2011年03月19日

あらゆる手段を使って新聞を必要としている方々へ届けるのが販売労働者の使命

 東日本大震災から8日目。徐々に仙台市内のライフライン(電気・水道)が普及してきました。ですが、食糧不足とガソリンの枯渇現象によって、まだまだ市民、県民の生活は混乱しています。

藤崎前・被災情報インフォ.jpg 震災後、今だけ委員長は新聞配達や緊急避難所への新聞配布、市内中心部のデパート前での新聞販売に従事していました。駅売店やコンビニが営業休止のため新聞の入手も困難な状況であることから、被災者が駆け寄るように震災情報インフォメーション設置した被災地の写真に目を凝らし、机に積まれた新聞を手に取っていかれました。
 「生活情報は朝刊と夕刊でどちらが多く掲載されていますか」、「石巻市の記事が載っている新聞をください」など、食糧などを求めて仙台市内を往来する人たちの表情はとても険しいのでした。「テレビではなく、新聞で情報を確認したい」という市民の声を強く感じました。震災情報インフォメーションではネットでの情報提供も行いました。

全国紙系販売店・新聞をご購読の皆様へ.JPG全国紙系販売店・新聞ご購読者の皆さまへ.jpg また、販売店では配達に使用するバイクのガソリンが確保できない状況となり、配達の一時休止を伝えるチラシが新聞に折り込まれたところもあります。比較的普及率の高い地元紙は1区域あたりの配達範囲が狭域であるため、自転車や徒歩でも何とか配達をすることが可能ですが、全国紙の配達エリアは広範囲であることからバイクを使わないと一定の時間まで配り切れません。何とか全国紙専売店の仲間にも踏ん張っていただきたいと思います。


販売店 夕刊紙分け作業3月16日.jpg 私が勤める販売会社には発行本社からこんな通達が送られてきました。一部引用します。「・・・非常に厳しい状況かですが、我々には新聞を待っている多くの読者がいます。外部と連絡が取れずに不安な日々を過ごし、避難所に新聞が届くのを心待ちにしている被災者の方々がいます。一部の東京紙専売店は、ガソリン確保の困難さを理由に、数日中にも宅配を休止するようですが、我々には「職場放棄」は絶対に許されません。どんなに時間が掛っても構いません。自転車、徒歩などあらゆる手段を使って新聞を必要としている方々のもとへお届けするのが皆さんの使命です」(引用終わり)

 震災後、欠配もなく朝夕刊を配れているのは配達スタッフのおかげです。彼ら、彼女らがこのような状況下でも踏ん張っていただいているからこそ、新聞の宅配網が維持されています。司令塔としての意気込みはわかりますが、現場の状況を無視することなく適切な指示をしてもらいたいと思います。最大限の努力を現場ではやっているのですから…。

※寺島英弥さん(河北新報社編集委員)のブログ「Cafe Vita」で、『余震の中で新聞を作る』が連載中です。紙面では写しだされることのない現場の記者の苦労が感じ取れる人間味あふれるブログです。

http://flat.kahoku.co.jp/u/blog-seibun/


新聞労連・東海林智委員長と新潟日報労組の仲間.jpg【御礼】全国の新聞労働者から支援物資が届きました。
 3月18日、河北新報労組、河北仙販労組に対して、日本新聞労働組合連合(東海林智委員長)加盟の1地連(近畿地連)、6単組(毎日新聞労組、新潟日報労組、報知新聞労組、日刊スポーツ労組、神戸デイリー労組、京都労組)などから、生活支援物資を送っていただきました。心から感謝申し上げます。
* * * * * 

3月14日夕刊.jpg 3月15日朝刊.jpg 3月15日夕刊.jpg
3月16日朝刊.jpg 3月16日夕刊.jpg
※河北新報社の了解を得て東日本大震災から1週間分の朝夕刊のイメージ画像をファイルアップしています。


posted by 今だけ委員長 at 06:05 | Comment(4) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
今だけ委員長、ご無事で何よりです。
正直、身の回りのことに気を取られて、多くの友人・知人に安否を確認またはお知らせするご連絡を失念しておりました。
全くお恥ずかしい限りです。
不心得者の不義理、薄情をお許しください。

さて…、

「新聞販売(宅配)の指名など、お前らごときに今さら言われんでも分かっとるわい!」と言いたくなるような表現の通達ですね。
全国紙専売店の宅配休止も、断念ではあっても職場放棄ではないはずです。
全国紙との差別化を意識させたいのでしょうが、東京紙という言い方も嫌いです。朝毎読などが東京紙なら河北はブロック紙とは呼べないはずです。なぜこうも厚顔なのでしょう…。
あまりにも上から目線の物言いにも、正直腹立たしささえ覚えます。

取材現場の記者の使命感と自己犠牲を伴った頑張りには心から敬意を表しますが、その記事がどのように「商品化され」「届けられ」「読まれているか」、その工程に「どのような人が存在し」「どういう気持ちでいるか」「何を望んでいるか」ということに、思いを馳せたことがあるのかと想像すれば、疑問に思わざるを得ません。
記者に使命感があり、自己犠牲が現存しているように、販売現場には、それ以上の自己犠牲と使命感があると私は思います。
“かつて記者と呼ばれた人”で主要メンバーが構成されがちな新聞経営者と発行本社幹部の物言い一つで現場の状況や士気はガラリと変わるのだと私は思うのですが…。

震災により停電、断水となった新聞印刷現場では、自家発電による減ページをはじめとした緊急体制となりましたが、自家発電設備で使用するA重油が満タンになっていなかったために、復電しなければ翌々日には新聞発行出来ないという事態に陥っていました。
巻き取り紙(新聞用紙)も納入の確約は当然得られない、市水復旧の見込みも立っていない。
そういう資材枯渇による新聞発行自体が危ぶまれる環境下で、発行本社は「カラーでいきたい」「○○頁でいきたい」と、まったく現状認識が出来ていませんでした。
「情報を届けたい」「書きたい」「載せたい」「出来るだけたくさん」という思いはあるでしょうが、緊急時における取捨選択は平常時にも増して必要でしょう。
そのための危機管理や、支える者の求心力と人心掌握、その土壌となる心配り(言動一つでも印象は違う)が出来ていないことを、発行本社の通達で証明してしまったような気がします。
Posted by EROギブソン at 2011年03月20日 18:53
EROギブソンさま!コメントありがとうございます。
ウンウンとうなずきながらコメントを読ませてただきました。こういう時だからこそメーカー側の強いリーダーシップが必要なのはわかりますが、新聞配達を底辺で支えているのは人生の大先輩であったり、地域で有名かつ活発な奥さまだったり、経営学を専攻している奨学生だったりと、老若男女のアルバイトの方々です。ある意味で私のような新聞販売会社の社員や新聞配達で生計を立てている方ならば、このような通達でも受け止められると思いますが、本業が別であったり健康のために新聞配達をしている方などからすれば、「なにぃ〜」となるかもしれません。文字は残るから怖いものです。
このブログも気を付けなければ…(笑)
Posted by 今だけ委員長 at 2011年04月01日 01:48
販売店の写真は上杉支店ですね。


社員の
あ○みサン
す○きサン
が写ってる
Posted by かほぴょん at 2012年02月14日 19:35
かほぴょんサン!コメントありがとうございます。

河北新報のイメージキャラクターは「かほピョン」です。
ピョンはカタカナなんですよ!
Posted by 今だけ委員長 at 2012年02月18日 10:31
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