「いざなぎ景気を超えた」という見出しが紙面に多く登場していますが、地方に住む私などは景気が良くなっているという実感が全く沸きません。さらに今月から高齢者の医療負担が2割から3割に引き上げられるなど生活者の負担は増すばかりです。
景気回復と新聞代の値上げをリンクさせることはできませんが、もう10年も値上げしていない新聞社。各社とも「値上げ」をしたいというのが本音のところだと思います。新聞社の経営内容は熟知していませんが、広告収入の落ち込みは大きく、別媒体を発行しても「タコ足食い」の状態で全体パイは広がっていないようです。印刷部門の別会社などリストラも進められ経営内容の見直しも図られているようですが、もうそろそろタイトな経営になってきた。そうなると購読料の値上げという「伝家の宝刀」に頼らざるを得なくなってくるでしょう。
でも現状は「我慢比べ」。いま値上げをしたらどの程度部数が落ち込むのか予想がつかないこともありますが、これまでのように「同調値上げをしたら新聞全体への向かい風はさらに強くなる」と、いくら世間を知らない経営者でも感じているはずです。莫大な販売経費を使っておいて「経営が大変なので値上げを…」とは言えませんし、押し紙問題なども含めた経営実態の改善や経営内容の公開も求められてくるでしょう。
今年6月1日から12年6カ月ぶりに値上げした下野新聞(月極め2,950円)では、そう大きく読者数は減っていないそうですが、読者に理解を得られると自信を持って決断できる新聞経営者は皆無なのでしょう。またぞろ大手紙の談合体質に追従してしまう地方紙の構図が薄っすらと見えてきました。2008年からと囁かれている消費税率の引き上げまでは、「我慢比べ」が続きそうです。
そんな中で、中国新聞が今日から駅やコンビに売りの一部売り価格を20円引き上げ130円(全国紙と同価格)にしました。もちろん収入増を狙った価格政策だと思いますが、どれだけの効果を生むのか興味のあるところです。
「情報はタダ!」という風潮が押し寄せている昨今、業界内ではこれからの価格政策が大きな課題となってくることは間違いないでしょう。
まさに、とあるファンサマ言われるとおりです。しかし、新聞社の経営構造が生業の枠を超えてしまっているように思います。本来の新聞の役割(果たしてきたことを認めながらも)よりも、紙面のカラー化(広告収入をあげるため)や拡販競争に明け暮れた結果が、「値上げしたらどれだけ読者が減ってしまうのだろう…」という自信喪失状態になっているのではないかと感じます。おそらく新聞経営者(労働者もです)が幾分かの「後ろめたさ」を持っているから自信をなくしているのかなぁと思います。
いろいろと貴重なご意見ありがとうございます。
広告収入等が下降気味と思いますが、新聞は無くならないと考えます。希望的観測ですが・・・地域によっては、増えているところもありますし。
「新聞は無くならないと考えます」―確かに新聞は無くならないでしょう。しかし、今のような『産業』としての体を維持できるかという問題については疑問を持っています。
印刷部門を別会社化にするなどリストラを進める新聞社は「縮小再生産」でしか経営を維持できなくなっているように感じます。読者を増やす、部数を伸ばすことを私たち新聞販売店で働く労働者も日々考え行動していますが、現場では無購読者が増え続け旧態依然の「オマケ付販売」でしか新聞を売ることが出来なくなっています。
要はそれぞれの「部局・部署」のプロフェッショナルはいらっしゃるのですが、その新聞の名のもとに「こうして行こう!」と編集から印刷、販売、広告そして販売店まで一致団結が出来ていないというか、まとまっていないが故に「新聞産業に働く人々が将来に自信を持てない」という状態を拭えずにいるのかなぁと思っています。