〜河北新報社・新入社員8名が配達研修〜
今春河北新報社へ入社した新入社員8人が今月4日、河北仙販榴岡支店(佐藤勝吉支店長)で配達研修に取り組みました。
河北新報社では新聞制作だけではなく、取材現場から新聞が読者の手に届くまでの作業内容を社員に理解させることを目的に、印刷部門や販売店での配達や営業を実体験する研修を行っています。
8人はまだ吐く息が白く残る午前3時半に榴岡支店へ集合。印刷センターから運ばれてきたほんのり温かい新聞をトラックから降ろし、ベテランのデリパル(配達スタッフの呼称)が折込広告チラシを流れるように新聞に組み入れていく作業を見学。その後、2人ずつペアを組み、マンション4棟の配達に従事していただきました。
ほとんどの社員は新聞配達初体験。「不配をしたらどうしよう」とのプレッシャーを感じながら、何度も地図とにらめっこしながら、不配もなくしっかりお客さまと約束した時間と場所へ届けてもらいました。
これからさまざまな経験を積み、新聞 社員として報道や営業の第一線で活躍されることでしょう。彼らの署名記事を紙面から探すことも楽しみの一つとなりました。
※研修を終えて感想を書いていただきました。(敬称略)
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近藤 遼裕・編集局報道部
新聞の販売スタッフに高齢者が多いのは、労働環境的な要因が大きいと思っていたが、実際に運ぶ新聞は20代の自分が持っても重かった。震災当時の小関さん(河北仙販販売課)の話を聞いて、販売員一人ひとりが地域を支えようという強い責任感のもと業務をこなし、だからこそ成り立っているのだと強く感じた。
坂本 光・編集局報道部
私は約20部の朝刊を配りましたが、それだけの部数でもかなりの重みがありました。これをご高齢の配達員の方が、毎朝日が昇る前から配って歩いているのだと思うと、配達員の方々がどれだけ大変な思いをして新聞を届けてくれいているのか実感しました。また、読者と直に関わっている配達員の方がいるからこそ、新聞が成り立つのだということを改めて感じた実習でした。
池田 隆平・編集局報道部
4年ぶりの任務だった。午前2時に起き、販売所へ向かう。記者として新聞配達に取り組んだ。
大学1年以来の新聞配達。苦しい記憶が蘇る。配達場所に向かうまで、もやもやしていた。
新聞が到着し、1面を見た。レイアウトを作る整理部。取材に汗を流す記者。購読料を払う読者。裏切れない―。学生時代以上に緊張している自分がいることに気付いた。絶対にミスなく配ろうと思った。
新聞は読者に正確に届けられて初めて成り立つ。逆を返せば配達ミスは記者、読者の思いを無駄にしてしまう。責任をもって新聞を届けている配達員への感謝の気持ちを忘れてはならないと思った。記者として働くうえで、この日の経験を忘れずにいたい。
吉田 千夏・編集局報道部
毎日読者の手に渡るのは、新聞配達員の方々の丁寧かつ迅速な仕事のおかげであることを再認識した。新聞は記者の力だけでは読者に読んでもらうことはできない。今後記事を届ける立場になっても、たくさんの人々がいてこそ新聞が発行されるのだということを忘れずがんばりたい。
荘司 結有・編集局報道部
午前3時30分、日の出を待つ街の一隅に灯りがともる。寝静まる窓の外とは対照的に、紙を裁く音が部屋中に立ち篭る。ひとかたまりの新聞を抱え上るマンションは暗く、寒風が吹いていた。忍び足で廊下を歩き、そっとポストに新聞を投函する。黒子のような作業だと思った。
朝、寝ぼけ眼で郵便受けを開け、新聞を抜き取る。私の「当たり前」の日常は見えない誰かによって作られている、と実感する経験であった。
熊谷 優海香・編集局報道部
会ったこともないたくさんの顔を想像しながら、寝静まったマンションのポストに、ひとつひとつ新聞を入れていく。細いポストに合わせて丁寧に三つ折りし、「普段どおり」になるよう心掛けた。新聞を決まった時間までに配るということは、日常を届けるということ。日常を届けるということは、「安心」そのものであるということ。私もその「安心」を届ける一員になるのだと、朝の寒さが身を引き締めた。
佐藤 千里・事業局事業グループ
新聞配達店は、新聞をお客様の元に届けることが仕事である。そのため、作業はスピーディに行わなければならない。その点が大変な業務だと思っていた。しかし実際に河北仙販榴岡支店にて研修をさせて頂き、それだけではないことに気付かされた。
購読者の方を思う姿勢が重要であった。新聞のチラシを抜くことや袋に入れること、配達の際の新聞の折り方など購読者からの多様な要望に応える姿勢があった。これらはすべて購読者のことを考えたもので、長期的な購読をして頂くための販売店の努力である。
また、配達の際にも階段の歩き方や新聞を投函する音にも気を配る必要があった。購読者はもちろんだが、それ以外の近隣住民への配慮でもある。地域に根付く販売店として、人々とのつながりを大切にしているように感じた。
購読してくださる方がいる、その方のために何をすべきか。それはつながりを深めること、そして河北新報をより信頼して頂くことなのではないか。販売店に限らず河北新報社に務める者として、お客様との信頼関係を築ける社員を目指したいと改めて思った。
松岡里奈・営業局営業部
普段何気なく手に取る新聞は、作る人だけでなく運ぶ人がいなければ成り立たないのだと強く感じました。お客様によって様々なニーズに応えているのだということ、昼の間は別のお仕事をしている方も朝とても早起きをして毎日配達をしてくださっていること、神業とも言えるチラシ入れの技術。今まで考えたことがなかったことに気づくことができ、驚きの連続でした。
毎日天気や状況が変わるのに、同じ時間に届いているという、当たり前だと思っていたことは、色々な工夫の上で成り立っていました。様々な研修を通して、「新聞は一つながりの仕事だ」ということを重ねて言われてきましたが、先日行われた印刷センター見学、そしてこの配達を経験して初めてそれが実感できた気がしました。「百聞は一見に如かず」です。これからも新入社員として様々なことを見て、体験して、成長したいと強く思います。