宿問題で西川氏を批判していた鳩山邦夫総務相(当時)がそうした声をくみ取り「業績の下ブレ懸念が拭(ぬぐ)えない」として、日本郵便の宅配便事業を移すことに「待った」をかけた。その後の総務相も統合計画を認めず、JPエクスプレスは態勢が整わないまま赤字を膨らませた。10月に交代した斎藤次郎社長ら新経営陣からも「西川案件」の一掃を求める声が強まり、統合撤回に至った。

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2009年12月24日

切込隊長の日経BP時評コラム やはり「人」の問題

 日経BPnetの時評コラム「新聞のネット進出が苦戦続きなのはなぜか」が注目されているようです。マスコミ擁護だとか…かなり玄人向けですが。
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20091222/202408/


 このコラムを書かれたのは、イレギュラーズアンドパートナーズ代表取締役の山本一郎さん。アルファブロガーとして「切込隊長BLOG」を運営している方と説明したほうがピンとくる方も多いと思います。

 山本さんが書かれた「情報革命バブルの崩壊」や「ネットビジネスの終わり」を読ませていただき、ネット事業者に振り回され右往左往する新聞産業の構図など、膝を打ちながら読ませていただきました。

 今回のコラムはその著書のダイジェスト版といったところでしょうか。通常の日経BPのコラムに比べて、一気に15ページ(A4サイズに落とし込むと9枚)分がアップされているので読み応えはあります。それもタダで。

 ツイッター上で見つけた、このコラムに関する書き込み(つぶやき)に「新聞とかネットとかという話ではなく、人の問題なのです」と、何とも結論的な書き込みがありました。まさにその通りだと思います。

このコラムも山本さん個人の分析に基づいた考えとしてとても参考になるのですが、新聞業界に身をおく方々がどうするか、どうしたら今の状況を変えることができるのかについては、技術力とか構造上の問題などもありますが、やはり「人」の問題でしかないと再認識しました。

【追記】
 切込隊長BLOG(24日付)で「補遺:新聞業界を含むメディア再編話についての補足」がエントリーされています。
http://kirik.tea-nifty.com/diary/2009/12/post-a4e4.html

 記事の質を高めて魅力のあるコンテンツ作りを、というのは自由ですが、新聞記事の質が高くなってどれだけの売上が伸びるんでしょう。記事の質を高めるのに、どれだけのコストがかかるのでしょう。質が良ければ売上が上がる、というのは、品質がすぐに名声や売上に跳ね返る個人か小企業でのメディアが考えていることに過ぎません。もちろん、品質を犠牲にしていいのか、という議論はありますが、じゃあ新聞の文化欄や科学欄、株式欄というのは品質が高かったのでしょうか。
 問題は、業界を成り立たせるシステムのところにあります。そのシステムが構成している要素とは、平たく言えば政治力であり参入障壁です。それは利権だ、許されない、と批判するのは結構なものの、明日あさって自由参入の業界になったところでいまどき新聞業に参入するアホはどれだけいますか。
 だから、産業としての利益を考えるのであれば、遅滞戦術をしながら局地戦を戦える組織を少しずつ作り上げ、兵站が維持できる期間内に戦線を押し返す努力をすること以外方法はないよという話です。(一部引用)

 
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2009年12月23日

毎日新聞の共同通信加盟について考える〈その4・終〉

 年末作業に追われているのか、毎日新聞と共同通信加盟社の包括提携の話は幕引きしたようです。業界紙もほぼ取り扱いを休止した感じです。
 
池上彰「新聞ななめ読み」 朝日夕刊12月21日付.JPG 12月21日付けの朝日新聞夕刊に掲載されていた池上彰氏の「新聞ななめ読み」は、包括提携の報道の在り方(読売)を皮肉った内容でしたが、あまりインパクトはありませんでした。読売が毎日の共同加盟と包括提携(11月27日段階の発表)を一切報道しなかったのは、読売編集サイドの判断なのでどうこう言われる必要もないと思います。ただし、紙面に掲載されなくてもネット上ではこの問題が(関係者だけだと思いますが)幅広く議論されているので、読者が読売紙面の価値判断をするだけのことですから。

 また、月刊FACTAでは、共同通信・石川社長の「11月26日合同記者会見の一部訂正と追加説明」(12月4日)会見や減俸にまで至った騒動について、最も激怒したのが北海道新聞社の菊池育夫社長(次期共同通信加盟社の理事会長)で、「オレは聞いていない」といまだに怒り心頭との記事を掲載しています。さらに、読売側が共同通信とライバル関係にある時事通信に接近しているとも。かなり虚飾して書かれているようにも思いますが…。

 週刊誌もいろいろ詮索して書いているわけですが、ほかのメディアやこのような個人ブログなどで話題にすることによって、「聞いていない」と騒ぎ出した地方紙の経営陣はこの問題をどう思われるのでしょうか。
 共同通信との関係もさることながら、これからの新聞産業の行く末や口先だけではない生活者を向いたジャーナリズムのあり方について…。無理かなぁ「一国一城の主」は昔の成功事例にばかりすがりついて、人の話は聞きませんからね。

 今回の騒動で見えてきたのは、単に毎日が共同に再加盟をするという問題よりも、共同通信と加盟社との本質的な関係まであぶり出たように感じます。


▽毎日新聞の共同通信加盟で新聞業界は大騒ぎ(FACTA online)
http://facta.co.jp/article/201001012.html

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2009年12月21日

2009年報道界重要ニュース

 少々早いのですが…2009年も何かと忙しい年でした。いろいろとお世話になった皆さま、訪問してくれた皆さま、今年1年どうもありがとうございました。

 今年の世相を最も反映した漢字は「新」ということでしたが、新聞業界のこの1年を振り返るとどうでしょう。私のイメージは「共」ですかね。業界内だけでなく、他産業ともさまざまな提携を推し進めた新聞社もありました。単独で生き残り策を模索するより、共同で相互の利益を考える方がリスクは少ないですから。でも皆腹黒いので慎重に事を進めなければ。
 もうひとつあげるとすると「休」という漢字も多く使われました。あとは「減」も…。あまり前向きではありませんね。


 昨年に引き続き、新聞協会報(09年12月15日付)が報じた「2009年報道界重要ニュース」(協会報編集部選定)を引用して、今年1年を振り返りたいと思います。
注:重大ニュースに順位づけはされていませんが、見出しの大きさなどを勝手に判断して並べています。

@毎日が共同に来春加盟へ 地方紙十数社と個別に提携
 毎日は来年4月から共同に加盟する。共同の配信記事を紙面に活用するほか、地方紙数十社とも個別に提携し、取材拠点を置いていない地域面の記事配信の実現に向け協議中だ。これにより、分析や解説記事など独自取材を充実させる。
Aメディア対応政権交代で変化 事務次官会見を廃止 外相会見、全メディアに開放
 8月の総選挙結果を報道各社は「民主308 政権交代」「自民支配に終止符」といった見出しとともに詳報した。選挙後、民主、社民、国民新3党の連立による鳩山内閣は「脱官僚」を掲げ、事務次官会見を廃止するよう各省に指示。長官会見を廃止するなど過剰反応も見られ、記者クラブから抗議の声が上がった。また、鳩山政権に対応するため、各部横断型の取材チームを発足させるなど連携を強化する動きが報道各社で相次いだ。
B裁判員会見に地裁側介入 守秘義務の範囲、あいまい
 8月の東京地裁を皮切りに、全国で裁判員裁判が順次開かれている。裁判員経験者らによる記者会見では、報道側が強く求めていた音声の録音・録画が実現していないほか、地裁職員が「守秘義務に抵触する」として介入する問題が相次いでいる。新聞協会編集委員会は制度や取材・報道上の問題点を整理。検討するため来年1月に調査を実施する。

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2009年12月18日

日本広告学会が40周年 「歴史的転換点を迎えて」森内豊四氏

 以前にもこのブログで紹介させていただいた日本経済新聞社出身で日本広告学会常任理事の森内豊四さんから、「日本広告学会40年史」(第1章:日本広告学会設立の経緯)を贈呈していただきました。

日本広告学会40年史.jpg 広告に関する学術研究の場として、経営学、社会学、商業額等の関連諸科学部門の学者、研究者によって構成される日本広告学会は、1969年12月6日、東京千代田区神田の学士会館で開催された創立総会をもって日本広告学会は正式に発足しました。しかし、当時のマスメディアは日経を除いてニュースとして扱ったところはなかったと言います。学会創立の前後、日本の広告費は4年間で倍増するという驚異的な成長を遂げることになり、新聞、テレビを中心とするマスコミ産業の発展に大きく寄与することになります。
 研究されるプロジェクトは相当なボリュームです。例をあげると、広告の経済的機能、広告の社会的機能、広告関係諸機関の組織、広告管理、広告モデル、広告効果測定の開発、広告教育の方向・内容・扱い方、消費者行動から見た広告、広告心理、広告費、広告のクリエイティビティ、広告倫理・広告規則、広告学体系化など…。学会の発足時から携わってきた森内さんの見識の高さは、このような学術的な研究成果が裏打ちされていることを改めて理解しました。本書には歴史的経過が時系列にまとめられており、資料価値は相当高いと思われます。

 森内さんは先週10日発刊のアドプレス(広告業界の専門誌)にも寄稿(歴史的転換点を迎えて)されています。引用すると


アドプレス 12月15日付.JPG・・・この1、2年来の経済危機の到来で広告ビジネスは一挙に40年前に逆戻りした。仄聞するところによれば、営業現場は売れ残りのタイムやスペースを大量に抱えて地を這うような作業を強いられている。日本の広告ビジネスは前近代性を引きずっている。根底にあるのがコミッションシステムである。代理店とメディアがスクラムを組んで媒体の売り込みに走る構図である。

 しかし、インターネットの進展や地球環境の制約から、従来の、大量媒体を利用することで業界が発展する方式は行き詰ってしまった。いくら広告を打っても成果が上がらないということは、広告の送り手も受け手も広告から遠ざかってしまったということである。しかもこれは欧米の先進国にも共通した現象である。広告は構造不況に陥ったとみなければならない。従来の景気循環的な見方を改め、広告は駅私的な転換点を迎えたとの認識に立つべきである。

 これからは「より大きなビジネス」ではなく「よりよいビジネス」、すなわち広告本来の知恵や創造性を競う方向へと転換を図る必要がある。代理店の本質的な仕事は、真に優れたクリエーティブの提供と効率的なプランニングの提案にあることは言を俟たない。広告会社は営業部門を思い切って縮小し、機能別再編で広告の原点回帰に努めることだ。そのためには、フィーへの転換が必要となる。


 森内さんの考察は常に原点から外れることなく、クライアントと消費者双方の立場からそれぞれの利益を代弁してくれます。そしてマスメディアと広告の適切な関係とその重要性など学ばせていただくことが多々あります。

 新聞は現役の新聞人と学会(研究部門)との間で意見対立が激しく、相容れない関係であると言われますが、広告はどうなのでしょう。それぞれの研究成果を結び付けていくと最適な広告・マーケティング手法が確立されるようにも思うのですが…。政府の景気対策に勝るものはないのかなぁ。

コミッションとフィー.jpg▽コミッションとフィーの説明
http://oshiete1.goo.ne.jp/qa650759.html

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2009年12月17日

ウェブを使った定期購読者囲い込み策/北日本新聞が1月からウェブ新聞創刊

 来年1月から夕刊廃止に踏み切った北日本新聞社がウェブ新聞を創刊というニュース。


 富山県に本社を置く北日本新聞社は、2010年1月1日にウェブ新聞を創刊する。サイトを紙の新聞の補完ではなく速報性のある情報発信の場と位置付け、朝刊に先がけて県内や全国、海外のニュースをいち早く掲載するという。
 ジャンルは「ニュース」「スポーツ」「くらし情報」の3つ。紙面に掲載しない写真やグラフのほか、店舗やレシピ検索など、紙の新聞にはないコンテンツも提供する。朝刊の紙面画像も掲載するという。また、電子スクラップ機能も用意し、利用者が気になった情報をためておけるようにする。
 創刊当初は無料で公開し、誰でも見られるようにするが、一定期間後は会員制に移行する。朝刊購読者は無料でIDとパスワードを取得でき、全てのページと機能を利用できる。県外や海外など配達区域外に住んでいる人は、有料の特別会員になることですべてを閲覧できるという。ただし、全国/海外ニュースや一部の生活情報は誰でも見られるようにするとのこと。


 有料の電子新聞は、産経新聞が展開している産経NetViewや東奥日報の「東奥日報電子版」などが先行していますが、定期購読者には無料で、未購読者や配達区域外に住んでいる人は有料で閲覧できるというシステムを採用するようです。

 「ウェブファースト」の要素を取り入れながらも、ジャンルが3つというあたりを考えると、これまで夕刊に掲載していたコンテンツ(地域ネタ)をウェブ新聞に載せ(夕刊廃止で人員も余剰になるはずですから)、さらにウェブの機能を効果的に活用(紙面に掲載しない写真やグラフのほか、店舗やレシピ検索など)した、「紙」新聞の定期購読者維持策ではないかと思います。
 ネット新聞(コンテンツの配信)で利益を上げようと考えるのであれば、「購読者は無料」とはしないはず。必ずそのサイトはウェブ上に流失しますから…。県内で起きた速報であっても47NEWSには配信しないのでしょうね、たぶん。

 猫手企画さんのブログで「これからの新聞はウェブ新聞を見るためのチケットになるのか」とコメントされていますが、“紙面にないコンテンツも提供する”のであれば、定期購読は止められませんね。コンテンツの内容にもよりますが…。

 現在のホームページをやめて立ち上げる北日本新聞のウェブ新聞。日経の電子新聞と合わせて来年の目玉になるか注目したいところです。

▽ウェブ新聞創刊のお知らせ/北日本新聞社http://www.kitanippon.co.jp/info/webunstart.html

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2009年12月16日

毎日新聞の共同通信加盟について考える〈その3〉

 これまでいろいろと毎日新聞と共同通信加盟社の包括提携について私見を書いてきましたが、読者には今回の問題がどのように映っているのかを的確に指摘されたコラムが河北新報(12月15日付)に掲載されていました。

渡辺裕子コラム.jpg 寄稿した渡辺裕子さんは放送局アナウンサーから教員に転じ、現在NIE活動を推進する伝道師として活躍されている方です。
 記事を引用すると
・・・「提携」や「加盟」が具体的に何を意味するのか読者に分からない。しかも、新聞社としての見解が全く書かれていない。共同通信の配信記事というが、読者は「ならば、新聞を作っているあなたの会社はそれをどう思っているのですか?私たちが読んでいる紙面にはどういう影響があるのか?」を知りたい。この話題は読者にとって、新聞という商品の質にかかわってくるかもしれない大切な生活情報のはず。当たり障りのない事実報告に終わっている記事に、歯がゆさと物足りなさを感じた。

 これは「一部訂正」会見まで開かせた地方紙を読んでいる多くの読者の声を代弁しているように感じます。ほとんどの地方紙はこの問題を共同通信配信から転載したと思いますが、独自の見解を加えることなく紙面が画一化されている兆候のように感じてなりません。

 販売店の問題に目を移してみましょう。

 毎日新聞は専売店制の縮小に伴い、地方を中心に朝日、読売以外の販売店へ配達や集金業務を引き受けてもらうよう要請しています。「他系統の販売店へ紙を預けると減紙する」とはよく言われることですが、だからオマケで購読者を増やすのではなく、紙面のファンを作らなきゃいけないのです。特に毎日は署名記事が多いのですから、「この記者の視点は素晴らしい」と言わせるのが新聞の本来の姿なのではないでしょうか。もう遅いのかもしれませんが。

 もうひとつは、要請を受けた販売店は例え少ない部数であっても毎日やスポニチを取り扱うことで売上(チラシも含めて)はあがりますから、そのほとんどは受け入れ拒否しないと思います。ですが、口座を設ける(新聞社と直接取引することをこう呼びます)のか、配達と集金だけを請け負うか違いは出てきそうです。
 新聞社からすると直接契約をすれば販売店からの信任金も入ってくるし、部数の基数も確保できます。ですが販売店では信任金(協同組合費や労務対策費等もろもろ)は払いたくないし、押し紙が増えて結局「プラスマイナスゼロ」になってしまう。そこで最近は配達と集金だけを請け負う委託型(部当たり1000円程度の手数料で成り立つ)が増えていくのではないかと見ています。この方式だとリスクは少ないというわけです。ただし、口座がない販売店には新聞輸送はされませんから、ハブとなる専売店でチラシを組み込み販売店へ逓送するということが求められます。
 適正な取引関係(部数も手数料も)になれば、販売店(特に自営店)にとってもメリットがあるのですが…。

 第62回新聞大会でのパネルディスカッション「新聞再構築への挑戦」(10月15日/静岡市民文化会館)で、パネリストの歌田明弘さん(コラムニスト)がこんなコメントをしています。


 新聞は戸別配達という、地域に密着したネットワークを持っているわけですが、これも強みです。新聞は毎日届けにきてくれるわけで、このネットワークを使えば、もっといろいろなことができるのではないか。・・・販売店のネットワークを合理化して薄いものにしていくのではなく、逆に強化して可能性を広げていくことも必要なのではないでしょうか。

 これまで多くの新聞関係者が「宅配網の強み」や「販売店の可能性」について言及されてきましたが、適正な取引関係が行われないうちは相互の距離が埋まることはないでしょう。販売店を時間内に各戸へ配達し、押し紙を買い続けてくれればよしとする新聞経者もいるかもしれませんし…。

 「宅配網の強み」が新聞社の幻想とならないよう販売店とともに、宅配力・顧客データ・営業力を活用した具体的な収益モデルを模索するべきです。そのためにも相互の信頼関係はとても大事なのです。

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2009年12月13日

毎日新聞の共同通信加盟について考える〈その2〉

 毎日新聞社の共同通信加盟と共同通信社加盟社との「包括提携」の発表会見から1週間経った12月4日、共同通信の石川社長が「11月26日合同記者会見の一部訂正と追加説明」について会見を行いました。

 なぜ、共同通信社が「共同加盟社との包括提携の訂正」の会見を開かなければならなかったのか?とても疑問です。共同通信加盟社の理事会で説明すれば済むことなのに、なぜ記者会見までして朝日、読売や業界紙に伝えなければならなかったのか?これは何らかの力が働いたのではないかという思いが拭いきれません。その引き金となったのが朝日に掲載された中日新聞社編集局次長(なぜ局次長なのかも疑問)のコメントではないかとの仮説を立てて考えてみました。


・・・毎日の再加盟は、共同通信の加盟各社にも波紋を広げる。名古屋を中心としたエリアで7割近いシェアを誇る中日新聞の臼田信行編集局次長は「競争相手である毎日と同じ記事が載ってしまう可能性がある。新加盟は好ましいと思っていない」と言い切る。加盟56社の中で、同社の販売部数は日経に次ぐ約270万部。だが毎日はこれを上回る。「その分、共同への発言力は大きくなるだろう。共同には、加盟社からの要望に偏りなく対応するように求めたい」と語る。(11月27日付け朝日記事より引用)


 朝日新聞が「毎日の共同再加盟と加盟社との包括提携」をかなりのスペースを割いて掲載したわけですが、朝日の担当記者は11月26日の包括提携会見の後、Twitter(ツイッター)で「毎日新聞と共同通信が包括提携を発表しました。読者や業界にどんな影響があるか、明日の朝刊で読み解きます。」と発信しています。中日新聞編集局次長のコメントも含めて何かしらのシナリオをこの時点で描いたようにも受け取れます。地方紙に対して「聞き流していいの?」と言わんばかりに…。そうでなければ、わざわざ記者会見するまでもないネタです。共同加盟社の理事会で決定すればいいことなのですから。

 ここぞとばかりに、(朝日と読売に加え有力地方紙も)毎日新聞つぶしに拍車をかけたのではないかと見ています。
 読売は26日の合同会見記事を一切掲載せず、「包括提携の一部変更」会見のみ掲載していることを見ると、有力地方紙とつながっていて、共同通信の訂正会見(地方紙が割れている)を見越したかのようにも取れます。新潟日報も来年から読売と受託印刷(上越・中越地域)を開始するなど、地方紙でもANY連合と複雑に絡み合っている社も増えています。共同通信を軸とした地方紙連合(47NEWS)が一枚岩になっていないことの裏返しのようにも受け取れます。共同通信への出資金も地方紙にとってはかなり負担になってきていますから、朝日や読売から配信を受ける地方紙も今後出てくるかもしれません。

 経営が厳しくなると、経営効率を優先させる(自社だけが生き残ればよいとする)新聞経営者の節操のなさが如実に表れてくるものです。ですから新聞経営問題とジャーナリズムの問題を複合的に議論していく必要があると思っています。

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2009年12月12日

毎日新聞の共同通信加盟について考える

 毎日新聞社が来年4月から共同通信へ加盟、共同通信加盟社(地方紙など)とも包括提携を進めると発表された先月26日以降、各方面でさまざまな議論が行われています。


 このブログでも複数の方とやり取りをしながら自分なりに感じたことをまとめてきましたが、毎日新聞や共同通信のOB会有志からも今回の毎日共同の提携問題について意見を求められ、以下のレポートを提出させていただきました。


 桂敬一さんの原稿を拝見してまず思ったことは、ネットメディアを住みかにしているフリーランスの言葉かな?と感じてしまったことです。それだけ桂さんの考察も時代の変化とともにカスタマイズされ、柔軟に新聞産業の将来を予見されている発想に共感する半面、新聞社の経営問題とジャーナリズムは誰のために担うのかという問題の整理し、掘り下げて論じていただきたいと思います。(注:桂さんの原稿はいずれ発表されると思います)
 
 今回の毎日新聞社の共同通信加盟についての感想は、個人運営のブログ(新聞の違いは題字だけじゃない/毎日新聞社 58年ぶりに共同通信社へ再加盟)で書きましたが、毎日新聞社の朝比奈社長は「提携に伴うリストラは考えていない」と述べていますが、やはり取材拠点をスクラップすることであり総人員の縮小でしかありません。取材拠点を縮小することは取材対象者のみならず、地域の生活者との接点を希薄にしてしまうことを意味します。
 全国紙が地方紙の独壇場のエリアに取材拠点を置くことは、確かに企業活動として収益を上げる目的もありますが、地方紙と対極にあることによって(地方行政との癒着のチェック)、緊張感が育まれ紙面研磨がされることも大きな要素だと考えています。それは読者にとって間違いなく有益なことです。よく、全国紙と地方紙の両方を購読して記事の違いを考えてみなさいと言われたものです。新聞の違いは題字だけじゃないと…。

 共同配信や一部の地方紙と記事配信の提携をすることは、やはり記事が画一化されていくのだろうと思いました。確かに新聞紙面のコンテンツは生ニュースばかりではありませんが、読者の関心が一番高い地元ニュースはそれぞれの記者の事象をとらえる感性であり、記事化されるまでの取材の積み重ねが感じられる記事に読者は共感するわけです。取材拠点の縮小はやはり読者の新聞離れをより加速させるのだと思います。
 
 それでは、地域におけるジャーナリズム活動を支えるためにどうするか。桂さんは個人加盟のジャーナリストユニオンの必要性を書かれていますが、新聞社に勤める記者の方とフリーランスの方との違いは何なのでしょうか?よく、新聞記者は組織に守られているからジャーナリズム精神に欠ける―などの物言いをする方も少なくありませんが、私は違うと思っています。現状がそうであっても変えられるものだと考えています。

 個人が全世界に向かって発信できるメディアツールはこれからも増えてくるでしょうが、やはり現場で取材をする、資料を集めるといった間違いのない報道を実践していくためには、組織的なジャーナリズム活動が必要であり、その活動を担ってきた(複数の)新聞社がこれからも必要だと思っています。そのために新聞社の経営を支えるべく、流通部門(印刷、発送、販売店)の効率化を求めることは時代の流れであると思います。

 ジャーナリズムは儲からない。だから健全なジャーナリズム活動を支え、多様なメディアを守るための業務提携は、経営基盤を安定させるという観点から必然だと思っています。(続く)

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2009年12月10日

日本経済新聞が即売価格を20円値上げ

 日本経済新聞が来年1月から駅売店やコンビニで販売する1部売り価格を朝夕刊とも20円値上げすると発表しました。

日経が即売価格を値上げ

 日本経済新聞は来年1月1日から1部売りを20円値上げし、朝刊160円、夕刊70円にする。同紙朝刊の定価改定は98年12月の10円値上げ以来、12年ぶり。夕刊は89年2月以来、21年ぶりとなる。月決めの購読料に変更はない。(12月4日 新聞情報より) 


◇日本経済新聞の販売部数(2009年ABC協会発表)
 
販売部数
販売店部数
即売部数
郵送部数
朝刊
3,056,038
2,885,097
170,923
18
夕刊
1,619,360
1,591,246
28,093
21

 日本経済新聞は全国紙のなかでも即売部数の比率がずば抜けて高く(朝刊5.59%、夕刊1.73%)、返品率を考慮してもかなりの効果が期待できると思われます。ちなみに、ほかの全国紙の即売率(即売部数を発行部数で割ったもの)は、読売が朝刊0.28%、夕刊0.39%、朝日が朝刊0.48%、夕刊0.52%、毎日が朝刊0.59%、夕刊0.61%となっています。
参考資料:▽全国紙の朝・夕刊県別販売部数
http://www.koukokutantou.com/newspaper_3.html

 納品部数のうち60%が返品だとしても1日あたり160万円の効果、1カ月約5000万円の増収策になるかもしれません。
 新聞社が値上げを発表するときは、年末のどさくさにまぎれて社告を打ったりするもの…。今後の各紙の動きに注視したいものです。


追記:12月15日、日本経済新聞から正式な値上げの社告が出されました。
▽日経新聞の店頭売り定価改定のお知らせ
http://www.nikkei.co.jp/nikkeiinfo/information/091215.html
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「マードックVSグーグル」を尻目に産経のウェブファーストはさらに加速

 米国の新聞事情をチェックしていると「マードックVSグーグル」という構図がこのところ突出して伝えられています。良くも悪くもマードックは「優れたジャーナリズムには金がかかる」として(ウェブ上の)新聞記事の有料化を訴え、廃刊を余儀なくされる米新聞業界の救世主のようなイメージで伝えられているように感じるのですが、日本の新聞界でそのような人物は登場してくるのでしょうか。

 ニューズ・コーポレーションのルパート・マードック会長が、新聞社のコンテンツを無料提供するネット検索大手のグーグルなどを強く批判し、傘下メディアの記事をグーグルで自由に検索・閲覧できなくする措置を検討していると述べると、グーグルは新聞社サイトの有料記事は1日当たり5本までしか全文を無料で閲覧できないようシステム改良を行うと発表。次いでグーグルが新聞社のネットを通じた収益拡大を支援するとして、ニューヨーク・タイムズとワシントン・ポストの米主要2紙と協力した新サービスを開始すると報じられると、マードックが米メディア大手5社とともにインターネットを活用し独自に情報を販売するサイトを2010年に立ち上げる計画をぶち上げるなど、激しいバトルが繰り広げられています。
 グーグルがニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストと手を組むとなると、ニューズコーポレーションとマイクロソフトとの提携の動きも報じられているので、米新聞界はニューズ(MS)派とグーグル派の二極化する可能性もありますね。結局はグーグルの総取りになるようにも感じるのですが、ことの結末はいかに?(こんな軽い話ではないのですが…)


 米国では新聞社の危機を救うために記事の有料化を推し進める動きが加速する一方、業界の切り込み隊長こと産経新聞が、新たに無料モデルのサイトを立ち上げました。
 産経デジタルは12月7日から、新しい経済情報サイト「SankeiBiz(サンケイビズ)」を開設。フジサンケイビジネス・アイの公式サイトをリニューアルして、ビジネス・アイに加え、産経新聞、夕刊フジなどの経済関連記事を無料で提供するサービスをさらに拡充させるとのこと。産経が掲げる「ウェブファースト」の流れは加速する一方のようです。大量の希望退職者を募り、押し紙を大幅に整理し、2010年3月期中間決算は連結で黒字となったものの、産経グループの一貫したウェブ戦略に注目です。

 ところで、このサンケイビズの経済ネタ(見出し)はtwitter(ツイッター)とマッチするような感じがします。でも、ケータイ未対応(ケータイ閲覧は月315円の有料モデル)なのは残念かな。


※参考記事
▽「優れたジャーナリズムには金がかかる」 グーグルVSマードック
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/091202/mcb0912021841326-n1.htm
▽グーグル、有料記事の閲覧回数を1日5本に制限
http://jp.reuters.com/article/technologyNews/idJPJAPAN-12760120091203
▽新「新聞サービス」開始 米グーグルと主要2紙
http://news.goo.ne.jp/article/kyodo/entertainment/CO2009120901000153.html
▽米メディア大手5社、共同サイト設置=グーグルに対抗、広告収入狙う
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/business/jiji-091209X514.html
▽グーグル、日本のユーザー拡大に躍起 音声検索やCMも
http://www.asahi.com/business/update/1207/TKY200912070358.html
※追記(12月10日)
▽マードックのWEJはグーグルと戦うが、NYTはグーグルと今後も仲良く
http://zen.seesaa.net/article/135182030.html

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2009年12月06日

「ワンピース」キャラクターに紙面ジャック 広告企画もがんばってる!

ワンピース第56巻.jpg 先週金曜日(12月4日)の朝日新聞ご覧になりました?
 本紙36面中9面にわたって週刊「少年ジャンプ」(集英社)の全面広告が掲載されていました。
 来週14日に発売される「少年ジャンプ」新年号の300万部発行の復活と、連載中の人気漫画「ONE PIECE(ワンピース)」(作者:尾田栄一郎さん)が4日発売の第56巻でコミックス史上最大の初版285万部を達成(ワンワンピースの累計発行部数は55巻までで1億7千万部超とのこと)したことのPRというか御礼を、新聞広告を使って表現したものです。
12月4日発売の「ONEPIECE」第56巻の表紙(C)尾田栄一郎/集英社


週刊少年ジャンプ:300万部に復帰 朝日新聞を「ワンピース」キャラクターがジャック(毎日jp12/4)
http://mainichi.jp/enta/photo/news/20091204mog00m200022000c.html


 紙面を使った印象深い広告企画としては、2004年8月10日付けの全国6紙に掲載された「スラムダンク1億冊感謝キャンペーン」があげられます。新聞紙面がアートになった瞬間で、スラムダンクファンはこぞって掲載紙を手に入れるため新聞販売店へ詰めかけたことを記憶しています。あれは伝説ですね。
 作者の井上雄彦さんが読者へ伝えたい感謝の気持ちを伝えたい相手に深く伝える企画でした。廃校になった校舎(旧神奈川県立三崎高校)へ読者を招いて開催されたファイナルイベント(2004年12月3日〜5日)はコンセプトがしっかりしていて、ストーリーも抜群でした。その企画を手がけたのが「
明日の広告」の著者でもある佐藤尚之さん(電通所属)です。


 日々の紙面スペースは限りがあり、ウェブにはかないませんがスペースを最大限活用して“人へ伝える”広告のチカラが磨かれてきたように感じます。その意味では広告会社の企画部門が相当頑張っているのでしょう。
 新聞社は媒体(紙面)を提供するだけではなく、こんな企画を広告会社に提案できるようになれないものかなぁ…。


「スラムダンク」1億冊突破朝刊6紙に全面広告(夕刊フジ 2004/8/10)
http://www.zakzak.co.jp/gei/2004_08/g2004081009.html

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2009年11月30日

それぞれのフィールドで伝えるスキル磨きましょう!

スイッチオン.jpg 「磨こう!思いを『伝える』スキル―誰でもジャーナリストになれる時代に」と題して開かれたスイッチオンプロジェクト仙台シンポジウムが28日、せんだいメディアテークで開催されました。

 “誰でもジャーナリストになれる”とは、ちょっと大風呂敷を広げすぎたのではという感じもしましたが、誰でも情報の発信者になれることは間違いなく、情報の大洪水現象のなかで伝える困難さは新聞をはじめとしたオールドメディアだけでなく、それぞれのフィールドで発信している多くの人が実感しているところです。


藤代裕之氏.JPG スイッチオンプロジェクトのプログラムディレクターを務める藤代裕之さん(ブログ:ガ島通信運営)が、同プロジェクトの概要とミニワークショップ(隣席の参加者へ5分間取材してキャッチコピーを考える)のほか、PPTで説明した「仮説力・調査力・構成力・編集力」の解説はとてもわかりやすく、「新聞社の研修資料よりいいんじゃない」と、とある記者さんが言っていました。
 そういえば、これと似たようなワークショップを以前受けたような気がします…。そうそう、確か中山マコトさんの「キキダス・マーケティング」のセミナーだったかな。


続いてパネルディスカッション!
高成田享氏.JPG

 パネラーは高成田享さん(朝日新聞社石巻支局長)、関本英太郎さん(東北大大学院教授)、紅邑晶子さん(せんだい・みやぎNPOセンター事務局長)、寺島英弥さん(河北新報社編集局次長)が務めました。
 高成田さんは以前、アメリカ総局長や論説委員などを歴任され、ニュースステーション(テレビ朝日)のコメンテーターとしても活躍された方。現在はシニア嘱託(60歳超再雇用制度)として現在、石巻支局の支局長に勤務されています。「魚が好きで石巻へきたが、生活者としての発信をしていきたかった」という高成田さんは、とても背の高いダンディーな方で以前労組の書記長もされていたとか。

 相手に思いを「伝える」スキルを高めるためにはどうするか?という非常に難しいテーマ設定のディスカッション。メディア関係に興味のある学生さんはもとより、NPOの会報やミニコミを発行されている人から新聞社で働く方まで、幅広い人たちがシンポジウムに参加(約60人)していたようで、パネリストの方々もそれぞれの発言者の視点に合わせて返答していたように思います。

 それぞれのパネラーの言葉はとても興味深かったのですが、会場からの「マスメディアは客観報道に徹しろと教育されているが…」という質問に対して、寺島さんが答えた「記者はブログをやるべき。自分が書いたことにコメントが寄せられて、はじめて客観的な発想が生まれてくる」という言葉が印象的でした。


 情報を受ける側(読み)のリテラシーを向上させることが、メディア全体のレベルの底上げになるという話はよくいわれますが、情報を伝えることを生業にしている数が最も多い新聞記者が社内に閉じこもらずに情報発信する側(書く)のリテラシー向上に一役買って出るのもイイんじゃないでしょうか。記者の顔を見せる事って大切だと思うのです。私のような販売労働者より読者とのパイプが持てる(ファンができる)のは記者の方々なのですから。

▽河北新報 
11/14付朝刊

http://jyoho.kahoku.co.jp/member/backnum/news/2009/11/20091114t15002.htm
追伸:29日の河北新報には同プロジェクトのワークショップの記事が掲載されていました。

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2009年10月18日

新聞を読みやすくするアイディア

 仙台市内にある「サンプルスクエア」(仙台放送エンタープライズが運営)は新商品や試作中のさまざまなアイテムが入手できるので、月2回程度は通っています。
 これまでのサンプル配布は、街頭で無差別に配ったり、ビールなどを試飲させたりといったメーカー側の一方的なPR手法だったのですが、最近はそのアイテムを使用した感想などを利用者からフィードバックしてもらい、商品開発や販売手法に役立てています。ネットの活用によって利用者の意見を集約しやすくなりましたからね。


 先日もそのサンプルスクエアを物色していると、おやっ?懐かしい東京新聞(東京在住のときに購読していたので)が陳列棚にあるではありませんか。
  クリップ.jpg 「SHINBUN CLIP(シンブンクリップ)」

 以前、「新聞をサンプルスクエアにおいてみては?」と社内提案して却下されたことがあるので「やられた」と思ったら、サンプルとして展示されていたのは新聞を読みやすくするアイテムでした。


 この商品は、生活者からアイディアを募集し商品開発をするリアライズ社の新商品で、読売新聞社の会員サイト「ヨリモ」のプレゼントとして紹介もされました。


 自宅に帰って試してみると、なかなかいい感じ。バラバラにならないので通勤時の車中で新聞を読むときなどは便利ですね。
 新聞を読みやすくするアイディアなどもいろいろ発信していかなければなりません。

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2009年10月07日

労働争議は未然に防げないものか…

 新聞労連の役員をしていた当時にかかわった2つの労働争議が解決しました。労働争議はいずれ解決しますが、司法判断に委ねなければ解決しない(できない)というメンツの争いはムダとしか言いようがありません。争いごとを未然に防ぐ仲介役がいなくなっていることも、今の労働界の問題のような気がします。

一橋出版=マイスタッフ争議解決
 6年3カ月続いた争議で、「ハケン切り」(常用雇用と化している派遣社員の契約を一方的に破棄する)という言葉を世に知らしめた争議でした。司法判断では敗訴となったものの、MIC(日本マスコミ文化情報労組会議)の粘り強い運動による成果です。
 一橋出版は5月に自己破産実態となり、派遣元だったマイスタッフが解決金を支払うことで和解、争議終結となりました。
 原告の加藤園子さんが争議を振り返り「1人ではないと実感できたから頑張れた」と語った言葉が印象的でした。


◇一橋出版=マイスタッフ争議
http://tomo2031.web.infoseek.co.jp/
◇「『一人ではない』と実感できたから頑張れた」〜「派遣」の先駆的な争議だった一橋出版争議(ニュース・ワーカー2)
http://d.hatena.ne.jp/news-worker/20091004


宮古毎日新聞契約社員が職場復帰
 沖縄県宮古島で新聞発行する宮古毎日新聞社の従業員が、「労働者の人権を無視するような新聞社が発行する新聞を宮古島の島民は読まされている。これでよいのか」と労働組合を立ち上げてから4年、会社からの嫌がらせや契約社員の解雇など労働争議が続いてきた問題に一定の終止符が打たれました。
 しかし、司法判断が下されてもそれを無視する経営者だとしたらどう対処すればよいのか。まだまだ予断を許さない状況ですが、宮古毎日労組の取り組みが必ず島民(読者)から理解、支持されると思っています。
 こちらもブログ「ニュース・ワーカー2」を運営されている美浦克教さんが詳しく紹介しています。

◇宮古毎日新聞労組が全面勝利〜契約社員の雇い止め撤回(ニュース・ワーカー2)
http://d.hatena.ne.jp/news-worker/20091007/1254849559

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2009年09月28日

新聞を愛した新聞人との別れ

 きのう、慕っていた先輩の告別式に参列してきました。
 その先輩は福島民友新聞社に勤めていた方で、私より10歳上の新聞人です。突然の訃報でまだ気持ちの整理もついていませんが、「新聞を愛したひと」との議論を思い返しています。

 彼との付き合いは、15年ほど前の労働組合の会議でした。労働組合の議論でも地方連合クラス会合となると、勝手知ったベテラン役員が議論をリードし、最後は「なぁなぁ」で話が収まる場面の少なくありません。しかし、その先輩は常に理路整然として結論を出すのが厄介な問題を提起して、けして妥協を許しませんでした。相手(組織)を敬いつつも「同じ議論を繰り返さないために…」と中途半端な返答には納得しない気骨のある方でした。特に新聞研究・ジャーナリズムの話になると、酒も飲まずに深夜まで議論している場面が印象に残っています。
 tetsu似顔絵.jpg

 記者職を経て、2年前から事業局で出版の仕事をされていたとのことです。似顔絵書きがとても上手で、紙面に登場する著名人の挿し絵も担当していたとか。
 喪主の奥さまが最後の御礼を述べた時に、「主人は本多勝一さんに憧れて、新聞人への道を選んだ」と語っていました。そういう志を持って新聞社の門をたたく人が、今どれだけいるのでしょう。

 また一人、新聞を愛した新聞人がこの世を去ったことが残念でなりません。
合掌

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2009年09月15日

新聞週間 公開パネルのテーマは「政治報道を考える」だが…

 「新聞週間」が10月15日からはじまります。新聞協会が主催するイベントで全国各地で講演会の催しや試読紙配布キャンペーンなどが系統を超えて行われます。
 2003年からは「春の新聞週間」も実施されているので、「秋の新聞週間」と呼んでもよさそうな気もしますが、新聞界のメーンイベントはやはり10月15日から1週間行われる「新聞週間」なのだそうです。

 期間中の日曜日を「新聞配達の日」としています。今年のイメージキャラクターは欽ちゃん野球団の片岡安祐美さん。
  新聞配達の日.jpg

 毎年「標語」を募集するのですが、今回は「宅配で 届くぬくもり 活字の重み」となりました。この言葉を胸に秘めてがんばりましょう!
 そのほか、「佳作」に選ばれた作品は以下の通り。


▽ ハイ!新聞 いい朝いい顔 いいニュース
▽ 届けます 世界のきょうを 確かなあすを
▽ みんな待つ あなたの運ぶそのニュース
▽ 作る人配る人 真実届ける思いはひとつ
▽ 新聞が届く安心 伝わる真心 井上 まゆみ
▽ 情報を届ける笑顔はぐくむ信頼 車谷 祐樹
▽ 人の手が 届けるニュース 手に取るよろこび
▽ 君の手が 世界の今を 橋渡し 鈴木 健之
▽ 宅配をささえる読者のありがとう 福島 進
▽ 宅配は 気くばり目くばり 心もくばり

 また、今回の「記念の集い」(公開パネルディスカッション)のテーマは、「政治報道を考える」だそうです。

 民主党が掲げる記者クラブ問題(首相に就任予定の鳩山氏が首相官邸の会見を開放する表明したことを受けて)などを取り上げた方が盛り上がると思うのですが…。

 フリージャーナリストの上杉隆氏は、週刊ダイヤモンドのコラム「
鳩山新政権は記者クラブ開放という歴史的な一歩を踏み出せるか」のなかで、「(ようやくジャーナリストとしてこの10年間の苦労が報われる時がやってくるとして)鳩山内閣の発足と同時に、本当に記者会見をすべてのメディアに開放するかどうかに尽きる。換言すれば、明治以来、戦後を含めて官僚システムと一体となって続いてきた記者クラブ制度にメスが入るかどうかという点である」と鳩山政権へ期待しつつ、「(記者クラブの解放は)権力とメディアの関係が健全化する絶好のチャンスだ。民主主義国家で唯一存在する記者クラブが改革される日が訪れようとしている」と結んでいます。

 このような論点を報じ(提起)る新聞社は皆無です。新興メディアを排除して閉鎖的な「仲良しクラブ(聖域)」を守ろうとすると、権力との立ち位置も微妙な捉え方をされるものです。権力をチェックするために内部に入り込んで取材をする既得権は生かすべきだと思いますが、(施設・設備使用料もきちんと支払って)多くのメディアが出入りできる記者クラブを創造する時期に来ているのではないでしょうか。新聞倫理綱領で「多様な言論の保障」をうたう新聞協会こそが、このあたりのジレンマを切りこんでいかないと―と思うのですが…。
*   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *
「政治報道を考える〜歴史的転換期にある政治とどう向き合うか」

 政権選択を争点に衆院総選挙が実施された今夏、日本列島に民主圧勝の風が吹き荒れました。衆院選前後、報道機関は総力を挙げて各党が掲げた政策の課題、日本の将来像を分析。さらに市民の率直な声、政治をめぐる人間ドラマ、海外の視点も切り口に、連日、多彩なニュースを報道しました。歴史的転換点とも言える衆院選を中心に、政治報道の意義と課題、求められる役割について考えます。

〈パネリスト〉 河野洋平氏(前衆議院議員) 、西崎文子氏(成蹊大学法学部長・同教授)、村岡彰敏氏(読売新聞東京本社政治部長)、岩田栄一氏(TBSテレビ政治部長)
〈コーディネーター〉 星  浩氏(朝日新聞東京本社編集委員)

日時:10月21日(水) 午後6時
会場:プレスセンターホール(千代田区内幸町)
詳細は、日本新聞協会HP

【追記】
非記者クラブメディアを排除した鳩山首相初会見への落胆(上杉隆)
http://diamond.jp/series/uesugi/10094/

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2009年09月02日

リクルートが無料タブ情報紙「3TIMESPRESS」を創刊

 R25の存廃がささやかれているリクルートが、新たなフリーペーパー「3TIMESPRESS(スリータイムズプレス)」を8月31日に創刊しました。
  3times_img.jpg
 編集を担うのは、以前にもこのブログで紹介したR25の立役者、藤井大輔氏。

 同紙は30〜40代の働く男女をターゲットに「仕事TIME」「趣味TIME」「週末TIME」の3つの生活シーンに対して実用的な情報を提供するというコンセプト野フリーペーパー。R25のような雑誌タイプではなくタブロイド版(16〜20ページ、オールカラー。B3変形の右開き)で、7万部を発行するといいます。発行日は毎月初旬と中旬の月曜日の月2回。東急電鉄の主要44駅、48の専用ラック設置して配布します。

 藤井さんの著書を読むと、R25を創刊する際に「M1世代のニーズ」を把握するのが一番大変だったそうですが、「ダビンチ」も手掛けた藤井さんですから、(同世代の)30〜40代のニーズをつかむのはお手のものかもしれませんね。
新聞とは違い、雑誌やフリーペーパーは入れ替えが相当激しいものです。

 しかし、なぜリクルートはネットでの配信に特化せず、「紙」にこだわるのか…。やっぱりネットは儲からないからなのかなぁ。

【追記】

「R25」が隔週刊行に
リクルートは、無料週刊誌「R25」を、月2回の発行に変更した。
 「R25」は、これまで毎週木曜刊行となっていたが、媒体資料では、第1、第3木曜日の隔週刊行に変更されている。駅や店舗での配布を毎週楽しみにしていた人は、これからは少しさびしくなりそうだ。(マーケジン:2009/10/09 )

【追記2】
リクルートとYahoo! JAPAN フリーマガジン『R25』のインターネット・モバイル事業において事業提携
株式会社リクルート(本社:東京都千代田区 代表取締役社長 兼 CEO:柏木斉 以下リクルート)とYahoo! JAPANを運営するヤフー株式会社(本社:東京都港区 代表取締役社長:井上雅博 以下Yahoo! JAPAN)は10月15日、リクルート発行のフリーマガジン『R25』のインターネット・モバイル事業において事業提携し、同事業を共同展開することに基本合意しました。(リクルートプレスリリース:2009年10月15日)

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2009年08月26日

「幸せな国のつくり方」産経チックな右路線と思いきや、じつはSMAPの広告…

 今朝の産経新聞は、本紙を広告紙面でくるむ「ラッピング広告」で発行されています。
 この広告手法は夕刊などで広く活用されていますが、題字は残しつつも(第三種郵便扱いなので)カラフルな配色でインパクトをつかむというものが主流でした。でも今回の産経紙面は「幸せな日本のつくり方。」との大きな見出しが…

  産経8月26日付.jpg

 民主圧勝の世論調査に反旗を翻し、自民党の巻き返しを図ろうとの決意表明か?と一瞬思いましたが、中身はSMAPのニューシングル「そっときゅっと/スーパースター★」(本日発売)のPR広告。どこの広告会社が仕掛けたのかわかりませんが、一読すると8月30日の衆院選への投票を促す内容になっていますが、自民党を擁護していると感じられる節があります。「景気がよい時は問題なく政治は進むけれど、悪い時は誰かへ責任を押し付ける。政権を変えることだけを目的とせず、国民一人ひとりの判断で政治を考えてみよう」というもの。

 ともあれ、業界の切り込み隊長(勝手に言ってますが…)産経新聞社のマネジメント力と柔軟な社内体制は、フジサンケイグループという巨大メディア企業の一員だからできることなのかもしれません。おおかたの新聞系グループ会社は新聞社が一番上で、その下にテレビ局が位置しているため、伝統を重んじる新聞社的な営業手法(前例踏襲型)が多いものです。しかし、フジサンケイグループの場合は逆です。フジテレビの下に産経新聞が位置しているのです。

 今回のラッピング広告も、スマップが所属するレコード会社はビクターエンターテイメントなのですが(フジサンケイGのレコード会社はポニーキャニオン)、本日発売のCDシングル「そっときゅっと」が、フジテレビ系で放送されている「任侠ヘルパー」(草g剛主演)の主題歌なので、いろいろな仕掛けができたと思います。

 メディア企業のコングロマリットが今後も活発になってくると思いますが、中心となる企業(経営トップ)の采配いかんでマネジメント力や柔軟な社内体制に違いが出てくると感じます。
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2009年08月19日

もっと大局からメディアの行く末を論じてほしい

 元毎日新聞記者でネット系の著書を書き続けている佐々木俊尚氏が、CNETJapanのコラム(ジャーナリストの視点)で、「記者クラブを楯にして新聞を有料化しようと企てる人たち」を寄稿しています。
 内容は、元週刊現代編集長(元オーマイニュース編集長)の元木昌彦氏の著書「週刊誌は死なず」(朝日新書)への批評なのですが、コンテンツの有料化について考え直す良い機会だと感じています。


―新聞やテレビの垂直統合モデルはいまや終焉を迎えつつあって、メディアのコンテナプラットフォームはヤフーなどのニュースアグリゲーター(ニュース集約サイト)に移りつつある。
―アグリゲーター側の力が圧倒的に強くなってしまっていて、「情報はまずヤフーやグーグルやAOLで見る」という人がネットでは大半。新聞社のウェブサイトのトップページはあまり読まれなくなっている。
―有料化はすべてのメディア企業が一丸となって実施しなければ不可能だ。そもそもメディア業界がこぞって有料化するというようなことをすれば、独占禁止法に抵触する可能性があるだろう。
―アメリカではいまや新聞業界に公的資金を注入するかどうかという議論になっている状況で、いまこのような愚挙を行えば、新聞業界が一気に完全崩壊に向かってなだれ落ちかねない。

 だから新聞社がつくる(取材・検証)ニュースコンテンツを有料配信するのは難しいという結論です。

 ですが、だから仕方ないで済ませるのは少々乱暴な議論です。一部の優秀なブロガーや(新聞社が倒産して)佐々木氏のような元新聞記者がネットジャーナリズムを展開しようにも、その取材態勢を維持するパトロンは必要はなず。「紙」をコンテナとするコンテンツの売買行為は縮小し、正確な情報収集や権力チェックをするための体制維持(巷からやっかまれる高い賃金を減らしたとしても)は、ネット社会へ進むにつれ必要になってくると思います。
 あまり雑音は省きたいのですが、(佐々木氏も批判している)「投資と読書と日々の日記」の一節は業界に身を置くものとして感慨深いものもあります。

そもそも、「情報がオープンになっていく時代」っていう決め付けは一体なんなんだい?新聞社が、自分たちの投資によって得た情報やコンテンツを無料で提供しなけりゃいけない時代なのかい?新聞社が、自分たちのビジネスを守るため、既得権益を守るため、従業員と取引先の利益を守るために、あの手この手で経営努力をする…

 話を戻しましょう。今回の佐々木氏のコラムの争点は、元木氏が著書のなかで「記者クラブによる情報独占を楯にして、談合によってこの有料化戦略を成功させればいい」と主張していることへの疑問であり嫌悪感にほかなりません。当然、記者クラブという新聞社(新聞協会加盟社)の既得権を金儲けに利用しようというのは断罪されるべきです。

 まぁ元木氏の主張に乗るようなバカな新聞経営者はいないと思いますが、ネット界において影響力のある佐々木氏のコラムでこのようなことが取り上げられると、「新聞は何を考えているのだ」となるわけです。佐々木氏クラスの方であれば、もっと大局からメディアのあり方を論じていただきたいものです。「民主党の人たちは肝に銘じてほしい」というのも誤解を生んでしまいますし…。


 そうは言いながら、再販制度や特殊指定など自らの既得権を守るために国会議員のセンセイヘ要請行動は欠かさない新聞業界…。日販協政治連盟は国会議員への政治献金や、先のトピでも書きましたが、今回の衆院選でも特定の立候補者(ほとんどが自民党)の支援を打ち出しています。最後は政治家だよりなのでしょうか…。

 この手の話は、「マスメディア」を十把一絡げにするのではなく、新聞、テレビ、雑誌と区分して論じられるとわかりやすいと思います。

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2009年08月18日

衆院選公示…動き出す日販協政治連盟

 政権の継続か、変革か―有権者は「不満」の自民と「不安」の民主という印象を持っているようです。

 第45回衆院選がきょう公示されました。郵政解散総選挙(劇場型選挙)から4年、今回はどんな選挙になるのでしょうか。
 夕刊各紙(同日13時現在)には立候補受付の締め切りを待たずして、ほぼ予定通りの名簿(1369人)が掲載されました。


 毎度のことですが、新聞販売店で構成する社団法人日本新聞販売協会(略称:日販協)の政治連盟が、今回の総選挙でも支援予定議員を公表(業界紙に掲載)しています。
 以前からこの問題については指摘してきましたが、販売店とは言え、それぞれの新聞社の看板を背負って仕事をしている以上、特定の政党を支援するのは道義的におかしいと思っています。
 新聞労連も新聞協会などに対して、そのような行為をやめるよう抗議してきましたが、いっこうにあらたまる気配はありません。


 黙認している新聞社は何を考えているのでしょう。このような動きを野放図にしておくと“自民党の機関紙”と呼ばれても言い訳できませんよ。

 日販協政治連盟支援予定候補者リスト.jpg

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2009年08月10日

帰省するから新聞止めて… 新聞は後から読み返すのに優れたメディア

 5月から始めた販売店研修(離れていた現場感覚を取り戻すために)も7店舗目。けさは3時から早出作業をしてきました。暑い日が続いていますが、さすがに立秋を過ぎると日の出の時間も遅くなったと感じます。空が明るくなり始めたのは4時30分頃だったでしょうか。


 6時前にはおおむね配達作業も終了し、配達スタッフとの一服タイム。このひと時はとても大切で、コミュニケーションの醸成はもとより、地域情報を収集する絶好の機会なのです。加えて社員の仕事ぶりについても意見を求めると、忌憚なく社員たちの意外な一面も教えてもらえるものです。

 「さて一段落ついたので早朝ポスティングでもしに行こうか」と当番社員と話していたら、早い時間から電話が数件。「新聞が届かない」との連絡かなと思いきや、「お盆期間中、不在になるので配達を一時ストップしてほしい」との電話がそのあと矢継ぎ早にかかってきて、事務処理に追われてしまいました。
 おととい、「スッキリ」(日テレ系)という朝のワイドショー番組で、「ポストに新聞がたまっていると留守宅だと察知され、空き巣に狙われやすい」との内容が紹介されたことも後押ししたのかもしれませんが、例年よりだいぶ件数が多いとのこと。それも「1日だけ不在にするから配達しないで…」というものが増えたようです。お客さまからの要望ですからしっかり対応しますが、そのあとが問題なのです。


 お客様の都合で配達を一時休止した分は、配達していないのだから月ぎめ料金から「値引きしろ」という要望が増大しているのです。販売店は発行本社から月ごとに社取部数を決めているので、値引き(減額)分は販売店の持ち出しになります。年末年始、GW、お盆とピークが3回あるのですが、この欠損金は結構厳しいものです。
 以前は「止め置き」といって、一時休止分を帰宅後にまとめてお届けする読者も多かったのですが、「過ぎた日の新聞を読んでも意味ない」といわれる始末。日々のニュース以外にも紙面には相当量の「読みもの」があるのですが…。新聞こそ後からでもゆっくり読める(内容を確認できる)メディアだと思っているのですが「月ぎめ料金から何百円引き」のほうを選んじゃう読者も少なくないのでしょう。
 「エェー。あの記事読まなかったの?」というムーブメントを仕掛けられないかなぁ。1日でも読まなかったら把握できないような続きもの(小説ジャンル以外で)をもっと増やすとか。その前に読みたくなるようなコンテンツじゃないと意味ありませんが…。


 あとは、お盆期間中に帰省する方をターゲットにして「自宅で購読している新聞を帰省先にもお届けします(地方紙は無理ですが)」というのも考えてみる価値はありそうです。田舎に帰って地元紙を読むのもイイものですが、休日にじっくり2〜3紙よむのもよい時間の過ごし方だと思うのですがどうでしょう。
 もっといえば、「お正月休みだけ自宅で読みたい」とか、「GW期間中は外出せずに家に引きこもるので、新聞を3紙くらい読みたい」というニーズもあるはずです。「コンビニで買ってください」というのではなく、指定された期間(5日以上などの下限設定は必要ですが)に宅配をするサービス(即売価格で)も検討していかなければならないと感じています。その際に必要なのが少額課金に有効なクレジットカードによる決済システム。クレジットカードによる決済システムのメリットは言わずもがな省力化ですが、今後さまざまな商品を販売するうえでも販売店のカード決済システム導入は必要不可欠ですね。


 毎日、新鮮な新聞を配達しているのだから、ニュースもの(結果)だけではなく、もっと読んでもらいたい記事がたくさんあるので読みのがしをするともったいないですよ―という販売労働者からの余計なお世話話でした。

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2009年08月06日

商品購入に役立つメディアは新聞折込チラシ

 ウェブ系ニュースサイトINTERNET Watchによると、印刷大手の凸版印刷が行ったテレビや新聞、雑誌、Webなどの「メディア力」に関する調査レポートが発表されたと伝えています。
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20090805_307159.html

tp01.jpg
 調査方法は、首都圏在住の男女を対象に、メディアへの接触状況や評価を調べたもの。新旧メディアの実態が紹介されています。
 なかでも「信頼ができる」メディアを聞いた調査では、すべての年代で「新聞の記事」が最も多くあげらています。20代は46.5%、30代は50.3%、40代は52.4%、50代は46.1%が「信頼ができる」と答えています。
 さらに、広告分野でも新聞メディアが健闘しています。「商品購入時に役立つ」メディアとしては、各年代で半数前後で「新聞の折り込みチラシ」が上位にランキングしています。年代別では、20代は大手検索サイトや企業サイト、30代と40代は企業からのDM、50代は折込チラシや新聞広告などを活用していることが特徴だとの分析が加えられています。


 「信頼性」が新聞にとっての武器であり、その信頼されたメディアコンテナに乗った新聞広告や折込チラシも信頼を求める読者の期待を裏切ってはいけないということです。
 「儲ける」以上に注意をしなくてはいけないのが、読者との信頼関係であることは言うまでもありません。だから、読者から不信感を抱かれるような販売行為は断ち切っていかなければならないのです。

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2009年07月20日

「珊瑚礁の島の労組つぶし」アエラが宮古毎日労組のたたかいを紹介

 AERA(アエラ)7月27日号に「珊瑚礁の島の労組つぶし/沖縄・宮古毎日新聞」の記事が掲載されていました。
  アエラ.jpg
 今だけ委員長も新聞労連役員時代に宮古島へうかがって、「争議対策会議」に加わったこともあるだけに、宮古毎日新聞労組のたたかいを他人事とは思えません。組合員の団結に敬意を表するとともに、「あのワンマン社長(真栄城宏氏)は、まだわからないのか」という怒りの気持ちがこみ上げてきました。

 「労働者の人権を無視するような新聞社が発行する新聞を宮古島の島民は読まされている。これでよいのか」。宮古毎日新聞社に働く8割の従業員(パート、契約社員含む)が労組を結成したのは、2006年5月のこと。その後、組合加入者への不当労働行為や契約社員(組合員)の雇い止めなど、労使関係は悪化の一途をたどりました。同社社長は組合員に対して、「あんたをマークしている」「一生尾を引くだろう」などの組合敵視の発言を繰り返し、組合を脱退もしくは退社する組合員も…。結成時に39人いた組合員は現在9人まで減少しました。

 団体交渉でも会社は賃上げや一時金の根拠を示さず、検討内容や回答根拠を開示することは一切しないと開き直り、契約社員の雇い止め問題でも団交を拒否するなど露骨な不当労働行為が続けられているのです。組合は不誠実団交など不当労働行為について、昨年6月20日に沖縄県労働委員会への救済申立を行いました。救済命令は11月に出されるとのことです。


 一連の不当労働行為に対して、宮古毎日新聞労組は地道な運動に取り組んできました。その結果、島民の中には会社に対して電話抗議が殺到し、(組合員の本意ではないと思いますが)購読中止を告げる読者も増え、組合への支援の輪が着実に広がっています。宮古島の地域社会でこれまで敬遠されていた労働運動が着実に定着しているのです。


 宮古毎日新聞は「編販一体」の新聞事業を展開しています。新聞社ですから従業員はもちろん取材もするし、記事も書くし印刷もするのですが、通常は販売店に任せている新聞配達も集金も拡張も新聞社の従業員(部門ごとに)が行っています。まさに地域と一体化した新聞なのです。

 民主主義が守られない新聞社はあってはなりません。それでは戦時下と同じです。島内の民主主義を守るためにも宮古毎日新聞労組の役割はとても重要なのです。
 心からエールを送りたいと思います。

▽宮古毎日新聞労組のブログ
http://mmrk.ti-da.net/

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2009年07月13日

「押し紙」海外でも注目されている?

 「押し紙」問題が海外でも注目されている時代になってきたということでしょうか。

 週刊ダイヤモンド(7/18号)に、「米メディアも“押し紙”を報道 新聞部数の水増しに海外も注目」の見出しが…

 今年4月から紙媒体をやめて(週末版のみ発行)ネット新聞へ切り替えたクリスチャン・サイエンス・モニター(米国)が、押し紙問題を報道すべく、販売店主らへの取材を進めているとのこと。
 同紙の記者は「日本企業に投資する海外の投資家が押し紙を知らないことを問題視していた」そうで、押し紙をしている新聞社はもとより、業績不振にあえぐ日本企業に「押し紙を見抜けない(広告費を払いすぎている)経営をしているから業績不振に陥っているのだ」と叫ぶ、海外の“ものいう投資家”の姿が目に浮かびます。

  週刊ダイヤモンド 押し紙記事/2009-7-18号0_edited.jpg
 先日の週刊新潮にも掲載されていましたが、朝日の株主総会(6/24)でも「押し紙」に言及する株主がいらっしゃったとか。

株主(元社員):週刊新潮が報道している「押し紙」についての説明を…。
秋山議長(社長):「押し紙」はありませんが、積み紙または過剰予備紙は…。多くの販売店で販売目標に達してないのは間違いない…。


 国税庁からやり玉にあげられる新聞業界ですが、ABC考査のほかに発行部数のチェック機能がないのものも事実。販売局はうそを作る側なので、内部だと監査役あたりが妥当なのでしょうか(朝日の総会でも声を上げたのは元監査役だったとか)。しかし監査役といっても名誉職的に就任されているケースがほとんどで、ましてや長年続いてきた「押し紙」の歴史を変えようなどと思うはずはありません。
(販売店を含む)内部からの指摘がほとんどないために、経営者は裸の王様になってしまうわけです。「押し紙」報道にしても週刊誌やフリーランスの追及など“ひとひねり”すればよいと思っているのでしょう。その感覚が読者(現場)との考え方のズレを大きくしている原因なのですが…。


 配達して購読料を回収できる読者の数以上の部数が、販売店に卸されているのは誰でも知っていること。
 コンビニやキオスクなど即売店への納入部数や、月のうち10日から20日まで認められている「試読紙」の加減で部数が増加することはあり得ますが、それを差し引いたとしても相当な「配達先の無い新聞」が販売店へ納入されているわけです。


 販売局の方も外の動きに反応してか、いろいろな知恵を使って「押し紙」の消し方に苦慮されているようです。都内をはじめ都市圏で増えているケースとして、ビジネスホテルへ大量の新聞を無料で納品しているとの話をよく聞きます。ホテル側と「大量一括購入」の契約を結べば、定価販売ではなくてもよいので、いくらにでも設定できるので違法行為にはなりづらい。とりあえず「届け先」をつくることで、当日販売店に残る部数を少なくして届け先のない「押し紙」の存在を消そうと…。
 「おたくのホテルで3部定期購読をしてもらえれば、客室分の新聞を納品します。こちらはPRが目的ですし、宿泊客のサービスになりますよ」。そんなセールストーク?を販売店ではなく、担当員がやっているというのです。

 タダの新聞をばらまくことで、新聞の価値を下げていることの方が業界全体のダメージになると思うのですが…。

posted by 今だけ委員長 at 21:59 | Comment(4) | TrackBack(0) | 日記

2009年07月11日

イベント化してきた「全国新聞販売フォーラム」の悩み

 先週8日に秋田市内で開かれた「全国新聞販売フォーラム2009秋田」。
 今回で9回目を迎えたフォーラムは、日本新聞協会加盟社の持ち回りで、隔年で行われています。次回、2011年は北國新聞が主催。

 私のような下流の人間はそのような場へ行けるはずもないのですが、全国の販売店主、各新聞社の販売局に勤務されている方など7名の方から、今回のフォーラムの資料を送っていただいたり、講演やディスカッションの感想などをメールで頂戴しました。ありがとうございます。

 連絡をいただいた方からの感想をまとめると、(今回だけではなく)セレモニー化して、いかにシナリオ通りに終わらせるか―という内容で、目新たしい取り組みも紹介されることなく、「手詰まり感」を抱かれた方が多かったというところでしょうか。
 実際にフォーラムを取り仕切り、運営された秋田魁新報社や販売店の方は大変ご苦労されたと思います。でも金と時間を使って参加する販売関係者が何も持ちかえるものがないというのは、すでにフォーラムの意味合いが薄れているように感じます。

 よく「初心を忘れるな!」と言われますが、最初のフォーラムは新潟日報が主催しています。参加人数も500人程度〈今回は1000人の方が秋田市内の飲食店にお金を落としたようですが)で、2日間、缶詰め状態で議論が繰り広げられたと聞いています。エライ人の挨拶を聞くよりも、いかにして増紙もしくは読者維持に向けた具体的な手法や折込チラシの受注拡大の話を、販売店経営者は聞きたいはずで、もっとナマ臭い話をしたいのです。
 しかし今回の講演やディスカッションのテーマを見ると、やはり「活字文化を守る」がメインであって、「戸別宅配網」は後付けのように感じてしまいます。ちなみに記念講演は「シナリオにおける新聞の意味」(社団法人シナリオ作家協会常務理事 加藤正人氏)、パネルは「自立と共生 新聞の良さ伝えよう〜活字文化を守る防人として」(パネラーはクリエイティブ戦略家、秋田NIE推進協議会会長、出版社社長、新聞社販売局長)というもの。新聞協会の仕切りなので当然といえば当然ですが…。

 参加された販売店主(TOARUさま)の方から、貴重なご意見をいただきました。厳しい批評をされる方はあまりいないでしょうから、次回フォーラムのバージョンアップを期待して以下に引用します。

* * * * *
・・・講演は正直いって期待を裏切られました。今の業界の抱えている問題点と結びつかなかった。
 全体会は教育者の立場とマーケティングのプロの立場としての発言が非常に興味を持たされました。ある意味業界の抱えている問題点の一つを指摘した内容ではないかとも思います。読者へ心理的な訴え、作用を促す営業、心深く染み込む販売所活動等々はとても参考になりましたし、考えさせられました。ただ、どうしても「売る」といった視点での話でしたので、新聞の方向性としては若干疑問を抱く場面もありました。

 分科会は二つに分かれてありました。私は第一分科会の「もっと読まれるために」方に参加したのですが、とにかく今回は二つの分科会しかなく、500人ほどが一分科会に集まるといった言わば全体会のような感じでした。発表事例も目新しいものは無く、少し残念に思いました。もう一つの分科会も地域貢献関連の話と聞きましたが、こちらもあまりいい感想は話してなかったような気がします。

 こうしてみると全体的に悪い点ばかり書いてしまいましたが、やはりフォーラムの転換期に来ているのではないでしょうか。
 先行きを見通せない状況にあって、参加者はフォーラムに来て何とかヒントを見出そうとしています。しかし、近年のフォーラムではイベント色が強くなってしまって、本質から外れているような気がしてなりません。私が以前、フォーラムの分化会を任された時も、「参加者を二分してディスカッションをしましょう」―と上申したものの却下されましたが、やはり少数でも真剣に議論しあう場があってもいいと思います。そして、参加者には各系統の役員をされているベテランと次代を担う若手所長が参加されておりますが、せっかくですから名刺交換できる場面を作ってあげるのも主催者の役割かなぁなんて感じました。


 フォーラムは一度リセットする必要があるでしょう。各系統が集まって今後の方向性を議論しあえば、まだまだ良いフォーラムができるような気がします。また、しなければいけないと思います。

 イベントではなく、参加者全員が発言できるフォーラムを…
 秋田フォーラム プログラム0_edited.jpg

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2009年06月14日

帰省のため配達を一時休止 新聞は後からでも読み返せる記事がたくさんありますよ

 5月から始めた販売店研修(離れていた現場感覚を取り戻すために)も7店舗目。けさは3時から早出作業をしてきました。暑い日が続いていますが、さすがに立秋を過ぎると日の出の時間も遅くなったと感じます。空が明るくなり始めたのは4時30分頃だったでしょうか。


 6時前にはおおむね配達作業も終了し、配達スタッフとの一服タイム。この時間がとても大切で、コミュニケーションの醸成はもとより、地域情報を収集する絶好の機会なのです。加えて社員の仕事ぶりについても意見を求めると、忌憚なく社員たちの意外な一面も教えてもらえるものです。

 「さて一段落ついたので早朝ポスティングでもしに行こうか」と当番社員と話していたら、早い時間から電話が数件。「新聞が届かない」との連絡かなと思いきや、「お盆期間中、不在になるので配達を一時ストップしてほしい」との電話がそのあと矢継ぎ早にかかってきて、事務処理に追われてしまいました。
 おととい、「スッキリ」(日テレ系)という朝のワイドショー番組で、「ポストに新聞がたまっていると留守宅だと察知され、空き巣に狙われやすい」との内容が紹介されたことも後押ししたのかもしれませんが、例年よりだいぶ件数が多いとのこと。それも「1日だけ不在にするから配達しないで…」というものが増えたようです。お客さまからの要望ですからしっかり対応しますが、そのあとが問題なのです。


 お客様の都合で配達を一時休止した分は、配達していないのだから月ぎめ料金から「値引きしろ」という要望が増大しているのです。販売店は発行本社から「月単位」で社取部数を決めているので、値引き(減額)分は販売店の持ち出しになります。年末年始、GW、お盆とピークが3回あるのですが、この減額は経営的に結構厳しいものです。
 以前は「止め置き」といって、一時休止分を帰宅後にまとめてお届けする読者も多かったのですが、「過ぎた日の新聞を読んでも意味ない」といわれる始末。日々のニュース以外にも紙面には相当量の「読みもの」があるのですが…。時間があるときに後からでもじっくり読めるのが新聞のイイところなんですけどね。
「エェー。あの記事読まなかったの?」という話題になれば言うことなしなのですが、1日でも読まなかったら把握できないような続きもの(小説ジャンル以外で)をもっと増やすとか出来ないかなぁ。その前に読みたくなるようなコンテンツじゃないと意味ありませんが…。

 あとは、お盆期間中に帰省する方をターゲットにして「自宅で購読している新聞を帰省先にもお届けします(地方紙は無理ですが)」というのも考えてみる価値はありそうです。田舎に帰って地元紙を読むのもイイものですが、休日にじっくり2〜3紙よむのもよい時間の過ごし方だと思うのですがどうでしょう。
 もっといえば、「お正月休みだけ自宅で読みたい」とか、「GW期間中は外出せずに家に引きこもるので、新聞を3紙くらい読みたい」というニーズもあるはずです。「コンビニで買ってください」というのではなく、指定された期間(5日以上などの下限設定は必要ですが)に宅配をするサービス(即売価格で)も検討していかなければならないと感じています。その際に必要なのが少額課金に有効なクレジットカードによる決済システム。クレジットカードによる決済システムのメリットは言わずもがな省力化ですが、今後さまざまな商品を販売するうえでも販売店のカード決済システム導入は必要不可欠ですね。


 毎日、新鮮な新聞を配達しているのだから、ニュースもの(結果報道)だけではなく、もっと読んでもらいたい記事がたくさんあるので読みのがしをするともったいないですよ―という販売労働者からの余計なお世話でした。

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2009年06月02日

企業改革は経営陣の本気度がバロメーター

 6月1日、アメリカの象徴だったGMがとうとう経営破たんしました。

 今後は国有企業として再生の道を歩むことになるそうですが、過剰供給気味の自動車産業の中にあって、これまでのように(ガソリンの)大量消費型の大型車を大量生産する過ちを繰り返すのでは、再建は難しいのではないかと感じます。市場は低価格かつ燃費のよいコンパクトカーやCO2排出が少ないハイブリッドカーを求めているのに、消費者の動向を感じ取れなかったのでしょうか。いやデータや助言に耳を傾けなかった、経営改革を怠った経営陣による「人災」が、100年続いたGMを経営破たんに導いたのだと思います。


 けさの各紙の社説は総じて「時代の変化に乗り遅れた」、「変革なくして再生なし」などの文字が並んでいます。
▽朝日新聞:米GM破綻―クルマ文明変革の機会に
http://www.asahi.com/paper/editorial20090602.html?ref=any
▽毎日新聞:GM国有化 再生への道のりは長い
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20090602k0000m070118000c.html
▽読売新聞:GM破綻 “売れる車”が再建のカギだ
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20090601-OYT1T01184.htm?from=any
▽日本経済新聞:自己変革怠った巨大企業GMの破綻
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20090601AS1K0100201062009.html
▽産経新聞:GM国有化 保護主義を排した再建を
http://sankei.jp.msn.com/world/america/090602/amr0906020307002-n1.htm
▽中日新聞:GM国有化 「緑の社会」に残れるか
http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2009060202000041.html


 さて、新聞業界は…。

 日本経済新聞のコラム「日経春秋」(6/2付)に経済学者のピーター・ドラッカ―がGM経営陣から総スカンを食らったというエピソードが掲載されていました。

日本経済新聞のコラム「春秋」より抜粋。
 GMが破綻した。GMはアメリカ繁栄の象徴だった。そしてアメリカとクルマは20世紀の世界を語るうえでの象徴でもあった。自由と可能性の国でGMが国有企業になる…
第2次大戦中の話だ。経営学者ピーター・ドラッカーがGMに招かれ、1年半にわたって組織や経営を調査したことがある。すでに20年以上トップに君臨していたミスターGM、アルフレッド・スローンがつけた注文はただ一つ。「こんな助言なら気に入ってもらえそう、などと決して妥協するな」だったという。
…「私が裸の王様かどうか見極める必要がある」と言うスローンにしばしば意見を求められたとも書いた。であるのに、人が作ったもので四半世紀以上有効なものはなくGMの経営も例外でないと説いたら、経営陣に総スカンだったのだという。
…それから65年。創業からだと101年。石油危機や貿易摩擦はきつい助言をGMにつきつけたはずなのに。スローン自身も著書「GMとともに」を「変化に対応していかなくてはいけない」と締めくくったのに。それを結局生かすことはなかったのか。王様はついに裸のまま立ちすくんだ。
 

 過度に新聞産業の危機的状況をあおる必要もないし、右往左往するべきではないと思いますが、まだぬるま湯につかっている新聞経営者。現場の声とは読者だけではなく、産業の下流で働く人たちの声をも指すと思うのですが、自らの感覚や経験則による“知ったかぶり”で経営のかじ取りをしてきた結果が、読者離れを招いてきたのでしょう。

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posted by 今だけ委員長 at 07:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2009年06月01日

読売新聞の会員サイト「ヨリモ」が3周年

 新聞社が運営するWEBサイト会員に結構入会しているのですが、読売新聞社の「ヨリモ」が今日でちょうど3周年を迎えました。前日の報道『読売新聞が1億円所得隠し=社員同士の飲食は「交際費」−東京国税局』でミソがついてしまいましたが…。

 毎朝、6時30分頃に送られてくるメルマガ(きょうで726号)のコラムを見るのが習慣になっています。おそらく会員の年齢に合わせて出筆者(コラムの内容)も違うのでしょうが、朝イチに読むにはちょうど良い分量と内容です。


 コラム以外はほとんど見ていなかったのですが、何やらプレゼントキャンペーンスタートの文字が…。

ヨリモはおかげさまで3周年を迎えました。
感謝の気持ちを込めて、3つの賞品を9週にわたってプレゼントする「3×9(サンキュー)」キャンペーンを実施中です。毎週設けるテーマにちなんだ賞品をA賞、B賞、C賞と3種類用意しますので、お好きな賞品を選んでご応募ください。
外れてもWチャンスとして、ヨリモ3周年記念「前掛け」が390人に、ヨリモオリジナルシンブンクリップが3900人に当たります。

ヨリモ前掛け.jpg
 週替わりで用意する3品目の賞品から1種類を選び、9週連続で応募できるそうです。レトロな「前掛け」が目にとまり、ワンクリックで応募完了。

http://yorimo.jp/csa/Yrm0507_C/1221735536835?cidy=0102501090601

 でも嫁から「やめなよ。商品当たりましたよって口実で、勧誘されるんだから(怒)」と言われ、トホホ…。

 やはり新聞勧誘員へのイメージは「怖い」そうで、うちの嫁は居留守専門です。ダンナが新聞販売労働者なのに。

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2009年05月31日

新聞持参で割引サービス

 久しぶりに映画のはなし。

 敏腕新聞記者(主演:ラッセル・クロウ)が国会議員のスキャンダルを暴くサスペンス「消されたヘッドライン」が、各地の映画館で上映中です。
  消えたヘッドライン.jpg
 新聞記者が権力に挑むという構成の映画を数多く見てきましたが、それぞれの監督が描くジャーナリスト像には共通点があるように思います。それは決して権力に負けない不屈の精神。
 こういう場面で新聞の拡販をすると効果的だったりして。見終えた観客の多くは、フィクションであっても「新聞記者はそうあってもらいたい」と、新聞の存在や役割、記者への期待などに関心を寄せるはず。「熱」が冷める前にアプローチをすると効果的かもしれませんね。

 きょう、仙台フォーラムで同作品を鑑賞してきたのですが、同映画館ではこんな企画をやっていました。

《今日の新聞持って来ました割引》
消された〜』にその日の朝刊(スポーツ紙も可)をお持ちになられた方は入場料金1000円(通常1800円)に割り引きます。

 なんと素晴らしい企画。大手シネコンに追いやられるように閉館する映画館は後を絶ちません。このような工夫をして顧客をつかんでいる地元の映画館を、新聞社も応援すべきだと感じました。

 新聞業界の人たちは「内輪」で完結することが大好きなため、貧困なアイディアしか浮かびません。拡大路線は隅っこに追いやられ、縮小を前提としたリストラ案ばかり…。もっと外に目を向けるといろいろなアイディアがあるものです。

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2009年05月25日

付加価値として届けていた小冊子も削減の流れ

 「販売店の経営が厳しいから」なのか、はたまた「新聞社が補助金をねん出できなくなっているから」なのか…。

 販売店が(新聞社から強制的に?)購入して、読者への付加価値として提供している小冊子(発行は新聞社ですが、ほぼ外注です)が、だんだん姿を消しています。

 日本経済新聞では、毎月20日頃に全読者(新聞へ折込)へ届けていた「日経4946File」を今月号で休刊するとのこと。挨拶状が同封されていました。
  4946.JPG
 この手の読み物は「奥さま向け」が多いのですが、この4946(ヨクヨム)ファイルは結構参考となる特集が組まれていて、いつも待ち遠しくしていました。愛読者だっただけに残念です。

 今後は日経読者応援Webサイト「nikkei4946.com」へ集約されるとのこと。

 朝日新聞が2008年度3月期決算で139億円の赤字を計上するなど、厳しい状況が続いている新聞業界。
 経営が厳しくなったから、採算が合わないものはやめる→サービス低下を理由に読者も購読をやめるというスパイラルに陥るのは目に見えています。
 これまで新聞社が地域への文化的貢献として行われてきた美術展などの事業も縮小方向に向かうのでしょう。それでなくても、日々届けられる新聞を手に取れば(減ページによって)薄っぺらくなってきたと、読者は感じているはずです。薄くなっても中身が濃ければ問題ないのでしょうが・・・。

 さまざまなものがスクラップされ始めている新聞業界。攻めの姿勢はまったく感じられません。

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2009年05月15日

「中央協だより」から

 新聞公正取引協議会が発行する「中央協だより」(155号)が、毎月デスクに届けられます。A3二つ折りの8頁建ての紙面構成もマンネリズムを感じますが、今年度から同協議会の委員長に就任した飯田真也氏(朝日新聞東京本社役員待遇販売担当販売局長)のあいさつが1面に掲載されていました。

 飯田氏が同協議会の委員長に就任するのは今回で2度目(前回は2005年)。あいさつの内容は「型通り」ではありますが、「強調」というメッセージが感じられます。公正な競争の推進を「ANY連合」はもとより、産業全体に浸透させていただきたいものです。


 その飯田氏は業界紙の共同インタビューで次のことを述べています。

▽共同出資でポスティング会社 飯田中央協委員長が就任会見(新聞情報 5月2日付)
(引用はじめ)販売店の強化策だが、これこそ各社の強調がもっとできないかと思う。例えば、この3年間連続して折込収入が減少しているが、媒体としての折込広告の優位性をもっとPRしていく必要がある。折込は廉価で地域限定、何より食卓まで届く便利な媒体だ。ただ、昨今、新聞離れが進んでいるので、今後は無購読世帯をどうするかという問題がある。無購読の増加で到達率が下がり、その隙間を狙って、ポスティング業者が進出してきている。このポスティング業者を各社で共同出資してできないかと思う。そうすれば新聞購読者には折込で、無購読者にはポスティングで届くという営業ができる。いずれにしてもポスティング業をやっている人は業界外の人ばかりなので、これは(新聞業界)共通の敵。これこそ協調の精神でやることが重要だ。すでにいくつか実験的にやっているところもあるが、全国的に展開することが大事だ」(引用終わり)

 実配をはるかに超えた部数を抱えた新聞販売店が経営を維持できたのも折込広告の収入があったからこそ。しかし、この3年間で折込広告は2〜3割の落ち込みが続き、販売店の経営は厳しい状況が続いています。最近ことに都市部の専売店の自廃が目立ってきたという報告もあります。


 一方で、チラシ広告の需要は大きく下がっておらず、リクルートが展開するタウンマーケットなどチラシ広告の宅配業社も増える傾向にあるようです。その意味ではエリアごとに安価で訴求できるチラシ広告をそれぞれの新聞(専売店であれば)に折り込む(2紙購読していればチラシも2部届く)よりは合売店の方が効率はよいし、購読者、無効読者に分けるまでもなく全戸配布をする業者が重宝がられる時代なのでしょう。でも(新聞)折込広告の場合は新聞に挟まれているから食卓まで届き、安価な価格設定が可能だというメリットも忘れてはなりません。


 以下は「中央協だより」から注目したい記事をピックアップ

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2009年05月06日

新聞は何のために存在し、これからどんな役割を担っていくのだろうか…

 連休中はどこへも出かけず、近所の図書館でボーッと新聞を読みながら午前中を過ごしました。以前は自宅で過ごす休日にコンビニで定期購読していない新聞を買って読んでいたのですが、収入が下がるとそうも言っていられません。切り詰めるところは切り詰めないと…。


 5月4日付、河北新報(あすを読む)にコロンビア大学教授のジェラルド・カーティスさんの「西松事件が映し出す政治、マスコミのゆがみ」というコラムが掲載されていました。
 民主党代表の小沢一郎さんの公設秘書が政治資金規正法違反の疑いで逮捕、起訴されたことに関連して、小沢代表の説明責任、民主党の対応、検察の行動、マスコミの姿勢について問題点を指摘しています。
 なかでも、マスコミの検察対応を批判し、検察がリークしたことだけを紙面化する記者クラブの制度のあり方について、廃止も検討すべきと意見を述べています。

(記事から引用)
 この事件に関して、マスコミの取り上げ方、対応の仕方の問題も大きい。検察の記者クラブの記者たちは厳しい質問をせず、検察がリークしたことを事実として新聞に載せる。秘書を起訴して記者会見した検察は、カメラを入れてはいけないとか、記者クラブ以外のジャーナリストの参加を許さないなど、条件を付けたと聞いている。明らかに言論の自由を拘束する行動である。それなのにマスコミは大きな問題にしない。
 記者クラブが検察の出先機関のように使われてはいけない。この事件が記者クラブ制度廃止も含め、マスコミ自身の構造改革を考える契機になればいいと思う。

 元日本経済新聞論説主幹の水木楊氏が、新sあらたにすの新聞案内人というコラム「『記者クラブ』をどう考えるか」のなかで、記者クラブ制度のメリットとデメリットをあげながら持論を書かれています。
 メリットとしては、個々ではなく集団で情報開示を求めるなどの力を発揮できる点や取材先(市民団体も含め)の窓口になっているなどをあげています。デメリットは以下の3項目。
@ろくな取材をせず、記者クラブに座っていても、発表記事が運ばれてくる。最近はどうなっているか必ずしも明るくないのですが、昔はそんな記者のことを「REPORTER」ではなく、ただモノ(情報)を運ぶ「PORTER」と呼んでいました。そういう記者が存在してしまう恐れがある。
A記者クラブが置かれている機関と価値観が一緒くたになり、客観的批判的な報道がしにくくなる場合がある。
B記者クラブに加盟する社が、自分達だけで特殊な関係を築き上げ、他者を排除する閉鎖性が生まれる。


 記者クラブという特権にどっぷりつかってしまうと本来の役割がおざなりになってしまうということでしょうか。例えば政治家から食事をごちそうになり、お土産までもらう関係を構築することで生活者のためになるニュースソースが引き出せるのかなぁと疑問を感じます。記者自身も政治への過度な参画意識が芽生えてしまい、紙面という武器を使って自身の価値観を取材対象者へアピール(それが抑止力?)しているだけに過ぎないという疑問さえ抱いてしまいます。
 記者クラブに出入りすることを許された企業人は、知らぬ間に閉鎖的な環境を自ら作りだし、そこで出来上がる同業者同士の仲間意識と取材対象者との持ちつ持たれつという妙な関係。水木氏が指摘するように一線を越えなければよいのかもしれませんが、内部から問題視するような声はやはりあがらないのでしょう。新聞を読まされる生活者はなんとなく蚊帳の外という感じがしてなりません。


 新聞は何のために存在し、これからどんな役割を担っていくのだろうか…。
それぞれの新聞社には、社是なり経営理念があると思うのですが、昨今のような不況に陥ると「そんなの関係ねぇ」となってしまうのでしょうか。

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2009年04月06日

見せる売上増、見えない経営実態

 メディア・パブによると、米グーグル傘下の動画投稿サイト「ユーチューブ」の経営状況が思わしくないことを伝えています。同サイトの2009年赤字が4億7000万ドルに達すると予測されているとのこと。


 ネット上でフリーソフトを無料提供するビジネスモデルは、広告収入が集まらないと運営が続けられないもの。魅力あるコンテンツを提供すれば閲覧数(PV・UU)があがり、広告がついてくるという収入構造(ユーザーの個人情報をデータ化したアプローチ手法もありますが)によって、企業活動がなされているわけです。


 私もたまにユーチューブを利用して「懐かしのヒットメドレー(70年代)」などを見ながら、リフレッシュをすることがあります。「ユーザーがコンテンツを配信しているのだから、そんなに経費はかからないのでは」と思っていたのですが、膨大なデータを蓄積するサーバー管理だけで相当な経費がかかるようです。また公序良俗に触れる配信をチェックし、削除するスタッフの雇用も情報量とともに拡充していかなければならないようです。いくらアルゴリズムを施しても、最後は「人の目」による確認ということになるわけです。


 先のエントリーでも取り上げましたが、2008年の総広告費が前年比4.7%減で、5年ぶりに減少しました。マス四媒体が苦戦を強いられているなかで、ネット広告が16.3%の伸長を示していますがウェブ広告企業の経営状況が良くなっているのかと言えば、必ずしもそうではありません。「売上の伸び」は見せるけれども「かさむ経費」はあまり公開されず、低賃金で働いているSEの方も少なくないと聞いています。

 「モノが売れない時代」に入り、ネット広告が右肩上がりの成長を続けられるわけがないと思っていますし、根本的な問題として経済が活性化しないと広告全体が落ち込むわけです。新聞広告は苦戦が続いていますが、あたかも「新聞広告はネットに食われている」と結論づけるのではなく、購読者数の問題、信頼性の問題など、新聞の媒体価値を問い詰めなおす必要がるのではないでしょうか。あまり時間はありませんが…


 以下に、元日経広告研究所専務理事の森内豊四さんからいただいたメールを引用します。


 当面の新聞の経営危機は広告不振にあります。その原因をちょっと考えてほしいものです。いつも同じことばかり言うようですが、いくら広告をしてもモノは売れないし、赤字で軍資金もないわけですから、機構・組織をいじくり名称を変えて売り込みを図っても、企業は見向きするはずありません。
 すさまじく単価が下がり不信を招くだけで、これでは傷口を広げるばかりです。
 今どんな業界も供給を落とし、在庫減らしに必死です。ここは広告紙面を大幅に縮小するしかないはずです。ムダな広告紙面を少しでも減らすことが、ジャーナリストの好きな地球環境への対処にもつながるわけではないですか。
 こういう状況下では、ネットやモバイルも大した伸びは期待できません。サイトが増えた分、ネット企業の経営も苦しくなっています。
 紙媒体とセットで売れば何とかなる?
そんなことあり得ません。元の蛇口が固く閉まったままですから。問われているのは、広告自体の値打ちです。
 広告はしばらく逼塞するしかないでしょう。組織縮小(広告部員削減)ができなければ、給料カットでみんなで支え合いましょう。ワークシェリングだと思えばいい。
 消費者が倹約疲れすれば、そのうち徐々に消費も動き出します。その時、先見の明のある経営者は打って出るでしょう。広告はモノが少し動き始めたときこそ効くもので、効果が実感できれば、広告主の方から申し込んできます。
 その時のためにも、定価の8割引などといった無理な広告取りの作業は止めましょう。一度値下がりした広告単価は容易に上がらないものです。何しろ広告の原価など説明しようがないわけですから。
 広告ビジネスの成り立ちや営業に求められる機微を知らない新聞記者出身の広告幹部が、広告営業をリードできるはずがありません。そういう連中が現場のやる気を削ぎ、広告会社の支援を失っていることを、経営トップはもっと理解しなければなりません。
やれ「ソリューション型営業」、それとも「企画提案型営業」?どこかの代理店の者が口にするようなご託をならべるのはやめましょう。
 新聞社の広告営業の基本は、広告主への広告紙面の売り込みではなく、自紙の読者の意識や嗜好、生活感情を正しく広告主に伝えていき、プランニングの参考にしてもらうことしかありません。代理店と同じことをやっても負けます。
いまは、一歩退いて、全体を根源から捉え直しましょう。

森内豊四

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2009年03月30日

新聞社配信のみに依存しないヤフーだから掲載された「押し紙」問題

 「個人的に、いままでのyahooニュースの中でもトップクラスに衝撃的な記事だ。この問題が継続的に取り上げられることを望む」というコメントにはビックリしましたが、「押し紙」問題を報じたヤフーニュースがチョット気になりました。

 そのニュースとは、MONEYzineが記事提供した「新聞業界の苦悩 自らの首を絞める『押し紙』問題」というもので、3月29日13時10分から数時間にわたってヤフーニュース(トピックス)に掲載されました。

  YAHOO!ニュース0_edited.jpg
 新聞業界に働くものとしては“空気のような”ネタだったので、さほど気になりませんでしたが、ヤフーの影響力というか、閲覧者(読者)から寄せられるコメントの数に驚きました。
 ヤフーニュース(ヤフーを経由して配信されたもの)では、ニュースそのものへの関心度やコメントが書き込める「みんなの感想」が展開されており、今回の記事は話題ランキング(総合)で10位(20.9ポイント)という高位置につけるほどでした。コメント数は410件で、経済ニュースのカテゴリでは高い反響であることがうかがえます。なかには「コメント数を伸ばして皆に知ってもらおう」という“あおり”も若干見受けられましたが、トップページから外れてもコメントが続いています。

記事に対するコメントを少しだけ引用します。

【そう思うの意見】
・これって発行部数偽装ですよね?しかもその動機が発行部数によって広告料が決まるからということであれば、有価証券報告書に虚偽記載する以上に問題がある。これはとんでもないぞ。
・押し紙をすべて廃止したら、どの位の、紙・インク・印刷の光熱費・輸送費が節約出来るんだろう。
・はっきり言って詐欺なんですよね。マスコミに広告載せているスポンサーさんは訴えるべき。
・無駄になるのは紙やインクだけじゃない。全く読まれない新聞を運ぶトラックの燃料や環境への影響まで考えると、もの凄い資源とエネルギーの浪費、環境破壊だな。いくら紙面で良い事を書いても、自分達の資源の浪費、無駄な環境破壊を反省して改善しないのではただの虚しい絵空事。大手新聞社への信頼が根底からひっくり返るよ。

【そう思わないの意見】
・販売店の営業力の無さを新聞社の責任にするのは良くない。
・そういう問題も存在するのかもしれないが、スポンサーをめぐって競合関係にあるyahooのニュースのこういう記事はどこまで信頼できるのか私には分からない。

 「押し紙」問題については、ネット系ニュースサイトのJ‐CASTニュースやMyNewsJapan、個人運営のブログなどで報じられてきましたが、今回、Yahoo!ニュースで取り上げられたことによる反響とは比べものにならないPV(ページビュー)だったのではないでしょうか。

 このような問題はすでに隠せる状態にないということを新聞関係者は理解するべきですし、司法の手がくだる前に正していくべきです。当然、事実無根であればしっかり反論すればよいわけです。
 「紙面と販売は別もの」という二枚舌は、通用しなくなっているのです。

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2009年03月17日

IT社長は新聞を読んでいる!

 4月6日から12日までの1週間を「春の新聞週間」(日本新聞協会が主催)としてから、今年で7年目を迎えます。今回のキャンペーンは無購読者全体のターゲットは若年層の中でもテレビやウェブサイトでニュースに接しているものの、新聞購読には至っていない若い社会人に絞ったPR活動を展開するようです。

 PCやケータイを活用したPR戦略は、外資系広告会社JWTの元副社長で、クリエイティブ・コンサルタントの関橋英作氏が企画立案したもの。キャンペーンサイトは「IT社長は新聞を読んでいる!」。


 どのような効果が出るのか?

 そもそも論すら解決していないのに、“きっかけ”を創出できてもクロージングができるかどうかが問題。
 読者との対応は販売店従業員が行わなければならないので、基礎的なルールやマナーを有した人材を育てる(雇用する)ためにも一定程度の労働条件が必要なのです(何度も言ってますが)。

 「うちの従業員だったらきちんとできるのになぁ…」と思いながら、流通側のネガティブ感を跳ね飛ばすくらいの「読みたくなる紙面」が欲しいものです。

   46日.jpg
 今回のキャンペーンポスターは地味系です。キャッチコピーは「見えないものが観えてくる」 …

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2009年03月07日

広告会社任せでなく、販売店も企業をまわって折込広告の売り込みを

 チョット遅レスですが、2月23日、電通が「2008年日本の広告費」を発表しました。

 オリンピックイヤーにもかかわらず、総売上高は6兆6926億円で対前年比4.7%のマイナス。世界的不況などの景気減退で5年ぶりの減少でした。
 媒体別では、テレビ▲4.4%、新聞▲12.5%、雑誌▲11.1%、ラジオ▲7.3%とマス四媒体は苦戦を強いられました。一方、インターネット広告はプラス16.3%(モバイルがプラス47%、検索連動型広告プラス22.9%と拡大)で、最近は停滞感が指摘されているものの伸び率は高水準と言えます。
 特に新聞広告費の落ち込みが大きく、地方紙に比べ、全国紙、スポーツ紙が低調だったと分析されています。
 販売店経営に欠かせない折込広告も▲6.0%で2年連続減となっています。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2009/pdf/2009013-0223.pdf

 元日経広告研究所の専務理事を務められた森内豊四さんから、「2008年日本の広告費」の内容に関するコメントを頂戴しました。以下に引用します。

 新聞広告はひどい事態になりました。その落ち込みの大きさに愕然としております。全国で12.5%のマイナスですが、朝日、日経、読売3紙は20%前後の減収を余儀なくされたのではないでしょうか。

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2009年03月06日

取材もほどほどに発信するメディアの危険性

 社団法人日本ABC協会(新聞・雑誌の部数公査機構)の調査が来年度中にも厳格化される。「新聞再編・淘汰に拍車がかかる」(全国紙幹部)と業界は青ざめて…

 「月刊FACTA」3月号に上記の記事が掲載されていました。ウェブ版から引用すると、「新聞社本社と販売店双方の実地調査に加え、印刷工場から販売店を経て各戸配達される流通各段階で調査を行うことを検討…実売に近い数字を出す(関係筋)」というもの。

 ABC協会(会長は電通最高顧問の成田豊氏)は、新聞発行社、雑誌発行社、専門紙誌発行社、フリーペーパー発行社、広告主、広告会社の代表者らで構成されているため、FACTAが報じた記事内容に疑問を持ちました。そこで、ABC協会へ問い合わせてみました。
 すると、担当の方から以下の回答をいただきました。

 お問い合わせの下記雑誌の件ですが、先方からの取材依頼なく書かれたものであり、私どもも当惑している次第ですが、特に先方に申し入れるようなことは考えておりません。
 当協会としましては、常に信頼される部数を提供し続けられるよう、公査の精度を高めていく努力をしていかなければと考えておりますが、記事のような事実はございません。

 取材もなしに憶測で書かれたのでしょうか。

 個人運営のブログ程度ならともかく、まかりなりにも第3種郵便物として承認されている月刊誌(メディア)です。「取材もなしに紙面に掲載」したのであれば、記事そのものの信ぴょう性が疑われてしかるべきです。
 取材源の秘匿ということもあるのでしょうが、個人ではなく団体へコメント取らずして記事化すること自体、首を傾げたくなります。

 ABC協会発表による公称部数については、確かにその差異について指摘されるところ。協会理事の広告主代表側には、味の素、サントリー、花王、資生堂、ライオン、武田薬品工業、ツムラ、キャノン、東芝、日立製作所、パナソニック、トヨタ自動車、セイコーホールディングス、松坂屋、三越――日本を代表する企業が名を連ねていますが、このところの経済不況で広告主側から「コスト削減」と昨年来、週刊誌などが特集を組んだ“新聞没落”(部数の低迷や押し紙の存在)の影響を受けて「発行部数への不信」というものも、水面下ではあるのかもしれません。

 でも当事者へ“取材なしで掲載”とはいかがなものかなぁ…


▽あらたにすの「新聞案内人」で、歌田明弘さんが書かれた「『週刊新潮』と朝日新聞の反駁」のコラムがとても参考になります。
http://allatanys.jp/B001/UGC020005120090305COK00245.html

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2009年03月01日

日販協「公正販売の集い」 来賓はやはりあの二人

 社団法人日本新聞販売協会(略称:日販協、高橋政一会長:朝日)が2月18日、「日販協 公正販売の集い」を開催しました。
 例年開催されているもので、対外向けに新聞販売店側も公正な販売を目指してやってますよ〜というアピールするのが目的。全国紙をはじめ各新聞社の販売局長クラスも来賓として招待されます。(追記:日販協本体が毎年行っているのは7月の通常総会のみで、各地区本部や県支部でこのような「集い」が行われているそうですが、地方紙も含めた中央協正副委員長に出席要請して、日販協本体が公正販売の集いを開いたのは、はじめてではないか―とのご指摘を受けました。「例年開催」を訂正します)
 毎回、大会アピールというものを採択しているのですが、年々その内容に自己矛盾を感じざるを得ません。

 
大会アピール

 本日の大会は、業界が総力を挙げて取り組む、その決意と約束を確認する場です。決意と約束とは、公正販売の実現と購読率再生に向けた不退転の行動に他なりません。
 信頼なくして成り立つ商売はなく、協調を欠いて生き延びられる業界もないはずです。新聞に身を置く我々一人一人が、新聞の価値をおとしめてしまうような行為を行っていないか。まずは厳しく自らに問いかけねばなりません。新聞に思いを寄せる方々は言われます。「新聞は社会に必要だ」と、そして「戸別配達はありがたい」と。
 いまこそ、公正販売の実現に挑み、業界の明日を築く共同作業に取りかからなければなりません。
 全国のお店に訴えます。
 「ひんしゅくをかうような営業行為は絶対に行わないことを」
 「法律・規約を厳格にまもり、定価販売を厳守することを」
 中央協、地区協、支部協のみなさんにお願いします。
 「話し合いの指導など違反防止の徹底を」
 「違反は厳正かつ確実に徹底処理されることを」
 そして、すべての発行本社の責任者の方々に切にお願いします。
 「公正販売の実現に強い指導力を発揮されることを」
 「新聞の発展に大局からの指導と施策を講じられることを」
 新聞の危機に直面し、今まさに一人一人が、そしてそれぞれの立場での、自覚と責任が問われています。
 新聞産業は皆で支えているのです。

日本新聞販売協会「公正販売の集い」
2009年2月18日


 業界の構造的な問題を正さなければ、何も変わらないかもしれません。販売店主の多くも「正直ものだけばバカを見る」と感じているので、なかなか本腰を入れて変わろうとは思っていません。残念ながら。
 やはり新聞社の販売政策を転換して、販売店との取引関係もしっかり見直すことからはじめないと。そのあたりを日販協の役員の方には望みたいものです。
 また、来賓には、今や新聞業界の既得権維持に欠かせない国会議員が招かれました。以下、新聞通信 2月23日付から引用。

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2009年02月23日

値下げはご法度?新聞は誰のために発行し続けるのか…

 友人から「新聞購読をやめたい」という連絡が今月に入って2件ありました。
理由を聞けば、「就労先で給与の見直しがあり、諸手当など月額で3万円削減された」ので、毎月の生活費を見直したところ、新聞代を削るということになったというもの。


 今年3月末でいわゆる派遣切りをされる方々は100万人を超すと報じられ、年収200万円に満たない「ワーキング・プア」と呼ばれる人が1,000万人もいると言われています。そのほか雇用は維持されるも年収が下がっている社員は少なくありません。
 日々の紙面では「100年に一度の金融危機」という文字が飛び交い、生活者だけでなく中小企業も先の見えない経済環境の中で、少しでも経費を抑えようと新聞購読を中止するところも増えています。年度末を待たずして「購読中止」の連絡が急速に増えていることを、新聞社の方々はどれだけ知っているのでしょうか?

 新聞の価値とは――このブログでも業界(新聞人)として読者に対し「新聞の再発見(活用術)」をしてもらう取り組みを、と主張してきましたが、それ以上に生活者の経済的状況が悪化してきている昨今、新聞代を削減せざるを得ない状況になっているのです。新聞は生活水準の高い人たちに向けて発行する媒体へと縮小しながら生き残りの道を模索するのでしょうか…それではEPIC2014が別な形ですでに訪れているのかもしれません。


 新聞は15年間も値上げしていないのだ…と多くの新聞経営者が「我慢」を強調しています。いま値上げすれば定期購読をやめる読者の予測ができず、値上げが逆効果となって経営を圧迫する可能性があるため値上げに踏み切れないというのが実情だと思います。
 値上げをするタイミングを画策するよりも、いまは値下げについても考えるべきではないでしょうか。国民の知る権利を掲げるのであれば、ここは値下げ(シルバー世代割引や生活保護者割引など)を武器に新聞の価値創造と習慣性を後世に引き継ぐという戦略も必要ではないかと思うのです。


 これまで業界は、再販制度や特殊指定の維持を世論に訴える際に「国民の知る権利」を主張し、世論形成をしてきたはず。その論拠に嘘がなければ社会的弱者への対応も検討するべきです。すでに新聞経営者は日本経団連の経営者と同じになってしまいましたが、自社の経営ばかりを考えるのではなく「新聞産業の生き残り」は、読み手がいて成り立っていることを忘れてはいけないと感じています。

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2009年02月03日

“今だけ委員長の独りごと”がアルファブロガー・アワード2008にエントリー?

 先日、このブログ「機能せず国連化する新聞協会を尻目にG7ならぬG3化を極めるANY」にトラックバックが寄せられ送付先を確認したら、アルファブロガー・アワード2008:ブログ記事大賞というサイトにたどり着きました。
 なんと、小生の日記が掲載されているではありませんか。思わずビックリ。中間結果リストに加わったことのお知らせをTBで送ってきてくれたのです。

 「今だけ委員長の独りごと」ブログは、新聞関係者へ販売側から見た問題点を提起させていただき、諸問題が改善されることを目的にしているため、アフィリエイト(企業広告とのリンクによる報酬制度)などいっさい組み込まずに4年間、細々と運営しています。
 できるだけ多くの方にご覧いただけることはうれしいことですが、このようなイベントにエントリーされているとは思いもよりませんでした。

 昨年は政治評論家の勝谷誠彦さんのブログに引用され、さらにその過程を
佐々木俊尚さんの書籍で紹介されるなど、自分が書いたものが知らないところでネタにされているというネットの危うさを身にしみて感じました。書いたことの真意が正確に伝われば何の問題もないのですが、ときに歪曲されて伝えられる(書き方も甘いと認識していますが)こともあるので、自ら発信したものはきちんと責任を持つ(当たり前のことですが嘘はダメです)ことが、インタラクティブな時代に最も必要なことだと感じます。

 さて、そのブログ記事大賞ですが、わずか2票…まぁそんなものです。今後ともご指導、ご鞭撻(ときにはご批判も)をいただきますようよろしくお願いします。
posted by 今だけ委員長 at 06:35 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2009年01月06日

ネットメディアJ-CASTニュースも「新聞崩壊」の連載だそうです…

 エンタメ系のネタや有名人のブログ、2ちゃんねるなど掲示板をニュースソースとして運営されているインターネットメディア「J-CASTニュース」が昨年末から「新聞崩壊」という連載を始めています。
  “新聞嫌い”のネットメディアが「新聞崩壊」の連載を組むとは、当たり前すぎる企画だなぁと思っていましたが、結構多方面の方にインタビューをしているようです。

「紙」にしがみつくほうが日本の新聞長生きできる
(連載「新聞崩壊」第8回/評論家・歌田明弘さんに聞く) 2009/01/06

人件費削るのは安易な方法 経営者はもっとビジョン示せ
(連載「新聞崩壊」第7回/新聞労連・一倉基益副委員長に聞く) 2009/01/05

新聞を法律で守る必要あるのか 「再販制」という反消費者制度
(連載「新聞崩壊」第6回/鶴田俊正名誉教授に聞く) 2009/01/04

米国の新聞は決断した 「紙が減ってもウェブ中心でやる」
(連載「新聞崩壊」第5回/アルファブロガー・田中善一郎さんに聞く) 2009/01/03

新聞の20%以上は配達されない 「押し紙」という新聞社の「暗部」
(連載「新聞崩壊」第4回/フリージャーナリスト・黒薮哲哉さんに聞く) 2009/01/02

「変態記事」以降も毎日新聞の「ネット憎し」変わっていない
(連載「新聞崩壊」第3回/ITジャーナリスト・佐々木俊尚さんに聞く) 2009/01/01

北京の私服警官だらけの光景 新聞はどこまで伝えきれたのか
(連載「新聞崩壊」第2回/佐野眞一さんに新聞記者再生法を聞く) 2008/12/31

記者クラブという「鎖国」制度 世界の笑いものだ
(連載「新聞崩壊」第1回/フリージャーナリストの上杉隆さんに聞く) 2008/12/30


 このサイトは時に硬派な切り口で社会問題を両断する一方で、くだらないネタも入り混じる「息抜き」メディアとして浸透しているようです。最近では複数のポータルサイトにも配信しているため、そこそこのアクセス数を稼いでいるのでしょう。

 ウィキペディアによると、このJ-CASTニュースの編集長は「武富士問題」で朝日新聞社を退社した大森千明氏。「J−CASTニュース」運営している株式会社ジェイ・キャスト(1997年8月25日設立)も朝日新聞の週刊誌『AERA』元編集長だった蜷川真夫氏が設立しています。

 近年、新聞界の暴露本を発行する新聞社OBもしくは途中で退社された方々が、こぞって新聞業界(組織なのか、働いている人なのか)を追いやろうとする構図は、叱咤激励なのか、単なる復讐なのか… 真摯に意見はうかがうとしても観客の野次に惑わされる必要はないと思います。結局は自分たちで考え行動するしかないのですから。

【追記】
新聞記者は会社官僚制の中で埋没 だから新しいニーズを掬えない
(連載「新聞崩壊」第9回/新聞研究者・林香里さんに聞く)  : 2009/1/ 7

ビジネスモデルが崩壊 身を削ぐような合理化が始まる
(連載「新聞崩壊」第10回/ジャーナリスト・河内孝さんに聞く)  : 2009/1/ 8

ネットで有名になり、新聞が売れる そんな好循環が中国では可能だ
(連載「新聞崩壊」第11回/中国メディア研究者 ミン大洪さんに聞く)  : 2009/1/ 9

【追記2】
再販、記者クラブ問題 新聞協会「当事者ではない」
(連載「新聞崩壊」第12回/新聞協会・新聞社の見解) :2009/1/13

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2009年01月05日

各紙元旦号の広告状況

 明けましておめでとうございます。
 今年も新聞販売労働者の目線で独りごとを発信してまいります。相変わらず“つたない”文章ですが、お付き合いいただきますようお願いします。

 さて、今だけ委員長の今年の元旦作業は、キオスクなどの売店で販売する新聞(全紙)の仕分け作業でした。1日の0時から4時まで駅構内に届く当日の新聞に、事前に配送されている特集号を組み込み各売り場へ届けるという仕事です。各紙とも広告量が減っているため、前年よりも大分ページ数が少ないことを実感しました。

 正月3が日は家でゆっくり新聞を読みました。今年は太宰治が生誕100年、「進化論」のダーウィンも生誕200年ということで、各紙とも紙面を大きく割いて特集を組んでいます。
 社説では「日本の国力に自信を持て!」という論調が目立ったように思います。でも首を傾げたのは、国民の貯蓄額が1500兆円もある…から、まだまだ日本は大丈夫という言い方をしていたこと。貯蓄は1500兆円あるかもしれませんが、多くの国民は借金もあるわけですから、相殺すれば国の借金(国債借款債)をご破算にできるはずもないと思います。それ以前に個々人の財産を「お国のもの」という捉え方で、昭和21年に起きた預金封鎖を匂わせるような論に感じました。まぁ預金封鎖はされないにしても、消費税率の引き上げかハイパーインフレを仕掛けることで国の赤字財政を救う道はないのかもしれませんが、まじめな国民がバカを見ることにならないように願いたいものです。

 昨年は毎日新聞が大きく扱っていた「IT・デジタル」関係の特集は、日経のみが第二朝刊で大きく扱い、電子書籍端末「キンドル」やSNSの可能性などを紹介していました。なんか1年前とあまり変わらないような気もしますが…
 広告では・・・

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posted by 今だけ委員長 at 08:04 | Comment(0) | TrackBack(1) | 日記