新聞社間の受託印刷が加速する中、さらに下流の宅配部門も販売店間の協業的取り組みが否応なく進んでいます。
まずはこのニュースから。
▽ASA転進支援、145人が応募(新聞通信 2月27日)
朝日新聞社は1月末で、販売環境が悪化している地域の所長を対象に導入した「ASA転進支援制度」への応募を締め切った。全国から145人の応募があった。応募した所長の平均年齢は58歳、平均店歴は16年。本支社別の内訳は北海道6人、東京25人、大阪54人、西部60人だった。飯田真也常務取締役販売担当は「制度実施に際し、高齢化が進み、人口が減る地方の戸別配達を揺るぎないものにするため各社が協調して『共同配達・合売化』を行う必要があると訴えたところ、多くの新聞社から賛同を得た」としている。朝日と提携するのは読売新聞、毎日新聞、北海道新聞、東奥日報、山形新聞、福島民報、河北新報、信濃毎日、北日本、北陸中日、中国新聞、山陰中央、愛媛新聞、徳島新聞の14社。
紙勢の伸長が期待できるエリアについては、同系統の吸収・合併により専売店制を維持していくようですが、過疎地域など配達経費がかさむエリアなどは他系統へ委託して経営的な効率化を図っていくという方向です。
一方、販売店従業員の労働人口も年々減り続けています。
▽新聞販売所従業員総数 ピーク時から10万人超減 過去最大の減り幅(文化通信 2月13日付)
日本新聞協会販売委員会はこのほど、2011年10月現在の「全国新聞販売所従業員総数調査」をまとめた。調査結果によると、従業員総数は前年より1万4337人(3.7%)減少し、37万7495人に。15年連続の減少で1996年の48万3286人をピークに減り続ける中、最大の減少率となった。新聞販売所の数も前年より425店(2.2%)減り、1万8836店だった。新聞販売所も09年調査で、2万店を割り込んでから減少傾向が続いている。
宅配される新聞部数(定期購読者数)が減少傾向にあるので、必然的に配達スタッフの数も減っていくのですが、経費削減で配達エリアの統合(これまで2区域を2人でやっていたものを1人で行うなど)が進められ、逆に店着などの遅れを吸収(代配などで配達終了時間を守る)することが困難になったり、配達労務難を招いているケースもあるという話しも伝わってきます。
系統を超えた販売店同士の共同配達、共同集金は今後ますます進んでいくと思われますが、読者に対して配達時間を守ることや決まった日時に集金へ伺うなどの「約束」をしっかり果たすことが大前提です。日常の習慣に組み込まれている新聞だからこそ、流通部門の受託体制はしっかり整える必要があるのです。その辺のシミュレーションをしっかり描きながら、販売店間の信頼関係のもと「共集・共配」に取り組んでいくべきだと感じています。