2012年04月06日

新聞をヨム日 春の新聞週間がはじまりました!

 例年のことですが、4月6日は「新聞をヨム日」。春の新聞週間がはじまりました。
 昨年は東日本大震災ですべての仕掛けがキャンセルになってしまいましたが、今年は各系統販売店が協力をして新聞のPRに取り組みました。
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 新聞業界のPR作戦はいつものように早朝から展開されました。写真は仙台市内で最も世帯数が多い高層マンションのエントランスでのPR。朝6時から試読紙を180部(各紙30部)を設置したものがお昼頃には品切れになっていました。

 もう一つの取り組みが「朝マック with ニュースペーパー」。朝マックを注文した方へ新聞も一緒にサービスするというもので、全国の47都道府県の各1店舗で展開されました。いつもはケータイを見ながら“朝マック”している人たちが、ところ狭しと店内で新聞を広げている様子は何故かタイムスリップしたようにも感じました。
▽「朝マックで若者に新聞提供 春の新聞週間始まる」(47ニュース)
http://www.47news.jp/news/2012/04/post_20120406144755.html

 全国各地で同様の取り組みが展開されていると思いますが、ぜひ「これはすごい!」という情報をお寄せください。
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2012年03月08日

読者との「約束」を守ることが「共集・共配」の大前提

 新聞社間の受託印刷が加速する中、さらに下流の宅配部門も販売店間の協業的取り組みが否応なく進んでいます。
 まずはこのニュースから。


▽ASA転進支援、145人が応募
(新聞通信 2月27日)
 朝日新聞社は1月末で、販売環境が悪化している地域の所長を対象に導入した「ASA転進支援制度」への応募を締め切った。全国から145人の応募があった。応募した所長の平均年齢は58歳、平均店歴は16年。本支社別の内訳は北海道6人、東京25人、大阪54人、西部60人だった。飯田真也常務取締役販売担当は「制度実施に際し、高齢化が進み、人口が減る地方の戸別配達を揺るぎないものにするため各社が協調して『共同配達・合売化』を行う必要があると訴えたところ、多くの新聞社から賛同を得た」としている。朝日と提携するのは読売新聞、毎日新聞、北海道新聞、東奥日報、山形新聞、福島民報、河北新報、信濃毎日、北日本、北陸中日、中国新聞、山陰中央、愛媛新聞、徳島新聞の14社。
 紙勢の伸長が期待できるエリアについては、同系統の吸収・合併により専売店制を維持していくようですが、過疎地域など配達経費がかさむエリアなどは他系統へ委託して経営的な効率化を図っていくという方向です。


 一方、販売店従業員の労働人口も年々減り続けています。


▽新聞販売所従業員総数 ピーク時から10万人超減 過去最大の減り幅(文化通信 2月13日付)
 日本新聞協会販売委員会はこのほど、2011年10月現在の「全国新聞販売所従業員総数調査」をまとめた。調査結果によると、従業員総数は前年より1万4337人(3.7%)減少し、37万7495人に。15年連続の減少で1996年の48万3286人をピークに減り続ける中、最大の減少率となった。新聞販売所の数も前年より425店(2.2%)減り、1万8836店だった。新聞販売所も09年調査で、2万店を割り込んでから減少傾向が続いている。
 宅配される新聞部数(定期購読者数)が減少傾向にあるので、必然的に配達スタッフの数も減っていくのですが、経費削減で配達エリアの統合(これまで2区域を2人でやっていたものを1人で行うなど)が進められ、逆に店着などの遅れを吸収(代配などで配達終了時間を守る)することが困難になったり、配達労務難を招いているケースもあるという話しも伝わってきます。


 系統を超えた販売店同士の共同配達、共同集金は今後ますます進んでいくと思われますが、読者に対して配達時間を守ることや決まった日時に集金へ伺うなどの「約束」をしっかり果たすことが大前提です。日常の習慣に組み込まれている新聞だからこそ、流通部門の受託体制はしっかり整える必要があるのです。その辺のシミュレーションをしっかり描きながら、販売店間の信頼関係のもと「共集・共配」に取り組んでいくべきだと感じています。

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2012年02月04日

最新のニュース収容以外の配達遅れは許されない…

 みちのくは雪が多いとはいえ、久しぶりの大雪に見舞われています。
 積雪も大変なのですが、とにかく寒いっ!寝間着姿で新聞を取りに行こうものなら、凛とした寒さが背筋にゾクっときます。このような寒い時期の新聞配達は大変で、夜明け前の最も気温が下がる配達時間帯は道路がテカテカに凍りついてスケート場そのものです。真っ暗で凍てつく寒さのなか、自転車を押しながらの配達は普段よりかなり時間を要するものです。本当にお疲れさまです。
▽東北埋雪 交通、空も陸もストップ(河北新報 2月3日付)
http://www.kahoku.co.jp/news/2012/02/20120203t75004.htm
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 販売店に届いた新聞は2〜3時間のうちに各戸へ配達しなければなりません。できるだけ最新のニュース(配信記事ですが)を掲載したい編集部門と、できるだけ早く新聞を読者のもとへ届けたいという印刷、発送、販売店の制作・流通部門の間では、降版時間の取り決めでしょっちゅう揉める―という話を聞いたことがあります。また、今年のような大雪になると交通事情によって新聞店着が遅れるというケースも起こります。(写真は、超読み日記さんの「雪の日の新聞配達」から引用)

 販売店の朝刊配達作業は新聞が到着した後、折込チラシを新聞へ組み込んで配達区域ごとに紙分けをします。1区域の配達時間がおおむね60−90分。一人で2区域を配達されている方や新聞配達を副業にして配達を終えた後にほかの仕事に向かわれる方、家族の朝ご飯の支度をする奥さまたちは、できるだけ早く配達を終了したい。でも、大きなニュースで降版時間が遅れたり、印刷ミスで発送作業が滞ったり、悪天候による交通事情の乱れなどによって、店着時間が遅れたりすると大変です。急な代配への対応に追われることも少なくありません。店着時間が30分遅れると配達作業自体が約60分ずれ込むわけですが、配達終了時間を60分遅らせることはできません。その時間を埋めるために代配という人的投入でもって配達路線を増やし「決まった時間までに配達」をしているのです。読者によっては「5時までに配達をしてもらえるなら購読する」という約束をしているお宅もあるため(別配で対応)、販売店にとっての「朝の1分」はとても重要なのです。


 読者の立場で考えると、できるだけ新鮮なニュースが掲載されていた方がよいに決まっています。速報性はその日の朝のニュース番組で確認できるわけですが、新聞の解説記事を読みたいという声は相当なものでしょう。でも、配達時間が遅れることとニュースの収容(そのニュースの価値にもよりますが)のどちらを重んじるかというと、読者は間違いなく「配達時間を厳守してほしい」となる。これは習慣的なものだと思いますが、新聞を愛読してくれている読者(特にシルバー世代)は決まった生活スタイルの中で朝刊、夕刊を読む時間を決めているわけです。だから決まった時間に新聞が届かないと販売店に電話がくるのです。「きょうは配達遅れているの?」と。

 一方、新聞という作品をつくり上げる編集側は「(他紙に遅れまいと)最新のニュースを」ということになるのですが、速報性でほかのメディアと勝負するのは厳しい…。そして、その調整弁が新聞販売店になっているようにも感じます…。

 まぁ、編集と流通(販売)の間で切磋琢磨されて現状(部数)があるわけですから、「最新のニュースを掲載するために…」という言い訳も読者は理解してくれるでしょう。でもそれ以外の要因で配達時間が遅れるようなことは許されないので、「配達時間の厳守」を販売店労働者は常に念頭に置いて日々の仕事に取り組んでいます。「きょうは大雪だったので配達が遅れました…」は言い訳にはならなくなっています。悪天候による遅れを許してくれる優しい読者の方も多いのですが、だんだんと世知辛い世の中になっているので要注意…。
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2012年01月13日

電子新聞の新聞公正競争規約上の扱い

 新聞公正取引協議会が1月10日付で発行した「中央協だより」(167号)に、「紙」を対象とした新聞公正競争規約(自主規制ルール)における「電子新聞」の扱い(Wプランなどのセット販売)について、現時点での問題点の整理が掲載されていたので引用します。

電子新聞の新聞公正競争規約上の扱いについて
 電子新聞の新聞公正競争規約上の扱いについて、事務局に多くの質問が寄せられているため、消費者庁の現時点での見解を踏まえて下記のとおり整理した。
 なお、本紙と電子新聞の組み合わせ販売は新しい事案であり、消費者庁の解釈も必ずしも定まっていない部分がある。
Q.電子新聞は再販商品か。
A.公取委は、著作物再販制度の対象は「物」を対象としており、ネットワークを通じて情報として配信される電子新聞は「物」ではないので同制度の対象にはならないとしている。
 また、電子新聞は本社が読者に直接販売するケースが多い。その場合、再販売という概念が存在しない。
Q.電子新聞は新聞公正競争規約の対象になるか。
A.現行の新聞公正競争規約はそもそも電子新聞を想定して制定したものではなく、現時点では一般ルールに従うことになる。しかし、紙の新聞と電子新聞を組み合わせて販売する場合の景品類提供は、新聞公正競争規約に従う。同一の企画により電子新聞単体読者、本紙・電子新聞組み合わせ読者の両方に景品類を提供する場合も、新聞公正競争規約に従う。
 消費者庁は、「異なるルールのもとにある2つの商品を組み合わせて販売する場合、総付、懸賞のいずれであっても、より制限的なルールが取引全体に対して適用されることが原則だ」としている。
Q.電子新聞を本紙読者に割安に提供することは、本紙購読の景品となるか。
A.例えば単体で4000円の電子新聞を、本紙購読者は1000円で購入できるケースがこれに該当する。
 消費者庁によれば、景表法上こうした販売形態は電子新聞の値引きに該当する。
 電子新聞は再販・特殊指定商品ではないため値引きすること自体は問題ないが、過度に値引きが行われる場合は独禁法上の不当廉売にあたる恐れがある。
Q.電子新聞を本紙読者に無料で提供することは、本紙購読の景品となるか。
A.消費者庁は、電子新聞が単体では有料であっても本紙と実質的に同一の場合(例:紙面をそのままPDF化する場合)は、無料提供は景品にも値引きにも該当しないとしている。これは、紙、電子のどちらの形で読むかを読者に選択させているだけで、商品自体は同一のものであるとの解釈に基づいている。
 一方、付加的な機能がついた電子新聞を無料で提供する場合は、同一の商品とはいえないため、電子新聞が本紙購読に付随する景品となる。従って、6・8ルールの範囲内で行うこととなる。(第601回中央協 12/15)


 各新聞社とも、ネットによる記事コンテンツ配信事業をどのように創造し、事業展開していくのか。まだまだ試行錯誤の中で他社の動向を横にらみしながら、「やっぱり紙だ」と既存事業の殻にこもっているところが多いように感じます。
 確かに「EPIC2014」に踊らされた感もあるのですが、ネット上で全世界をマーケットに商売を仕掛けてくるポータル企業の進出に右往左往するのではなく(本来はそのためのツールでもあるのですが)、得意な地域(取材網)でその情報を最も知りたいその地元の人たちをマーケットにした事業を地道にやっていくしかないのかなぁと感じています。そのために、「紙」も「ネット」も地元の人たちから信頼され、使い勝手のよいメディアとして活動をしていくしかないと思います。「新聞の役割」を自問しながら・・・
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2012年01月12日

消費税率引き上げ問題 オールドメディアの論調を考える

 昨年末、第二の故郷の山形県米沢市で2日間過ごしました。雪深い地域として知られる置賜地方では、この時期の積雪量としては10年ぶりの大雪だそうです。
 雪国の朝は雪運びからはじまります。早朝5時からゴム長をはいてスコップ片手に屋根から落ちてくる雪のかたまりを敷地内の雪置き場へ運び導線を確保します。ちょうど、ひと汗かいたところで、新聞配達の方が朝刊を届けてくれました。地域性によると思いますが実家への冬期間の配達は車で行われているようです。あらためて、新聞配達の大変さが身に染みた年の瀬でした。


51Znuv60qBL__SL500_AA300_.jpg決別!日本の病根 古賀茂明.jpg 現役時代に地元の信用金庫に勤めていた義父は、私が訪問すると待ってましたとばかりに平均2〜3時間は経済の話で盛りあがります。そして、自分が読み終えた本を「よかったら読んでみろ」と渡してくれます。今回は元大蔵省職員の橋洋一著「財務省が隠す650兆円の国民資産」(講談社)と元経産省職員の古賀茂明著「決別!日本の病根」(オフレコBOOKS)の2冊。

 アルコールを一滴も飲まない義父との議論は延々と続くのですが、左党の私にとっては少々つらく…。野田首相肝いりの消費税率引き上げが主なテーマでしたが、義父と私の共通認識は、消費はさらに低迷してデフレ経済はより深刻化(増税のためのデフレ・タイミングを見計らってインフレを誘導)し、中産階級の労働者にとってはさらに厳しい世の中になる―ということ。そして、消費税率を上げる前に財務省をはじめとする官僚・公務員の制度改革(末端で頑張っている公務員がいることも理解しつつ)が先ではないかと声を荒げながら、市役所勤めをしていた義母をチラ見しながら議論は煮詰まり…。いずれにしても、米国(ロックフェラー財団)の言いなりになっている財務官僚に政治屋がコントロールされている―という結論で、早くビールにありつきたい輩は早々に引き上げて台所でチビチビと…。

 でも、よくよく考えると、そもそも消費税率の引き上げが「しょうがない」という世論がすでに形成されてしまっているのではないかと思うのです。これはオールドメディア(特に新聞)の報じ方(解説)によるものですが、全国紙のほとんどが「消費税引き上げやむなし」との論調を展開していたように感じます(自宅で3紙取ってますが最近読んでいません)。
▽全小中校図書館に新聞予算計上 15億円、NIEに弾み(2011/12/26共同通信)
http://www.47news.jp/CN/201112/CN2011122601001231.html
 まさか、こんなことで財務官僚と裏取引をしたとは思いたくありませんが、国民の暮らしを代弁する(そう期待してます)新聞社がこぞって「税率引き上げはしょうがない」の世の中ってどうなんだろう。もしかして、新聞が課税軽減の対象品目に加えてもらったから「手心を加えている」と思ったりもして…。新聞界のドンが動いているのかもしれませんが、ありえない話ですね。

 この調子だと2014年4月に8%、15年10月に10%へ段階的に引き上げられることになり、新聞購読料も実質値上げになりそうです。一部マスコミご用達のFACTA(2012年1月号)では「朝日と〇〇は消費税引き上げ分を購読料へ転嫁せず、消耗戦に持ち込む」と書かれていましたが、どうでしょう。販売店への補助金カットなどで相殺するのだとか…。まさにタコ足食いのサバイバル時代への突入です。

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2012年01月11日

2012年もよろしくお願いします!

 生涯忘れることのできない出来事となった東日本大震災。津波の猛威にねじ伏せられた人間の無力感にグッと奥歯を噛む日が続いています。多くの知己が不慮の旅立ちをよぎなくされ、未だに行方不明の知人もいます。
 被災3県の首長たちは「新年の祝賀式等は自粛する」と早々に表明し、喪中の便りにまじって「賀状での挨拶は控えたい」とのメッセージも相当数届きました。私も伯父と伯母を今回の震災で亡くしましたが、被災された方が1日でも早くこれまでの生活に戻るため、これまで通りの生活をすることが大切だと考えています。

 「再生へ 心ひとつに」は、河北新報社が掲げた震災復興のスローガンです。とてもよい言葉だと思います。コミュニケーションを取りづらい社会へ一石を投じた言葉としてのインパクトは相当なものでしょう。しかし、言葉の強みは理解しつつも、それが実践されなければ何の意味も持ちません。果たして「心ひとつに」という言葉をどう理解し、実践していけるのかと昨年4月から携わっているボランティア活動を通じながら日々考えています。

 新聞産業も消費税問題や印刷部門など新聞社間の業務提携の動きが活発になっています。新聞産業のアンカー役を担っている新聞販売店はこれまで培ってきた宅配機能、顧客管理、地域住民とのつながり―という人材資源をもっと活用していかなければならないと思っています。業務提携による効率化も新たな仕事の創出もやはり「人」が知恵を出し合い行動していくしかないのです。
 今年もよろしくお願いします。

 2012年1月

追伸、年明けからいろいろなことがあってPCに向かう気力を失っていました。しかし、きょうであの3・11大震災から10カ月。ふんばらなくては―と自分に言い聞かせて「今だけ委員長の独りごと」の2012年をスタートさせます。今年もよろしくお付き合いください。

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2011年12月28日

被災地で生活する者として2011年を振り返る

 2011年3月11日、午後2時46分・・・。

榴岡小学校緊急避難所@.jpg 東日本大震災の猛威は「想像を絶する惨事」というより、「一瞬のうちに生活者が営んできたこれまでの時間軸を奪い去った現実」と感じています。津波によって家族も、家も、人々の歴史さえも否応なく破壊した今回の自然災害の前に、人間の無力さを痛感しながら「前へ、一歩でも前へ」とふんばってきた9ヵ月間でした。

 「あの震災翌日に朝刊が配達された」と読者から久しぶりに称賛され、ライフラインが途絶した生活者が「紙」の新聞(号外)を食い入るように読んでいる光景も忘れることができません。

上杉支店前.jpg 業界内ではあたかも「紙の復活」のように豪語する先輩方も少なくありませんでしたが、それは有事の際の宅配システムがほんの一瞬スポットライトを浴びただけだと思っています。あの大変な状況下で配達業務に携わった方々のご苦労は計りしれませんが、それで「新聞離れ」が解消されるわけではない。やはり、対価を払って読みたくなる記事コンテンツ(紙でもネットでもそれは共通)が新聞産業の隆盛を左右するのは当然のことです。
 その意味では震災報道を風化させることなく、被災者に寄り添いながら地域の生活者の代弁者として報道し続けること。その必要性を記者の方々も現場に足を運んで感じたのではないでしょうか。俯瞰することだけが記者のよりどころではないはずです。寺島英弥さん(河北新報社編集委員)が唱えるシビックジャーナリズムの実践が、今まさに求められているのだと思います。
 「編集・販売の一体型によるシビックジャーナリズムの実践」、「販売店の物流・データ集約機能を活用した販路拡大」などを新聞産業の内側にいるうちは考え、チャレンジしていきたいと考えています。
 来年もよろしくお願い申し上げます。

 昨年に引き続き、新聞協会報(11年12月20日付)が報じた「2011年報道界重要ニュース」(協会報編集部選定)を引用して、今年1年を振り返ってみます。
注:重大ニュースに順位づけはされていませんが、見出しの大きさなどを勝手に判断して並べています。


@東日本大震災で甚大な被害/印刷委託などで発行継続
 マグニチュード9.0。最大震度7。3月11日午後2時46分に発生した東日本大震災は、新聞発行に甚大な被害をもたらした。
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2011年11月21日

ネットを介した人とのつながりは国境や自分の想像を超える

 ネットを介した人とのつながりって、自分の想像を超えるものだと強く感じるきょうこの頃です。
 以前、私が所属する「ふんばろう東日本支援プロジェクト」というボランティアつながりで知り合ったFM大阪DJ・RIOさん。彼女の紹介で知り合ったイギリスのロックバンド「FEEDER」のベーシスト、タカ ヒロセさんと先週17日、南三陸町歌津地区と石巻市へ支援物資を届けてきました。
 タカさんはFEEDERとしてデビューする前、中日新聞ロンドン支局勤務という経歴があり、年齢も同じということで意気投合。ネットを介して国境を越えた“つながり”を実感しつつ、リアルに会えた時の感動は素晴らしいものでした。
 FEEDERは、東日本大震災支援のチャリティーシングル「SIDE BY SIDE / FEEDER」も発表されていて、英赤十字社の日本津波募金(Japan Tsunami Appeal)に全額寄付する活動もしています。
※購入方法:オフィシャルサイト 
http://www.feederweb.com/よりダウンロード。価格:£ 0.79(約109円)

 タカさんとは何度かメールでのやりとりをさせていただき、「ぜひ宮城の被災地へ行きたい」という彼の思いを実現することができたわけですが、今回は自分の想像以上の展開に…。
 ナント、女優の熊谷真美さんも同行することになったのです。じつは、タカさんと真美さんがツイッターでつながっていて「(震災後)いつか宮城を訪れたい」と思っていた真実さんをタカさんが誘ったというわけです。真美さんのマネージャー・矢島恵美子さんと4人が私のポンコツ車に乗って、南三陸町にある韮の浜仮設住宅へ。

TAKA&真実 大川小 H23-11-17 001.jpg 旧歌津町にある韮の浜仮設住宅では、広島県福山市で新聞販売店を営む、吾川茂喜さん(中国新聞深津北販売所)から「ぜひ被災地へ」と送っていただいた電気ストーブを届けました。ふんばろうの避難所登録をされている小野寺さん(80歳)宅です。
 「お茶っこ飲んでいがいん」と部屋の中へ入れていただき、地震直後の様子などいろいろな話を聞かせていただきました。真美さんを見て「どっかで見だごどのある顔だなぁや」と小野寺さん。「マー姉ちゃんだよ」と答える真美さん。みんなで四畳半部屋のコタツを囲み、ミカンをいただきながら談笑が続きました。


徳島新聞 11月10日付.jpg 私のポンコツ車は南三陸町から石巻市へと南下。次なる訪問先は津波によって全校児童108人のうちの7割が犠牲(行方不明)となった大川小学校(石巻市河北町)を訪れ、手を合わせてきました。その後、大川小児童が通っている飯野川第一小学校へ徳島県のダンススクール「WITH」からお預かりした音楽CDや義援金を届けました。このつながりも徳島新聞社に勤める友人の佐藤雅之さんから「ぜひ直接渡してほしい」と相談を受けたもの。児童へ直接お渡ししたかったのですが、マスコミの取材攻勢で精神的にも疲弊している児童たちとの面会は難しく、遠目から見ることしかできませんでした。そうです。すでにメディアスクラムが起きているのです。対応していただいた近藤和夫先生に話を聞くと、無造作にマイクを向けてコメントを引き出そうとするマスコミ関係者は少なくないとのこと。校門の前で待ち構え、声も掛けずにシャッターを押すマスコミ関係者の行為に対して、児童たちは相当の不信感を抱いているようです。
 佐藤さんからお預かりした支援物資は、23人の児童と遺族の会へ渡していただくよう近藤先生にお願いしてきました。

大川小.jpg メディアスクラムの問題は新聞をはじめ各メディアに携わる人たちには真剣に考えてもらいたいと思います。児童たちは自分が言ったこともわからなくなるくらい同じ質問を複数の記者から受け、写真をバチバチ撮られることの精神的ストレス…。その紙面を見たご遺族の方々の無念さ…。メディアに対して「そっとしておいてもらいたい」ぽつりとこぼされた近藤先生の言葉に胸が痛みました。


 被災地への支援のあり方については、物資支援から就労、学習、情報通信などの支援へと変化しています。東日本大震災のことを「忘れない」、マスコミには取りあげられない現地の状況を「伝える」ことが大切だと思っています。タカさんや真実さんにも被災地を「忘れない」、「伝える」ことをツイッターや個人のブログで発信してほしい―とお願いしました。でも、そっとしておかなければならないことも被災地にはある。マスコミ関係者はそのあたりを慎重に触れてもらいたい…そう願います。

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2011年10月22日

新聞社のネット展開 金儲けだけの話じゃない気がするのですが…

 新聞社が「紙か、ネットか」という力の入れ方を選択すること自体ナンセンスで、「(事業として)両方やる」ことが必要だと小ブログでも書いてきました。
 「ニュースコンテンツの発信方法の違いで右往左往するよりも、読まれる記事を提供すれば読者は購読料を払う」という基本的な考えに変わりはないのですが、新聞はパッケージ商品として価格が設定されているため、「価格差」と「ネット環境」、そして「それぞれのメディアからのロイヤルティ(付加価値付与)」によって、消費者の選択肢はいろいろと広がっているようです。


 ライフメディアが行った「新聞に関する調査(11/21プレスリリース)」によると、今回の調査で以下の内容がその主だった特徴と分析されています。


■新聞(紙媒体)を「ほぼ毎日読んでいる」人は48%。若年層は「ほぼ毎日読んでいる」人が少ない傾向がみられる。
■新聞を読んでいる人の89%が「定期購読(自宅)」で購入していると回答。
■新聞の定期購読は88%が「1紙」と回答。
■59%が最初に目を通すのは「一面」と回答。
■新聞を読んでいない理由は「インターネットのニュースで十分だから」「テレビのニュースで十分だから」が上位に。
■新聞の電子版、10%近くが「現在利用している」。「58%は「利用してみたい」と回答。
※調査結果:有効回答数1200件、調査期間:2011/10/1〜10/6、対象者:10代から60代の全国男女

 新聞を購読していない理由(購読していない人336人の回答)のなかで、「インターネットのニュースで十分」が560.%、「テレビのニュースで十分」47.3%、「価格・購読料が高い」36.3%、「新聞を読む習慣がない」31.3%と続いています。トップの「インターネット…」は各新聞社やポータルサイトのトップページにある無料配信されているコンテンツを指し、3番目の理由にあがっている「価格・購読料…」も含めると情報収集に対して支払う費用が縮小もしくは、その効果が費用以上に表れないため無料のもので間に合わせているという印象を受けます。世間ではケータイ電話よりも毎月の利用料が高めの「スマフォ」の利用者が増えていることからすると、NHK受信料なども含めた1世帯(1個人)あたりの情報通信メディアに使われる費用は、総収入の低下傾向を反映して「絞り込み」に入っていると思われます。

【新聞社の次なる収益拡大策は紙か、ネットか】
 ポータルサイトへ配信されているニュースコンテンツはその多くが新聞社によって提供されているわけですが、広告モデルで成長してきた(無料)ポータルサイトへの配信料を引き上げることは至難の業。ということで、日本経済新聞社(2010/3〜)、朝日新聞社(11/5〜)は有料「電子新聞」を創刊し、「紙」の購読者へ配慮した形で価格設定を行い、ニュースコンテンツの購入者拡大に取り組んでいます。

 そのなかで、読売新聞社の動向が業界内でも注目されているわけですが、「月刊FACTA」11月号に読売の電子新聞に関する見通しが掲載されています。読売へ一定程度の取材はしたようですが、その全容はまだベールに包まれたまま(記事では2012年3月から有料電子版を創刊する方針を固めたと観測表記になっています)。読売ほどの大新聞社ですからシステム構築などは既にできあがっていると思われますが、現状の新聞社の経営基盤を支えている「紙」の読者を下支えするために、ネットを活用するという読売のスタンスに変わりはないようです。
 読売は3・11大震災で一時的に1千万部(ABC部数)を割ったものの、また復元させてきたところを見ると(販売店へかなり強硬に押してるみたいですが)「紙」に特化した企業戦略は当面続くようです。

▽正体あらわす読売の「電子新聞」(FACTA 2011年11月号)
「紙の1千万部死守」が至上命題。料金は日経、朝日の半分以下か。新聞購読者にのみ電子版ニュースを配信する構想。(全文読むには会員登録が必要)
http://facta.co.jp/article/201111018.html

※追記(10/24)
jazzcupさんからのRT「特に地域に由来するメディアにとっては、まず非営利の分野でどれだけ実績を残せるかが重要です。ビジネスはその先の話です

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2011年09月28日

常に町民目線で情報発信/亘理町災害ラジオ「FMあおぞら」

 東日本大震災では一時的かつ局地的にライフラインが寸断され、情報収集に困難を極めました。その際、大いに役立ったメディアとして新聞(宅配)やツイッターなどのソーシャルメディアに加え、ラジオが脚光を浴びました。震災以降、臨時災害FM局が立ち上がり、現在も地域住民の情報源として活躍しています。


東日本大震災の災害FM、長期放送へ
 東日本大震災の被災地で始まった臨時災害FM局の多くが免許の有効期間の2カ月を超えても放送を続ける見通しだ。岩手、宮城、福島、茨城の4県で31日現在、開局中の災害FMは18局。うち、すでに11局は設置から2カ月が過ぎた。過去に2カ月を超えて継続したのは3例だけで、東日本大震災ではかつてない規模の災害FMが長期の放送を続けることとなる。
 災害FMは市町村が免許を申請し、役場内や既存のコミュニティー放送局に設置する。総務省によると、大震災では3月11日以降、順次24局が設置され、廃止・休止となったのは6局だけだ。
 被災地では復旧作業が長期化して避難生活を続ける人も多く、細かな生活情報を伝える必要もあることから、今後、期限を迎えるFM局も多くが免許期間を延長して放送を継続する。
【臨時災害FM局】 阪神・淡路大震災を受け、1995年2月に初めて開設。住民の安否やガス、水道、道路の復旧状況など地域の災害関連情報を放送、防災無線の代わりに活用する自治体もある。コミュニティーFM局と違い、口頭での申請が可能。免許を取得できるのは自治体のみ。自治体が独自に開設するほか、地元のコミュニティーFM局に業務を委託するケースがある。
(神戸新聞 2011/05/31より一部抜粋)


FMあおぞ chirasi.jpg 先月14日、私のケータイに一本の電話が入りました。「ワンコイン応援メッセージのチラシをうちの局で紹介したいのですが…」というもので、同日に亘理郡亘理町と山元町へ約1万枚、各町役場の広報も兼ねたワンコイン応援メッセージのチラシを河北新報や朝日、読売などの各紙に折り込んだものを見られたのだとか。その電話の主が亘理町災害ラジオ「FMあおぞら」の方でした。
ワンコイン応援メッセージ第4弾(亘理、山元町編)を発行しました(8月11日付エントリー)
 「一度、訪れてみたい」と思っていたのですが、先週23日に亘理町の仮設住宅へ支援物資を届ける際に表敬訪問をさせていただきました。亘理町役場敷地内にあるプレハブ建ての放送局に入ると明るいスタッフの方々が出迎えてくれました。こんな元気な方々は発信する番組ならさぞ楽しい番組を発信さえているのだろうと伝わってきます。
FMあおぞら[2].JPG FMあおぞらは震災から13日後の3月24日に開局し、1日6回(8時、10時、12時、14時、16時、18時)亘理地区のさまざまな情報を伝えています。現在、番組編成やDJなど約15人のボランティアで運営し、常に町民目線で情報発信を行っています。最近は復興イベントが多く取材スタッフも大忙しなのだとか。対応していただいた放送担当総合サブチーフの西垣裕子さんは「毎朝8時の放送で河北新報の記事を何本か読ませていただいています」とのこと。番組で読まれた紙面スクラップがところ狭しと積まれてありました。


 これまでラジオから流れるニュースは、その多くが新聞などのマスメディアが発信したものを音声で伝えることを担ってきたように思います。でも被災した地域の臨時災害FM局はボランティアスタッフが方々を駆け回り、取材した新鮮な内容を発信するメディアとして地域住民の信頼と共感を得ていると感じます。震災前も高齢化が進んでいた被災地エリアでは、やはり新聞とラジオが最も必要とされたメディアだと強く感じています。
※ ※ ※
余談「左右に374mmの揺れに耐えた印刷センター」
印刷センター揺れ具合[1].jpg 私が勤める会社を含む某新聞社グループ会社の従業員を対象に「グループ会社見学ツアー」が先日行われ、参加してきました。折込会社や印刷センター、新聞販売店に広告会社5つの会社をまわって震災時の状況や現在の課題などの講話をそれぞれの担当者からうかがいました。
 特に関心を持ったのは、3・11大震災をもろともせず新聞発行を続けた河北新報印刷センターの免震建築工法の素晴らしさです。揺れを吸収するゴムが建物の土台を支えていると想像してください。それで3・11大震災時にはどの程度揺れたのかというと、左右に374mmも動いたのだそうです。あの巨大な建物が約40センチ近く揺れるとは…まさに想像を絶する地震だったということを改めて痛感しました。
   

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2011年07月05日

私が知ってるB型の九州出身者にこんな非常識な人いない

 迷走から最近では開き直りすら感じる菅首相の肝いり?で復興担当相に就任した松本龍氏。同氏が岩手、宮城の両県庁を訪問した際の態度が被災地住民の感情を逆なでしたとの批判が相次いでいるわけですが、小ブログでは同氏の「書いた社は終わりだ」発言について、考えてみたいと思います。

▽復興相「突き放す時は突き放す」 宮城・岩手知事に注文(河北新報 7月4日付)
http://bit.ly/mR3iqx
▽松本復興担当相、自らの発言について釈明 「九州の人間ですけん、語気が荒い」
http://bit.ly/mE9lHA


(FNNニュースサイトから引用)
 松本 龍復興担当相の岩手・宮城の両県知事に対する高圧的な発言が、新たな火種となっている。
 4日午後3時30分、自身の被災地での発言に批判が出ていることについて、松本復興担当相は「わたしは九州の人間ですけん、ちょっと語気が荒かったりして、結果として被災者の皆さんを傷つけたということであれば、おわびを申し上げたいと思っております」と述べた。
 問題となっているのは、3日、岩手県と宮城県を訪問した際の一連の発言。
 松本復興担当相は3日、「知恵出したところは助けますけど、知恵を出さないやつは助けない」、「おれ九州の人間だから、東北が、何市がどこの県とかわからんのだ」などと述べた。
 さらに、岩手県庁に続いて訪問した宮城県庁では、会談を行う部屋に入った際、村井嘉浩知事がいなかったことに対して、「(知事が)先にいるのが筋だよな」と、不満を口にした。
 そして、笑顔で入室した村井知事が、握手を求めて近づいたものの、松本復興担当相は「握手は終わってから」と、それを拒否した。
 ついには、「県でそれコンセンサス(総意を)得ろよ。そうしないと、われわれ何もしないぞ。だからちゃんとやれ、そういうのは。それと、今、あとから自分(村井知事)入って来たけど、お客さんが来る時は、自分が入ってからお客さん呼べ。いいか、『長幼の序』がわかっている自衛隊なら、そんなことやるぞ。わかった? しっかりやれよ。いまの最後の言葉はオフレコです。いいですか皆さん、いいですか。書いたら、もうその社は終わりだから」と、自らをお客さんとしたうえで、自衛隊出身の村井知事を説教。
 カメラ前での発言にもかかわらず、一方的にオフレコを宣言し、書いた社は終わりだと、どう喝ともとれる発言まで飛び出した。
 これらの発言について、4日、被災地で聞くと、宮古市民からは、「もう憤り通り越して、あきれ返っちゃったよ。レベルが低すぎ」、「東北のことを、もっとよく勉強してほしい」、「あんな言い方はないと思います。菅総理以上に、あの人はすぐクビにしてください」といった声が聞かれた。
 また、自民党の大島理森副総裁は「誠に遺憾だなと。上から目線の発言は、よくありません」と批判した。
自民党の山本一太参院政審会長は「『ゴーマン復興大臣』だなと。あしたでも、すぐに辞めてもらって、新しい大臣にやってもらいたいと」と述べた。
 新設された復興担当相に、6月28日に就任したばかりの松本 龍大臣。
 自ら、「チームドラゴン」と命名したうえで、サングラス姿で会見に臨み、「わたしは3月11日以来、民主党も自民党も公明党も嫌いです」と発言。野党から批判が出て、陳謝したばかりだった。
 4日午後、松本復興担当相は、官邸を出る際、「呼ばれて入ったら、3〜4分出てこなかったんですよ。だから、怒ったんですよ。九州の人間は、お客さんが来る時に、本人いますよ」と、村井知事が先に部屋がいなかったから怒ったと主張した。
 しかし、当の村井知事は4日、「大臣が席に着かれたあと、私が入室したということでございます。社会通念上、通常、そのような接遇が正しい接遇だと、このように私は理解しております」と、社会通念上、正しい対応で約束した時間に部屋に入ったと反論したうえで、松本復興担当相の口調について、「命令口調ではなく、お互いの立場を尊重したような話しぶりの方がよろしいのではないかと」と述べた。
 そして午後、あらためて釈明に臨んだ松本復興担当相は、「わたしはちょっとB型(血液型)で、短絡的なところがあって、さっき女房からも電話がありましたし、反省しなければならないと思っています。(野党からは辞任や更迭を求める声があるが?)いや、このまま、まっすぐ前を向いて、復興にあたっていきます」と述べた。
 松本氏は、1990年に当時の社会党から出馬して初当選した。選挙の強さでは定評があり、現在、当選7回。そして2010年9月、環境相兼防災担当相として初入閣した。このあと、2010年10月、名古屋で開かれたCOP10(生物多様性条約第10回締約国会議)では議長を務めた。2010年分の国会議員の所得公開では、松本氏は、不動産収入の多さから7,143万円と、菅内閣でトップ、全体でも5位となっている。07/04 17:54(引用終わり)

 この松本復興担当相の対応に対して、民主党議員がツイッターでこんなことを述べています。これは2チャンネルから引用。


@yukiko_kajikawa 梶川ゆきこ(前広島県議会議員 民主党)
松本大臣の件。宮城県の対応が酷すぎ。
ふつう、マスコミのカメラの前で大臣が待ちぼうけくらうとこ撮らせないでしょ!
別室に案内して、お待ち頂いて、知事が会合する場に到着したら、大臣を迎え入れるのが常識。
まぁ、知事がああだと、職員も気がきかなくなる。大臣を怒らせた県の接遇がマズすぎだ。
@yukiko_kajikawa 梶川ゆきこ(前広島県議会議員 民主党)
復興利権がほしくて、ヨダレを垂らし、腹を空かせて待ってる狼どもは、足を引っ張ることは、何でもやるでしょ。
松本大臣は、はめられただけ。宮城県は、大臣を怒らせて何の得があるんでしょう。
既得権を守りたい獣らの術に惑わされんぞ、ガツン!と一発かますのは当然でしょ。それが敵の狙いだった。

※@yukiko_kajikawaは非公開設定です。
(引用終わり)

 こういった具合に、ほとんどが可視化される社会の中で、「オフレコ」といったところで人間は誰かに伝えたがる生きもの。特にオモシロ可笑しかったり、深刻で重要な問題については黙っていられず「ここだけの話」は一斉に伝播されるものです。

 今回の問題について角度を変えて考えると、松本氏が「俺の発言を書くな(映像からカットしろ)」とマスコミ取材陣へ強要した時に、「そんなことはできない」と反論する記者がいなかったことは残念。河北新報の紙面ではオフレコを強要した「客が来るときは自分が入ってから呼べ…」との発言は掲載されていたものの、会見の最中に「書いた社は終わりだ」とまで言われてニコニコしていなくちゃいけないとは…。
 あのような勘違いしている権力者に対して、ニコニコしながらご機嫌うかがいをしてネタを引き出すのが記者の仕事とは思いたくありませんね。記者の方も両論併記とか俯瞰する姿勢とか言う前に、自分の感受性くらい自分で守れ!とエールを送りたい気持ちです。
 で、この松本氏と岩手、宮城の両知事との会見。しょせん税金でメシを食っている輩たちの力関係や存在感を示すだけのポーズとしか感じられない―という感想です。

【追記】
 辞任ですか…。松本さんの政治は俗にいう「ハッタリ8分の能力2分」で世渡りをしてきたことが証明されたようなものですね。ムダな時間を費やしました。でも、今だけ委員長の捉え方は「なぜ会見に同席していた記者たちが、松本氏の恫喝に対してその場で反論しなかったのか」ということです。
▽松本復興相が辞任、菅政権に打撃 被災地放言で引責(河北新報 7/5)
http://bit.ly/lWGN4T
▽松本復興相辞任「当然」 被災者の怒り沸々(河北新報 7/5)
http://bit.ly/jre77u

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2011年06月27日

「ほぼ日刊イトイ新聞」糸井重里さんの視点と影響力

 彼の本職はよくわからないのですが、コピーライター(たぶん)の糸井重里さんが運営する「ほぼ日刊イトイ新聞」に、私が参加している「ふんばろう東日本支援プロジェクト」で代表を務める西條剛央さんのインタ記事(7回連載)がアップされています。

 「ほぼ日刊イトイ新聞」は14年も続く情報発信サイトで、時折グーグル・アラートにも登場するのでチェックしていました。取り上げる話題はエンタメ系から哲学まで幅広く、糸井さんの視点を通じてものごとをわかりやすく発信しています。「型にはまらない」糸井さん独特の物言いは、幅広い読者層からの信頼を受けていて、かなりの影響力がある媒体として注目されています。そんな糸井さんも62歳だとか。ネットだけとかテレビだけと自分の守備範囲を決めることなく、多方面で活躍されるあたりがイイ感じです。
 「ほぼ日刊イトイ新聞」も動画ではなく、文字で発信しているので新聞の片隅にこんな連載があったら、楽しいコンテンツになると思うのですが・・・。
http://www.1101.com/funbaro/index.html



※ほぼ日刊イトイ新聞から抜粋

力強い被災地支援プロジェクトをつぎつぎ立ち上げている「ふんばろう東日本支援プロジェクト」の西條剛央さんに、お会いしました。そしたら、被災者支援、東北復興に対するアイディアの「分量」と「おもしろさ」がすんごいのです。糸井重里とわれら、聞いてて大興奮しました。たとえば、被災地に浸かってない家電を送るプロジェクトがあるんですけど、どうやって「壊れてないかどうか確かめる」か想像つきます?とにかく、もう、読んでみてください。

第1回 構造構成主義という学問。(2011-6-17)
第2回 あとは勝手に動いてください。(2011-6-20)
第3回 ゴールド・ペーパー・ドライバー。(2011-6-21)
第4回 家電プロジェクト。(2011-6-22)
第5回 重機免許の取得プロジェクト。(2011-6-23)
第6回 津波を「いなす」マンション。(2011-6-24)
第7回 被災者が生活者に戻るとき。(2011-6-27)

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2011年06月01日

ハードスケジュールも苦にならない充実感 佐賀労組50周年式典

佐賀労組50周年記念誌.jpg 佐賀新聞労組結成50周年記念式典へ参加してきました。
 目的は3つありました。@お世話になっている佐賀新聞の仲間と会いたい(フェイスブックで案内された)A記念講演を聴きたい(顔ぶれがすごい)Bワンコイン応援メッセージプロジェクトを呼びかけたい―。

 月末で仕事の調整がつかなかったため、久しぶりの「弾丸ツアー」となりました。往路は5月28日23時に仙台を出発、夜行バスで東京へ。羽田から翌29日7時20分の移行機(ボンバル機ではありませんでした)で佐賀へ。復路は当日の19時に逆ルートで佐賀を立ち、仙台に到着したのが30日5時30分…。ちょっとつらかったのですが、参加した甲斐がりました。佐賀へ伺うのはこれが4回目。

佐賀シンポ クリア.JPG 式典に先立って行われた記念講演(パネルディスカッション)では、よくぞこのメンツを集められたものだ―と感心した業界人も多いはず。佐賀新聞の紙面アドバイザーを務める茂木健一郎氏(脳学者)、テックウェブ代表の湯川鶴章氏、ジャーナリストの佐々木俊尚氏という顔ぶれですから、「新聞に対する苦言が多いだろう」と想像していたものの、内容はその想像以上でした。茂木氏は「新聞はもうダメなんだ」という新聞破滅から議論がはじまったのですから…(笑)三氏は「情報収集の環境が劇的に変わったため、個人ブログの方が専門的な内容を発信している」との事例をあげ「新聞はおもしろくない」を連呼。「良い記事を書けば読者は増えると考えているうちはビジネスモデルなど考えられるはずはない」とボディーブローを連発。会場からは苦笑が漏れだすものの、カウンターパンチを繰り出すことはできませんでした。残念ながら…。その中で、河北新報の被災地関連の特集(「ふんばる」など)について、「記者が相当頑張っている」との話も出されました。詳細はツイッターのハッシュタグ(#sagaroso50)でタイムラインを追ってみてください。同講演はユーストリーム(動画)でも配信されました。

記念講演会.jpg市民対話集会.jpg 佐賀新聞労組は毎年、「市民対話集会」を催しており、県民とともにジャーナリズムの問題について「対話」する労組として、新聞労連内でも注目されています。結成50周年の記念式典前日に開かれた「市民対話集会」では、フリージャーナリストの寺澤有と常岡浩介の両氏をパネラーに熱い議論が交わされたようです。

 佐賀新聞労組の計らいで会場受付脇に「ワンコイン応援メッセージプロジェクト」のブースを設けてもらいました。式典でも被災地の報告とプロジェクトの紹介をさせていただいたところ、佐賀新聞労組の仲間や来賓の毎日、長崎労組の方々、一般参加の新聞販売店勤務の方、以前に旦那さんが新聞販売店を営んでいたというご婦人からも2口、10口と申し込みを受けました。とてもありがたく、思わず涙があふれて出てしまいました。
PJ案内.JPG 個人で運営しているプロジェクトですが、動けば何とかなるものです。この取り組みに賛同していただいた方からの「心のこもったワンコイン」をできるだけ多くの新聞販売店へ折込チラシとして届けたいと思います。

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2011年05月17日

震災時のメディアのあり方、今後のビジネスモデルの可能性を提言/櫛引素夫氏・弘前大研究会(東奥)

 日本新聞労働組合連合(東海林智委員長)の研究機関、産業政策研究会メンバーでもある櫛引素夫さん(東奥日報社)が15日、仙台市青葉区片平にある東北大学を会場に開かれた東北地理学会春季学術大会で「東日本大震災とメディア・ビジネスモデル−東北の地方紙を中心に−」というテーマで、東日本大震災でのメディアのあり方について発表されました。
 櫛引さんは新聞記者として働くかたわら、大学の地域社会研究会などで地理学や新幹線開通による地域振興などをテーマに研究活動をされていて、著書に「地域振興と整備新幹線『はやて』の軌跡と課題」(弘前大学出版会)などがあります。

 20分間という短い時間でしたが、情報の発信者と受け手を適切につなぐ手段を新聞社は「紙」、テレビ局は「電波」という自らの発信手法に固執することなく、ソーシャルメディアを活用することが求められており、被災地支援に大きく貢献するだけでなく、メディア全般にとっても新たなビジネスモデルを模索する出発点となり得ることが提起されました。会場からは、メディアという広義の内容であったため、今回の震災時における各メディアを@新聞→停電時は新聞による一次情報(記録)が役立ったAテレビ→民放はストーリーを描きすぎBラジオ→大いに役立ったが記憶でしか残らない―という印象で捉えているように感じました。

▽2000年前にも同規模津波 東北学院大調査(河北新報 5月16日付)
http://bit.ly/k3eg5K

【発表要旨】
東日本大震災とメディア・ビジネスモデル−東北の地方紙を中心に−
櫛引 素夫(弘前大学地域社会研究会)

 2011年3月11日に発生した東北太平洋沖地震と大津波は、東日本一円に多大な被害をもたらした。死者数や行方不明者数は発表されているものの、5月中旬の時点でも、震災の全容が判明したとは言い難い。今回の震災がディア各社の空間的な対応能力を超えかねない複合性と多様性を呈していることから、報道やインターネット等で流通している情報の空間的な整理が必ずしも適切になされていないため、被災地域の広がりと被災の程度に関して、共通認識が十分に形成されていないことが、全容解明が進まない要因となっている可能性を指摘できる。復旧・復興に向け、地理学関係者の支援が早急の課題となっている。
 今回の震災は、地震動や津波の直接被害だけをみても、例えば漁村集落のうち最も海に近い1戸だけが被災した例から、陸前高田市や石巻市の中心部、仙台市若林区が1000戸単位で壊滅的被害を受けた例まで、多様な状況を呈している。加えて、ライフラインや行政機能、医療機能の損傷、交通インフラの損壊に伴う移動と物流の障害、計画停電を含む大規模停電、さらには福島第一原発の事故に伴う放射性物質の放出と風評被害の発生といった現象が、さまざまな空間的規模で、かつ重層的なダメージを各地に及ぼしている。
 主要メディアは規模別には、日本全体と海外をカバーする全国紙・通信社とキー局・NHK、複数県をカバーする(準)ブロック紙、県域をカバーする県紙およびローカル民放、さらに各県の特定地域をカバーする地域紙およびコミュニティーFMなどに分類できる。メディアは総体として、取材対象の空間的、社会的枠組みに対応した階層的な構造を持ち、一般に取材エリアが狭いほど、住民に身近で詳細な情報を取り上げる傾向がある。
 東北各地の地方紙関係者への聞き取りなどによると、直接被災した地域の各社は新聞製作機能や取材拠点、配達網に深刻な被害を受けた。福島県などでは記者が死亡したほか、数日間は社員の安否確認も思うに任せず、特に本震発生直後は被災地の状況を必ずしも十分に把握しきれなかった。その後、地元メディアの報道は質量とも充実していったが、被災地のニーズに比べてマンパワーが限られ、まだ取材が行き渡っていない恐れがある。また、地元メディアは県境などを空間的な報道単位としつつ、域外の情報は通信社等の機能を利用してきたため、被災地の復興に向けて、通信社等の広域的な視点からの報道と自らの報道をどう整合させていくかが課題となる(例えば、青森県は戦後最大級の820億円余りの被害を受けたが、岩手県などに比べて数字上の規模は小さく、被災地域も太平洋岸の一部に限られており、「被災」の捉え方について県内でもずれがある)。
 他方、全国メディアは本震発生直後から数十〜100人規模の取材者を被災地に派遣し、多様な情報を伝えてきたが、膨大な情報の整理が必ずしも追いついていない。また、取材者自体が入れ替わり続けている事情もあり、被災地の状況の変化に対応した、現地の当事者が復興に向けて必要とする情報を提供できるかどうかが課題の一つとなっている。
 今回の震災に際しては、被災地の情報について、相当の空白が生じているという指摘もある。「被災」のイメージや大量の情報を空間的な観点から再整理し、情報の空白の有無を検証することは、被災地の支援策や復旧策を検討する上で非常に重要な作業である。メディアにおける「視点・情報・問題意識」と「全国・地方・地域の空間・社会的枠組み」の再整理に向けて、地理学関係者の適切な助言が不可欠と考えられる。
 一方で、短文投稿サイト「twitter」やブログでは、特に本震発生直後、被災者自らによる多数の発信があり、コミュニティーFMなどの活動とともに、災害時の情報伝達の新たなモデルを提示した形になった。災害時に情報の発信者と受け手を適切につなぐ手段を構築することは、被災地支援に大きく貢献するだけでなく、厳しい経営環境に直面している被災地の新聞社をはじめ、メディア全般にとっても新たなビジネスモデルを模索する出発点となり得ることから、経緯と現状の検証が急務となっている。(2011年5月15日:東北地理学会春季学術大会・仙台)

*   *   *
▽避難所へ届けている新聞を発行本社が原価補てん
 先のエントリー「避難所へ届けられている新聞 販売店が費用負担しているのです」(4月17日付)で、「避難所へ届けている新聞も県庁や市役所への来訪者が持ち帰る新聞も、その原価(新聞の)は販売店が負担しています。今のところ「補填」の話は聞こえてきません・・・新聞社の経営も相当なダメージを受けていることも理解しつつ、販売店支援策を発行本社として講じてもらいたいものです」と書きましたが、先日、勤務先の役員から「避難所へ届けている分の原価は発行本社が補てんすることになった」という説明を受けました。その補てん額はおおよそ私の年収分。
 経過の一部分だけを取り上げた(エントリーした)時点から、状況が変わったので誤解を招かないように、正確に報告することにしました。先のエントリーの一部を「避難所へ届けられている新聞は、新聞社が原価負担(販売店は配送の労力提供)しています」へ訂正します。

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2011年05月11日

災害時の取材ガイドラインは機能しているのだろうか

 きょうで東日本大震災から2カ月。被災地では慰霊祭や地域復興に向けたシンポジウムなどが開催される予定です。

 きのうは、東京電力福島第1原子力発電所周辺の避難指示区域(半径20キロ以内)にある川西村などの住民が一時帰宅しました。その様子を取材する記者と避難地域へ記者を派遣する新聞社の判断はどのようなものであったのか、いろいろと感慨を深くしています。各新聞社では取材活動に関して従業員の安全対策を考慮したガイドラインが設けられているはずですが、そのガイドラインがどのように運用されているのだろうか…。「メディアの役割」と「人命優先」の優先順位は明確でありながら、ギリギリのところまで「暗黙の了解」がまかり通るメディア産業。以前、雲仙普賢岳噴火の取材をめぐって、土石流により殉職した記者のことを思い出します。有事の際の取材のガイドラインを「仕方ないから」とぼかすことなく、きちんと履行する、させることが必要だと思います。

 「テレビ局や新聞社が地域住民を見捨てて、足早に去って行った」。福島原発の半径20キロ圏内に避難指示が出された後、そのような声が避難指示区域に最後まで残っていた住民が声高に訴えている光景が、後日のテレビや週刊誌などで報じられました。しかし、メディア(ジャーナリスト)としての使命感あふれる行動は賛美されるのですが、その記者たちの命にかかわることまでは誰も責任を負えないのです。
  http://www.47news.jp/photo/195239.php
 この間のメディアのあり方について、しっかりと検証していかなければならないと思っていますが、私自身その余裕がありません。ぜひ、メディア(特に新聞)研究をされている方々に多方面からの検証をしていただきたいと思います。


 先日、読売新聞が発行した「特別縮刷版 東日本大震災」が大好評のようです。さすが全国紙は動きが早い。
http://info.yomiuri.co.jp/mag/book/11syukusatu.html
 3・11大震災以降から1ヵ月の足あと(紙面)を“残す、語り継ぐ”ことは大切だと感じます(3月11日夜に新潟で印刷した「幻の号外」などを含めて)。 このところ、多くのメディア関係者や地元の知人などから「なぜ河北新報は(縮刷版を)発行しないの?」という話を頂戴する機会が増えています。夏頃には発行する予定とのことなので、もうしばらくお待ちください。現読者への特別価格などもあると売りやすいのかなぁと思ったりしています。例えば新聞社の会員組織の加入者には限定価格で販売するとか。再販があるので難しいかもしれませんが…。
 いま、ネットオークションでは3月12日から1週間分の地元紙が1万円程度で売買されています。これだけ新聞が注目されるのも久しいわけですから、早めの対応が必要です。熱がさめやらぬ前に…。
*   *   *
 個人的にボランティア登録をしている「ふんばろう東日本支援プロジェクト」をウオッチされている方から、新聞記事のまとめを送っていただきました。以下にリンク先を列記します。


ふんばろう東日本支援プロジェクト」を取り上げた新聞各紙の記事(まとめ)
▽「廃墟の港町に仮店舗 南三陸の三浦さん 包丁掘り出し再開」(朝日新聞 4月13日付)
 
http://bit.ly/iJuOYu
▽「『必要なもの』確実に ネット活用で支援円滑に 希望を効率よくマッチング」(東海新報 4月17日付)
 
http://bit.ly/lZYEKF
▽「行政介さず 直接支援」(毎日新聞 4月17日付)
 
http://bit.ly/fGtpYk
▽「支援物資ニーズ公開,ネット威力 早大講師ら支援」(河北新報 4月23日付)
 
http://bit.ly/dKlURq
▽「自治体の「中抜き」引き起こす被災地支援の新たな流れ」(日本経済新聞 4月28日付)
 
http://s.nikkei.com/mlLisf
▽「ネットで効果的に物資援助 必要なもの直送」(岩手日報 4月29日付)
 
http://bit.ly/iJTKTm
▽「支度の避難者支援サイト,ボランティア現地で参加募る」(読売新聞 5月1日付)
 
http://bit.ly/mQ7lgh
▽「町を鼓舞「俺はやる」鮮魚店社長 三浦保志さん(56)=宮城県南三陸町」(河北新報 5月1日付)
 
http://bit.ly/lFltUk
▽「在宅被災者孤立防げ 市民グループが『ご用聞き』」(河北新報 5月3日付)
 
http://bit.ly/iDSx1F

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2011年05月03日

被災者が住む応急仮設住宅世帯を特区扱いとし、購読料の軽減措置の実施を求めたい

 きょうのエントリーは、久しぶりに新聞販売の話です。
 津波被害などで家を失った被災者は、避難所から仮設住宅へと生活拠点を移し始めています。仮設住宅へ入居される被災者は「住」にあたる賃料や一定のライフラインは行政側が負担するのですが、そのほかの「衣・食」は個人負担(継続したボランティアの支援が欠かせません)となります。そして、新聞などの日常品も被災者個人が購買することになります。

 ぜひ、新聞社に考えていただきたいことがあります。被災者が住む応急仮設住宅世帯を特区扱いとし、購読料の軽減措置に取り組んでもらえないかということです。

 応急仮設住宅へ入居される被災者は自宅を失ったなど、一定の条件を満たした方だけです。いわゆる被害を受けたランクが高い被災者。特に津波被害が甚大だった沿岸部では、被災者の多くが漁業や農業の一次産業従事で、高齢の方の比率が高いと聞きます。その世代は新聞の購読率が高く、まさに新聞を読むことが生活の一部となっている方々なのです。
 再販制度など何の障壁にもなりません。新聞社が「応急仮設住宅に住む3・11大震災で家屋を失った被災者」を限定して特別料金を設定すれば済むことで、特殊指定の問題もこの現状でとやかく言う人はいないでしょう。特区扱いの特別料金適用を実施から3年間と上限を設けるなどの付記をすれば、大きな混乱はないと思います。
 朝日新聞や山形新聞が「学割」に取り組んでいるのですから、応急仮設住宅世帯(被害のランクが高い被災者)への特別料金を設けることの意味合いは、それよりも高いのではないでしょうか。これはやはり販売店が考えることではなく、再販制度という販売店へ購読料金を守らせる権限を有する新聞社が対応しなければならない問題だと思います。販売店への新聞原価補填の問題も含めて、ぜひ検討してもらいたいと思います。

 宮城県土木部住宅課の発表によると、5月3日現在で入居が始まっている応急仮設住宅は14団地、1312戸。仙台市内では「あすと長町38街区」の1カ所、119戸ですでに入居が始まっています。現時点では第6次着工分まで含めると132団地、11,309戸まで建設される予定となっています。
▽宮城県応急仮設住宅 完成一覧(4月30日)
http://bit.ly/lsbStm
▽宮城県応急仮設住宅 建設予定について(第6次着工分)
http://bit.ly/ijIpk4

 先日、職場の上司が応急仮設住宅での新聞販売のルールなどについて全国紙系の販売店主らと議論をしているようでした。新聞社間(販売局の担当同士)では避難所における販売行為などについて「紳士協定」を結んだというようなことを聞きましたが、現場まではそのような話が正確に理解されていないのが実情です。逆に販売店主らは「応急仮設住宅へ入り込んでの拡張行為は余計に非難を浴びるだけだろう」と話しているのに、発行本社の担当員からは「そこで部数を伸ばせ」と煽られる。
 阪神・淡路大震災の時には避難所で「神戸新聞がつぶれるのでうちの新聞と契約してください」と商品券を配りながら新聞拡張をした火事場泥棒が絶えなかったと聞きますが、東北の被災地では絶対そのようなことはさせたくありません。
 今のところ、地元各系統店主会の主導で行政側へ了解を得ながら、応急仮設住宅へ入居する被災者に対し、「全紙共通の申込書」を返信封筒と一緒に配布するような取り組みを進めているようです。これも現場の各系統店主さんたちのコミュニケーションが醸成されているからであり、協業しているマンション階上配達のノウハウなどが培ったものだと感じています。
*  *  *  *  *
東京から自転車が届いた.jpg きのう、東京の新聞社に勤める仲間3人(写真左から坂本さん、大津さん、阿部さん)が、自転車の支援物資を届けてくれました。GWの休みを利用して被災地を回りながら、ボランティア活動をされるとのこと。「自転車を届けに来た」との連絡をいただき、「どんな自転車だろう」と期待していましたが、大津さん愛用のマウンテンバイク(整備はされていました)だったのでガクッときましたが、自転車は避難所が最も必要としている物資のひとつ。彼らの思いを伝えながら預かった「逗子市仕様のマウンテンバイク」を避難所へ届けたいと思います。どうもありがとうございました。

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2011年05月01日

震災がもたらした「新聞産業の復興」への動き

 東日本大震災からもうすぐ2カ月が経とうとしています。この間、自分の考えもいろいろと変化してきたなぁと思い返しています。
 これまで当然のように営まれていた生活が、ライフラインの不通や食料品、ガソリンを買い求めるために何時間も行列に並ぶことが苦痛だと思っていたのが前半1カ月間の自分。その後、津波被害を受けたエリアの惨状を目の当たりにして「何かしなければ」と被災者のために動き始めたのが後半1カ月の自分です。このブログへアクセスしていただいている方の中にも「現場」を見て気持ちが変わったという方も少なくないのではないでしょうか。

 宮城県の地元紙河北新報では、震災後から「3・11大震災」をテーマに3つの連載をスタートさせ好評を得ています。「郷土復興」「避難所いま」「ふんばる」。販売現場にいると“新聞のよしあし”をジャッジする読者の声がダイレクトに伝わってくるものです。特に「ふんばる」は記者が被災地を駆け回りながら、小さなコミュニティに入り込まないと知り得ることができない“ふんばっている人”にスポットを当てて紹介する企画で、読者へ「自分も何かしなきゃ」と感じさせてくれる、勇気を与えてくれる内容です。
 メーデーの5月1日付け朝刊に掲載された39回目の「ふんばる」は、南三陸町の鮮魚店「さかなのみうら」社長の三浦保志さんを紹介しています。私が個人的に参加しているボランティア団体「ふんばろう東日本支援プロジェクト」の南三陸町の拠点として、三浦さんが活躍されていることは知っていたのですが、記事としてまとめられたものを読むとグッときました。
▽町を鼓舞「俺はやる」(河北新報5月1日付)
http://bit.ly/lFltUk
 それともう一つ。震災以降、紙面に掲載される記事の多くが署名になっていることも読者からすると親近感というか、記者が被災地の方々と寄り添いながら復興に向けてのメッセージを紙面で伝えていると感じられているのでしょう。記事を署名化したことも「お褒めの電話」が増えている理由なのかもしれません。


 オマケを付けて読者を増やすことが主流だった販売現場ですが、今回の震災によって「新聞産業の復興」へおのずと向かっているように感じられるのです。やはり現場を回らないことには読者とのコミュニケーションは得られない。読者は取材を受けた記者の名刺をずっと持っているものです。「何かあった時に助けてくれるかもしれない」と新聞(記者)への期待のようなものがあるからなのでしょう。そのような信頼関係がいま、新聞産業には必要なのです。

*    *    *
山田健太准教授と早稲田大学院生.jpg きょうは、新聞労連役員時代にお世話になった山田健太さん(専修大ジャーナリズム学科准教授)と山田さんのゼミ生で早稲田大学院生2人をアテンドしながら、仙台市若林区の避難所(七郷市民センター)と石巻市の渡波小学校、石巻専修大学へ行ってきました。
 山田さんは石巻専修大の入学手続きなどの応援で来県。河北新報社を視察した後、新聞販売店、避難所を案内し、被災時の状況やメディアに対する被災者の声などを集約されていました。
 渡波小学校には先のブログで紹介した「避難所に新聞が届かない」と連絡をくれた友人の妹さんを訪れ、新聞配達の状況をうかがってきました。「あれからちゃんと届いています。避難所ではやっぱり地元情報が多い河北さんが必要です」とのことでした。新聞が必要とされている。こんなうれしいことはありませんね。
*    *    *
 「ワンコイン応援メッセージプロジェクト」もこれまで約40人の方から賛同をいただき、ツイッターを使って女川町への応援メッセージが集まってきました。GW明けにはチラシ(裏面は地域情報を掲載)を印刷し、女川町の新聞販売店へ持ち込む予定です。出来あがったチラシは当ブログでもアップする予定です。
 次は「mixiバージョン」で気仙沼市、南三陸町、石巻市と津波被害を受けた新聞販売店をリレーしていきたいと考えています。

 ご賛同をいただいた皆さま、急な声がけにもかかわらずご賛同いただき、どうもありがとうございました。

posted by 今だけ委員長 at 23:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2011年04月17日

避難所へ届けられている新聞 販売店が費用負担しているのです

 「避難所に届けてもらっている新聞がわずかしか届かなくなりました。避難所では新聞が唯一の情報源なので何とかなりませんか」。
 4月6日に石巻市の実家が津波の被害を受け、ご親族が避難所生活を送っている友人からこのような連絡を受けました。避難所で生活する妹さんからの訴えを伝えてくれたものでした。
 さっそく、発行本社販売部の担当へ連絡を入れて管轄エリアの販売店へ確認をしてもらったところ、「販売店では避難所への新聞(200部程度)を市役所へ一括で届け、そこから職員が各避難所へ振り分けている」とのこと。3月中は友人の妹さんらが避難している石巻市立渡波小学校(一時800人が避難していた)へ100部程度の新聞が届けられていたのですが、4月に入り自衛隊やライフラインの復旧に向けて全国から応援に駆け付けている電気、ガス、水道の職員やボランティア団体などの仮宿舎へも新聞を配分するようになったため、避難所へ届ける新聞が大幅に減ってしまったということがその理由でした(現在は以前の状態に戻ったとのこと)。

 一方、宮城県庁や仙台市役所へも毎日(朝・夕)100部の新聞を発行本社からの指示によって届けています。県庁や市役所は被災者が生活する「避難所」とはなっていないのですが、来訪者の方々に震災の情報を伝える手段として新聞を渡すのが一番手っとり早いのでしょう。公務員の飲み仲間に聞いたところ政府の視察団や支援物資を届けてくれる団体などへ渡しているようです。

 地元紙をそのような形で活用していただけるのは、とてもありがたいことです。でもその新聞もタダではありません。避難所へ届けている新聞も県庁や市役所への来訪者が持ち帰る新聞も、その原価(新聞の)は販売店が負担しています。発行本社から補填されるのであれば「さすが新聞社」となるわけですが、今のところ「補填」の話は聞こえてきません。
 このような緊急事態ですから、販売店は多くの読者が避難している場所へ発行本社からの指示がなくても新聞を届けるはずですが、避難所の責任者や県庁、市役所の担当者には知っていてもらいたいのです「避難所へ届けている新聞は新聞社が提供しているのではなく、同じく津波などで被災した零細販売店がその原価を支払っている」と。

 3月12日以降、避難者の増加による購読料収入縮小や折込チラシ手数料の大幅減少で販売店経営も窮地に立たされています。アルバイト従業員の整理などにも手を付けざるを得ない状況へと追い込まれながら、決まった社取部数(原価)の支払いに四苦八苦しているのが実情なのです。新聞社の経営も相当なダメージを受けていることも理解しつつ、販売店支援策を発行本社として講じてもらいたいものです。
 1千万プレーヤーの100万を削るのと、家計の足しにと年103万を稼ぐアルバイトの解雇と、どちらを取るか―そんな選択がいま新聞人に問われているように感じます。

▽石巻市渡波小(宮城)/掃除、片付け 児童も一緒(河北新報 3月30日付)
http://bit.ly/e1M3w6
*  *  *
 きのうは、休みを取って新聞業界紙に勤める方のアテンドをしながら、宮城河北会の副会長などを歴任された相沢邦雄さん(相沢新聞店)を訪ねました。
相沢邦雄社長 002.jpg 相沢新聞店は仙台市若林区の沖野や六郷地区を販売エリアにしているのですが、約1割程度の読者が津波の被害に遭ったそうです。津波の被害を受けた約700世帯はその多くが農家を営んでいる世帯で、地元紙はもとより農業新聞など複数の新聞を購読する世帯が多かったそうです。

 相沢さんは「集金人から『3月の集金はとても時間がかかった』と言われた。それだけ(地震に関連して)いつも顔を合わせている集金人から近隣の状況を聞きたい、新聞社へ伝えたいと読者が思っているのだろう」と振り返ります。地域密着型の販売店を目指す同店では自振率が2割。読者から自振化の求めがない限り、毎月集金をして読者と顔を合わせることを優先させているとのこと。集金時に交わす何気ないコミュニケーションが、大きな災害を経てさらに醸成されていくのだと、あらためて感じました。

▽仙台・若林57%浸水 津波、内陸に最大4キロ(河北新報 3月29日付)
http://bit.ly/hUQbHy

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2011年04月10日

新聞の再生は、販売店の再生から

 東日本大震災(3・11大震災)から1ヵ月も経たないうちに、また大きな地震が起きました。
 7日、午後11時32分頃に宮城県沖で起きたマグニチュード7.4の地震は津波の被害はなかったものの、先の地震でゆがんだ家屋の倒壊や電気やガスなどライフラインの復旧が先延ばしになるなど、「復興」に向かっていた被災者の気持ちを折るものでした。
▽復旧さなか再び緊迫 2人死亡けが141人 最大余震(河北新報 4月9日付)
http://bit.ly/e7Y7Lo


 「地震で輪転機がストップした。店着時間が大幅に遅れるので緊急連絡を!」。日付を越えた8日の午前1時、発行本社の販売担当からの電話で「やっぱりきたか」と思いながら、さっそく担当する販売店の責任者へ電話連絡。ほとんどの責任者は事態の様子をテレビやラジオで確認していたようで、「よし、わかった」と迅速に社員へ連絡を入れてもらい緊急体制が敷かれました。私も1時30分には本社へ到着したものの、なんと停電で電話もネットも遮断され本社機能(連絡体制)がマヒしていました。道路一本隔てたマンションが煌々と明かりを放っているのに「なんで?」と思いつつ、上司や同僚らと携帯電話で連絡を取りながら安否確認と体制の立て直し。1店舗で水道管が破裂して店内が水浸しになり、複数店で窓ガラスが割れるなどの被害を受けました。
 新聞は約1時間程度の遅れで店着し、配達はスタッフの協力により比較的スムーズに終了。地元紙は7日深夜の地震を1面トップで報じましたが、全国紙は降版時間が早まっているため記事を差し込むことができなかったようです。朝日新聞は26日から稼働していた輪転機がストップし、一部の地域で昼過ぎから配達をしていました。産経新聞も20日から復旧した印刷工場が再び停止したとのことです。

 宮城県内にある全国紙の印刷工場(輪転機)の多くは「3・11大震災」で大きな被害を受け、福島や群馬などの印刷センターで刷ったものを陸送しています。編集と販売での綱引きがあるのでしょうが、降版時間を繰り上げて、できるだけ早く読者へ新聞を届けたいという気持ちと、可能な限り最新のニュースを掲載したいという気持ちとが入り混じっているのだと思いますが、あす11日付けは統一地方選(宮城県は延期)の投開票結果を掲載するため大幅に降版時間を遅らせるとのこと。都知事選がメインの選挙結果を被災地の方々が、どれほど紙面でその結果や解説を読みたいのか…。大幅に降版時間を遅らせる価値があるのかどうか、疑問が残ります。


* * *

 きょう、津波によって甚大な被害を被った牡鹿郡女川町にある梅丸新聞店(阿部喜英所長)へお見舞いと激励を兼ねて伺ってきました。ツイッター上で被害の状況や「配達を再開した」などのツイートを読んでいたのですが、「もう落ち着いたかな」と思いつつ、いてもたってもいられなくなり連絡を入れたところ、「いろいろな方と会うのは元気のもとになるので、ぜひお越しください!」との返事。販売店に必要な指サックなどの事務備品を持っていきました。
漁港跡.jpg 仙台東部道路から三陸道路を抜けて石巻市、女川町へと進むにつれて、津波による爪痕が尋常ではなく、街ごとのみ込まれたような状況でした。1ヵ月たった今も「街」の息遣いは感じられません。

 
 阿部さんの仮店舗で待ち合わせをして、津波の被害を受けなかったご両親のお宅へ案内され、いろいろと話を聞きました。地震直後から新聞配送と宅配の再開までのこと、配達スタッフの9割が津波で家を失くしてしまったこと、販売店の仲間がバイクを貸してくれたこと…。「約600件程度まで配達できる読者が戻ってきた。折込チラシが何とか戻ってくれば…」と阿部さん。経営者としての強さを感じました。


津波の被害を説明してくれた阿部さん.jpg 新聞を待っている読者がいる限り届けるという姿勢は、同じ販売人として本当に頭がさがる思いでした。また、このような時こそ発行本社からのバックアップが必要なのだとあらためて感じました。
 阿部さん、無理しすぎずに踏ん張りましょう! そして、必ず再生されることを願っています。
※「ここまで津波がきたんです」と被災前の女川湾の航空写真を指して説明してくれた阿部さん。

※県内の新聞販売店関係者被災状況(4月15日現在)   
死亡:店主 1名、店主のご家族 1名、従業員 19名
行方不明:従業員 22名+数名
店舗被害:津波による流出 16件、倒壊 3件、床上浸水 16件

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2011年04月01日

前へ、前へ進みましょう!

 いまだに余震が続き、酒を煽っても深い眠りにつけません。

 3・11大震災から20日目。あすから新年度だというのに、エイプリルフールでギャグをかます余裕もないというのが率直なところ。でも、津波の被害を受けた沿岸部地域でも生活が始まり、「新聞を届けてください」という連絡を受けるたびに「もっと大変な人たちががんばっている。へばってなんかいられない」と元気をもらっているこの頃です。

東日本大震災トピックス6 001.jpg 先週の日曜日は仙台市若林区で農業を営むお宅(2軒)へうかがって、瓦礫や不用品の撤去と畳あげなどの手伝いをしてきました。比較的津波の被害が少ないとはいってもそのお宅は床上1メートル程度浸水し、海岸線の松の木が窓を破って部屋の中に散乱していて足の踏み場もないほどでした。また、水田の土が押し流されたので粘土質の重たい泥が畳に付着し、一人では担げないほど重く作業はかなりハードなものです。あさっても同じエリアで後片付けなどを行う予定です。
 「ボランティア登録」などというと会社の許可がどうこうと面倒なので、休みの日にボランティア登録をしている友人の後に付いて(自転車で行ける距離)、指示されたことを黙々とこなしています。迷惑にならない程度に…。

東日本大震災トピックス6 006.jpg その仙台市若林区は今回の震災で延べ面積の57%が津波により浸水しました。その浸水したエリアのほとんどが農地(水田)で、農業を営んでいる住民もその多くが高齢者です。昼の休憩の時は、避難所から持ってきたしわくちゃの新聞を広げながら「しゃねぇな。前に進むしかねぇんだ」といって、スコップを握る。そう、立ち止まってはいられません。前へ、前へ進むしかないのです。
▽仙台・若林57%浸水 津波、内陸に最大4キロ(河北新報 3月29日付)
http://bit.ly/fH9hAW


*  *  *
東日本大震災トピックス6 010.jpg 先日、神戸新聞・DS労組の仲間が見舞いに駆けつけてくれました(河北新報労組へ訪問)。16年前の阪神淡路大震災で体験されたことと照らし合わせて、ツイッターなどのソーシャルメディアを活用して新聞社が積極的に情報発信できる優位性などについて意見交換をしました。同労組の長沼委員長は「16年前は新聞産業も販売、広告ともに上昇基調という後押しもあって、神戸新聞は経営的回復も比較的早かったのだろうと思う。しかし、いまは…正直厳しいと思う」。また、「震災で家を失い仮設住宅で暮らすお年寄りなどが孤独死をするという社会現象が起きた。被災者の心のケアも重要。人と人とをつなぐ、いろいろな場を提供することも新聞の役割だ」と語ってくれました。
 長沼委員長どうもありがとう!


 河北新報の紙面には阪神淡路大震災を経験された神戸市民からの応援メッセージが日々掲載されています。3月26日付の一部を引用します。


▽阪神淡路大震災で、生き地獄を体験しました。こんなことは二度と起きないようにと祈っておりましたが、再び大震災が起きてしまいました。生き残った方は、亡くなった方の分まで生き抜く義務があると思います。難しいかもしれませんが、「宿命」を「使命」に変えて、希望と勇気を持って立ち上がり前進してください。大丈夫です。神戸も完全復興しています。私も神戸の地から、自分のできることを実行していきます。(神戸市灘区・児島信子・主婦・52歳)


▽連日報道される惨状を見るたびに、阪神淡路大震災で家も何も全て失った自身の悲しみを思い出します。皆さんのつらさが共有できる神戸市民として、いち早く義援金に協力しました。被災したからこそ分かる生活用品など、救援物資を集めています。そしてこの気持ちは、全国民に広がっています。東北の方々は本当に我慢強いと思いますが、泣きたいときは我慢しないでくださいね。皆さんは独りじゃないってこと、お知らせしたくて。(神戸市長田区・山本和代・会社員・45歳)


▽16年前の大震災で自宅が全壊し、1カ月後、仙台に半年ほど単身で疎開しました。優しく温かく迎え入れてくれた仙台市、泉区、七北田中学校の皆さん、その3年後のインターハイで仙台に行ったとき、大きく記事にしてくださった河北新報さんにあらためて感謝申し上げます。まだ連絡が取れない友人がいますが、きっとどこかで無事に頑張ってくれていると信じています。(神戸市東灘区・鍵田祐子)


 口先だけではなく、まず行動すること。前へ、前へ進みましょう!

【追伸】
 仙台市内は都市ガスも復旧しはじめ、ライフラインがほぼ確保されてきました。食料品も種類さえ少ないものの不足なく流通網が機能しています。困ったことといえば、ガソリンの供給がいまだに安定していない事ぐらいです。
 全国の皆さまから生活支援物資などが送られています。今だけ委員長のところにも「何か必要なものは?」というありがたい連絡をいただくのですが、今回の地震災害の多くは津波によるものです。津波の被害を受けた沿岸部の被災者へそのような支援物資が届くよう、各方面の方々のご協力をいただきたいと思います。

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2011年03月26日

宅配網の維持 現場で汗流すスタッフと使用者との信頼関係が見えてくる

 東日本大震災(メディアによっては東北地方太平洋沖地震とも東日本大震災へ統一)から2週間、津波の被害を受けた岩手、宮城、福島の沿岸部地域に居住していた方々の避難所生活は続いていますが、沿岸部地域を除くと今週あたりから“被災前の生活”に戻り始めています。

東日本大震災トピックス4 001.jpg 食料品の調達も大手スーパーが営業を開始し、営業時間や購買量の制限はあるもの生鮮食料品も相当量流通してきました。都市ガスの供給も新潟からのパイプラインを利用し、当初の復旧予定よりも早まりそうだとのこと。そうなると一定のライフラインはすべて回復することになります。残るはガソリンの調達です。営業を再開するGSも増えてきましたが需給バランスが崩れており、夜中にタンクローリー車がGSへ横付けされているとの情報が流れると深夜から車の行列ができて、至る所で交通渋滞が起きています。給油ができたとしても20ℓの上限が設けられているため、給油できるGSを探し一晩中並ぶのに10ℓ使って20ℓ補給するというとても非効率な燃料調達のサイクルになっています。また、そのような燃料不足と交通渋滞などが原因で、全国から届けられた支援物資も必要としている沿岸部の被災者(緊急避難所)へ届かないという状況です。

 被災地というキーワードを岩手、宮城、福島という県単位の分類にせず、「津波の被害を受けた沿岸部地域」の被災者へ全国の皆さんからの支援を集中させる必要があると感じています。
▽偏る善意、対応苦慮 救援物資、需要とミスマッチ
(河北新報3月25日付)
http://www.kahoku.co.jp/news/2011/03/20110325t13034.htm


 仙台市若林区にある深沼海岸にほど近い地域では、家屋の損壊が比較的軽度だった被災者が、避難所から戻って生活を再開しはじめる世帯が徐々に増えています。
若林区沿岸部A.jpg若林区沿岸部@.jpg しかし、そのエリアを管轄する販売店も大きな被害を受けたため、宅配網が機能しない状況になっています。そのため、今だけ委員長が所属する会社で一時的にそのエリアの新聞配達を担うことになりました。とはいえ、ゼロから新聞配達をスタートさせるのはそう簡単ではありません。読者台帳もない状況下では1件ずつ購読紙を聞いて回ることから始めなければなりません。きのう、私もそのエリアに出向いて読者台帳の作成に携わりました。被災者からは「ご苦労さまです。早く配達を再開してほしい」との声が多く寄せられる一方、「そんなところではない」と自宅に散乱する瓦礫を片付けながらやり場のない怒りをぶつけられる方もいらっしゃいました。
水田には海岸浜の松林.jpgここから復興が始まる@.jpg また、幹線道路は消防署や自衛隊の方々によって車両は通行できるものの、袋小路になっているところなどは瓦礫の撤去が追いつかず、明るくなってからではないと危険で配達ができない箇所もいくつかあります。そのような状況でも、自店の宅配網を維持させながら他店エリアの配達もこなしている社員の頑張りは相当なものです。これは暖かい部屋の中で指示を出すだけの人たちには計りしれないと思います。
※上記4枚の画像は配達再開するエリアの様子


 たかが配達、されど配達―。「ガソリンがないから配達できない」と宅配を一時休止する販売店もある一方で、ガソリンがなければ自転車や徒歩でも新聞を配り続ける販売店もある。でも配っているのは配達スタッフであり、その方々の責任感や所属する販売店(使用者)との信頼関係が醸成されているからこそ、欠配なく宅配網が維持されていることにほかなりません。このような緊急時にこそ、いかにその宅配網を担う配達スタッフを大切にしてきたかが販売店(使用者)に問われているような気がします。

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2011年03月24日

当たり前だが紙もネットも長・短所がある。要は発信側が信頼されるかどうかだと思う

 東日本大震災からちょうど2週間が経ちました。
 津波の被害を受けていない仙台市内では、今週から通常の生活へと戻りつつあります。といってもガソリンスタンドには長蛇の列が連なり、食料品を販売する全国展開する大型スーパーも不定期営業を余儀なくされています。3月11日以前の生活を取り戻すまでにはまだまだ時間が掛りそうです。
▽水道情報 
http://bit.ly/gk6NdY
▽電気情報 http://bit.ly/gzaLIP
▽ガス情報 http://bit.ly/easFQs   ※河北新報HPコルネットより

 今だけ委員長の近況は、この2週間まともな入浴をしていないことに加え、花粉症とバイクでの移動で砂埃をかぶり続けたため顔面が赤くただれ始めました。余計に?不細工な面構えになってしまいました(涙)。
 また、多くの仲間に元気づけられています。今週に入って、全国の新聞労働者(販売店の方からも)の仲間から電話をいただいています。「そろそろ落ち着いてきた頃だと思って連絡しました」と、それこそ北海道から沖縄まで多数いただきました。本当にありがとうございます。「がんばって!」というメッセージに勇気づけられています。

 今回の震災ではソーシャルメディアの活用がだいぶ評価されているようです。安否確認や物資調達情報、義援金の集約に至るまで、その役割が既に生活インフラに欠かせない存在のように多くのメディアで論じられています。
▽震災で重みを増したソーシャルメディアの役割/藤代裕之(日本経済新聞3月19日)
http://s.nikkei.com/h16owv

 今だけ委員長も停電中(4日間)はケータイとiPadでさまざまな情報を収集し、同級生やご近所同士の小さなコミュニティへの発信ツールとしてmixiやFacebookを活用していましたが、あまりレスポンスがないことに気づきました。ソーシャルメディアで情報を確認するより、友人からのダイレクトメールの方が「使える」というのです。今年44歳になる私の世代は2通り(ネット系に長けている人とそうではない人)に分かれると思います。「ネットはケータイのみ」という人は、多くのメディアで賛美されているようなソーシャルメディアの活用がされていないとあらためて感じました。当然、それより上の世代では、やはりマスメディアに頼る傾向が強いというか、特に停電中は新聞の存在がとても重宝がられました。
 震災から約1週間、駅売店やコンビニが営業休止していることもあって市内中心部で新聞販売をしました。おそらく定期購読をしていないだろう若者が「きょうの新聞ください。情報量は朝刊と夕刊でどっちが多いですか?」と言って新聞を買っていく姿が印象的でした。だからといってその若者が定期購読者になってくれるのかどうか分かりませんが、新聞の役割や価値のようなものは理解していただけたのではないかと思います。
▽紙面よりあたたかく感じる記者のブログ考(ふらっと3月20日)
http://bit.ly/eZuq5q


買い物代行ボランティアチラシ[1].jpg 震災後、住民同士が支え合う頼もしい取り組みも行われています。
 学生ボランティアが高齢者や体の不自由な方への「買い物代行」を立ち上げました。ですが、ネットだけの告知ではその対象となる方々には伝わらない。何とかならないかということで、「新聞折込」による告知の相談を受けました。社内申請をしたところ二つ返事で「協力しろ」ということで、チラシの印刷と新聞折込の協力をしました。あまり大風呂敷を広げても学生ボランティアの数やエリアは限られているため、高齢者が多い世帯をセグメントしてそのエリア(区域)に折り込みました。翌日、ボランティア代表の方から連絡が入り、さっそく十数件の問い合わせがあったそうです。

 震災による非常事態の時だから、紙や電波のマスメディアだけが万能だとも思いませんし、ネットを駆使したソーシャルメディアがあれば既存メディアはなくてもよいとも思えません。このような時代のなかで新聞社は、「紙でもネットでも」信頼される情報を送る(届ける)企業として生き残っていく必要があるのだと思います。そして、必ず人の手を介さなければならない「モノを運ぶ」という物流業務が、最も重要なのだと、被災地に居るとあらためてそう感じました。
* * * * *
3月17日朝刊.jpg 3月17日夕刊.jpg 3月18日朝刊.jpg
3月18日夕刊.jpg  
※河北新報社の了解を得て東日本大震災から1週間分の朝夕刊のイメージ画像をファイルアップしています。

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2011年03月19日

あらゆる手段を使って新聞を必要としている方々へ届けるのが販売労働者の使命

 東日本大震災から8日目。徐々に仙台市内のライフライン(電気・水道)が普及してきました。ですが、食糧不足とガソリンの枯渇現象によって、まだまだ市民、県民の生活は混乱しています。

藤崎前・被災情報インフォ.jpg 震災後、今だけ委員長は新聞配達や緊急避難所への新聞配布、市内中心部のデパート前での新聞販売に従事していました。駅売店やコンビニが営業休止のため新聞の入手も困難な状況であることから、被災者が駆け寄るように震災情報インフォメーション設置した被災地の写真に目を凝らし、机に積まれた新聞を手に取っていかれました。
 「生活情報は朝刊と夕刊でどちらが多く掲載されていますか」、「石巻市の記事が載っている新聞をください」など、食糧などを求めて仙台市内を往来する人たちの表情はとても険しいのでした。「テレビではなく、新聞で情報を確認したい」という市民の声を強く感じました。震災情報インフォメーションではネットでの情報提供も行いました。

全国紙系販売店・新聞をご購読の皆様へ.JPG全国紙系販売店・新聞ご購読者の皆さまへ.jpg また、販売店では配達に使用するバイクのガソリンが確保できない状況となり、配達の一時休止を伝えるチラシが新聞に折り込まれたところもあります。比較的普及率の高い地元紙は1区域あたりの配達範囲が狭域であるため、自転車や徒歩でも何とか配達をすることが可能ですが、全国紙の配達エリアは広範囲であることからバイクを使わないと一定の時間まで配り切れません。何とか全国紙専売店の仲間にも踏ん張っていただきたいと思います。


販売店 夕刊紙分け作業3月16日.jpg 私が勤める販売会社には発行本社からこんな通達が送られてきました。一部引用します。「・・・非常に厳しい状況かですが、我々には新聞を待っている多くの読者がいます。外部と連絡が取れずに不安な日々を過ごし、避難所に新聞が届くのを心待ちにしている被災者の方々がいます。一部の東京紙専売店は、ガソリン確保の困難さを理由に、数日中にも宅配を休止するようですが、我々には「職場放棄」は絶対に許されません。どんなに時間が掛っても構いません。自転車、徒歩などあらゆる手段を使って新聞を必要としている方々のもとへお届けするのが皆さんの使命です」(引用終わり)

 震災後、欠配もなく朝夕刊を配れているのは配達スタッフのおかげです。彼ら、彼女らがこのような状況下でも踏ん張っていただいているからこそ、新聞の宅配網が維持されています。司令塔としての意気込みはわかりますが、現場の状況を無視することなく適切な指示をしてもらいたいと思います。最大限の努力を現場ではやっているのですから…。

※寺島英弥さん(河北新報社編集委員)のブログ「Cafe Vita」で、『余震の中で新聞を作る』が連載中です。紙面では写しだされることのない現場の記者の苦労が感じ取れる人間味あふれるブログです。

http://flat.kahoku.co.jp/u/blog-seibun/


新聞労連・東海林智委員長と新潟日報労組の仲間.jpg【御礼】全国の新聞労働者から支援物資が届きました。
 3月18日、河北新報労組、河北仙販労組に対して、日本新聞労働組合連合(東海林智委員長)加盟の1地連(近畿地連)、6単組(毎日新聞労組、新潟日報労組、報知新聞労組、日刊スポーツ労組、神戸デイリー労組、京都労組)などから、生活支援物資を送っていただきました。心から感謝申し上げます。
* * * * * 

3月14日夕刊.jpg 3月15日朝刊.jpg 3月15日夕刊.jpg
3月16日朝刊.jpg 3月16日夕刊.jpg
※河北新報社の了解を得て東日本大震災から1週間分の朝夕刊のイメージ画像をファイルアップしています。


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2011年03月14日

東日本大震災 4日目の夜

 東日本大震災(マグニチュードは「9」へ訂正)から4日目の夜を迎えました。

青葉区国分町にある歯科医師会館.jpg 被災された皆さまは疲労と寒さと空腹に耐えながら、そして安否確認ができない親族のことを思いながら過ごされていると思います。私の親戚も津波に襲われ他界しました。それぞれ大変な思いをされていると思いますが、こんな時こそ冷静に、そして助け合いの気持ちを持ってこの難局を乗り切っていくしかありません。踏ん張りましょう。

藤崎前の震災情報インフォメーション.jpg この4日間、多くの皆さまから安否の確認や励ましの電話、メールなどをいただきました。しかし、すべての方に返事をすることができません。ごめんなさい。

『生きてるぞー、新聞を配っているぞー』これで今の私の現状をお察しください。


 震災の翌朝から新聞を配り続けているのですが、その本人があまり新聞を読んでいません。きょうでひと段落ついたので、じっくりと紙面(地元紙)を読んでみました。
北六番丁交差点で水道管が破裂.jpg 記事の多くは震災後に各地へ飛んだ記者たちの署名で書かれていて、知った名前も少なくありませんでした。震災後、私が担当する販売店へ「バイク(原付スクーター)を貸してください」と言って飛び出したまま、深夜まで帰ってこなかった記者。無事に帰ってはきたもののバイクは泥だらけ、何度か転んだのでしょうバックミラーがねじ曲がっていました。バイクの状態からその彼が書いた記事はすぐに分かりました。おそらく津波の被害にあった沿岸部へ非常線が張られる前に駆け付けたのでしょう。思わず目を覆いたくなるような記事と写真…。でも、これが真実を取材し伝えることなのです。

 現場の状況(情報)を伝えるために新聞社に勤める多くの人がそれぞれのポジションでがんばっている。その新聞を、彼ら、彼女らが書いた記事をできるだけ多くの方へ届けるために私たちもがんばらなければなららないとの思いと強くしました。

 今後、復興まではかなりの長期戦になると予想されます。自分ができ得る範囲で最善を尽くそうと思っています。ご支援をよろしくお願いします。
河北新報3月12日朝刊.jpg 河北新報3月12日夕刊.jpg 河北新報3月13日朝刊.jpg

河北新報3月13日号外.jpg 河北新報3月14日朝刊.jpg
※河北新報社の了解を得て東日本大震災から1週間分の朝夕刊のイメージ画像をファイルアップしています。

【追伸】

 沖縄在住の同級生がmixiでこんな要望を訴えています。「死亡者リストも重要なのですが今は、被災地内でも誰がどこにいるのか分からないのです。たまにテレビで映る避難所の入り口掲示板その内容が知りたい。どこに誰がいるのか知りたい」と。被災地に住む親族の安否を確認したい一心なのでしょう。個人情報を悪用されるケース(無人宅へ空き巣に入るなど)もあるのかもしれませんが、何とかできないものかと思案しています。

【追伸A】
 被災者が苛立ちはじめているように感じます。GSで給油待ちをしていたら「割り込んだ…」でケンカがはじまる。緊急避難所でも食事の配給は「子どもから」というルールを無視して我先に食べものを持っていく大人。私が担当する販売店でも水道のライフラインが回復したので、給水とトイレの解放を一般の方へ提供していたところ、節度のない行動を起こす人。マンション(20階建)のエレベーター休止しているのに「新聞は上まで持ってこい」という苦情(?)を言ってくる読者。きょうも、市内の百貨店前で新聞を販売していたら「こういう時はタダにするものだ」と大声を張り上げるご婦人。
 精神的に滅入って冷静さを欠いているのでしょうが、こういう時に人間の本性というものが見えてくるようにも感じます。

posted by 今だけ委員長 at 21:29 | Comment(3) | TrackBack(0) | 日記

2011年03月12日

東日本大震災 新聞販売店で働く皆さま「踏ん張ろう!」

 やっとネットにアクセスできる環境までインフラが整備されてきました。

 3月11日午後2時46分ごろに発生した東日本大震災(12日に改称)は、東北地方だけにとどまらず新潟や長野まで広範囲でその猛威を振るっています。まだ気持ちの整理もできておらず、被災時から一睡もしていないのでボーっとしているのですが、少しでもこの状況を伝えたい、そして記録に残したいと思いPCに向かっています。


 まずは、被災された皆さまには心からお見舞い申し上げます。


 まだ、配達中(昨日の夕刊配達中に起きたため)に被害に遭われた新聞販売労働者の情報は伝わってきませんが、無事であることを心からお祈り申し上げます。
 地元の仙台では地震と併せて火災ではなく津波による被害が拡大し、きょうの夕刊によると「死者・不明1100人超」ということです。阪神淡路大震災では配達達業務中に亡くなられた配達従業員もいました。安全対策をしっかりして、お互いに相手の気持ちを思いやり行動することが大切です。


 何はともあれ、私たち新聞販売労働者の使命は「正確な情報を配ること」です。生活インフラを断たれ、家族のことも心配ですが、踏ん張ってまいりましょう。

※きょうのトピックスをまとめました。
http://bit.ly/hR1Hw3

http://bit.ly/eHkRso

http://bit.ly/fRNHxi

http://bit.ly/fn7wWr

http://bit.ly/her5K4

http://bit.ly/enQB36

【追記】
▽世界最大級M9・0に修正 東日本大震災(北海道新聞 3月13日付)
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/dogai/277684.html

posted by 今だけ委員長 at 17:28 | Comment(1) | TrackBack(0) | 日記

2011年02月27日

戦争を煽ったメディア「自分の感受性くらい 自分で守れ ばかものよ!」

 NHKスペシャル「日本人はなぜ戦争へと向かったのか 第3回 "熱狂”はこうして作られた」。じつに興味深い内容でした。ツイッターのタイムラインを眺めながら放送を見ていると多様な意見が論じられ、番組がさらに補完されていくさまを感じます。

 ツイッター上では新聞、ラジオに対する批判が多かったのですが、このような番組が放送されることや朝日新聞社が2007年4月から翌年3月まで夕刊に連載した「新聞と戦争」(のちに朝日新聞出版が発行)のように、各メディアとも自戒を込めた検証をしっかり取り組んでいることも知ってもらいたいと思います。また、当時の国民がメディアに何を求めたのかについてもしばらく考え込みました。国民の欲望に応えることで商業的な成功を得るメディアの構造も…。
 国家権力をチェックする役割がジャーナリズムであって、代表格が新聞であるとするなら、その新聞(経営者)をチェックするのはやはり新聞社の労働組合なのだろうと思います。自社の紙面について労働組合はどの程度関心をもって接しているのでしょうか。労働者の生活水準の維持ばかりが労働組合の役割ではないないはず。ともすると、既得権や収入増(広告費や部数)に熱狂してはいないだろうか、社内で異を唱える人がはじかれる社内体質を「個人の問題」と許してしまってはいないだろうか。
 販売労働者からこんな偉そうなことをいわれるとムカつく人がほとんどだと感じますが、もう特別な産業ではなくなっていることを自覚すべきだと思います。

 新聞社は「信頼」というキーワードで企業活動を続けていくしかないのだと、あらためて感じさせてくれた番組でした。
* * *
 きょう、各販売店への移動中、久しぶりにFMラジオを聞いていたのですが、詩人・茨木のり子さんの「自分の感受性くらい」という作品が胸をうちました。ユーチューブをチェックしたところ、シンガーソングライター・鈴木君代さんがその詩に曲をつけて歌われています。
ぱさぱさに乾いてゆく心をひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて
気難しくなってきたのを友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか
苛立つのを近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし
初心消えかかるのを暮らしのせいにはするな
そもそもがひよわな志にすぎなかった
駄目なことの一切を時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄
自分の感受性くらい
自分で守れ ばかものよ

 長いものに巻かれることなく、人のせいにすることなく、自分と向きあって信じた道を突き進め―。とてもよい詩です。
posted by 今だけ委員長 at 22:30 | Comment(1) | TrackBack(0) | 日記

2011年02月25日

「がんばる手に、“ありがとう”」いいコピーだなぁ

ユースキン新聞広告.jpg 「がんばる手に、“ありがとう”」のキャッチコピーがジワリと感動を与えてくれる広告です。きのうの全国紙に掲載されたユースキン製薬株式会社の全面広告には、お母さんや大工さん、自転車屋さんなど14職種の「手」がズームされ、「新聞の配達員さん」も紹介されています。

 新聞配達というと「届ける」仕事なので「足」をイメージするのですが、新聞のアンカー役として配達スタッフから読者へと、手と手で情報をつないでいるのだとあらためて感じます。インターネットのように光ケーブルや無線LANでつながれている世界と比べると、その範囲もスピードも到底かなうはずもありませんが、商品を届けることにその強みもあるわけです。

* * *
 最近、新聞販売界隈ではこんな話題が持ちあがっています。
 「きょうの新聞が必要なので500部用意してほしい」という電話が販売店にかかってくるというのです。でも、オーダーの電話だけで実際に新聞を取りにくるわけでもなく、在庫(残紙)の確認をしているようだ―というのです。誰がこのような電話をかけてくるのか。勝手に推測すると広告スポンサーか週刊誌系のライターのような気がします。
 大店を除けば1000部弱から3000部程度の扱い部数の販売店にそもそも500部の残紙が残っていること自体おかしな話なのですが、「いまから取りに行く」との電話に対して「いつでもお越しください」と答えようものなら「(過剰在庫が)あるんだ」となるわけです。
 販売店は在庫をお金に換えたいわけですから、このようなオーダーは願ってもないこと。でもその裏には何やらきな臭い調査の手が及んでいるかもしれません。そもそもそんなことが話題になること自体、おかしな話なのですが…。

 返品がきかない過剰在庫(押し紙)を減らせない新聞産業。過剰在庫が金を生む仕組みになっているので、なかなか無駄がなくなりません。

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2011年02月13日

買い物難民対策「家まで商品を届けよう」に新聞販売店の活用を!

 高齢者を中心に食料品などの日常の買い物が困難な「買い物難民」が深刻な問題になっています。核家族化が進み外出が不自由な独居老人世帯が増えていることや、地域商店の閉店による「シャッター商店街」、バスなど公共交通機関の不採算路線の廃止などがその原因です。
 全国に約600万人もいると言われる「買い物難民」の生活支援策として経済産業省では、「買物弱者応援マニュアル」を昨年12月に発表。インフラを構築するための助成金3億円(事業所への上限1億円)を予算化したことなどから、大手スーパーや広告会社に物流会社、IT関連の新興企業などが大きなビジネスチャンスと捉え、積極的な姿勢を見せているようです。


▽ファミマと毎日新聞が宅配事業の実験を開始・「買い物弱者」対策で(Garbagenews.com 2010年11月26日付)

 http://bit.ly/g9bIi7
▽「買物弱者応援マニュアル」(経済産業省 2010年12月10日付)
 http://bit.ly/eOaJj5
▽都市再生機構、NTT東やセブンイレブンと光回線を利用した高齢者向サ−ビス(マイコミジャーナル 2月2日付)
 http://bit.ly/dR1O2c
▽ヨークベニマル 組織変更ニュースリリース(2月7日付)
 http://bit.ly/i2qzq8
▽注文受け買い物代行 藤崎系スーパー 仙台・泉パークタウン(河北新報 2月11日付)
 http://bit.ly/gy0YeV

 新聞販売店にもいろいろなところからオファーがきているようです。販売店の得意とすることを5つくらいにまとめてみると@小回りのきく宅配網を有している(地域インフラ)A顧客のデータベースを所有B店舗(集荷拠点)があるC営業スタッフが宅配だけでなく集金も行えるD折込チラシなどとの連携―などがあげられます。既存のインフラに乗せるのが一番コストのかからない方法ということもあって、売上の減少に苦しむ販売店にとっても悪い話ではないはず、と提案してくる業者も少なくないと聞きます。
 ですが、この手の話は発行本社の許可なくしてできないことなので、「そんな副業を考える前に紙を増やせ(発行本社の方は読者とは言わずに紙といいます)」となる可能性の方が大きいと思いますが、販売店が物流会社として生き残っていくためのビジネスチャンスなのです。かなり前から言い続けていますがw
 そうだ、担当員を口説くのにこんな提案はどうでしょう。「食材を届ける際の宅配料を自社の新聞購読世帯は半額にして読者増を図る」とか。


 業界紙の東京情報(1月31日付)に、地域のスーパーマーケットと提携して食料品の買い物代行サービスをしている新聞販売店(福島県いわき市/YC平谷川瀬・福園雅博所長)が紹介されていました。「すかいらいなぁ」と名付けられたこのサービスは昨年10月からスタート。会員登録制ですが会費無料でなんと配達料も無料。提携するスーパー「スカイストア」からの手数料だけで、これまでのところ採算は取れていないとのこと。ほとんど読者サービスですね。
 サービスの仕組みは、@販売店が作成したカタログを見て会員(会費無料)は専門用電話に申し込む。申し込み時間は月・水・金の午前7時〜12時A販売店は注文をスカイストアへファクス連絡Bスカイストアは顧客別に袋に入れて販売店へ午後1時までに納入C注文を受けた商品を当日の午後2時〜4時に販売店担当者が届ける―というもの。
 カタログの末面にはミネラルウォーターやトイレットペーパーなどを掲載し、物販にも力を入れているそうです。新聞の主たる購読層であるシルバー世代にとってはありがたいサービスだと思います。


 もうひとつ、読売新聞販売店のネタですが、埼玉県所沢市内を配達エリアとする読売新聞販売店(16店舗)が、広告チラシ配送及びそれに付随する情報提供サービスとして登録者の自宅へ週3回、チラシをポスティングする「インフォメーションパック」を3月9日からスタートするそうです。リクルートの「タウンマーケット」がサービス中止をした分野に“もち屋”の販売店が乗り出してきた格好になるのですが、販売店が取り扱う広告チラシは「新聞に取り込んで届ける」ことを前提にしているので、インフォメーションパックを一つの媒体として登録、新聞とは別にチラシを受け付けているのかなぁ…その辺の問題をどうクリアしたのか興味のあるところです。でも広告主からすると「チラシが欲しい」という方に届けてもらえばよいわけですから、広告主に対するサービスの間口を広げたことは確かです。
 リクルートでは週1回しかできなかったチラシのみの宅配(無料で)を週3回配るYCの配達網のがんばりに期待したいと思います。1区域の配達部数に1割程度(1区域150部とすると15件)であれば通常の配達網に載せてもそう大きな負荷にはならないでしょうから。
▽インフォメーションパックHP
http://tz.i-pack.info/top.htm

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2011年02月10日

毎日新聞が全国紙から東京の地方紙になったと感じた瞬間

 毎日新聞社が昨年4月から共同通信へ加盟してから10カ月。予想をしていたことですが全国紙と地方紙の同一記事が掲載になりました。  
河北新報夕刊 2月9日付.jpg毎日新聞 2月7日付.jpg けさ、読者の方から「きのうの夕刊記事が2日前の毎日新聞と同じだが、毎日新聞から記事の提供を受けているのか」という問い合わせ。今だけ委員長の自宅でも毎日新聞を購読しているのですが、昨晩は知人と飲んで午前さま…。夕刊を読み損ねていたので気づきませんでしたが、確認をすると見出しは違えど記事内容も写真にカットまで同じものでした。夕刊編集部に確認をすると「その記事は共同配信のものだ」とのこと。

 今だけ委員長は地元紙と毎日新聞、日本経済新聞を自宅で、年末からお付き合いで朝日新聞を3カ月間会社で購読しています。子どものころからフツーに全国紙と地方紙が食卓にあったので同じような見出しでも「新聞によって中身(記事)は別もの」と思っていたのですが、共同加盟によって記事が重複してくるとなると、どちらかを止めなければと考えてしまいます。政治、経済、社会面は発表ものが多くなってどこも似たような紙面になっているので、文化・カルチャー面を重視していたのですが…。

 人員削減、取材網の縮小を余儀なくされ、共同再加入を決断した毎日新聞社。当然のことながら地方紙と紙面がかぶるとなれば、全国紙として地方での立ち位置が微妙になってくるでしょう。同一の記事を眺めながら「毎日新聞が東京(大阪・西部)の地方紙」になったと感じました。
posted by 今だけ委員長 at 22:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2011年02月06日

高田昌幸氏(道新)を講師に 新聞労連東北地連2011春闘産研集会

 「記者は集金をしてみるべきだ。読者とコミュニケーションが取れて、新聞に求めていることが聞けると思う」 久しぶりに聞いた高田昌幸さん(北海道新聞)の講演でのひとこと。販売側からすると「そうだ!そうだ」という内容でしたが、会場に集まった約90人の労組員(記者職)にはどう響いたのかなぁ。

 2月3〜4日に八戸市で開催された新聞労連東北地連の春闘産研集会に参加してきました。
 高田さんとお会いするのは6年ぶりでしたが、「記者の取材力が低下している」との核心を突く問題提起は、ダンディな口髭と同じで変わりません。「誰のために新聞を発行しているのか」を問い、記者クラブに依存した発表もので埋め尽くされている紙面を指して、「これでは読者は離れていく」とも。さらに、(ネットなどで)誰でも情報を発信できる時代になったけれど、新聞(記者)は報道するのが役割であって、報道とはプロフェッショナルが取材したものを伝えることだと。たたかっている人の話は心に響きます。

 このような集会は新聞産業が抱えるテーマを討論し、問題点を共有したり改善策を講じたりすることが目的のはずですが、集会を開催することが目的化してしまっているような印象も受けました。道を切り開いていくのは“自分たち”だという覚悟を持って、少しでも前進していきたいものです。


新聞労連東北地連 2011春闘産研集会アピール

 「無縁社会」という言葉がある。家族や地域との絆が失われ、人間の孤立化が進む現代社会を表す言葉だ。新聞業界が厳しい環境にさらされている今日、そうした言葉が出てきたことは、新聞というものを考える一つの手がかりになるのではないだろうか。
 新聞記事を書くということは、あることがらを読者に伝えたい、届けたい、つながりたいという思いから出発する。そして読者は、そうした記者の思いを新聞記事から読み取っているのではないだろうか。新聞には人と人、人と地域、人と社会をつなげる力があるということだ。「無縁社会」という言葉が出てきた今だからこそ、新聞の持つつなげる力を向上させる努力をしなければならないのではないか。新聞のつなげる力を信じたい。
 新聞労連東北地連は春闘産研集会を2月3日から2日間にわたって八戸市で開催した。
 販売正常化委員会は、新聞の信頼性に関わる問題の販売正常化の現状について、元新聞労連副委員長で河北仙販労組の小関勝也氏の講演を聞いた。小関氏は「販売正常化を進めることは会社の収益を揺るがす問題をはらみ、新聞社で働く者の労働条件にも大きく影響する」と指摘。押し紙に支えられている現在のわれわれの境遇を今後も享受し続けるのか、正常化を進め、新聞の信頼性を守るのか、どちらを選ぶのかが、われわれに問われていると問題提起した。
 新聞研究部は、「日本の現場 地方紙で読む」を編集された北海道新聞労組の高田昌幸氏と小関氏が「地方紙の将来像を探る」と題しパネルディスカッションを繰り広げた。高田氏は、発信ではない、報道とは何か、プロの記者には何が必要かなどについて、自らの体験に照らして語られた。地方紙にとって、「記者が地べたにはいつくばって取材をし、普通の読者に読まれる記事を書く努力が大切」とし、記者一人一人が取材する力を強化することの必要性を強調した。
 合理化対策部は、昨秋、各社に協力いただいたメンタルヘルス調査をふまえ、岩手医科大学精神科学講座客員准教授の鈴木満氏に調査結果について報告いただいた。新聞社ではここ数年、若手社員の中途退職ということが大きな問題となっている。新聞社という特殊な職場で働くわれわれのメンタルヘルスという、興味深いタイムリーなテーマを分りやすく解説していただいた。
 昨年の「失望を希望に、『おごり』を捨てて『誇り』を守れ」から一歩踏み出し、「誇りを守る地方紙の挑戦 多様化する情報産業」をテーマとした2011春闘産研集会では、挑戦するための武器となるさまざまなヒントを得ることができた。ここに集まった東北地連の仲間一人一人が、小さな一歩を積み重ね、少しでも前進していく努力を続けることこそが、新聞産業と働くわれわれの生活、ジャーナリズム精神を守るために求められているのではないか。厳しい道のりかもしれないが、今こそ、ともに手を携え、歩み続けよう。
2011年2月4日
新聞労連東北地連 2011春闘産研集会

デーリー東北 2月4日付.jpg
※デーリー東北 2月4日付

posted by 今だけ委員長 at 22:57 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2011年01月15日

新たなビジネス展開と効率化によるコストカット 新たな時代の新聞経営

 新たなビジネスモデルを模索する新聞社と効率的経営に踏み込む新聞社。
 既存のビジネスモデルだけでは先が見通すことができない新聞産業ですが、インターネットを駆使したビジネス手法にばかりに目が向いて右往左往している新聞社が多い中で、新聞社が有する情報コンテンツを活用して収入アップを狙ったり、新聞配送体制を効率化して経費圧縮に乗り出したりする新聞社も増えています。

▽朝日新聞社、リコーとビジネス向け情報配信サービス開始
http://www.asahi.com/digital/av/TKY201101130112.html
 クラウドコンピューティングを利用して、複合機へビジネス情報を送るという仕組みです。グーグルのアラート機能を個々の社員がPCへ設定して情報をキャッチするより、(まだ日本では)プリントされたものを上席者から序列判を押して職場内の情報共有を図るほうが現実的な事業所も少なくありません。
 朝日新聞社は、自社コンテンツからビジネス向け情報を選んでA4サイズにまとめた「朝日新聞ダイジェスト」や災害や大事件が起きた時の「速報号外」を配信。新サービスに参加した通信社や専門紙計10社は、自社の紙面イメージを配信したり、独自に構成したダイジェスト版や特集紙面を提供したりする―そうです。観光業、衣料、鉄鋼、建設、自動車、食品などの業界紙も参加するとなれば、かなりの需要が見込まれるのではないでしょうか。
参加社=配信商品名】化学工業日報社=化学工業日報ダイジェスト▽観光経済新聞社=観光経済新聞ダイジェスト▽環境新聞社=シルバー新報▽時事通信社=時事速報上海便、時事通信金融財政ビジネス▽繊研新聞社=繊研新聞ファッション通信▽鉄鋼新聞社=鉄鋼新聞ダイジェスト▽日刊建設工業新聞社=日刊建設工業新聞ダイジェスト▽日刊工業新聞社=日刊工業新聞ダイジェスト▽日刊自動車新聞社=日刊自動車新聞エコカー最新情報▽日本食糧新聞社=日本食糧新聞ダイジェスト


▽新聞配送、帰路に紙運搬 日本製紙と河北新報社
http://www.kahoku.co.jp/news/2011/01/20110114t12030.htm
 新聞輸送車両の活用は昨年4月、朝日新聞社がパナソニックと提携して片道便であった新聞配送車両の往復便(ラウンド便)に取り組みましたが、河北新報社では岩沼市に工場を置く日本製紙岩沼工場で製造する新聞用紙のうち小型サイズの巻き取り紙を、帰路に積み荷が空となった新聞配送の3tトラックで、約30キロ離れた仙台市泉区の河北新報印刷センターに運ぶラウンド便をはじめました。これまで日本製紙が負担(紙代に上乗せしてあると思いますが)していたであろう新聞用紙の輸送料金も圧縮されるのでしょう(輸送量の約18%をラウンド便で対応する計画)。
 輸送会社の従業員の労働条件も気になるところですが、2006年4月から施行された「エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)」(国土交通省)の一部改正により、一定規模以上の輸送事業者(特定輸送事業者)、一定規模以上の荷主(特定荷主)に対し、省エネルギー計画の策定、エネルギー使用量の報告の義務付け等の輸送に係る措置が新たに導入されました。それもあって、各社とも国土交通省へ何かしらのアピールをしなければならないという切羽詰まった状況も背景にあります。
 新聞配送は限られた時間帯に販売店へ新聞配送をするため、(積載量の問題もありますが)あまり効率的とはいえません。帰路も深夜時間帯なので荷受けをする物流センターも閉まっていますから、効率的配送システムは“言うは易し…”なのです。

* * *
 このほかのトピックスでは、専売店を持たない中堅規模の地元紙(完全セット販売)が4月から土曜夕刊を休止するようです。理由は広告が集まらないため紙代など制作コストの削減だとか。一部の経営幹部からは「夕刊廃止」まで話が出されたようですが、とりあえず土曜日の夕刊をなくして完全週休二日制に移行するとのこと。4月からということですが、当該の販売店では現時点で何も知らされていないようです。


 これまで経営状況が思わしくないと値上げで乗り切ってきた新聞業界(大手紙・地方紙)ですが、1994年以降17年間、値上げをせずに現状を維持することは不可能になってきました。環境が想像以上に変化してきたのだから当然なのですが、人口減、世帯数減、購読者減という市場(紙ベース)の先細りが予測されますが、守るべきものは死守しながら仕組みを変えていかなければなりません。

posted by 今だけ委員長 at 00:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2011年01月13日

前略 内山社長へ声なき声を伝えたい

 販売現場ではおとといから営業活動がスタート。以前は「松の取れないうちは営業へ行くものではない」と先輩から諭されたものですが、4日の仕事はじめから引っ越し業者が行き交い、フリーダイヤルにも「購読申し込み」が来るご時世。ライフスタイルの変化は昼夜だけではなく「盆暮れ」も問わなくなっていると感じます。

 各方面からの問い合わせもネット時代では昼夜を問わずメールに飛び込んできます。先日は東京都内のある販売関係者からこんな連絡が入りました。
 昨年9月から読売新聞社が改築のため大手町の社屋から銀座の仮社屋へ一時移転したが、仮社屋への新聞各紙の配達がそのエリアを管轄する各販売店から配達されるべきところを(これまでは丸の内新聞事業協同組合から一括配達していた)読売関連の即売会社(K徳社)から配達させていようだ。移転前の8月時点では各紙100部程度は発証されていたとあって、銀座エリアの関係販売店はそれを期待していたところ裏切られた形になっている。ある販売店主は『場合によっては訴訟も辞さない』といっているようだ―
とのこと。正月早々あまり穏やかではありません。


 まさか天下の読売新聞社がそんな姑息なことをするはずはないと思いますが、やり方次第では大口購読する企業(官公庁)が即売会社から納品を受けることも不可能なことでもない。例えばこういうことです。
 本来、即売会社は消費者への一般販売はできず、新聞を小売する店舗(キオスクやコンビニなど)へ納入する契約を新聞社と交わしているので、読売新聞社の各部署で購読する新聞の販売行為は基本的にできません。ただし、読売新聞社が社内に(偽装でも)社内売店(購買部)のような小売店舗を設け、そこへ各部署が買いに行く―ということも考えられなくもありません。即売会社は新聞を原価相当(7〜8掛け)で仕入れているわけですから、(情報提供者がいう即売会社が関連会社であればなおのこと)新聞社はこれまで支払っていた購読料を2〜3割コストカットできるとも考えられます。しかし、即売会社にも利益が出ないと商売にならないので、販売定価から原価を除いた3割の利益を1.5割ずつシェアすればメリットはあります。また、即売会社は「返品制度」もあるので(身内であれば)“ごまかし”もやる気になればできるわけです。ただし、誰も目から見ても不正常なことですね。


 一般常識からして新聞社が即売会社を経由して(理由は明確ではありませんがおそらく購読料の抑制)購読していることが事実であれば論外なこと。これが表面化すると官公庁など大量購入しているところからクレームも出るでしょう。内閣官房だけでも年間新聞代に4千万円を使い、その理由として「新聞は再販制度の対象であるため、競争性のない随意契約とならざるを得ないもの」といわれているのですから、こりゃ公取委も怒りますよ。
http://www.e-procurement-cao.jp/choutatsujouhou/pdf/2010.12.27%20na-2_01.pdf

 当該の販売店主は憤っているようですが、きちんと正規のルートを通じて改善を求めることが先決だと思います。「訴える」といっても、その理由が「本来得られるべき収入(購読料)が得られなかった」ということだけでは、ちょっと弱いような気もしますが…。


 ほかの新聞社の販売局などはどう見ているのかなぁ。ANY連合だから「知らぬふり」「さわらぬ神にたたりなし」なのでしょうか。このようなことを内山社長は知る由もないと思いますが、販売現場ではいろいろなことが起こっているものです。

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posted by 今だけ委員長 at 00:20 | Comment(0) | TrackBack(1) | 日記

2011年01月03日

2011年がスタート 新聞各紙をならべて感じること

 新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。
 今だけ委員長が住むまちでは、気象予報が外れて配達作業に支障もなく穏やかな2011年の幕開けとなりました。
 日本海側の山陰や中国地方が大雪に見舞われ、元旦号の配達など大変ご苦労されたことと存じます。当事者の皆さまへお見舞い申し上げます。


 正月三が日は新聞をじっくり読めるので、各紙を比べながら評論したり、感動したり、仕事に使えそうなネタはスクラップしたりと、ついつい夜更かしをしてしまいます。ジャーナリストの上杉隆さんは「マスコミの発信は疑ってかかれ」とおっしゃいますが、元旦号の紙面を読んでいると「(読者へ)元気を取り戻そう」というメッセージが込められた記事(特集)が多種多様に盛り込まれていて、2011年の“自分”を考えるのに(読む時間も含めて)よいテキストだと思っています。
 各紙社説は、それぞれの持ち味というか姿勢が感じとれたものですが、朝日の社説がナベツネさんのお株を奪うような印象で、連合・古賀会長の消費税増税容認を大きく報じるなど、これまでと違った「進め方」を感じます。
 広告は昨年とさほど変わらずと感じますが、広告段数では朝日が60l超えで毎日が50lを割り込みました。また、昨年のマクドナルドのジャック広告(朝日)を読売も受注するなど、全面広告主もそう大差なく大手広告会社も新聞社は選別せずに「新聞(メディア)」へ広告を出稿(割り振り)したとうかがえます。合従連衡はまだまだ続きそうですね。
 紙面(記事)以外の広告受注や流通分野(印刷、発送、宅配)はパイを奪い合うのではなく、無駄を省いて適正なパイを分かち合う方が効率的で利益をもたらすこと間違いなしなのですが、ひとり勝ちを目論むのが人間の性。所詮、電博系の大手広告会社や代理店に頼らざるを得ない広告営業なのですが…。
 新聞社の方々の経営哲学は理解できませんが、今年も新聞産業内の効率化(業務提携等)はかなり進むと思われます。


 さて、皆さんは2011年をどんな年にしようと行動するのでしょうか?


・各社社説

□朝日新聞「今年こそ改革を―与野党の妥協しかない」
http://www.asahi.com/paper/editorial20110101.html
□毎日新聞「2011 扉を開こう 底力に自信持ち挑戦を」
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20110101k0000m070070000c.html
□読売新聞「世界の荒波にひるまぬニッポンを 大胆な開国で農業改革を急ごう」
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20101231-OYT1T00503.htm
□日本経済新聞「世界でもまれて競争力磨く志を再び」
http://www.nikkei.com/news/editorial/article/g=96958A96889DE0E2EBE2E2E0E4E2E2E3E2E3E0E2E3E38297EAE2E2E2;n=96948D819A938D96E38D8D8D8D8D
□産経新聞「『ひこばえ』に思う国家再生」
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/110101/plc1101010203004-n1.htm
□河北新報「我慢の作法/逆境はねのける契機求めて」
http://www.kahoku.co.jp/shasetsu/2011/01/20110101s01.htm


・各社頁数と広告比率
▽朝日新聞:96頁(第4朝刊)
 広告比率59.2%(広告段数739/総紙面段数1248)
 全面広告主:岩波書店、講談社、新潮文庫、小学館、集英社、数研出版、H.I.S.、積水ハウス、日立、大和ハウス、花王、トヨタ、キャノン、サントリー、日産自動車、パナソニック、西洋ハウジング、アディダス、住友林業、ANIPLEX、EMI MUSIC、サッポロ、桑田佳佑、三井住友銀行、東日本ハウス、スターダストレビュー、五木ひろし、いきものがたりいきものがかり、丸美屋、ツーリスト、パーレーツオブカリビアン、資生堂、MSD株式会社、イブサンローラン
▽毎日新聞:76頁(第5朝刊)
 広告比率48.7%(同556/同1140)
 全面広告主:講談社、集英社、小学館、サントリー、積水ハウス、トヨタ、日産自動車、花王、大和ハウス、パナソニック、住友林業、トップアート、伊勢丹、東日印刷、資生堂、キャノン、サッポロ
▽読売新聞:104頁(第6朝刊)
 広告比率59.2%(同739/同1248)
 全面広告主:講談社、小学館、集英社、大和ハウス、アディダス、住友林業、キャノン、丸美屋、日立、積水ハウス、サントリー、トヨタ、日産自動車、花王、数研出版、H.I.S.、パナソニック、スカパー、20世紀FOXet、ナルニア国物語、いきものがたりいきものがかり、NHKオンデマンド、相棒、MSD株式会社、TYグループ、資生堂、ドリカムワンダーランド、パイレーツオブカリビアン、東京ドームシティ、マクドナルド、シュウウエムラ
▽日本経済新聞:100頁(第5朝刊)
 広告比率55.8%(同837/同1500)
 全面広告主:集英社、東和薬局、トヨタ、パナソニック、日産自動車、ファミリーマート、MJC、日立、キャノン、アウディ、コジマ電気、花王、UBS、大和ハウス、三菱UFJモルガンスタンレー証券、サントリー、日立A、NEC、IBM、コニカミノルタ、パナソニックA、サッポロ、BSジャパン、アイフルホーム、HNKオンデマインド、ブリジストン、大和ハウス、ミサワ、住友林業、トヨタホーム、積水ハウス
▽産経新聞:80頁(第4朝刊)
 広告比率53.9%(同5186/同960)
 全面広告主:集英社、積水ハウス、日産自動車、キャノン、大和ハウス、トヨタ、花王、東京理科大学、日本製粉、パナソニック、フジネットワーク、創価大学、フジテレビ、ポニーキャニオン、高松建設、パイレーツオブカリビアン、20世紀FOXet、日本コロンビア、鹿島、資生堂、丸美屋、サッポロ、ジョージア、アンファー株式会社
▽河北新報:88頁(第4朝刊)
 広告比率55.7%(同736/同1320)
 全面広告主:トヨタ、パナソニック、積水ハウス、東北三菱、さくら野、藤崎、ネッツトヨタ宮城、サントリー、トヨタホーム、大和ハウス、IDC大塚家具、ヤマダ電機、メガネの相沢、資生堂、ダイハツ、スモリの家、日産自動車、数研出版、ネッツトヨタ仙台、大井ジュエリー、利府ハウジングギャラリー、Fujiコーポレーション、なとりりんくうタウンジアス
※広告段数は今だけ委員長が独自に計測したものです。自社広告などは省いて算出しました。

・各紙に折り込まれたチラシ
☆朝日新聞:28種類
☆毎日新聞:15種類
☆読売新聞:27種類
☆日本経済新聞:13種類
☆産経新聞:11種類
☆河北新報:51種類
※折込チラシの種類は今だけ委員長が勤める会社(仙台市内中心部の事業所エリア)へ配達された各紙を計測したもので、各紙のチラシ枚数の平均などを称するものではありません。

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2010年12月26日

来春に浮上するであろうネタを考えてみる/新聞産業界20年を振り返るC

 今年もあと5日となりました。今年の世相を表す漢字が「暑」というだけあって、異常気象が年末ぎりぎりまで猛威をふるいました。私が住む町でも先週22日、大雪ではなく季節外れの大雨が降り(12月としては観測史上最大の123.5ミリを記録)しかも30年ぶりに12月の「雷」にも見舞われました。年の瀬を控えて営業の追い込みや帰省前の集金にと忙しさを増す販売店では、稼働日が1日減ってしまったようなものでした。外回りの商売は天候に大きく左右されるのですが、「元旦号の配達時だけは雨や雪が降らないように」と、すべての販売労働者が願っていることでしょう。

 来年はどんな年になるのでしょうか?予想したところでキラーコンテンツが生まれるわけでないので地道に読者との距離を縮めていくしかないのですが、今だけ委員長が知りえた情報を整理し、さらに一歩踏み込んで予見するとこんな事が浮上しそうです(備忘録として)。


▽新学習指導要領に便乗した新媒体発行
 Y新聞が来年3月に現在の「読売KODOMO新聞」をリニューアルして、子ども向けの新媒体を発行するそうです。発行エリアは関東地区で週刊。タブロイド16頁程度で、うち5頁は小学館が記事を提供するとか。価格は未定ですが、新学習指導要領に便乗して就学児童のいる無購読者(他紙購読者)への拡材として使われる可能性「大」と見ています。また、子ども向けの内容であれば「もち屋…」に任せるのが一番ですし、広告も一緒に取ってしまおうという戦略だと思います。紙面の枠売りというか小学館やベネッセなどの教育教材を提供する企業や学習塾からの広告出稿で製作コストもまかなおうという戦略は、一理も二理もありそうです。

▽課金型電子版の動向
 日経に続き、A新聞でも年明け早々に電子版を発行するようです。日経と同じ戦略で「紙」の読者に比重をおいた売り方のようですが、なんと本紙とのセット販売のみで電子版単体の販売はしないという話です。日経と同じように本紙読者はプラス1,000円程度で電子版を購読することができ、課金はクレジットカード決済で発行本社管理。販売店へ約3割戻す(1契約につき300円程度)想定であるとすると、販売店による電子版の拡販にも力を入れるのかもしれません。2月にデモ版を配信し、4月から課金スタートというシナリオのようです。でも腑に落ちないこともあります。同社が運営する「WEB新書」との絡みや今年7月にソニー、凸版印刷、KDDIと共同設立し、11月24日に事業会社化した「ブックリスタ」のようなポータル機能があるのになぜそこで有料配信しないのか。なぜ「紙」にこだわり(紙を購読していない)スマートフォン系の顧客へ電子版を売ろうとしないのか疑問です。日経はシャープの電子書籍専用端末「GALAPAGOS(ガラパゴス)」からも電子版が購読できるサービスを展開しているのに…。電子版が「紙」のオマケになるような時代ではないと思うのですが真相はどうでしょう。Y新聞の電子版事業の仕切り直し後の動きも含めて、新聞社の課金型電子版の動向には目が離せません。

 このほか、関東圏の地方紙の経営がかなりひっ迫しているという情報もありますし、10年に一度浮上する「再販問題」もどうなるのか。右往左往せずにじっくり自分たちの問題を考えてみたいものです。

 今年はこのエントリで最後にしようと思っています。ご訪問をいただきありがとうございました。来年も孤軍奮闘?ではありますが、販売労働者の目線でコツコツと発信していきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

*****

新聞産業界20年を振り返るC
2005年
1・13 NHK特別番組への政治介入改変めぐる朝日報道で、NHKは「改変事実ない」と説明
1・19 新聞協会、個人情報保護法に関し「見解」を公表、報道分野「個人情報を取り扱ううえで適切な措置を自主的に行う」ことを明記
1・25 毎日大阪、奈良女児誘拐殺害事件で販売所従業員逮捕受け販売局長ら処分
2・1 神奈川、自社記事をブログで公開、日本の新聞社で初
2・1 日刊工業、印刷を完全外部委託
2・1 NHK、番組への政治圧力の有無めぐり「報道は正当で放送法の理念にも合致」と朝日に回答書
3・1 日経、製作部門をすべて別会社に移管
3・5 読売と共同、イラクに記者派遣、英軍に同行取材
3・16 新聞協会、人権擁護法案に対し、メディア規制削除求め民放連と共同声明
3・20 九州北部で震度6弱の地震、西日本、朝日、読売が号外発行
4・19 朝日、消費者金融会社「武富士」の編集協力費受領問題で武富士に謝罪、社長ら6人を処分
4・29 滋賀で朝刊日刊紙「みんなの滋賀新聞」創刊
7・4 フジサンケイビジネスアイ、自社サイトでブログ開設
7・22 活字文化振興法案が成立
8・8 参院での郵政民営化法案否決、衆院解散受け、各紙が号外発行
8・29 朝日、田中康夫長野県知事らによる新党結成で虚偽メモを根拠に報道していたことが判明、取材記者を懲戒解雇、編集局長更送など処分
9・17 日刊紙「みんなの滋賀新聞」が4カ月半で休刊
10・1 産経、ネット紙面配信サービス「Net View(ネットビュー)」を開始
10・24 読売、ニュースサイト「ヨミウリ・オンライン」で音声配信を開始
11・2 公取委、特殊指定の見直しを表明、新聞協会は「現行規定の維持」を求める声明
11・14 毎日、愛読者サイト「まいまいクラブ」を開設
11・16 新聞協会第697回理事会、再販特別委の下に「特殊指定プロジェクトチーム」を設置
11・30 「新聞特殊指定プロジェクトチーム」が初会合、現行規定維持へ取り組み強化

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2010年12月20日

2010年の新聞界は人を幸せにすることができただろうか?

 2010年もあと11日。年齢とともに「カウントダウン」で盛り上がる歌番組より、「ゆく年くる年」を見ながら平和に年を越したいと思うようになったこの頃です。

 日付が変わったのできのうは、自分への褒美として馬場俊英さんのライブへ行ってきました。この数年、同じ年の彼の歌を自分の応援歌として聴いています。繊細な詞がとてもすばらしいのでおススメです。そんな馬場さんはライブ後、演奏した曲目が書かれた手作りの礼状を渡してくれます。今回はこんな事が書かれていました。

馬場俊英ライブチケット.jpg僕にもいろいろな時期があるのと同じように、すべての方に様々な時代があったと思います。苦しんだ日もあった。 悲しくて途方にくれた時代もあった。 幸せな日々があった。 不安でたまらない夜があった。 嬉しい時があった。 傷つき傷つけた時があった。
いろいろな時代がすべての人にありました。そんな中で、ときどきこうしてコンサート会場で出会い、音楽を通じて心で触れ合った夜の記憶が僕の宝物であり、未来への力になっています。
ある音楽家が「音楽は人を幸せにするためにある」「音楽は人の幸せに尽くすものだ」と話していました。15周年を迎えて、40歳を超えて、僕にもその言葉の意味がわかるような気がしてきました。

 今年もいろいろありましたが、もう戻ることはできない2010年。果たして新聞界は今年、人を幸せにすることができたのでしょうか?
 自己分析をするとマイペースながら少し無理をして1年間突っ走ったという感じです。職場も4年ぶりに営業部門へ出戻りました。変わりゆく読者の価値観を目の当たりにして試行錯誤の毎日が続いていますが、健康で1年を過ごせたことに感謝です。
 いろいろとお世話になった皆さま、訪問してくれた皆さま、今年1年どうもありがとうございました。


 昨年に引き続き、新聞協会報(10年12月14日付)が報じた「2010年報道界重要ニュース」(協会報編集部選定)を引用して、今年1年を振り返りたいと思います。
注:重大ニュースに順位づけはされていませんが、見出しの大きさなどを勝手に判断して並べています。


@日経が有料電子版を創刊―各社、ネット収益の道探る―
 日経は3月23日に「電子版」を創刊し、ニュースサイトの本格的な有料化にかじを切った。購読料は月4,000円。新聞本紙とのセット契約は5,383円(統合版地域では4,568円)とした。北日本、十勝毎日もサイトを有料化。朝日や共同のように、インターネット上のコンテンツ配信や課金の仕組みを提供する動きもみられた。
 新聞本紙での収益拡大が難しくなる中、日経は電子版を新たな事業の柱と位置付けた。伸び悩むインターネット広告収入の拡大も目指すとし、読者の属性や嗜好、閲覧履歴などに応じた連動型広告を導入した。
 セット契約の場合、読者は購読料を一括で日経に支払う。本紙購読料は日経が販売所の集金業務を代行する形となる。販売所の購読者情報を発行本社が把握できるようになったことも大きな変化に挙げられる。
 北日本は1月にニュースサイトを刷新。2月以降、閲覧を本紙契約者に絞った。配達区域外からは、月2,100円の利用料で閲覧できるようにした。十勝毎日も7月1日に有料サイトを開設。購読料は本紙と同額の2,500円とした。
 朝日は4月20日、新聞・雑誌記事の販売サイト「エースタンド」を本格オープン。毎日や時事も記事を提供している。共同は6月21日に携帯電話向け有料サイトのプラットフォーム「ニュースマート」を開設した。


A新聞社の提携、編集部門でも―記者の負担軽減、独自取材強化―
 新聞社同士の提携が、印刷や輸送にとどまらず、取材・編集部門にも広がった。4月1日には、毎日が共同加盟に合わせて地方紙12社から地域版向けの記事・写真の提供を受け始めた他、朝日と読売も鹿児島県の一部で相互配信を開始した。
 毎日は、地方紙各社の発行エリアのうち、通信部や駐在員を配置していない一部の市町村の情報を受け取っている。朝日と読売の提携も、支局や通信部に常駐者がいない地域が対象。記者の負担軽減や、独自取材の強化につなげている。
 地方紙間では、山陰と中国が1月4日から記事交換を始めた。発行地域が一部重なり、競争関係にもある両社の提携は注目を集めた。この他、紀伊民報から朝日への記事提供(4月)、読売と長野日報の記事交換(8月)が始まった。
 航空取材の協力も進んだ。共同は10月から、東北・関東圏で毎日と、関西圏で産経と提携。ヘリコプターを合同で運用し、カメラマンを交代で配置している。
 全国紙の地方紙への印刷委託も進んだ。3月8日に毎日と新潟、4月6日に読売東京と北日本、7月1日に朝日と河北が提携を発表。共同輸送は、毎日と産経が9月23日から千葉県西北部と埼玉県東部で、朝日、読売東京、日経が10月1日から埼玉県東・南部で始めた。

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2010年12月14日

気配りのないチラシ配布は逆効果/新聞産業界20年を振り返るB

 最近、夜遅くにマンションの集合ポストへチラシを投げ込んでいるサラリーマン風の方が目に付きます。ポスト付近の掲示板には「許可のないチラシ・パンフレットの投函禁止」とシールが貼ってあるのに…。

 先日もスーツ姿のポスティングマンと遭遇しました。その方は一瞬、私の顔を見て住民ではないと見て再びチラシをせっせとポスティング。「ピザ屋じゃないし何だろう」と注意してみてみるとよく新聞折り込みも利用されるスポンサーでもあります。業種は不動産関係。すぐに捨てられることを覚悟してなのか、その「売ります・買います」系のチラシはコピー用紙に単色刷りで、あまり経費をかけていない(かけられない)と察しがつくのですが、新聞折込枚数だけでは「転換率(配布数に対する戻り率)」が足りないということなのでしょうか…。普及率も落ちているのでたぶん…。


 そのチラシを1枚いただいて内容を見てみると物件情報のほかに「チラシ配布スタッフ募集」とも表記されています。前出のおそらく社員であろうポスティングマンは「見てもらいたい」と念じて比較的丁寧にポスティングをされていたように感じたのですが、これが「何枚まいて幾らもらえる」というアルバイトだと数をこなすだけで、すでにチラシで一杯のポストへまたぞろチラシを押し込んでいくさまが予想され、逆にマイナスイメージを植え付けてしまうだけだと思います。せっかく作成したチラシなのですから、見てもらうためにはそれなりの工夫が必要なのですが、「とりあえず数千枚まけば1件は反応がある」という皮算用では逆に顧客からの不信感を買うだけだと思うのですがどうでしょう。


 チラシは新聞に折り込まれているから食卓まで届くわけで、新聞購読世帯だからこそのマーケティングも考えられるでしょう。あとは新聞販売店が作成するチラシ(新聞休刊日とか配達員募集など)の片面を活用するコラボ企画で経費を軽減するとか、集金スタッフからのチラシ手渡し作戦とか販売店に相談するといろいろなアイディアが出てくると思いますよ。多くの販売店ではマンションへチラシ等を配布する際に管理人へ確認してから配布するようになってきてますし、コソコソしながら仕事をしたくないものです。
 先日も夕刊に書籍販売のチラシを入れたところ、夜間にかけて電話が鳴りやまず一気に600件を超える購入申し込みがありました。まだまだ新聞折り込みの効力はあると感じた瞬間でした。


新聞産業界20年を振り返るB
2000年
1・1 陸奥新報が印刷局を廃止し、朝日新聞・日刊スポーツ・日本農業新聞の印刷受託業務を新会社の(株)朝日弘前プリンテックへ移行
2・1 読売、「Loppi(ロッピー)」で購読受付開始、全国紙5紙の購読申し込みが可能に
2・7 道新、函館新聞社の参入妨害問題で、係争終結への同意審決を申し出(同社の独禁法違反が事実上確定)
3・15 公取委、新聞販売勧誘時の上限を超す景品提供で和歌山の4店主に排除命令
3・24 読売、題字「北海タイムス」を取得
3・30 中央労基署、時事通信記者の過労死を認定
3・31 福島民友と福島民報、夕刊を休刊
4・1 購読料改定=朝日1部売り130円(20円上げ)、宮古毎日月決め1,785円(85)
4・1 函館新聞、朝刊紙に移行
4・3 読売、夕刊フジの受託印刷開始
4・5 読売、産経、相互委託印刷で合意
6・23 朝日、中国新聞記事の盗用が判明、読者に謝罪
7・8 読売、初のNIEセミナー開催
7・18 電通と共同、時事など5社、スポーツ総合サイト新会社「スポーツ・ナビゲーション」設立を発表
7・26 時事、サイトを一新、内外の最新ニュースを提供する「時事ドットコム」を開設
8・10 新聞広告のデジタル送稿を行う「デジタルセンド」が発足、118社が出資
8・15 公取委、新聞業景品提供ルールの改正を告示。9月1日施行
9・1 購読料改定=読売1部売り130円(20円上げ)、毎日1部売り130円(20)
10・1 購読料改定=京都、神戸1部売り130円(20円上げ)
10・3 日経と地方紙14社が共同サイト「AREA(エリア)21」を開設
10・12 新聞協会、再販制度に関する文書を発表、公取委に手渡す
10・14 毎日、「開かれた新聞委員会」を創設
12・4 読売、基本文字拡大、1段12文字、1ページ14段の新紙面
12・7 公取委、著作物再販で関係業界との論点を整理した「中間まとめ」を公表、新聞協会との議論では@都市部での戸別配達維持A過疎地での戸別配達と都市部との同一購読料維持B紙面の質の維持C言論の多様性、国民の知る権利―の4点に論点を整理


2001年
1・1 福島民友、社是と編集綱領を統一し「民友の誓い」を制定
1・1 共同、加盟新聞社のニュースサイト開設
1・4 朝日と日経、電子メディア事業提携に合意
1・9 道新、iモードで有料ニュースの提供開始
2・27 活字文化議員懇談会、再販制維持へ緊急決議
3・19 朝日と日経、iモードに共同サイト開設
3・20 読売、米シカゴ・トリビューン紙と提携、全米主要約40紙の独占利用権も獲得
3・21 活字文化議員懇談会、再販維持を求める声明を採択
3・23 公取委、「再販、当面維持」と発表
3・25 朝日、毎日、読売、日経の新聞4社、参院選挙の集票作業を外部に委託
3・31 英文毎日が休刊、ネット新聞として再出発
4・1 情報公開法が施行
4・1 購読料改定=四国1部売り130円(20円上げ)、熊本日日1部売り120円(20)、ジャパンタイムズ月決め3,900円(480円下げ)、1部売り150円(10円下げ)
3・1 山形、「紙面審査会」を設置
4・9 産経と大阪読売、相互委託印刷を開始
4・19 日経、有料のビジネスポータルサイト事業を8月から開始
5・1 購読料改定=道新1部売り130円(20円上げ)
6・1 購読料改定=茨城1部売り120円(20円上げ)
6・11 東奥、「報道審査会」を創設
7・1 河北、「紙面委員会」を創設
8・29 産経、9月から本紙と系列誌のセット価格設定
9・1 購読料改定=産経1部売り100円(10円下げ)
9・1 産経、「電子配達(ニュースビュウ)」のサービス開始
9・11 米同時多発テロで米116紙が号外
9・18 朝日、週刊タブロイド紙「SEVEN(セブン)」を創刊
10・23 米ニューヨーク・タイムズ社「電子新聞」の配信開始
11・6 朝日の週刊新聞「SEVEN」第8号で休刊
11・7 産経、02年4月から東京本社の夕刊廃止、朝刊単独紙に移行と発表
11・21 改正商法が成立、02年4月1日から施行、決算公開開示がネット上で可能に
12・1 皇太子妃ご出産で各紙が号外
12・4 公取委、再販制度運用で意見交換する第1回「著作物再販協議会」を開催

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2010年12月10日

企業(組織)は余裕がなくなると人材が育たない/新聞産業界20年を振り返るA

 きょうのネタは、「Chikirinの日記」というブログがオモシロかったので紹介します。
▽「超てきとー)メディア別・入社時代別 人生総括表」
http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20101209
 11月30日に新宿・住友ホールで行なわれた、BLOGOS1周年記念シンポジウム「メディアの未来像」(池田信夫さん、田原総一朗さん、蜷川真夫さんのパネル討論)へ参加された感想などを書かれたブログなのですが、「組織としてのメディアに余裕がなくなり人を育てることができなくなっている」という観点で、既存メディアを時代(世代)ごとに独自の分析をされています。
20101209163731.jpg ・60年代・・・新聞がメディア王者の時代
 ・70年代・・・新聞が王者
 ・80年代・・・逆転の時代
 ・90年代・・・テレビが王者の時代
 ・2000年代・・・テレビが王者
 ・2010年代・・・逆転の時代 (←今年がこの10年の初年)
 ・2020年代・・・ネットが王者の時代
 時代とともに移り変わっていく「王者」?の座をオモシロおかしく解説されているのですが、“なるほど”とうなづける内容でした。ただし、その基準(王者たる)が「媒体の接触時間」とか「儲け」というキーワードに準じているようにも感じます。
 確かに、新聞社(特に編集部門)のOJTは軍隊方式とよく言われますが、職業としてのさまざまな知識や能力の6割は企業(組織)で育まれ、残りの4割が市場(取材現場・取材先でのコミュニケーション)で自身を磨き、個々のスキルアップに連動して商品力も高まっていくもの。
 でも今は規模の縮小などで人材の育成より前に「発掘」することもままならないのかもしれません。産業の成長が停滞するとすべてが悪循環に陥るということへの警笛なのでしょう。でもメディアの捉え方は人によって千差万別。私が過去に新聞労連主催の就職フォーラムで知り合った学生さんの中には、「他のメディアではなく、あえて新聞社に入りたいのです」という方も少なくありませんでしたが…。



新聞産業界20年を振り返るA
1995年
1・1 購読料改定=九州スポーツ3,000円(50円上げ)
1・17 阪神大地震で、新聞各紙が相次いで号外発行(全国紙のほか地方紙28社)、被災地の神戸新聞は京都新聞などの協力を得て発行を継続
2・24 政府の規制緩和検討委員会が再販制度に触れた報告書をまとめる
3・1 購読料改定=夕刊フジ2,900円(300円上げ)、内外タイムス3,100円(300)、東京スポーツ3,100円(200)
3・6 神戸新聞、6日付紙面から完全自社製作
3・20 地下鉄サリン事件で各紙号外(22日のオウム真理教強制捜査でも号外)
3・30 警察庁長官狙撃事件、各紙が号外発行
4・1 購読料改定=釧路2,800円(200円上げ)、中日スポーツ3,100円(200)、西日本スポーツ3,000円(100)
4・28 夕刊紙「新大阪」休刊
5・3 憲法記念日で朝日・読売が社説などで提言報道
5・12 読売、松本サリン事件報道で第一通報者に謝罪の記事掲載(朝日は4月21日)
5・16 オウム真理教教祖麻原彰晃逮捕で各社号外発行
6・1 購読料改定=サンケイスポーツ、報知、日刊スポーツ、スポーツニッポン各3,200円(200円上げ)、東京中日スポーツ2,900円(300)、名古屋タイムズ2,200円(200)、中日スポーツ2,400円(200)
6・26 共同、松本サリン報道で第1通報者に対する「おわび」を27日朝刊用に配信、加盟39社が掲載
7・1 購読料改定=日本工業4,300円(300円上げ)
7・25 公取委の「政府規制等と競争政策に関する研究会」の再販問題検討小委員会(座長・金子晃慶応大法学部教授)、新聞・書籍・雑誌・音楽用CDなど著作物の再販制度に関する中間報告書を発表
7・27 行政改革委員会の規制緩和小委員会は著作物の再販制度など40項目につき規制維持と規制緩和の意見併記の「論点」を公開
7・31 活字文化懇談会(新聞、出版界、文部省で構成)は再販制度問題検討小委の中間報告に対して「再販制度の趣旨は不変」などの見解を公表
8・15 戦後50年で各紙50年を振り返る企画・特集紙面提供
11・27 新聞協会、書籍出版協会、雑誌協会は行革委および同規制緩和小委員会に3団体連名で「著作物再販原則廃止の方向」撤回の申し入れ書提出
12・1 購読料改定=デイリースポーツ(東京)2,900円(200円上げ)、八重山毎日1,650円(300)、宮古毎日1,700円(300)、西部日刊スポーツ、スポーツニッポン(西部)、九州スポーツ各3,100円(100)
12・7 行政改革委員会の規制緩和小委員会、著作物の再販売価格維持制度について「引き続き検討課題として、議論を深め、公正取引委員会での検討を求める」とした規制緩和の報告書をまとめた


1996年
1・8 日経4紙、文字拡大し、1行12字に移行
1・9 日経、ホームページを開設(30日 東京、東京中日スポーツも開設)
1・22 米ニューヨークタイムズ、電子新聞事業を開始
3・1 毎日、携帯型の電子新聞をスタート
3・1 日経、米シリコンバレーに支局開設
3・1 日経、電子新聞の公開実験
3・2 東奥、北國が気象庁の「地方天気分布予報」、「地域時系列予報」を受け、きめ細かい天気図を掲載
3・13 福島地検、殺人容疑者の捜査に支障と福島民報の出入りを禁止(15日 福島民報、取材拒否に抗議)
4・1 秋田魁、「さきがけスポーツ」を発刊
4・1 鎌倉市、「広報メディアセンター」を開設
4・1 毎日、主な取材記事に署名入り
4・1 購読料改定=大阪のサンケイスポーツ、スポーツニッポン、日刊スポーツ、デイリースポーツ、報知各紙3,200円(200円上げ)
4・29 米ウォールストリートジャーナル、ウェブ上で同紙記事サービスを開始
5・1 購読料改定=九州の日刊スポーツ、スポニチ、九州スポーツ、西日本スポーツ各3,100円(100円上げ)
5・14 毎日、有料の電子新聞サービスを7月から開始と発表
5・20 産経、「産経新聞インターネット版(産経Web)」を開設
6・5 渡辺恒雄再販特別対策委員長が衆院規制緩和特別委で「再販の必要性」をあらためて強調
6・7 郵政省、通信と放送制度の抜本改正を提言
7・1 購読料改定=道新スポーツ2,900円(200円上げ)
7・11 河北と岩手日日が災害時援助協定を締結
7・20 アトランタ五輪開会式の報道で、33紙が祝日に夕刊、9紙が号外を発行
7・26 第1回NIE全国大会を東京・内幸町のプレスセンターホールで開催
8・15 朝日、「人材センター」を新設
9・1 地方紙16社、「地域新聞マルチメディア・ネットワーク協議会」を発足
9・3 最高裁、京都市の記者クラブ電話代など公金負担は許容範囲の判決
9・4 新聞協会第591回理事会、再販廃止への反論提出を了承
9・8 沖タイ、琉球両社、沖縄基地整理・縮小の是非問う県民投票をインターネットで速報
9・20 毎日、報道写真のインターネット検索サービスを開始
9・21 米ウォールストリートジャーナル、記事情報サービスを有料化
10・1 購読料改定=大阪新聞2,600円(300円上げ)
10・1 新聞協会、ホームページ「プレスネット」を開設
10・2 新聞協会、横浜市に設立する展示施設の正式名称を「日本新聞博物館」、愛称を「ニュースパーク」に決定
10・16 産経東京、新聞広告の日関連で異例の“白紙広告”
10・17 日経テレコン、97年1月からサービス拡充、写真、映像、音声盛り込む
10・20 衆院選で、朝日北海道支社などの出口調査の結果が政党に漏えい
10・25 新聞協会、再販維持を求めた意見を行革委規制緩和小委に提出
11・1 購読料改定=夕刊フジ3,300円(200円上げ)、内外タイムス3,300円(200)大阪新聞2,600円(120)、大阪スポーツ3,300円(200)
11・5 北海道新聞、函館地区に別刷り夕刊「函館新聞」を新設
11・7 山梨日日、日本の新聞社として初の古紙リサイクルセンター完成
11・13 新聞協会第593回理事会、渡辺恒雄理事に再販対策特別委員長委嘱を確認
11・20 日刊工業、購読用「プリペイド・チケット」を発売
11・20 新聞協会、規制緩和小委で再販維持を求める意見陳述
11・28 朝日、「統合型」電子情報サービス「アサヒ・コム・パーフェクト」を有料で開始
12・1 購読料改定=伊勢2,450円(350円上げ)
12・5 行革委、13分野51項目の規制緩和策を盛り込んだ報告書をまとめる、再販の結論は先送り、新聞協会小池唯夫会長が「制度維持の意見軽視」との談話発表
12・16 行革委、再販と情報公開法で意見書を橋本首相に提出
12・24 毎日、電子メールで有料情報サービスを開始

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2010年12月09日

新聞産業界20年を振り返る

 すっかり冬めいてきました。まだ積雪はないものの日照時間も短く、新聞の配達、集金、営業活動も厳しさを増すこの時期、朝布団から出るのがつらいだろうに、真っ暗ななかを自転車やバイクで新聞配達をしていただいているスタッフの皆さんには、あらためて敬意を表します。ご苦労さまです。
 最近こう思うのです。人をコストとか労働力という言葉に置き換える人が増えたなぁと。人をそのようにしか思わない人は結局、自己保身のためだけに生きているのだなぁと。世知辛い世の中になってきましたね。

 日本新聞労働組合連合・東北地方連合からの依頼(50周年誌を発行)で新聞産業の20年をまとめていたのですが、校正などをいただき何とかカタチになりました。
 日本の新聞業の歴史は140年とも150年ともいわれますが、今だけ委員長がこの業界に入ってからちょうど20年という節目にあたるため、自分が歩んできた新聞産業の20年を振り返ることができました。

 新聞産業の年表的なものはネット上ではほとんど見られません。新聞関係者は「紙」(年鑑などを発行)で歴史を綴るのが大好きであるということと、あまり自分たちの産業内で起こったことは公表したくないという閉鎖的なところがオープン化されづらい要因のように感じます。
 新聞労連東北地方連合50周年誌の発行は来年4月とのことですが、発行に先がけて新聞産業20年の出来事を“小出し(笑)”に掲載していきたいと思います。なお、掲載するものは、日本新聞協会発行の日本新聞協会五十年史、同六十年史、新聞研究などの資料を参考にし、個人の取捨選択により選別したものであることをご了承ください。


◆1990年
3・20 第362回新聞公正取引協議委員会がクーポン広告規制案を承認
3・30 マスコミ7業種の事業税経過措置を含む地方税の一部改正案可決成立
4・1 購読料金改定=ジャパンタイムズ4,300円(490円上げ)、日刊スポーツ北海道2,400円(140)奈良2,470円(470)
4・5 日米構造協議の日本側中間報告で流通制度の改善施策「景品および広告規制」の中で「新聞業のクーポン付き広告を本年夏までに実施するようにする」と発表
4・16 フクニチ新聞社、福岡地裁に和議を申請
5・2 毎日、鳥栖工場輪転機始動式
5・8 読売、鳥栖工場輪転機始動式
5・14 読売、江東工場が本格稼働
5・21 朝日、福岡工場が本格稼働
6・8 公取委、福岡の朝日、毎日、読売、西日本の4新聞販売店に排除命令
6・21 公取委の「流通・取引慣行等競争政策に関する検討委員会」が「流通・取引慣行と競争政策」を発表
9・5 新聞協会第552回理事会、「クーポン付き広告に関する規則案」ならびに「同運営細則案」を承認。10月から実施
9・28 新聞協会など広告・報道関係8団体が自民党税調に広告課税反対の要望書提出
10・1 新聞のクーポン付き広告実施
10・16 朝日がニューヨーク・タイムズ社と業務提携契約を締結、日刊情報紙「タイムズ・ファクス」を11月1日から日本で販売と社告
11・1 購読料改定=北羽新報1,640円(200円上げ)
12・1 購読料改定=九州のスポーツ紙3紙、日刊スポーツ2,500円(130円上げ)、スポーツニッカン2,500円(130)、九州スポーツ2,600円(130)
12・18 坂本堤弁護士一家救出のための懸賞金広告が朝日、読売、毎日に掲載される


◆1991年
1・1 購読料改定=電波4,900円(680円上げ)、神奈川2,500円(230)
1・17 湾岸戦争報道で各社(64社)号外発行
2・1 購読料改定=産経=3,100円(320円上げ)、夕刊フジ2,570円(310)、内外タイムス2,500円(300)、大阪2,500円(150)
2・24 米・多国籍軍がクウェート解放のため、地上攻撃に突入で48社が号外発行
2・28 米・多国籍軍がイラク軍への攻撃停止、湾岸戦争終結で41社が号外発行
3・1 長崎新聞社と長崎地裁の建物に何者かが銃撃
4・1 購読料改定=日刊スポーツ、大阪日刊スポーツ、サンケイスポーツ、報知、スポーツニッポン各2,700円(230円上げ)、日本海事6,180円(515)、新大阪2,200円(200)、関西2,000円(200)、中日スポーツ1,900円(260)、デイリースポーツ2,500円(200)、デイリースポーツ大阪2,700円(230)、大阪日日2,250円(250)
4・1 新聞のクーポン付き折り込み広告、解禁
4・7 大阪新聞、日曜日発行分(即売)を休刊
5・1 購読料改定=道新スポーツ2,200円(200円上げ)、日刊スポーツ、スポーツニッポン、報知北海道、各2,600円(200)
5・24 政府、「訪問販売法の指定商品に、株式会社または有限会社が発行する新聞紙を追加する」との訪問販売法施行令を閣議決定(7月1日施行)
6・1 日本新聞学会、日本マスコミュニケーション学会へ改称
6・3 長崎県雲仙・普賢岳の火口で大規模な火砕流発生、カメラマンなど報道関係者14人を含む43人が死亡・行方不明
7・1 購読料改定=紀伊民報1,300円(270円上げ)
7・11 公取委、「流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針」(ガイドライン)公表
7・29 公取委、「政府規制等と競争政策に関する研究会」、独占禁止法の適用除外制度の見直しを提言した報告書をまとめる
8・19 ゴルバチョフ・ソ連大統領失脚で33紙が号外を発行
9・1 購読料改定=岩手日日1,900円(200円上げ)
10・1 購読料改定=デーリー東北2,100円(250円上げ)
11・1 購読料改定=日本工業4,000円(500円上げ)、日刊スポーツ(西部)2,600円(100)
12・1 購読料改定=日刊工業4,200円(500円上げ)、中部経済3,000円(330)山口1,900円(400)、スポーツニッポン(西部)2,600円(100)、九州スポーツ2,700円(100)


 

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2010年12月04日

電子書籍は著作物再販制の対象とならない―を考察してみる

 著作物再販適用除外制度(著作物再販制)に関連するネタを国立国会図書館の公式サイト「カレントアウェアネス・ポータル」が取り上げていたので、もう少し同制度について考察してみたいと思います。

 公正取引委員会は、電子書籍を著作物再販制の対象にはならないと、公式HP「よくある質問コーナー」(独占禁止法関係)で回答しています。その理由として「著作物再販適用除外制度は、独占禁止法の規定上、「物」を対象としています。一方、ネットワークを通じて配信される電子書籍は、「物」ではなく、情報として流通します。したがって、電子書籍は、著作物再販適用除外制度の対象とはなりません」というもの。
 独占禁止法第23条4には「著作物を発行する事業者又はその発行する物を販売する事業者が、その物の販売の相手方たる事業者とその物の再販売価格を決定し、これを維持するためにする正当な行為についても、第1項と同様とする」とあります。確かに再販制度はメーカー(新聞社や出版社)がディーラー(販売店や書店)に対して、顧客(読者)へ販売する際の新聞購読料や書籍の定価販売を守らせても独禁法違反の適用を除外することを定めた制度なので、「物(商品)」の流通過程における解釈からすると公取委のいう電子書籍は対象外ということになるのでしょう。

 おさらいをしますが、著作物とは、著作権法に定めるすべての著作物ではなく、書籍、雑誌、新聞、音楽用CD、レコード、音楽用テープの6品目とされていますが、同じ著作物でも映像ソフト(ビデオ、DVD)、コンピュータソフト(「ソフトウェア」と呼ばれるもの)、ゲームソフトに加えて、ダウンロード形式により販売される電子データも著作物再販制の適用商品には含まれません。また、再販商品であっても非再販商品をセットにして再販商品として定価で販売することは認められないと定めています。
 そうなると日本経済新聞が今年3月23日に創刊した「電子版」と新聞のセット販売(日経Wプランとして価格設定)については、著作物再販制が適応されないわけですから、販売店が「日経Wプラン」の価格を自由に決められるということになります。ですから、「日経Wプラン」の購読者は料金を販売店による集金ではなく、クレジットカードで日本経済新聞社へ支払うシステムになっているのです(紙の購読料は日経本社から販売店へ支払われる)。そうはいうものの、このご時世ですから販売店が独自に値下げ(値上げ)をして部数拡大のために打って出ることなど考えられませんし、特殊指定や片務的契約書によって販売店のテリトリーも含めてすべて発行本社に包囲されているわけですからドラスティックに変わる要素はないとみるべきでしょう。
 新聞社がウェブで自社コンテンツを販売・課金システムを導入する場合には、(紙とのセット販売などの場合)著作物再販制のことも検討された方がよいかもしれません。


 さて、本題に入りますが、そもそも著作物再販制が独禁法の適用除外として認められた背景には、著作権法による権利の行使と認められる行為に対しては、独禁法(再販禁止)を適用しない―と解すこともできます。電子書籍の流通形態が「物」であるかどうかとの解釈で、適用の可否を決めてかかるのはいささか矛盾が生じるのではないでしょうか。著作権法第1条には「この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする」とある通り著作者の権利と保護を定めた法律なので、電子書籍であっても著作物として保護されるべきものであれば著作物再販制が適用されてしかるべきではないかとも考えるのです。著作権法第12条2(データベースの著作物)では「データベースでその情報の選択又は体系的な構成によつて創作性を有するものは、著作物として保護する」とあります。
 新聞の場合はどうかというと、新聞を編集著作物という括りにした場合は同法の同じく12条(編集著作物)で「編集物(データベースに該当するものを除く。以下同じ。)でその素材の選択又は配列によつて創作性を有するものは、著作物として保護する」とあるので、電子新聞は適用にならないような気がします。電子新聞の流通は新聞社が独自に行っている場合がほとんどですが、株式会社ウェイズ・ジャパンが運営する「新聞オンライン.com」(ネットで読む新聞ポータルサイト)などは各紙の電子版を一般ユーザー向けに販売しているディーラーと解されるので、その辺はどうなるのかなぁと。いずれ法的文書は解釈しづらく記されてあるし「データベース」って…その定義も陳腐になっていると感じます。

 ともあれ、著作者が出版社へ「電子書籍も指定した価格で販売してほしい」と求めれば(そのような契約をすれば)電子書籍であっても著作物再販制が適用されるのではないかとも考えたりするのです。ただし、消費者に対する合理的な理由はなかなか見つけ出せませんが、ネットのタダ文化が広がることは著作を生業にしている人たちにとって決してよいこととは思えません。
 図書館で順番待ちをせずに誰でもオーダーすれば国立国会図書館国会に蔵書されている本がすぐに読めることは望ましいことだと思いつつ、文化的価値を提供してくれる人たちの職業は守らなければ…と思っています。

 公取委は前回の再販制度撤廃を見送った1998年3月31日に「著作物再販制度の取扱いについて」を公表したのですが、その中に消費者利益確保の観点から「再販制度の利用・態様についての発行者の自主性の確保」を是正するよう業界に求めました。
 ネット社会になって公取委の思惑通りに世の中が進みはじめています。作家の村上龍さんが11月4日、電子書籍の新会社「「G2010」を設立しました。ネット上では誰でも自分が書いた「書籍(の類も含めて)」を発信することが可能になりましたが、例え優秀な作品であっても販売まで一人でこなすのは大変な作業(趣味は除く)。出版社との二人三脚でないと電子書籍であっても正当な対価を得られないというのが現状のような気がします。
 文化的価値を提供しうる人が正当な対価を得るための職業を守るために、再販制度は必要なのかもしれません。

 再販ネタついでに昨年発行された新聞労連産業政策研究会の第二期報告書「新聞2009 明日への道標」から、著作物再販協議会の委員を務めた法政大・岸井大太郎教授のインタビュー記事を引用します。続きを読む
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2010年11月17日

「学割」を投資と捉えれば… 山形新聞が学割キャンペーン開始

 朝日新聞が新聞の特殊指定で禁止されている「差別定価」に踏み込んだ「学割キャンペーン」(公取委は特殊指定には抵触しないとの見解)を小ブログでは「とうとうパンドラの箱が開いた…」と評しましたが、山形新聞も11月から学割価格を設定して一人暮らしの学生層をターゲットに利益度返しの部数増に取り組み始めました。
山形新聞が学割キャンペーン開始
 県内の学生対象に朝夕刊セット2千円山形新聞社は11月から「やましん学割キャンペーン」を始めた。来年2月28日までの期間中、3300円の朝夕刊セットが2000円で講読申し込みができる。昨年秋から県外向けの電子版で学割を適用してきたが、今回はそれを紙の新聞に拡大した。
 対象は山形市をはじめとする山形県内7市在住で、県内の大学、大学院、短大に通う独り暮らしの学生。契約期間は1年だが、在学中は何度でも更新できる。支払いは口座振替か一括前払い。一時止め、解約はできない。すでに定価で講読している学生は、現契約終了後に、学割に切り替えることができる。「電子版」も11月から第2弾の学割キャンペーンを始めた。(新聞情報11月12日付)
 地方紙まで「学割キャンペーン」を打ち出してくると、朝日以外の全国紙も動き出す可能性があります(すでに動いているかも)。
 先行した朝日がどれだけ学生層を取り込めたのか定かではありませんが、学生アルバイトを雇って“ねずみ講式”に読者を増やしているという話を聞いたことがあります。ともあれ、学生さんが新聞を読む習慣というか必要性を見出してくれれば「御の字」なのかもしれません。

【追記】山形新聞社HPより
http://yamagata-np.jp/koudoku/gakuwari/
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2010年11月09日

「新たな新聞像・ビジネスモデル」を絞り出せたか… 新聞労連産業政策研究会全国集会in仙台

 前回のトピックで告知した日本新聞労働組合連合(東海林智委員長)の産業政策研究会全国集会が11月5、6の2日間、仙台市内のホテルで開催されました。集会には全国の新聞労働者がなんと80人も参加する大集会となりました。また、地方紙の組合員だけではなく、読売新聞や共同通信、新聞協会の各労組からの参加者もいて、あらためて新聞産業問題への関心がうかがえました。
 今だけ委員長は新聞労連の専従役員をしていたときに産業政策研究会を立ち上げたこともあって、今集会には主催側という立場で参加してきました。


ワークショップ風景.JPG 研究員から3期目の報告書「新聞2010 扉と鍵」について報告された後、「新たな新聞像・ビジネスモデル」について現状の問題点を整理し、現実可能なモデルやアイディアを打ち出す参加者によるワークショップ(7グループで構成)が行われました。7名の研究委員がそれぞれのグループリーダーとなって議論をリード。アドバイザーとして、山田健太(専修大准教授)、水野剛也(東洋大准教授)、李洪千(慶応大講師)の3氏が加わり、活発な討議が行われました。たぶん…

カスタマー新聞.JPG それぞれのグループから新たなビジネスモデルが発表されたものの、山田健太氏からは「短時間だったこともあって、なかなか妙案は出なかったようだ。10年後の新聞産業を憂いて経営者を非難するのは簡単だが、その10年後にここにいる人たちが経営者の立場にいるかもしれない。結構大変なことだと実感したと思う」とチクリ…。今回はビジネスモデルを打ち出すというよりも、次へのステップを踏んだというところでしょうか。発表された内容は、「産政研WEB」などで随時アップしていく予定です。
http://sanseiken.seesaa.net/


 今だけ委員長も僭越ながら、「講評」というか最後のあいさつをさせていただいたのですが、その要約(メモ)を以下に列記します。


 今回の全国集会は研究会立ち上げ時から、ワンクールとして決めていた3年間の総仕上げという位置づけで、会議を催すこと自体を目的とせずに、いかに参加された皆さんに自らの職場で変えるべき事と守るべき事などをワークショップの議論を通じて感じていただき、それを職場で、それぞれのポジションで実践していただければという願いを込めた会議スタイルであったのだと私自身感じています。
 夕べの懇親会で、慶応大の李先生からこんな指摘を受けました。「もっと、このような会議の内容などを、インターネット技術を使って一般の方々、読者の方々にも公開して、オープンな議論を新聞労働者、特に産業政策研究会が取り組んでもよいのではないか」というもので、情報公開を求めるメディアの側が自分達の活動をクローズにしてしまっていることに対する言及でした。特に流通部門で根深い問題とされる公称部数と実配部数との乖離など内包する問題があるために、なかなか労働組合でもオープンな議論がしづらい状況になっていると感じています。
 産業研究を突き詰めていくと、ジャーナリズムという問題と相当にリンクするものです。情報リテラシィの国民的レベルをあげていくことが、新聞を含めたメディアの勝負どころであって、わたしたちの議論をもっと公開することが求められているとあらためて思いました。様々なビジネスモデルを立案して行くことと平行して記者教育などの働きかけも必要だと感じています。
 最後に、このような集会の場を提供できる労働組合の必要性をやはり皆さんに感じてもらいたいと思います。日々の忙しさに埋もれないで10年後の新聞のあり方、新聞社の機能を残すためにわたしたちの職場をどう守っていくのか、どう変えて行くのかを経営者にもの申せるのは機能を労働組合という形で有しているということです。そして、その集合体が新聞労連だということです。もっと新聞労連の機能を使って、学識者の方々とも連携して、次代を切り開いていきましょう。

河北新報11月6日付25面.jpg
河北新報11月6日付25面に
産研集会の記事が掲載されました

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2010年10月25日

新聞産業の20年、値上げ・デジタル・ネット・業務提携に分類

 この数週間、夜な夜な新聞関係の資料とにらめっこが続いています。

 日本新聞労働組合連合(東海林智委員長)の下部機関にあたる東北地方連合会が、結成50周年の記念誌を発行するとのことで、先に行われた記念式典にはお呼びがかからなかったのですが(笑)、その編纂作業(過去20年間の新聞産業界の年表)を手伝うことになりました。


 古本屋やネットオークションで買い集めた関連書籍を眺めながら感じることは、5年ごとに新聞産業の特徴が見えることです。購読料の値上げ(1990〜1995)、(編集システム等の)デジタル化が加速(1996〜2000)、ネット事業への躍進(2001〜2005)、新聞社間の業務提携加速(2006〜2010)と時代が移り変わっていくのですが、再販、特殊指定問題に関する公取委とのやり取りは絶え間なく、「公取委との20年戦争」といっても過言ではありません。


 2年前に産業政策研究会(新聞労連の研究機関)の報告書へ著作物再販制度に関する論文を書いた際に、再販制度に関する年表を調べたことがありましたが、産業界全体の20年分の年表を起こす(出来ごとの取捨選択)のはかなりハードなものです。ネット上(ウィキペディア)でも全体的な年表は公開されていないので、完成したら小ブログにアップしたいと思います。20年分と言わず、60年分くらいやってみたいのですが時間がありません…。


【お知らせ】
新聞労連産業政策研究会全国集会が仙台で開催
■開催趣旨:新聞労連は衰退していく新聞産業の未来を憂え、2007 年9 月に産業政策研究会を設置し現状と課題を研究してきましたが、この秋に最終報告を発表します。その最終報告の普及と実践を模索していく趣旨の全国集会です。研究委員とみなさんとで深く議論し、より報告を深めていくことが目的です。
■日 時:2010年11月5 日(金)〜6 日(土)
■会 場:江陽グランドホテル(仙台市青葉区本町2-3-1)
■問い合わせ:新聞労連書記局(03-5842-2201)

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2010年10月24日

数学を研究してきたという若き販売店経営者のマーケティング論

 まだ30代前半の若き経営者は前例踏襲型の新聞販売業と葛藤しながら、@Social Network Serviceを活用したネットワークづくりA電子書籍端末の発達を見ておくB自分の世界を広げるC活力源を持つ―これら4つのことを自身のライフワークとして販売店事業に携わっていきたいと熱く語りました。


講演風景.JPG 宮城県南部で約1万2千部の新聞を取り扱う新聞販売店経営者Yさん(専務取締役)。3年前に家業の新聞販売店を継ごうと地元に戻る前は、大学院で数学を研究し卒業後には某企業のシステム・エンジニア(SE)をしていたという経歴の持ち主。
 そのYさんから郊外新聞販売店の仕事の流れや読者サービスなどについて10月22日、講演をいただきました。今だけ委員長が勤めている新聞販売会社では、毎月1回社員ら有志が集って「自主研修会」を行っています。今回は「新聞販売の仕事は販売会社と自営店でどう違うのか」というある社員のつぶやきがYさんへ講演をお願いするきっかけになったようです。

 「パワポ」で作り込まれた講演資料を見れば、その方のスキルがわかるもの。前職がSEということもあるのでしょうが、その資料は簡潔にまとめられていて“勉強家”であることがうかがえます。
 仕事ぶりもその通りで、ミニコミ紙「蔵王人」(毎月末日曜発行・現在21号)では、地元住民のコミュニケーションペーパーとして「まち」をテーマに人と人とのコミュニケーションの創造に着手。プレゼントコーナーも好評で、読者・地元のお店・新聞販売店の3者による「Win-Win」の関係が構築されているとのことです。また、未来の新聞購読者への投資も怠りません。管轄するエリアの中学校の各クラスへ新聞を提供する事業にも取り組んでいます(朝日・読売も参加)。さらに対象中学校の生徒から「新聞の教室設置」についてアンケートを取り、その結果を市教委や校長会、PTAなどへフィードバックしているあたりが素晴らしい。常に数値化して「仮説→実行→検証→仕組化」というビジネスの基本を押さえてアクションプランを立てているのでしょう。このあたりが旧態依然とした新聞販売店の経営とは違うところなのかなぁと時代の変化のようなものをつくづく感じます。


 懇親会では、来年から学習指導要領に新聞の活用が盛り込まれることで、業界関係者がこぞって小・中学生(の保護者)を対象にした販売施策を検討していることについて議論し、「それ(教育現場に新聞が活用されることのPR)は大切だけれど、新聞購読者の主力がシルバー世代であることは変わりない。タイムリーなビジネスチャンスが到来するとすぐさま猪突猛進しがちな新聞業界だけれど、シルバー世代をおざなりにするのはマーケティングの観点からすればあまり良いことではない」という同じような考察で盛り上がりました。


 新聞販売業のみならず、近年の企業の隆盛というのは組織力というよりは「人力」に大きく傾いているように感じます。組織力に乗っかってさえいればよかった時代から、組織力を生かせない経営陣に問われている「人力」。これも社会の可視化を進めるきっかけになったインターネット空間での情報発信が大きく影響し、(高齢者と若手との)知識を得て創造する力に差がついてきているのだと思います。

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2010年10月21日

【備忘録】ANYがいよいよ動き出した!?

 朝日、読売、日経の全国紙3社連合(いわゆるANY連合)が、首都圏(東京都と埼玉県)の印刷センターで刷られる新聞の共同輸送をはじめました。


▽朝日、日経、読売が共輸 首都圏で初めて(新聞通信 10月18日付)
 朝日新聞社、日本経済新聞社、読売新聞東京本社の3社は、10月1日付朝刊から首都圏で初めての共同輸送を開始した。共同輸送の対象となる工場は、朝日が日刊王子工場(東京都北区)、日経が八潮工場(埼玉県八潮市)、読売が東京北工場(東京都北区)の3工場で、輸送する地域は主に埼玉県東部、南部の販売店。共同輸送するコースは「朝日・読売」が5コース、「日経・読売」が4コースの計9コース。3社は2009年秋から首都圏での共同輸送の可能性を様々な角度から検討し、各社の販売店の協力を得て実現させた。共同輸送により各社の単独輸送コストの削減につながる。共同輸送を担当するのは佐川急便で、3社の共同輸送を担当するのは初めて。
 2つの印刷工場で新聞を積み、販売店(おそらく3〜4店舗分)へ届けるには相当の時間的ロスも心配されますが、降版時間の繰り上げなどでカバーするのでしょう。
 また、今回の共同輸送実現に際してANY連合(販売担当)による起案なのか、佐川急便の提案によるものなのか興味のあるところです。近ごろ、佐川急便が新聞輸送業に懸命だとの話をよく聞くので…。


 新聞輸送会社にも新聞以外の輸送業務ができるような仕組みを作れないものかなぁと感じます。

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2010年10月09日

新聞を介したぬくもり…送り手の一方通行ではダメですね

人が届けて、人が読む。だから新聞にはぬくもりがある。

 日本新聞協会が毎年10月15日から行う「新聞週間」にあわせて募集、選ばれた今年の『新聞配達に関する標語』です。ぬくもりかぁ・・・。毎朝販売店に届けられる刷りたての新聞の“ぬくもり”を直に感じる販売店スタッフから、ぬくもりを感じている読者がどのくらいいるのかなぁ・・・。「購読料を払っているのだから、届けられるのはあたり前」という世知辛いご時世で、クレームの連絡は受けるけれど、お褒めの言葉は少なくなっているような気がします。

表紙.jpg 日本新聞協会販売員会が10月に発行した「第17回」新聞配達に関するエッセーコンテスト入選作品集「ふれあいの詩」が届きました。
 今回の作品集は各新聞社提供の写真がふんだんに使われていてイイ感じ。
 この作品集を読者へ配るのは経費的にも大変なので、紙面で1話ずつ紹介してはどうでしょう。論説委員の方がきばって書いている社説よりも読まれると思います。また怒られるな…。

* * *

 きょうは若手の販売スタッフの方と酒を酌み交わしながら、いろいろと有意義な話をさせていただきました。入社半年の彼は某有名大学をこの春卒業し、契約社員としてこの業界に入ってきました。今のご時世だから正社員枠ではなく契約社員として採用されたのですが、とても優秀な人材なのです。その某氏との何気ない会話が心に強く響きました。


今だけ委員長「入社から半年経ってどう。何か悩みなんてない?」
某氏「最近とても悩むことがありました。個人目標(契約件数)の達成まであと1件という時に、担当区域の90歳になるお婆ちゃんに購読をお願いしたのです。でもそのお婆ちゃんは視力も弱いしとても新聞なんて読める状況ではないのだけれど、お願いしたら『取ってあげる』と言われたのです。でも折込チラシが多い週末の新聞をポストから抜くことすらできなくて、新聞は玄関先にたまっているのです。『取ってあげる』と言われたけれどそんな人に定期購読をお願いしてしまった自分が嫌になっているのです」
今だけ委員長「会社員として生きていくには、いろいろなジレンマを抱えながら悩み続けなければならないのかもしれない。その商品性や紙面とは裏腹のこの新聞産業の構造的な問題はもとより、数字を求められる販売部門の人たちはキレイごとでは成り立たない」
某氏「でも今だけ委員長はそのお婆ちゃんに売れますか」
今だけ委員長「オレは売らない。たぶん。会社員だけれど自分自身で最低ラインの線引きはするべきでそのこだわりは持つべきだと思う。それは人間性の問題なのかもしれない」

 偉そうにそんな会話をしてしまいました。

 「メシを食うために」なら何をしてもイイ? ぜったいにそうではない。そんなことが起きてしまう組織はやはり「偽」というメッキがはがれていくことにビクつきながら、社会に胸を張れない会社でしかないと思う。今だけ委員長も過去にその過ちを犯したこともあるので深く反省。
 社歴を重ねた重鎮は「そんな青臭いこと」と笑い飛ばすかもしれないけれど、きょうはその某氏の悩みを深く受け止めて“自分の立ち位置”を再確認できました。

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2010年10月07日

「キャンパス新聞」学生たちがたどり着いた結論は

 サンケイ・エキスプレスで「キャンパス新聞」の連載が始まりました。第1号のテーマはなんと自虐的な「生き残りかけた新聞社の闘い」。また「没落ネタかよ」と突っ込みたくなりますが、現役大学生が取材し、書き上げた連載だというので、チョット興味があります。読み終えてからコメントしたいと思います。

 仕事が少々忙しく書きたいことが後回しになっているので、取り急ぎ備忘録としてアップしておきます。

▽【Campus新聞】生き残りかけた新聞社の闘い2‐1(産経ニュース 10月5日付)
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/101005/trd1010051514003-n1.htm

▽【Campus新聞】生き残りかけた新聞社の闘い2‐2(産経ニュース 10月5日付)
 http://sankei.jp.msn.com/life/trend/101005/trd1010051518004-n1.htm

追記:「なーんだ産経新聞の提灯記事か…」と思われた方も多いと思いますが、まずは大学生の皆さんに興味を持ってもらうことが大切です。産経新聞東京本社・斎藤勉常務取締役がキムタクのような人相風体だったら“2ちゃんねる”でも話題になったかも…。

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2010年09月24日

紙面が訴える力! 祝イチロー選手10年連続200本安打

 米大リーグのイチロー選手(シアトルマリナーズ)が10年連続200本安打を達成!素晴らしい大記録です。
自分に厳しく、多くの名言を残し、毎朝カレーを食べるイチロー選手。マスコミからの質問もさりげなくかわし、常に自分のペースを貫くこの男の魅力は語るに尽きません。

▽イチロー、10年連続200安打を達成(読売新聞 9月24日付)
http://www.yomiuri.co.jp/sports/mlb/news/20100924-OYT1T00117.htm

その他 009.jpg
 けさ、仙台駅周辺で読売新聞が「イチロー 10年連続200安打」の号外を配っていました。ブラ4頁の紙面にはイチロー選手をイメージキャラクターにしている企業の広告がふんだんに使われています。キリン一番搾り、NTT東日本、「ユンケル」sato製薬、ワコール。どれもイチロー選手と長期間スポンサー契約をしているところばかりで、記録達成に便乗して号外を使ったPRも結構なインパクトがあったと思います。
 さすが読売新聞(松井だともっとよかったのかも)といったところでしょうか。
  *    *    *
 いま、仙台市内では「2010年APEC第3回高級実務者(SOM3)会合」が、今年8月にオープンしたウェスティンホテル仙台で開催されています。26日まで。
その他 008.jpg この2週間、仙台の街中は外国人と警察官の姿がやけに目立ちます。ホテル側からは宿泊する高官用にと「英字新聞」のオーダーがマックスに…。日本に住んでいてこれだけ英字新聞を目にするのは初めてですが、回収した新聞を見てみると英字新聞は写真の使い方が芸術的でセンスのよさを感じます(こんな私でもそう思います)。英字新聞は当然のことながら横書き統一なので、写真や挿絵が映えるのでしょう。日本の新聞は縦書き、横見出しなど読ませることを重要視しているのですが「芸術的」とはいえず、「広告面」がその要素を補っているのかなぁと感じます。常に読みやすさを追求して、文字サイズや段数の変更を繰り返しているのですが、デザインという観点では日本新聞は既定の枠に収まった作り方からはみ出せないのでしょう。

 新聞をデザイン面から改良し、芸術性を追及しながら読み方の価値を再定義するポーランド出身のジャチェック・ウツコ氏は、新聞デザイナーというポジションで新聞の活性化に大きな影響を与えているようです。ポスターにしたい新聞紙面があってもイイと思います。
▽ジャチェック・ウツコ氏の「デザインは新聞を救えるか?」
http://tedxtokyo.com/ja/blog/jacek-utko-asks-can-design-save-the-newspaper/

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2010年09月23日

業務提携は苦境に立つ新聞産業の光明だけではない

 きょう23日は秋分の日。所属する労組の定期大会で来賓の方々と有意義な話をさせていただいたのですが、新聞産業の下流部門では互いの労働をいたわる余裕すらなく「業務提携」と称する合理化に大きく舵を切っています。常にその対象となるのは印刷、発送、販売店の下流部門から“やられる”わけです。
 編集部門が生成する記事や解説が「ソフト」ならば、そのソフトを印刷、宅配して収益をあげる流通部門は「ハード」と解されますが、いまの時流は「ハードの維持は経費が掛るし、販売収入の増加な見込めない」としてリストラの矢面に立たされがちです。しかし、これまで新聞社が培ってきた垂直統合型のビジネスモデルをご破算にして、自社内のソフトとハードの使い方(収益の生み出し方なのかも)をどう考えるか。米国の新聞社のように電子媒体に生き残りの価値を見出して、通信社のような組織を目指すのか、もしくは新聞産業が新興IT企業と勝負できるのはソフト(時にキラーコンテンツなどといわれますが)だけなのか…?しっかり考えてみたいと思います。言い忘れましたが、その前提として顧客のニーズを捉えているかどうかは最低条件ですが…。


 業界紙からのネタをひとつ。きょう23日から、毎日新聞と産経新聞が千葉・埼玉県内の一部で共同輸送をスタートさせました。


千葉・埼玉で共同輸送
 毎日新聞社と産経新聞社は9月15日、千葉西北部・埼玉東部方面での共同輸送について合意し、本契約を交わした。共同輸送は同23日から実施する。
 共同輸送の対象工場は、産経新聞社が江東センターと千鳥センターで、毎日新聞社は東日・越中島工場。千葉・埼玉方面は、毎日、産経の両社の新聞を取り扱っている販売店が多く、共同輸送の構築に適した地域だった。
 具体的な配送ルートは、現行の販売店店着時間の厳守を原則に、両社の販売局ならびに販売店の協力で構築し、実現にこぎつけた。
 両社は08年12月から協議。両社とも今回をモデルケースとし、将来的には東京都内地域でも共同輸送が可能なコースを検討し、随時実施していきたいと考えている。(新聞通信9月20日付から引用)
 このような下流部門の再編の知らせを聞くたびに、元毎日新聞社の河内孝さんが著した「新聞社 破綻したビジネスモデル」(07年3月初版)に書かれてある予測通りに動いています。関東圏でもそのような状況なのですから、全国紙の発行部数(シェア)が少ない東北地区への輸送体制はもっと大変です。地方紙といえども全国紙の路線に便乗して届けてもらうケースもあるほどで、産経新聞が青森への輸送をやめてしまうと青森北部まで届けられなくなるブロック紙もあるのだとか。

 下流部門の業務提携(リストラ)はさらに進むのでしょうが、働く人の「雇用」はしっかり守ってもらいたいと思います。


 もうひとつ業務提携の話題として、読売新聞が茨城新聞を9月1日から受託印刷しました。最近の印刷部門の動きとしては、全国紙が地方紙へ印刷を委託するというものですが、今回は茨城新聞が読売新聞へ印刷を委託するというもの。


 茨城新聞の印刷を開始
 読売新聞東京本社と茨城新聞社は読売新聞茨城西工場(茨城県茨城町)で茨城新聞の朝刊を印刷することに合意し、9月1日から同工場で印刷を始めた。
 読売新聞が受託印刷するのは茨城新聞の全部数約12万4千部。読売新聞と茨城新聞は1998年5月から茨城県内向けの読売新聞朝刊の印刷を茨城新聞の子会社である茨城プレスセンター(水戸市)に委託するなど信頼関係を築いてきた経緯がある。茨城西工場は2005年5月に完成し、読売新聞東京本社とアサガミが出資する「アサガミいばらき」が運営している。40ページ、16個面bから―印刷が可能な輪転機2セットを備え、印刷体制の強化を図るため今年1セットが増設されたことから、受託が可能となった。業務終了を予定している茨城プレスセンターでの読売新聞の印刷は今年10月末で終わる。09年2月に茨城新聞が委託を申し入れ、同5月に読売新聞東京本社と調印していた。(新聞之新聞9月6日付から引用)
 一見すると財政事情が厳しい茨城新聞の経営効率を上げるために読売新聞が“一肌脱いだ”ように業界各紙は伝えていますが、そんなことはありません。
 この問題は1998年にさかのぼりますが、当時、茨城新聞は読売新聞の受託印刷を打診され、茨城プレスセンター(水戸市)を相当な借金をして建設しました。茨城新聞社の発行部数などを考えても無茶な設備投資と思われたのですが、茨城新聞とほぼ同数の読売新聞の印刷を受託するという計算で別会社設立に踏み切りました。しかし、読売新聞社は印刷会社との合弁印刷センター展開を推し進め、05年にアサガミとの共同出資による読売新聞茨城西工場(アサガミいばらきが運営)を稼働させました。その時点で「読売が茨城プレスセンターへの委託印刷を引きあげると、茨城の経営は破綻するのでは」と心配されたものです。いわゆる真綿で首を絞められたようなもの。読売側も茨城プレスセンターへ契約が満了する今年10月末まで印刷を委託しましたが、結果として茨城新聞社が設計した「読売の受託印刷を収入源とした印刷センターの運営」は不可能な状況となり、逆に読売新聞へ印刷を委託する羽目になったわけです。
 “業務提携”は苦境に立たされる新聞産業の光明のように受け止められていますが、契約条項のつめなど慎重に業務提携を進めないとリスクを背負い込む可能性もあるものです。このような交渉(経営もそうですが)はプロに任せた方がよいのかもしれませんね。

posted by 今だけ委員長 at 23:56 | Comment(2) | TrackBack(0) | 日記

2010年09月20日

iPadで新聞記事が読めても「紙」の定期購読は続ける58.3%

 三連休は「張り込み」のために毎朝5時起き。新聞が盗まれるなどの事件は「その場」を取り押さえないと解決しないので、張り込みました3日間。その甲斐あってか、現場を取り押さえていろいろな問題が判明しました。ほんとに最近は余計な問題ばかり多くて嫌気がさしているのですが、あすからまた忙しくなりそうです。

    *    *    *
 ネットエイジア社が行った「ビジネスパーソンの『iPad』に関する調査」(20〜59歳の男女で有職者「パート・アルバイト含む」、2,188名の携帯電話ユーザーの回答を集計)がこのほど発表されました。この手の調査結果は、設問自体が調査者の意図を導き出すための誘導型であったり、ネット利用者だけの意見集約が大半とあって“きな臭”ものだったりします。「ビジネスパーソン」っていう定義もよくわからないし…。横文字使えばイイってもんじゃないですよね。
 今回の調査結果で気になったのは、iPadやキンドルなどのタブレット型情報端末(スマートフォン)で新聞が読めるようになれば、紙の新聞は購読しなくなるか?という質問への回答。同社の分析では「購読しなくなる」と答えた方(41.7%)の数字を印象付けていますが、「情報端末で読めたとしても紙の新聞を購読する」と答えた方は過半数の58.7%(1,276名)とまだ高い。でも20代女性(サンプル数248名)では「読まなくなる」が51.6%と過半数を超えています。以下にネットエイジアリサーチの分析を引用します。


◆電子書籍で読みたい新聞を購読できるなら、紙の新聞は購入しなくなると思う、41.7%
「『iPad』などの電子書籍を閲覧できる携帯型端末で、読みたい新聞を購読できるようになった場合、紙の新聞は購入しなくなると思いますか」という質問を回答者全員に聞いたところ、全体では41.7%が「紙の新聞は購入しなくなると思う」と答えた。男女で比較をすると、「紙の新聞は購入しなくなると思う」と答えたのは女性の方が多く、男性36.0%に対し女性は47.4%であった。年代別では年代が若くなるにつれて「紙の新聞は購入しなくなると思う」と答えた割合が高くなり、特に20代女性では半数以上の51.6%がこのように答えた。続いて「(電子書籍で読みたい新聞を購入できるようになったとしても)紙の新聞を購入することはあると思う」と答えた回答者に「どのような時に紙の新聞を購入するか」を自由回答形式で記入してもらい(有効回答:1220名)、その答えの定量化を行った。全体では「なにか記念や重大ニュースなどの時に紙で保存・スクラップしたい」が最も多く、27.4%であった。次いで「いままでの習慣で購読し続けると思う」が9.6%、「新聞広告・折込広告・クーポンが楽しみなので」が7.7%、「じっくりと時間をかけて読みたい」が7.0%と続く。

▽ネットエイジア社リリース
http://www.mobile-research.jp/investigation/research_date_100916.html

 また、「どのような時に紙の新聞を購読すると思いますか」との問いに対しては、@なにか記念や重大ニュースの時などに紙で保存・スクラップしたいAいままでの習慣で購読し続けると思うB新聞広告・折込広告・クーポンが楽しみなのでCじっくり時間をかけて読みたいD紙のほうが読みやすいE端末を持ち歩かない・いつでも観たい時に見れるF紙だと斜め読みできる・探しやすい―といった、「紙」の優位性についての意見が続いています。

 来月から国勢調査も始まりますが、数字はマジックでいかようにでも解釈できるものです。リサーチ結果は携帯電話ユーザーの2,188名ですが、それぞれが単身居住者もしくは世帯主ではないと思われます。現状の「紙」新聞は世帯での購読ですから、発行部数と閲覧者はインターネット(そのサイト)のように一致しませんが、もしかすると発行部数より多く読まれている場合もあるわけです。家族で回し読みできることも『手元に残る』紙メディアの利点でもあります。ただし、この「もしかすると」という疑問符が付いてしまうのが問題なのですが…。

    *    *    *
 もうひとつ、備忘録としてネタを紹介します。元時事通信に勤務されて現在はウェブサイトTechWaveの編集長を務める湯川鶴章さんの「Apple、電子キオスク開設で新聞社と協議」という記事。
http://techwave.jp/archives/51503582.html#more
 内容は、米国では新聞、雑誌を販売するデジタル・ニューススタンドの開設に向けてAppleと新聞社、出版社が協議していて、実現への可能性を示唆しています。また同じような取り組みを各新聞社や出版社がGoogleとも行っているとのこと。
 いよいよ始まるのか―という感想なのですが、湯川さんの「蛇足:オレはこう思う」が痛快です(笑ってはいられませんが)。


 メディア企業1社で、Google、Appleのイノベーションにとても勝てるわけがない。だからと言ってメディア企業の連合軍はさらに勝ち目がない。時代についていけない人間が一人でも加わればスピードが落ちるのに、そうした人間が何人もいるからだ。これまでにも多くの業界で「黒船に対抗」を旗印にいろいろな連合軍を作っているが、ほぼ例外なく「船頭多くして船山に登る」状態になっている。
 湯川さんらしい言いまわしで連合軍(ANYまたは新聞協会か?)を撃沈していますが、販売店側は連合軍にしたほうが実利はあがる。それは間違いありません。でもネックになるのが「本社が…」ですよね。


 ジレンマを抱えながら目先の仕事に追われる日々が続きそうです。でも頑張りましょう!

posted by 今だけ委員長 at 23:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2010年08月26日

新聞業界はどこまでNIEに本気で取り組めるか

 ちょっと遅ネタですが、朝日新聞社が小・中・高校の教師を対象にNIEの推進を目的にしたメールマガジンの配信を7月からスタートさせたというニュース。

▽朝日新聞社、教師向けメールマガジンを創刊 教育に新聞の活用促進狙う
http://www.findstar.co.jp/news/syosai.php?s=201946


 さすが朝日新聞!と思わせる取り組みだと思います。記者が一方的に記事の解説などを送るのではなく、教師20人が「事業で使える記事」(おススメ度も3段階に分けて)を選りすぐり配信するというのがミソですね。
 先のエントリーでも書いたのですが、「学習指導要領に新聞の活用が盛り込まれることになった」というだけで安堵してはいけません。実際に新聞を活用して授業をされる教員の方々から新聞をじっくり読んでもらって、その価値を見出していただくことが大切なのだと思います。

 NIE活動とは、新聞業界が教育の現場に立つ教員の方々へ、いかに新聞の価値を理解してもらえるかも重要だと思います。学校の先生だからといって必ずしも新聞を読んでいるとは限りませんし、複数の新聞を購読するのも若い教員には経済的にも厳しいのかも。それを考えると、私立以外の教員には「仕事で使うための新聞購読補助」というのも考えてみてもいいかもしれませんね。

posted by 今だけ委員長 at 00:00 | Comment(1) | TrackBack(0) | 日記