7月25日、26日の両日、東京御茶ノ水で日本新聞労働組合連合の「第108回定期大会」が開催され、今期の活動総括と来期の運動方針などが確立されました。今だけ委員長も出身の労働組合の代議委員として参加してきました。
事前に届いた議案書(特集)には@新聞特殊指定問題A下野新聞印刷部門別会社化―が大きく取り上げられていました。それぞれ新聞労働者にとっては大きな問題だったので、この問題で浮き彫りになったさらに多くの問題点を改善させる必要があると感じます。販売正常化の問題しかり、労働組合という権利の維持ではなく拡大させる取り組みの重要性など“何を取り組めばよいのか”が見えてきたと思います。新聞労連の議案書は相変わらず「ビシッと文字が埋まり」つつ「文書はスッキリ」なのですが、今回はけっこう業界内部(これまタブー視されてきた)の問題にも踏み込んで提起しているように感じます。
新聞労連は連合や全労連などのナショナルセンターに加盟せず、中立な立場(マスコミが故に)で活動をしているのですが、加盟している組合はと言うと新聞社の組合だけでありません。今だけ委員長が所属する新聞販売店の労働組合や印刷会社(新聞社から分離した)や新聞輸送会社の組合など87の組合が参加しています。今回の大会では新しく、宮古島毎日新聞労働組合と下野新聞印刷センター労働組合が加盟しました。宮古島毎日労組は、社員だけではなく契約社員やアルバイトの方々と一緒になって立ちあがった組合で、宮古島(沖縄)唯一の労働組合なのだそうです。また、下野印刷センター労組も今年4月に別会社化された印刷センターへ転籍した組合員らが立ちあがり新しい組合を短期間のうちに結成しました。
基調講演では専修大学の内藤光博教授が「憲法改正国民投票法案の問題点―与党案、民主党案の検討―」と題して、憲法9条2項について分かりやすく問題点を指摘しました。
それぞれの組合からの発言や本部からの提案などを通じて、一番印象に残ったのは来賓として挨拶された井戸MIC事務局長の言葉と今期限りで退任した美浦新聞労連委員長の言葉でした。
井戸さんは「日本に労働組合が立ち上がって62年を迎えようとしているが、いま最も危機的な状況にある。本来、労働組合は弱者のために存在するものだ。しかし、いまの労働組合はその機能を果たしているだろうか。日本の労組の組織率は18%だが、その大多数は大企業の社員で組織する労働組合と公務員で組織する労働組合ばかりだ。非常に低い労働条件に押さえつけられている労働者や老人に対しても医療費負担を引き上げるような国の政策に対して私たちは見て見ぬふりをしているだけなのだ。いまの組合は権利に守られた団体になってしまっている。企業内に引きこもっているのではなくマスコミ人として労働運動の再構築をお願いしたい」と厳しい口調で語られました。思わず納得。自分自身も忙しさにかこつけて、自分たち(自分が所属する組合運営や組合員の生活)のことしか考えていなかったと反省です。
美浦さんは「変わり行く日本社会の中で、新聞は市民に必要とされているのだろうか。61年前は戦争に加担した新聞。その反省に立って戦争のためにペンを取らない、輪転機は回さないと誓ったはずだ。いま与党を中心に進めている憲法(9条)改悪の動きは、まさしく戦争を誘発するものだ。戦争を止めることがわれわれの役割であることを再確認したい。労働組合の権利もわれわれだけの手に収めていてよいのか?自分たちの権利を守り、先輩たちから委ねられた権利を繋いでいくためにも拡げていかなければならないし、組織の強化、拡大は質を高めていくことにもなるのだ。今期、下野新聞印刷別会社化の争議の敗北は、いまのわれわれの労働運動そのものの成果であると反省しなければならない」と新聞の役割を組合員一人ひとりが認識して社会的役割を果たそうと訴えた。また、いまの組合員の意識(組合運動に対する)の低下が自らの権利を後退させるだけでなく、日本の労働者全体の労働条件を引き下げることにもつながると警笛を鳴らしました。