2007年04月28日

新聞では書かない問題を機関紙で宣伝する

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機関紙と宣伝 4月号
著者 日本機関紙協会  510円(年間購読料6,920円)

 日本機関紙協会が発行する「機関紙と宣伝」4月号に310日に開かれたシンポジウム「国民投票案のカラクリーカネで変えられていいの」(日本マスコミ文化情報労組会議・日本ジャーナリスト会議・マスコミ関連九条の会・自由法曹団の共催)での講演内容が特集されています。その中で、弁護士の坂本修氏が国民投票法案の問題点を分かりやすく解説しているので、新聞紙面だけでは分かりづらいという方にはぜひお勧めします。

 国民投票法案は412日に衆議院の憲法調査特別委員会で、民主党提出修正案が否決され、与党提出修正案が与党の賛成多数で可決され、翌13日に衆議院本会議で可決。現在、参議院で議論されていますが、昨年5月に「国民投票法案」の与党案と民主党案が上程され、坂本氏はパネルディスカッションに参加した自民党の船田氏と民主党の枝野氏の話を聞いて驚いたそうです。
 「与党案と民主党案はよく似ていると言われるが、それはもっともです。これは内閣法制局の同じ人に作ってもらったからです」と平然と述べたそうです。坂本氏ら自由法曹団はかねてから国民投票法案には「改憲のための手続き法」として反対を表明でしたが、それが単なる手続法ではなく、中身がいかに危険であるかを国民に伝えなければと述べています。中でも有料コマーシャルの問題について言及。「有料コマーシャルの自由栄えて憲法滅ぶ」と言い、有料コマーシャルによって国民の意思が歪められ(マインドコントロールされ)、主権者国民が自分で決めるのだという憲法96条の根幹が危ぶまれる問題だと指摘。有料コマーシャルの野放し自由化には断固反対と述べています。

 そのシンポジウム(310日)の議論では不完全燃焼だった?  ということで、去る419日、公開討論「国民投票法と意見広告」が都内文京区のシビックセンターで行われました。討論は坂本修弁護士と放送レポート編集長の岩崎貞明氏が、国民投票法の有料テレビ広告について、規制をかけるべきだと主張する自由法曹団と表現の自由という観点から言論規制ではなく自主ルールで対応すべきとするマスコミ業界というそれぞれの立場で討論。双方の主張は「がっぷり四つ」でしたが、「第三者機関の設置」という歩み寄りが見られました。以下は討論の要約を掲載。 .jpg
坂本氏:改憲手続法の狙いと正体については、MIC(日本マスコミ文化情報労組会議)と共通の認識だと考えているので省略するが、米国との「血の同盟」のためには9条改憲が柱であり、安倍首相の任期中に改憲させることが前提で、そのために今国会では改憲作業を急ぎ、国民投票で勝利できる「カラクリ」立法を制定しようとしている。
 第一の柱は国会法の一部改正であり、憲法審査会を設置し(議員比で圧倒)、審査会では改憲についての審査を開始(修正とし原案を審査するが発議は3年以降)するといっているが議論を骨抜きにしようという動き。第二の柱は3つのカラクリであり、@最低投票率も有効投票率もない「有効投票の過半数」(5人に1人、10人に1人でも成立)A530万人の公務員、教育者の活動規制(処分と刑罰、権力が支配する)Bマスメディア利用の情報操作、マインドコントロール(金が支配する構図・広報協議会の利用・有料CM放送の野放し)という基本原則をはじめに提起しておきたい。言うならば、この法案は有料CM放送について具体的な議論が行われておらず、改憲勢力が金にものを言わせて不平等な広告を垂れ流す世論操作が行われる可能性があるということだ。
 その上でマスコミ業界は、規制をかけることは言論・表現の自由を脅かすとして自主ルールを設けて不平等を招かないようにするというが、今のままでは有効的に歯止めをかけるのは無理だ。具体的な自主ルールも出来ていないし有料広告の規制や金の問題はどうするのか?誰も何も言わない。CMの自由によって言論が滅ぶのか、その辺の議論が全く国民に知らされていない。
岩崎:放送の有料広告だけを問題視することが果たしてよいのかという疑問がある。イタリアは放送の広告だけではなくキャスター(政治色のない)についても規制されている。広告について野放し状態は危険であり、ルールは必要だと思っているが、そのルールは誰が決めるのか。広告も表現の自由がある。
 今、民主党と自民党のテレビCMが頻繁に流れているがルールはない。広告代理店が持ってきた素材を金だけとって放送している。これは憲法21条(・集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する・検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない)で保障されているものであり、広報協議会も21条に違反するものだと考えている。日本は民主主義国家であり、国民主権の観点から(テレビCMにも)規制をかけるべきではない。
坂本メディア側は「言論への国家権力の介入」と言うが、私は国民投票に限定して規制をかけた方がよいと言っている。メディア側が言っているのは広告費(収入)の規制に反対しているのであって、(有料広告の)営業の自由の問題にメディア側がすがっているのではないか。規制をかけるために第三者機関を作るべきで、イタリアなどでもやっている。しかし、政府がその機関を有するのは本末転倒だが。
岩崎:有料広告でも基本はそれぞれのメディアのルール(責任)で放送するしないを決めている。日本の放送界では意見広告の明文化された自主ルールが確立されていない。「公平な自主ルールなどあり得ない」というのでは報道番組も公平にできないと疑われるだろうか。広告の法的規制はやがて番組の内容規制に及ぶ危険性が大きい。(禁止期間前の)広告費を国民投票に限って安くと言ったら、独禁法に触れてしまうだろう。メディア側が意見広告を載せる、載せない、断るということを自主的ではなく第三者に決められるということでよいのか。
坂本:テレビのCM料は高い。憲法を守るために私の家を売っても構わないと思っているが、そんなレベルじゃ広告は打てないのが現実だ。だから平等ではないので公平にするために規制を作る。第三者機関を作る必要があるのではないか。
岩崎BRO(放送と人権等権利に関する委員会機構)のような機関を強化して自主ルールを監視・補完できる第三者機関の設置するのが望ましいと思うが、ハードルは高い。公取委のような一定程度独立した機関が望ましいが・・・。

【国民投票法案 投票運動関連】・テレビコマーシャルは投票日の2週間前から禁止(105条) ・国会において設置される国民投票広報協議会(議員数に応じ   て会派ごとに割りあてて構成)が、改正案の要旨、賛成意見、反対意見からなる国民投票公報、新聞広告、テレビラジオによる憲法改正案の広報のための放送(政見放送に類似したものでスポットCM等を想定したものではない)を行う(106条・107条)。この際、賛否については同一のサイズ及び時間を確保する(1066項・1075項)
 国民投票法案は憲法を変えるための手続きを定めた法律ですが、「片手落ち」で問題点が多くこのまま成立させるわけにはいきません。出版労連のブログが詳しく解説していますが、もっと国民が関心を寄せることが必要です。
posted by 今だけ委員長 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍紹介
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