現在の郵政公社の郵便配達業務に従事する労働者は約6万7000人。現行の業務は手紙や書留を通常営業時間内に届ける部門、速達や時間指定のある小包等を配る部門に分かれて作業を進めており、その他外部業者に小包の配達を委託しています。来年度からは「顧客に会わずに郵便受けに投げ込む郵便物」の業務を6割アルバイト化し、「顧客に直接手渡す郵便物」も外部への配達委託をやめて職員が当たるなど作業内容の質に応じて2つの区分に再編。人件費の削減を図るとしています。
「手渡しの必要がない郵便物を届ける作業はアルバイト」物流業界においてコスト削減の勢いは止まることなく進んでいます。ガソリン代の値上げがあっても価格は据え置かれ、末端で働く労働者への人件費抑制がまかり通ってしまっている昨今、それが資本主義経済であって、自由経済なのではないでしょうか?格差社会が当たり前というアメリカンナイズされたエリートの皆さんには理解できないのかもしれませんが…。
新聞の配達もいまでこそ主婦層のウエイトが大きくなっていますが、労働条件も整わない戦後の時代から安価な労働力に頼らざるを得ない時代が続きました。「新聞少年」に代表されるような小・中学生や新聞奨学生など若年層の安い労働力に頼ってきたわけです。しかし、1990年頃から配達従業員不足に業界全体が陥り、外国人留学生の雇用などできるだけ経費を押さえ込む政策を講じてきましたが、やはり賃金面や休日面など労働条件の整備無しには労働力を確保することが出来ず、各新聞社、新聞販売店が配達コストを引き上げてきた経緯があるのです。
それを考えると「上流階級以外の生活者がさらにコスト削減競争を強いられる世の中」に逆戻りしているのだと思います。「質」など問わない大量生産・大量消費型の経済が果たして日本に合うのでしょうか?