新聞社が「紙か、ネットか」という力の入れ方を選択すること自体ナンセンスで、「(事業として)両方やる」ことが必要だと小ブログでも書いてきました。
「ニュースコンテンツの発信方法の違いで右往左往するよりも、読まれる記事を提供すれば読者は購読料を払う」という基本的な考えに変わりはないのですが、新聞はパッケージ商品として価格が設定されているため、「価格差」と「ネット環境」、そして「それぞれのメディアからのロイヤルティ(付加価値付与)」によって、消費者の選択肢はいろいろと広がっているようです。
ライフメディアが行った「新聞に関する調査(11/21プレスリリース)」によると、今回の調査で以下の内容がその主だった特徴と分析されています。
■新聞(紙媒体)を「ほぼ毎日読んでいる」人は48%。若年層は「ほぼ毎日読んでいる」人が少ない傾向がみられる。
■新聞を読んでいる人の89%が「定期購読(自宅)」で購入していると回答。
■新聞の定期購読は88%が「1紙」と回答。
■59%が最初に目を通すのは「一面」と回答。
■新聞を読んでいない理由は「インターネットのニュースで十分だから」「テレビのニュースで十分だから」が上位に。
■新聞の電子版、10%近くが「現在利用している」。「58%は「利用してみたい」と回答。
※調査結果:有効回答数1200件、調査期間:2011/10/1〜10/6、対象者:10代から60代の全国男女
新聞を購読していない理由(購読していない人336人の回答)のなかで、「インターネットのニュースで十分」が560.%、「テレビのニュースで十分」47.3%、「価格・購読料が高い」36.3%、「新聞を読む習慣がない」31.3%と続いています。トップの「インターネット…」は各新聞社やポータルサイトのトップページにある無料配信されているコンテンツを指し、3番目の理由にあがっている「価格・購読料…」も含めると情報収集に対して支払う費用が縮小もしくは、その効果が費用以上に表れないため無料のもので間に合わせているという印象を受けます。世間ではケータイ電話よりも毎月の利用料が高めの「スマフォ」の利用者が増えていることからすると、NHK受信料なども含めた1世帯(1個人)あたりの情報通信メディアに使われる費用は、総収入の低下傾向を反映して「絞り込み」に入っていると思われます。
【新聞社の次なる収益拡大策は紙か、ネットか】
ポータルサイトへ配信されているニュースコンテンツはその多くが新聞社によって提供されているわけですが、広告モデルで成長してきた(無料)ポータルサイトへの配信料を引き上げることは至難の業。ということで、日本経済新聞社(2010/3〜)、朝日新聞社(11/5〜)は有料「電子新聞」を創刊し、「紙」の購読者へ配慮した形で価格設定を行い、ニュースコンテンツの購入者拡大に取り組んでいます。
そのなかで、読売新聞社の動向が業界内でも注目されているわけですが、「月刊FACTA」11月号に読売の電子新聞に関する見通しが掲載されています。読売へ一定程度の取材はしたようですが、その全容はまだベールに包まれたまま(記事では2012年3月から有料電子版を創刊する方針を固めたと観測表記になっています)。読売ほどの大新聞社ですからシステム構築などは既にできあがっていると思われますが、現状の新聞社の経営基盤を支えている「紙」の読者を下支えするために、ネットを活用するという読売のスタンスに変わりはないようです。
読売は3・11大震災で一時的に1千万部(ABC部数)を割ったものの、また復元させてきたところを見ると(販売店へかなり強硬に押してるみたいですが)「紙」に特化した企業戦略は当面続くようです。
▽正体あらわす読売の「電子新聞」(FACTA 2011年11月号)
「紙の1千万部死守」が至上命題。料金は日経、朝日の半分以下か。新聞購読者にのみ電子版ニュースを配信する構想。(全文読むには会員登録が必要)
http://facta.co.jp/article/201111018.html
※追記(10/24)
jazzcupさんからのRT「特に地域に由来するメディアにとっては、まず非営利の分野でどれだけ実績を残せるかが重要です。ビジネスはその先の話です」