
新聞がなくなる日
著者 歌川 令三(草思社)1,470円
今月の15日に出版されたばかりの新刊。久しぶりに現実味のある新聞業界関連書。
新聞の個別宅配が2030年に無くなると断言する著者。ネットの普及によって世界が変わっていく中で、日本の大新聞社経営陣はその対策を何も講じようともしていない。いや何も講じられない。
これまでの「20世紀型モデル」の経営は@部数増加と戸別宅配網の確立A月極め購読料の徴収で販売合戦が激化。拡張のためにオマケ付販売や増ページを展開B輪転機の導入Cカラー印刷などの設備投資D新聞紙面広告の拡大(電通の誕生)E新聞社の文化的事業の参入―。
韓国のネットジャーナリズムの現状についても紹介されている。韓国の状況を見ればこれからの日本の新聞がどうなって行くのかが垣間見れる。オーマイニュースについても触れている。新聞人の「読み」の甘さを鋭く指摘!若年層の新聞離れのスピードや新聞とネットとの閲覧時間の逆転現象などを挙げながら、新聞があと25年後には姿を消すと結論付けている。
自分もこの業界に身をおいているが、働いていながらも著者の捉え方、予想には同感させられる。信じたくはないが、おそらくこの書籍に書いてあることが現実のものになるだろう。著者の予測よりもっと早い時期に…。