今回は新聞業界の動きを「年表」にまとめた続々編として、2016年1月から2018年3月までの記録をアップ(ブログ再開ではなく一部公開)します。個人的な備忘録として新聞界の中でも「販売・流通・デジタル戦略」を軸にまとめたものです。
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2016年
1・1 報知新聞社は1日付紙面から、一部の面を除き15段から12段に移行した。基本文字も拡大した
1・7 特定商取引法の見直しをめぐり、消費者委員会が首相に報告書を答申した。新聞協会が反対してきた訪問販売、電話勧誘販売の規制強化は見送られた
2・15 スマートフォン・タブレット端末向けのニュースアプリ「スマートニュース」に、地方紙11紙のチャンネルが開設された。地方への移住支援や産業創出など各地で取り組みが進む中、地方の魅力や政治経済などに関心を持つ利用者にニュースを届ける
2・21 中国新聞社は、生活トラブルや住まいの悩みを解決するサービスを提供する「ちゅーピーくらしサポート」の申し込みの受け付けを始めた。新聞販売所が申し込み書類などを届け、読者との接点を増やし、経営基盤の強化を狙う。年会費5千円(税別)でサービスを無料または特別価格で利用できる。3月24日からサービスを始める
2・23 電通は「2015年日本の広告費」を発表した。新聞広告費は前年比6.2%減の5679億円だった。部数の減少、14年に見られた消費増税前の駆け込み需要や衆院選による増加からの反動などで、年間を通して前年を下回って推移した。総広告費は4年連続で増加し、0.3%増の6兆1710億円だった
2・29 北海道新聞社の子会社・道新総合印刷と函館新聞社は、緊急時の印刷支援協定を締結した。災害や印刷機器故障などで函館新聞社の委託先で印刷できず申し入れがあった場合、道新総合印刷函館工場(北斗市)で代行印刷する
3・1 朝日新聞社は、山梨県で発行する夕刊を31日付で終了すると発表した。夕刊廃止は佐賀、大分に次いで3県目
3・1 毎日、産経、スポーツニッポンの各社は、近畿の一部や北陸地区で配達するスポニチ約4万部を産経に22日から印刷委託することで合意したと発表した。従来、毎日傘下の高速オフセットで印刷していた
3・11 岩手日報、河北新報、福島民報の各社は、東日本大震災被災地の現状を伝える8ページカラーの特別紙面を合同で発行した。花植えなどを通じて被災地の笑顔を発信する事業「スマイルとうほくプロジェクト」の一環
3・20 朝日新聞社は、東奥日報印刷センター(青森市)での委託印刷を始めた。これまで印刷していた弘前工場(青森県弘前市)は操業を終えた。同工場で印刷していた陸奥新報は、青森高速オフセット(同市)で印刷する
3・22 全国紙などが参入しているLINE(ライン)のニュース配信事業に、新たに地方17紙が加わった。参入するのは東京、北海道、東奥、河北、秋田魁、福島民報、福島民友、下野、神奈川、静岡、福井、京都、山陽、愛媛、西日本、佐賀、沖タイ
3・24 毎日新聞社は、山梨県内の夕刊の通常配達を31日で終了すると発表した。希望者には夕刊を翌日の朝刊とともに配達する
4・1 室蘭民報、宮古毎日の両社は、月決めと1部売りの購読料を改定した。河北新報社は1部売りを改定し、夕刊と月決めは据え置いた
4・1 茨城新聞社は、紙面の題字を新たにした。また、1ページ15段から12段に移行し、基本文字も拡大した
4・12 国税庁は、来年4月の消費税増税時に導入する軽減税率に関するQ&A を公表した。週2回以上発行で定期購読される新聞であれば、スポーツ紙や業界紙も対象となることが示された
5・23 熊本日日新聞社は、熊本地震発生から2週間を記録した写真集を発売した。4月14日、16日の地震の被害を捉えた同紙掲載の写真や号外収録した
6・1 朝日新聞社と宮崎日日新聞社は、自然災害などで新聞発行が極めて困難になる非常時、印刷を代行する相互援助協定を結んだ
6・2 秋田魁新報社は、若者をはじめ多くの人に新聞に親しんでもらうため、秋田市中通のエリアなかいち商業棟1階に「さきがけNews Cafe(ニュースカフェ)を開設した。隣県の東奥、岩手日報、山形の各紙も店内で読める。約600点にのぼる紙面のほか、報道写真も展示する
7・1 室蘭民報が同市のふるさと納税の返戻品に加わった。1万円以上寄付した市外在住者に朝夕刊1カ月分が郵送で届く
7・28 中日新聞社と北國新聞社は中日北陸本社で印刷する新聞の一部について、印刷を北國に委託すると発表した。来秋開始を目指す
8・1 新潟日報社が、11月1日にタブロイド紙「Otona+(おとなプラス)」を創刊すると発表した
9・1 北日本新聞社は、朝刊の訃報を掲載前日に配信する有料サービス「おくやみメール」を開始した
9・1 沖縄タイムス社は、タブレット端末の通信料をセットにした電子版の新聞購読料金を設定した。2年契約が条件で、タブレット端末は無償で提供する
9・13 西日本新聞社は、全紙面をインターネットで閲覧できる有料電子版を10月に創刊すると発表した。朝夕刊の最終版と、九州7県の地域版が閲覧できる
9・15 日本経済新聞社と河北新報社は、新聞社が蓄積したデータベースの企業活動への活用策を考えるセミナーを仙台市で開催した
10・1 西日本新聞社は、紙面イメージをパソコンやスマートフォン、タブレットなどから閲覧できる「西日本新聞電子版」を開始した。月額3千円、新聞購読者は千円で利用できる(いずれも税込)
10・24 神戸新聞社は兵庫県姫路市内に県内3カ所目となる印刷工場を建設すると発表した。来年秋に着工し、2019年春に稼働予定
11・18 消費税率10%への引き上げ時期を当初予定の2017年4月から19年10月に延期する税制改正法が参院本会議で可決、成立した。新聞と一部の飲食料品を対象とする軽減税率の導入もともに延期した
11・29 デーリー東北新聞社は全国の地方紙を読みながら軽食を味わえる「しんぶんカフェ」をオープンした
12・1 毎日新聞社は購入型クラウドファンディングサイト「MOTTAINAIもっと」を開設した
12・1 産経新聞社は有料電子サービス「産経電子版」を始めた。月額1800円(税別)で地域版などを含めた紙面イメージを閲覧できる。無料で紙面イメージを配信してきた産経新聞iPhone版は終了し、速報を中心とした無料アプリ「産経プラス」を公開した
12・10 朝日新聞社は社員に規定を超える長時間労働をさせたとして、中央労働基準監督署から是正勧告を受けたと朝刊で明らかにした。管理職が部下の勤務記録を無断で短く書き換えていたことも公表し、再発防止のため管理職の研修を実施した
12・16 山形新聞社は創刊140周年を記念して、山形銀行(山形市)などと連携し、1月から購入型クラウドファンディングを始めると発表した
2017年
1・19 新聞公正取引協議委員会(中央協)は、新聞購読者に対する景品類提供の申し出の実態調査結果を発表した。公正競争規約が定める景品類の上限額を超える可能性がある「2千円超」の提供は、定期購読者では前年から3.1ポイント圧縮し。3.6%だった。「5千円超」では定期、新規購読者とも減少した
1・24 折り込み広告が消費者契約法の規制対象となる「勧誘」にあたるかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷は勧誘にあたる場合があるとの初判断を示した。「広告のような不特定多数への働き掛けであっても、消費者の意思形成に直接影響を与えることもある」と述べた
1・25 日本経済新聞社は人工知能(AI)が作成した決算記事の配信を始めた。企業の決算資料の要点を自動で文章化し、日経電子版と日経テレコンに掲載する
2・1 中日新聞社の浜松都田工場(浜松市)が朝刊印刷から全面稼働した。東海本社と名古屋本社管内の一部地域の本紙朝夕刊、中日スポーツを印刷。省力化のため刷版の着脱を自動化するTプレーターを日本で初採用した
2・14 文部科学省は小中学校の学習指導要領改訂案を公表した。全教科の指導方針を示す総則に、情報を活用する力を高めるために新聞を含む多様な資料を生かす方針が盛り込まれた。国語や社会などの学習材に新聞を用いるよう明記した
2・23 朝日新聞社は、北海道内で発行する朝刊約7万部の印刷を北海道新聞社に委託すると発表した。印刷は2018年3月に開始予定
2・23 電通は2016年の日本の広告費を発表した。新聞は前年比4.4%減の5431億円、総広告費は1.9%減の6兆2880億円。インターネット広告費の構成比は20.8%となり、初めて2割を超えた
3・1 静岡新聞社は4月1日から月決め購読料を80円引き上げ、税込み2980円に改定すると社告した。月決め購読料改定は1997年以来20年ぶり
3・1 常陽新聞社(茨城県つくば市)は3月末での休刊を発表した。部数が伸びず経営が悪化し、事業継続を断念した
3・15 読売新聞グループ本社は、福島県いわき市局の男性記者が楢葉町長の談話をねつ造したとしてお詫び記事を掲載した「重大な記者倫理違反と認識している」として時期の談話部分を削除した
4・1 山陽新聞社は、勤務終了から次の勤務時間まで11時間空ける「勤務間インターバル制」を試験的に始めた。長時間労働の是正やワークライフバランスの向上により、入社志望者の増加にも結びつける狙い
4・1 朝日新聞社は国内外のスポーツ記録と海外のスポーツ記事の配信契約先を時事通信社から共同通信社に切り替えた。3月末で時事との契約が満了した
4・10 神戸新聞社は夕刊から文字を拡大し、1ページ12段制に移行した。文字拡大は2013年9月以来
4・17 新聞協会など4団体は、学校図書館への新聞配備などを求める冊子を共同で発行した。地方議会議員や国会議員、自治体首長らに送り、第5次「学校図書館図書整備等5カ年計画」に基づく地方財政措置を使い、新聞や図書の配備などの充実を訴える
5・29 新聞協会は、改正個人情報保護法の全面施行に当たり声明を発表した。個人情報の定義を広げ、事業者に厳格な取り扱いを課す法改正が匿名社会の深刻化を招くと指摘した。その上で、今後も国民の知る権利に応えるため「報道機関が法規制の適用除外であることを国民に理解してもらうよう努める」と表明した。同日、日本民間放送連盟も高橋雄一報道委員長名で声明を出した
6・12 ジャパンタイムズを傘下に置くプラスチック製品メーカーのニフコ(神奈川県横須賀市)は、ジャパンタイの全発行済み株式をPR会社ニューズ・ツー・ユーHD(千代田区)に売却すると発表した
6・21 新聞協会は白石興二郎会長(読売)を再任した。3期目で任期は2年。また、川嶋明専務理事を再任、パワーハラスメント問題で辞任した國府一郎事務局長の後任に、西野文章氏を任命した
7・6 日本経済新聞社はビジネスや経済情報を共有するソーシャルメディア「COMEMO(コメモ)」を開設した
7・7 総務省は2016年「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」結果を公表した。利用する文字ニュースにヤフーなどのポータルサイトを挙げた人が6割を超え、初めて新聞を上回った
7・14 新聞5社と販売所代表で作る徳島県新聞訪問販売委員会は、対策を講じるべき課題に不招請勧誘を挙げた徳島県の消費者基本計画の改定案への意見書を県に提出した。健全な事業者が影響を被らないように慎重な検討を求めた
8・1 日刊スポーツグループの日刊スポーツ印刷社は、神戸新聞社木場製作センター(江東区)の一角に搬入した輪転機1セットを稼働させた。2日付から日刊スポーツの印刷を始めた
8・1 河北仙販(仙台市)は登録型高齢者見守りサービス「仙販あんしんサポート」を開始した。仙台市と協定する高齢者見守りサービスに加え、登録した独居老人世帯を定期的に訪問。面談した様子を指定連絡者へメールで送るサービス。河北新報の購読者であればサービスは無料。
8・1 岩手日日新聞社は、有料電子版サービス「momotto(モモット)」を開設した。本紙併読の場合、月額利用料324円、電子版のみは2400円(ともに消費税込み)
8・7 中国新聞社は読者組織・ちゅーピーくらぶの会員を対象にした墓参り代行事業の受付を始めた
8・9 岐阜新聞社は、10月2日付けから夕刊を朝刊に統合すると社告した。共働き家庭の増加やメディアの多様化で夕刊の読者数が減り、一定の役割を終えたとした。夕刊は9月30日付で休刊する
9・15 新聞協会販売委員会は消費者契約法の見直しに関する意見書を消費者庁に提出した。同庁の専門調査会が示した規定案のうち、契約取り消しを認める勧誘行為の類型に不安をあおる告知などに追加することについて、正当な勧誘行為が規制されかねないとして対象を明確にするよう求めた
10・1 秋田魁新聞社は電子版の新料金を設けた。閲覧できる記事数の上限に応じ1日10本までは月額540円(税込み)、30本までは月額972円とした。1日1本までは無料。
10・13 西日本新聞社は宮崎、鹿児島両県での本紙と西日本スポーツの発行を2018年3月31日付で休刊すると発表した
10・20 新聞訪問販売委員会の京浜、神奈川両支部と神奈川新聞社は、県消費生活条例の改正骨子案への意見書をそれぞれ県に提出した。張り紙などで勧誘拒絶の意思を示す世帯への訪問を禁じる案について、正当な営業活動が阻害される可能性があるとして慎重な検討を求めた
10・27 山梨日日新聞などを扱う韮崎新聞販売センター(山梨県韮崎市)が、同市韮崎滑空場でドローンによる新聞配達の実験を行った。山間部の配達を想定し2、3年後の実用化を目指す
11・1 岩手日報社は月決め購読料を3400円(税込み)に改定し、本体価格を310円引き上げた。1部売りも10円値上げし、140円(同)とした。新聞製作費や輸送費の上昇などを理由に挙げた。同社によると本体価格の改定は1994年以来24年ぶり
11・20 産経デジタルは利用者の問い掛けに音声で答えるNTTドコモのアプリ「おしゃべり」向けにニュース提供を始めた。長さは4分程度、正午と午後6時に更新する
12・2 新聞52社と共同通信社は06年12月の開設以降初めてウェブサイト「47NEWS」を刷新した。共同の編集局にニュース扱いを判断するキュレーターを置く
12・4 朝日新聞社はスマートフォンに動画で情報を届けるプッシュ通知機能に関する特許を取得したと発表。20年の東京五輪・パラリンピックに向けたスマホ市場の拡大を見込み、開発した
12・5 東京スポーツ新聞社は、北海道での販売を29日付で終了すると発表した。現地印刷の費用が当初の想定よりかさんだとした
12・14 公正取引員会は、西日本新聞社が消費増税後も取引先への支払い総額を据え置いたのは買いたたきに当たるとして、消費税転嫁対策法に基づき未払い分約6千万円の支払いを勧告した。同法違反で新聞社に勧告が出たのは初めて
12・22 在京6社の販売部長は東京都の消費生活基本計画素案への意見書を都に提出した。勧誘を拒否する意思を明確に伝えた高齢者に「意思を尊重した営業活動を事業者に促す」との記述を盛り込んだことについて、健全な営業活動を阻害しないよう要望した
2018年
1・1 日本経済新聞社は沖縄県での夕刊発行をやめて全日版(統合版)に移行した
1・16 日本製紙は新聞用紙や段ボール原紙を手掛ける子会社の北上製紙(岩手県一関市)が7月末で事業から撤退すると発表した。中国での需要増により古紙価格が高騰した影響などで4期続けて営業赤字となり、事業継続は難しいと判断した
1・18 新聞公正取引協議委員会は、新規契約時や更新時の景品提供の申し出に関する実態調査結果を発表した。新規契約の勧誘を受けた人のうち、公正競争規約の上限額を超える可能性がある2千円超の提供申し出があったと答えたのは13.7%で、前年比で1.6ポイント縮小した
1・31 朝日新聞社は北海道新聞社の印刷子会社・道新総合印刷の帯広工場(北海道音更町)に道東地域向け朝刊印刷を委託した。08年から委託していた十勝毎日新聞社との契約は1月末で満了した
2・1 宇部日報社は月決め購読料を1890円(税込み、以下同)から2160円に、1部売り価格を80円から90円に改定した
2・6 北陸地方を中心とした記録的な大雪の影響で、福井新聞社は援助協定に基づき、7日付県南西部向け朝刊3万4千部の印刷を京都新聞印刷に委託した。両社間の協定発動は初めて
2・22 電通は17年の日本の広告費を発表した。新聞は部数減が響き、前年比(以下同)5.2%減の5147億円だった。総広告費は1.6%増の6兆3907億円
3・1 高地新聞社は有料電子版「高知新聞Plus」を始めた。月額利用料は本紙購読料プラス864円(税込み)。一つのアカウントで3人まで同時にアクセスできる
3・1 神奈川新聞社と沖縄タイムス社は、それぞれの定期購読者にもう一方の電子版を優待価格で提供する新たな料金体系を設けた。購読料に加え月1080円(税込み)で相手方の電子版が読める
3・31 南日本新聞社の新たな印刷拠点・南栄工場(鹿児島市)が稼働した。受託する毎日、日経を合わせて約15万部を印刷する
(資料:日本新聞協会報、新聞研究)
▽1990年〜2013年分
http://minihanroblog.seesaa.net/article/394755905.html
▽2014年〜2015年分
http://minihanroblog.seesaa.net/article/443704232.html