2008年12月24日

リクルート チラシ広告を狙う

 リクルートが展開する電子チラシ事業「TownMarket」(タウンマーケット:昨年11月21日サービス開始)がウェブ上だけではなく地上戦にも乗り出してきました。
http://townmarket.jp/MP/touroku/lp01.html
 会員登録(無料)すると、毎週金曜日に発行するテレビ情報紙「Town Market TV」(1週間分のテレビ番組表やエンタメ情報で構成。タブ版)と一緒に地域のチラシも折り込まれてくるというもの。来年1月16日からのサービス開始で、当面は横浜市と川崎市(チラシの流通が多い地区)の住民を対象にするそうです。
注:リクルートとテレ朝の資本・業務提携も「Town Market TV」の制作に影響しているのかもしれませんね。

 チラシ広告は“新聞に折り込まれてこそ家庭の食卓まで届く”と言われてきました。特にマンションでは単体でのポスティングだと各部屋まで到達することは難しく、集合ポスト付近に設置してあるゴミ箱へ放り込まれるケースが多いもの。しかし、新聞折込は一定の規制(有害情報の排除)が掛けられ、毎日宅配されるからこそ、その需要を拡大してきました。さらにスポンサー側も製作費も安価で、かつ地域指定(セグメント)ができる新聞販売店の宅配機能への魅力も折込チラシ市場拡大の大きな要因でした。
 しかし、若年層の(新聞は読んでいるけれども)定期購読率が減少し、「届けたいターゲットに訴求しきれているのか?」という問題を商売に結び付けたい。チラシ広告費をさらに伸ばしたい代理店や印刷業者とともに、リクルートが『無料宅配サービス』を展開するということのようです。

 電子チラシでは利益が出ないと悟ったリクルートが地上戦に乗り出してきたわけですが、毎週1回の宅配(フリーペーパーの発行)で“チラシの鮮度”が伝え切れるかは疑問です。さらに顧客の管理や単体の事業として成り立つのかどうかも注視したいと思います。宅配はヤマトのメール便で行われるようですが、フリーペーパーの広告収入とチラシの折り込み料金で、宅配料(@80円)は賄えたとしても、利益が出るのかどうか…
 新聞は定期購読料という基盤があるから、例えば1枚しか入らない日があっても毎日届けられますが、広告チラシ単体のインフラを作るとなると大変じゃないかと思います。
 この事業は新聞販売店と組む方が効果的だと思うのですが、どうでしょう。夕刊配達のラインに乗せれば宅配料も安く済む、顧客管理はエリアごとに世帯管理されている販売店データを活用できる。あとは媒体社同士(新聞社vsリクルート)の綱引きの問題(それが一番のネック)ですかね。どうでしょうリクルートさん。



 北海道の北見市に本社を構える
株式会社伝書鳩は、フリーペーパー(経済の伝書鳩)を無料で宅配し、折込チラシを取り込むというビジネスモデルを先駆けて成功させた企業です。一度見学に伺ったことがありますが、新聞社(特に道新)とは敵仇。「新聞社が折込チラシ丁合機メーカーに手をまわして、売ってもらえない時期もありました」という担当者の言葉が印象に残っています。経済の伝書鳩は毎日発行で紙面の内容もラテ版はもちろんのこと、お悔やみ広告など地元に密着したメディアとしてその信頼性は強固なものです。
 発行部数8万5千部は決して大部数ではないけれど、世帯数の81.5%を(宅配で)カバーする力は相当なもの。身の丈に合った地域メディアのお手本のようなモデルだと思います。

 多くの新聞社でもフリーペーパーを毎週発行し、未購読者宅へポスティングする事業を手掛けるところも増えています。広告チラシを取り込むべく同様のサービスを模索する動きもありますが、目立った成果は報告されていません。各新聞社系列の折込会社の営業力だけに起因する問題ではなく、パイを奪い合う業界内のカニバリゼーションが大きく影響しているように思います。

 新聞販売店の宅配網を生かしたビジネスモデルはまだまだあるはずです。

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2008年12月18日

えっ!新聞購読率は75.6%/インターワイヤード社のネット調査

 久しぶりに大規模な新聞購読に関するリサーチ結果が出されました。

 インターワイヤード株式会社が運営するネットを利用したマーケティングサービス「DIMSDRIVE」が、今年9月17日から10月2日まで行った新聞購読に関するアンケート調査(サンプル数10,231人)の結果がこのほど発表されました。
 この調査結果を取り上げている業界各紙の見出しには、「新聞購読を決める理由は“紙面の良さ”がトップ」という文字が踊り、新聞を読む理由にあがっている「特典や景品の提供」は11.6%に止まり、比較的少なかったという解説を加えていました。

 今だけ委員長が気づいた点としては、「普段、どの媒体でニュースを読んだり・見たりしていますか?」という設問で、テレビ88.8%、PCのインターネット82.7%、新聞69.5%、携帯電話のインターネット22.5%という結果が出されていますが、これまでNHK(テレビが群を抜いていた)やNTTデータ(ケータイのネットが新聞と拮抗していた)などが発表してきたリサーチとはかなり相違する内容だなぁという印象を持ちました。リサーチ(依頼)する業界団体による設問の仕掛けによって、都合のよい回答を誘導していたのではないかとも感じます。まぁよくある話ですが…

▼家庭で新聞を購読しているか(サンプル数10,231人)
04.gif
 
 でも今回のリサーチは、なるほどしっかりしているし、スポンサーというか業界団体の意図的なものは感じられないと思います。

 この数字にネットを利用していない方の購読率などを加味すれば新聞の定期購読率はまだまだ高い。セット購読者(32.7%)が無購読者(24.4%)より高いっていうのには少々驚きましたが…

▼新聞を購読しない理由(サンプル数2,125人)
新聞を読まない理由.gif

 新聞を読んでいない(定期購読)理由としては、「テレビやネットでニュースを見ている」(72.0%)がダントツですが、次点の「購読料が高い」(49.5%)、「読んだ後の新聞がゴミになる」(34.9%)は押さえどころです。購読料は再販制度があるので販売側としては踏み込めません(新聞社が学割価格などを設定すれば可能)が、古紙回収サービスを積極的に展開すれば購読に結びつく可能性も残されているかもしれません。自分とこの都合を優先させて顧客ニーズを無視してはいけないということです。オマケですが、「勧誘員が嫌だったから」も24.9%と不動の位置をキープしています(笑)

 まぁこの手のアンケート結果に浮かれることなく、読者とのコミュニケーションを販売店スタッフ(販売店だけではダメですよ)を通じて、より強固なものにしていかなければなりません。販売店従業員のレベルアップはやっぱり必要なんです。そのためには労働条件を一定程度引き上げないと人材は集まらないのです。
 販売局の方々が直接顧客管理をするというのであれば話は別ですが。

【追記】
アメリカでもこんな調査結果が
「新聞はまだ健在,米国成人の6割が頻繁に読む」(ITpro)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Research/20081218/321696/



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2008年10月15日

新聞週間に考える…表現の自由と知る権利

 秋の新聞週間が始まった15日。札幌市内で第61回新聞大会が開催され、「新聞の価値を未来につなぐための不断の努力を続けていくことを誓う」との大会決議が採択されたようです。このほか読者を招いた「記念の集い」(新聞協会主催)が、東京(20日)、大阪(18日)、名古屋(17日)、福岡(15日)の主要都市で、開催されるようです。

 おととしまでは全国各地の販売店も試読紙と一緒にPRグッズを大々的に配布していたのですが、経営的にもお寒い状況の中で「余計な経費はかけられない」ということもあるのでしょう、以前のようなお祭りムードのイベントは紹介されていません。
 誰のためのイベント?…新聞を知らない人はいないし、地域に根ざした地方紙のブランド力は相当なもの。ホントは「うちの新聞はこれやります!」とか読者に何かしらの宣言でもして、もっとPRするべきだと思うのです。新聞協会という緩やかな任意(強制か?)団体が振る御旗に隠れていないで…。


 そんなこんなで、まったく新聞週間のイベントらしきものがない今だけ委員長の地元では、若手の弁護士らが「表現の自由を考える市民集会」(仙台弁護士会主催)が催され、『国分寺ビラ配布弾圧事件』当事者の幸野統(おさむ)さん(東京都国分寺市議会議員)と担当弁護士の富永由紀子さんを迎えて勉強会が行われました。
 今年4月に最高裁で上告が棄却され有罪(罰金刑)が確定した「立川自衛隊宿舎ビラ配布事件」は記憶に新しいところですが、反戦ビラや共産党機関紙の配布等に対する裁判が(都内で)続発しているようです。国公法弾圧堀越事件葛飾ビラ配布事件国公法弾圧世田谷事件などなど。

 国分寺ビラ配布弾圧事件の概要は、今年5月18日にオートロックマンションの集合ポストへ市議会報告のビラ(公費で作成)を投函した幸野さんが、「関係者以外の立ち入り禁止」と「ビラ、勧誘一切お断り」の張り紙を無視してビラ配布をしたとして、住民が警察へ通報。警察署で事情聴取を受けた幸野さんだったが、翌6月にマンション住民であり管理組合副理事長の新海さん(この方も国分寺市議で自民党)が単独で被害届を出し(管理組合で決議はされていない)、書類送検されたというもの。結局は被害届が取り下げられ「不起訴」となったのですが、集合ポストへのビラ配布も住居侵入罪が問われるのかという大きな問題をはらんだ事件だったのです。

 このようなビラ配布をけん制する警察(公安)動きは、2003年のイラク戦争からより強化されたと参加した弁護士の皆さんが話していました。米国追随の「戦争する国づくり」、そのための「改憲」。悪政の真実が知れ渡ることを阻止するため、メディア(特に新聞)を抑え込んだ次はビラ配布ということなのでしょう。これって国家権力の情報統制ですよね。集会ではマスコミへの批判も寄せられ「すでに一般新聞は政権の機関紙と化している」と皮肉られる場面もありました。

 確かに年々増え続けるオートロックマンションの集合ポストには、ピザ宅配や出前すし店のチラシが毎日のようにポスティングされているし、私たち新聞販売店も集合ポストへ「購読申込はがき」をPR的(特に日経さん)に投函しているのが実情ですね。キチンと管理人さんにお伺いをたてても「管理組合で一切の配布物投函が禁止になった」と選挙公報すら配布出来ないところまであるようです。マンション住民の知る権利ってどうなんでしょう。ポストに入れていいのは契約した新聞と郵便物だけでいいのかなぁ…

 新聞週間スタートの日に販売労働者が「表現の自由」と「知る権利」についてチョットだけ考えてみました。

 
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2008年10月12日

進化するメディアの土俵にあがらないままでよいのか?

 今日は新聞社が取り組む地域SNS(ソーシャル・ネットワーキング・システム)についてひと言。

 SNSというと日本ではミクシィ(登録者1,400万人超)やGREEがメジャーですが、各国でもFriendstar、Cyworld、Orkut、MySpaceなどのSNSがコミュニケーションツールとして多くのユーザーに活用されています。
 SNSの仕組み自体は、社会的ネットワークの構築の出来るサービスと定義され、インターネットなどを活用して消費者が内容を生成していくメディア「CGM」(コンシューマ・ジェネレイト・メディア)に分類されます。最近はケータイでの利用が増えているようです。


 ミクシィのような大所帯SNSの登録者数が頭打ち現象にある一方、地域単位のSNSもその数を増やしています(2006年12月時点で210サイト)。
 新聞社でも佐賀新聞社「ひびのコミュニティ」、河北新報社「ふらっと」、新潟日報社「アメカゴ.net」の3社が地域を重視したコミュニティーサイト(SNS)を展開しています。いまでも業界内では「SNSをやって儲かるのか?」といった慎重論が多くを占めていますが、それは新聞社のWEBサイトも同じこと。WEBでのビジネスモデルは広告収入・ユーザー課金・シナジー効果(購読者の囲い込み)であって、SNSを提供する側は特にシナジー効果を期待しているはずです。
 その地域SNSを運営する団体らが集まる全国フォーラムが、10月17、18の両日、佐賀県内の3会場で開催されるそうです。


 SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サイト)を生かし、ローカルエリア内での人々のネットワーク、絆を活性化させようとする動きが、2005年頃から盛んになっています。この「地域SNS」と呼ばれる、実社会に密着したウェブ上のコミュニケーションツールは、これまで点在していた地域の人々や各種サークルを有機的に結び、そこで生じたシナジーは、地域社会の活性化、問題解決といった成果を生み出しつつあります。
 第3回地域SNS全国フォーラムin佐賀では、ユーザー、運営者、行政、企業などの様々な視点から、地域コミュニケーションインフラとしての「地域SNS」について、更なる可能性を探ります。 (同サイトから引用) 

 実行委員会の事務局を担っている佐賀新聞社デジタル戦略チームの方々による事務局ブログにも今回のフォーラムの「面白い仕掛け」などがアップされています。地域SNSの活用・運営に興味のある方はぜひご参加ください。

 業界内ではWEB事業を含めて先進的な取り組みをされている佐賀新聞社(デジタル戦略チーム)ですが、同社は今月8日からニコニコ動画に公式動画コーナー「ひびじょん」を開設しました。佐賀県のよいところを伝えようと報道機関では初めての取り組みです。アップされている「佐賀のヒーロー・なつレンジャー」や「ムツゴロウ恋の季節」は見ていて心が和みます。

 おそらく業界内では「(ニコ動を)そんなもの」と見下す方々も少なくないはず。M1層が多く利用するニコニコ動画は低俗なネタが多いというイメージですが、配信されている動画やコメントのすべてがそういったものばかりではありません。それよりもCGMのイノベーションが進化している状況下で、そのようなメディアの土俵に新聞社があがらないままでよいのかと心配になってきます。(紙の)購読者を維持していくのはもちろんですが、購読率が低いといわれるM1層とのコミュニケーション手段が従来のような訪問販売(そのほかいろいろやってますが)だけでは行き詰っていることをみんな知っているはず。ニコ動への「ひびじょん」開設もM1層(限定ではないと思いますが)へのアプローチなのだと感じます。


 ローカルメディアを先行する佐賀新聞社が、新聞の未来像を一番予見しているのかもしれません。

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2008年10月03日

新聞販売店の明暗

 社団法人日本新聞協会は10月1日、新聞販売所の地域貢献活動を顕彰する「日本新聞協会 地域貢献大賞」を発表しました。
 大賞に輝いたのは、岐新会(岐阜新聞販売店会)の「岐阜・各務原市境山火事跡地『緑の山再生プロジェクト』と環境保護活動」。そのほか、各地域で行われている福祉や清掃などの活動に取り組んでいる販売店など15の団体に地域貢献賞が贈られるそうです。授賞式は11月20日。

 以下、受賞された地域貢献の取り組みと団体名を掲載します(新聞協会HPから引用)

【地域貢献大賞】(1件)
◇岐阜・各務原市境山火事跡地「緑の山再生プロジェクト」と環境保護活動
 岐新会(会長・高木 和夫)
【地域貢献賞】(15件)
◇財団法人北海道盲導犬協会に盲導犬育成のため継続的に支援活動
 道新会札幌八日会(会長・奥山 隆)
◇秋田県八森・岩館海岸クリーンアップ活動
 秋田魁県北青年部会(代表・三澤 弘昌)
◇盛岡の清流 中津川を守ろう
 株式会社東北堂代表取締役社長・ASA盛岡東北堂所長 川村 清
◇道路クリーン作戦
 NIC真砂所長  寺澤淳一
◇朝日新聞石神井6店チャリティーコンサート
 ASA石神井北口、下石神井、石神井公園、高松、練馬春日町、富士見台(ASA石神井北口所長・金子 輝)
◇地域に信頼される販売店
 ニュースサービス日経西日暮里所長 西峯 行雄
◇販売店の傍ら30年以上続けてきた消防団活動
 中日新聞岩津専売店店主 時々輪 忠正
◇北國新聞北國会「ふるさとに感謝する地域貢献事業」
 北國新聞北國会(会長・田中 六郎)
◇「プルトップを集めて車いすを贈ろう」運動
 神戸朝日会(会長・大西 弘一)
◇警察署の防犯活動に長年にわたり協力
 京都新聞洛南販売所所長 松井 憲昭
◇山陽新聞山陽会セーフティーネットワーク
 山陽新聞山陽会加盟の岡山県内販売所(会長・三宅 清司)
◇因島村上水軍陣太鼓の復活と保存、普及活動
 中国新聞因島南販売所所長 岡村 俊典
◇資源を活かして車椅子をゲット!!
 徳島新聞みつわ会美馬支部(大舘 恵子)
◇「宿毛市グラウンドゴルフ高新大会」「宿毛市こども会ソフトボール大会」ほかスポーツ振興活動
 高知新聞宿毛販売所所長 田村 定也
◇「車いす送迎車を贈ろう!」キャンペーン
 西日本新聞エリアセンター連合会(会長・新田 快夫)


 新聞販売店もそれぞれの地域で素晴らしい取り組みをやってます。そりゃ新聞社の看板を背負って日々営業活動をしているわけですから、当たり前というか、そういうレベルになってもらいたいというか…

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2008年10月02日

月極め購読料という概念は変わるだろうか

 10月から大幅に紙面を刷新(ブルームバーグ社からの記事配信)し、紙面のカタチ(ブランケットからタブロイドへ)も変えたフジサンケイビジネスアイ。

 何気なく
フジサンケイビジネスアイ新規購読申し込みのサイトを見ていたら、「期間限定1年間一括前払い購読割引キャンペーン」をやっていました。
 平成20年9月20日から平成20年12月31日の間に同紙を1年契約し、購読料をクレジットカード一括前払いにすると月極め購読料を12回払うより2カ月分安い42,000円(通常50,400円)で購読できるというキャンペーン(いわゆる年払い割引キャンペーン)。
 新聞は月極め購読料を基本にしていますが、一部の業界紙でやっている年間購読料へとこれまでの購読料(定価)の概念に変化が起きそうです。

 以前にもこのブログで取り上げましたが、再販制度は「新聞社が販売店に対して定価販売を守らせる制度」ですから、新聞社が二重の価格設定(年払い・月払い)をすることは可能。同グループの産経新聞だと購読者が多く、新聞社が顧客を管理しきれないため、購読者が比較い的少ない(新聞社が管理できる)専門紙から二重価格の設定に着手したと思われます。
 「適正な購読料であるのか」という議論はさておき、販売店からすると「1年分の前受け」は魅力的ではないでしょうか。


 さらに産経新聞グループでは産経新聞購読にプラス550円で同社発行の月刊誌「モーストリークラシック(定価1,000円)」のセット販売(併読割引)にも積極的に取り組んでいるようです。

 業界の切り込み隊長として業界の常識を打ち破るフジサンケイグループ…さすがです。

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2008年09月30日

地方紙の一歩進んだデジタル戦略/山陽新聞社を訪問

 新聞労連産業政策研究会の一員として倉敷市で開かれた、中国・四国・近畿地方連合による産業政策研究合同集会(約30名の労組員が出席)へ講師として参加してきました。
 私のパートは、このほど同研究会が発表した中間報告書の総論部分の解説と販売問題について約60分(時間オーバーでしたが)話をさせていただきました。
  新社屋.JPG   旧社屋.JPG
 集会は翌日午前中まで熱心な討議が行われ少々バテ気味だったのですが、せっかく岡山まで来たのだからとおととし新社屋が完成した山陽新聞社(地上30階建)を見学させていただきました(写真左)。
 とても新聞社の建物とは思えないモダンな社屋は最上階に食堂兼ラウンジがあり、岡山市内を見下ろしながら社員の皆さんは食事をされているのだろうなぁ…こういうところで仕事をしていると市民感覚とズレてくるのだろうなぁと独りごとを言いながら、総工費85億円のお城を見せていただきました。

 ひと通り新社屋を見学させていただいた後(販売局には伺えませんでした)、旧社屋(編集部門と印刷・発送部門、系列のケーブルテレビが入居:写真右)にもお邪魔しました。
 注目したのは山陽新聞社が取り組んでいる「
WEBニュース岡山」。同社のでは月曜から金曜まで(祝日は除く)その日のタイムリーなニュースを5本放送しています。しかも、取材(ビデオカメラで)から番組テロップの製作に至るまですべて編集局員が担当し、画面に登場するアナウンサーも編集局の方々というからビックリ。同社では撮影のスキル編集のスキルを学ぶために入社5〜6年の編集局員を系列会社のoniビジョンへ3年程出向させているそうで、映像の出来栄えも素晴らしいものです。同社系列のケーブルテレビ会社「oniビジョン」でも放映されています。

 “紙面掲載に間に合わなかった事件でも取材(動画に収め)してWEBニュースに間に合えば先んじて放送するのか?”という問いに対して、同社メディア報道部E氏は「もちろん。ウェブファーストでしょう」と語気を強めました。 
 そのほか、
先人の風景(紙面と連動し県内の名所を動画配信)や岡山医療ガイド(紙面とも連動)も人気があるとのこと。医療ガイドには「日帰り手術ができる病院」「クレジットカードの支払いができる病院」などのキーワードを入力すると適正な医療機関の情報が提供されるというポータル的な機能を備えています。「岡山県内のことはすべて山陽新聞が紙面とWEBで提供します」という地域に根差したスタンスを強く感じました。

 共同通信や北海道新聞、静岡新聞をはじめ、地方紙でも動画をコンテンツにしたWEBサービスが取り組まれていますが、なかでも山陽新聞社は一歩リードしているという印象を持ちました。

 国会中継しかり、全国の県・市議会でのやり取りも動画で一般公開していることろ出てきており、速報性だけをとらえれば1日2回印刷される新聞に勝ち目はありません。しかし、議会で論戦されている問題点は何なのか「解説」することは新聞の一番の強みのような気がします。新聞はその辺をもっとアピールするべきでしょう。
  簿ジョン.JPG
新社屋内にあるデジタルビジョンでは当日の紙面が映し出されている。

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2008年09月17日

新聞社と地域インフラが提携する地域最強カード/ビジネスチャンスはまだまだある

 少々遅ネタですが、中国新聞が2003年から取り組んでいる会員組織「ちゅーピーくらぶ」(会員数42万2千人)がさらにパワーアップするという話題(9月4日)。PASPYプレスリリース

ちゅーピー.jpg

 広島県内の交通事業者10社局で構成するPASPY(パスピー)運営協議会と広島銀行、そして中国新聞社が来年3月をめどに提携カードを発行することで基本合意したと発表。交通事業者と銀行、新聞社の提携による“交通系”カード発行はもちろん全国初です。

 名称は「ひろぎんPASPY(仮称)」で、広島銀行が発行する非接触ICカードは、JRが発行する「Suica」の地域版といったところでしょうか。

三者のメリット・デメリットを考えるとこんな感じなのかなぁ。
▽交通事業者
メリット=利用者の向上(現在独自カードを4万枚発行)
デメリット=ICカード対応の運賃カウントシステムへの投資
▽広島銀行
メリット=電子マネー導入による市場活性化
デメリット=カード発行、システム開発の経費
▽中国新聞社
メリット=顧客データベースの構築、サポート店の活性化
デメリット=・・・


 中国新聞社を皮切りに新聞社による会員組織は約十数社ありますが、まだまだ新たなビジネスモデルとまでは至っていません。逆にシステム構築や会員証の発行など経費がかさみ、新たな施策が打てずに会員組織自体が中途半端な扱いになっている新聞社もあるように聞いています。

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2008年09月15日

市場(顧客)を知らない司令塔…

 今日は3連休の最終日でしたが数日前に「全社員出勤」の業務指示が出され、自宅に近い販売店へ伺って終日営業活動でした。
 酒場で意気投合した隣人に新聞購読をお勧めするはしょっちゅうなのですが、久しぶりの現場は「何とか実績をあげなければ…」というプレッシャーがついて回るものの、机上で考える仮説を点検するには「市場を知れ!」が一番大切なことです。

 早出グループに加わった私は、9時30分から17時30分まで(途中昼食休憩あり)セールス一本勝負。祝日ということもあって延べ400件の訪問中、インターフォン越しに応答いただいたのが約1割で、そのうちきちんと商談できたのは3件でした。以前のように「一発勝負」で契約を取れる時代・商品ではなくなっていることを肌で実感できます…

正常化チラシ.jpg 

 全社員出勤となった背景は、「某紙の大拡張団が投入されるようだ」ということへの対抗策。販売正常化チラシも頻繁に折り込まれてました。「地元の利」は幾分あるにせよ、海千山千の拡張団が市場を荒らす(ルールを守れば問題はありませんが)と一番トラブルに巻き込まれるのが読者の方々であり、しつこい新聞拡張によって結果的に「新聞嫌い」が増えてしまうことが問題なのです。

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2008年09月09日

「信頼」は新聞の最大の強み

 週刊ダイヤモンドの9月13日号に「ウェブサイト価値ランキング」という特集が組まれています。

(週刊ダイヤモンドより引用)
 電通の『日本の広告費』によると、テレビや新聞等の既存のマス広告費が横ばいないしは減少を続けるなかでインターネット広告費は急速に伸び続け、ついに07年にはテレビ、新聞に次ぐ媒体に成長した。この動きは家庭でのインターネットの利用がますます一般化していることに支えられているが、それに歩調を合わせ手企業のインターネット活用もますます盛んになっている。企業ウェブサイトはマスメディアに依存することなく企業が消費者に対して直接働きかけることができる自由度が高い自社メディアであり、活用次第で大きなビジネス上のメリットが期待できるものとなっている。しかし、その効果を把握するのは決して容易ではない。消費者行動がネットメディアのみで完結することはまれで、インターネットを離れて店頭などでリアルメディアとの接触によって最終的な成果が実現されている場合が大半だからだ。(引用終わり)

 確かにインターネットの普及によって、企業広告も代理店を経由したマス広告から自社で経費をかけずにサイト展開をするところも増えています。結果、消費者の購買行動があがったのかどうかは難しいと同誌では結んでいますが、日本ブランド戦略研究所が開発したウェブサイト総合評価システム「ウェブエクイティ」で売上への貢献度を測定し、ウェブサイト価値ランキングを発表しています(1位はトヨタ自動車)。


 こうした企業が独自に展開するウェブサイトを支援するシステムを電通が運用を始めています。
電通、クロスメディアキャンペーン分析/立案支援システムを運用開始(9/8日経ネットマーケティング)
電通コネクトメディアを開発、運営を開始(9/8電通HPリリース)
 8月4日にサービスが提供された「クロスイッチ」も電通が展開するクライアント支援システムといえます。
クロスイッチ 電通クロスメディアコミュニケーションWEB(8/4電通HPリリース)


 広告会社もネット時代の生き残りを懸けて新たな事業展開を乱発しています。新聞をはじめとした媒体社にはわき目も振らずとは言わないけれども、その開発に取り組む勢いは新聞局の比ではないように感じます。

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消費税問題と新聞人への要望

 政界のゴタゴタ劇に業を煮やした社団法人日本経済団体連合会(経団連)が、消費税率引き上げに向けて本格的に動き出したようです。

2011年度から消費税10%、経団連要望へ(読売新聞より)

 日本経団連は8日、中期的な税制の抜本改革案として、消費税率を2011年度から5%引き上げて10%とするよう政府に要望する方向で最終調整に入った。
 正副会長による正式な組織決定を経て9月末にも公表する。
 経団連はこれまで、07年1月に御手洗冨士夫会長のビジョンという形で、15年までに2段階で消費税率を事実上10%まで引き上げるよう求めていた。しかし最近の試算によって、医療、年金などの社会保障制度を安定的に持続させるためには、消費税率を一気に引き上げ、引き上げ時期も前倒しせざるを得ないと判断した。
 試算にあたっては、日本経済が安定的に発展する条件として、政府が目標とする11年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字化を前提とした。さらに、消費税率引き上げによる負担増が個人消費に打撃を与えないよう、中所得者層以下への負担軽減策も組み合わせる必要があるとみている。


 新聞業界でも消費税問題は大きな関心ごとです。税率アップ分を購読料にそのまま転嫁すれば、セット版で4,000円を超えるため「購読中止に拍車がかかる」「セット版購読ではなく夕刊をやめる」という消費者の声が予想され、経営状況に相当な打撃を与えかねないという共通認識があるためです。

 3年前に新聞協会(当時会長は箱島信一氏:朝日出身)が与党税務調査会へ提出した「平成18年度税制改革についての要望書」には、
…欧米諸国では、新聞にはゼロ税率を含め軽減税率が適用され、それが常識となっています。
…1960年代以降、欧州各国では付加価値税(VAT)を導入していますが、新聞に特別な措置をとっています。ゼロ税率や軽減税率の適用、言論の多様性を確保するための各種の新聞助成策がそれです。例えば、英国、ベルギー、デンマーク、ノルウェーなどでは、新聞購読料はゼロ税率になっており、オーストリア、フランス、ドイツ、ギリシャ、イタリア、オランダ、スペイン、スウェーデンなどの国では、軽減税率を適用しています。
…国民が正しい判断を下すには、政治や経済、社会など、さまざまな分野の情報を手軽に入手できる環境が重要です。欧米の先進国では、軽減税率をはじめ各種の新聞助成策を講じていますが、その根底に流れているのは、新聞による自由な言論と報道は「民主主義の必要経費」という考えにほかならず、わが国においても十分に考慮されて然るべきものと考えます。
…今後とも国民がより少ない負担で新聞を購読できる状態を維持していくことが、わが国の取るべき方策であると確信しております。その意味で、購読料への課税のみならず、新聞社の社会的責任のもとに行われる情報提供事業に対して他の商品と同率に課税することは、民主主義国家の健全な発展と国民文化の向上に、大きなマイナスになることを憂慮いたします。
…ゼロ税率ないし軽減税率の適用をご検討くださるよう要望いたします。

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2008年09月07日

元気ない新聞へ活力/新聞労連産政研がアクションプラン模索

 日本新聞労働組合連合(略称:新聞労連)の研究機関として、昨年4月に発足した産業政策研究会(座長:小関勝也)が「新聞2008年の『自画像』」と銘打った活動報告書をまとめました。
 内容はいまの新聞産業における現状を「自画像」として総論的に書かれているほか、2007年8月から今年7月までに取り組んだ活動テーマ(次代の広告、新聞産業を守ってきた法制度、携帯電話の進化と新聞)のまとめ。さらに新聞業界外の7名の講演録が掲載されています。

産政研CD.jpg

 産業政策研究会は全国の新聞社に働く労組員7名で構成され、1998年以降停滞していた新聞産業研究を復活させる取り組みとして注目されています。今回の報告書はあくまでも中間報告であり、内容はまだまだ荒削りかつ結論めいた政策提言とまではいかないものの、新聞の可能性をについて論じている唯一のテキストと言えるかもしれません。

 この報告書は新聞労連加盟の各労働組合へ送付されるのはもちろん、新聞協会やメディア論、新聞研究の学科のある各大学へも送付される予定。

 また、産業政策研究会では研究委員メンバーによるブログも先月からスタートさせ、新聞産業問題のほか、ウェブ、IT情報、活動報告などをそれぞれの視点で書き込んでいます。
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SANSEIKENweb

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2008年08月26日

3年続けたブログを読み返して… これまでを振り返る

 このブログを始めてから3年が経過し、あすから4年目に突入することになりました。
 この間、新聞業界を取り巻く環境はめまぐるしい勢いで変化し、これまでと同じ手法による新聞ビジネスでは立ち行かなくなっています。ブログを始める時にもペースが遅いとはいえ、昨今のような厳しい産業情勢になることを予感していました。結果として何も変えることが出来なかった自分がいるのですが、この間に思った自身の感想を第三者的に書いておこうと思います。

 ブログという情報発信ツールを手にした私は、「井の中の蛙」から抜けだして全国の多くの仲間と知り合うことができました。そしてその領域を広げることになったのは「新聞特殊指定」の問題がネット上で叩かれだした頃です。
 私は新聞販売店労働者の立場から「特殊指定」の存続を訴え、プチ炎上となったこともありました。コメントをいただいた方には切々とコメントを返し続け、「今だけ委員長の言うことは

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2008年08月22日

変化する新聞のカタチ

 各製紙メーカーは、4月に続き10月から新聞用紙代の再値上げを、各新聞社へ要請しているようです。
 先にも書きましたが、新聞製作コストと広告費の低迷を受けて、購読料の値上げや夕刊を廃止して値下げをする新聞社など、これまでプライスリーダーであった全国紙の動向を待つことなく「独自」の経営戦略で走る新聞社が目立っています。

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 そんな中にあって、2004年3月に創刊した「フジサンケイビジネアイ」が、10月から米国で経済、金融情報を配信しているブルームバーグ社と提携して新創刊するそうです。
 注目したいのは価格とカタチ。価格は現在の3,150円(月極め購読料)から4,200円。一部売りも100円から140円に改定。そしてカタチもブランケット版からタブロイド判へ切り替えるとのこと。それと外資との提携にも注目したいところ。ニューズコーポレーション率いるルパート・マードック氏も高い普及率のJAPAN新聞に興味を持つ日も近いかも・・・。でもその前に国産新聞社の資本提携があるのではないかと思っています。題字は変えずとも役員を送り込み系列化が進む。これは全国紙が地方紙を傘下に収める(下野新聞を毎日が、福島民友を読売が)ということだけではなく、地方紙同士の、もしくは全国紙同士の合併です。

 日経の独壇場ともいえるジャンルに乗り込むとは、さすが業界の切り込み隊長(産経新聞)です。サンケイエクスプレス(2,100円)と同じカタチにした産経新聞社の戦略に対して、市場がどう反応するのか関心のあるところです。
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2008年08月05日

「とうほく夏の陣」地方紙の購読料改定を考える

 昨今の新聞購読料の動きについてチョットだけ考えました。
 これまでの新聞購読料は、全国紙(朝毎読)がプライスリーダーを担ってきました。値上げの理由は2パターンで原材料費の高騰と販売店の労務対策に掛かる費用がかさみ読者に負担してほしいというもの。それに地方紙が追従するというパターンが繰り返されてきたわけです。

 しかし、前回の値上げから14年が経過した今、東北にある二大地方紙がこれまでのパターンを崩して購読料の改定(告知)を行いました。山形新聞は7月からこれまでのセット版料金3,007円を3,300円に引き上げ。さらに秋田魁新報は10月からセット版3,007円を夕刊廃止で2,950円へ価格を見直すことを8月1日の社告で発表しました。

 読者からの反響は数カ月先に「部数推移」として結果が出されることになるでしょうが、両社の異なった企業戦略に対して多くの新聞経営者が関心を持っているに違いないでしょう。


 新聞倫理綱領を読み返すと、新聞は公共的使命を新聞は果たしていかなければ…とあります。
 国民の知る権利を保障するメディアの担い手として、新聞は生活的弱者でも購読できる価格設定と個別宅配のシステムを維持することでその責任を果たしてきたと考えられます。14年間、なぜ値上げがされなかったのかを考えると消費者の生活感を考えてのことだったのではないでしょうか。そこにあいまってネットが加速度的に普及し、新聞社は「無料配信で広告収入を稼ぐ」ことの活路を探り、消費者は「(無料の)ネットで新聞記事は読める」という状況ができあがった。実際にはネット広告は期待ほど実入りにもならず、読者への販促、コミュニケーション活動にもテコ入れがされることなく、「紙」モデルの営業政策はタコツボ化してしまったと解されます。

 しかし、今ほど格差社会が叫ばれサラリーマンの平均給与所得が下がっているにも関わらず、購読料は値上げへと向かっています。紙代を含む原材料費の高騰はいたしかたないのかもしれませんが、広告収入の落ち込みを理由に定価改定をしたことはなかったと記憶しています。逆な視点で言えば、広告収入が減ると高所得者しか購読できない媒体(価格帯)になっていることを指すわけです。これは読者の視点としてだけではなく、新聞産業に働く私たち自身が「公共性」を大きな旗印にしながらも、値上げによって購読できない方々の存在を知るとゾッとすることでしょう。でも現実に年金支給額が低く新聞が読めない独居老人は少なくありません。
 そこには新聞労働者の高所得を指摘する声もありますが、誤解を恐れずに言うと確かに従業員の平均年収は他産業に比べて高いけれど、人件費比率はそれほど大きなものではなく相当なスピードでリストラが進められているわけです。


 マーケティング手法における価格戦略では、価格設定はダイレクトに消費者に訴えるメッセージ手段であると同時に競合企業に対するメッセージでもあります。ある企業が設定する価格は顧客がそれを受け入れるかどうかだけではなく、競合企業との価格戦略に影響を与えるものです。
 しかし、新聞業界の場合は差別化が難しいコモディティ(日用品)であり、需要供給の関係で価格帯がある程度決まってきたという歴史があります。20世紀までは理髪料と同額程度で推移してきたとよく言われますが、多メディア化による新聞離れと並列して、値上げに向かう新聞産業と生活者の価値基準とのバランスが崩れないよう商品研磨とサービスの価値を高めていかなければならないでしょう。理髪店でも1,000円の激安店が増える一方、カリスマ理容師のカットには相当額を払う消費者も多く存在しているのです。

 横並びで購読料を設定する時代ではなくなっていることだけは確かですが、読者の声に耳を傾けて経営判断をすることが一層求められてくるでしょう。

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2008年07月11日

映画クライマーズ・ハイを観て…

 当方のブログをご覧いただいている方は、ほとんど新聞関係の方なので告知の必要もありませんが、やっと鑑賞してきました「クライマーズ・ハイ」。
 堤真一.jpg 堺雅人.jpg 北関東新聞.jpg
 一応この業界筋の人間ですからとりあえず観ておかないと。原作本も読みましたが、新聞社を持ちあげたり新聞記者の仕事を美談にしないところが好きです。堤真一さんの悠木和雅役(主人公の北関東新聞記者)もけっこう良かったなぁ。同作品がNHKでドラマ化された時は佐藤浩市さんだったけど、彼よりハマっているかも。でも私のイチ押しは県警キャップ佐山達哉役を演じた堺雅人さんですね。

 あまり多くは語りませんが、販売局のイメージがまた悪くなるなぁ…と感じつつ、ホント新聞社ってあんな感じですよね。
 日航機墜落事故はもう23年前の出来事ですが、当時の新聞記者の熱血漢が伝わってきます。あの時代から四半世紀が経ち、新聞社のシステムもだいぶ進化しましたが、原作のような気骨ある新聞記者はどれだけいるのかなぁと感慨深くなりました。
 現代版でキムタクを主人公に新聞記者のドラマを作れば新聞社への就職志望者が増えるかなぁとか思ったりして。ともあれ、長編ですが見ごたえある作品ですね。
北関東新聞社.gif

posted by 今だけ委員長 at 01:27 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2008年07月04日

これって著作物再販制度に抵触しない?

 山形市内に住む義姉から「こんなチラシが入ってたよ!」とファクスを送ってもらいました。
  山形読売会.JPG   山形読売.jpg
 今月から14年6カ月ぶりに定価改定した山形新聞(3,007円から3,300円)ですが、当然のことながら山形県下では全国紙の攻勢がはじまっていようです。まぁそこは自由競争(景品表示法のルールの中で)なので別段問題にすることもないのですが、送ってもらったこのPRチラシを考えてみたいと思います。

 内容を見る限りでは発行元は山形新聞読売会。見出しが「価格維持宣言!」と表記されているので読売新聞は値上げをしないと受け取れます。でも読売新聞の購読料は販売店が決めるわけではないので、この表記は再販制度からするとチョット問題ですね。新聞社が宣言すれば何の問題もないのですが…


 新聞は著作物再販制度の指定商品。(いまさらですが)再販制度とは、メーカー(新聞社)がディーラー(販売店)へメーカーが決めた小売価格(購読料)を守らせるという制度です。ですから、販売店が購読料に関して“上げます、下げます、維持します”といった行為は行えないのです。
 「がんばります」とはそんなルールをすり抜けられる表記だと考えたのでしょう。優秀な担当員さんのチェックなしに販売店もこのようなチラシは作れないので・・・チェック済だと思いますがギリギリですね。


 このような動きは読売新聞だけではなく、朝日新聞も(毎日はどうかなぁ)やっていることでしょう。単独値上げに踏み切った山形新聞からすると、このような攻勢は当然予想の範ちゅうでしょう。
 新聞代の値上げは読者へ“購読を止めるか、続けるか”を考える機会になります。これまでは「読みなれた紙面だから」とか「いつも集金に来てくれる人が感じ良いから」という読者とのコミュニケーションによって、引き続き購読してくれましたが今はどうでしょう。14年6カ月ぶりですから読者の側も価値観が大きく変わったかもしれません。
 結局は購読している新聞に必要性を感じているか、販売店のサービスに満足しているか―しかないのですが、もう一つ加えるとすると、そこに(新聞社や販売店など)勤めている方のネットワークによるところも大きいと思います。人とのつながりはモノの価値を超えられるか・・・。私はある程度は超えられると思っていますが。

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2008年06月29日

梅雨時期の新聞配達とY紙の購読支援デリバリーサービス

 梅雨時期の新聞配達はとても体力を使うものです。バイクでの配達とはいえカッパを着て動き回るとたちまちサウナ状態。体中びしょ濡れでカッパは剣道の防具のような臭いとなって、不快感がいっそう気力も体力も消耗させます。
新聞配達に従事されている皆さまには体調など崩されないようにこのつらい時期を乗り越えていただきたいと思います。

 最近では雨天時に新聞が濡れないようラッピングフィルム(ビニル)に新聞を1部ずつ包み込む機械が登場し、雨濡れのクレームはだいぶ減りましたが、販売店にとってはかなりの経費負担になっています。高騰する原油高でガソリン代はもとよりラッピングフィルム代も値上がり傾向…。配達スタッフにも過剰なラッピング使用はプラごみを増やすことになると注意喚起をするのですが、一度ラッピングされた新聞を届けた読者宅からは、チョットの雨濡れでもクレームが来るのでやめられないというスパイラルに…
 ドライヤーで新聞を乾かす家はもうないのかもしれませんね。「すぐに交換に来い!」というパワーカスタマーの時代なのですから。

  
 懸賞ハガキ2.jpg   懸賞ハガキ1.jpg
 きのう、自宅のポストにY紙の懸賞応募ハガキが投函されていました。夏休みシーズンは独り暮らしの学生さんが帰省するため、販売店にとっては1カ月分の購読料が回収できない読者が増える厳しい時期。高校野球(夏は朝日新聞主催ですね)も夏場の販売戦略上で仕掛けられた事業だと何かの本で読んだことありますが、夏場はギョーカイ的に苦難の時期(最近は毎月ですが…)なのです。
 話を戻すと「夏休みお出かけサマーキャンペーン」という銘打たれたこの企画は、日帰り旅行券やタオルセットなどが当たるオープン懸賞(Y紙を購読していなくても応募できる)。プレゼント商品の内容もあまり目新しいものはないのですが、アンケートの内容に注目しました。「Q1 新聞販売店にあったら嬉しいデリバリーは? a.水 b.米 c.トイレットペーパー d.灯油 f.その他( )」という項目です。察するところ、購読率が高い高齢者向けデリバリーサービスの準備というところでしょうか。販売店が新聞購読の付加価値として日用品(それも重い商品)のデリバリーサービスに乗り出そうとリサーチしているのではないかと感じます。さらに「Q4 平成20年6月1日から、住宅用火災報知機の設置が法律によって義務づけられましたがご存知ですか? a.知っています。設置しました。 b.知っていますが設置していません。 c.知りませんでした。」という質問。火災報知機を拡材にするのか業者へ斡旋するのか分かりませんが、これも売れるデータの収集ですね。

 顧客データを活用した販売戦略はマーケティングの基本。今まさに遅れをとっている新聞販売店の顧客データベース化にY紙が着手しはじめたと考えられます。

 購読料の値上げだけじゃなく、こういう取り組みをマネすればいいのになぁ。

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2008年06月23日

歯止めきかない新聞広告/新聞社の底力が発揮されない理由

 新聞社の広告収入の落ち込みに歯止めがかかりません。
 このブログでも何度か紹介している森内豊四氏(元日経広告研究所専務理事)から、最近の新聞広告事情に関して感想をいただきました。

「広告と経済」という業界誌があります。その6月11日号を見てびっくりしました。
大手広告会社9社の今年1〜4月の売上高です。「新聞」は前年比で90.6%、4月は80.9%となっています。

広告_edited.jpg

昨年の大幅なマイナスに続き、下げ幅を一段と加速しているのです。これは「後退」などといった生易しいものでなく、「崩落」ないし「崩壊」です。

広告衰退の底流に何があるかをもっと真剣に考えなければなりません。
山形新聞の購読料値上げを知りましたが、全国紙を含め、大きな課題になってきました。発行部数低落のなか、また読者の生活防衛が続くなか、そういう経営が本当に許されるのかどうか。「あの時は、そうするしかなかった」というエクスキューズなど聞きたくないですね。

森内豊四


 広告会社(代理店)を経由した紙面広告の販売手法はそろそろ限界に達してきたのかもしれません。地方紙はそのエリアの商店単位(エリア・マーケティングの発想)にまで入り込んで(いわゆるドブ板営業)、ほかの広告媒体と比べて勝っているものを強調し、売り込んでいかなければならない状況にあるのではないかと感じています。新聞は宅配網という機能を持っていますが、あまり活用されていないというのが実情。「販売店は言うことを聞かない…」とかよく聞きますが、自社の利益だけを考えるから販売店からの協力も得られないわけで…きちんとした利益分配をして地域活性化のためのアクションプラン(編集から販売店まで)を構築する必要があると思っています。

 新聞だけではありませんが、縦割りの組織運営による弊害が新聞産業の底力を削いでいる理由なのかもしれません。

posted by 今だけ委員長 at 07:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2008年06月22日

新聞配達もメディア研究の題材へ…

 6月19日に日経メディアラボ(坪田知己所長)が「オートロックマンション、新聞配達と防犯の両立めざす――三井不動産レジデンシャルが新システム」というインタビュー記事を同社HPへアップしました。
 日経メディアラボは、日本経済新聞社がメディア全般の研究のために設立された組織。これまでもメディアを取り巻く環境の変化を伝えてきましたが、新聞の宅配に関連するリリースは初めてではないかと思われます。

 新聞を届ける(宅配する)というアナログ的な分野についても、日経メディアラボは「メディアを浸透させる大切な手段」として捉えているのかもしれません。ネット時代のメディア論はあらゆるマーケティングやリテラシィ―の理論、インタラクティブ、ジャーナリズムなどのカテゴリーで研究されていますが、このようなアナログネタも重要なのです。

 顧客のニーズに答えるのがメーカー(新聞社)やディーラー(販売店)の努め。「オートロックマンションが増えたから部数が落ちた・・・」という言いわけをする前に、なぜ新聞配達スタッフが不審者扱いされてしまうのかを考えなければいけないですね。


 三井不動産レジデンシャルの取り組みは5月8日にプレスリリースされ、今月から都内の同社分譲物件で始まっています。
 インタビューに答えた同社都市開発事業部開発室主任の久松壮氏は、「当社がマンション販売後に実施する入居者アンケートでは、必ず『新聞は読みたいけれど、集合ポストまで取りに行くのは…』といった意見が出てくる」、「セキュリティーを考えながら各戸への新聞配達ができれば、これも売り物できる」と顧客のニーズとセキュリティの両面を商品化し“マンションの売り”にするというもの。

 新聞業界がこのようなシステムの費用負担も含めてマンションデベロッパーへリーチしていく必要性を感じます。
 紙新聞の将来を憂う前に、まだ手をつけていない課題がたくさんあるのです。

posted by 今だけ委員長 at 23:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

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