2010年08月17日

新聞労連へ提言した朝日労組の「新聞労連改革」を考えてみる

 日本新聞労働組合連合(東海林智委員長・毎日労組選出)に対して、朝日新聞労働組合(今村健二委員長)が「新聞労連改革」と銘打った3つの骨子からなる提言を示したという記事が、「週刊金曜日」ニュースに掲載されました。
▽朝日労組の”提言”に真価が問われる新聞労連(週刊金曜日8月4日付)
http://www.kinyobi.co.jp/kinyobinews/?p=293
http://www.kinyobi.co.jp/kinyobinews/?p=299


 労働組合は会社と違って“横つながり”の組織体ですから、さまざまな問題提起があってしかるべき。「労働組合なのだから・・・」ということで、無理やり60年代の原理的思想で組合員を引っ張っていける時代ではないし、時代に即した組合運動へとカスタマイズしていかなければならないと感じています。ただし、何のために労働組合があるのかという存在意義は踏み外してはいけないと思います。
 週刊金曜日の記事を読むと朝日労組というより、「今村委員長」個人の主張と印象付ける節があるので、(執行委員長の発言は大きいのですが)そのへんは今村委員長個人ではなく「朝日労組の本部執行委員会提言」と理解するべきだと思います。また、提言には「今回の改革提言こそ、しっかりと実行に移していただかなければ、朝日労組内での労連への批判が…」との書き方を見ると、朝日労組全体の総意ではないとも感じ取れます。

 今回、朝日労組が示した3つの提言は、@新聞産業を守る政策提言力の強化を/ナショナルセンターとの関係再考A「破綻」させない日ごろの支援の強化を/争議支援のあり方再考B支出削減の更なる徹底を/身の丈に合った活動の強化―。提言の内容をじっくり考えてみました。


 まず、ナショナルセンターとの関係再考については、この記事を書いた週刊金曜日編集部の伊田浩之氏も指摘しているのですが、「連合加盟へのロビー活動」とも読み取れます。提言では「消費税増税、再販見直し、特殊指定見直しの政策が実行されると、新聞産業を取り巻く環境は一気に悪化するので、政策決定過程に携わる者への働きかけが重要になる。主要各政党の幹部とメディア政策担当者、各種団体との意見交換、協議は欠かせない。中でも、民主党の政策決定過程に大きな影響を及ぼす連合とは、定期的かつ計画的に協議を重ねていく場を設けることが必要」とあります。
 新聞労連は現在、日本労働組合総連合(連合)や全国労働組合総連合(全労連)などのナショナルセンターには属さず、中立な立場で新聞の社会的役割を重んじた運動方針を掲げてきました。チョット歴史をたどってみましょう。


 新聞労連は戦後、総評と運動をともに(新聞労連が総評のけん引役を担ってきた)してきましたが、労働戦線の統一に違和感を示し、1987年の総評第70回定期大会で「新聞労連統一5原則」を打ち出します。1989年11月に結成した連合(初代委員長は山岸章氏)や全労連には属さず、中立の立場を保っています。
【新聞労連の労戦統一5原則】
@思想、信条、規模の大小によって選別せず、すべての労働組合が参加する統一
A資本と政党からの独立という当然の原則をつらぬく統一
B特定の国際組織への加盟を条件にしない統一
C未組織労働者の組織化をめざす統一
D共通の要求・課題に基づく大衆的な共同行動を積み重ねる統一

 ナショナルセンターとの関係を再考する理由が「新聞産業を守るため」であっても、消費税や再販・特殊指定の問題について政治家(政策決定に携わる者)を動かしてどうこうしようという発想には、やはり違和感を覚えます。低減税率の導入や再販・特殊指定など業界を保護する諸制度を守るなら、これまで指摘されてきた「押し紙」や「ルールを無視した景品提供の実態」などの問題解決にまず着手すべきです。公取委などから指摘されているような諸問題を解決し、国民から同意を得られればおのずと業界を保護する諸制度は維持されるのではないでしょうか。はじめから政治家へ「新聞産業の保護」を働きかけることは、新聞協会などの経営者団体と同じやり方といわざるをえません。
 今回の提言は一見すると新聞産業も労働条件も一緒に守るためには、連合加盟も「やむなし」との結論へ向かっているように読めますが、労働戦線問題を整理するための問題提起であるともいえます。

 私自身も新聞産業は絶対に守らなければいけないと心から思っているのですが、他からみれば「自分たちの労働条件を守るため」と映ってしまうものです。新聞産業に働く者として一番のジレンマはここだと思います。東洋大学の水野剛也准教授は、「新聞は死ぬことが許されない」と言ってくれましたが、それがもし自分の生活水準を守るためだけならば「死んだ方がまし」と言われちゃうのかもしれません。


 また、伊田氏は「新聞産業で働く仲間を守る」ではなく、新聞産業を守るという経営者的視点が気になる―とも評していますが、これからは労働組合も新聞経営者に対して政策要求をしていかなければならないと思っています。なぜなら、前例踏襲の経営だけでは世の中の動きについて行けなくなっているからです。護送船団方式である意味守られてきた新聞社(特に地方紙)の経営陣は意思決定も遅いから。
 でも労働組合も政策要求をするだけではダメなのです。それを仕事として本気で取り組むまで役職者へ詰めないと…。やるのは会社ですから、「やろう」と思わせる役員へのプレゼンも必要だと思います。

 で、伊田氏が指摘する「仲間を守らない」については、「労働組合は相互扶助の精神から成り立つ」ものだと朝日労組の執行委員会の方々も当然理解しているはずです。「一人は皆のために、皆は一人のために」と。この言葉を最近では聞く機会も少なくなってきましたが、これは60年安保時代を生きた団塊世代の方々だけの言葉ではないと思っています。労働組合として体をなしている以上、原理とか何とか難しいことではなく大切にしなければならないものだと感じています。労働者の代表として選ばれた執行部役員はこの気持ちなしに労組員を守れないと思うし、朝日労組の執行委員会の皆さんもそう思っているはずだと理解しています。

 伊田氏の指摘を逆に捉えれば、「多くの組合費を捻出しているのだから、新聞ビジネスが反転攻勢となるようなビジネスモデルを打ち出せるシンクタンクを上部団体に求める」という提言にも受け取れます。それに応えられるよう新聞労連の産業政策研究会などの研究機関に力を注ぐ必要はあると思いますが、チョット経営者化しているなぁとも感じます。
 朝日労組の組合員を守ることは重要だし、それが執行部の任務ですが、組合費を多く出しているからスポンサー気取りでリターンを求めるというのはチョット違うと思います。新聞労連の組合費は「何人以上の組合はいくら」という決め方はしていないし、一人一律600円というシンプルな徴収スタイルです。私も朝日労組の執行委員会の方々と同じく毎月600円払っています―という話です。そもそも朝日労組はオープンショップなのだから、新聞労連の加盟費を含んだ組合費の徴収を了承した人が加入しているのだと思っています。
 朝日新聞は新聞協会よりも優れた研究機能や人材を有していると思っているので、天に唾するのではなく、シンクタンク機能の強化にもっと関わっていただけると“さすが朝日”となるのではないでしょうか。


 週刊金曜日には、朝日労組の提言によって新聞労連に波風が立っているような書かれ方をされていますが、問題提起がなければ議論も生まれません。じっくり議論をして、間違いのない新聞労働者が向かうべき進路を示していただきたいと思います。

posted by 今だけ委員長 at 16:33 | Comment(1) | TrackBack(0) | 日記

2010年08月16日

「おしどり金婚さん」を一挙掲載 地方紙だからなしえる新聞ファンづくり

 束の間の夏休みというかお盆休み。家族で実家のある米沢市へ帰省してきました。
 実家では、地元紙の山形新聞と毎日新聞を購読しているのですが、けさの山形新聞は月曜日なのにページ数が多いのでよくよく見てみると、結婚50年の節目を迎えた夫婦を祝福する「おしどり金婚さん」を4ページ使って掲載していました。

山形新聞 金婚さん.jpg 「おしどり金婚さん顕彰事業」は山形新聞社と山形放送が1989年から取り組んだもので、これまで5万8595組の夫婦を顕彰しています。喜びや悲しみを分かち合いながら家族、地域、さらに社会の今を築いてきた夫婦をたたえ、健康と長寿を祈念することが目的だとか。今年は1767組の応募があり、夫婦の名前を刻んだレリーフが進呈されました。
 確か西日本新聞社も「金婚」の催しをしていたと思います。
 
 市町村別に夫婦の名前がずらっと掲載されているのですが、ご本人はもとより、その子ども(孫)たちが「両親の名前を探す」というのも新聞の特性を生かしたものですね。これぞ地方紙がなしえる新聞ファンづくりだと感じました。
posted by 今だけ委員長 at 16:29 | Comment(2) | TrackBack(0) | 日記

2010年08月13日

帰省するから配達一時休止 新聞は後からでも読めるメディア

 5月から始めた販売店研修(離れていた現場感覚を取り戻すために)も7店舗目。けさは3時から早出作業をしてきました。暑い日が続いていますが、さすがに立秋を過ぎると日の出の時間も遅くなったと感じます。空が明るくなり始めたのは4時30分頃だったでしょうか。


 6時前にはおおむね配達作業も終了し、配達スタッフとの一服タイム。この時間がとても大切で、コミュニケーションの醸成はもとより、地域情報を収集する絶好の機会なのです。加えて社員の仕事ぶりについても意見を求めると、忌憚なく社員たちの意外な一面も教えてもらえるものです。


 「さて一段落ついたので早朝ポスティングでもしに行こうか」と当番社員と話していたら、早い時間から電話が数件。「新聞が届かない」との連絡かなと思いきや、「お盆期間中、不在になるので配達を一時ストップしてほしい」との電話がそのあと矢継ぎ早にかかってきて、事務処理に追われてしまいました。
 おととい、「スッキリ」(日テレ系)という朝のワイドショー番組で、「ポストに新聞がたまっていると留守宅だと察知され、空き巣に狙われやすい」との内容が紹介されたことも後押ししたのかもしれませんが、例年よりだいぶ件数が多いとのこと。それも「1日だけ不在にするから配達しないで…」というものが増えたようです。お客さまからの要望ですからしっかり対応しますが、そのあとが問題なのです。


 お客様の都合で配達を一時休止した分は、配達していないのだから月ぎめ料金から「値引きしろ」という要望が増大しているのです。販売店は発行本社から「月単位」で社取部数を決めているので、値引き(減額)分は販売店の持ち出しになります。年末年始、GW、お盆とピークが3回あるのですが、この減額は経営的に結構厳しいものです。
 以前は「止め置き」といって、一時休止分を帰宅後にまとめてお届けする読者も多かったのですが、「過ぎた日の新聞を読んでも意味ない」といわれる始末。日々のニュース以外にも紙面には相当量の「読みもの」があるのですが…。時間があるときに後からでもじっくり読めるのが新聞のイイところなんですけどね。
「エェー。あの記事読まなかったの?」という話題になれば言うことなしなのですが、1日でも読まなかったら把握できないような続きもの(小説ジャンル以外で)をもっと増やすとか出来ないかなぁ。その前に読みたくなるようなコンテンツじゃないと意味ありませんが…。


 あとは、お盆期間中に帰省する方をターゲットにして「自宅で購読している新聞を帰省先にもお届けします(地方紙は無理ですが)」というのも考えてみる価値はありそうです。田舎に帰って地元紙を読むのもイイものですが、休日にじっくり2〜3紙よむのもよい時間の過ごし方だと思うのですがどうでしょう。
 もっといえば、「お正月休みだけ自宅で読みたい」とか、「GW期間中は外出せずに家に引きこもるので、新聞を3紙くらい読みたい」というニーズもあるはずです。「コンビニで買ってください」というのではなく、指定された期間(5日以上などの下限設定は必要ですが)に宅配をするサービス(即売価格で)も検討していかなければならないと感じています。その際に必要なのが少額課金に有効なクレジットカードによる決済システム。クレジットカードによる決済システムのメリットは言わずもがな省力化ですが、今後さまざまな商品を販売するうえでも販売店のカード決済システム導入は必要不可欠ですね。


 毎日、新鮮な新聞を配達しているのだから、ニュースもの(結果報道)だけではなく、もっと読んでもらいたい記事がたくさんあるので読みのがしをするともったいないですよ―という販売労働者からの余計なお世話でした。

 
posted by 今だけ委員長 at 19:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2010年08月04日

世界一の発行部数を崩せない苦労

 以前にも小ブログで取り上げましたが、世界一の新聞発行部数を誇る全国紙がホテルの宿泊客やファーストフード店の利用者へ新聞を無料で配っていることを紹介しました。今回、今だけ委員長へ寄せられた情報によると、福島県郡山エリアのホテルや旅館へ「宿泊のお客さまにサービスとして(新聞を)配布」「新聞をお客さまに配布の際は、キャンペーン告知用ポストイットを貼付し…」という案内を旅行会社(これも全国区の会社です)が行い、新聞代金もその旅行会社が負担するという「キャンペーン」が出回っているとのこと。期間は8〜9の2カ月間。

 広告などで新聞代金分をペイするのかどうかわかりませんが、新たな販売手法が続々と行われています。
 新聞公正競争規約に抵触しない範囲で取り組まれていると思いますが、やはり新聞PRのためとはいえ「無料」で配ることは新聞の価値を下げるだけです。


 大部数の牙城を崩せないために販売関係者は苦労されているのでしょうが、「原価だけ回収できればよい」という発想で「広告代金ペイ型」の販売手法は、ネットと同じく「情報(新聞)はタダで読めるもの」という認識が広がってしまうのではないかと懸念しています。

posted by 今だけ委員長 at 06:19 | Comment(2) | TrackBack(0) | 日記

2010年07月25日

先生の方が新聞の価値を知っているかも!/親子新聞スクラップ教室

夏休み期間の自由研究は何にしようか?

子ども以上に悩まれているお父さん、お母さん。「新聞スクラップ」をお勧めしますよ!
なぜって?
新聞スクラップの意義をお教えしましょう。
  @子どもの視野が広がる
  A新聞は情報の宝庫
  B情報の収集力、活用力、選択力、判断力、批判力、
   発信力が養われる
  C学習材の宝庫
  D新聞は「生き方」の宝庫→生きる力を育む
  E読解力が高まる
  F言語能力が高まる
  G資料(歴史的価値)となる

 どうですか。子どもたちばかりではなく大人もチャレンジしてみると脳の活性化になりますよ。


 NIEとは学校などで新聞を教材として活用することですが、その歴史は古く、アメリカでその取り組みが始まったのは1930年代なのだそうです。日本では1985年の新聞大会でその必要性が提言され、1996年から新聞協会がNIE事業として推進、現在に至っています。
 たらればの話ですが、新聞社が本気でこのNIE活動に力を入れていれば、今の20代の購読率は…なんて考えてしまいます。でも、20代の購読率の低迷に大きく影響しているのは習慣性ばかりではなく、やはり読みたくなる紙面であったかどうかということなのかもしれません。


スクラップ教室.JPG 先日、「親子新聞スクラップ教室」というイベントが某地方紙で開催されました。
 現役の小・中学校の教師の講話を聴いていると「子どもに新聞を読ませなくては」と思ってしまうほどの説得力。私たちが訪問セールスするよりも間違いなく新聞の必要性を感じてもらえます。

 来年から改訂される新学習指導要領(中学校は2012年から)には新聞を活用した教育の実践が大きく組み込まれましたが、小・中学生の子どもがいるご家庭にはぜひ新聞を購読してもらいたいものです。


 “継続は力なり”今さらながらNIEの推進に本腰を入れてみる価値は相当ありそうです。
家族で新聞を毎朝取り合うくらい読んでもらえたら…作る側も売る側もこれほど嬉しいことはありません。

posted by 今だけ委員長 at 21:35 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2010年07月24日

新聞労連結成60周年記念の集い/60年間で勝ち取ったものを今こそ使うべき!

 「新聞業界が危機だといわれているが、60年間で先輩たちが勝ち取ってきた新聞の力を今こそ発揮するべきだ」。乾杯のあいさつに立った原寿雄さん(元新聞労連副委員長で共同通信社長を務めた)の言葉に思わずグッときました。「そうだ、まだまだ手をつけていないことが山ほどある」と。

60周年集い.JPG 日本新聞労働組合連合結成60周年記念の集いが7月22日、都内のホテルで行われました。冒頭、あいさつに立った豊秀一委員長(朝日労組)は「新聞が担う最も大きな役割は戦争を止めること。不戦を誓い戦争のために二度とペンを取らない、カメラを回さない、輪転機を回さないことを胸に刻もう。いま業界が広告不況や読者離れなど厳しい状況にあるが、『ペンかパンか』どちらを取るのか問われているように感じる。いくら厳しくともペンを捨て、パンを取ることは許されない。ペンもパンも両方取るために運動を展開していこう」と力強く述べました。
 会場には、これまで新聞労連役員を務めた先輩方をはじめ、加盟組合の現役組合員や来賓など集まりました。お世話になった方との久しぶりの再会はやっぱりいいものです。


P1010369.JPG 参加者には、1990年から2010年までの新聞労連の歴史を綴った「証言・新聞労働史 明日へ」(その当時に組合役員が寄稿)や新聞労連機関紙の縮刷版(DVD)、「しんけん平和新聞」(1号〜7号)などが記念品として配られました。「しんけん平和新聞」は毎年違った編集委員の目線で「戦争」と向き合っている大作です。ぜひ多くの方に読んでもらいたいと思います。
※「しんけん平和新聞」の問い合わせは新聞労連まで。


 明日に向かって何をするべきか。
 どこの職場でも人減らしで仕事の量が増えて「じっくり考えている暇がない」といううなり声が聞こえそうですが、こういう時こそ労働組合の存在が重要なのだと思います。ただし、「何をするべきか」を任せきりにするのではなく、自分たちが労働組合を使って新たな発想を培い実践していくことが大切なのだと思います。



 不都合な真実から目をそらすことなく

 「新聞販売労働者が新聞労連の中央副執行委員長…大丈夫なのか?」。東北地連からの選出とはいえ、新聞労連加盟の各単組からは恐らくそんな声が上がったのではないだろうか。
 筆者の出身単組が新聞労連へ加盟したのが2000年7月に開かれた第96回定期大会。加盟からまだ7年と経験も浅く、200名足らずの組織から本部役員を選出するのは荷が重すぎると当初は固辞したが「東北地連の絆」に心打たれ、役員を引き受けることを決断した。


 就任当初は販売労働者として何ができるだろうかといろいろ考えた。ある販売系の先輩からは「押し紙」の根源である発行本社と販売店の取引関係是正を優先させるべきとの助言もあったが、これまで片務契約に苦しんだ販売労働者の「敵討ち」をしたところで生産的な議論が生まれるわけもなく、それよりも不正常販売の横行によってどれだけ読者の信頼を失っているのか、読者の声を伝えながら新聞産業の根本的な問題を改善させる具体策を議論していくことに専念した。
 任期中は機関紙で「しんぶん販売考」を連載(8回)させてもらった。九州、近畿、北信越の各地連からは販売問題に関する講演依頼を受けるなど、業界のブラックボックスといわれる販売問題を多くの組合員へ発信する機会を得たことは意義があった。出張の際はできるだけ開催単組の販売局の方と情報交換をさせていただいた。若手ほど問題意識というか危機意識が高い半面、局長クラスはやはり精神論しかなかった。「ゴール目前」の局長クラスは前例踏襲の販売政策から離れることはせず、「無購読者への対策はどうするか」と焦る組合員のフラストレーションが強く伝わってきた。
 昨年から京阪神地区を皮切りに「販売正常化」に向けた取り組みがなされてきたものの、不正常な販売が起きる温床とされる新聞社と販売店の産業構造の問題には未着手のままだ。販売店労働者の労働条件はまだまだ劣悪な環境に置かれており、その根源となる「押し紙」という言葉を新聞労連は抹殺してはいけない。


 永田町にもよく足を運んだ。労働関連三法案の国会提出や教育基本法の改定、18項目も付帯決議され強行採決された国民投票法など、目まぐるしい政局の動きに対して、MIC(日本マスコミ文化情報労組会議)や憲法労組連の一員として国会議員への要請行動などに取り組んだ。
 労働組合の組織率が年々減っているとはいえ、国会の前でスクラムを組み、メーデーで行進する組合員の数には圧倒された。地方では考えられないことだった。もうひとつ脱線ついでに話せば、就任後1カ月もたたない時に全国労働委員会民主化対策会議(労連副委員長は副議長を兼ねている)の街頭行動で、銀座マリオン前でオルグした時のことは忘れられない。「就任したばかりで会議にも出たことがないのだからビラを配るだけ」と何の準備もしていなかったのだが、突然、「新聞労連副委員長からひと言メッセージを」と司会者がマイクを向ける。手配りしていたビラを読み上げながら何とかしのいだが、冷や汗がプラスされ額からどっと汗が流れた。12月の寒空だというのに…。


 任期中に最も力を注いだのが産業政策研究会(産政研)の設立だった。
 成熟した新聞産業は、これまでのような右肩上がりの成長が望めない。さらに人口の減少や無購読者層の増加など厳しい要因を抱えている。産業研究とそれに基づく新聞メディア、販売、広告など多岐にわたる産業政策の確立は、経済闘争など労働条件の向上を勝ち取っていく活動にとっても必要不可欠な課題となっていた。残念ながら新聞協会は新聞研究所を廃止(新聞博物館へ研究機能を移管し縮小)するなど、産業研究分野からの撤退を進めており、この分野で経営側が何らかの役割を果たすことは期待できなかった。一方、加盟単組も単年度執行部が増え、また役員の任期も短くなり、長期的な視野で産業問題に取り組むことが難しくなっていた。任期に縛られず、単組の枠組みを超えて新聞産業の問題を研究していく機関を作ることが緊急の課題と位置付けた。新聞産業研究に興味関心のある組合員を募り、新聞産業の抱える様々な問題について産業的視野で勉強を重ねていく、産業政策研究会の設立を、2007年4月の中央委員会へ提案し承認された。
 研究会の目的は、産業研究を深め、その成果を労連の産業政策にフィードバックすることと、労働組合の中に新聞産業研究に取り組む人材を育成することだ。新聞産業を学問的に研究する研究者がほとんどいなくなっている現状に鑑み、労組員以外の若手の研究者も、この研究会に講師や参加者としてコミットしてもらい、学問的に新聞産業研究を志す研究者を支援、交流していく場としても活用していきたいと考えた。将来的には新聞産業政策の常設のシンクタンクとして発展させることも視野に入れながら発足したのである。
 研究員の公募には14単組、18名の組合員から応募があり、レポート内容や在京・地方、職場のバランスなども考慮して選考した結果、7名の研究員を選出した。研究活動の成果については、報告書(新聞2008年の『自画像』、新聞2009明日への道標)を参照してもらいたい。

 退任後も2年間にわたり研究会の座長として活動に携わったが、いま思うと2005年6月18日に開かれた新聞産業研究会がすべての始まりだった。米国の新聞産業が音を立てて崩れ始め、時事通信社(当時)・湯川鶴章氏の「ネットは新聞を殺すのか」が発刊された頃、これからの新聞産業を憂いたロスジェネ世代の組合員が集まって熱心な議論が繰り広げられた。「ジャーナリズムはもうからないが、ジャーナリズムを守るために新聞社の新たなビジネスモデル構築は急務だ」という認識は、あの集会に参加したメンバーの多くが共有していた。

 新聞産業問題とは、実はジャーナリズムと相当にリンクするということを強く感じる。新聞ジャーナリズムだけが崇高だとは言わないが、今でも新聞が一番「信頼」できるメディアであることは言うまでもない。しかし、その信頼に裏打ちされてきた新聞産業が窮地に追いやられ、ジャーナリズム活動が揺らいでいる。販売政策の失敗、新聞離れによる販売収入の減少とインターネットの隆盛、景気減退による広告収入の落ち込みで経営が悪化し、その活動基盤を支えられなくなっているからだ。
 新聞産業をなくさないために、何を変えていかなければならないのか。分社化や夕刊廃止、総人件費の抑制は、一時的な延命治療でしかない。
 これまでも新聞労連の諸先輩方が新聞産業の危機を訴えてきた。「新聞が消えた日―2010年へのカウントダウン」が発行された1998年にはすでに現状を予感していたのだ。しかし、にもかかわらず新聞経営者も労働者も自己改革に乗り出せなかったし、組合内部でもこれらの視点や危機感が継承されてこなかった。新聞業界の致命的な欠陥の一つは問題意識の共有化が進まないことだろう。
新聞労働運動史1990〜2010.jpg 新聞労連の研究機関として組合員の生活基盤を守ることは当然だが、労働条件を守ることを優先しすぎて、不都合な真実に目を背けてきたのではないだろうか。たとえ一時的に多少の不利益を被ろうとも、新聞再生のために耐えねばならない。労働組合こそ、そこから逃げてはいけないのだ。(「証言・新聞労働運動史 明日へ」より)


 

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2010年07月21日

21日の行動まとめ 故森内豊四さんへの焼香と「押し紙」裁判

 暑 い …
 夏だからしょうがないとは言え、暑い日が続きます。関東圏の暑さは東北人の想像を絶するわけで…。約1年この地で生活したのですが、やっぱり東京は住むところではないとあらためて感じました(住んでいらっしゃる方ゴメンナサイ)。

 あす開催される新聞労連結成60周年のイベントに参加(一応ご招待いただきました)するため、一足早く東京入りしたのですが、猛暑日を長時間歩きまわったせいかヘトヘトです。
 
 前乗りした目的は、6月26日に亡くなられた故森内豊四さんへの焼香です。千葉県柏市にあるお宅へ伺って、生前に新聞産業政策の問題でご助言をいただいたことなどを奥さまに伝えながら、ほほ笑んでいる遺影を目の前にすると「まだ信じられない」という気持ちです。合掌。


 その後、都内に戻り東京地裁(530号法廷)へ向かいました。
 前日に新聞販売黒書をチェックしていたら、同日に「週刊新潮vs読売新聞」裁判の口頭弁論があるというので傍聴してきました。この裁判は「押し紙」問題を報じた週刊新潮と記事を書いた黒藪哲哉氏に対して、読売新聞社が「新潮の記事は事実無根」と損害賠償を求めた裁判です。

 「押し紙」の問題を新聞社と販売店で争うのではなく、週刊新潮、読売新聞というメディア同士の裁判なので傍聴席が一杯になるのではと思っていたら、15名ほどのこじんまりした裁判でした。読売新聞社員の方が10名くらい。なぜかにおいを感じるんですよね新聞社の方って。
 内容は日程確認のみでおよそ10分で終了。読売新聞社の代理人・喜田村洋一弁護士が傍聴席に座る読売の方をチラ見しながら話をしているのが印象的でした。11月2日と11月16日に証人尋問がされるとのことです。週刊新潮(黒藪氏)が押し紙の根拠として報じた「滋賀クロスメディア」(チラシ宅配会社)が提供した資料の信ぴょう性にスポットがあてられるようです。

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2010年07月19日

もうジャイアンツだけじゃない!AKB48を売りだす読売グループのメディア戦略

 きのう、CS放送を見ていたら「日テレ+G」で読売スペシャル「新聞社の素顔」が放送されていました。
 新聞社の素顔というより「読売新聞社のPR」という内容でしたが、あらためて新聞社の事業展開は幅広くなっているなぁと感じました。

 社内見学に力を入れている読売新聞。毎年、多くの小・中学校の修学旅行のコースになっているそうで、ディズニーランドと読売新聞社内見学が定番なのだそうです。そのほか、編集局や営業部門(販売・事業)、広告局、メディア戦略局、航空部の5つの部門を紹介しているのですが、社員が登場して業務内容を説明する姿が好印象でした。顔が見えるのはいいですねやっぱり。販売店スタッフももっと地域に顔を出していかないと…。

 スポーツ系やエンタメ系(AKB48とか)などを上手に活用しながら、あらゆるメディアを駆使してトータルビジネスを推し進める読売グループ。朝日、日経、産経などとはまた違ったウェブ時代のビジネス展開をしているように感じます。
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2010年07月13日

教えて!gooより「新聞はどうして読むべきなのでしょう?」

 新聞を読んだほうがよいといわれるが、どうしてなのか?

 こんな素朴な疑問に業界内の方々は“いったりきたり”の議論をしているように感じます。
 この質問に対して(おそらく)業界関係者ではない方々からの回答はとてもシンプルでありながら的確です。
「新聞=ものを考える訓練」 「新聞=一般的な情報の蓄積」
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/6032884.html


 あまり回りくどい話はせずに、もっとオーソドックスに「新聞を読んだほうがよい」と囁いてみてはどうでしょう。
 業界内の方々は少数意見への反論ばかりをむずかしく考えているように思えてならないのですが・・・。

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2010年07月10日

「グーグル見てから投票に行こう」

 あす7月11日は参院選投票日。

朝日新聞7‐10.jpg 新聞紙面は広告も含めて選挙一色なのですが、けさの朝日新聞題字下の広告「グーグル見てから選挙に行こう」は結構インパクトがありました。
 もうグーグルの説明は不要ですが、あの真っ白で余分な広告などが一切ないシンプルな画面をよく見てみたら、「『未来を選ぼう 参院選2010』投票の前に、もう一度、候補者のことを調べよう」というテロップが検索窓の下に表示されていました。

 なるほど、立候補者に関するニュース、ブログ、ユーチューブ、ツイッターなどの立候補者自身が発信するコンテンツが集約され、グーグルの検索ランキングが表示される仕組みになっています。

 新聞紙面の限られた文字数のなかで選挙担当の記者が書く解説よりも幅広く、新聞(ネット配信された記事)を含むさまざまなコンテンツをチェックできます。でもメディアへの露出(例えばツイッターを頻繁に利用している候補者など)が高い立候補者が検索ランキングの上位にきてしまうため、「立候補者を調べよう」といっても投票する側が知りたい立候補者の掲げる公約や政党のマニフェストなどの「解説」はありません。ツイッターなどのメディアを活用する立候補者は自身の考えを訴えることができるとは思いますが、ネットを使った選挙活動を行っていない方はパッとしないわけです。先の国会でお流れになった「選挙期間中のネットを使った選挙運動の解禁」を総務相などが後押ししているのかもしれませんね。
 受け手のリテラシィーが備わっていないと、理屈が崩壊して口先八丁のデタラメ公約や見てくれの「検索件数」に誘導されることも懸念されますね。


 最近、グーグルやミクシィといった新興メディア企業が新聞やテレビといったオールドメディアへ広告を打つケースが増えているようですが、選挙前日の題字下広告(価格は150万円)を見て「未来を選ぼう 参院選2010」を“ググった”人はどのくらいなのかなぁ。

 国政選挙の翌日は販売店も“おおわらわ”です。
 12日付けの朝刊は、参院選特別紙面とし開票結果を掲載するために降版時間の締め切りを延長されます。「特別輸送態勢」といってますが単に店着時間が遅れるだけです。販売店へ新聞が届くのが5時ころの予想ですから、通常よりも2時間は遅くなります。いつも配達されている時間を過ぎると読者からの電話が鳴り響きます。「スミマセン。選挙結果を掲載するために配達開始時間が2時間遅れているので、もう少しお待ちください」と説明するも、読者からすると「そんなの関係ない」「出勤時間に遅れる」というお叱りも受けるもの。

 新聞産業において、選挙はある意味“お祭り”のようなものです。降版後に祝杯をあげるのも結構ですが、お祭り騒ぎは続いていることを編集側の皆さんには知っていてもらいたいものです。
 新聞がパッケージ商品であることが理解できない方が多いので疲れますw

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2010年07月07日

新聞広告の発展に貢献 森内豊四氏が死去

 「新聞広告の理念」「広告営業の真髄」を教えていただいた森内豊四さんが先月26日、他界されました。きのう知人からの連絡で知りました。


森内豊四・日本経済新聞社社友が死去(2010/6/26 21:21)

森内 豊四氏(もりうち・とよし=日本経済新聞社社友、元広告局総務)26日、脳挫傷のため死去、70歳。自宅は千葉県柏市逆井2の7の5。告別式は28日午後1時から同市加賀3の22の10のライフケア増尾会堂。喪主は妻、幸子さん。


 5年間続いている小ブログを振り返ると、森内さんからのメールをネタに書いたエントリーは15もありました。
 森内さんとのお付き合いは、2007年に新聞労連が主催した産業研究全国集会の講師をお願いしたことから始まりました。その前年11月に発行された「宣伝会議」の寄稿を読ませていただき、当時新聞労連の役員を務めていた私は「森内さんの話を聞きたい」とさっそく連絡を取って快諾していただきました。その後もEmailやお手紙でさまざまな情報提供や新聞産業、広告業界に対する考察を指南していただきました。地方紙に働く若手有志の集まり「ローカル・メディア・ネットワーク」の会合にも率先して参加してもらいました。

とても残念です。
つつしんでご冥福をお祈りいたします。
合掌

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2010年07月06日

赤字体質の立て直しに優越的地位を濫用する日本郵便

 以前にも小ブログで紹介しましたが、7月1日からこれまで日本通運との共同出資会社「日本エキスプレス」を統合するかたちで再スタートした「ゆうパック」(日本郵政グループの郵便事業会社)。
 新聞各紙では「遅配が32万個(1日から5日まで)」に拡大し、総務省が処分を検討していることなどが報じられています。


 原因は何か?
 日本郵便の「ゆうパック」の流通を底辺で支えているその多くが、下請け輸送会社、そしてその輸送会社と個人請負契約を結んでいる個人事業主(いわゆる孫請け)。今回の事業統合によって歩合制委託料の値下げ要請が相当進められ、撤退した下請け業者が続出したことによって集配網の弱体化が露呈し、今回の遅配騒動に拍車がかかったようです。

 末端の労働者の賃金はもう削れないところまで引き下げられているわけで、日本郵便自体の赤字解消を改善させるためには売上をあげる施策を考えなくちゃいけないと思います。削るのは無能な経営陣の報酬しか残っておらず、底辺ではたらく労働者から搾取しようと考えるのはナンセンスとしかいいようがありません。


 新聞産業はどうでしょう。
 新聞研究(2010年7月号)で東奥日報社の塩越隆雄社長がいみじくも「斜陽産業」と言い切っているように、組織形態を変えていかないと企業存続は難しくなるといわれてもう何年たつことか。しかし、新聞社にはグループ企業という強みも有しています。それぞれの企業資産を投入して、全体でこの難局を乗り越えていかなければならないと個人的に思っていますが、その進め方において「発行本社が小会社から利益を吸い上げることが目的」であっては、弱い立場にある子会社従業員はうなだれるばかりで本気で動くはずもなく必ず失敗に終わります。もうそのような時代ではないのですが…

 人を動かす、ましてや組織を動かす人は「権力」だけで物事を動かせると考えてはいけない。それは大きなミスを犯すものだと思います。いわゆる優越的地位の濫用は違法なのですから…

 人を納得ずくで動かす。これが日本郵便に欠けていたから「ゆうパック」の問題が出てきたのはいわば必然だったのかもしれません。

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2010年06月30日

灯台下暗し 河北新報が朝日新聞と印刷部門で提携

 きょうの正午過ぎ、東京在住中にお世話になった新聞業界関係の方々から電話やメールが多く寄せられて“てんてこまい”

 話をうかがうと、きょう(6月30日)の午後に朝日新聞社の広報から、「製作体制についての会見を開きます」とのプレスリリースがマスコミ各社(業界紙含む)へ送付されたとのこと。「朝日の製作体制がどうなろうと販売労働者は知ったこっちゃない」と聞いていたら、その会見には朝日新聞社取締役製作担当の宮田善光氏と、河北新報社社長の一力雅彦氏が出席するということだからビックリ。

 いや知りませんでした。当然ですがトップシークレットの事案なのでしょう。
 詳細はあすの会見を待つことにしようと思ったのですが、問い合わせてきた方々の話を要約するとこんな感じのようです。


 日刊スポーツ印刷社グループ企業の仙台日刊印刷株式会社(仙台市宮城野区扇町)が所有・稼働している輪転機3セットのうち、1セットが更新時期を迎えたため、早刷り用の1セット分を河北新報印刷株式会社(仙台市泉区明通)へ委託。部数は約5万部。

 輪転機の更新は新聞社(新聞社系列の印刷会社)にとっても大きな投資です。佐賀新聞は輪転機を更新するか他社へ印刷委託するかで悩み、最終的に更新することを決めましたが更新時期がずれ込んだため今年4月から来年3月まで、西日本新聞社の輪転機を借り入れて印刷するというケースもありました。
▽備忘録:西日本と佐賀が輪転機貸借合意/朝日放送と朝日新聞が提携強化
http://minihanroblog.seesaa.net/article/135335826.html

 ANY連合の旗揚げから新聞業界の業務提携は印刷部門だけに止まらず、記事配信に至るまで幅広く行われています。新潟日報社が受託印刷では進んでいるようですが…。
 今回の朝日、河北による印刷部門の業務提携(あす正式発表ですが)が新聞輸送や販売店の統合までを計算した展望があるのかどうかわかりませんが、業界関係者はかなり注目しているようです。


 あす(7月1日)の会見後に河北新報社HP「コルネット」に詳細が掲載される予定です。詳細はこちらで↓
http://www.kahoku.co.jp/

【追記】
▽朝日新聞の印刷受託で基本合意 河北新報社(7月1日15:00 河北新報コルネットより)
http://www.kahoku.co.jp/news/2010/07/20100701t12040.htm
▽朝日新聞社、河北新報社に委託印刷へ 11年11月から(7月1日15:02 asahi.comより)
http://www.asahi.com/business/update/0701/TKY201007010214.html
 販売店への通達文書には「今回の受託印刷は、業界生き残りのために、また協調と共生という観点から、決断をいたしました。その旨、何卒ご理解のほど…」と記されてありました。
 業界内では関心あるニュースなのでしょうが、一般市民にはどの程度ニュース性があるのか疑問。7月2日付河北新報の第2社会面には、朝日・秋山社長と河北・一力社長が握手をしているカラー写真が掲載されていました。

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2010年06月26日

即売新聞 ディスプレイまで考えたことあります?

 サッカーワールドカップが盛り上がってますねぇ。
 日本代表が一次リーグ突破をかけたデンマーク戦キックオフの時は、支店研修で3時過ぎからチラシ組み込みや逓送などの早出作業に従事していました。
 いつもは眠い目をこすりながら仕事に駆けつける配達スタッフも自宅で試合を見てきたのでしょう。「前半途中2−0で日本が勝ってます」と興奮気味に話すスタッフの目はいつもより輝いていたように感じました。
 ひと通りの作業を終え、ケータイのワンセグで試合内容をチェックしたら「後半途中3−1で日本がリード」。作業場では老若男女の歓喜の声があがりました。
 一方、「一次リーグ突破なら号外発行」との連絡を事前に受けていたのですが、やっぱり7時30分過ぎから出勤途中の方々を対象に号外というより(結果は誰もがわかっているので)記念写真を刷り込んだ「紙」を配布。「マスメディアとして仕方ないかぁ」と感じつつ、その費用対効果とやたら盛り上がるサッカーワールドカップの各新聞社の取り扱いに疑問を抱いている私です。


即売スタンド.jpg そんなサッカー熱がさめやらぬその日の夕方、某コンビニの前を通りかかったら、自動ドアの奥から3Dの映像が浮かび上がってくるかのように新聞の即売スタンドが目に飛び込んできました。出入り口向かってディスプレイされている新聞即売スタンドは通常のサイズよりかなり大きめで、来客者の目を引くポジションに置かれています。
 興味を持った私は名刺を片手に「チョット話を伺いたいのですが…」と切り出し、このようなディスプレイに至った背景と売上の変化について取材。店長さんは「K社の近くで営業しているのでできるだけ紙面のPRになれば」というありがたい言葉と、売上については「まぁそこそこ…」と明言は避けられてしまいました。

 書籍の世界では「平積み」の場所を確保できるかどうかで売上に大きく左右するものですが、新聞(発行本社も販売店も)は売れる工夫をしたことがあるのか?と問われれば「ありません」と答えるしかないのが現状です。

 新聞社は「売るのは販売店」というし、販売店もコンビニに納品すれば「あとはコンビニが…」との思考になっていると反省。これこそ殿様商売のなにものでもないとさらに反省…。

 即売スタンドに吊るされた短冊(ふんどしとも言います)に、書き手からのメッセージがほしいなぁと思いました。「きょうのイチ押し記事」とか「デスク日誌」などの作り手のコラムがあると「チョット新聞を読んでみようか」とならないかなぁ。

 まだまだ、やることはたくさんあるもんです。

【関連エントリー】
▽キオスクのおばちゃんと共に姿を消すスポーツ紙(2008.5.21)
http://minihanroblog.seesaa.net/article/97403931.html

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2010年06月13日

毎日jpをご覧の皆さん 矢沢永吉です♪

音魂:第87回 矢沢永吉 新アルバム「TWIST」 心深くに届くロックンロール (毎日JP)
http://video.mainichi.co.jp/viewvideo.jspx?Movie=48227968/48227968peevee313390.flv

 じつは当方、30年来の矢沢永吉ファンでして、アルバムはすべて買い求めライブにもほぼ毎回欠かさず行ってますw

 なにげに
YAZAWA'S DOOR(公式ファンクラブサイト)を見ていたら、「6月9日から毎日JPでインタビュー記事が動画付きでアップされます」とのこと。
http://mainichi.jp/enta/music/graph/otodama/87/

 なかなかいい感じに仕上がってるじゃないですか。
 「毎日JPをご覧の皆さん!」なんて言われたら、永ちゃんファンは毎日JPをブクマするはず?
posted by 今だけ委員長 at 23:26 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

階上配達は大好評 まだ流通部門でやれることはある

 先週と今週の土・日、延べ4日間は、市内中心部に建設中の高層マンションの内覧会。入居予定の約60世帯のお客様へ新聞階上配達の説明と移転手続きの案内をしてきました。


 オートロックマンションの売りは言わずもがなセキュリティ面の充実ですが、日々の新聞が1階のメールボックスへ配達されることへ不便を感じている読者の声は少なくありません。新聞を毎朝読む習慣が崩れてきた要因に紙面の問題とは違った観点で、オートロックマンションの普及もその理由の一つにあげられると感じています。
 「読者ニーズに応えるべき」と市内最大規模のマンション(ライオン印)での階上配達を実現させてから早6年。各系統の理解と協力もあってこれまで15物件で全紙協同による階上配達が実現しています。

 今回の物件も“ワンランク上”のマンションということもあって、入居される多くの世帯で何かしらの新聞を購読されていました(3紙購読されている方も)。システムを説明すると「それはありがたい」と大好評。なかには「東京では別途配達料が加算されるが…」との声も。その時には胸を張って「新聞は再販指定の商品ですからすべて購読料に含まれております。お客様の利便性とセキュリティの両面を遵守しながら配達作業にあたらせていただきます」とこれ見よがしに決めセリフを言わせていただきました(こんなときしか言えないのですが…)。

 以前、私が所属する会社で既存のオートロックマンション住民へ「階上配達を望むかどうか?」という内容の大規模なアンケートを実施しました。サンプル数は2000世帯近くだったと記憶していますが、結果は希望するが5割弱で、「現状(メールボックスへの配達)のままでよい」が4割弱という結果。その結果が影響したのかどうか分かりませんが、新築物件はもとより既存マンションへの階上配達の働きかけは小休止しているようです。
 しかし、お客様の生の声を聞くと新聞購読の習慣を維持していただくためも推進させなければならないと強く感じました。先般のアンケートもやはり文書だけではその利便性や信頼のようなものが伝わらなかったのかもしれません。直接説明をさせてもらうと「それはよいサービスだ」と膝を打って理解してもらえるものです。

 新聞を定期購読していただけるお客様を大きく増やすことはできないけれど、新聞を読まなくなる諸々の理由を一つずつなくしていく努力も流通サイドには求められると感じます。だから全系統の理解と協力が必要なのです。


P1010245.JPG 今回の説明会からiPadを使って階上配達のシステムを説明しました。何のことはない、紙ベースのパンフをPDFに読みこませて画面で見せるだけなんですけどね。お客さまからは「エー!iPad使って新聞の説明ですか」と説明自体よりもiPadへの関心の方が高かったかも…

posted by 今だけ委員長 at 19:47 | Comment(2) | TrackBack(0) | 日記

2010年06月02日

着々と進められるNTTの回線契約奪取計画/iPadの利便性はまだ発見できず…

 iPadを入手してから6日目。
 何とか7つくらいの無料アプリをダウンロードして使ってはいるものの、実際には産経新聞(産経ネットビュー)を社内で見せびらかせていることにしか使っていません。後輩へ「これ使って何かできないかねぇ」と問うてはみるものの、「もう新聞いらないっすよね」とか、「新聞社が安価ですべての記事を提供したら販売店はどうなるのだろう?」という危機感の方が先に立っているようです。まぁこのような技術の進歩は小ブログを書き始めたころから予想されてきたわけで、いまさらあたふたしてもこの流れ(紙が全て電子データに取って替わるということではありません)にあらがうことは不可能なこと。それ以上の付加価値を人間が創り出していくのが流通部門のこれからの道なのだと思います。ただし新聞紙に限定しないことが前提です。

 そんなことを思いながら、このiPadは実生活(あくまでも個人的に)に使えるのかどうか、もう少し試してみればおのずと分かってくるような気がしています。いまのところ思った以上に重量感があるので、毎晩布団の中で本を読む当方にとってはあまり使えないかなぁと。
iPadスターティングガイド.jpg マニュアル本(活用術など書いてあるガイドブック)を購入してはみたものの、何かと忙しなくて最初の4〜5ページしかめくれてないので、少しだけハマってみたいと思います。


 連日、新聞紙面でも「iPad」が登場していますが、昨日は(iPad用の)新聞、雑誌を配信するサービス「ビューン」にアクセスが殺到してサーバがダウンするというトラブルがありました。
▽iPad雑誌配信がダウン ソフトバンク子会社、開始直後に停止(MSN産経ニュース6月1日付)
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/100601/biz1006011843028-n1.htm


(一部引用)新聞や雑誌の記事、テレビニュースなどコンテンツの情報量が膨大でサービス開始直後から使いにくいとの苦情が殺到し、想定したシステム処理能力を大幅に超えたという。1日午後6時現在、サービス再開のめどはたっていない。申込数やアクセス数がどれだけあったかは公表していない。
 ビューンの配信サービスは、月額350〜450円で新聞や雑誌、ガイドブックなど31紙誌を自由に読むことができる。

 週刊ダイヤモンドの最新号(インサイド)に「ドコモの回線『iPad』を使用、NTTがひっそり始める“裏技”」というオモシロい記事がありました。


(一部引用)iPhoneに続いてiPadでも販売の機会を逃したNTTドコモは、夏商戦向けの商品販売会のタイミングに合わせて、ひっそりと「定額データプラン」の新規申し込み料金割引キャンペーンを開始した。既存の契約者と新規の契約者に大幅割引を提供するというものだが、同時に“秘密兵器”になる新商品の取り扱いを明かしていた。
 この秘密兵器は、NTT東日本の子会社で、無線ネットワーク全般を扱う技術系企画会社のNTTブロードバンドプラットフォーム(NTT-BP)と機器メーカーのバッファローが開発した「小型中継機」(PER)である。これを使うと、NTTドコモの3.5世代携帯電話網(HSDPA規格)と、全国各地にある公衆無線LAN(Wifi接続)のいずれかの電波をキャッチし、状況に応じてネットワークを切り替えられる。外出時でも在宅時でもシームレスに通信ができるのだ。いうなれば、モバイル端末を軸とした「移動体通信と固定通信の融合」を先取りする技術なのだ。・・・現時点でも、PWRを介せば、iPadのWifi接続でNTTドコモ回線につなぐ非公式の“裏技”があるのだ。NTT陣営は、静かにグループとしてソフトバンクから回線契約を奪い返す準備を始めているのである。

 さすがガリバー企業のNTT。三公社(国鉄=現: JRグループ、専売公社=現: 日本たばこ産業、電電公社=現NTT)のひとつとして、すべてのステージで出遅れるもその潤沢な資本力で巻き返しを図ってきますね。
 「孫さん ガンバレ!」と応援したい気持ちなのですが、ユーザーにとって利便性のあるものが生き残る(特に技術系は)ということになるのでしょう。

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2010年05月27日

あしたiPadが家に来る! でも浮かれてばかりはいられない

iPad.jpg けさ、Apple Storeから「商品出荷のお知らせ」とのメールが届きました。いよいよiPad(アイパッド:iphoneの大きいヤツ)があした手元に届く予定です。
 「おもちゃが届くのを待っている子どものようだ」と嫁にいわれましたが、まずどんなものか自分で試してみないことには始まりませんから。

 ソフトバンクが売り出した3Gモデルではなく、Poket-WiFi(イーモバイル)を使ってオモシロそうなアプリ(ビジネスに使えそうなものがあるかなぁ)を使ってみたいと思っているのですが、やはり「趣味は読書」と自称する今だけ委員長は「電子書籍」をiPadで一度読んでみたいと思います。その上で意表対効果も含めて“自分になじむかどうか”をじっくり考えてみたいと思います。まぁ流行を追っかけるタダのオヤジ(これも嫁のひと言)のヘリクツなのでしょうけど。

 iPadの日本発売を明日(5月28日)に控えて、新聞社系の有料モデルのアプリも続々登場しています。
 私が勝手に称している「業界の切り込み隊長」こと産経新聞社がiPadオンリーの「産経新聞HD」というアプリを発表。無料(広告モデル)でがんばってきたiPhone版とは違い、iPad版は課金モデルにするそうです。月額1500円ですが6月末までは「お試し期間」として無料で提供されるようです。
 産経新聞のアプリ(iphone版を見る限りでは)は紙面を拡大したものなので、日本経済新聞の電子版(web刊)と比べると安いのかも知れませんが、それぞれ使う人の用途によってその価値観は違うはずです。画面が大きくなったことで(産経新聞の)紙面も読みやすくはなると思いますが、月1500円の価格設定でどれだけの契約が取れるのか興味のあるところ。ターゲットは「紙」新聞を購読していない方というよりも、自宅(家族持ち)ではほかの新聞を購読しているけれど忙しくて家でゆっくり新聞を読めない方の利用も少なくないと思います。でも何か付加価値がないと厳しいような気も…。

 新聞産業という見方で関連することといえば、iPadは電子チラシにはもってこいという話を以前、元日経メディアラボ所長の坪田知己さんから聞いたことがあります。「日々の情報を伝える新聞の電子版は難しいけれどチラシの類は携帯端末(電子版)にうってつけ」ということで、凸版印刷の電子チラシサイト「Shufoo!(シュフー)」のチラシコンテンツ閲覧iPadアプリもどのように進化するのか興味のあるところです。いずれ広告モデルなので、日本経済の伸長に大きく影響されると思いますが…。あとは、テレビ番組表アプリ(Bangumi HD)も当然人気を博すでしょうから、新聞の売りだった「折込チラシ」と「ラテ版」にもiPadの魔の手(笑)が襲ってきそうです。

 いずれにしても、iPadの登場でこれまでの社会環境や習慣がそう大きく変わることはありませんが、徐々に変化していく情報産業(情報革命)に対して、生活者(世代間もあるでしょう)の営みがこれまでとどう変わっていくのか、そのスピードはどうか?柔軟にそれぞれの企業の進むべき(守るべき)方針を最適なものにしていかなければならないと思います。
 「会社の機構を変えるのにも大変なのだから人間の生活環境もそう簡単に変わるものではない」と胡坐をかいていると周回遅れになってしまいますよ、という話でした。
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2010年05月25日

業界紙の役割について考えてみた

 それぞれの業界にはいわゆる業界紙(専門紙)というものが数多く存在しています。自動車や建設関係はもちろんのこと繊維関係の業界紙までその存在は幅広く、その業界とともに成長もしくは衰退してきました。でも新聞業界紙(新聞業界紙は書籍分野についても紙面構成しているところが多い)だけは、なぜか産業動向に反して好調さを感じざるをえないきょうこの頃。


 業界紙の収入源は通常の日刊紙と同じ販売(購読料)と広告収入が主流であることは言うまでもありません。読者(新聞社や販売店)の数が減っているとはいえ、高い普及率を誇る業界紙の総収入はおおよそ安定していると思われます。最近でこそなくなってきたようですが、以前は取材と称して毎月飲食をねだり、あげくの果てにはタクシーチケットまで要求する記者も少なくありませんでした(一部の業界紙関係者ですが)。
 このブログをご覧いただいている方の多くは、一度は新聞業界紙なるものを見たことがあると思いますが、販売系の記事が多いのも特徴です。なぜなら読んでいるのは販売系の人が多いから。編集系の方は「なんだこの記事は…」と赤ペンを持ち出してチェックはしても読まないものです。

 今だけ委員長は会社に届けられる業界6紙(ジャーナリスト新聞、ジャーナリスト通信、新聞情報、新聞通信、新聞之新聞、文化通信)を社内の偉い方々が読み終えた後にじっくり読んでいます。なかでも文化通信は販売中心の記事だけではなく、通信や著作権に関する政府直轄の委員会などの議論を取り上げ、「新聞はこうなる」という提言を多く含んでいて読み応えがあります。情報が早いのは新聞情報で取材網(業界人とのネットワーク)が隅々まで行き渡っているのでしょう。


 今月も気になる記事を2本発見しました。その記事を書いた記者は新聞業界にどのようなメッセージを伝えたかったのか(勝手に)考えてみたいと思います。
新聞情報5月1日付.jpg まず一つ目は、新聞情報5月1日付「静岡で正常化めぐって波紋」という記事。全国一販売正常化が浸透している静岡で、読売ジャイアンツのオープン戦に併せて読売系統が6・8ルール内のジャイアンツグッズを拡材として使用し、それなりのカード(契約)を得たことにに対して、静岡、朝日、毎日、読売の販売店で組織する「静新会」が、ケジメとして同会の読売役員の辞表を受理したというもの。それほど大した問題ではないのですが、静岡の異常なまでの販売実態と全国紙発行本社のホンネをこの記者諸兄は伝えたかったのだと思います。
 新聞社の中でも群を抜いて経営効率がよい静岡新聞は専売店を持っていません。すべて朝日、毎日、読売の販売店で配達、集金をしてもらうことでローコスト体質を実現しています。販売店も高い普及率の静岡新聞を扱えば、折込チラシ収入もあがることから取引を継続したいために、静岡新聞が自社防衛のために声高に叫ぶ販売正常化を守らざるを得ないという構図のようです。

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2010年05月17日

新聞広告のチカラと費用対効果

 5月17日は「高血圧の日」だったのですね。けさの産経新聞は「5月17日、今日は『高血圧の日』です。」とのラッピング広告に包まれた紙面が届きました。

産経ラッピング.jpg 「高血圧の日」をググってみると産経新聞のラッピング広告を引用しながら、高血圧の悩む方々のブログやその対処法などが上位に表示されています。今だけ委員長も産経新聞を見なければ「きょうが高血圧の日」とは知りませんでした。
 その「高血圧の日」とやらは、日本高血圧学会と日本高血圧協会が2007年5月17日に開催された第30回日本高血圧学会総会で、毎年5月17日を「高血圧の日」と制定することを宣言し、日本記念日協会により認定登録されたものだとか。
 血圧の高い方はヤクルトの「プレティオ」をお勧めします。今だけ委員長も愛飲して安定値に戻りました。そんなことどうでもよい話なのですが…。


 ところで、ラッピング広告の広告代金はいくらなのか?血圧よりも気になるところです。
 WEB金融新聞によると4大紙(読売、朝日、毎日、産経)は1面(15段)で2000〜4000万円。産経新聞は部数が少ないとはいえ全国紙なので15段2000万円として、ラッピング広告は4ページですから単純計算で8000万円。広告代理店の取り分が15%で1200万円、紙代などのコスト(1枚あたり0.5円で20円×180万部)3600万円を差し引くと3200万円の利益(あくまでも私的な試算ですが)となるのかなぁと勝手に電卓をはじいてみました。
 広告のプロから言わせれば「そんなに甘くはない。ダンピングでもっと利益幅は薄いはず」とお叱りを受けそうですが、新聞広告のチカラというか費用対効果は“まだまだ捨てたものではない”と感じます。効果の部分を広告主の売上への寄与として捉えがちですが、そもそもマス広告はいかにユーザーへアテンションするかなのです。
 それを近年のマーケティング論者が「リターンがなければ広告の価値はない」と言い張る。企業が儲けるために広告を打つのですが、広告を載せると必ず売上があがる媒体ってあるのかなぁ。この辺が「誰も教えてくれない」ことですし、ヤクザコンサルがドラッカーやポーターのマーケティング理論を持ち出して“答えのない勝手な解釈”で迫ってくるのです。売上が落ち込んでいる産業に付け入ってくる評論家は結構いるので気をつけたいものです。


 ほかの媒体と比較して何が劣っているか、逆に勝負できるのかを理解していないのが新聞人なのかもしれません。

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「MAINICHI RT」創刊 若い世代へ新聞を読ませることができるか?

 毎日新聞社が6月1日から(紙の)新媒体を創刊します。その名も「MAINICHI RT」。
毎日RT.gif ツイッターでは朝日とともに“つぶやき”の頻度が高い毎日新聞。その毎日jpと広瀬香美さんのツイッター上での掛け合いや「大人の音楽の時間」なども好評のようです。私の勤務先でも毎日新聞を取り扱っているので、「いろいろ試したい」と思っていたのですが、発行エリアは東京、神奈川、千葉、埼玉のいわゆる首都圏だけ。残念!


 NIEとは違った観点で新聞を定期購読しない若年層向けの紙媒体として、産経新聞の「
SANKEI EXPRESS」や朝日新聞が大学生を対象に配布する「朝日ハーフ新聞」などが発行されています。「新聞紙離れ」を食い止める投資と見るべきなのですが、創刊にあたって「購読する若者なんていない」と冷やかな意見が少なくありません。確かに新媒体発行によって利益がでるのかなぁという点では疑問ですが、必ず利益が出る商売なんてありはしないので、さまざまなチャレンジをする毎日新聞社に“あっぱれ!”をあげたいと思います。


毎日新聞社が新媒体「MAINICHI RT」を創刊(2010/5/7)


▽デイリーペーパー「MAINICHI RT」
 株式会社毎日新聞社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:朝比奈豊)は、ツイッター(Twitter)などによる読者の声を生かしたデイリーペーパー「MAINICHI RT」を創刊します。インターネットの双方向機能を活用し、読者とともに紙面をつくる新しい形のメディアを目指すもので、これまで積極的には新聞を購読していなかった若い世代がターゲットです。毎日新聞の総合ニュースサイト「毎日jp」(
http://mainichi.jp/ )のアクセスランキングからニュースを選んだうえで、関連情報、解説記事などを加え再構成して掲載。「読者がニュースだと感じたニュース」を最優先で報じます。月曜日を除く週6回の発行を原則とし、毎日新聞の販売店から朝、お届けします。
 また「MAINICHI RT」の紙面については、毎日新聞社とNTTコミュニケーションズが共同で、シャープの液晶テレビ「AQUOS」(インターネット接続対応モデル)を使って展開している実証実験サービス「毎日新聞×DoTV」へも提供する予定です。概要は以下の通りです。
・創刊日
  2010年6月1日
・判型
  タブロイド判24ページ
・発行部数
  約5万部を予定(発刊時)
・発行エリア
  東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県
・定価
  1,980円(月額、消費税込み)
・購読の申し込みは(0120・468・012)
 詳しくは(
http://mainichi.jp/rt/
◇「RT」とは
ツイッター用語の「Re Tweet」(リツイート)から発想したタイトル。このほかにReal Time、Read Tomorrow、Reliable Text、Rare Tactics−など、さまざまな意味を込めています。ツイッターアカウントは「mainichi RT」


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2010年05月13日

販売店を悩ませる「チラシお断り」のひろがり

 今週から担当する8つの販売店で現場研修を行っています。読めずに積まれていく本を横目に少しイライラしているのですが、現場はやっぱりイイものです。いろいろなことが発見できますから。

 現場から離れてすでに8年。この4月から担当員(販売労働者が担当員というのもおかしなことですが)という古巣に戻ったこともあって、煩雑化する販売現場の実情を理解するために異なる市場を管轄する販売店へ1週間ずつ張り付き、社員や配達員と一緒に汗を流しています。

 拡張、早出勤務、代配、全戸ポスティングなど新聞販売業の基本業務は何ら変わることはないのですが、顧客データ管理や書籍販売、メール便の仕分けなど新しい作業も加わって“浦島太郎”の状態になることもしばしば…。
 事務作業の効率化のために取り入れている帳票類の電子化も係数を取りまとめる統括部署の視点でシステムが組まれていることも発見。現場の使い勝手を優先するように工夫する必要性など現場でなければ見えないことがいっぱい把握できました。


チラシおことわり.jpg もちろん拡張を通じて読者の声をリサーチするのも今回の研修の目的のひとつ。
 「そうだろうなぁ」と思っていたことですが、集合住宅での拡張でははほとんど面談ができません。「時間帯にもよりますが…」と同行してくれた若手社員が説明してくれましたが、新聞を購読していない世帯の多くが20時近くになっても部屋に明かりが灯ることもなく、帰宅していたとしても「アポなし」ではインターフォン越しに応答すらしてくれないことを身にしみて感じました。

1枚300円.jpg これまで、そんな方へのPRにとアイディアを凝らした販促チラシをポスティングして数件の戻りもあったのですが、いまはポスティングすらできないマンションも増えています。中には「チラシ1枚につき300円請求します」というマンション(管理組合が掲示)もありました。


 「厳しいなぁ」と思いつつ、そこで悩んで愚痴をこぼしても何もはじまりません。別な仕掛けを考えなくちゃ。
 でも机上であれこれ考えても現場で浸透しなければ意味をなしません。現場の声や視点が一番大切だということです。

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2010年05月11日

岩手日報が7月から夕刊廃止 東北では4件目

 東北勢では福島民報、福島民友、秋田魁に続いて、岩手日報も7月から夕刊を廃止するときょう付けの紙面で社告が打たれました。
 以前のエントリーでは確定ではなかったため社名を出しませんでしたが、すでに3月の時点で伝わっていました。「夕刊廃止をめぐり村田会長からの反対や統合版価格が決めるのに時間を要したことなど、社内ですったもんだがあった」と聞いています。


 「次は東奥日報も・・・」との話も囁かれているようですが、夕刊廃止問題は続々と出てきそうです。


【社   告】
▽7月から夕刊を朝刊に統合します 購読料は月2980円
 岩手日報社は7月1日付紙面から夕刊を統合し、ページ数を増やした新しい形の朝刊を発行します。これに伴い、6月30日付をもって夕刊は休刊とします。同時に月決め購読料を現行の3007円から2980円に改定します。
 これまで長い間、読者の皆さまに親しんでいただいた夕刊を統合することは誠に心苦しいものがありますが、何とぞご理解をいただき、より充実した新紙面の朝刊を継続してご愛読くださるようお願い申し上げます。
 近年、インターネットの普及、県民の情報生活の変化などメディアを取り巻く状況は激変しています。こうした時代のすう勢の中で新聞の夕刊の在り方も見直す時期と判断しました。
 これに加え、長期化する景気の低迷は広告需要の落ち込みを招き、新聞発行の経営環境は厳しさを増しています。このため、岩手日報社は夕刊を朝刊に統合することで、販売、配送、配達にかかるコストを削減し、将来とも安定した新聞発行を目指す道を選択しました。
 新しい朝刊には、夕刊の文化欄、読者の投稿欄、教育のページ、スポーツ広場など主要な面を盛り込みます。県内はもとより、国内外の最新のニュースとその背景を探る解説や評論を強化するとともに、地域に密着した話題、暮らしの情報をさらに充実させ、読み応えのある紙面にします。詳細は後日、お知らせしますのでご期待ください。
 なお、新しい朝刊の1部売り価格は現行110円を130円に改定させていただきます。
岩手日報社 (2010.5.11)

▽岩手日報社告
http://www.iwate-np.co.jp/syakoku/1005111.html
▽新聞人は「何を」守るために新聞を発行し続けるのか
http://minihanroblog.seesaa.net/article/144688809.html
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2010年05月01日

頭のいいヤクザコンサルに狙われないように…

 メーデーのきょうは少々辛口で…。

 「Synodos」(日本社会を多角的に検討する知の交流スペース)を主宰する芹沢一也氏の論文「ネット興隆危機叫ばれる新聞」が4月28日、河北新報に掲載されていました。論考.jpgおそらく共同通信からの配信記事だと思いますが、現状をなぞらえただけで「あっそう」という内容(ゴメンナサイ)。


 でも新聞産業の内側にいるから「あっそう」と思ったのであって、読者の側からすれば「そうなのか」となるのでしょうね…きっと。

 一見、「紙」の新聞の将来は厳しいものだというこの手の論考の締めは、いつも「可能性はある」、「未来像を描き切れていない」、「コアコンピタンスを見失っている」と業界への処方箋じみたものに仕上がりますね。新聞に掲載されるのだから「もう新聞業界はダメです」とは書けないのでしょうが、いまひとつ突っ込んでほしかったなぁと。


 経営状態をよくするために 「わらをもつかみたい」というのが新聞経営者の本音だと思いますが、こういう時に近づいてくるのがコンサルタント会社。以前、小生が勤める会社でもその手のコンサル業者から(経営が調子よかったころ)コーチングを受けたものですが、何も残らなかったというよりも逆にうちの会社の手法を盗んでは、ほかの販売店で何食わぬ顔をして教え込んでいました(ほかの販売会社の方から聞いたので間違いありません)。
 結局は何も根付かず、最後には「それはあなたたちの努力が足りない」と居直るのですからひどいものです。


 新聞社は編集系の方が経営陣に名を連ねているのがほとんどですが、経営悪化の原因は素人経営陣が采配を振るっているからと評される方も少なくありません。確かにそうなのかもしれないけれど、このようなときに「処方箋がある」とばかりに近づいてくるヤクザコンサルの方を怪しいと思ったほうがイイのかもしれませんね。


 「答え」をちらつかせて近づいてくる「頭のよい人」に惑わされないようにしたいものです。「答え」を知りながらそれを実践できない社内体質の方に新聞社の問題があるのですから。

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2010年04月22日

景気が悪くなると保守化する?

 おとといの楽天イーグルスvs千葉ロッテ戦は東京ドームの開催で4万人の観客を集めました。楽天イーグルスの主催ゲームが東京ドームで行われたのは言わずと知れた三木谷さん(楽天グループ社長)と渡邊恒雄(読売新聞グループ本社代表取締役会長・主筆)の関係によるものと言われています。
 逆にクリネックススタジアム宮城でジャイアンツ戦(交流試合以外で)が行われ、Y販売店は「G戦チケット」を大量に投入して読者獲得を…。まだまだYグループは衰えることを知りません。販売店などの下流部門はだいぶ疲弊していると聞きますが、ナベツネさんの目が黒いうちは1千万部は割れないのでしょう。

 ともあれ、読売グループの総帥として君臨するナベツネさん。「2009年度の経営状況は広告収入の落ち込みで減収したが、一切借金がないので経営は安泰だ」と豪語するほど、グループ経営は盤石なのかもしれません。人間って経済的に余裕が出てくると天下国家に口を出したがるのでしょうね。政治記者の出身となればなおさらメディアを使って、自分の主張を推し進めようとするもの。ナベツネさんもその一人。
 2004年に読売新聞が憲法改正試案を打ち出したあたりから、ほかの新聞社(新聞社系出版物)へ露出し始めたと感じています。
 2006年1月5日に刊行された論座(朝日新聞社:2008年10月廃刊)では、若宮啓文・『朝日新聞』論説委員と靖国神社への首相参拝を非難する内容の対談が特集されました。同じ年の12月からは日本経済新聞の人気コーナー「私の履歴書」で軍隊の不条理に怒り戦後は共産党に入ったことなど、学生からの新聞記者時代までの半生を執筆しています。

 単なる露出狂なのか、戦国の武将のような戦術家なのか、はたまたルパート・マードックのようなメディア王に化けるのか…。(ナベツネさん1926年生まれの84歳、マードック氏1931年生まれの79歳)なんだかんだ言ってもこのお爺ちゃん世代がいまだに権限を持ち、トップセールスをしているもの確かだということですね。がんばらなきゃ!

サンデー毎日.jpg 先日も読売新聞の半三段広告(12段組みなので)にサンデー毎日の広告が載っているので、「おやっ」と思って目を凝らしたら、同誌4月25日号に中曽根康弘大勲位vs.渡辺恒雄読売新聞主筆「鳩山、谷垣にできるか…参院選後は大連立だ」との対談が掲載されているからと納得しましたが、やっぱり毎日にナベツネさんが掲載されているのに違和感を覚えるのは私だけかなぁ。「こんな時代に広告もらえるだけイイじゃないか」と怒られそうですね。

 以前、新聞労連の就活セミナーを開催した際に、「どうしても毎日新聞社に入りたい」と目を輝かせていた女学生のことを思い出しました。労働条件面を考えれば、ほかの全国紙や通信社を目指した方がよいのではないかとのアドバイスを聞き入れず、「子供のころから毎日新聞の論調が好きで、親の代からずっと毎日を読んでいるから思い入れがあるのです」と彼女。見事入社を果たしました。
 毎日新聞社は自由闊達な職場だと多くの先輩から伝え聞いているものの、現状はどうなのかなぁ。

 田原総一朗氏が「田原総一朗ニッポン大改革」(現代ビジネス)で、マスコミが弱まっている原因として景気低迷をあげ「企業というのは景気が悪いと保守化するんです。元気がなくなるんです。乱暴なことはするな、余計なことはするなって話しになる」と自身のブログで述べています。新聞社の経営が困難になると人員合理化が進み、取材態勢を縮小して共同通信の配信に頼らざるを得ないのが、毎日新聞のいまある姿です。
 新聞社の主張に差異が無くなり、総保守化しているとなると、毎日新聞の論調が好きで入社した女学生は今どういう思いで仕事をしているのだろうと思いふけってしまいます。

▽なぜ新聞社はツイッターを恐れるのか(田原総一朗ニッポン大改革)
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/460?page=3
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2010年04月19日

新聞試読紙の期間制限が削除

 ちょっと遅ネタですが、新聞事業者が自ら共同で定めた自主規制ルール、公正競争規約(施行規則)が3月15日、一部改正されました。
公正競争規約施行規則 新旧対照表.jpg 今回の改正は「戸別配布の方法による試読紙配布ルール」と「懸賞企画の当選者氏名公表ルール」に関するもので、消費者庁および公正取引委員会から承認され、同日から施行されています。改正内容は「戸別配布の方法による試読紙配布ルール」のうち、試読紙配布件数が定数日をまたがないように設けていた「1カ月につき10日から20日までの間」との期間制限を撤廃しました。「1カ月につき7回を限度に配布するもの」というルールに変わり、「1カ月につき」とは、暦の1カ月に限らないということになったわけです。


 昨年9月のエントリーでも試読紙の期間制限の撤廃へ懸念を表しましたが、月をまたぐ試読紙配布が多くなると定数のカウント自体が「試読紙の上げ底」に乗る格好になると懸念され、実配部数(定期購読をしている読者)が曖昧になる可能性があります。
▽関西7社販売局長共同声明に見る正常販売の本気度
http://minihanroblog.seesaa.net/archives/20090929-1.html


 「押し紙」を切ることができないため、巧妙な理屈をつけて「押し紙」の行き先をつくり部数の正当性を主張する新聞社も少なくありません。ビジネスホテルへほぼ無償で客室数以上の新聞を納品したり、ファミレスのレジ脇へいわゆる「棚借り」をしたりして配達先を確保します。いったんはその納品先に大きな単位の部数を買い取ってもらい、その代金をそっくりそのまま「PR奨励金」との名目でキャッシュバックするなどのテクニックを使って「押し紙」をなきものにしようと新聞の納品先と代金を迂回させる事例も増えてきました。このようなテクニックは、行き着くところ新聞の価値を下げるだけでしかないのですが…。


 いまの新聞販売現場は新規契約を取るのにとても苦労していますが、それどころか試読紙の申し込みを得ることも難しくなっています。「タダなのだから読者はいやとは言わないだろう」と思っているのは現場を知らない人たちの意見で、新聞を読んでいない人たちからすれば「タダで新聞を届けてくれるの?後から代金を請求されるのでは」といった警戒する人たちも増えています。特に大学生の方々は。逆に定期購読する気もなく試読紙を申し込んで1カ月タダの新聞を読み続ける人たちも増えているような気がします。常習の人はきちんと話をして配達しませんけどね。

 これまでの新聞販売手法に嫌気をさしている読者は、残念なことに新聞そのものと距離を置くようになっていると感じるこの頃です。


【お知らせ】
 新聞公正取引協議会が隔月で発行してきた「中央協だより」が、季刊(年4回)となりました。ネットを活用した情報発信をすることもなく、関西地区や福岡・山口地区でも販売正常化が取り組まれているだけに、販売現場の情報発信の頻度が少なくなるのはちょっと残念です。

資料:中央協読者調査
   中央協読者調査@.jpg  中央協読者調査A.jpg

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2010年04月16日

今度はYが新聞輸送との契約を打ち切り 軽んじられる仕事などありゃしない

 「さらば新聞輸送列車」がちょっとした話題になりましたが、JR東日本の東京(両国)から千葉への新聞配送が3月12日で終了したというアナログなネタから1カ月後の4月12日には、朝日新聞社の新聞配送車両をパナソニックが製品やサービス部品の輸送に活用することが発表されるなど新聞輸送界もあわただしく動いています。
 合理化や新たな業務展開は、新聞社間の印刷部門の相互受託だけに限らず輸送部門にも波及してきているのです。


 以前、エントリーした「印刷部門の別会社化に次ぐリストラ策は大手輸送会社切り替えによるコストダウン」の時は、出資会社の毎日新聞が新聞輸送会社との契約を打ち切り、入札制による輸送コストの切り下げを要求。東京一般労組に加盟する新聞輸送従業員組合と毎日新聞社との間で争議が起こるという事態になりました。

 あれから2年。今度は毎日新聞に続き、読売新聞も新聞輸送会社との契約を打ち切るというのです。読売新聞から新聞輸送会社へ支払われる輸送代はざっと見積もって年間4億弱。残る朝日新聞と日経新聞、東京新聞(中日新聞)の輸送代では(新聞輸送会社の従業員の)現行の労働条件の維持は難しいと思われます。
 「新聞輸送会社は新聞社が設立した経緯から、高コスト体質が問題点として指摘されており、年収1千万円を超す従業員も結構いる」という話が伝わってきますが、「輸送会社の従業員が年収1千万円で何が悪い!」と憤りつつ、新聞社の経営が行き詰まりを見せるなか、下流部門の経費削減を強硬に推し進めて“新聞社に勤める人たちの賃金を守ろう”という流れが、なりふり構わず行われていると感じます。

 印刷や輸送部門が新聞社から切り分けられて、別会社化にシフトされ始めてから15年くらいたつでしょうか。輸送会社によるコンペ方式で輸送料金の安いところと提携する新聞社がこぞって出てくるかもしれません。販売店からすると、店着時間が10分遅れると配達作業はその3倍の30分遅れるので、「早く、確実」な輸送業務は重要な問題です。

 「ただ運びさえすればいい」。新聞輸送はそんな軽んじられる仕事ではない。そう思っています。

▽さよなら新聞輸送列車---トラックに転換

http://response.jp/article/2010/03/12/137605.html
▽新聞配送網を活用した低公害車による共同配送を実施
http://www.asahi.com/shimbun/release/20100412.html
▽印刷部門の別会社化に次ぐリストラ策は大手輸送会社切り替えによるコストダウン
http://minihanroblog.seesaa.net/article/90018364.html

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2010年04月06日

新聞をヨム日に考える 営業の基本はフェース・トゥ・フェース?

 きょう4月6日は新聞を「ヨム日」。全国各地でいろいろな活動が繰り広げられたようです。
 街頭で試読紙やパンフレットを配ったり、PR紙をポスティングしたり…だいぶマンネリ化している感もありますが、
日本新聞協会の音頭によって各系統の枠を超えて新聞購読のPRをする共同作業は悪くはありません。でも生活者(特にターゲットとする無購読の新社会人や大学生)からはどのように映っているのか検証する必要があると思います。


毎年4月6日から12日までの1週間を「春の新聞週間」、その初日の4月6日を「新聞をヨム日」として、無購読者に新聞の購読を呼びかける活動を集中的に展開しています。
2003年春から実施しているもので、全国各地でポスターやチラシによるPRのほか、試読紙の街頭配布キャンペーンやPRイベントなどが行われています。09年からは新聞の魅力を伝えるキャンペーンサイト、「見えないものが観えてくる。-新自聞スタイル-」(

http://www.readme-press.com/46/)を開設しました。(日本新聞協会HPより)
 春の新聞週間は、若年層の無購読化が進んでいることへの対策として、新たに世帯主(単身生活)となる新社会人や大学生へ新聞購読を浸透させるという目的で取り組まれました。スタート当初は大学入学式の出入り口で購読パンフレットを手渡したり、新入社員研修期間に教材として試読紙を人数分届けたりしていましたが、レスポンスはかなり低く徐々にそのようなPR的な取り組みもその規模を縮小させています。
 昨年からはIT企業の社長を登用して「新聞を読むことの価値」を全面的にPRしたサイトをスタートし、「
HAPPY NEWS」でも竜馬伝でおなじみ福山雅治さんのインタビューを掲載するなど、若年層受けしそうなコンテンツを打ち出しています。

 でも申込件数(返還率)は相当に悪い。というか、ターゲットにしている世代が月々の購読料を払ってまで新聞を購読する価値に足りていないと考えているのです。加えて業界側も新聞を購読することのメリットが提供しきれていないのも事実。販売する側にとってはここが悩ましい問題です。
 金融機関では新入社員に「日経は必ず購読するように」と指示が出されるようですが、同じように提携企業からの(新入社員の)読者紹介も相当なもので、「お付き合い」の文化もすてたものではありません。ですが、この不況で提携企業との関係も希薄になりつつあり、これまでのような「お付き合い」も難しくなっています。こちらも削れば、向こうからも削られるという当たり前の理屈です。


 販売の原点は「フェース・トゥ・フェース」であるならば、敬遠されがちな各戸訪問セールスの手法(イメージ)を一新させることと、大学や企業に入り込んで講座や社員研修などをパッケージ化させて新聞営業を展開するかしかないのかなぁと思っています。あくまでも「紙」にこだわるとですが…。


newsworker 購読層の世代交代の問題が深刻かと。今新聞を読んでいない若年層が将来は購読するか、の問題です。
fujisiro やれば出来るんですよ。僕が徳島新聞でやったように、でもやりたくないだけ。
hamasan63 購読しません。その前提で何の手も打ってないのが空恐ろしい。 
Tokyo_Wave 今の20、30代の生活時間内の許容文字量は「R25」の薄さが限界だそうです。創刊メンバーに聞いたことがあります。広告はもっと入るが敢えて抑えてると。
【追記】4月7日22:40
husaosan 申し訳ありませんが、紙のみで考えるのはやはりもう破綻してると思ってます。取材コンテンツを形にこだわらず届けることを本業としないと新聞業界は生き残れない。販売の現場をどうするかは、また別に考えないといけない。そこを同じでやろうとするので思考停止してしまうと思っています。ニュースを朝のリビングに届けるためのデバイスは発売されましたし、新聞紙を購読する人は、遠く近い未来にはいなくなると思います。でも新聞読者はまだいます。みんなポータルから読んでますし。そこをどうビジネスとしてなりたたせるかに注力する時代になってしまったんだと思います。販売の現場を無視と言われると辛いのですが、そこは別に議論すべきかと。  (ツイッターの書き込みより)

 購読しません。と断言されると“うわっ”とポジティブでいられなくなってしまいますが、もしかすると、その前提(若年層は紙新聞を読まないという)で手を打つことを考えることすら禁句になっていることの方が、新聞経営の危険なところのように感じます。

追伸:4月の異動で古巣の営業部門へ戻りました。今後ともご指導いただければと存じます。

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2010年03月26日

Tポイントは換金システムよりも広告プロモーションに期待

 今だけ委員長のケータイとPCのメルアドには1日平均20件程度のメルマガが送られてきます。もちろん新聞社系のものが多いのですが、きのう毎日新聞の「まいまいクラブ」から送られてきたメルマガには、4月から共同通信との提携することや「Tポイントサービス(購読料のポイント加算)」を開始することなどの告知がありました。(以下に引用)


【まいまいクラブ、リニューアルのお知らせ】
 日頃は毎日新聞をご愛読いただき、ありがとうございます。また、まいまいクラブの活動をご支援いただいていることに感謝いたします。
 毎日新聞社は、4月より、新聞業界に先駆けてさまざまな新しい取り組みに挑戦します。共同通信との提携や、地方紙との協力体制の構築で、紙面のより一層の充実を図るとともに、今月23日から、ご愛読いただいている読者の方を対象に「Tポイントサービス」を新たに開始しました。https://www.mainichi-hanbai.jp/tpoint/

それに伴い、愛読者組織であるまいまいクラブの活動をさらに発展させるため、リニューアルの計画を進めております。
 つきましては、4月から当面の間、従来の活動や提供サービスの一部を変更させていただきます。プレゼント企画や、ツイッターは従来通り続けます。個別の活動については、該当のコーナーをご覧ください。メールマガジンにつきましては、不定期発行となりますことをご了承ください。
 まいまいクラブ会員の皆様にはご迷惑をおかけしますが、事情をご斟酌のうえ、なにとぞご容赦ください。また、今後の予定につきましては随時、ウェブサイト、紙面、メールマガジンなどでお知らせいたします。今後の毎日新聞、およびまいまいクラブにどうぞご期待ください。

 今回注目したいのは「Tポイントサービス」の導入について。
 業界紙から引用すると「毎日新聞社は4月1日から、毎日新聞の定期購読者に対し、買い物などで利用できるTポイントの付与サービスを始める。Tポイントは同社と業務提携するカルチャ・コンビニエンス・クラブ(CCC)が運営する国内最大級のポイントサービス。加盟約60社の約3万店舗で、支払額に応じてポイントがたまり、それを1ポイント1円として代金に使えるもので、今回は、朝夕刊配達地域で39ポイント、その他の地域で30ポイントを付与する。日本の新聞社で、読者に本格的なポイントサービスを導入するのは初めて」(新聞情報 3月17日付)

 これまでは、購読料の支払いをカード決済にした場合にそれぞれのカード会社の換金率でポイントが加算されるというものでしたが、ビデオCDレンタルのTSUTAYAを事業の柱とするCCCが展開する広告プロモーションに絡めたポイント換金システム(Tポイント)のグループに毎日新聞社が加わったということです。

 さらに毎日新聞社はTポイントなどの読者情報を販売店と共有するシステム構築を急いでいるそうです。システムの名称は「えぽっくシステム」。ネット上で発行本社と販売店、関係会社との間で情報のやり取りができるネットワークで、4月に都内と大阪の毎日専売店3店程度に導入し、5月から本格稼働するとのことです。販売店は発行本社の販売管理部への登録が必要で、料金は管理費として月額1000円程度かかる見込み。


 新規読者獲得より現読者維持に経費を振り向ける。普通に考えれば当然のことですが、「部数を伸ばすこと」のみを販売政策に据えてきた新聞業界にとっては、今になって顧客ロイヤルティを高める必要性が浸透してきたのでしょう。遅すぎますけど、毎日新聞は早いほうなのかなぁ。

 
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2010年03月25日

新聞人は「何を」守るために新聞を発行し続けるのか

 今週初めに「某中堅地方紙が7月から夕刊を廃止する」という情報が入ってきました。
 完全セット版で発行をしてきた新聞社だけにいろいろ感慨深いものがありますが、人件費の維持と夕刊発行の維持を天秤にかけた場合、新聞人はどう考えるのでしょうか。

 確かに近年の広告や販売収入の落ち込みによって、これまでのような経営(販管費の維持)ができなくなってきているのは周知の通りです。「夕刊は広告が入らなければ発行するだけ赤字」と聞いたことがありますが、これまでのような経営ができなくなったから、夕刊媒体とそのインフラ(宅配網)をやめるというのはどうなのかなぁという気がします。


 新聞離れについて多くの方がネットの影響だとか、記事の質が低下しているからなどと評していますが、私は習慣性という見方で新聞(夕刊)離れを考えてみたいと思います。

日曜夕刊廃止運動の歴史「小休符があるからいい音楽ができる」 今だけ委員長ブログより
 現在のような情報産業が発展していない時期、新聞は市民への情報伝達に欠かせないものだった。現在は日曜・祝日、そして年末年始にかけて休刊になる夕刊だが、日刊紙の夕刊は1965年頃までは日曜日も発行され、販売店従業員はそれこそ362日(当時の夕刊休刊日は元旦、こどもの日、秋分の日の3日間)朝も昼も新聞の配達をしていた。
 日曜夕刊廃止については、新聞販売店従業員の葛藤もあった。「新聞というのは社会の公器。休まないところに新聞の意義があり、われわれは一般社会人とは違って特殊な仕事をしているという“誇り”を持って頑張らなければいけない」と言い聞かせて、当時の新聞奨学生なども学業との両立を寝る時間を割きながら配達業務に従事していた。しかし、時代は高度経済成長に後押しされ、週休制が浸透、日曜日には「本日休業」という札をぶらさげる商店が当たり前になってきた。そこで週休制を一挙に実現することは難しいから、せめて日曜日の夕刊ぐらいは休刊にして欲しいという運動が、東京組合から各地の新聞販売店へと拡大して行った。新聞協会や新聞社への要請行動の始まりである。

 1965年4月から、新聞協会加盟の40社が日曜夕刊を休刊することになったのですが、これを機に朝刊の休刊日も増えていきました。夕刊だけではなく新聞そのものを読むという習慣は新聞休刊日と社会環境の変化(24時間ローテーション職場の登場などでライフスタイルが激変)と相まって、出勤前に朝刊を読み、帰宅したら夕刊に目を通すという習慣性を薄めてきたとも考えられます。
 そして今はいつでも最新の情報が入手できるネット社会が形成され、自ら全世界に向かって発信できるツールを持てる時代です。決まった時間に宅配され新聞に目を通すという行為を当たり前だと思う人が残念ながら少なくなっているのです。その習慣が崩れれば新聞社(プリントメディアを提供する)のビジネスモデルも崩壊するわけです。

 「採算が合わないから夕刊を廃止」。それは延命手段であって新聞経営(ビジネス)の根本的な改善にはつながらないのではないかと感じます。

 米系投資銀行に勤務する藤沢数希さんのブログ「金融日記」の3月24日付けエントリー「日本にはマスメディアの危機なんてない。あるのは社員の高すぎる給料だけだ」をぜひ新聞人には読んでもらいたいと思います。自身も反論は山ほどありますが、いろいろと考えさせられました。
 今回の夕刊廃止の話題は、「新聞人の生活レベルを守るために夕刊を犠牲にした」と解されるかもしれません。新聞人は「何を」守るために新聞を発行し続けるのかをじっくり考え直す必要があると思います。

▽藤沢数希ブログ「金融日記」
http://blog.livedoor.jp/kazu_fujisawa/archives/51672231.html

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2010年03月22日

不完全燃焼だったNスペ「激震マスメディア」

 NHKスペシャル「激震 マスメディア 〜テレビ・新聞の未来〜」をアルコール抜きで見ました。今日3月22日は放送記念日ということで、マスメディアの特集が組まれたとのことです。
 職場の「アンダー50」な方々にも「必見!」なんてメールを送りましたが、正直見なくてもよかったなぁという感じです。あした「ゴメンナサイ!」と言わなくてはいけませんねこりゃ。

 正直、いまのマスメディアの限界(ネタの扱い方)を感じました。パネラーの議論も佐々木俊尚さん以外は理論的に崩壊してましたね(笑)
 あの年代(マスメディア代表の内山さん・広瀬さん)の方々に川上さん(ドワンゴ会長)の意見を理解できるはずがないと思った方が自然なのかもしれません。ツイッターhttp://search.twitter.com/search?q=%23nhk_media0322
)での書き込みもざっと読みましたが、イマイチ不完全燃焼といった意見がほとんどでした。メモった意見(番組でテロップに流れた)としては、「いまのマスメディアはジャーナリズムではなく、コマーシャリズムになっている」というのと、「いまの現状(米メディアの倒産など)を騒いでいるのはマスコミに働いている人だけで、普通の生活者にはそんなの関係ありません」との厳しい意見…なるほど。
 現場の記者の皆さんはそう思っていなくても、別の世界(ネットの側?)の人たちだけではなく複数の方がそう感じているということも押さえておきたいところです。

 番組の最後に、司会の藤沢秀敏さん(NHK解説委員長)がムリくりまとめてましたが、(仕方ありませんが)どっちつかずのまとめが余計に視聴者の消化不良を増長してしまったと感じます。
 自分なりの感想は、新聞、テレビのマスメディアであろうが、ネット言論だろうが、重要なのは情報の質だと思います。その情報をすくい上げるのは、それを生業にしている人たち(ジャーナリストの免許ありませんから)だけではなくなっているので“もっと頑張らなきゃ”ということ。そして、メディアの定義はそういった情報がしっかりと人に届くシステムであるはずだと思うのです。

 まぁ番組の冒頭にも登場したガ島通信を運営する藤代裕之さんの「ネット社会では、これまでマスメディアが報じてこなかったことも明かされていくようになる」というひと言に集約された番組でした。
 ガンバレ〜新聞!(他人事ではありませんが)


※「激震マスメディア」再放送は3/29日(月)午前2:05〜の予定。


※3月22日は放送記念日(ほうそうきねんび):NHK1943年に制定した記念日
NHK東京放送センターの前身である東京中央放送局(JOAK)が、1925年3月22日に東京都港区芝浦の仮送信所でラジオの仮放送を開始したことを記念して制定された。

【追記】
佐藤尚之さん(電通)のNスペの読み解き方は参考になります。「個人の人生」と「社会での老い方」の違い―――とても興味深い。
▽昨晩のNHK「激震マスメディア」を見ながらボンヤリ考えてたこと(さとなお.com)
http://www.satonao.com/archives/2010/03/nhk_1.html
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2010年03月16日

マスメディアは読者や視聴者からの「声」に感謝してるのか?

 先のエントリー「日経初の赤字 赤字決算できるだけましかも…」(3月13日)に対して、日本経済新聞社出身で日本広告学会常任理事の森内豊四さんからメールをいただきました。
 以前、日本経済新聞社の経営分析をした時のイメージ(超優良企業)が残っていたので、輪転機購入等の設備投資による借金によって赤字を計上できない新聞社(関連企業)の苦悩を表すために、「ANY連合は安泰」と書いたのですが実際はそうではないという指摘です。以下に引用します。


 「日経が初の赤字」に関し、「資産が潤沢」、「無借金体質」は、朝日・読売はいざ知らず、日経に関する限りは当てはまりません。
 過去に日経は毎年200億円以上の黒字を生み、新聞社のなかで一番業績が良かった時期がありました。その時でも銀行からの借入金は1,000億円を超えていました。
 以前にも申し上げたと思いますが、全社員、一部のOBで全株を所有している日経は、利益が出ると社員、株主で山分けしてきました。印刷設備をはじめ、投資資金は銀行からの借入れを誰も疑いませんでした。オーナー経営者のいない民主的企業の欠陥はそのまま日経に当てはまります。


 昨年秋、朝毎読および電通・博報堂の昔の仲間と会合を持った時、新聞社の経営悪化が当然話題となりました。その時、朝日OBが言ったのは、「朝日は全国すべての県庁所在地の一等地に自社ビルを持っている、それを少しずつ売っていけば、あと数10年はやっていける」というものでした。
 プロ野球団を持っている読売もそうでしょう。毎日もまだ名古屋と大阪でのビル経営で新聞事業の赤字を埋めることができそうです。そういう資産が一番ないのは実は日経なのです。


 業界の大先輩として新聞産業のあり方、特に経営問題については客観的、中立的な論点を指摘してくれる森内さんには感謝するばかりです。


 ブログをやっていて感じるのは、やはりこのようなインタラクティブ(双方向性)機能によっていろいろなことを発見できることです。(小ブログを除いて)個人ブログの質も高まってきており、「今日のランチ」ネタから「メディア報道を客観視して真実を問いかける」内容のものも増え、そのコミュニティも徐々に広がりつつあります。
 既存マスメディアの方からすれば、「情報の二次使用なのに自分で取材したような書き方するな」とか「ウラも取っていないのにネットへ掲載するとは何事だ」という批判も少なくないはず。まだ情報発信の雄は「新聞」であると思っていますが、個人ブログの発信によって各マスメディアの解説を論じるカタチができあがってきたのだと感じます。その多くのブロガーたちは新聞を中心にしたマスコミへの叱咤激励とばかりに“けちょんけちょん”に書きたてる節が目立つのですが、そのようなネット内で形成された意見を無視するのではなく、読者からの「声」として耳を傾けてはどうでしょうか?


 ブログの書き手は、読んだ方からの「コメント」が一番うれしいものです。そのコメントに賛否があるのは当然のこと。新聞人も読者からのコメントはありがたいと思うのですが、どうでしょう。コメントが来なくなったらそれこそオワリだと思うのです。

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2010年03月13日

日経初の赤字 赤字決算できるだけましかも…

 日本の新聞社は株式公開(上場)をしていないので、系列のテレビ局(クロスオーナーシップと言われてる)決算報告(連結決算)で新聞社の決算状況を知ることができます。
 日本経済新聞の子会社、テレビ東京の決算発表によると、日本経済新聞社が2009年12月期決算で、創業以来初めて132億円の赤字を計上したことが伝えられています。広告収入の減少で4期連続の売上高減を人件費などを含むコストカットでしのいできましたが、今期は赤字を計上せざるを得なかったようです。

 日本経済新聞より引用


 日本経済新聞社が9日発表した2009年12月期の連結決算は最終損益が132億1600万円の赤字(前の期は48億8200万円の黒字)となった。連結決算の開示を始めた2000年12月期以降、通期で初めての赤字決算となる。
 新聞・出版事業の広告収入が大きく落ち込んだことが響き、売上高は前年同期比13.1%減の3154億1400万円となった。販管費を10.2%削減するなどグループ全体で経費削減に取り組んだが、減収を補えなかった。
 単独決算は売上高が10.1%減の1771億400万円、最終損益は14億1600万円の赤字(前の期は35億1500万円の黒字)だった。

 「赤字」という報じられ方は企業イメージのマイナスですが、単年度の赤字決算で日経のような大企業はビクともしません。潤沢なキャッシュと資産を有している日経ですから…。でもこの現象が続くとキャッシュがなくなってくる。来月スタートする電子版も大した投資ではないでしょうから、収入(売上高)に見合った支出(原価+販管費)にするか、支出をまかなえる収入源を確保するかの問題。

 でも、赤字決算ができるというのは、まだ経営内容が健全だということを意味していると思います。多くの借金を抱えている企業(新聞社)は、赤字決算ができないわけです。「赤字」となったらすぐさま銀行が乗り込んできますからね。だから関連企業内(連結決算)で帳尻を合わせて黒字にするわけです。

 その意味では、ANY連合(朝日、読売、日経)はほとんど無借金体質(これまでは)なので、当面は安泰というところでしょうか。
 
▽日経の09年12月期決算、初の赤字に 広告収入減響く(日本経済新聞)
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20100309ATDD0907O09032010.html
▽日経新聞が初の赤字、連結純損失132億円−広告低迷で4期連続減収(ブルームバーグ)
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920000&sid=apNMD4IKawOg
 

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2010年03月10日

産経45.6%、Yahoo!61.4%、朝日は25.8%…?

 広告収入の低迷が続いている新聞産業ですが、新聞社の広告収入は何も紙媒体ばかりではありません。自社サイトのバナー広告も少ないとはいえ重要な収入源となっています。
 グーグルのようにトップページには一切広告がないサイトがある一方、めっちゃ広告ばかりに目を取られてしまうサイトもゲップが出るものです。


 Webデザイナー長谷川恭久さんのサイトをのぞいていたら、「新聞サイトのコンテンツと広告領域」というエントリーがとても参考になりました。実は新聞社サイトは広告ばかりを詰め込んで記事スペースがヤフーよりも少ないということなのです。
 なるほど、これでは「ヤフーが記事を作っている」と思う学生がいてもおかしくないような…。

 長谷川さんが調べたのは各新聞社サイトの記事と広告の表示領域はこうなっています。
     ■朝日新聞 記事25.8%・広告32.7%
     ■毎日新聞 記事48.1%・広告19.6%
     ■読売新聞 記事29.2%・広告43.2%
     ■日経新聞 記事30.7%・広告15.5%
     ■産経新聞 記事45.6%・広告12.4%


 ウェブファーストを旗印に広告収入でビジネスを構築しようとする産経新聞が、意外に広告のスペース(12.4%)は少ない。記事スペースは毎日新聞が断トツで48.1%となっているものの、産経新聞の45.6%もほかの全国紙と比較しても多い方です。
 なるほど…と思いきや、さすがは長谷川さん・ニュースといえば新聞社のサイトばかりではなく、ポータルサイトでチェックする人が多いことも見逃していません。そして驚いたことに、ヤフーニュースのトップページは広告が11.4%しかなく、記事スペース(ニュースコンテンツ)がなんと61.4%もあるのです。
 本来広告収入がビジネスの柱であるヤフーなどのポータルサイトが実は新聞社サイトよりニュースコンテンツの領域を豊富に表示しているのです。“だから”というわけではありませんが、サイト上の一覧性(見やすさ)などを考えるとヤフーのニュースサイトの方が見やすく工夫されていると言えます。


 少しでも多くの広告費を稼ごうと各新聞社もみっちりバナー広告を張り付けてしまいがちですが、ユーザーの見やすさをもっと重視する必要があるかもしれませんね。


▽新聞サイトのコンテンツと広告領域/could(長谷川恭久氏のサイト)
http://www.yasuhisa.com/could/article/newspaper-site-ads/

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2010年03月02日

【備忘録】原口大臣の(チリ大地震による津波情報)ツイッター中継

 メディアのクロスオーナーシップの是非を問い、既存メディアのあり方についていろいろ言及(まだ何をしたいのかわかりませんが)をはじめた原口総務相。
 野党時代はテレビへ出ずっぱりで人気を博した原口さん。メディアの活用は熟知されているのでしょう。その原口さんが、ツイッターでチリ大地震後の津波情報を国の災害対策情報に先駆けて発信していたことが物議?を呼んでいるようです。


▽津波関連情報をツイッターで発信…原口総務相(読売新聞3月2日付)
http://www.yomiuri.co.jp/net/news/20100302-OYT8T00760.htm


 今だけ委員長も原口さんをフォロー(注)しているのですが、きょう現在で56,186人からフォローされています。
 56,186人のツイッター利用者は原口さんの“つぶやき”を読めるわけですが、「閣僚の“つぶやき”(書き込み)はすでにつぶやきの域ではない」と、公人としての許容範囲を問うような問題提起をメディア側(特に新聞)がしているようです。
 それに対して原口さんは以下のようにツイッター上でつぶやいています。

原口.jpgkharaguchi
記者会見で私のツイッターによる災害対策情報提供について記者の1人よりなりすましの危険もあり不適切ではないかと質問がありました。 全くそのような認識を持っていないと回答しました。国会議事堂内会見だったためインターネットで流れていませんが会見内容を開示します。

原口.jpg

kharaguchi
情報通信、紙媒体、電波…全てのメディアに対して政府は、平等・公正な姿勢で接するべきと考えます。枝野大臣らと政府広報や記者会見の持ち方などについて時間を作って話し合いたいと思います。
(このつぶやきは完全にマスコミへブラフかけてます)

 閣僚の発信が個々人へダイレクトに伝わることの是非は、受け取る側のリテラシィーの問題も含めて慎重に考えたほうがよいと思っています。世論誘導(よくも悪くも)に使われる可能性は否めませんからね。
 一方メディアの側も個人がメディアを有する時代にあって、そのような問題意識よりも記者クラブを含めた「メディアの中抜き」への懸念を主張するならば、それは既得権を盾にした「言いがかり」でしかないという気がします。

 さて、この顛末はどうなるか。

【追記】3月5日
 上杉隆さんのコラムはキレがよくて読ませますね。原口大臣のツイッター問題の件は、こういう背景があったことを知ってから紙面を見ると「なんじゃこれ」となりますね。

▽呆れた言論封殺に、姑息な見出し変更/日本の新聞に未来などない!
http://diamond.jp/series/uesugi/10116/

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2010年03月01日

M1・F1総研「料金がかかるから購読しない」の結果をこう読み説いた

 電通子会社のマーケティング調査機関「M1・F1総研」が先月25日に発表した「若者と新聞」に関する調査報告書について、ネット上でさまざまな分析が行われています。
 今回の報告書で特筆されているのは、M1層の男性が新聞を読まない理由としてもっとも多かった意見が「料金がかかるから」(62.6%)というもの。

 調査手法を見てみると昨年11月にインターネット経由(謝礼あり?)で関東1都3県在住の男性に対して行われたもので、有効回答数は1200人。年齢階層はM1層(20〜34歳男性)1000人、M2層(35〜49歳男性)200人というものです。

 以前にも意見を述べましたが、さまざまなリサーチには依頼者側の意図が含まれ、(その理由等は特に)設問に微妙な誘導性が含まれる場合もありますから注意して読み説かなければなりません。

 今回の調査はネット限定で行われたということですから、M1層の意見を集約するには適していると言えばその通り。でも、新聞を積極的に読む(週1回以上閲覧する)人が20%チョイとはかなり低い結果です。自ら定期購読をせずとも昼飯を食べに行けばその食堂なりに必ず新聞が数紙置いてあったものですが、経費削減で新聞を置いている食堂(喫茶店)が減っているということも影響しているのでしょうか。ほとんど読まない人が70%台に達しているというのも、まんざら嘘ではないと感じる今日この頃です。

 新聞へ叱咤激励をしてくれる方からは「コンテンツに魅力がないから読まれないのだ」という意見も出そうですが…。では、どういうコンテンツにすればよいの?と問うても答えなんてありません。
 人間は本当にその商品の価値観を分からずじまいということがよくあります。例えばケータイもその機能を使いこなしている人どのくらいいますかね。取説も要所しか読まないので多機能のケータイを買っても宝の持ち腐れとなってしまうのと同じ。
 私は以前、学生さんと話した時に「これが新聞を購読しない本音だな」と思った答えに出くわしました。それは「みんな(周りの友人)が読んでいないから」というもの。それは新聞の活用であったり利便性であったりを知らないからではないかと思いました。それでその取説を本来は販売店がやらなくちゃいけないのですが、無理です。そんな教育受けている販売店なんて皆無ですし、生活者の販売店従業員へ対するイメージを考えれば分かることです。残念ながら…。

 「料金がかかるから」購読しないという結果を前面に出しているということは、料金がかからなければ購読してもよいということになるのかな?でもこれまで新聞の購読などに関するリサーチ結果と見比べても料金を下げたからといって購読者が増えるとは思えません。商品の価値を下げるような安売りは絶対にしない方がいい。デフレ経済のなかにあって、そりゃ安いに越したことはありませんが、月3,000円(朝刊)レベルはまだ読者も納得できる範囲。毎日自宅まで届けられて1日100円は個人的にはかなりお得だと思っています。

 それこそ新聞社員の賃金と購読料の関係を指摘されるとイタイところもありますが、(減っているとはいえ)広告収入があるから「まだこの購読料で提供できる」との説明には耳を貸してくれるんじゃないかなぁと…。
 でも、これから値上げ(消費税率引き上げ含む)の方向へ向かった時に、購読している新聞への費用対効果が問われてくると思います。

 日経のように企業資産を有効活用した電子版で客単価をあげる戦略もうなずけるし、朝日の「学割」戦略もこれまでの既得権を破って新たな販売チャネルを打ち出したわけですから、どのような成果が出るか興味のあるところ。

 そう考えると、今回のM1世代のリサーチ結果「料金がかかるから購読しない」は、朝日の「学割」の正当性をアピールすることになるのかなぁ。意外と担当者が社内での評価を高めるために動いてたりして…。


▽M1・F1総研のリリース
http://m1f1.jp/files/topic_100225.pdf
▽若者はなぜ新聞取らないのか 情報にお金払うという感覚なし(J-CASTニュース)
http://www.j-cast.com/2010/02/27061104.html
▽若者が新聞を読まない理由――M1・F1総研調査(RBB TODAY)
http://www.rbbtoday.com/news/20100301/66002.html

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2010年02月22日

ツイッター活用法「誰をフォローするか」がポイント

 このところ、いろいろな情報を得るのにツイッターがとても役立っています。

 これまでお気に入りのブログはRSS機能で更新を確認したり、グーグルのキーワードを入れると1日1回情報を送ってもらうアラート機能などでその都度チェックしていましたが、ツイッターはタイムリーにさまざまな人や組織の発信を得ることができる優れモノ。やっとツイッターの素晴らしさがわかってきたような気がします。
 大きなポイントは「誰をフォローするか」ということ。私は四六時中ツイッターを眺められる状況ではないので、フォローする人数を100人までとしています。もっと使い方をマスターして自分なりの“心地よい”ツールにしていきたいと思います。最初は「暇つぶしツール」だと思っていましたが、オモシロイものです。


 そのツイッターで知ったネタを2本アップします。おそらく、このブログは新聞産業の内側にいる人の訪問が多いと思いますが、新聞社に勤めている人はSNS(mixiなど)やツイッターの利用頻度が相当低いので意外と知らないネタかもしれません。「耳が痛い」ネタもあると思いますが、人間は誰もが1日24時間しか与えられていないので、その中で優良な情報をキャッチすることが大切だと思います。
 私は備忘録としてもブログを書いているわけですが、ある意味、優良な無料情報をもお知らせするボランティア活動もしているのかなぁと勝手に思い込んでいます。失礼しました。

▽政治家とマスコミの愚、公認会計士が直言(Blog vs. Media時評)
http://blog.dandoweb.com/?eid=89184
 鳩山首相と小沢民主幹事長の政治献金問題。会計の観点からすると、鳩山総理の政治資金規正法違反が真っ黒なのに対して、小沢幹事長は限りなく真っ白に近いと言います。新聞記者はもう少し会計の基礎知識を勉強して報道した方がよいという苦言も…。


▽断末魔の新聞とテレビ(坪田知己のメディア転生:第7回)
http://ow.ly/19HM9
 このブログでも何度か紹介している坪田さんが先週発売の週刊東洋経済が特集した「再生か破滅か 新聞・テレビ断末魔」について言及。「新聞経営者の浅知恵に唖然とする。委託印刷、共同配送、共同通信への再加盟・・・こんなのは小手先のとりつくろいに過ぎない」と言い切ります。「経営学の基本を学んでください」、「経営陣の若返りが急務だ」と、とても切れがよいコラムです。新聞経営者には耳が痛いかもしれませんが…。

posted by 今だけ委員長 at 20:19 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2010年02月20日

とうとうパンドラの箱が開いた「朝日新聞 新入生応援 学割キャンペーン」

 「どこの新聞社が最初にやってくるか」。新聞業界(販売)の内側にいる人間からすると、とても興味があった購読料の「学割」に朝日新聞が乗り出しました。今回は産経新聞じゃなかったですね。


 一部業界紙では今週あたりから紹介さていますが、すでに昨年4月から弘前大学(学生生協を通じて)で実験的にスタートし、40部程度の申し込みがあったということです。その成果を受けて今回は全国(西部本社を除く)の45の大学生協とタイアップして大々的にキャンペーンを打ったというところでしょうか。

 業界紙等によると「朝日新聞 新入生応援 学割キャンペーン」は、(東京本社管内は)首都圏19大学の新入生を対象に、セット価格(月ぎめ)3,925円を2,500円で販売(朝日新聞社が価格設定)とし、販売店への原価補てんとして1契約1カ月あたり850円(税抜き)を奨励金として支給するというもの。原価補てんについては、3,925円で販売した際と同じ比率の利益をASAに保証するためのもので原価の変更は行わないとのこと。統合版については2,000円の価格設定がされたようです。キャンペーン期間は3月1日から4月30日まで(当然延長されると思いますが)。
 申し込みの条件は、あくまでの提携した大学生協の受付によるもので、現在朝日新聞を購読している学生は対象外(親と同居でも構わない)とのこと。現読者がキャンペーン中に購読を解約して学割料金で申し込むことは不可。契約は12カ月のみ(年縛り)で途中解約も不可。購読料の支払いは新入生本人の口座振替もしくはカード決済限定で、夏休み等で帰省する際の「中止め」があっても減額は認めない(販売店が保管し後日お届け)。もちろん拡材の提供もなし。セット地区では朝単希望でも2,500円の価格設定は変わらないとのこと。


 大学生協扱いの申し込みハガキによる受付ということなので、新入生の入学説明会や入学式で配布される資料へ封入してレスポンスを待つということでしょうか。対象となる大学の学生であるかどうかの確認については、大学側も個人情報保護の観点から新聞社側(実務は朝日トップス)からの照会に応じるわけはないので本人確認はグレーゾーンも想定されますが、販売店からすれば「原価補てん」があるので申込者が増えれば結果オーライ。でもカード料が1件につき7,500円発生する(朝日トップスに)ので、850円の補てんから625円(7,500円÷12カ月)を差し引くとひと月225円のあがりしかない。
 「拡材を使わないだけイイだろう」と担当員からゴリ押しされているようですが、実は配達料も捻出できないというのが実情のようです。

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2010年02月17日

自己保身のために社畜になり下がる人が多い企業はいずれ崩壊する

 けさの各紙朝刊にトヨタ自動車のお詫び広告(全面)が掲載されました。
 14日のエントリーで「トヨタの対応…」について書きましたが、ようやく重い腰をあげたようです。


皆様に大変なご迷惑とご心配をおかけしましたことを
    心からお詫び申し上げます。

私どもトヨタ自動車株式会社は、国内で販売しておりますプリウス、プリウスPHV、SAI、レクサスHS250hの4車種のリコール届出を2月9日に国土交通省に提出いたしました。一日も早く全車改修を完了できるよう全力で取り組んでまいります。(一部引用)
トヨタ全面広告.jpg 昨年6月23日に開かれた同社株主総会で社長へ就任した豊田章男氏(53歳)は、創業家のDNAを受け継いだ、言わば殿さま。一連のリコール問題に際し取り巻き連中が経営トップに気を使いすぎた結果(事態の隠ぺい体質)が、社長会見が後手に回ってことや、リコール届出から1週間たって各メディアへお詫び広告を掲載するという対応の遅れが露呈してしまったように感じます。

 でもトヨタには頑張ってほしい。トヨタの「カイゼン」の精神は、時に命を預かる自動車産業には欠かせないものです。トヨタ系列の企業に勤める知人は皆素晴らしい方ばかりだし、経営陣の対応の遅れによって懸命に働いている人たちまで信頼を失うようなことはあってはなりません。

 「同族経営というか、オーナー企業によくありがちなこと」と連絡をくれた森内豊四さんは、「気う使うべきは、トップに対してでなく顧客に対してですが、取り巻きはよく間違うもの」と指摘します。

 誰に気を使い、誰を向いて仕事をするのか…。

 評論家の佐高信氏は著書の中で、「自己保身のために社畜になり下がる人が多い企業はいずれ崩壊する…」と評します。
 この言葉をかみしめたいと思います。
posted by 今だけ委員長 at 07:21 | Comment(3) | TrackBack(0) | 日記

2010年02月16日

久しぶりの訪問者の“変わりよう”

 このところ、新聞社の経営状況が厳しいからなのか新聞拡張員(その行為自体も)もめっきり減ったように感じます。

 これまで新聞社の調整弁となってきた「拡張維持費」は大幅に削られ、どこもかしこも経費削減(節減)で何とか“いま”をしのごうとしています。採算無視の「オマケ付き」販売はまだしも、新勧(注1)を取らないことにはどうしようもありません。いくら経費削減をして経営をしのいでも営業部門が収入を維持もしくは向上させていかないと企業は断末魔(東洋経済チックかな?)

 きのうの夕方、久しぶりにY系の方の訪問がありました。ジャンパーをはおった20代青年(もしかすると奨学生)がインターフォン越しに「お届けものに来ました」とひと言。
 いつもなら話を聞くのですが、娘のオムツを交換中で、「ゴメンナサイ、ちょっと手が離せないんだけど何か御用ですか?」と返答したところ、「近くのY新聞なんですけど、よかったらこれに応募してください。ポストに入れておきますんで…」とセールストークもなしにそそくさと帰ってしまいました。
 そしてポストに投函されていたのがこのA6サイズよりも小さいチラシ。

 YCチラシ表面.jpg  YCチラシ裏面.jpg

 拡張行為も穏やかんなってきたのか、たまたまその青年が寒空の下で意気消沈していたのか定かではありませんが、昨年の「創刊130周年大拡張作戦」から一転して訪問者の“変わりよう”を感じました。
 でも、チラシには「※この企画はあくまで訪問の御礼であり、新聞購読の有無とは一切関係ありません」と記載されています。訪問の御礼でプレゼントが当たるなんて企画は余計に怪しい気もしますが…。


 顧客情報を集めるためのアプローチなのかその真意は分かりませんが、販売店もさまざまな収入施策にチャレンジしていかないと、これから時代に立ち行かなくなります。
 “座して死を待つ”なんて綺麗ごと言ってられませんからね。

注1:新勧とは「新規契約」の略。今まで購読したことのない方が新しく勧誘するということを「新勧カード」と新聞業界では呼んでいます。これは、別の販売店のエリアで××新聞を何年も購読していても、該当販売店のエリアでの購読履歴が無ければ、その方の購読契約は「新勧」となります。(新聞の定期購読を考える会HPより引用)

posted by 今だけ委員長 at 23:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2010年02月14日

プリウスリコール問題 マスコミは大スポンサーに腰が引けてはいないか

 トヨタプリウスのリコール問題について、各メディア(特に新聞)の取り上げ方について考えてみたいと思います。

 実は!今だけ委員長もプリウス(2007年式)のユーザー。エコ減税などなかった時に少々割高だったけれど燃費のよさに惹かれて購入しました。ディーラーの担当者も親切な方で、いまでも快適に生活の足にとして活躍しています。

 米国では大騒ぎになっているリコール問題。米国では集団訴訟にまで発展する様相ですが、日本のメディアの報じ方は「販売台数世界一になったトヨタ(日本企業)へのやっかみ」だとか、「マクドナルドのコーヒーでやけどしたことで訴訟するような米国人(訴訟社会の米国)」、「部品も現地調達なので品質に問題」など、「トヨタは悪くない」と印象付けるものがほとんどだと感じていました。
 そして日本でも新型プリウスのブレーキ制御部分のトラブルで、リコール問題へと発展しているのは周知の通りです。


 何となく、プリウスのリコール問題についてマスコミの突っこみが甘いように感じています。「腰が引けてはいないか」と。
 新聞やテレビの大口スポンサーだから「突っこみはほどほどに…」と電通あたりから指示が出ているのではないかと思うくらいです。

 以前にもありましたね、元経団連会長を務めた奥田碩氏のマスコミに対する問題発言。


 元日本経団連会長で、トヨタ自動車取締役相談役の奥田碩氏の発言が波紋を呼んでいる。12日に開かれた同氏が座長を務める「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」で、マスコミの厚生労働省批判に言及。特にテレビに対し「個人的」としながらも「あれだけ厚労省が叩かれるのは、ちょっと異常な話」「正直言ってマスコミに報復してやろうか。スポンサーでも降りてやろうか」と発言した。
▽トヨタ奥田氏 何様か!(九州企業特報より)
 
http://www.data-max.co.jp/2008/11/post_3419.html

 これまでも当ブログで紹介させていただいた日本経済新聞社出身で日本広告学会常任理事の森内豊四さんからもプリウス問題に関するご意見を頂戴しました。とても示唆に富み問題点を的確に指摘されているので、引用します。

 ご存じの通り、トヨタは今、不具合に発するリコール問題で苦心惨憺しています。同社は、アメリカではお詫びの新聞広告を出すとともに、テレビCMでリコールについての説明も流し、懸命に信頼回復に努めているようです。原因がトヨタにあるとはいえ、アメリカのメディアや産業界には、世界1の座を奪われたことへのやっかみや報復もうかがわれ、トヨタパッシングには苦々しく思っておりました。
 しかし、国内でのプリウスのリコールにまで飛火し、なおそこに至っても国内では何の説明をする広告も打たないことについて、いま不信感にとらわれております。

 トヨタは2年前、同社の赤字を報じる記事に、「広告を減らすぞ」というかたちでマスコミに反撃を加えました。また昨年、新聞協会とアドバタイジング協会とが共同開催したシンポジウムでも、朝日の広告局長を謝らせたことがあったと思います。それは企業として最低のやり口で、日本一の多額の広告費を使ってきたことへの驕りがありありと見えます。みな口にこそ出さないまでも腹の中では忌々しく思っているはずです。
 
 数年前、松下(当時)は欠陥石油ストーブの回収のために年間300億円とも言われる宣伝費を、これでもかこれでもかと使い続けました。その愚直さが却って消費者の好感を呼び、イメージ修復のみならず同社の業績回復へとつなげることになりました。
 トヨタはそこから何も学んでいなかったのでしょうか。社会面の半2段程度のお報せでいいものでしょうか。それさえ出していませんが。
 これはあまりにも国内メディア軽視というか見くびりすぎです。そんなことを進言する人もいないとみえて、メディアも広告関係者も一切口をつぐんでじっと逼塞しています。

 しかしそれが本当にトヨタのためになるかどうか。

 トヨタは日本を代表する企業ですから、応援したい気持ちはやまやまです。しかし、これではどうしようもないのではと思います。遅れれば遅れるほど、名誉挽回は遠のき、ずるずる後退することを何よりもトヨタのために懼れるものです。同時に、メディアは自らのレゾンデートルのためにも、トヨタの傲岸に批判のひとつも加えるべきではないでしょうか。


 民主党小沢幹事長や朝青龍には私刑をつきつけるけれども、大手スポンサーのトヨタには腰が引けているというのでは「オイ!」というしかありませんね。そんなところを読者はもう見抜いているのですから。
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2010年02月12日

新聞奨学生の実態…すべて新聞社が悪いとの結論にもっていきたいようです

 週刊ダイヤモンドを発行するダイヤモンド社が運営するオンラインサイト「ダイヤモンド・オンライン」に『格差社会の中心で、友愛を叫ぶ』というコーナーがあります。とても興味深いリポートがあげられているので愛読しています。

 きょうアップされた記事はこれ!
▽苦学生をうつに追い込む!? 不況で希望者殺到「新聞奨学生」の実態
http://diamond.jp/series/yuuai/10011/

 フリーライターの西川敦子さんが書かれたものです。昨今の経済不況から入学金の工面や在学中の仕送りが厳しい状況のなか、これまで不人気だった新聞奨学生への希望者が増えているという背景を受けて、まだまだ劣悪な労働環境に置かれている新聞奨学生の生活実態や仕事内容についてレポートされています。
 西川さんは新聞販売店が総じて劣悪な労働委環境に置かれ、そこで働く新聞奨学生もひどい仕打ちを受けているということを印象づける記事構成になっています。確かに労基法も守られていないような販売店も多く存在しているし、必然的にそこで働く人たちのレベルは言わずもがなで販売店を転々とする人たちも少なくありません。そのような人たちに頼らざるを得ないのも事実でスパイラル化しているのも事実。


 「新聞配達は最後の砦だ」。以前、新聞販売労働組合の大先輩サワダオサム氏が「どんなルンペンでも最後は新聞配達の仕事を頼って生きてきた。だからこの仕事(産業)は守らなきゃいけない」という話しをしていたのを思い出します。
 でも新聞配達も「配りすればよい」という時代ではなくなってきました。不配をしないことや配達時間を守ることはもちろんのこと、雨の日には必ずビニル袋へ入れて配達する家を把握し、出張などで一時配達を休止する読者など顧客ニーズが多様化してきているのです。そのような細かな要望に対応しないと、いとも簡単に購読をやめられてしまいます。
 「大雪が降ったのだから配達が遅れても仕方ないねぇ」という読者は間違いなく減っている。これは社会全体が世知辛くなっているからではないかと感じています。


 で、何を言いたいのかというと、新聞奨学生制度自体は悪いものではありません。その制度を運用する(奨学生が就労している)所長(店主)の人間性によって、残念にも今回の記事で紹介されている新聞奨学生(OBの方)のような方がいるということです。氷山の一角だとも思っています。
 回りまわれば、そのような人材を登用している新聞社にも少なからず責任がないとは言えませんが、フリーランスの方に多い「新聞社は悪」という起点でその事象を書かれることは、本当の真実を伝えていない(押し紙の問題はうなずけますが)と感じました。

 私も10年近く現場から離れていますが、当時同じ販売所で働いた奨学生の方からは感謝されたし、今でも賀状のやり取りをしています。新聞販売店で働く人は悪人ばかりではないと思いますよ。

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タダ・ガンガン・バビョーン…これってauハッピーな広告なのかなぁ

 「最近、au(KDDI)のCMがひどくない?若者をターゲットにしているのはわかるけど品がないよね」という話を耳にしました。
 歌手の土屋アンナさんがノリノリで「ピン子もビックリ!au×3」と吠えるテレビCMをご覧になった方も多いはず。とりあえず張り付けておきます。
     

 ケータイ業界も王者ドコモが苦戦を強いるなか、iphoneとホワイトプラン(犬のお父さんCM効果も)で躍進するソフトバンク、「基本料金390円」の学割プランで猛追するauが熾烈な春商戦を繰り広げています。
 広告によりインパクトを求めるのは当然のことですが、どうでしょうねぇ…。あのノリについていけないオヤジには関係ないことなのかなぁ。


 ところで、けさの紙面を見ていたらauの『ガンガン学割』の全面広告とラテ版の全5段広告が掲載されていました
au.jpg 土屋アンナさんが色っぽく描写されていて、泉ピン子さんとアルプスの少女ハイジに「バビョーン!」という吹き出しが…。
 あと、ラテ版の21時から1時までがオレンジ色で塗りつぶしてあったので「おやっ」と思ったら、下段の広告に「↑21時〜深夜1時の4時間。ケータイ通話のゴールデンタイムも、auはタダでガンガン話せる。バビョーン!」とありました。

 残念ながら企画としては「イマイチ」。以前、産経新聞が「ウェブ面」を新設した時のドワンゴ企画は「ニコニコ動画」の番組枠を追加して、ものすごくインパクトのある広告に仕上がったと感じましたが、色を塗るだけではあまりメッセージは伝わってきません。
 おそらく、「広告のためにラテ面の一部分だけ色を塗る」ことに新聞社内では相当な反発があったのだろうし、担当された方はご苦労されたと思いますが、読者にも広告主にも中途半端な印象を与えてしまったように感じます。


 夕刊がない日祝日や休刊日前の新聞は閲覧時間が多いものです。もっと効果的にデザインされるよう期待します!

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2010年02月08日

いい新聞社にいい配達人あり

 佐賀新聞の仲間から「神戸新聞のサイトを読め」とのメッセージが届きました。このような伝達もネット時代ならでは…。


>神戸新聞のページにドラマの感想が載ってますね。
>放送から4日で約560人の方からメールが届いたそうです。
>すごい!
>そして感想が熱い!
http://www.kobe-np.co.jp/rentoku/bunka/201001kobe7days-message/
>ぜひまだの方はご一読ください。
※ドラマとは、1月16日にフジテレビ系で放送された『阪神・淡路大震災から15年 神戸新聞の7日間〜命と向き合った被災記者たちの戦い〜』のこと。

 『神戸新聞の7日間』へのメッセージには、5つのカテゴリごとに149人分の感想が掲載されています(▽忘れない=51▽震災を追体験=24▽ありがとう=51▽作品について=13▽新聞人=10)。
 おおむね、「感動した」という感想が寄せられていますが、「まるで神戸新聞だけ震災の時、頑張っていたような、新聞社に働くのだからこんなこと当たり前だと思います」、「ドラマはCMが多く残念でした」という意見も。
 もちろん私も見たのですが、ほぼ同じ感想を伝えた方がいらっしゃいました。その方からのメッセージはこれです。「新聞は、テレビやラジオみたいに速報することはできませんが、写真や活字で夢や希望を与えられる重要なメディアだと思いました」うん。


 新聞配達に関連するメッセージも見つけました。以下に引用します。
▽仕事に誇りを持って頑張ろう (札幌市 女性 新聞配達員 Mさん 45)
 あの日の朝TVを付けた時の衝撃は忘れられません。「どこ? え、神戸? え、日本?」それからしばらく動けませんでした。
 自分が新聞配達をする時、仲間たちと[配達の人間がいなかったら全部無駄になるんだから、自分たちが一番偉いんだ」なんていつも冗談で言っているのですが、取材し、原稿を書き、印刷し、配送し、配達する、何一つかけても新聞は用が足せません。一晩たってもまだこのHPを観ているだけで泣きそうな気持ちですが、情報を伝達すると言う仕事に誇りを持ってこれからも頑張ろうと心に誓いました。
 あの震災を体験された方の心の傷は一生消えることはないと思いますが、神戸の方々の明るい未来の為にこれからも頑張ってください。本当にありがとうございました。


▽いい新聞社にいい配達人あり (神戸市東灘区 男性 会社員 ねむすけ 49)
 番組の後半、配達所の方が配達する家がなくなり、新聞社の人たちが懸命に作った新聞を「読んでください」と道行く車の運転手の方々に配っていたシーン。
 感動しました。
 いい新聞社にいい配達人あり。チーム一丸として苦難を乗り切った神戸新聞社グループ。これからもがんばれ。地元神戸の誇りです。

 業界のこちら側にいる人へのご褒美ですね。このように思ってくれる読者のために頑張らないと!

posted by 今だけ委員長 at 19:54 | Comment(2) | TrackBack(0) | 日記

2010年02月03日

読売新聞の企画「坪田×湯川 元記者が見るメディアの未来」

 読売新聞に勤める仲間が企画した「元日経メディアラボ所長の坪田さんと元時事通信社編集委員の湯川さんの対談」が1月28日と2月2日の本紙に掲載され、YOMIURI ONLINEへもアップしたとの案内をいただきました。

▽「坪田×湯川 元記者が見るメディアの未来」(前編)
http://www.yomiuri.co.jp/net/report/20100128-OYT8T00770.htm
▽「坪田×湯川 元記者が見るメディアの未来」(後編)
http://www.yomiuri.co.jp/net/report/20100129-OYT8T00880.htm


 このブログでも両氏が描く将来のメディア環境について触れてきましたが、新聞とネットメディアの関わりについて業界をリードしてきた両氏。今回の対談では、常に彼らと(ブログなどで)接している業界の内側の人間には目新しいものはありませんが、この記事が紙面に掲載され多くの人の目に触れることは有意義なことだと思います。
 この両氏の対談を実現させ紙面化したエネルギーは相当なものだったのだろうと感心します。

 こういうコンテンツは読みたい思いますね。ネットだと繰り返しロングテールで読めますが、「紙」だと予告編(初回は)がないので見逃してししまうこともあります。この辺の相互補完も必要だとあらためて感じました。

 両氏が語ったキーワードを紹介すると、
湯川氏:(新聞経営者に対して)ネットをあまり利用せず、どちらかといえば好ましく思っていない人たちを核に新規事業を立ち上げるのはかなり難しい。会議室で僕一人だけ周囲と意見が違うことがよくあった。「お前は先を進みすぎている。会社の速度まで落とさないと、会社は動かない」とよく言われた。

坪田氏:プロとは何か。「新聞社の社員だからプロ」というわけではない。レポーター(記者)ではなく、価値判断をしない単なる情報のポーター(運び屋)では、今後は残れないだろう。「この人が書く記事は絶対読みたい」と思わせるような人がどれだけいるかが重要だ。

posted by 今だけ委員長 at 07:31 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2010年02月01日

ターゲットに合わせて具体的な活用方法を示すことが必要

 きのう、フジテレビ系列「エチカの鏡ココロにキクTV」で、ヨコミネ式教育方法の特集が放送されていました。
 幼児教育の第一人者として紹介されていた横峯吉文氏は女子プロゴルファー横峯さくらさんの叔父さんだそうで、「天才は10歳までにつくられる」との教育方針から、読み書き、計算、体操を取り入れた「ヨコミネ式」幼児教育を自ら理事長を務める保育園で実践されています。


 私はこの番組ではじめて「ヨコミネ式」を知ったのですが、嫁からは「この番組でヨコミネ式を特集するのは今回で4回目。幼い子を持つ親の間で話題になっているんだよ」とのこと。


 番組では子供たちが新聞を見ながら何やら書き写している場面が。新聞から興味や関心を持った記事をノートに書き写すことで簡単な文字から覚え始め、卒園する頃には小学低学年程度の漢字をマスターするのだとか。書き写しながら分からない言葉があると辞書でその意味を調べます。そして新聞紙面を通じて社会の動きを理解していくというのです。


 究極のNIE教育ではないでしょうか?新聞の活用のされ方って意外とあるものですね。それを業界の人たちは知らないし、活用しきれていないのかもしれません。

 2011年度から小学校の新学習指導要領に新聞の活用が取り入れられます(中学校は2012年度)が、新聞を読むことが言葉の意味を理解させ社会の動きを知ることにつながるのだと思います。それも個々が所有するタブレット型の電子メディアではなく、家族で読み回せる「紙」の新聞にこそ価値がるのではないかなぁと。
 何の根拠も示さずに「新聞はためになる」ということだけで購読を勧めてもなかなか響かないもの。しっかりターゲットを絞って(ヨコミネ式のような)その活用法を説明することが重要なのだと思います。


 テレビで放映された横峯氏へのインタビュー(育児教育/幼児教育blogより引用)


▽なぜ新聞を教材として使っているのか?
横峯
「小学校では学年ごとに覚える漢字が決まっている。あれは大人が勝手に決めたことなんですよね。子供のことを考えていないんですよ。子供達はもっと学びたいんです。30分の書写を毎日続けていく事で1年間に5〜600個の言葉を自分の力で身に付けていってます」
▽新聞の書き写しは子供の成長にどう影響するのか?
横峯
「新聞を書写することで今、日本や世界で起きている環境問題、社会問題、国際問題とかいろんな情報が子供に入ってきますよね。少しずつ社会を知っていってるんですね。だから小さい頃は『ウルトラマンになりたい!』とか言っていた子供も徐々に世の中に即した将来の夢を自分で考えられるようになっていくんですね」
▽将来の夢は?(子供たちへインタビュー)
子供
「日本の医者は少ないとか医者不足になっているのを聞いて、医者になって人をいっぱい助けたいです」
子供「助産師です。自分が生まれる時たくさんの人達や助産師さんに励まされて生まれてきた事を知って、自分も生命の誕生に立ち会う仕事に就きたいと思いました」
子供「保健師。(何故?)人を助ける仕事をしたいから…(何で?)おばあちゃんが亡くなった時に何もしてあげられなかったから…」

 昨年5月に放送された「ヨコミネ式教育」の第1回特集

posted by 今だけ委員長 at 21:18 | Comment(1) | TrackBack(0) | 日記

2010年01月31日

言うまでもありません「信頼」が新聞の生命線なんです

 公益財団法人新聞通信調査会が2009年9月11日から30日までに実施した「第2回 メディアに関する全国世論調査」の集約結果が公開(1月21日にプレス発表、29日HP公開)されました。
▽2009年メディアに関する世論調査結果
http://www.chosakai.gr.jp/notification/pdf/report2.pdf
ちなみに2008年メディアに関する世論調査結果はこちら↓
http://www.chosakai.gr.jp/notification/pdf/report.pdf


 今回の調査を行った新聞通信調査会とは、現在の共同通信社と時事通信社の前身だった同盟通信社(1945年に解散)の資料と調査研究部門を引き継いだ「通信社史刊行会」が1960年に現在の新聞通信調査会として改称した組織。ジャーナリズム及びマスコミュニケーションの調査研究、これに関する図書・資料の刊行、講演会・研究会等の事業を軸として活動しています。でも業界関係者以外にはあまり知られていません。


 今回の世論調査の方法を見ると、住民基本台帳の閲覧用リストを用いて無作為に全国各地の18歳以上のサンプル5000人を対象として調査員が直接訪問して集めた調査結果だけに、インターネットを使えない方の意見が省かれがちな最近のデータ集約結果よりその信ぴょう性は高いと思います。

 集約結果を大まかに分析してみると、「情報の信頼度について」では、新聞が08年の調査時に72.0ポイントだったものが、09年は70.9ポイントで1.1ポイント下がりました。インターネットは58.2ポイント。「新聞の印象について」では、08年が@信頼できる(67.2)A教養を高めるのに役に立つ(63.1)B情報源として欠かせない(59.3)C社会的影響力がある(58.7)D情報が正確である(56.9)との結果に対し、09年は@情報が信頼できる(62.1)A社会的影響力がある(59.4)B情報源として欠かせない(57.8)C情報が役に立つ(54.8)D手軽に見聞きできる(51.5)となっています。
 まだまだ新聞の情報の信頼度は高く、約6割の人が情報源として欠かせないメディアであると答えています。この結果にあぐらをかくことなく、「信頼」に答えていかなければなりません。


 新聞広告と折込チラシについての信頼性については、次のように解説されています。30代以下では折込チラシへの信頼感が高いのに対して、50代以上では低くなってくるというのも興味深いデータです。(以下一部引用)


 新聞広告、新聞折込について、全面的に信頼している場合は10点、全く信頼していない場合は1点として点数化したところ、「新聞広告」は5.7点、「折込広告」は5.6点となっている。また、6〜10点を信頼している層、1〜5点を信頼していない層に分けてみると、「信頼している」層は「新聞広告」45.2%、「新聞折込」43.0%とともに半数を下回っており、信頼感は不足していると言えそうである。
 年代別にみると、30代以下では、「新聞広告」の方が「新聞折込」より信頼感は高いが、50代以上では、「新聞広告」の方が信頼感が高くなっている。


 言うまでもなく、新聞の生命線は信頼なのですから、それを損ねるような問題があるとすれば解消していかなくてはいけません。
 新聞社を退職された方が「販売のブラックボックス」などと暴露本を出版して儲けているようですが、現役時代には口をつぐみ、「その時の立場では言えなかった」という言いわけをして、退職してから「(押し紙問題など)これはおかしい」というのもどうかなぁと。在職中は黙っていることで地位を高め、退職後は暴露することで儲けるという、おいしい思いの二重取りには憤りを感じますね。なんだかなぁと。


 余談ですが、最近よく歌うカラオケを紹介します。「スタートライン」。同じような思いの人がいたら、がんばりましょう!

    


▽新聞、NHKの“信頼度”70点台 ネットは58点(産経新聞:1月22日)
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/media/100122/med1001221533002-n1.htm
▽将来の新聞の役割についてどう思う? 世代によって違い(Business Media 誠:1月28日)
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1001/28/news012.html

posted by 今だけ委員長 at 01:46 | Comment(1) | TrackBack(0) | 日記

2010年01月28日

唯一生き残るのは、変化できる者である

 「次に来るメディアは何か」の著者で、元毎日新聞社常務取締役を務めた河内孝さんが、マイコミジャーナルで連載中のコラム「メディア革命」(1月26日付)に「日経電子版の創刊に見る"販売店"という呪縛」を寄稿しています。

 米国のメディア事情にも詳しい河内さんの指摘は、日本経済新聞社が今年からスタートする予定の電子新聞の販売価格を「日経本紙を提起購読していればプラス1,000円で電子新聞も閲覧できる」という設定に対して、「読者の購読情報は販売店が有しているため、確認作業に面倒な手間がかかる」という問題提起と、販売店側が「発行本社側に顧客データが蓄積されてゆくことは、販売店が蓄積した顧客情報が流失するという不安を抱えている」との解説をされています。だから電子新聞の成長がどうなるということには触れていませんが、販売店との顧客データのやり取りが障壁となるのではないかと警笛を鳴らしています。

 今年1月からウェブ新聞「webun」を創刊した北日本新聞社では、webunの購読は「紙」の定期購読者は無料で利用でき、無購読者や配達されない地区に住む顧客に対しては月額2,100円(税込)の購読料を支払うシステムを導入。日経の電子新聞は「紙」購読者には定期購読料に1,000円の上乗せとなります。来年からオンラインサイトの有料化に踏み切るニューヨーク・タイムズも同じような手法で、いずれも「紙」と連動させる価格設定となっています。


北日本新聞社のHPより
 webunは会員制のウェブ新聞です。北日本新聞をご購読なら会費は一切必要ありません。会員登録をするだけですべてのコンテンツを利用できます。
 現在は未購読でも、1カ月以内に購読を開始していただける場合は即座に会員登録が可能です。会員登録のオンライン手続きにしたがい、購読申し込みを行ってください。
 県外や海外など配達区域外にお住まいの希望者は、月額購読料2,100円(税込み)のwebun特別会員として入会できます。特別会員に限り、朝刊紙面イメージは当日版から拡大でき、掲載記事も読むことができます。


▽販売店と交わした新聞購読契約の有無は個人情報なのだが…
 2005年4月から施行された個人情報保護法では、個人情報の数が過去半年間のいずれかの日に5,000件を超えた場合は「個人情報取扱事業者」となり同法律が適応されます。新聞販売店の多くは5,000世帯以上のエリアを管轄しているため、個人情報取扱事業者です。本来、販売店が顧客と新聞購読契約を結んでいるという個人情報の開示は、事前に顧客へ告知していない限り当然違法となるのですが、顧客と交わす新聞購読契約書には「必要に応じて新聞発行元に提供いたしますので、あらかじめご了承ください」との記載があるのでクリアしたことになっています(契約書を結んだ際にきちんと説明しているかどうかは分かりませんが)。
 また、顧客情報(購読の有無)の照会は、それぞれの新聞社と販売店での契約内容によって違うと思いますが、ほとんどが「新聞社の求めにより販売店は開示しなければならない」と定めてあるので、販売店は新聞社からの顧客情報開示請求(購読の有無について)に応じなければならないというわけです。

 さて、その手間は河内さんが指摘する以上に面倒なものになると思います。
 顧客の購読の有無を照会されたときは購読していても途中で契約を解除された場合に、販売店側から新聞社へ逐一連絡するとは到底思えません。「購読しているかどうか」のクリーニング(北日本新聞は毎月確認を行うとのこと)を定期的に販売店へ要請して「グレーゾーン」を見抜くしかありませんし、「会社で購読している」といった場合の対応も線引きが難しくなってきます。西日本新聞(新聞社の資本が入った販売会社と)が行っている読者台帳のオンライン化でもやらない限り、「NHK受信料を払わないでテレビを見る」(変な例えですが)ユーザーが膨れ上がることも否めません。
 また、新聞の購読は「1世帯に1部」の契約なので、世帯主しかセット割引(日経の場合)の対象にならないのかな?1世帯に居住する家族全員に電子新聞が閲覧できるアカウントが発行されるのかどうかも興味があるところです。


▽販売店も生き残りをかけて自立することが求められる
 このデフレ経済では、メーカー(新聞社)が流通部門を飛び越えて顧客と直接商品の売買を行うことは、すでに日常茶飯事なことです。特に電子データの配信はサーバ管理にこそコストはかかりますが、現物(紙)を運ぶことがなくなるので流通部門は縮小せざるを得ません。とかく「車の両輪」といわれて新聞社の要請のもとに新聞を買い続けてきた販売店(特に自営店は)は悲観的になりがちですが、これは仕方のないことと割り切らなければならないと思います。インターネットの登場によって社会や流通のあり方が変わっていくのですから。

 新聞社も当面は「紙」ビジネスをやめることはしないでしょうが、販売店もほかに勝るコンテンツを武器(これまで培った企業資産)にさまざまな事業を模索していかなくてはいけないのだと思います。チラシだけを宅配する業者が出てくるように、さまざまなアイディアを出していかなくちゃいけない。新聞社も生き残りをかけてなりふり構わなくなってくるのだから、販売店も自力で生き残りを考えないと。そのための障害や規制があるのであれば早めに取り除かないといけませんが…。


 自分の食いぶちを守ることは当然のことです。生きるため、家族を守るためには現状のビジネスモデルに固執し、時代の変化に抗う(実は私もその口ですが)こともひとつの道ですが、時代の変化を受け入れて柔軟に対応していくことも必要ではないでしょうか。民主主義を守るために新聞は必要だと思っているので、紙であれ、ネットであれその組織ジャーナリズムの機能を残すために新聞社と販売店が今こそ手を携えなければならないのですが、片務契約といわれる搾取構造のもとでは販売店の恨み節しか聞こえてこないのが残念です。

(最近その説があやしくなっていますが)ダーウィンの進化論をあらためて思い返します。
『最も強い者が生き残るのではなく、 最も賢い者が生き延びるでもない。 唯一生き残るのは、変化できる者である』
 いま新聞産業に求められていることだと思うのですが、まだその「変化」をまわりにばかり求めているような気もします。

▽日経電子版の創刊に見る"販売店"という呪縛
http://journal.mycom.co.jp/column/media/045/index.html
▽webun会員入会案内と手続き(北日本新聞社)
http://webun.jp/info/e_guide.html

posted by 今だけ委員長 at 00:17 | Comment(2) | TrackBack(0) | 日記

2010年01月25日

免許制ではない新聞記者 最後は人間の強さと見識なのかな

 新聞の役割の一つに国家権力の監視というものがありますが、このところ政権与党の幹事長の「疑惑」に多くの紙面が割かれています。それだけネタがないのかなぁ。

 インターネット上の個人ブログ(最近はツイッター)などを読んでいると、原口総務相などの閣僚や民主党議員が「(小沢氏疑惑について)新聞の報道が『関係者によると…』という書かれ方がされているが、誰から得た情報なのか取材源が明かさずメディア側が意図的に話しをでっちあげているのではないか」という内容のメディア批判がなされています。
 一方、新聞社をはじめメディア側は「取材源の秘匿は当然であり、それによって得られるニュースソース重ねあわせて裏が取れた段階で記事化している。決して権力側(今回の場合は東京地検関係者)からのリークではない」と主張しています。

 生活者からすれば、小沢氏が違法行為をしているならば当然罰せられるべきだし、政治家としての社会的責任は免れないと思います。で、それを解明するのは検察・警察の仕事であるのですが、最近の新聞報道を読んでいるとあたかもそれ(小沢氏の疑惑)をジャッジするのはメディア(新聞)の役割なのだと言わんばかりの妙な正義感がプンプンします。
 私だけが感じているのなら撤回しますが、また紙面がワイドショー化されているような気がしてなりません。

 表面化しない問題を掘り起こして社会へ訴えることはとても大切なことだと思っているし、新聞社の組織的な取材活動によってこれまでも多く問題を追求してきたことは間違いはありません。確かに政権与党の幹事長の「疑惑」なのでニュース性は高いと思いますが、ワイドショー化した報道の在り方に違和感を覚えます。
 新聞が権力をチェックするように、新聞もまた世論誘導装置としてほかの権力から利用されないように、自らをチェックすることも重要ではないでしょうか。「新聞を監視する機能を作れ」なんてことがあってはならないのですから。


 小沢疑惑の一連の報道に関して、北海道新聞社の高田昌幸さんが運営するブログ「ニュースの現場で考えること」を大変興味深く読ませていただきました。更新も4カ月くらい放置されていたのですが、きのうから鋭く、かつスカッとするエントリーを書かれています。
 ブログを読んだ感想は、新聞記者になる資格は何だろうということ。免許制でもないし、これまで先輩方がやってきた取材(夜駆け、朝駆け)をみっちり叩き込まれ、そして先輩が現場を離れてデスクになり、偉くなると「まぁまぁそんなこと言わないで…」と闘わない人(すべての方がそうでなないと思いますが)になってしまう。それの繰り返しだから、新聞社は同じようなことを繰り返しているのではないかなぁと。新人記者が熱血漢に溢れて事件を追い、真実を社会へ知らせるという使命感(多くの生活者が描く新聞記者像)のようなものが忘れ去られているか、そのような人材が(業界を去り)失われているのではないか、という感じを受けました。
 もう1点は、なぜこのような見方を紙面には書けないのかということ。個人ブログでは書けるけれど、何がどう絡むのか新聞社(業界)の編集体制の奥底にあるものは分かりませんが、読者は膝を打ちながら読むでしょうね。なんかもったいないような気がします。

 高田さんとは5年前にローカルメディアネットワーク(地方紙の若手社員の集まり・もちろん業務外です)の会合でお会いし、酒席をご一緒したことがあります。「販売店は大変でしょう。学生時代に新聞奨学生をやっていたからわかるよ」というような会話をしたことを覚えています。こういう記者の方が身近にいると心強いだろうなぁとも思いましたね。

 個人名を出してブログを運営している新聞人(特に記者の方)はとても少なく、仕事上でも個人の意見を発信することに対するハードルは高いと思います。でもブログは読み手の意見がダイレクトに返ってくるツール。新聞業界の中だけで自分の意見を述べても、その賛否の声が世間相場と一致しているとは限りません。逆に離れていってるような感じさえします。ぜひ新聞記者の方には、自分の立ち位置を確認する意味でもブログにチャレンジしてみることをお勧めします。

 このところ、販売に関する問題が消沈気味なので販売店労働者の分際でいろいろ書いてきましたが、ご異論がある方はぜひコメントを寄せてください。


「ニュースの現場から」
▽「捜査情報」は「捜査情報」と明示せよ(1月19日)
http://newsnews.exblog.jp/13526663/
▽リークと守秘義務(1月19日)
http://newsnews.exblog.jp/13526982/
▽続・リークと守秘義務(1月20日)
http://newsnews.exblog.jp/13528722/
▽検察の「伝統」(1月21日)
http://newsnews.exblog.jp/13538890/
▽「リーク批判」に対する新聞の「言い分」(1月24日)
http://newsnews.exblog.jp/13562517/
▽開示請求と取材(1月24日)
http://newsnews.exblog.jp/13563297/

【追記】2/6
「小沢疑惑を広めたから特捜部の捜査は価値がある」のか?(2月6日)
http://newsnews.exblog.jp/13669531/

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2010年01月22日

上から目線ではなく、もっと「顔」が見える商品力の改善と工夫を

 ひさしぶりに「あらたにす」のネタを。
 元朝日新聞論説副主幹の桐村英一郎氏のコラム(新聞案内人)「危機をあおるのが新聞の役割か」には、先週行われた岡田外相とクリントン米国務長官の会談の報道のあり方について問題提起されています。


(以下引用)岡田外相とクリントン米国務長官が12日、ハワイで会談した。今年が1960年の日米安保条約の改定から50周年にあたることから、日米同盟を深めるための協議を始めることで一致した。
 一方、普天間飛行場の移設については、名護市辺野古への移設という現行計画にこだわる米側と、「5月までに結論を出す」とする日本側はかみ合わず、各紙の報道には「懸案の先送り、棚上げ」「つかの間の友好ムード」「協調の演出」といった表現が目立った。
 普天間の移設は大事なことには違いないが、「一基地」と「日米同盟の将来」のどちらがより大きな問題か明らかだろう。「現行計画の通りにしなければ、日米関係はどんどん悪化する」かのような報道でいいのか、首をかしげたくなる。
(中略)
「負担はいやだ。受益はもっと」という国民の身勝手が政府の赤字を天文学的に膨らませた。大都会は「快適な生活はほしい。でも放射能はごめんだ」と原発を地方に押し付けた。「普天間の県外移転」は鳩山内閣だけが悩み、周りがそれをあれこれ批評する事柄ではなかろう。
 新聞はなぜもっと「あなた方みんなの問題ですよ」と、読者に鋭く迫らないのか。(引用終わり)

 確かに、桐村さんが主張されていることは理解するのですが、全国紙的な視点(もっとも“あらたにす”は朝日、読売、日経のサイトなのでよいのですが)というか、われわれ(新聞)が国民(読者ではなく)に対して訴える(誘導する)という新聞社の社説のにおいがプンプン感じました。
 いろいろな事象の見方を的確に解説してくれる新聞(特に社説のような)の存在はありがたいし、今後も必要なのですが、「上から目線」が今の無購読者(最近の無購読者の括りは年代では表せません)との距離をさらに広げているのではないかと思いました。

 新聞は「天下国家を語る」のがその役割だと思っている節も強く感じられるのですが、いまやジャーナリズムという定義は、報道の原則、報道の原理、報道と中立性、報道と正確性はそのメディアの責任の問題として、シビック・ジャーナリズムなど市民を巻き込んだ取り組みも進められています。イエロー・ジャーナリズムは個人的には好きですが、それはさておいて…。
 「社説」が最も読まれていると思っている新聞人はいないと思いますが、もっと生活者にとって訴える明確な主張をしていかないと「新聞社の顔」が、ぼやけてしまうような気もします。その点、産経新聞ははっきりしていますね。私は読んでないけど。


 政治問題や国際情報などの一次情報(通信社からの配信)は、速報性に優れるテレビやインターネットで入手できるわけですから、各社ほとんど同じに扱われる1面のトップ記事だけ読んでいるという読者の多くは「どこの紙面を見ても同じだ」となるわけです。それこそ、勧誘時のオマケや折込チラシの量を優先して購読紙を決めたりしています。でも、それではパッケージ・メディアとしてさまざまな情報が詰まっている新聞の必要性は浸透しないのだろうと思います。これまでも新聞を隅から隅まで読んでいる人というのはよっぽどの暇人(語弊があったらゴメンナサイ)かそれを職業としている人でしかないわけで、自分の興味がある情報をその新聞が取り上げているか(毎日、目を通すことでそれを見つけられるか)が、これからの(読者の)新聞の必要性へのプラスα部分に大きく関わってくると感じています。

 そのひとつは、地方紙であればコアな地域情報であるし、市民の顔、記者の顔をもっと出していくことも必要だと考えています。読者からの情報提供の受け皿を広くするとか、1頁面を市民に提供する(精査は必要ですが)こともオモシロいと思います。「それは新聞の編集権が許さない」となるでしょうが…。

 読者の維持や拡大にはこうした商品力の改善と工夫が伴わないと、継続的な収入確保は難しいのです。新聞セールスでオマケを提供して、数カ月は定期購読をしても継続されなければ部数は減っていきます。そしてやめる読者を上回る新規読者を獲得するために莫大な経費を使うという自転車操業になっていくのです。それは販売店の問題で新聞社には関係ないと言われますが、そう言っているだけで何か改善することがあるのでしょうか。

 新聞社に勤めている人たちの多くは、購読契約をした読者はずっと積み上がっていくものだと理解している人が多いのですが、新聞の必要性を感じ定期購読をはじめる読者以上に、商品力の魅力(費用対効果なのでしょうか)を見いだせずに、定期購読をやめていく人の数がそれを上回っているのが現状です。


 部数が減ると騒がれる「紙面改革」。自分たちの都合だけで考えていませんか。それは、すでに「上から目線」になっているのですよ。



▽危機をあおるのが新聞の役割か/桐村英一郎(あらたにす「新聞案内人」より)
http://allatanys.jp/B001/UGC020005620100121COK00470.html

posted by 今だけ委員長 at 22:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記