小ブログでも2008年7月の山形新聞値上げ(3007円から3300円へ)と、同年10月の秋田魁新報夕刊廃刊による値下げ(3007円から2950円へ)の両極端な経営戦略について、読者はどちらを選択するのかという問題提起をさせていただきました。それは単に購読料だけの問題ではなく、紙面内容(宅配サービスは変わらない)と購読料が見合っているか―ということについて、読者に「値上げしても読みたい新聞」と思わせる紙面づくりへの期待でもありました。
▽秋田魁、夕刊を廃止/今だけ委員長の独りごと(2008年7月24日付)
http://bit.ly/jgZQQS
山形新聞が2008年7月から、14年半ぶりに値上(+293円)げに踏み切った理由は「2008年4月から製紙メーカーがそろって新聞用紙代を値上げしたほか、原油高に伴う印刷材料費のアップなど新聞製作のコストは上昇を続けている。加えて近年、新聞経営を支えてきた広告収入が大幅に落ち込み、経営環境は厳しさを増している。合理化と経費節減に努めてきたが、それも限界に達した」というものでした。
今回の夕刊廃刊(休刊)の理由が、これまで夕刊を廃刊してきた新聞社と同じ「読者の生活環境」や「費用対効果」によって部数の維持が難しくなってきたのかは分りませんが、またひとつ、朝夕刊のセット販売(特に山形新聞は完全セット販売)をしていた新聞社が不採算部門を切ったと受け止めるべきだと思います。それだけ夕刊発行の継続は経営的な視点で見ると費用対効果が折り合えていない媒体になっているのです。
山形新聞が8月から夕刊廃止をした際に、現在3300円(セット版)の購読料はどうするのか―非常に関心があります。まだ正確な情報は入っていませんが、ネットでいろいろ検索をしていたら、先月21日、とあるブログに「山形県地方紙山形新聞夕刊廃止1ヵ月3300円値下げせず…殿様商売」というタイトルで、「山形新聞は夕刊を廃止するという。しかしながら新聞代は定価据え置きという。読者は納得するだろうか―ちなみに山形新聞は夕刊廃止でどれだけ経費が削減か感知する気はないが全国紙読売新聞などは1ヵ月3007円なのに…」という書き込みがありました(そのエントリは削除されています)。
信ぴょう性はあまり高くありませんが、山形県の地元紙として確固たる基盤を有している同社のことですから、長期購読者の意を反映した経営判断(購読料設定)がされることと思います。
夕刊問題は発行を継続することが善で、廃止が悪ということではありません。時代や生活者のニーズに即した経営陣のスピード感のある決断が、新聞経営には重要ということだと思います。その一方で、職場が縮小する新聞労働者の雇用問題も浮上してくるわけですが、労働者の生活を守ることと生活者のニーズを無視することは相反することです。このあたりのジレンマを払しょくしながら、前向きな職場改革、新聞産業改革をしていきたいものです。スピードをあげながら。
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【追記】
山形新聞社は6月22日、今年7月末で夕刊を休刊することを社告しました。
購読料はこれまでのセット価格の3300円を据え置くとのこと。社告では「メディアを取り巻く環境やライフスタイルの変化などで夕刊の存在意義は薄れたと判断しました」とありますが、新聞自体の存在意義を山新の経営陣はどう捉えているのかなぁと感じました。(6月27日追記)
▽山形新聞、8月1日から夕刊休刊 「存在意義薄れた」/朝日新聞6月27日
http://bit.ly/iPmkq3
▽山形新聞:夕刊休刊へ 子ども向け新聞を創刊/毎日新聞6月27日
http://bit.ly/lICfw5
▽山形新聞が夕刊「休刊」/報知新聞6月27日
http://bit.ly/jImWym