業界紙も「新聞特殊指定」の特需によって結構売れたのかなぁ…などと思いつつ、特殊指定の記事を後追いしていたらこんな記事を見つけました。
「公取委に遺憾の意を表明」新聞特殊指定存続決定当事者に説明なし
日本新聞協会の6月度の理事会は21日午前11時から東京内幸町の同協会で開かれ、一般会計の収入が22億6234万円で、余剰金が82万円となった平成17年度決算などと、テレビ和歌山が6月30日をもって退会することを承認した。報告事項では、新聞業の特殊指定の見直しに関しては、公正取引委員会が2日、今回の見直し作業では結論を出すことを見合わせる方針を正式に発表して新聞特殊指定の存続が決まったことと、その敬意などについて報告があり、12日には新聞特殊指定プロジェクトチームの荒木高伸座長(朝日新聞社社長室)名で公取委の舟橋和幸取引部長あてに「(公取委の決定を)直接の話し合いの当事者組織に正式な説明がなされていないことは誠に遺憾だ」としたうえで、特殊指定の存在理由に理解を求める文書を提出したことや、同プロジェクトチームは所期の目的を達成したため解散することを決めた報告を了承し、北村正任会長(毎日新聞社社長)と秋山耿太郎再販対策特別委員会委員長(朝日新聞社社長)から、新聞特殊指定問題をめぐる会員各社の支援、協力に感謝の意が表明された。販売正常化に関しては、20日開催の6月度新聞公正取引協議委員会(中央協)の審議内容を中心とした報告があり…(新聞之新聞 2006年6月23日付)
やはり今回の特殊指定問題の決着は公取委と議員連盟で決められたことが露呈しており、ジャーナリズムが権力に握られていると思わざるを得ません。また、公取委の肩を持つわけではありませんが、今だけ委員長は今年2月と5月に公取委に出向いて意見交換を行った時の話では、公取側が「新聞協会は公取委側の質問に対して、論点を摩り替えてばかりで全く質問の内容に答えてくれない」と語っていました。どちらの言い分が本当なのか?やはり公取委側も公開ディスカッションなどに参加(そうするとウソは書けませんから)してペーパーに残さないと「ペンの力?」に押されてしまうのです。ネット(HP)による発信だけでは世論形成とまでは行かないのでしょう。PJニュースもブログで新聞叩きをしていますが全体的な広がりには欠けているように感じます。だって新聞を読んでない人が、読んでいない人に対して書いてるんでしょうから…。
もうひとつオモシロイ!?記事を見つけました。文化通信(6月19日付)2面に「韓国で新聞共同配達開始」という見出しで、「物流コスト節減狙い」というサブタイトルで掲載。韓国で昨年7月から施行された「新聞法」(新聞などの自由と機能保障に関する法律)によって「新聞流通院」が設置。今年春から、国の支援で新聞の共同配達が始まったという。また、同国の公正取引委員会が昨年4月から、新聞販売店の過大な景品に歯止めをかけるために「深刻報奨金制」を導入しているとし、日本と同様、公正取引法(日本の独禁法にあたる)により新聞に再販制度が認められ、新聞公正取引規約もある韓国で、新聞の流通にどのような変化が起きているのかという内容で、韓国出版研究所責任研究員、白源根氏が寄稿しています。
本文を引用すると、今年4月26日に韓国で初めて新聞共同配達センターが開所された新聞流通院は、政府の公益特殊法人で、今年に全国50カ所(直営15、民営35)、2010年までに750カ所の地域共配センターを構築する目標を設けているとのこと。インターネットの煽りで新聞購読率が低下する中で、高費用低効率の構造は新聞産業の発展を損なうとし、国が新聞流通の現代化を目指し、読者には新聞選択権の改善、配達労働者の雇用安定と労働条件向上のために新聞共配を実現させたとのこと。実際には配達の物流コスト節減が狙いとの見方もあるようです。
いまや韓国と言えばネット大国というイメージが強いのですが、言論機関(多様な言論)を守るために国による法整備や効率的な配達を手掛けているようです。このような記事を多くの新聞経営者に読んでもらって…
日本と全く逆な方向ですよねぇ韓国は。韓国の新聞はなぜネット喰われたのでしょうか?なぜ日本は新聞が世論を動かす力をいまだに持ち続けているのでしょうか?『リテラシー』という言葉を最近よく耳にしますが国民性だけでは済まされないような気もします…。