2011年10月16日

調査報道を支えるのは「志」、「志」を支えるのは上層部の強い意志だ

  権力vs調査報道.jpg
権力VS.調査報道
編著 高田昌幸・小黒純(旬報社)2,100円

 元北海道新聞記者で道警裏金問題を追及した高田昌幸さんから、ページをめくるのがワクワクする著書を謹呈いただきました。睡魔に襲われることなく、久しぶりに一気に読めた一冊です。

 まえがきには、「本書は権力監視型調査報道の取材プロセスを明らかにし、共通項や問題点を探りだすことが狙いである」として、リクルート報道で政治権力に斬りこんだ山本博(元朝日新聞記者)、地位協定関連文書のスクープにより外交機密をえぐり出した前泊博盛(前琉球新報論説委員・沖縄国際大学教授)、高知県闇融資問題で地方権力に挑んだ佐光隆明(元高知新聞社会部長・朝日新聞特別報道センター長)、特捜検事による証拠改ざんで捜査当局の闇を暴いた板橋洋佳(元下野新聞記者・朝日新聞記者)の4氏への取材(インタビュー)で構成されています。
 最近の新聞記事やテレビなどとは違い、シナリオのない取材は“しつこい”と思うくらい徹底されていて、新聞記者の取材ってこういうものなのか(高田さんがそのような取材をしてきたのだと思いますが)と、4氏の“次の言葉”をワクワクしながら読み進められます。
 特に、調査報道の金字塔と言われるリクルート報道(山本氏への取材)では、一連のリクルートコスモス社の未公開株の賄賂をめぐって3-4人の記者が警察の捜査打ち切り後も丹念に取材し、大物政治家の不正を暴いていく報じ方は読んでいてグッとくるものがあります。さらに山本氏は、「調査報道は3つの要素がないと成り立たない」とし、第一にそのニュースが社会的に深い意味を持っているか、第二にそのニュースに国民の幅広い共感が得られるか、第三にそのニュースによってどんな効果がもたらされるか―と断言します。
 熟練記者からすると「そんなことあたり前だ」と返ってきそうですが、発表ものが紙面の多くを占めている現状からすると“もっと調査報道に徹して権力側にうごめく闇を暴いてもらいたい”と思っている読者は少なくないはず。その声にもっと応えるよう期待したいと思います。


 本書で紹介されている4氏が取り組んだ調査報道は、社会的にも大きな関心があった「大スクープ」と称されますが、地道に取材を重ねている全国紙、地方紙の記者もたくさんいます。高田さんがすごいのは「日本の現場・地方紙で読む」を発行し、日の目は浴びないけれども、ふんばっている記事(記者)も丹念に取り上げているところにある…。そのような高田さんの思いを感じながら読ませていただきました。

▽日本の現場・地方紙で読む
地方紙の存在を改めて市民に知ってもらうために世に送りだされた一冊!
http://minihanroblog.seesaa.net/article/160868372.html


posted by 今だけ委員長 at 23:21 | Comment(2) | TrackBack(0) | 書籍紹介
この記事へのコメント
丁寧な紹介をしていただき、ありがとうございました。少しでも多くの人に、とくに若い記者のみなさん、これから記者を目指す人たちに読まれることを願っています。
Posted by 高田昌幸 at 2011年10月20日 16:08
ごぶさたをしております。
読者は新聞社には高田さんのような方ばかりだと思っています。でも現実は…。
熱く語り合える人が少なくなって寂しい限りですが、自分のフィールドで何とかふんばってみます。
Posted by 今だけ委員長 at 2011年10月21日 14:05
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