新聞の定期購読者層が高齢化していることは周知の通りで、「小さい文字が読みづらい」という声をよく伺います。昨年、毎日新聞が「J文字」を導入し、それまで1行11文字を10文字に減らして文字の拡大を図りました。「読者からは好評だ。部数も伸びている」というコメントをどこかの業界紙で読んだことがありましたが、部数は…のくだりは首を傾げてしまいます。起死回生を狙った毎日も今回のような段数を変えるという発想はなかったのでしょう。段数を変えるとすると新しいシステム費用がかさみ、共通の広告サイズではなくなると受注が困難なうえ、記事スペースも減る(調整広告をなくせば確保できますが)などのデメリットがあったわけです。
それを今回は読売の主導で12段編成を主流にしようとしているわけです。読売は現在も14段制を敷いているので文字拡大をさせるとなると、1行10文字では逆に読みづらいので13文字に増やし、その分段数を減らすという手法をとったのでしょう。そして読売一社だけでは広告サイズの手直しなど大変だからANY(朝日・日経・読売の三社連合)で新たな業界基準を作りましょうとなったわけです。 日経は当面15段制を維持する(2年前に新システムを開発したばかり)とのことですが、通常でも40頁体制ですからさらに頁数を増やすことは困難(日経は48頁刷りが可能)。朝日、読売は(広告が現行のボリュームを維持できたとして)もう少し頁数に余裕があるのでしょう。しかし、この結末はどうなる事やら…。文字の拡大(読みやすい紙面提供)→増ページ(記事量を減らさない)→値上げ(用紙代の負担増)という思惑があるように感じています。
いまの時代、販売攻勢をかけても増紙ができる状況ではなくなった。どこの新聞社も値上げにも踏み切れず我慢の経営が10年以上続き、この春には新聞用紙代の値上げ(いま製紙業界を叩いているのもそのためか?)も控えていると聞きます。いっそのことタブロイド版へと新聞のカタチを変えるくらい斬新的なアイディアはなかったのかなぁとも思いますが、やはり値上げで経営をしのぐという旧来の手法を選ぶのかどうか。新年度からの動きが気になるところです。
以下に読売グループ本社、内山社長が新聞協会加盟数社に段数変更への同調を呼びかけた内容を引用します。
・12段制の概略(文化通信より抜粋)「12段制のご検討のお願い」新聞の文字を拡大するつもりです。しかし、現行15段制のままでは拡大に限界があるので、12段制に組みかえて実施しようと思っています。
高齢化時代を迎え、新聞の文字をもう少し拡大したいと準備していたところ、毎日新聞が拡大に踏み切りました。しかし、現行の紙面15段制(読売は14段制)では拡大に限界があります。
毎日のように現行段数のままでは、1行10文字が限界のように思えます。このため、朝日新聞社、日本経済新聞社とともに、編成改革、つまり現行15段制にこだわらない新紙面を研究してまいりました。
その結果、12段制にすることによって、文字を拡大しても読みにくくならない紙面づくりが可能という結論になりました。日経は現行15段制で様子見とのことですが、朝日、読売は4月以降に、12段制に踏み切る方針を固めています。12段制の利点は文字を拡大しても、1行の文字数が減って読みにくくならない点ですが、制作面によっては広告段数との関係で、半端組が出るという問題点もあります。しかし、広告全体でいえば各社によって突き出し広告の寸法がわずかではあるが異なる部分を、いずれは統一できるという広告代理店にとっての利点もあります。
また、広告主からみると、新聞各社が12段制に踏み切った場合、半端部分を拡大でき、読者の目をもっと引き付ける段広告の掲載が可能にもなります。
当面は文字拡大の利点をお汲み取りいただき、12段制のご健闘を願えれば幸いです。同時期の実施を求めているわけではありません。
読売新聞社グループ本社代表取締役社長 内山 斉
朝日、読売が4月以降に実施するという大文字化・新段数の概要は@文字サイズは縦6.5%拡大、横は変更なしA記事段数12段制とすると広告サイズが現行のままだと端数処理が必要B新文字1段の行数は75行(毎日は73行)C1行13文字詰め(毎日は10文字詰め)
広告段数がそのままだと、記事下5段広告と10段広告だけが12段組みの4段、8段サイズと一致し、それ以外の段数の記事下広告は端数が生じる。
他にも、新聞、マスコミ系の便利データ等もるいネットには在りますから、活用していただければ。と思います。↓↓
http://www.rui.jp/new/chumoku/benri_1.html