2012年08月29日

書き、記録し続けること…地方紙記者はこうありたい


61gFJDb4ZzL__SS400_.jpg
悲から生をつむぐ
著者 寺島英弥(講談社)1500円

 「この本…読んでみたけど、とってもいいね」。
 11年連れ添った相方が「ポツリ」とひと言。「そういえば寺島さんが書かれた『悲から生をつむぐ』をブログで紹介することを忘れてた」ということで、発行から半年近く経ってしまいましたが紹介させていただきます。

 著者の寺島英弥さんは、小ブログでも何度か紹介をさせていただきましたが、「シビックジャーナリズムの挑戦」など著書もある河北新報社・編集委員の方です。東日本大震災以降、被災地で復興に尽力する人を取り上げた連載「ふんばる」や「余震の中で新聞を作る」というブログで紙面では収容しきれないさまざまな情報を発信されています。この連載やブログのファンは多く、今だけ委員長も被災地で活動していると「河北新報の『ふんばる』っていう連載イイネ!」と声をかけられることもあるくらいです。

 本書は寺島さんが自分の足で被災地を回り、取材を通じて出会った被災者、避難者との「これから」について丁寧に書かれています。寺島さんは「あとがき」にこう記しています。「その場にとどまり、当事者と同じ時間を生きる。それが地方紙記者の仕事の本質なのです。解決すべき問題も、それを考える道筋も、必要とされる支援も、新たに生きる場づくりとしての復興も、いま最も苦しい渦中にある人々こそが、その答えと力(他人をも勇気づける)を持っています」と。


 じつは、今だけ委員長の相方は1年半経った今でも津波被害を受けたエリアへ行くことができないでいます。まだ現実を受け入れることができなのだと思います。無理をして足を運ぶ必要もないし、毎週のように沿岸部へ向かう旦那に対して文句も言わずに送り出してくれるだけで満足なのですが、この本を読んで少し気持ちが変わったというのです。そんな気持ちにさせてくれる、地元にいるからこそ見えてくることがいっぱい詰まった1冊です。
 新聞紙面でも本書のように取材の経過まで掲載されればいいなぁと思う反面、限りある紙面スペースへの掲載はこういう地道な取材活動を凝縮したもの―と感じ取れます。ぜひご一読を!

posted by 今だけ委員長 at 15:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍紹介
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック
ツイート