
渡邉恒雄回顧録
著者 伊藤 隆・御厨 貴・飯尾 潤(中央公論新社)2,300円
本書は「中央公論」1998年11月〜1999年6月までに連載された「渡邉恒雄 政治記者一代記」と1999年8月号に連載された「我が実践的ジャーナリズム論」をまとめたもの。
ナベツネの半生が記してある。日本共産党入党と除名に至るまでの話。東京大学哲学科での心境などは当時の学生とそう大差は無い。しかし、新聞記者への道を志し始める頃から、政治との密接な関係が芽生えてくる。田中角栄、中曽根康弘らとの関係・・・。ナベツネのジャーナリズム論は報道面での客観報道と社説などに関する問題は「はっきり」と新聞社の姿勢を主張するべきだと述べている。
読売新聞が10年前に社説で取り上げた「改憲論」は、1979年にナベツネが論説委員になってから自立国家にふさわしい憲法に変えるべきだ−との一貫した主張そのものが読売新聞の大勢になったことなどは、新聞記者のエゴを通り越して独裁者としか言いようが無い。
ナベツネは政治評論家、プロ野球団オーナー、新聞人、世界一の発行部数を誇る新聞社の経営者という顔を併せ持っている。読売新聞の主筆までも・・・。読売新聞社におけるナベツネ時代はいつ終焉を迎えるのか。