2008年02月10日

天下り人事も最後まで残る既得権なのだ

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親会社の天下り人事が子会社をダメにする

著者 柴田昌治・佐伯弘文(日本経済新聞出版社)1,260円

 以前、著者の柴田氏の講演を聴いてから「なぜ会社は変われないか」「なぜ社員はやる気をなくしているのか」などの著書を読んで、現代の企業が抱える問題はやはり「人材を育てる職場環境崩壊」と「受け継がれる既得権」だということを代弁してくれた柴田氏と「会社はムダの塊だっ!」の著者の佐伯弘文氏の共著。
 
 先月出版されたばかりのこの本は、親会社の人事でラインから外れた社員を日本らしい?妙な温情で子会社へ天下りをさせる企業風土の根本的な問題を指摘しています。対談方式で各省庁や公務員の天下りなどを例に挙げながら「受け継がれる既得権」を変えられない温床や日本の産業が元気にならない理由、大手企業の子会社の多くが「誰も責任を取らず赤字のまま放置」されている状況についても厳しく言及しています。
 このような本を読むと自分が務める会社やその状況を生んでいる業界構造にピッタリあてはまっているのも悲しいのですが…。でもそれにめげずに改革をしていかなければなりませんね。

 どこの企業にも組織を蝕む一握りのシロアリ集団はいるものです。自分のことしか考えず親会社から天下ってくる役員にゴマスリすることしかできない無能な人間が、組織の中枢にあてがわれてしまうととんでもない「経営計画」が作られたりするものです。親会社から天下る役員と子会社の「大胆な改革をされては既得権を失う」と内情を隠してゴマスリに走る人間(シロアリ)を見分けられないお手盛り人事。このような事態を放置してしまうと企業は没落していくのでしょう。特に新聞業界は会社法(日刊新聞法)に守られ株式も公開されていないので、モノ言う株主もいませんから…

 新聞産業もご多分にもれず、企業の売り上げが伸び悩んでくると営業部門が委縮し、総務や人事系部門(非生産部門)が重箱の隅をつつくように経費削減や賃金や人事制度の見直し(査定・評価制度を強化せよなどと)に躍起になってくるものです。

  日経.bmp
 日経ビジネス(2008年1月21日号)の特集「世界人材争奪戦」では、世界から取り残される日本企業を浮き彫りにしています。グラフにある人材の活用の評価指標(米IBM調査)では、日本企業が財務情報以外の指標を活用できていないことを指摘しています。「従業員一人当たりの…」という方程式にあてはめることでしか、さまざまな管理ができない企業体質になっているのでしょう。
 人材の評価を目先の数値でしか見ようとしない日本版人事評価制度は崩壊し、結果的に人材をつぶすことになっていると言われてています。「日本企業にはもともと人を大事にしたり、従弟制度的に人を育てたりする文化があった。それが長引く不況で薄れ、財務主導で数字が先にくるようになってしまった」(IBMビジネスコンサルティングサービス・三巻由希子氏)


 新聞販売業界も決められたエリアの中で企業活動をしているわけです。顧客から信頼を得ることが最も大切なのは言うまでもありません。「新聞が読まれない」その対策を講じるにも人材育成が新聞産業の急務なのです。

posted by 今だけ委員長 at 01:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍紹介
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