河内孝さんの寄稿は販売店の流通システム崩壊危機と経営破綻、夕刊問題などに触れて、販売現場の実情を取材していると感じる一方、“モヤモヤ感”も残りました。「新聞販売店は優良店であっても10%前後の予備紙(在庫)を抱えている。まして経営破綻に瀕した店には不良在庫が多い。引き継ぎ店のないまま消滅されると、実読者数を上回る発行部数減を発行本社にもたらすのだ」とは新聞社の目線であって、新聞産業としてこのような誤差をどうクライアントへ説明するのかといった本質的なところには踏み込んでいません。やはりモヤモヤだなぁ―という感想です。
唯一、目を凝らしたのが「販売店は“三河屋さん”たれ」という囲み記事。全国に1万8000店ある新聞販売店の生き残りのヒントがマンガ「サザエさん」に登場する御用聞きの酒屋さんにあるとGEE&BEE代表の青木慶哉氏の取り組みが取り上げられています。今月から大手コンビニと組んで販売店が商品宅配をする事業も開始するのだとか。下降線をたどる新聞産業ではありますが、やり方次第ではまだまだ多くの可能性があるということであり、経営者が「ビジネス」、「ビジョン」をどう捉えるかの問題ですね。
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新聞販売店をサポートするMIKAWAYA21主催の「女性スタッフの活用セミナー(テレマシステム)」が5日、仙台市内で開催され今だけ委員長も参加してきました。もちろん個人として「自腹」での参加です。少人数のセミナーだったこともあって、とても得るものが多かった内容でした。
講師を務めたのは前出の青木慶哉氏。青木氏は「販売環境が厳しくなっているなかで『現読者満足度をあげる』とは聞こえはよいが、それだけではダメだ。入れカードを増やさないと部数は減っていくだけ。諦めている人が多い新聞販売現場の中で、やはり勝ち組として残っていかなければならない」と切り出し、「売る人を育てる仕組み」(誰もが同じ結果を出せる営業手法、トレーニングシステムの確立が大切。「このスタイルで売れ」と従業員へ指示することが店長・経営者の仕事)や読者を増やす具体的な手法について言及。女性スタッフの導入とテレマーケティングによる効率的かつ時代にあった営業スタイルなどについてうかがいました。
新聞販売店(販売会社)には店長はいるけれど経営者はいない―。与えられた枠の中でしか事業ができないことの例えのようです。サントリーホールディングスの社長としてローソン会長の新浪剛史氏が就任されたように経営者はその仕事のプロではなく業績をあげるプロであることは言わずもがなですが、新聞社が株主のような契約関係になっている販売店では店長の域は超えられないのかもしれません。
でも、出来ることはまだまだあります。高齢化社会に対応する事例としてMIKAWAYA21がそのノウハウを提供する「シニアサポート」は、この半年間で200店舗増えたそうです。時代にあった顧客ニーズに対応できる組織と人材が「勝ち組」として生き続けられるのだとあらためて感じました。