きょう、千代田区平河町の海運ビルで開催された「独占禁止法制定60周年記念シンポジウム」(主催は公正取引委員会と財団法人公正取引協会)に参加してきました。
独占禁止法の歴史イコール公正取引委員会の歴史でもあるのですが、今回は再任が決まった竹島委員長のあいさつを聞きたくてお邪魔しましたのですが、今回のシンポジウム開催にあたって、公取委のご案内は
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法)は,昭和22年に制定,施行されてから,今年で60年を迎えますが,この60年は,独占禁止法の施行機関である公正取引委員会が担ってきた我が国競争政策の歴史でもあります。
この独占禁止法制定から60年を迎えるこの機会を捉えて,制定後60年間の競争政策の展開を最近の動きも踏まえて,違反行為に対する法執行,企業活力,規制改革,消費者との関係及び国際的側面の各視点から振り返りつつ,公正かつ自由な競争を確保する上での今後の課題について議論を行うために…
と日本の競争政策の歴史を全面的にうたった内容になっています。
竹島委員長のあいさつ(要約)
・公正取引委員会の委員長はこれまで16人。そのうち5年間もやらせていただきラッキーな委員長だと思っている。
・公取委に来る前は独占禁止法や競争原理とは無縁だったが、常に頭に入れていたことは@公取委は吠えない犬だといわれていたから、せめて吠えるようにしたいA若い頃、経済学を学び「競争なくして成長なし」「競争なくして進歩なし」と思ってやってきた。
・全体として弱肉強食の競争政策は、国民の利益にならないという議論は間違っていると思う。
・平成17年も具体的に独禁法の改正に取り組み、大きな成果を挙げてきたと思っている。
・これから推し進めていくことは@独禁法の抑止力(執行力)の強化A国際的視野で競争政策であり、積極的に取り組んでいく。
・内閣府の独占禁止法基本問題懇談会から報告書をいただいた。その内容をもとに来年の通常国会(2008年9月)に提案できるよう考えをまとめたい。そのため、年内には大筋の内諾を得なければならず、いろいろ議論がでると思う。
・(個人的に)競争政策の考え方は、消費者利益、経済効率性に役立つのであれば、独禁法違反でもよいのではないかという気持ちもある。「不当」とは何ぞや。「優越的地位の乱用」とはどういうことなのか。議論をして運用して行きたいと思う。
・公取委の役割として「何をやってもよい」というようなやり方は認めない。取引のプロセスがおかしければペナルティを課す。具体例を段階的に処理するために不公正な取引関係を正していく。
・日本でも「政・官・行・司」一体となって、国際競争力を高めるための議論をしていきたいと思う。
約20分、とても勢いのある挨拶でした。
その後、甲南大学法科大学院教授の根岸哲氏が「独占禁止法60年―過去・現在・未来―」と題した基調講演。パネルディスカッションでは「競争政策の更なる発展に向けて」をテーマに大塚眞弘氏(日立製作所法務本部部長)、川村明氏(弁護士)、岸井大太郎氏(法政大教授)、田村次朗氏(慶應大教授)、角田真理子氏(明治大准教授)、上杉秋則(公取委顧問・一橋大教授)が討論。
シンポ終了後、消費者の利益というよりは、米国が推し進める「新自由主義」のにおいを感じました。「独占禁止法基本問題懇談会報告書」をじっくり読み返すと公取委の次なる動きが見えてきます。