2014年12月08日

遠のく信頼回復/悲しかったことは業界の体質vsそういった事実は知らなかった

 新聞協会が発行する「新聞研究」12月号(No.761)が届きパラパラと頁を進めると、10月15日に新潟市で行われた「第67回新聞大会・研究座談会―新聞界の直面する諸課題」のパネルディスカッションの内容が掲載されていました。業界紙でも先に詳細は伝えられていたのですが、「全国三紙と神戸、新潟の社長の話などつまらないだろう」と見向きもしませんでした。どうせ筋書き通りの不都合な真実には向き合うことのないディスカッションなのだろうと思っていたのですが、「ダーティーな話も新聞大会で語られるようになったのだ」と感じたので(備忘録として)紹介します。

 ディスカッションの副題は「新聞の信頼回復と経営力強化のために」。消費税率再引き上げに伴う軽減税率の適用や広告の低迷に伴う経営問題について語られる予定だったのですが、朝日新聞の「W吉田問題」で同社の木村伊量社長(当時)の謝罪からはじまったディスカッション。毎日新聞・朝比奈豊社長、新潟日報・小田敏三社長が「他山の石」と表し、編集部門のチェック機能などについて言及。(新聞研究紙面の)この3頁半の話で「もういいか」と感じていたのですが、神戸新聞・高士薫社長の発言から一変しました。高士社長は朝日の検証報道を振りかえり、「教訓と悲しかったこと」として販売問題における業界の体質ついて切り込みました。
 柳田邦男さんが紹介された話です。50年以上前、米国ロッキード社の航空機が空中分解事故を2回連続で起こしたとき、ライバルのボーイング社とダグラス社は、原因究明のため資材と人を惜しげもなくロッキードに提供したそうです。それは、航空機産業の信頼を早期に回復させるという大義のためでした。今回われわれ新聞界がたどった経緯と全く逆です。今回のことを例えれば、“ロッキード”は事故直後の謝り方が悪かった。不備があった上に、“ボーイング”も“ダグラス”も昔よく似たことをしていたとまで言ってしまい、他社が怒って反論した。反論だけでなく、『“ロッキード”の飛行機は危ないから乗らない方がいい、代わりにうちの飛行機を使ってください』とビラをまく社まで現れた。そういう状況だと思います。
 ここから得る教訓は、謝るときは誠意を持ってすっきり謝らなければならない。くどくど言い訳をすれば事態が悪化するということ。悲しかったことは、業界の体質です。業界全体で信頼回復と言いながら、逆行するような振る舞いが一部にあったということです
それに対し、白石興二郎新聞協会長(読売新聞グループ本社社長)は、
先ほど朝比奈さんから『報道の現場はもちろんのこと販売などの現場で』という発言がありました。これは読売新聞の販売現場に対する批判だと思います。ご批判は甘んじて受けるつもりです。8月に朝日が慰安婦問題をめぐり訂正報道をした直後、販売現場の一部が『千載一遇の好機』とげきを飛ばしたことがありました。一部週刊誌で報道された通りです。社長の私も、会長・主筆の渡邉もそういった事実は知らなかったのですが、報告を受け、即刻やめさせました。こうした行き過ぎた販売活動を通じて皆さんにご迷惑をおかけしたとすれば、私から謝罪したいと思います。そういうことはないようにしつつ、競争は競争として、編集も販売もやっていくつもりです(新聞研究から引用)

 読者からすれば「なんのこっちゃ」という話なのかもしれません。でも、新聞各社の経営陣が妙な紳士協定でことを済ませているように映る昨今、指摘するところをしっかり指摘する―という当たり前のことが「少しは機能しているのだ」と業界の内側にいると感じます。
 現場にいるときは筋の通った新聞人でも、経営に携わるようになると嘘つきになる人をいろいろ見てきました。会社員なので「立場」がそうせざるを得ないというのも理解しますが、メッキはすぐに剥がれるもの・・・。人間としての矜持だけは持ち続けたいものです。

▽朝日新聞の問題を考える/新聞社の特権意識が自由な言論を封じている
▽狩猟営業を続けるしかない大新聞社
▽足の引っ張り合いで紙メディア全体の信用が失われている
posted by 今だけ委員長 at 22:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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