先日、私が所属する販売会社のエリアにある「応急仮設住宅」での一幕。
仮設住宅の見回りをしていた仙台市の職員が、「景品」を抱えた新聞セールスマンを目撃し、不審に思って契約をした仮設住宅避難者へ事情聴取したところ、「本意ではない契約をさせられた」との意思を確認し、契約を破棄したというものでした。
その後、「景品をもってお年寄りに契約を迫るセールスマン(拡張員)が後を絶たない」という苦情が宮城県支部新聞公正取引協議会(支部協)へ寄せられました。仙台市内の新聞販売店主らで組織する店主会では、「応急仮設住宅への訪問セールスは行わない」という申し合わせをしているにもかかわらず、ルールを無視した拡張員が日中在宅する高齢者を狙って、景品を積んで契約を迫る。この業界の関係者(業界というくくりにすると怒られるので拡張員個人なのかなぁ)に秩序はないのか―と憤ります。
詳しい事情を聴こうと、仙台市消費生活センターを訪ねました。担当の方からは「これまでも新聞契約に関するトラブルは相談件数の上位にランキングされていましたが、最近になって相談件数は増えています」ということでした。「苦情が寄せられる大半はY紙系の販売行為に関するもの。何とかならないのでしょうか…」とその担当の方も呆れ顔でした。
消費生活センターが発行する「ゆたかなくらし」(2013年・新生活特別号)の最新号にも「新聞契約のトラブルにご注意ください」(6P)という内容で相談事例が掲載されています。
▽ゆたかなくらし 2013年 新生活特別号(仙台市消費生活センター)
http://www.city.sendai.jp/shimin/syouhi-c/kurashi/147/pdf/all.pdf
時代との乖離…。
われながらこの業界の足元を見るとそう思います。買取る新聞部数を増やさざるを得ないために従業員を安価に雇うことしかできない販売店主。当然のことながら従業員の質は下がる一方です。(新聞社が販売店へ)モラルハザードを求めるだけの労働条件の分配がされているのか疑問でなりません(販売店経営者だけが儲けているのかもしれませんが…)。
下の画像は、昨年末に岩手県大槌町で「大槌みらい新聞」の配達ボランティアに行った時のものです。Y紙がPRのために「月一の試読紙配布」をしているのでしょう。でも空部屋に先月配った新聞がそのまま残っているにもかかわらず、(散乱するチラシ等を見れば誰でも空家と分かるはず)次の月も新聞を投函してしまうスタッフ。莫大な景品に金をかける余裕があるなら、スタッフの人材教育(モラルの問題ですが)へ投資した方が本来の読者獲得(新聞社は読者ではなく部数にしか興味を示さないかも)に直結すると思うのですが…。
私の系統でも、配達員のモラル欠如や事故トラブルが相次ぎ、発行本社は質の向上やコンプライアンスの徹底を要求しています。販売店はどの系統であろうと全国規模でも個人経営者が大半ではないかと思います。私を含め、個人経営の販売店所長は減紙(収入減)が進む中、営業・配達コスト削減に頭を悩ませています。(一部の方は儲かっておられるかもしれませんが)
新聞社・販売店も生き残りを模索する中、読者に選ばれる新聞発行や販売を目指したいですね。
ご指摘いただいたとおりで、販売店経営の皆さんも頭を悩めていらっしゃると思います。
でも、いずれコスト削減をしなくてはならない状況ではありますが、もっと販売店同士で効率的な協業的配達を模索できないものでしょうか。新聞社が受託印刷で印刷部門の効率化(コスト削減)を図るように、販売店も共同配達(配達のみの委託であればやれるかも)を率先して取り組んでいかないと、これからの時代は乗り越えられないと思っています。
私のところも地元紙(専売店の数も一番多い)でありながらASAへ一部地域の配達を委託しています。
その区域の配達スタッフを新たに雇用するより安価で済むし、ASAのスタッフも配達時間の超過もなく給料が上がる。一石二鳥です。
もう、担当員のエゴというか“新聞社のメンツ”では、流通部門は立ち行かなくなると思っています。