民主党の小沢一郎氏が党代表を辞任というニュース。
11月2日に開かれた福田首相との党首会談でぶちあげられた自民党との連立政権に向けた政策協議を民主党役員会で否定されたことを受け「連立政権の樹立を巡り政治的混乱が生じた。私が選任した党役員から不信任を受けたに等しく、けじめをつける」と理由を説明しました。
また、この会見の後段では中傷的な(マスコミ)報道に対する抗議も声高に表明されました。政治家のような公人はマスコミからの批判的な報道にさらされるのも役割のひとつなのでしょうが、今回の抗議はチョット別な角度で受け取れました。
(アサヒコムから引用)
中傷報道に厳重に抗議する意味において、考えを申し上げる。福田総理との党首会談に関する報道について、報道機関としての報道、論評、批判の域を大きく逸脱しており、強い憤りをもって厳重に抗議したい。特に11月3、4両日の報道は、まったく事実に反するものが目立つ。
私の方から党首会談を呼びかけたとか、私が自民、民主両党の連立を持ちかけたとか、今回の連立構想について、小沢首謀説なるものが社会の公器を自称する新聞、テレビで公然と報道されている。いずれもまったくの事実無根。党首会談、および会談に至るまでの経緯、内容について、私自身も、そして私の秘書も、どの報道機関からも取材を受けたことはなく、取材の申し入れもない。
それにもかかわらず事実無根の報道がはんらんしていることは、朝日新聞、日経新聞を除き、ほとんどの報道機関が、自民党の情報を垂れ流し、自らその世論操作の一翼を担っているとしか考えられない。それによって、私を政治的に抹殺し、民主党のイメージを決定的にダウンさせることを意図した明白な中傷であり、強い憤りを感じる。
このようなマスメディアのあり方は、明らかに報道機関の役割を逸脱しており、民主主義の危機であると思う。報道機関が政府与党の宣伝機関と化したときの恐ろしさは、亡国の戦争に突き進んだ昭和前半の歴史を見れば明らかだ。
また、自己の権力維持のため、報道機関に対し、私や民主党に対する中傷の情報を流し続けている人たちは、良心に恥じるところがないか、自分自身に問うてもらいたい。
報道機関には、冷静で公正な報道に戻られるよう切望する。
小沢氏が言い放った「民主主義の危機」、「自民党の情報を垂れ流し、報道機関が政府与党の宣伝機関と化した」とは。
自宅で新聞は3紙とっているのですが、朝日と日経の報道はどこが違っていたのか…読み比べができなかったのでネットでちょっと調べてみました。
朝日社説 「連立」打診―甘い誘惑にはご用心 2007年11月3日
毎日社説 大連立提案 民主党が拒否したのは当然だ 2007年11月3日
産経主張 党首会談 大連立の前に政策協調を 2007年11月3日
読売社説 党首会談 政策実現へ「大連立」に踏み出せ 2007年11月3日
日経社説 ねじれ国会揺さぶる首相の連立提案 2007年11月3日
特に際立ったのは読売新聞のこの記事
「民主党内、絶対まとめる」大連立は小沢氏が持ちかけ
この記事が小沢氏が言う「事実無根の報道がはんらんしている」ということになるのでしょうか。
業界のドン ナベツネさんですか…。
新聞業界でも10月1日に朝日、日経、読売による業務提携「ANY戦略」を打ち立てたから、政界も大連立を組めということ?
さらに、きょう放送の「時事放談(175回)」(TBS系ですが宮城では放送していません)に中曽根康弘元首相と読売グループの渡辺恒雄氏が出演して自民、民主の連立に言及しています。
小沢氏が言う「自己の権力維持のため、報道機関に対し、私や民主党に対する中傷の情報を流し続けている人たち」とは誰を指しているのかが何となく見えてきました。
2ちゃんねるでは大賑わい…
【政治】大連立協議の裏に読売の「ナベツネ」氏 混乱に拍車
【政治】「朝日新聞と日経新聞除いて中傷報道を行った」 小沢氏、会見でマスコミの報道姿勢を批判
などのスレッドが立ち、根強い朝日批判論者と読売(ナベツネ)の情報操作への批判などで盛り上がっているようですが、行き着く先はやはりマスゴミ批判へと…。
辞任会見の伝え方も比べてみるとオモシロイものです。辞任の理由だけを伝える新聞社と(マスコミへの)中傷報道への抗議も含めた会見全体を伝えた新聞社と…。
小沢氏が事実無根の報道をしていない?と述べた朝日新聞は全文掲載でしたが、その他は小沢氏が言い放った「中傷報道への抗議」には触る程度でした。
朝日 小沢氏「混乱にけじめ」 「報道に憤り」とも 会見全文
毎日 小沢代表辞意:安保政策転換、政策協議開始に値する
産経 小沢氏、党代表辞任を表明 「中傷報道に強い憤り」
読売 民主党の小沢代表、辞職願提出「党内混乱の責任取る」
日経 民主・小沢代表が辞意表明・連立巡り混乱、けじめ
今回の騒動を見ていると「政局を動かすため」に政治家向けに紙面をつくっているような感じがします。まだ政局を動かせる力が新聞にあると信じてやまない妖怪たちは読者のことなんて二の次なのだなぁと思ってしまいますね。
「社説」なんてもういらない。そんなことを考えさせられました。