2006年04月21日

社会的使命を忘れるな!

 4月20・21日の両日、日本新聞労働組合連合(通称:新聞労連)の「第115回中央委員会」が東京都文京区で開催されました。

春闘総括や夏季一時金闘争方針など多くの議案について議論されるのですが、今回は「新聞特殊指定問題」にその多くの時間を割いて論議されました。私も発言の機会があったので、新聞販売労働者の視点から特殊指定に関連する新聞労連本部および加盟組合への要望を話してきました。

 はじめに、労働組合として、新聞労働者として、社会的使命を果たしていくことを目的として、この会議で発言をしたい。いま、業界内外で大きな問題になっている新聞特殊指定の改廃問題。極端なことを言えば、特殊指定が無くとも各新聞社が再販や特殊指定、新聞公正競争規約(自主規制)を守りさえすれば、そう大きな問題にはならない。しかし、現状を見る限りでは「何でもあり」の販売行為が横行し、読者からの信頼を失っている。記者の皆さんが必至に取材をした記事も、読者に伝えたい記事を掲載した紙面も、資本力が影響する乱売競争によって吹っ飛んでしまっている。このような状況が公取委に対しても真っ向から説明すらできず、業界内の襟も正せないでいる。
 私たちは労働組合なのです。自らの生活をより充実させることに加えて、新聞発行に携わる労働組合は、より高い社会的な使命を担っていると思う。だが、最近は組合が経営者以上に「ことを荒たげない」「押し紙の問題にはフタをする」ようになっているのではないかと危惧する。これ以上、業界内の不合理な問題を先延ばしをしてどうするのか。新聞労連に結集する私たちは仲間であるはず。企業内労働組合ではあるが、勤め先(新聞社)の枠を超えて、共に業界内の問題を是正するために団結をして取り組んできたはずだ。それが今は、それぞれの会社の利害を懐にしたためながら議論されているように感じる。
 特殊指定問題についても大手紙の動きを「横にらみ」をせざるを得ないのだろうが、具体的に行動をしている組合は少ないと聞く。公取委の発表からもう半年も経っているのに…もう組合内の勉強という段階ではない。極論をすると朝日新聞や読売新聞の組合の仲間に、先陣を切って「現在あるルールを守る」よう経営側と交渉をして欲しいとお願いしようということもできないのだろうか。
 いま、紙面での特殊指定報道のされ方、国会議員と新聞協会の関係に違和感を持たないのだろうか。おかしいとは思えど、それぞれの組合でどのような検証をして具体的な取り組みを検討しているのだろうか。
 本音の話が組合からなくなったら、組合そのものの機能が果たされなくなる。特殊指定の問題は、新聞社や販売店の経営に関する問題とジャーナリズムの問題の2つに分かれてきている。私のような販売店労働者はペンは持っていないが、やはりジャーナリズムの役割をここに集まる新聞労働者は果たして行かなければならないと思うし、その役割を組合が果たせれば、例え特殊指定が撤廃されてもそれぞれの新聞社は健全な経営へと再スタートを切れるのではないか。
 もっと外に出て読者の声を聞く必要があるし、その声をもっと紙面に反映させるべきだ。ぜひ、特殊指定に関連する紙面での取り扱いについて、各組合で議論されるようお願いする。


 この通りの原稿を読み上げたのですが、「コンニャロ!何も知らないくせに」と思われた方も「その通りだ」と言ってくれた方などさまざま。まぁそれで良いのだと思います。でももっと議論しないと、そして内側だけではなく読者の声をもっと聞かないとダメだと思うのです。自分たちの問題!胃が痛くなるほどこの問題で悩んでいる人がどれだけいるのでしょうか?少なくとも今だけ委員長は眠れないときもありますよ。

※次回に新聞労連の取り組み、特別決議に触れていきます。
posted by 今だけ委員長 at 01:54 | Comment(6) | TrackBack(3) | 特殊指定

2006年04月14日

新聞特殊指定 勢いを増す国会議員連盟とあおる紙面

 特殊指定問題! キモイくらいに国会議員が動き回り、紙面でも大々的に取り上げています。読者への伝え方に大きな疑問が投げかけられている昨今、そのギャップを新聞経営者は感じないにしても、感じている新聞人は抵抗できないのでしょうか?

 今朝の新聞報道では、超党派の国会議員でつくる「活字文化議員連盟」が、国会内で総会を開き「特殊指定」の堅持を求める決議を採択し、同議連の鈴木恒夫幹事長が公正取引委員会(竹島一彦委員長)へ決議文を提出したというもの。
 決議文は「特殊指定の見直しは、全国に張り巡らされた戸別配達網を崩壊させることにもつながりかねない」と相変わらずの“ことの問題を飛び越えた見解”に終始。新聞の特殊指定は「健全な民主主義の発達に欠くことができない」と訴えたと言います。さらに、同総会では、自民党の中川秀直氏(政調会長)が同議連会長に就任。中川氏は公取委が特殊指定の撤廃を含めた見直しを検討していることに対し「国民の代表である私たちの意見をしっかり受け止めてほしい」とある種の脅しめいた発言まで飛び出したそうです。関連記事参照朝日新聞読売新聞


 新聞特殊指定問題からチョイト外れますが、各国の新聞の危機(韓国など)が囁かれている中で、中国のメディア業界の実情を記した「中国メディア青書」に関するこんな記事を見つけました。
「新聞業界、存亡の危機 ネット急成長で広告収入激減 メディア青書公表」

 新聞の広告収入が大幅に激減、「新聞が死ぬか生きるかの瀬戸際にある」との内容で、その背景として、インターネット業界の「爆発的な発展」などを挙げています。中国の新聞は、昨年実績で広告営業額が平均で15%以上減少しており、40%以上減った新聞社もあるという。中国のネット人口が一億数千万人に達している状況もあわせて伝えられています。
 中国の新聞は、昨年7月で1,926紙が発行。その多くが宅配ではなく、スタンド売り。また、「読者のニーズに応える紙面づくりをしておらず、競争力に欠ける」と国内メディア関係者からも指摘されているそうです。
 さらに官僚の腐敗などを暴露したり、政府の指導路線に沿わない新聞は幹部の人事異動で事実上の「制裁」を加えられるケースがあることも読者離れの原因でもあるとされ、「言論の自由」について「青書」では、「(人民日報など)党紙は民衆が必要とするニュースを提供すべき」などの表現で間接的に促しているーと記されています。いまの日本とは逆の現象だと感じてなりません。

posted by 今だけ委員長 at 13:43 | Comment(2) | TrackBack(0) | 特殊指定

2006年04月08日

新聞特殊指定 公取委の考えはこうなのです

 新聞労働者が組織する日本新聞労働組合連合(通称:新聞労連)の地方組織、新聞労連東北地方連合(通称:東北地連)の機関紙に、去る3月14日に新聞労連が行なった公取委への要請行動(90分の意見交換だったそうです)について、詳しくまとめられているので、公取委との主なやりとりを紹介します。

■特殊指定見直しの程度は?
改正、廃止、存続どれもありうる
●「見直す」と表明したのみで「改廃」と言ったことはない。改正、廃止、存続、どれもありうる。ニュートラルな立場で進めている。
●新聞協会、社団法人日本新聞販売協会(以下:日販協)と話し合い、現状把握を淡々と進めている。新聞のみではなく、5つの特殊指定すべて見直している。昭和30年に作られたものが現在も有効に活用されているのか。現在も必要なのか、直視するよう指示されている。5つのうち3つは廃止の方向でパブリックコメントにかけている。教科書の見直しもかなり進んでいる。
●公取委は各省庁に規制緩和を求めているが、省庁から「そう言う公取委にも古い規制が残ったままだ」と指摘された、という背景もある。
●今期、再販を見直すつもりはない。見直しへ向けて国公民的合意を得ようという動きもない。

■新聞協会・日販協とはどんなやりとりをしているのか
「主張が崩れるから」と実態隠す
●弾力的運用を進める、という約束は頂いているし、学割などが広く行なわれている実態は知っている。
●しかし、かなりの割合があるセット割れの朝刊単読の価格を聞くと「価格は言えない。言ったら自分たちの主張が崩れるから」と答えない。こんな状況が続けば「議論は尽くされた」と判断せざるをえなくなる。公取委上層部が「もう聞かなくていい」となるのを懸念している。
●業界側は「特殊指定と再販が個別配達を担保している」と言うが、特殊指定と再販は本来反対のもの、矛盾するものだ。新聞業界側は実態を挙げてこの話しに入りたくないのだろうが、公取委は新聞だからといって他の業界と差をつけるつもりはない。淡々と作業を進める。
●実態を教えてくれと言っているのに、事実は言えないという。特殊指定を残すのに必要な材料を出してくれないなら立証できず、廃止のパブリックコメントをかけざるを得ない、と新聞協会・日販協には言っているのだが。ちゃんと建設的な協議をしたい。こういう実態があり、特殊指定はこういう機能を果たしているので必要だ、と言ってくれないと。指定当時に特殊指定が必要だとした理由が今も存在するのかどうか。

■宅配が崩れる懸念がある
ニーズがあるなら残るはず
●宅配をなくせ、と言うつもりはない。自分たちも個人としては新聞宅配を利用する立場だから残してほしいと思う。ただし、宅配は読者のニーズがあるなら残ると考えるが。特殊指定がなければ宅配がなくなる、と主張しているが、宅配のニーズがあり、かつ再販を新聞発行本社が守れば残ると私たちは考えている。「いや、再販が守られないのだ」というなら、どうして守れないのかを教えてほしい。

■見直しは規制緩和の流れの一つなのか
そうだ。法で縛る必要はない
●そうだ。1円でも安くしたら駄目、という話は今は通用しないのでは?1円でも安くしたら駄目だ、と法律で決める必要はないのでは?
●新聞労連も、ゼロか100かではなく、現状に基づきこういう形で、と考えてみたらどうか。
中部読売の事例のような、略奪的差別対価で市場を奪う方法を恐れているのだろうが、そんなことを販売店レベルでできるものだろうか?

■11月に見直し着手を表明して結論を出すめどが6月というのは、時間が短すぎると思うが
新聞協会・日販協は了解の上だ
●新聞協会、日販協には事前に見直し実施の話をしてある。前回の再販見直しの時と同程度の期間を取り「今回は3月めどでどうか」と話したら「短い」と言われ、6月にした(一方的に決めたわけではない)。ただし、時間切れで決めたくはない。ちゃんと協議したい。

■労組は見直し協議に加われるか。労組側が逆提案をしたら聞くか
協議の主体は新聞協会・日販協
●協議の主体は、あくまで新聞協会と日販協だが、意見はありがたい。

■公取委の案ができ上がったら(以前の再販論議の時と同じように)パブリックコメントにかけるのか
確実にそうする

■特殊指定がなくなると資本力のある大手紙が地方都市をターゲットにして集中攻勢を掛け、地方紙が生き残れず、報道・言論が画一化される事態になると懸念している
乱売は一般指定で対応できる
●そうした事態を望んでいるわけでは全くない。我々も地方勤務の機会があり、情報を出しても大手紙が取り上げず、地方紙に広報してもらうことがある。これからもそうあってほしい。新聞社間の記事の競争はあってほしいし、大手紙の寡占は望んでいない。
●しかし、体力がある社が売りやすい地域で安く売りまくる、という手法は、特殊指定でなくても一般指定の「差別対価」で十分対処できる。中部読売が緊急停止となったように。
●我々の基本的なスタンスは「正当な理由があれば、差別対価はよしとするべきではないのか?」「販売店に条件付き自由度をつけてもよいのではないか?」だ。しかし、実態が分からないままに検討を進めた結果、新聞の画一化を招いたのでは互いに不幸だ。いったんそういう展開になったら再構築は難しい。だから地に足のついた実態論議をしたい。
●今回の見直しは、あらかじめ答えが決まっていてそこに向けて引っ張っていく、というものではない。自由度100lで良い、とか、ここは良いけれどここは駄目、とか言ってもらいたい。特殊指定の、ここをなくすとこうなる、というのを出してほしい。

■公取委の協議相手は大手紙中心なのではないか?地方紙や消費者の話をぜひ聞いてほしい。判断を急がないでほしい
労組の意見や集会報告寄せて
●消費者からも聞いているが、消費者は新規読者のみのサービスに不満が大きい。大学生協を通じて購読を申し込めば値引きするサービスで部数を伸ばした例がある。怖い勧誘員が来ず、口座引き落としなので利便性がいいと評判が良いらしい。取りたいのに新聞社側がブレーキを掛けている、それを外す努力もするべきでは?
●ジャーナリストや新聞関係者のブログなども読んでいる。新聞労連の「改廃に反対する決議」は今回初めて知った。こうした決議や声明、集会報告など、何でもよいので送ってほしい。参考にする。メールでも郵送でも何でも受付ける。


 「新聞特殊指定など大手紙が中心になって決まっていくものだ」などとくすぶっている地方紙の業界関係者は、このような公取委の主張に対してどう感じるでしょうか。昨年は戦後60年の特集記事(検証)をほとんどの新聞社で取り組みました。であるならば、新聞の検証もきちんとされなければならない。これを機に「新聞の売り方、売られ方」について検証し、その責任を受け止め、行動で示す時なのだと思います。

 また、新聞特殊指定を撤廃すべきだと主張している方々も公取委の本質をあまり理解せずに新聞業界が気に入らないがゆえに「特殊指定撤廃ありき」という業界批判の書き込みも結構目立ちます。
 ことの本質はやはり規制緩和。価格の値引きはそこで働く労働者の労働条件の切り下げに直結します。ましてや全国2万865の新聞販売店で働く、43万9,107人(2005年10月現在)の新聞販売店労働者の労働条件(賃金・休日)をこれ以上下げる訳にはいきません。そうでなくとも労働基準法を守れていない販売店も少なくないのですから。
 新聞労働者はカッコつけすぎ。反対意見に対してすべて論破することなど出来るわけもないのですから、指摘されていることについては反省し「正すところは正す」と約束をして、新聞業界の再構築を図っていくべきだと思っているのですが…。


posted by 今だけ委員長 at 19:08 | Comment(13) | TrackBack(2) | 特殊指定

2006年04月07日

言論機関はどこに軸足をおくべきか  新聞は忘れたのか

 社団法人日本新聞協会(以下:新聞協会)は6日、公開シンポジウム「活字文化があぶない!メディアの役割と責任」を東京・内幸町のプレスセンターホールで開きました。
 出席した国会議員や有識者からは、公取委の姿勢に反対する声が相次いだ―とのこと。北村正任会長(毎日新聞社社長)の挨拶では「新聞の戸別配達網は文字活字文化を守るライフライン。これを実質的に担保する特殊指定を撤廃しようとする公取委の姿勢には強く反対する」。その他、有村治子文部科学政務官、鈴木恒夫衆院議員、作家の柳田邦男氏が「特殊指定堅持の立場」から挨拶。パネルディスカッションでも「宅配制がなくなれば、分極化が進む。これは日本に合った社会ではない」、「経済的な規制緩和が文化、自由な情報の流通からはマイナスになる。その可能性について配慮がないのは乱暴ではないか」などの意見でまとまりました。
 さらに国会議員でつくる『活字文化議員連盟』代表幹事の鈴木恒夫衆院議員が「(撤廃は公取委の)告示でできるため、自民党・新聞販売懇話会(会長代行、中川秀直政調会長)は、阻むための新たな議員立法を決定済みだと聞いている」と述べ、特殊指定を維持するための法案を今国会に提出する考えを表明したのです。
 内輪の会合話ならまだしも、その内容を扱い大きく紙面に掲載するのはいかがなものか。両論併記という姿勢はどこにいったのでしょうか。


 新聞特殊指定問題に関連して、業界側(当方もこの業界に身をおく立場ですが)の手法を指摘してきましたが、ここ最近の異常とも言えるやり方に違和感を覚えます。新聞に掲載されることのない公取委の言い分や特殊指定撤廃を唱える意見。その閉鎖的な新聞の報道姿勢に反比例をして、多くのブロガーからの書き込みは「新聞」そのものへの不信感。多くの新聞関係者によるブログも、こと特殊指定問題に関しては炎上を恐れて“触らない”「新聞特殊指定は必要」と書き込めない状態なのでしょう。議論を戦わせられないようなことを推し進めてよいのでしょうか。新聞人という以前に社会人として…。

 人生とんぼ返りサンも主張するように「『言論の自由』の意味って何だっけね」を問わなければ、この先、言論機関としての機能を果たせるのか…疑問を抱かざるを得ません。新聞業界は軸足をどこにおいているか―。
posted by 今だけ委員長 at 12:40 | Comment(2) | TrackBack(0) | 特殊指定

2006年03月28日

小泉総理までが「新聞特殊指定」に言及

 小泉純一郎首相は27日の参院予算委員会で、民主党の平野達男議員が「独占禁止法の議論だけで特殊指定の見直しを先行するのは危険だ」との質問に対して、「新聞が各家に戸別に配達されるサービスが望ましい」と答弁しました。(朝日読売共同
 公正取引委員会が「特殊指定」の見直しを検討していることに関しては「公正取引委員会と新聞業界の意見が違うが、再販制度、特殊指定制度それぞれ議論がある。同一紙同一価格でなければ、戸別配達サービスは維持できないのかどうか。よく協議してほしい」、「今の意見も踏まえてよく協議していくべき問題だ」と述べ、先週の安倍普三官房長官発言に続き、今度は内閣のトップまでが「公取委が検討している新聞特殊指定の見直し」に対して「慎重な姿勢」を表明しました。

 これに対し、公正取引委員会の竹島一彦委員長は「各新聞社が価格戦略として、どこでも(価格が)同じだというのは自由だが、それでなければならないと何らかの法的枠組みで決めるのはまずいのではないか」と反論したそうです。

 特殊指定問題は、3月に入って国会議員や地方議会の動きが活発化し、その論調は新聞協会と同じ「戸別宅配網サービスを阻害する」という問題点の提起のみに終始しています。特殊指定は新聞社、販売店双方の「値引き、割引きの禁止」に加えて、新聞社と販売店との取引関係に派生する「押し紙問題」も含んでいます。確かに撤廃されれば「全国同一価格」を維持する戸別宅配サービス(流通部門)に大きく関わる問題です。
 ただし、値引き競争が果たして起こるのかという問題については、新聞社が自ら掲げる自主規制(新聞公正競争規約)の精神を持ってすれば、「そのような乱売合戦はあり得ない」というのが常識的な考え(公取委の考えもそうだと思います)でしょう。

 しかし、現実に行われている販売実態(新聞社の販売政策)は、無購読者の増加、新聞の定期購読数が減っている中で、パイの奪い合いに翻弄し「何でもあり」の局地的な値引きによる販売攻勢(地方紙を潰す)を大手紙が仕掛けてくることは明白です。だから、地方紙や資本力が弱い販売店、その労働者には特殊指定が必要なのです。「特殊指定は必要ない」という方の意見に「戸別宅配は他の業者(ヤマトや郵政)で行える」というのもありますが、これまで新聞配達に従事してきた方の雇用先が新聞販売店から他の業者に移るだけ。それだけならまだしも現状より低い労働条件を強いられるでしょう。
 「金さえ与えればどんな仕事でもやれるはず」なのでしょうか?人は誰でも1日24時間しかありません。現在、明け方の新聞配達に従事している方の他に同じような配達体制を敷く物流業者が現れるかは大きな疑問です。

 要するに、新聞業界はこの問題を転機に多くの国民から非難を浴びている「新聞の売り方」を正し、新聞の役割、使命を再構築する必要がある―。新聞協会がその問題を棚上げし「戸別宅配サービスの危機」と理論をすり替えていることが問題なのです。
 このまま、権力に擦り寄り、圧力をかざすだけの新聞業界に成り下がってよいのでしょうか。業界が襟を正さなければ、本当の意味で「マスゴミ」になってしまうと感じるのです。
posted by 今だけ委員長 at 13:23 | Comment(8) | TrackBack(1) | 特殊指定

2006年03月24日

新聞特殊指定 規制緩和政策に加えて既存制度と現実のギャップも問題なのです

 新聞の特殊指定問題について、県議会や自民党の各派閥単位でも現行制度の維持を国に求める意見書を採択した―との報道が連日紙面をにぎわせています。昨日は新潟県議会で、そして今日にも北海道議会で同様の発議がされ、議会採択となる見通しです。いま入ってきたトピックスでは内閣の安倍普三官房長官も「新聞業界を守るということではなくて、国民の知る権利をきっちり守っていく。東京にいようが過疎地、離島にいようが、どういうことが世の中で行われ、それに対してどういう批判、論評があるか知ることのできる社会を維持するのは当然だ」と表明しています。


 さらに、自民党の各派閥(二階グループ・丹羽、古賀派・河野グループ)も、新聞の特殊指定制度の存続を求める決議書を公正取引委員会に提出するなど、ここに来て政治家連合の動きも活発になってきました。

 新聞業界と政治家の深いつながりを指摘する「声」は少なくありません。「読者の新聞離れ」も新聞が社会的な問題を取材し、紙面で読者に提起することによって世の中の関心を引き、社会的な運動を巻き起こす―という「読者との一体感」が薄れてきた結果だと感じます。さまざまな情報を編集して、正確な情報を発信することと併せて読者と共に住みよい社会を目指していく… 新聞ってそんな役割を担っている―と思っています。「声」を無視してきた新聞の方が、読者から離れていったのでしょう。

 このブログにも「愚行な拡販を繰り返す全国紙」への批判とは反対に、地方紙に対しては好意的なご意見も頂戴しています。新聞社もボランティア団体ではないので、営利を求めないと取材活動も縮小せざるを得ないのですが、発行部数拡張のためにルールを無視した販売行為は改めなければならない。「既存の制度と現実のギャップ」を抱えたままでは、公取委も判断に苦慮するのだと思います。全国紙は「新聞の役割とは何か」を社内で議論したうえで、多様な言論を地方でも提供するというスタンスで拡販をするべきです。
 もう自ら新聞の価値を下げるようなことは止めませんか。

posted by 今だけ委員長 at 11:49 | Comment(3) | TrackBack(0) | 特殊指定

2006年03月18日

権力を使うという禁じ手

 おとといは公明党、きのうは民主党が、新聞特殊指定問題について協議、および見直しに反対する懇話会をそれぞれ党内に発足させました。
公明党は「新聞問題議員懇話会」(会長・冬柴鉄三幹事長)。民主党は「新聞と『知る権利』議員懇談会」(発起人代表・山岡賢次副代表)。

 社団法人日本新聞協会や社団法人日本新聞販売協会が、特殊指定を堅持するために政治家へ働きかけたことは明白。独禁法上、特殊指定の改廃は、国会審議とはならず公取委の判断で存続、撤廃を決められる(修正の場合は審議が必要)のですが、各政党が動きを見せたことで公取委も予想外(選択肢にはあったのかも知れませんが)の対応を迫られることは必至です。

 確かに一般市民やそれぞれの業界であれば、議員(立法)に頼ることも、物事を進めていく手段の一つだと思いますが、新聞は違うでしょう…。という違和感が拭えません。
 権力に擦り寄る構図は危険だと感じます。新聞経営者は付かず離れずに政治家を利用しているとでも思っているのでしょうが、逆にメディア側が政党の都合のよい報道を確約させられているとしたら…恐ろしいことです。これは特殊指定云々を言う以前に怖いことだと思っています。

 特殊指定を守る―公取委は「業界の都合のよいことでもよいから具体的に外れた場合にこうなるからとはっきり言って欲しい。新聞協会は何も言ってくれない」と述べています。宅配制度の危機?は、やはり論理のすり替えとしか映らないのです。もっと国民や公取委に対して、現状の改善点を具体的に明示して理解を得ることから着手しなければ、特殊指定撤廃を免れた後にもっと大変な仕打ちが来るように感じるのです。民間企業である新聞社。国民から見放された情報産業は成り立つはずはありません。

 業界構造の問題に着手して、新聞社として胸を張れる対応をこの特殊指定問題で打ち出して欲しいと願っているのですが、最後は“権力の力”という禁じ手を使ってしまう温い業界の体質が、さらに読者の信用を失墜させてしまったのでしょう。

posted by 今だけ委員長 at 18:42 | Comment(2) | TrackBack(3) | 特殊指定

2006年03月02日

新聞の特殊指定 存置のためには内部の問題を正すべき

 毎日新聞が「特殊指定見直し 国民の利益につながらない」という社説を3月2日付朝刊に掲載しました。これで全国3紙(朝日・毎日・読売)が、新聞の特殊指定に対する態度を表明したことになります。
 それぞれの社説を見比べてもほとんどが同じ主張で、「特殊指定」と「戸別宅配網」を強引に結び付けています。
 もし、特殊指定が外されても発行本社が再販制度を販売店に守らせれば混乱は起きないのでしょうが、現在行なわれている発行本社によるノルマ的な目標部数の設定や、その目標を達成させるために過剰な経費を使った新聞販売行為の実情を見れば、紙面の競争ではなく“値引き・割引き・過剰な景品”を使った販売競争が繰り広げられる―とは、誰もが感じていることです。そうなれば「戸別宅配網」を維持する販売店が縮小していくのは歴然ですが、新聞社が「戸別宅配網」の危機を訴えるのであれば、その前に新聞社の販売政策を見直す必要性があると思います。

 多くの国民は新聞を特殊指定商品として残すことの可否を問題視しているのではなく、ジャーナリズムという新聞の本質的な役割・機能に対する疑念、記者の倫理の問題、既得権に関連する新たなメディアを排除する記者クラブ問題、多くの反感を買っている販売行為など「新聞が言っていることとやっていること」の格差が不満の根本的問題だと多くのブログなどを拝見して感じるのです。
 新聞社の問題はさておき「戸別宅配網」という二次的な問題でしか、「特殊指定の問題」を主張しない新聞業界。国民からの疑問や反感に対して、明確な改善策を示すことが先決だと思います。

 「公取委は世論に耳を傾け、現行制度を維持すべきだ」との主張に対して、「新聞社も世論に耳を傾け、新聞社の倫理・秩序を乱す販売政策を見直すべきだ」と返答したい。



posted by 今だけ委員長 at 12:36 | Comment(4) | TrackBack(4) | 特殊指定

2006年02月21日

「押し紙」の項目がまるっきり抜けている新聞特殊指定の報道

 新聞の特殊指定問題について、読売新聞(2月20日付)が「新聞の特殊指定『存続』84%」(本社世論調査結果)を1面で報じ、社説と特集記事で「新聞の特殊指定の見直しは、国民の利益に反する」と主張。その翌日の朝日新聞(2月21日付)も歩調を合わせた格好で「新聞宅配制『維持』91%」との世論調査結果を報じました。ともに「販売店による値引きを禁止した特殊指定を公取委が撤廃しようとしている」との解説ですが、調査結果について相当な違・感を覚えます。
 調査における設問が「新聞の定価は全国どこでも一律に保つべきか?」と問えば“はい”と答え、「新聞の宅配制度は続けるべきですか?」と問うても“はい”と答えるのは当然だと思います。今回、その回答を「特殊指定は存続させた方が良い」と結びつけるのは、ずいぶん強引な解釈だと感じます。
 また、紙面では新聞特殊指定に定めている三つの項目のうち、第3項にある「発行本社が販売店に対する押し紙の禁止」について、その説明がまるっきり抜けています。あくまでも特殊指定は「販売店が定価を割り引く行為に結びつく」のであって、「販売店を過剰な競争に巻き込んだ結果、サービス向上どころか、国民、読者の利益を損ねてしまう」としか伝えていません。特殊指定を論じるにあたり、両紙の記事は不完全なものであり、新聞社の都合を優先させた報道であるわけです。
 以前のエントリーでも書きましたが、販売店からすると「購読料の値引き、割引きの禁止」は当然ながら、「押し紙」の規制を何とか残さなければならない。したがって新聞の特殊指定は残されるべきだと思っています。

 昨日、岩手県盛岡市で新聞労連東北地連の主催による「販売正常化委員会総行動」が開催され、もと公取委の伊従寛さんが「新聞の特殊指定の見直しと新聞業を取り巻く現状」と題した講演会がありました。伊従さんは独禁法の概念、新聞特殊指定見直しの原点などを説明、新聞の特殊指定を守るべきだとの立場で「新聞業界がもっと特殊指定を具体的に見直すよう逆提案するべきだ」との考えを示しました。
正常化総行動 特殊指定 004.jpg
 質疑の間に今だけ委員長が「読売新聞が発表した世論調査結果などは、公取委が特殊指定の存廃の判断を下すうえで影響するでしょうか?」と質問したところ“公取委は法律(独禁法)の概念を考えるので、このような数字は意識しない”また“市民が特殊指定の問題を理解しているとは到底思えないので信憑性はない”との返答でした。
 今回の紙面報道では、公取委が特殊指定の存廃を検討する材料にも値しないということですし、多くの読者が違・感を抱くのではないかと懸念しています。
posted by 今だけ委員長 at 17:30 | Comment(7) | TrackBack(5) | 特殊指定

2006年02月19日

新聞特殊指定と販売店労働者の関係

 先日(2月15日)、販売店労働者4人で東京霞ヶ関にある公正取引員会へ「新聞の特殊指定の見直し」の真意、見直しの条項などについて意見を伺うため5項目の申し入れを行い意見を交換してきました。
 昨年11月2日に公取委から“新聞など5分野の特殊指定制度の見直し”が発表されて以来、正確な情報が伝わらず憶測や推測の情報(特に業界紙による)が横行して、新聞販売店に働く労働者の不安が広がっていることから、今回の申し入れを行いました。
 このブログでも特殊指定の問題について触れてきましたが、米国主導による規制緩和政策がこの種の“見直しや廃止”の根底にあります。でも今回は新聞社の販売行為に対する批判を受けて、販売店からの視点でこの特殊指定の問題を考えてみたいと思います。

【公取委とのやり取りの要旨】
○特殊指定の見直しについての考え方は?
 特殊指定は民間(新聞社や販売店)の契約等を制限しているものではなく、公取委内にある規制であるから、制定から時間も経っており、近年適応事例もないことから現在、見直しを検討している。
○値引き販売等によって乱売が加速するのでは?
 不公正な取引があれば一般指定の範囲でやり得る。新聞業界の自主規制「新聞公正競争規約」を実践していれば何も問題はないのではないか。特殊指定がなくても定価販売は再販で担保されている。新聞社と販売店の現状の関係考えても販売店が勝手に不当廉売をするとは考えられない。
 再販は新聞社の権利であり、販売店が値引き販売をした場合に違反として公取委が取り締まるようなことはない。定価販売をしない販売店を黙認した新聞社の問題。民と民との取引を制限するものではない。
 新聞特殊指定の第2項のみを検討するというようなことは公取委は言ったことがない。新聞各紙(業界紙)の報道に違和感がある。特に業界紙は勝手に特殊指定の問題を大げさに取り上げて、あたかも第2項についてというような展開をしているが、新聞の特殊指定3項目すべてについて検討している。
○販売店への押し紙問題について
 「押し紙」の問題は発行本社の優越的地位の乱用に当たるので、販売店からの申し立てがあれば当然受ける。公取委審査局情報受付窓口に申告して欲しい。匿名でも相談を受ければ「このような証拠を集めてください」などの指示はする。ただし、調査をする段階で販売店名が公になる可能性はある。裁判をしても勝てないというが、証拠が不十分だからだろう。

 約1時間の議論での印象は、なぜ公取委が「新聞の特殊指定見直し」の発表(昨年11月2日)をした際に新聞各紙(特に業界紙)は「第2項」をクローズアップしたのか?紙面で「押し紙の禁止条項」を掲載しづらかったのか…。なぜか業界自体で「値引き販売」を煽っているように感じられました。また、「押し紙」問題で「販売店が裁判を起こしては負ける」と実情を話したところ、「一般指定」で申し立てをした方が販売店も押し紙問題を改善できるのではないかーなど不公正な取引は特殊指定ではなくとも、一般指定で十分対応できるというものでした。

 新聞の特殊指定問題については、違法な販売行為(全国紙)を行っている新聞社を規制によって保護(独禁法の特殊な商品として)する必要はないという意見が少なくありません。しかし、販売店の労働者からすれば死活問題なのです。
 問題になっている違法な販売行為は、その多くが発行本社の指示によるものです。拡張員と呼ばれるセールスチームも発行本社が販売店に受け入れの指示をしているのです。また、ビール券や商品券の類も発行本社が販売店へ斡旋しています。販売店に送られてくる必要以上(その販売店と購読契約をしている読者以上の)の押し紙の受け入れも販売店は断れない。断れば本社の指示を聞かないということで改廃させられてしまうのです。2000年10月には新聞業界の自主規制ルールが書き換えられ、それまでの「押し紙、積み紙、抱き紙」の罰則規定が外され、「予約紙」の項目だけになり、新聞業界には「押し紙」は存在しないことになっています。すべてが発行本社の都合の良いように仕組まれているのです。
 新聞社は読者の信頼を得られる紙面の質で競争をするべきだし、販売店は毎日正確に配達をし、新聞公正競争規約のルールに基づいた営業行為を実践すべきなのですが、全国紙による愚行が問題なのです。
 新聞の再販制度は、新聞社の権利(販売店に定価販売やテリトリーを守らせる)なのですが、特殊指定はいわば販売店と発行本社の不公正な取引関係に歯止めを掛けてきました。「押し紙」を禁止する第3項などは、まさしく零細な個人販売店には必要不可欠なものです。その特殊指定が見直されれば、多くの販売店が経営難に陥ることは必至なのです。

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2005年12月24日

具体的な行動が伴わなければ国民の理解は得られない

 今月14日に社団法人日本新聞協会の会長に就任した北村正任氏(毎日新聞社社長)。業界紙はもちろんのこと、地方紙にも共同通信社のインタビュー記事が掲載されている。
見出しは「メディアの信頼取り戻す」が多い。北村氏のスローガンなのだろうが、誰に向かって発しているのか疑問だ。国民に対してなのか、業界内に対してなのか。いづれにしても口先だけのポーズとしか受け取れまい。

 インタビューの中で、特殊指定に関するQ&Aがあった。
−割り引き販売などを禁止した新聞業の「特殊指定」について、公正取引委員会が見直しを検討しているが?
「もちろん反対だ。普通の商品と同じように競争原理を導入すれば、強い者だけが残り、多様性が失われる。多様な報道が共存する状況を守らなければならない」と答えている。

 このような答弁では、公取委が主張する「見直しの理由」を取り下げさせることが出来るわけがない。新聞業界に突きつけられた問題点はもっと多岐にわたっている。だからこそ具体的な問題点を挙げて、国民から理解を得られるような行動を早急に講じるべきだ。

 口先ばかりで具体的な行動が伴わなければ、新聞業界への信頼はますます低下してしまう。だから新聞経営者には具体策を求めたい。

 先週の15日に新聞労連が「新聞の特殊指定」改廃に反対する声明を発表した。新聞協会の声明と比較すると「販売問題の改善」など現行の問題点の是正に着手する必要性を掲げ「国民の目線」に立った表明だと感じる。あとはそれをどう具体的に取り組んでいくか、いや新聞経営者にどう取り組ませるかだ。
posted by 今だけ委員長 at 02:35 | Comment(0) | TrackBack(0) | 特殊指定

2005年11月12日

新聞の特殊指定見直し問題【続々報】

 ライブドアのパブリックジャーナリストの小田 光康氏が、「新聞の再販制度と特殊指定はホントウに必要か?」と題し、PJニュースを発信した。
 小田氏は自由価格競争の世の中で、なぜ新聞だけに限って定価販売が必要なのだろうかーという視点から@新聞業界全体の経営・財務状況についての説明がないA新聞価格の自由競争を促すことが宅配制度の崩壊と直結する理由の明確化B多くの国民が毎日、決まった時間に、同じ価格で、届けられることを望んでいるのか―という3点について、疑問を呈している。そもそも情報伝達メディアとしての紙媒体の役割はとっくに終わっていると主張する小田氏の主張に販売店労働者として反論してみたい。

@新聞業界全体の経営・財務状況についての説明がない
 新聞社の経営は深く存じないが、販売店の財務状況は分かりやすい。収入は購読料収入(発行本社との委託販売契約なので増紙目標を達成すると補助金、報奨金がある)と折込収入のみ。一方、支出は新聞原価(購読料の約7割は新聞社に支払う)と人件費。その他配達(ガソリン)に掛かる経費や読者への挨拶物品等の経費も掛かる。ただし、小田氏が指摘する洗剤等の類は新聞社が大量買いをして販売店に安価で斡旋するため経費的な負担は少ない。
 家族的な経営をしている販売店も全体の約3割以上で、株式会社登録をしている販売店はごく少数。そのような販売会社も新聞社が資本を加えており、実質的な経営は新聞社が行っている。言いたいことは新聞の販売店の多くは零細な経営をしているということだ。
 小田氏の認識からすると「零細な弱者は競争自体から去れ」と言いたいのかもしれないが、特殊指定や再販制度が無くなれば新聞販売店は間違いなく潰れる。競争社会だからと言って販売店に勤める人間の生活を無視すると言う考えであれば理解できない。
 
A新聞価格の自由競争を促すことが宅配制度の崩壊と直結する理由の明確化
 新聞社と販売店はそれぞれ独立した経営に形上は成り立っているが、契約内容の実態を知っている方は少ない。現状は直接売買契約を結んで特殊指定の網をかけられているのではなく、その多くが販売委託契約になっている。また、新聞社が販売店へ卸す新聞原価も異なっているのだ。
 だから同じ新聞を取り扱う販売店同士が被さらないように新聞社がテリトリーを設定している。小田氏の指摘する「販売店間の実質的な競争」とは薬局やスーパーなどで見られる同一商品の価格競争を指しているのだろうが、新聞は宅配料まで含んだ料金設定になっており店頭販売のような流通コストの削減を最大限に活かすために効率の良いテリトリーを設けている。
 「非価格競争」に値する景品類を使用した拡販競争は、景品表示法に定める購読料の6カ月分の8%の上限枠を超えた読者勧誘が行われているのではないかという指摘には、弁明の余地はない。ただし、地方紙というよりは巨大資本を有する大手紙2社がその実態であり、読者の信用をなくしていると考える。また、販売店はそのような「新聞社の販売政策」を受け入れざるを得ない状況がある(委託販売契約が故)。拡張団と呼ばれる質の悪い勧誘員の直接雇用は新聞社であり、新聞社の販売局が部数引き上げのためにそれぞれの販売店で営業行為をさせているのが実態だ。ただし、新聞を読まない世帯が増える昨今、一人でも多くの方に新聞を購読してもらいたいと営業活動をするのは当然のことであり、販売店同士も無購読者に対しては「紙面の内容を理解してもらった上で定期購読をしてもらう」よう試読紙(毎月10日から20日の間に7回を上限に無料で配達)などを活用しそれぞれ拡販競争を行っている。
 日米の新聞価格の比較については、米国は売店での一部売りがほとんどであり新聞価格の自由競争で宅配制度も共存しているとは思えない。現在、新聞を郵政公社に配達してもらうと月極め購読料で3,007円が4,747円。第3種郵便扱いで安価に設定されていてもこの価格になる。いかに配達経費にコストが掛かるかという事を理解してもらいたい。現在の新聞販売店従業員、配達アルバイトの賃金を熟知した上で高いと言われるのならばその根拠を伺いたいが、深夜労働に従事する業態と比較をしても高くはない労働条件になっている。

B多くの国民が毎日、決まった時間に、同じ価格で、届けられることを望んでいるのか
 この疑問については、新聞を読む人と読まない人との価値観の違いだと考える。国内の人口比率を見ても団塊世代以上のウエイトは約4割弱とすれば、60歳以上の多くは新聞の定期購読者であり、新聞を決まった時間に、同じ価格で、届けられることを望んでいることに間違いない。小田氏が主張する「テレビの一般化やネットによる情報発信で紙媒体の役割はとっくに終わった」ということは、新聞業界も現状の問題を改善して行かなければ指摘の通りに進むかもしれない。だが、実際に新聞販売店で労働をしてみると分かるが、ライブドアよりもヤフーよりも生まれ育ってから目にしている新聞への信頼は高いし、地域密着型の新聞販売店と読者とのパイプは深いものだ。

 小田氏の主張に対して個人的な意見(同文をライブドア小田氏宛に送り返答を待っている)を述べたが、特殊指定や再販制度は新聞社よりも販売店への影響が大きいということである。新聞社への不満をぶっける矛先は、特殊指定や再販制度を変えることが目的ではなくもっと別な問題に起因する点を改めさせるべきではないだろうか―と思っている。
 小田氏の指摘する「新聞社の談合体質」や「財務状況の明確化、説明責任」、「紙面の質の問題」には賛同できる点もある。新聞社がさまざまな分野から敵視されることは当然。マスコミの中でも一番重要な責任を負っており、記者クラブ問題なども含めた既得権を有しているからだ。だから、きちんと襟を正さなければならない。小田氏の質問に対して新聞労働者や新聞経営者はどのような答弁をするだろうか。
  
posted by 今だけ委員長 at 17:30 | Comment(5) | TrackBack(1) | 特殊指定

2005年11月10日

新聞の特殊指定見直し問題【続報】

11月2日に公正取引委員会が打ち出した「特殊指定」の見直しの件は、新聞販売労働者にとって今後大きな問題になることが予想される。公取委は長期購読者や集金作業の軽減になる自動振替、一括支払いなどの読者に対して、値引き等のサービスは商習慣上一般的である―としているが、本当の狙いは上限を超える景品の提供以上に蔓延する「無代紙」を合法化させることだと思われる。値引きといっても毎月の購読料に格差をつけて回収することは実質的に不可能に近い。そうであれば1年間で11カ月分の購読料を回収し、1カ月分を値引きに相当する無代紙をあてがうというのが、事実上の「長期固定読者への値引き」のからくりだ。

公取委からすると販売店に対する「押し紙」の活用もでき一石二鳥とでも言いたいのだろうが、販売店の収入は大幅に減ることは間違いない。また、残紙率の低い地方紙の販売店では経営自体成り立たない状況に陥り、新聞の戸別配達網は崩壊する。

今回の公取委の動きに対して、毎日新聞以外の全国紙の動きが全く見えないことも問題だ。販売の正常化、発行本社と販売店の取引関係の正常化が一向に進まない状況下で、全国紙(朝日・読売)対地方紙の生き残りをかけた熾烈な戦いが始まろうとしている。読者無視の業界内のゴタゴタ劇が相変わらず繰り広げられようとしているのだ。こんなカニバリを続けていていられる新聞業界は、やっぱりオモシロイとしか言いようがない。
posted by 今だけ委員長 at 18:07 | Comment(0) | TrackBack(0) | 特殊指定

2005年11月03日

いよいよ特殊指定問題も本格議論に入る!

11月2日、公取委の上杉事務総長の定例記者会見のなかで、特殊指定の見直しについて記者会見が開かれました。それによると、独占禁止法の特殊指定対象業種のすべてにおいて廃止も含めて見直しをすると言うこと。これは現行特殊指定を認めないということではなく、特殊指定でなくても独禁法の一般指定で足りるのではないか、現行特殊指定の内容が時代に合っていないのではないか、それによって過剰な規制になっているのではないか、と言う考えのようです。見直しについては、当該の業界も含めて有識者の意見を広く聴いて進めるとしています。見直しの日程は名言はしていませんが、公取りの人事異動の6月末をめどに形にしていきたいということで、それまでの期間に順次見直しを進めていくということです。

 新聞の特殊指定については、具体的に第2項 販売店による差別対価の禁止を見直すと明言しています。また、一応再販の見直しについては考えていないとの答弁をしていますが、これから本格的な議論になるであろう消費税率の引き上げなどを機に再燃する可能性は十分にあります。
 新聞協会も声明文を出しましたが、このような主張を読者が納得するとは到底思えません。これだけ新聞の販売問題が取り立たされているのに「知らぬふり」は続けられないと思うし、もっと業界内にある問題を直視すべきです。

 販売労働者側の視点(読者との一般商取引の現状)からすると、唯一大きな景気の影響(広告のような)も受けず、新聞を読んでくれる読者から得る『購読料収入』が大きく揺らぐことになる。いまの商取引上(新聞勧誘)でも景品という形(一部は無代紙)で、一部の読者にだけ金銭的サービスを付けているという現状は誰しもが知っていること。さらに「読者はオマケを付けなければ読まない」と思っているのは新聞社の勝手な思い込みだと思うんです。こんな部数獲得競争をやっていられるのは、特殊指定や再販に守られているからなんです。その法規制が無くなろうとしているんだから、否が応でもダンピング競争になっていくことは必至です。宅配網への経費も(配達スタッフへの賃金)もこれ以上は下げられないし、郵政公社が新聞を配る日も近いのではないだろうか…と危惧してしまいます。
posted by 今だけ委員長 at 01:57 | Comment(0) | TrackBack(1) | 特殊指定

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