規制緩和による安全規制の不備が鉄道事故やマンションの耐震偽装事件の原因につながったと実質的に認めたわけです。規制緩和を進めてきた政府も「安全、安心」にかかわる分野では路線の修正を迫られているようです。
最も大規模に規制を見直したのは交通分野。鉄道事業、航空、海上運送などの交通関連12法を改正する「運輸安全法」が成立し、鉄道、航空、運輸会社などに取締役の「安全統括管理者」を置くことや安全管理体制についての内部監査を義務づける。国の事業改善命令に従わない場合の罰金も引き上げた。
昨年から今年にかけて公共交通機関の事故やトラブルが続発したことが改正のきっかけだ。90年代以降の規制緩和で、国の監査体制や企業の安全管理体制を十分に整えていなかった。
昨年4月にはJR宝塚線(福知山線)の脱線事故が発生。01年に車体重量や車輪の大きさなどの数値基準を廃止したが、車体の軽量化などでコスト削減や効率化を進めようとする鉄道会社の安全軽視が指摘された。
90年代に新規参入を認め、サービス競争を促した航空業界では、日本航空やスカイマークエアラインズの運航トラブルが続発。タクシー、トラック業界も競争激化で運転手の長時間労働が原因の交通事故が増えた。
住宅では昨年11月、マンションなどの耐震強度偽装事件が発覚し、民間の指定確認検査機関が偽装を見抜けなかったことが問題になった。99年に建築確認を民間開放したが、耐震強度などを十分にチェックさせる体制ではなかった。今国会で建築基準法など関連4法を改正し、第三者機関による再チェックや罰則強化を盛り込んだ。
北側国土交通相は16日の閣議後会見で「経済的な規制の緩和は大事だが、安全面のような社会的な規制まで緩くなってはいけない」と述べた。
緩和一辺倒だったスーパーなどの小売業界に対する規制は、強化へと路線転換された。大型店の出店を制限してきた大規模小売店舗法(大店法)を緩和・廃止した結果、大型店が郊外出店へと流れ、中心商店街で閉鎖店舗が並ぶ「シャッター通り」化が深刻になったためだ。まちづくり3法のうち2法を改正し、大型店の郊外出店の原則禁止を打ち出した。
90年代後半に証券取引や金融サービスの規制を緩和する「日本版ビッグバン」(金融制度改革)を進めた金融分野では、ライブドアの粉飾決算や村上ファンドのインサイダー取引疑惑の発覚で法律の抜け道が明らかになったほか、ハイリスクの金融商品で損失を被る消費者の被害も相次いだ。
今国会で金融商品取引法を成立させ、企業買収のための株式公開買い付け(TOB)の規制や投資ファンドに対する規制を強化して取引の透明性を高めたほか、幅広い金融商品の販売ルールを定めた。
「失われた10年」、バブル崩壊の後遺症はまだ尾を引いています。政府が推進してきた「競争促進」「効率重視」に乗った企業経営者は、文字で綴られているルールさえ守れば「何をやっても構わない」という倫理欠如の経営を“やむなし”としてきました。安い人件費を求めて社員の雇用を制限し、キャリアもなく立場の弱い契約社員へと切り替えていった行為が、結果的に『人命』まで危険にさらすことになってしまいました。
また、「街づくり」にも大きな影響を与えています。「平成の大合併」、道州制への動きは地方分権の道を閉ざしてしまいました。大店舗法の緩和によって郊外型大手スーパーに対抗できない商店街はシャッター通りへと姿を変えてしまいました。過疎化が進み、個人情報保護の過度な取扱いによって地域コミュニティも活性化されない状況が続いています。
はぁ〜。書きながら嫌になってきましたが、「他人よりもっと良い生活がしたい」という発想は誰しもが思うことです。でも、「自分さえ良ければ・・・」という風潮がこの国を染めているような気がしてなりません。「並み居る人を掻き分けて・・・」私たちが住む日本に合っているのか?と考えるこの頃です。
自分さえ良ければ。。。弱者が開き直って、最悪生活保護になればいいとか、世の中を冷めてみる風潮になっていく予感がします。
さまざまな産業界や業種に対して、国が規制を掛け切れないから業界による『自主規制』をキチンとしなくちゃいけないと思うんです。でも「自分の会社だけ良くなればよい」という“食うか食われるか”の競争社会では、自主規制なんて機能するわけがないと思います。
「貧しさ」が治安を悪化させてきたことは、歴史が証明しているんですがねぇ。