一昨日あたりから、今だけ委員長のところにも「(この件に関して)何か情報はありませんか?」という地方紙販売局員や販売店関係者から問い合わせが数件ありました。
週刊文春の記事内容はともかく、ひと月前からこのような話が販売関係者の間では飛びかっていたのは事実。しかし、実現させるとしても相当な時間と労力がかかるだろうと見られていましたが、今回は朝日、読売ともやる気のようです。私のところにも「大阪市西成区(朝・読ともに販売会社が扱うエリア)で合配がスタートするらしい」、「北海道やら全国あちこちで動きがあるようだ」という情報も寄せられています。
週刊文春の記事中に「今年春から3社の首脳陣の間で練られていた」とありますが、歴史をひも解くと8年前からその布石があったと感じています。マスコミ界の専門紙「文化通信」(2003年10月13日付)に当時の読売新聞東京本社社長だった内山斉氏へのインタビュー記事にこんな一節がありました。(以下から引用)
(内山氏)――今から四年ほど前になりますか、北海道で。当時、朝日は高橋(湛)さんが販売局長、岩田(吉夫)さんが販売担当でしたね。当社は板垣(保雄)販売局長。それからいま西部本社社長の池田孜北海道支社長。そこで私が、たまたま販売担当だったものですから、まず北海道でお互い全く採算がとれないところで販売店の相互乗り入れをしませんかという話をして、やりましょうということになった。(引用終わり)
函館の五稜郭の近くの読売の店を一つ潰して、約300部を朝日に預けた。これは非常に良い結果を生んでいます。朝日のお店の読者管理が非常によくて、部数も減らないし、ある意味で敬服するくらいのしっかりした経営、読者管理をしていただいている。そこで今度は読売に朝日のどこかを預けてくれと、交換条件だからね。それが、朝日は支社長も販売部長も変わったりして、それこそ文書で交わしたわけでもないから、なかなか進まない。編集局長から常務販売担当になられた秋山耿太郎さんにその話をしたわけです。朝日は一体どうなっているのか、読売だけが約束を守って、その先、進まないじゃないかと。
何も一度に10カ所も20カ所と言っているのではなく、まず双方1つか2つぐらいずつ実験的にやってみて、うまくいけば、それを徐々に全国的に広げたら正常化にもつながるし、各社の経営の安定にもつながるんじゃないかと。その時「わかりました」と秋山さんはおっしゃって、北海道で1カ所、朝日の紙を読売に預けていただけるという話がまとまりました。
(週刊文春記事中にある)「内山、秋山両社長は是が非でも実現させるつもりです」と業界関係者が寄せたコメントもこのような経過を踏まえればうなずけます。
「連合体は何も地方紙だけではない」と言わんばかりに(まだ未発表ですが)インターネットの共同プロジェクト「ANY」(朝日=A、日経=N、読売=Y)や地上戦での販売店統合もやろうということなのでしょう。ですが、販売店の統合とは「廃合」も当然伴うわけです。販売店労働者の切り捨てが今後大きな問題になることが予想されます。10月15日から開催される新聞大会の前後には正式発表があるようなので、注視したいと思います。
個人的には近い将来に起こりえるだろうと思っていたので、あまり右往左往せずに読者とのパイプをより太くしていく仕事を続けていくしかないと思っています。これで少しは販売改革に本気で取り組む新聞経営者が増えればと願っているのですが…