2008年04月11日

「もし、新聞がなくなったら」新聞をヨム日公開シンポ(其の一)

ニュースを通じて社会の価値観がつくられる


 4月6日(新聞をヨム日)に東京都一ツ橋記念講堂で行われた公開シンポジウム「もし、新聞がなくなったら〜混迷時代の座標軸」(主催:財団法人日本新聞協会)のパネルディスカッションのレポートを掲載します。約2時間の討論をまとめるのに慣れないテープ起こしで作業がなかなか進みませんが、ディスカッションでの発言内容をできるだけ詳しくアップしていこうと思っています。

 あらためてパネラーのご紹介
 コーディネーター:橋場義之
氏(上智大学文学部新聞学科教授)
 パネリスト:川邊健太郎
氏(ヤフー株式会社シニアプロデューサー)
        最相葉月
氏(ノンフィクションライター)
        坂東眞理子
氏(昭和女子大学学長)
        粕谷卓志
氏(朝日新聞社編集担当兼ゼネラルマネジャー兼東京本社編集局長)

橋場義之)最初のプログラムで瀬戸内さんの「源氏物語」の講演と、このシンポジウムの「もし、新聞がなくなったら」というテーマをどうからめるのかと思っていましたら、さすが随所に新聞というメディアへのつながりというものも盛り込まれてありました。私が説明しようと思っていたことも瀬戸内さんは触れられていて、「物語」ということをとっても新聞に書いてある記事もいわゆるその日一日に起きたことの物語であります。小説との違いは嘘がないということ。その物語を共有する、皆さんが知ることで物事の考え方や感性がつくられてくるんだと思います。ニュースを通じて私たちの社会の価値観などがつくられていると思っています。
 そろそろ本題に入りますが、先ほど新聞協会の会長さんからもお話がありましたように、いま新聞業界は厳しい状況にあります。数年前ですが「新聞は生き残れるか」という衝撃的な本が出版されました。新聞業界にいる人は非常に危機感をもって臨んでいるし、いろんな事を考えながら日々新聞をつくっているわけです。
 このシンポジウムではタイトルにある「もし、新聞がなくなったら」という非常にきつい言葉ではありますけれども、大きく三つのテーマで考えていきたいと思います。ひとつは読者、特に若い人ですが新聞を読まなくなっており、それがいろんな意味で大きな問題なのですが、新聞社の経営的にも問題であるわけで、それはなぜなのかということ。二つ目はそういう新聞離れの理由の一つとしてインターネットというメディアが爆発的に普及してきているわけですが、そういった時代の中で新聞はどうしていかなければならないのかということ。そして三つ目がグローバリゼーションと申しますか、世界全体が激変していく中で、その中の座標軸となりえるもの、新聞がそういったものになりえるのか、そのために新聞の役割とは何かという流れで議論を進めさせていただきたいと思います。

4.6東京 009.jpg

 まずはじめに読者が減っているということですが、基礎的なデータをご紹介した上でパネリストの方から話を伺いたいと思います。新聞の部数は確かに少なくなっています。新聞協会の調べでは日本の新聞のピークというのは今から10年前の1997年で、大雑把に言いますと5,376万部というのが最高で年々減ってきて昨年は5,200万部ということです。10年間で減った率というのは3.2%です。3.2%という数字をどのように見るかということは難しいのですけれども、アメリカに比べるとそれほどひどい状況じゃない。例えばアメリカでは去年の4月から9月まで日刊紙の平均がわずか半年で4.5%も減ってしまた。アメリカは非常にドラスティックに変化しています。日本もアメリカの比ではありませんが、10年間で減っているということには間違いない。同時に皆さんが新聞を手にするケースはいろいろあると思いますが、定期購読をしない人たちが増えています。1999年で7.5%、昨年は13%。
 新聞の読み方については内閣府が調査しておりまして、全く新聞を読まないという人(10歳から29歳)が6年前には22.3%だったのが昨年は27.7%に増えている。面白いのは30分以上読むという人が8.7%から16%に増えている。極端に分かれているのかなという感じがします。
 こういうことを踏まえた上で、新聞の読者離れといいますか、なぜ新聞が読まれなくなったのかを討論していこうと思います。実は今日のパネリスト4名の方がいらっしゃってますが、偶然なのか主催者側がそう選んだのか分かりませんが、30代から40、50、60代までの年代別にいらっしゃるわけですので、ご自身の新聞との付き合い方、(新聞離れという)この状況をどのように見ているのかをお話しいただきたいと思います。粕谷さんは新聞社の代表なので最後にとっておいて、はじめにお三方から話を伺いましょう。

川邊健太郎)新聞の購読の文化みたいなものですよね。まず明確にあるのは、私は33歳なのですがネット出現以前と以降を分けると1995年にインターネットが日本では爆発したのですけれども、それ以前に私は大学生だったわけで、私ぐらいの年齢だと新聞は読んでますね。
 家が朝日新聞を読んでいたものですからずっと朝日を読んでいて、大学の時にビジネスを起業したものですから仕事をしたからには日経でも読んでみるかという感じでしたね。新聞を読む文化は私の世代は持っています。ただし、95年にネットが登場して以降の方々は、衝撃的ですけれども今の中学校1〜2年生の方に情報の授業をするとネットからの情報の話しかしないんですよ。生まれた時からネットがあったという方々ですから、その人たちからすると先ほどの数字を見ても新聞読まない人が増えているのかなぁという感じがしています。
最相葉月)私は職業柄、全国紙は全部読んでいます。毎朝、朝日・読売、日経・毎日・産経・日刊スポーツを読んでいて、購読にかかる時間はだいたい1時間半くらい。朝ごはんを食べながら読んでますので、私にとっては新聞は必需品です。
 編集者の仕事も新聞を読む人種が集まっているわけですが、このところ若い編集者の方や別な業種の若い方に会うと「新聞に書いてあったでしょ」と言っても「新聞読んでいません」と言われて、これが現実なんだと思います。
 私自信が新聞を読むきっかけになったのは、父親が高校生まで新聞配達で学校に通わせてくれました。毎朝2時に起きて3時には朝刊が届きますから販売店に行って折込チラシを入れて配達して…7時頃には帰ってくるという環境の中で育ちましたので、新聞は私をここまで大きくしてくれたという思い入れがあります。それがいま危機的状況を迎えているということで心配であります。

(続く)



posted by 今だけ委員長 at 00:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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