内容はその方が朝日新聞を購読していて、契約期間を確認しようと販売店へ出向いたそうです。そこで見せられた読者台帳に思わず絶句をしたと言うのです。「自分の名前の脇に『1年縛り』と手書きで書いてあったのには驚いた。顧客のことを“縛る”って侮辱以外の何者でもない」と怒り心頭のご様子。
連載をしていた「しんぶん販売考第4話」にも“縛り”という表記をした手前、キチンと釈明しなければと思いその方の誤解を解くよう説明をして返信しました。
お客様を“縛る”などの用語の使用は社会的にも不適切であると認めたうえで、@“縛り”とは一般的に契約期間のことを指すA新聞業には古い業界用語も残っており、先輩方から口伝えで使われている販売店もあるが書面でそのような表記はしていないB新聞協会や日販協に対して「不適切な業界用語の廃止」について、折に触れて申し述べたいと思う―という主旨をお伝えしました。
その方から再びメールを頂戴したのですが、“縛り”について、朝日新聞社にも問い合わせをされていたようで、朝日側の回答とその方の感想も頂戴しました。
ご回答いただき、有難うございます。>つきましては「不適切な業界用語の廃止」について、新
>聞協会もしくは全国の販売店組織の社団法人日本新聞販
>売協会に対し、折に触れて申し述べたいと思います。
よろしくお願いします。
本日、朝日新聞社から回答がありました。「ご不快に思われる方がいらっしゃるとの事実を踏まえ、貴重なご意見として今後の参考にさせていただきます。」だそうです。ということは、
(1)「縛り」という用語は、朝日新聞社で使われているんですね。
(2)改善しようという気は、朝日新聞社にはない。
(3)人権侵害の意図はない用語とのことでした。しかし、例えば、上司が組合員に残業2時間を命じて、「今日は、あなた、2時間の縛りだ」といった場合、今の世の中で許される表現でしょうか?新聞の「縛り」とほぼ同じ意味ですよね。
(4)今回の件で、新聞社とは「言論の自由」と叫びながら、自己抑制がなく、かなり傲慢で、危険な組織であるとの印象を持ちました。
何気なく使ってしまっている業界用語ですが、時として顧客(読者)や取材対象者を傷つける場合もあります。例えばお亡くなりになった方の顔写真を「ガンクビ」と言ったり…
軍隊ことばが多い新聞業界ですが「先輩方が使っていたから」と流されるのではなく、不適切な発言を追及し報じていく新聞なのですから、誤解を招く業界用語は使わないようにすべきです。