2011年05月03日

被災者が住む応急仮設住宅世帯を特区扱いとし、購読料の軽減措置の実施を求めたい

 きょうのエントリーは、久しぶりに新聞販売の話です。
 津波被害などで家を失った被災者は、避難所から仮設住宅へと生活拠点を移し始めています。仮設住宅へ入居される被災者は「住」にあたる賃料や一定のライフラインは行政側が負担するのですが、そのほかの「衣・食」は個人負担(継続したボランティアの支援が欠かせません)となります。そして、新聞などの日常品も被災者個人が購買することになります。

 ぜひ、新聞社に考えていただきたいことがあります。被災者が住む応急仮設住宅世帯を特区扱いとし、購読料の軽減措置に取り組んでもらえないかということです。

 応急仮設住宅へ入居される被災者は自宅を失ったなど、一定の条件を満たした方だけです。いわゆる被害を受けたランクが高い被災者。特に津波被害が甚大だった沿岸部では、被災者の多くが漁業や農業の一次産業従事で、高齢の方の比率が高いと聞きます。その世代は新聞の購読率が高く、まさに新聞を読むことが生活の一部となっている方々なのです。
 再販制度など何の障壁にもなりません。新聞社が「応急仮設住宅に住む3・11大震災で家屋を失った被災者」を限定して特別料金を設定すれば済むことで、特殊指定の問題もこの現状でとやかく言う人はいないでしょう。特区扱いの特別料金適用を実施から3年間と上限を設けるなどの付記をすれば、大きな混乱はないと思います。
 朝日新聞や山形新聞が「学割」に取り組んでいるのですから、応急仮設住宅世帯(被害のランクが高い被災者)への特別料金を設けることの意味合いは、それよりも高いのではないでしょうか。これはやはり販売店が考えることではなく、再販制度という販売店へ購読料金を守らせる権限を有する新聞社が対応しなければならない問題だと思います。販売店への新聞原価補填の問題も含めて、ぜひ検討してもらいたいと思います。

 宮城県土木部住宅課の発表によると、5月3日現在で入居が始まっている応急仮設住宅は14団地、1312戸。仙台市内では「あすと長町38街区」の1カ所、119戸ですでに入居が始まっています。現時点では第6次着工分まで含めると132団地、11,309戸まで建設される予定となっています。
▽宮城県応急仮設住宅 完成一覧(4月30日)
http://bit.ly/lsbStm
▽宮城県応急仮設住宅 建設予定について(第6次着工分)
http://bit.ly/ijIpk4

 先日、職場の上司が応急仮設住宅での新聞販売のルールなどについて全国紙系の販売店主らと議論をしているようでした。新聞社間(販売局の担当同士)では避難所における販売行為などについて「紳士協定」を結んだというようなことを聞きましたが、現場まではそのような話が正確に理解されていないのが実情です。逆に販売店主らは「応急仮設住宅へ入り込んでの拡張行為は余計に非難を浴びるだけだろう」と話しているのに、発行本社の担当員からは「そこで部数を伸ばせ」と煽られる。
 阪神・淡路大震災の時には避難所で「神戸新聞がつぶれるのでうちの新聞と契約してください」と商品券を配りながら新聞拡張をした火事場泥棒が絶えなかったと聞きますが、東北の被災地では絶対そのようなことはさせたくありません。
 今のところ、地元各系統店主会の主導で行政側へ了解を得ながら、応急仮設住宅へ入居する被災者に対し、「全紙共通の申込書」を返信封筒と一緒に配布するような取り組みを進めているようです。これも現場の各系統店主さんたちのコミュニケーションが醸成されているからであり、協業しているマンション階上配達のノウハウなどが培ったものだと感じています。
*  *  *  *  *
東京から自転車が届いた.jpg きのう、東京の新聞社に勤める仲間3人(写真左から坂本さん、大津さん、阿部さん)が、自転車の支援物資を届けてくれました。GWの休みを利用して被災地を回りながら、ボランティア活動をされるとのこと。「自転車を届けに来た」との連絡をいただき、「どんな自転車だろう」と期待していましたが、大津さん愛用のマウンテンバイク(整備はされていました)だったのでガクッときましたが、自転車は避難所が最も必要としている物資のひとつ。彼らの思いを伝えながら預かった「逗子市仕様のマウンテンバイク」を避難所へ届けたいと思います。どうもありがとうございました。

posted by 今だけ委員長 at 08:19 | Comment(4) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
新聞各社も社この不況で広告収入も激減する中ですが是非御英断願いたいですね。

シニカルに考えてもお客さんのことを本当に考えなければ固定客獲得につながらないことをわかってもらいたいです。

「ご用聞き」はふんばろうのフォーマットにそう必要はないと思ってます。私も現地の方の負担になることは避けたいと思います。営業の人が聞いたお客さんのつぶやきが自然に伝播して問題意識が強い方に少しでも伝わればよいかなと。

本当に小関さんと繋がれて嬉しく思っています。小関さんもブレッド&バターなど好きな音楽を聴く時間増やしたりしてご自愛くださいね。^^

adobeなど、梅丸新聞の阿部さんへの対応も嬉しく思います。当店のnews dreamコピーして郵送しちゃおうかなとか思ってました(笑)

上毛社にもお知り合いがいたとは…
いまさらですが、小関さんて私が気軽に話しかけていい人ですか!?
Posted by 小山亘 at 2011年05月03日 22:20
小山亘さま!コメントありがとうございます。
先日、「ふんばろう…」の宮城支部も発足して、物資の拠点倉庫を探したり、地元企業とのEC事業展開などで少々忙しくしております。
今後ともご教示ください。
Posted by 今だけ委員長 at 2011年05月13日 08:36
ごぶさたしています

区域に避難所が約400戸あります。そのうち約200は入居希望者がないということで解体撤去だそうです。

ところで現在の避難所の新聞購読状況は居住者のほとんどの方が昔からの地方紙の固定読者で中央紙の読者はほとんどいません。そのような状況で各紙の営業を許可してしまえば、新聞販売店の経営を悪化させるどころか、ひいては新聞自体の信用まで悪化させてしまいかねません。

避難所という小さな市場での正常販売が実現できなければ、今後この業界で正常販売を実現することは不可能でしょうね。
Posted by sawa-da at 2011年07月27日 12:53
sawa-daサマ!コメントありがとうございます。
避難所生活をされている方と最も近い現場にいる販売店従業員と、机上で「もっと部数増やせ!」と数字のことばかり追いかける発行本社担当員。最後には読者からそっぽ向かれると分っていても、自分が担当の時は落とせない(伸ばしたい)という利己的なのか社畜と化した使命感なのか分りませんが、みんな「このままじゃヤバイ」と思っていても相手がやるから止められないのでしょう。相手がやらないことをやった方がよっぽど効果があるのに…。正常販売をするには完全合売店にするしかありませんね。
Posted by 今だけ委員長 at 2011年08月01日 05:44
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