2007年08月28日

相次ぐ凶悪事件「人を育てようとしない」のが問題だ!

 この数日、新聞販売店の従業員による惨忍な事件が起こっています。

朝日新聞拡張員:男3人を死体遺棄容疑で逮捕 名古屋の女性拉致殺害事件8/26
毎日新聞配達員:自首の新聞配達員逮捕 茨城の暴行死 相席頼み方気に入らず8/27

 このような不届き者の犯罪によって、新聞販売店のイメージがより悪い方向へ流れていくことはとても残念です。販売店従業員の労務管理の問題は2つあります。ひとつは販売店主のモラルの問題。労務管理などの知識というか教育を受けていない販売店主が安価な労働力にばかり頼ってしまうこと。新聞奨学生が採用条件と違った労働を強いられるのはこのような店主の問題があります。もうひとつは販売店と発行本社の取引関係に起因するのですが、押し紙などの存在で経営が不安定かつ脆弱であること。ゆえに優秀な人材を確保できない状況にあるということです。
 購読料値上げのときは「配達従業員の労働条件をあげるためにご理解を!」と社告に書き連ねるのですが、根本的な労務問題は「それは販売店の問題」として手付かずのままなのです。
 200411月に起こった奈良県幼女誘拐殺人事件で毎日新聞配達員が逮捕された際、新聞社販売局が採用基準やネームプレートの着用など労務管理の徹底に乗り出したはずなのですが、実際には浸透していないようですね。

 新聞販売店は労働条件が劣悪であるから「このような人たち」しか就労しない―という指摘もあるようですが、総じてそんなことはありません。真面目にやっていらっしゃる方がほとんどですから。

 以前、「人材確保が難しい販売店の雇用事情」という記事をアップした際にある販売店を経営されている方からこんなコメントが寄せられました。 
「新聞屋さんはたいへんだね、休みなしで・・・」という声に甘えて、それが当然のように捉え従業員は休みなしで経営者はもっぱら社長業に専念して高級外車にゴルフ三昧。労務改善はそっちのけのこんな経営者を多く見てきました。これは今でも多くいます。そんな利益があるなら従業員を一人でも増やして労務改善したら・・・といいたくなります。

「人を育てられない」環境があるのでなく
「人を育てようとしない」のが真実だと思います。

労務改善するには不当な販売行為を止めて健全な経営が出来る事が条件であり、まずは労務条件を整備して、部数競争はその次だとも思います。これは企業としての最低の責務ではないでしょうか。

 
 部数競争による過剰な経費が、全国に43万人いる販売店従業員への諸条件を向上させられない重石になっているのです。新聞社の方には単なる事件として報道するのではなく、なぜこのような問題が起きてしまうのかを考えていただきたいと思います。
posted by 今だけ委員長 at 07:39 | Comment(7) | TrackBack(0) | 時事ニュース
この記事へのコメント
 昨日のTBSラジオ「アクセス」でも
これらの問題が取り上げられていました。
茨城の事件に関しては新聞業界内の給与の格差について
田中康夫氏が言及していましたよ。
Posted by 徳川家康 at 2007年08月28日 19:30
まったくもって情けないですね。
多くの方は誠実に一生懸命されています。そのような活動一切が無になる行為です。
先日も防犯に関連した研修会で講師をしてきました。その会で「新聞販売店は平素の職務活動そのものが防犯活動にもなっているんですよ」なんて偉そうな事言ってきましたが、恥かしい限りです。
連続して起きる業界人の非人道的な行為。この業界が繁栄から淘汰の時代になりつつある状況の中で増幅しなければいいが・・・と心配するのは私だけでしょうか。
Posted by とある販売所長 at 2007年08月29日 18:06
徳川家康サマ!コメントありがとうございます。

>茨城の事件に関しては新聞業界内の給与の格差について田中康夫氏が言及していましたよ。

新聞社と販売店の労働条件格差の議論は、もう少し内情を検証されてから発言をされた方がよいと思います。そのような評論家が言いたいことは、新聞社の給与が高すぎる―というマスコミバッシングに近いものなのだろうと思います。

感情的には販売店労働者の低い賃金を何とかしたい…というのはわかりますが、販売店の中でも店主だけが優雅な暮らしをしているところもあるんじゃないでしょうか。無駄な押し紙を買わされているから利益は少ないけれども、店主次第によってはキチンと賃金配分をされているところもあるのですべてを決めつけない方が良いと思います。感情的にはわかりますが…

Posted by 今だけ委員長 at 2007年08月30日 01:04
とある販売所長サマ!コメントありがとうございます。

とある販売所長サンから以前に頂戴したコメントを引用させていただきましたが「人を育てようとしない」状況に変わりはなく、とても憂いています。

高知新聞では販売店が民生委員と協力をして、独居老人宅の見回りなどを展開したり、「こども110番」などはほとんどの販売店が登録して地域の防犯活動にも一役買っている・・・まじめに頑張っている方の信頼を一気に崩されたような気がしています。

都市圏では(販売店の)労働力不足が起きており、またぞろ質の悪い労働力に頼らざるを得ない状況になっていくという懸念もあります。やはり志ある店主がレベルをあげていかないことには改善されません。販売店の格差は「部数獲得」だけではなく「労務管理」の面でも広がっていると思います。
Posted by 今だけ委員長 at 2007年08月30日 01:20
昨日と今日と 捜査筋 報道 スイレン ホームページ 社会 対立が絶えないユダヤ教 どんぐり その結果 が失敗
Posted by 提案 at 2007年08月30日 12:22
自分は都市圏のとあるお店で主任をしていますが、労務管理はやはり頭の痛い問題です。
今回の記事や記事に関するコメントはかなり参考になりました。ありがとうございます。

こちらの記事にはあまり関係ないかもしれませんが、ちょっと気になるサイトを見かけたので書いておきます。かなりゴシップ的ではありますが・・・。http://www.mynewsjapan.com/kobetsu.jsp?sn=742
Posted by eddy at 2007年09月03日 11:57
eddyサマ! コメントありがとうございます。

返事を書くのが遅れてしまいスミマセン。東京在住中にいくつかの販売店さんにお邪魔して、いろいろなお話をさせていただきました。読者の新聞離れの深刻な問題から労務難の問題まで…

今までのやり方では駄目だということはハッキリしているのですが、なかなか体質を変えることは難しいですね。今後ともよろしくお願いします。
Posted by 今だけ委員長 at 2007年09月06日 09:58
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