これで、来年4月から新聞購読料も3%上乗せ(増税)され、セット版で4,037円(+112円)、統合版で3,093円(+86円)となる可能性が大きくなりました。これから販売現場ではこの増税(実質値上げ)によって読者を失わないよう(新聞社の施策によって)価格を据え置いたり、逆に他紙読者を取り込もうと高額景品を投入して拡販を展開するところも出てくることでしょう。
今回の増税による紙勢の動向は、購読料の実質値上げに対する感情的なことではなく、(実際にそうではなくともイメージ的に)実感のないアベノミクス下で「家計が厳しいので購読を中止する」という読者の多少がポイントだと思います。まさに、新聞の商品価値が問われるのだと感じます。
こういう背景の中で、私たち販売店従業員は部数を守っていかなければいけません。来年4月までに何を整え、備えていくか―。流通部門で商品価値以上のパフォーマンスを展開していかなければ「新聞離れ」の潮流は押し戻せません。
新聞購読料は5年の購読料改定(200円の値上げ)から20年間価格を据え置いていますが、デフレ経済の中にあっては「値上げに踏み切れなかった」のでしょう。値上げ以上に読者が減ってしまっては元も子もないわけですから…。新聞社も人を削り(契約社員等に置き換えられ)、支局体制を統合し、印刷部門の受委託でコスト軽減を図ってこの20年間、値上げをせずに経営をしてきたのだと思います。一方、販売店は細りゆく読者数に連動して店舗数や従業員数の縮小が如実に表れています。この10年間で全国の販売店数は3,248店(15%)減少して18,367店へ。従業員数も91,604人(19.9%)減って367,809人となっています。(日本新聞協会「新聞販売所従業員数、販売所数の推移」より)
新聞部数の減少によって統廃合が進む販売店。扱い部数が10%減ると従業員を20%減らさなければ経営は維持できない。さらに労働条件は悪化し(ブラック企業化し)、人材不足に陥るというスパイラルが続きます。このままでいくと、宅配網のほうが先に崩壊していく可能性も否めません。
新聞産業が置かれている状況を冷静に直視すると、まさに多様な言論を守っていくために流通部門は総力戦で市場に向かっていかなければならない時代なのだと感じます。