大手いや世界一の広告代理店「電通」がインターネット上で全国紙から地方紙まで102紙に新聞広告が出稿できる「新聞ADGOGO」のサービスを15日からスタート。
新聞広告を使ったことがない企業でも、「店舗での販促」「商品訴求」「アクセス増加」「ブランド訴求」など目的に合わせて手軽に新聞広告を注文できる仕組みだとか…。広告の掲載申し込みから広告原稿データの作成までネット上で作業を完結できるとあっては、「枠の買い切り」で新聞広告をある意味で支えてきた広告会社は厳しい状況に…。
先日、植田正也氏(早稲田大学ビジネススクール講師)の講演(2010年のマーケティングコミュニケーションのあり方)を聞く機会があったのですが、植田氏は「2010年には現在の80%の広告会社が消える(現在3180社から636社へ減少)と語っていましたが、メディアのイノベーションによって広告会社は「広告代理業」から「問題解決業」へと転換を迫られているということなのでしょう。
敷居を低くすることで減少傾向にある新聞広告の売り上げ増につながるかどうか。猫手企画さんのエントリーでは「『なぜ新聞に広告を出すのか』という必然性と、媒体の費用対効果に対する説明責任が求められる事になりそうです。だって、必ず次にくるのは費用対効果の一番見える『NETADGOGO』でしょう?それを打開するためには、いままで以上に新聞広告のクリエイティブを高める事、顧客との密度を上げる事が急務」と指摘されています。
いまこそアドボカシーマーケティングの展開が求められていると感じます。
もう一つは、電子チラシサイトの話し。凸版印刷が2001年からスタートした電子チラシ(新聞折り込みチラシをPDFファイル化してネット上で閲覧できるサービス)のポータルサイト「Shufoo!」に各店舗が登録したお得情報を音声で読み上げるサービス「シュフーoh!トーク」が昨年11月から始まるなど、あれやこれやの技術を駆使して新聞折り込みチラシのクライアント獲得(電子化)が盛んになっています。
チラシ内容を読んでくれるなんてナント親切なのでしょう。日本人らしいというか…視覚と聴覚に訴える広告効果を期待しているのでしょうけれど。
リクルートも今月21日から生活応援WEBサイト「タウンマーケット」という電子チラシサービスを開始するようです。
電子チラシやクーポン情報に加え、カタログやネットスーパーの配信機能を備えた商品で、電子チラシの配信もユーザーのネット利用ピークに合わせた配信開始時刻を「前日21時」か「当日3時」を選択可能とし、ユーザー登録すると希望のチラシが新たに配信されると「新着お知らせメール」でお知らせする機能も盛り込まれているそうです。またチラシの画面上からECサイトへリンクを張れたり、画面上に赤ペンでしるしをつける「ペン機能」も装備。
新聞に折り込まれて宅配される前(売出日前に)にそのチラシが見られる?というのは、何か引っかかりもありますが、これもイノベーションによって(チラシという)モノがネット上のデータとして扱われる潮流なのでしょう。
このような動きに対して新聞販売店の受け止め方はどうか?
いままで新聞に折り込まれていたからという理由で食卓まで確実に届くという効果があったチラシは、ゴミと化す無差別ポスティングのチラシとは一種違った存在でした。それは新聞折込広告取扱基準をクリアした「安心できるチラシ広告」を1軒1軒の顧客の手元へ届けるというサービスでもあったわけです。しかし、新聞購読率の低下とネット利用率の上昇という環境の変化に多くの販売店は将来的な対策を講じるどころか、現実さえ直視しようともしていません。
販売店の業務提携・統合はますます拍車がかかり、物流部門への参入が必要不可欠だと感じています。