2007年06月17日

新聞を読まない理由は「みんなが読んでいないから」次世代のローカルメディアを考える

 きのう、きょうと立教大学で開かれた市民公開講座「吠えろ!ローカルメディア」に参加してきました。主催の「ローカルメディアネットワーク」は、地方紙社員を中心に2005年2月14日、ミクシィ内のコミュニティとして設立され活動を続けている組織。これまで東京、北海道、沖縄などで集会を開催してきました。今だけ委員長も設立時からコミュニティに参加させていただき、次世代のローカルメディアについて議論を積み重ねています。
 今回は
立教大学ニュースサイト研究会(成田康昭・社会学部教授)の協力を得て、立教、慶応、日大の学生さんにも参加していただき、延べ70名が参加しました。

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 講座の内容は、地方紙社員と大学生が新聞へ対する問題提起を「個人プレゼンテーション」という形で発表。それぞれのテーマは●地方紙がSNSをはじめるとき●旅先で新聞を読もう●若者が新聞に望むこと〜インターネットで購読を止めたものとして●明日のために新聞社員はブログを書くべし、書くべし●新聞社をキャラクターで楽しく●3K販売店から3Kディーラーへ●若者とmixi●新規読者獲得のために●新聞に思うこと●若者とメディア●伝わってナンボのメディア論―11組の方々が語ってくれました。

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 基調講演では、「新聞社―破綻したビジネスモデル(新潮新書)」の著者で、元毎日新聞社の河内孝氏が「Lonely dinosaur 淋し気な恐竜たち〜新聞の未来」と題し、著書の内容に沿って新聞社の経営問題、販売店との取引関係、海外メディアの状況、IT社会と新聞の未来など、新聞社が抱えている問題点について持論を展開していただきました。

 立教大の成田教授は「新聞社の編集から販売の方々までこのように集まって議論をするというのは稀有なことだ。それだけ新聞社が抱えている問題(経営的)が連動せざるを得ない状況なのだろう。よく新聞社に伺うが、対応する局長クラスの人は“自分の定年までは(新聞経営が)持つだろう”という発想の人もいる。それに比べて若い新聞社員の皆さんのエネルギーを感じた」と初日会議の講評を述べました。

 今回の模様は
IZAブログでリアルタイムブログ配信も行いました。詳細は「こちら」を参照してください。



追記:竹橋発by磯野彰彦のブログでも紹介されています。
posted by 今だけ委員長 at 20:18 | Comment(5) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
小関様:昨日はお世話になりました。

今日も会議の後半の日程でお忙しいと存じますが・・・。

若い皆さんの新聞社の今後にかける思い、熱意に感激しました。
とりわけ将来、新聞社を就職先候補に入れているであろう学生の元気な、積極的な発言を頼もしく聞き入りました。

一つ気になったことがあります。「新聞なんていらない」と言わせない、となっていますが、議論の焦点が、インターネットをどう活用して生き残るか、のほうに移っていることです。
新聞社としては、<宅配を含む>紙媒体としての現状をどうするか、ではなく、電子ペーパーでの生き残りを図るにはどうするか、を志向しているように見えました。
本当にそれでいいのか、グループ結集の狙い、その存在意義はそういうことだったのかどうか、といったところをもう一度押さえてもらいたいと思います。

河内さんの講演資料(「経済広報」2007年6月号)の19ページ、右欄上から5行目をご覧ください。ここに日経の広告売上が読売を抜いて、朝日に迫っているという記述があります。
その事実関係は正確には知りませんが、そうだとすれば、なぜそうなのか(何しろ日経の3倍以上の部数をもっているのに)、部数至上主義経営からどう脱却を図るか、といった地に足の着いた議論を深めることを期待しております。
ジャーナリズムと経営の在り方についても、もう少し客観的・中立的な議論が必要ですね。

いろいろお疲れさんでございました。
森内豊四

Posted by 森内 at 2007年06月17日 20:28
16日(土)にTBSラジオの久米宏の番組で、「私はテレビや雑誌、インターネットで十分です。なぜ新聞を読めと言うのか教えてください」という質問に、鳥越俊太郎氏が「テレビをみると馬鹿になる」と問題を矮小化し、「新聞を読むと頭が良くなるから読むことをお勧めする」と答えていました。
新聞にしかない魅力を提示することなく、根拠のない理由(しかも文字を読むことなら新聞でなくてもよい)でしか答えられない氏の姿に新聞の未来を感じました。
Posted by わっきぃ at 2007年06月19日 09:12
わっきぃサマ  コメントありがとうございます。

鳥越氏も新聞業界に身をおいていた方だけに、そのような発言をされるとは…残念です。でも今の新聞経営者の中にもそんな発想をしている方もいるのだろうと思います。

新聞が読まれなくなってきた理由、その読者離れの問題へ対策を講じ切れていない理由は、読んでもらうための工夫や仕掛けをせずにオマケ付販売で“見てくれ”の部数を伸ばすだけに奔走し、経営状況が安定していたこともあり「ぬるま湯」に浸かりきっていたからです。

今から何を起こせるのだ?―こんな声も聞かれますが、業界に働いている人間でしか、わっきぃサンが感じられた“新聞の未来”を受け止めて産業を守るために行動していかなければならないと思います。
個人的には新聞の魅力を提示できる販売員の育成、いわゆる販売店改革が先決だと思います。
Posted by 今だけ委員長 at 2007年06月19日 11:29
日経IT−PLUSで、ガ島通信の藤代さんがコラムを書いてました。

http://it.nikkei.co.jp/internet/news/index.aspx?n=MMIT11000028062007
Posted by こちら特報部! at 2007年06月29日 14:52
こちら特報部!サマ  コメントありがとうございます。

藤代さんがコラムで提起されている点は「まさしくその通り」です(感心ばかりしていられないのですが)。全体的に学生さんから意見に耳を傾けることができない方も多くいたように感じます。記者職の方は学生さんとの接し方が分からないのかもしれませんね。

ちなみに、(業界紙ですが)新聞協会報(6月5日号)と新聞情報(6月20日付)にも「吠えろ!ローカルメディア」の記事が掲載されています。
Posted by 今だけ委員長 at 2007年06月29日 16:27
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