きょうは憲法記念日。1947年に施行されてちょうど60年。読売新聞社が3月に実施した憲法に関する全国世論調査(面接方式)によると、憲法を「改正する方がよい」は46%で、「改正しない方がよい」は39%と改正すると答えた方(改憲)が15年連続で改正しない方がよいと答え方(護憲)を上回ったものの、昨年の数字を9%マイナスして護憲の数字が増えています。しかし、憲法改正の中身がわからないと答えた方も2割に達している一方、憲法9条の今後については「解釈や運用で対応するのは限界なので、改正する」「これまで通り、解釈や運用で対応する」がともに36%。「9条を厳密に守り、解釈や運用では対応しない」は20%と改憲もしくは改正せずとも政府解釈に委ねるべきという声が護憲を大きく上回っています。さらに、戦争放棄(第1項)については、改正の必要が「ない」が80%で「ある」は14%となっています。戦力不保持(第2項)は、改正の必要が「ない」が54%、「ある」が38%。「集団的自衛権」については「これまで通り、使えなくてよい」が50%。「憲法を改正して、使えるようにする」「憲法の解釈を変更して、使えるようにする」はそれぞれ21%という調査結果が報告されています。
この数字を見ると憲法そのものの理解や政府が意図する改正の争点が、あまり詳しく伝えられていないと感じます。この辺りの憲法改正論議を正確に伝えるのがマスコミの役割なのですが、いまひとつ踏み込んだ伝え方がされていない。ネットの普及によって数多くの新聞社説や学者、研究所などの資料は自由に手に出来るようになりましたが、アクセスが上位に来るものが「正しい」「間違いない」という固定観念も広がっており、メディアリテラシィーの問題も今後の課題だろうと思います。
昨日、NHKで放送された「その時歴史は動いた」“憲法施行60年特集”「憲法九条平和への闘争 〜1950年代 改憲・護憲論〜」は、護憲に軸足をおいた内容で構成され、60年安保を背景に平和を守ろうという国民運動の成果などが分かりやすく描かれていました。
○5月3日付の新聞各社の社説も資料として掲載します。
朝日新聞:提言―日本の新戦略 憲法60年毎日新聞:平和主義を進化させよう 国連中心に国際協力拡大を
読売新聞:憲法施行60年 歴史に刻まれる節目の年だ
日本経済新聞:還暦の憲法を時代の変化に合う中身に
産経新聞:憲法施行60年 日本守る自前の規範を 新しい国造りへ宿題果たせ
北海道新聞:憲法施行から60年(上)国家主義への回帰危ぶむ
(中)九条を変質させていいか
(下)貧困を許さぬ生存権こそ
西日本新聞:憲法施行から60年「不戦の理想」は色あせない〈上〉
「立憲主義」の堅持が前提だ〈中〉
東京新聞:憲法60年に考える(上)イラク戦争が語るもの
(中)統治の道具ではなく
(下)直視セヨ 偽ルナカレ
河北新報:憲法施行60年/今とこれからを考えよう
中国新聞:憲法60年(上)「改正」問う 価値高める道筋探ろう