古紙回収業者からの伝票をもとに1日あたり約4トン分(10キロ=20円で引き取られている)の新聞が、毎日途方もなく回収されているという記事で、その記事へのコメント(60件くらいでしょうか)も「このようなマスコミが書かない問題の発信を期待する」という内容のものが多く、業界に身を置くものとして感慨深く読ませていただきました。
オーマイニュースは登録した市民記者が原稿を書いているので、ある意味で「業界内のカラクリ」にまでには踏み込まれていないからこそ、業界人以外の方には分かりやすく問題点を提起された内容だと思います。
「押し紙」の問題は、このブログでもかなり取り上げてきましたが、
定期購読者数が増えない状況の中で「押し紙」は増えている状況にあります。新聞社の右肩上がりの予算を組むためには、変動性が大きい広告収入よりも販売収入(販売店へ買い取らせる新聞原価)を毎年増やさなければならない財務状況になっているのです。
もちろん目標の数字(収入)を達成させるためには、相当の経費も使うわけです。販売店への補助金などもありますが、拡張員が使用するビール券や商品券など金券の類から自転車、カラーテレビまで、部数を増やすためには金に糸目を付けず何でもありという「業界の常識」が存在しています。紙面で書けないのがこの販売問題なのですが、目先の目標を達成させるためなら景品表示法という販売ルールも守らない業界の体質はなかなか直りません。キチンと守っている地方紙も少なくありませんが、全国紙のほとんどは地方に攻め込むために一番手っ取り早い「オマケ付販売」が常態化しているわけです。
このような業界内のタブー(特にマスコミ関係)は、これまで個人でしか発信できなかったので、より多くの方に伝える、関心のない方にも伝えるということは難しかったのですが、オーマイニュースなどのメディアは個人発信を組織的なうねりに変える可能性を持ち合わせています。もう「隠せる」状況にはないということです。いくら新聞経営者でも政治家の力を使ってネット封鎖はできないでしょう。そうであれば販売の正常化、新聞社と販売店との取引関係の正常化を早急に取り組まなければならないのです。
新聞経営者の皆さん、そして私たち業界に働く方々、もう知らぬ顔はできないのですよ。
私の家に配達している新聞店は(頻度は月1か2月1回くらいでしょうか),「古紙回収」なるものをしています。今回取り上げられた新聞店の場合はどうなのでしょうか?
(要領を得なくてすいません。要するに,1週間に5トンの古紙の全てが「押し紙」といいきれるのでしょうか,という疑問です)
販売店と古紙回収業者の取り決めはさまざまあると思われますが、オーマイニュースにアップされた新聞の@20円は、新聞の梱包が解かれないままの状態で引き取られる単価だと思います。不純物?が混じっていないということで業界内では高めに引き取られています。新聞の0円がもしかすると読者宅から回収してきた古紙分なのかもしれませんが、ゼロはありえないと思うので、チラシの回収量を示したものなのかもしれません。
以前、関西地区の新聞労働者がある販売店を観察取材(向かい側の建物から)をしたそうです。その際、早朝2時頃に届いた新聞を6時頃には回収業者が来て回収しているというレポがありました。「押し紙」が多く、倉庫が小さい販売店は毎日このようなことが繰り返されているのかもしれません(全ての販売店がそうではありませんが)。
無駄が金を生むシステムになっているのです。
メディアとしてお隣の韓国のような存在にはならないのかもしれませんが、個人発信の素材の信憑性をどこまで担保し、オーマイニュースが編集責任を維持し続けられるかというところも大変興味のあるところです。
評論や期待ばかりではなく、「自分でも動けっ!」ていう感じですかね?