
ブログがジャーナリズムを変える
著者:湯川鶴章(NTT出版)1,700円
時事通信の湯川さんが、共著「ネットは新聞を殺すのか」(NTT出版)の続編として出版した一冊。自ら運営するブログ「ネットは新聞を殺すのかblog」をまとめたような形で編集されており、「ネットは新聞を殺すのかblog」の読者である私にとって、湯川さんが伝えたいことをネットユーザー以外の人にも読んでもらいたいという思いを込めて発行されたのだろうと思う。
内容は3部構成で、第1部「新聞と通信の融合を大胆予測」、第2部「参加型ジャーナリズムの時代がやってきた」、第3部「ネットにやられてたまるか」となっており、ジャーナリズムにおける新聞・ネット(市民)の関係を広範囲、かつ新聞記者が感じ得ない視点で書かれている。
新聞労連関係の集会で、これまで2度ほど湯川さんの講演を聞いたことがあるが、湯川さんの問題提起に対して参加者からの質問は「ネットメディアが新聞社の経営を圧迫させている。ネット時代における新聞社のビジネスモデルは?」、「新聞が生き残っていくためにはどうすればよいのか?」という内容のものが多かったように記憶している。この本を読むとネット時代に“新聞”がどうこう言う前に「ジャーナリズムとして新聞の役割を果たせよ」とのメッセージが伝わってくる。「事実」を伝えることだけではなく、議論の過程までもブログの世界は提供してくれる。この業界に居る者としては、これからのジャーナリズムのあり方、そして新聞の役割をじっくり考えさせられた。