2011年06月19日

裁判は敗訴でも警察裏金問題を暴いた功績は計り知れない/道警裏金関連本の記述めぐる名誉棄損訴訟・上告棄却

 小ブログにも何度かご登場いただいた高田昌幸さん(北海道新聞社)から先日、メールを頂戴しました。
内容は「私が被告の1人でもあり、最高裁に上告していた「道警裏金本訴訟」について、16日付で最高裁が上告を退ける決定を下し、本日送達がありました。非常に残念な結果ではありますが、これにひるむことなく、種々の形で権力監視型の調査報道を続けていきたいと思っています」というものでした。
 ことし2月にお会いした際も、「難しい裁判だ」とおっしゃっていましたが、最高裁は上告を棄却。元道警総務部長・佐々木友善氏(67)の名誉棄損の一部を認めた札幌高裁の判決(10年10月)「72万円の賠償命令」が確定されることになりました。
 道新が警察の裏金づくりの実態を報じたことで、全国の新聞社も追従し大きな社会問題に発展したことは周知の通り。一時は道新が道警記者クラブから締め出しを食うほどのゴタゴタもあったようにうかがっていますが、よく言われる記者クラブでの“なぁなぁ体質”に一石を投じた道新の姿勢に「そんなこと新聞人であれば当たり前だろう」と思っていた青二才(当時の私)も、新聞社内部の実情を見るにつけて「サラリーマン新聞記者」がそのほとんどを占めている現状にうなだれるばかりです…。

 以下は、日刊紙の中でも最も扱いが大きかったと思われる毎日新聞の記事を引用します。

▽名誉毀損訴訟:道新側の敗訴が確定 道警裏金問題巡る本の記述で
 北海道警の不正経理を巡る2冊の書籍で名誉を傷つけられたとして、元道警総務部長の佐々木友善氏(67)が北海道新聞社と記者2人、出版社に損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(宮川光治裁判長)は16日付で、双方の上告を棄却する決定を出した。72万円の賠償を命じた札幌高裁判決(10年10月)が確定した。
 問題となった書籍は「警察幹部を逮捕せよ!」(旬報社)と「追及・北海道警『裏金』疑惑」(講談社)。1、2審では、佐々木氏が捏造(ねつぞう)だと主張した4カ所のうち3カ所について「真実と信じるに足りるだけの取材をしたと認めるのは困難」などとして名誉毀損(きそん)の成立を一部認め、双方が上告していた。これに対し、同小法廷はいずれも「上告理由がない」と退けた。
 17日に会見した佐々木氏は「道新は判決を真摯(しんし)に受け止め、報道倫理を高めてほしい」と話した。記者2人は連名で「言論の自由を軽視する遺憾な内容。今回の結果にひるむことなく権力監視型の調査報道に挑んでいきたい」、北海道新聞社経営企画室は「当社の主張が認められなかったことは大変遺憾」とコメントした。(毎日新聞 2011年6月18日)


 高田さんからのメールには、高田、佐藤両氏の「コメント」が添付されていました。「新聞」には掲載されることはないと思われるので、その内容を掲載します。

 今回の最高裁の決定について、言論の自由を軽視するものとして非常に遺憾な内容と考えています。
 しかしながら、私たちは本訴訟で争点となった記述を含め一連の裏金報道に取材協力していただいた複数の道警内部の情報源の皆様をぎりぎりのところで守ることができました。
 私たちは、報道に従事する皆様とともに、今回の結果にひるむことなく、ジャーナリズムの本務である権力監視型の調査報道に挑んでいきたいと考えています。
 2011/06/17
北海道新聞記者
高田昌幸
佐藤 一


 今月末で同社を去る高田さん。商業ジャーナリズムでメシを食いながらあえいでいる新聞人の中でも、物腰やわらくでもズバッと核心を突くそのスタイルは、6年ほど前に出会って以来、尊敬する方でした。真のジャーナリストは組織の枠には収まれないのかもしれませんが、粛々とこの現実を受け止めながら「真実は何か」を自身でも考えていきたいと思います。
 今後のご活躍を祈念しています。


※資料
追及・北海道「裏金」疑惑.jpg【北海道警裏金事問題】
2003年11月に北海道警察旭川中央警察署が不正経理を行なっていたことが発覚、後に各部署、各課、ほとんどの警察署でも同様なことが判明して、関係幹部が大量に処分された。日本の警察史上初の大規模な不祥事。北海道新聞の警察担当デスクだった高田昌幸氏は、道警キャップの佐藤一氏ら道警記者クラブ所属の警察担当記者を取材に当たらせ、記者クラブに陣取ったまま、長期に渡ってキャンペーンを張った。
警察幹部を逮捕せよ!‐泥沼の裏金作り.jpg【北海道警元総務部長の提訴】
2006年5月31日、元道警本部総務部長の佐々木友善氏は、北海道新聞社、旬報社、講談社、北海道新聞記者高田昌幸氏と佐藤一氏の5者を相手取り、出版によって名誉を毀損されたなどとして、600万円の慰謝科の支払いと書籍の回収などを請求する民事訴訟を札幌地裁に起こした。また、旬報社から出版された「警察幹部を逮捕せよ!」の共著者である大谷昭宏氏と宮崎学氏は、内容に責任があるとして被告側の補助参加をしている。裁判の経緯は、「市民の目フォーラム北海道」のホームページ内の「道警vs道新訴訟」(
http://www.geocities.jp/shimin_me/hokkaidou.htm)が詳しい。初回から傍聴を続けている元道警釧路方面本部長・原田宏二氏が記録を綴っている。

(『月刊マスコミ市民』2010年4月号より転載)
 


posted by 今だけ委員長 at 16:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | 時事ニュース
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